JP2004298738A - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸着剤を用いて、ホウ素の吸着と脱着を利用してホウ素を浄化するホウ素含有水の処理方法において、前記ホウ素含有水を吸着剤に接触させて、浄化水とホウ素を吸着した吸着剤を形成する吸着工程、前記吸着工程で得られる吸着剤に、ホウ素飽和された酸性水溶液を加熱して接触させて、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する溶離工程、及び前記溶離工程で得られる溶離生成液を冷却してホウ酸を晶析させて、ホウ酸結晶とホウ素飽和された酸性水溶液を形成する晶析工程を含むことを特徴とするホウ素含有水の処理方法などによって提供。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホウ素含有水の処理方法に関し、さらに詳しくは、ホウ素を安定な形態で固定でき、かつ簡便な処理方法で低価格で処理できるホウ素含有水の処理方法に関する。特に、ホウ素を含有する坑水又は廃水のホウ素の除去処理法として好適である。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素化合物は、メッキ、アルミ表面処理、ガラス、釉薬、染料等で広く使用されており、これらを扱う工程からホウ素を含む排水が発生する。また、排煙脱硫設備及びゴミ焼却炉の排水として、ホウ素含有水が排出される。ホウ素化合物は、植物及び動物にとって必須微量元素である。一方、ホウ素が人体に与える影響は必ずしも明確でないが、高濃度の摂取による嘔吐、腹痛、下痢及び吐き気等の報告がなされている。また、これまでに行われた動物実験の結果、ラットを用いた催奇形性試験で胎児の体重増加抑制が認められている。さらに、一般に穀物等では微量では生育に好影響であるが、数mg/lになると発育が阻害されるので、農業用水にとっては重要な項目となっている。
これらの結果を踏まえ、平成11年2月、ホウ素の環境規準として1mg/l以下が告示され、平成13年7月から、ホウ素の排水基準は10mg/lに設定された。ただし、平成12年10月に提出された中央審議会答申では、ホウ素含有水の処理の技術は有効な分野が極めて限られており、かつ多大なコストが必要とされることから、電子部品製造業、ほうろう業等各業種において3年間の暫定措置が施行され、暫定期間中の除去技術の開発が急務となっている。さらに、その排水に含有されるホウ素が自然起因のものである金属鉱業や温泉業の業種においては、大量の低濃度でホウ素を含む排水に対し、適用が可能である技術が存在しないという問題がある。
【0003】
この解決策として、ホウ素含有水を浄化処理するする方法が提案されており、代表的な方法としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)ホウ素含有水を前処理として硫酸アルミニウム等で不溶性沈殿物を生成してのち、アニオン交換樹脂で処理する(例えば、特許文献1参照)。
(2)ホウ素を含む排水に無機酸の第1鉄塩とアルカリを添加して酸化処理して沈殿を分離する(例えば、特許文献2参照)。
(3)ホウ素含有水をアニオン交換樹脂層に通水し、これよりホウ素を溶離して得た液に硫酸アルミニウム等を添加して不溶性沈殿物を生成させ分離する(例えば、特許文献3参照)。
(4)ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させ、これから酸を用いて溶離して得た液を溶媒抽出処理する方法において、アルカリ液で逆抽出する(例えば、特許文献4参照)。
(5)排水に含まれるホウ素をジオール類及び有機溶媒との混合物で正抽出する工程、次いで得られる処理液をホウ素選択性イオン交換樹脂で処理する工程を経る(例えば、特許文献5参照)。
(6)ホウ素含有水をアニオン交換樹脂と接触させ、該アニオン交換樹脂を酸と接触させて得られる再生廃液を濃縮してホウ素化合物を析出させる(例えば、特許文献6参照)。
(7)ホウ素を含む排水を処理してホウ素を吸着したイオン交換樹脂に硫酸溶液を通液して、ホウ素を溶離した硫酸イオンを含むホウ素溶離液を用意する工程と、このホウ素溶離液を中和し、ホウ酸と硫酸ナトリウムの混合溶液にする工程と、この混合溶液を加熱及び冷却してホウ酸と硫酸ナトリウムの溶解度差によりホウ酸と硫酸ナトリウムとを分離して結晶化させる工程とを具備する(例えば、特許文献7参照)。
(8)ホウ酸含有水をホウ素選択性樹脂が充填されたカラムに通液させた後、鉱酸水溶液を通液してホウ素選択性樹脂に吸着されたホウ素を脱離させる方法において、上記脱離時の鉱酸水溶液の温度を40〜90℃に維持する(例えば、特許文献8参照)。
【0004】
これらの提案は、ホウ素含有水からホウ素を浄化する方法として貢献しているが、それぞれ課題がある。すなわち、不溶性沈殿物等の処理に伴ない発生する澱物量が非常に多くその処理が新たな課題であったり、溶媒抽出処理による設備及び処理コストが非常に多大なものあったり、あるいはホウ素を溶液中に濃縮することはできても安定な形態でホウ素を固定することができないなどの問題があった。この中で、イオン交換樹脂を使用する方法では、ホウ素を効率的に分離してホウ素含有水を浄化できるが、溶離液からホウ素を分離回収する際に、液の濃縮のため大きな熱量を必要としたり、またホウ素化合物以外の副生物の処理が発生するなどエネルギー及び薬剤による操業費の上昇を招いている。
以上の状況から、特に大量の低濃度のホウ素含有水を処理するに際して、ホウ素を安定な形態で固定でき、かつ簡便な処理方法で低価格で処理できるホウ素含有水の処理方法が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−24876号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開昭58−74183号公報(第1頁)
【特許文献3】
特公昭58−15193号公報(第1頁)
【特許文献4】
特開平09−314130号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献5】
特開平10−249330号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献6】
特公平01−43594号公報(第1頁)
【特許文献7】
特開2002−29732号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献8】
特開2001−247305号公報(第1頁、第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ホウ素を安定な形態で固定でき、かつ簡便な処理方法で低価格で処理できるホウ素含有水の処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、吸着剤を用いてホウ素を浄化するホウ素含有水の処理方法について、鋭意研究を重ねた結果、特定条件の酸性水溶液を用いて、特定条件でホウ素の溶離工程と晶析工程を行ったところ、ホウ素を安定な形態で固定でき、かつ簡便な処理方法で処理できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、吸着剤を用いて、ホウ素の吸着と脱着を利用してホウ素を浄化するホウ素含有水の処理方法において、
(1)前記ホウ素含有水を吸着剤に接触させて、浄化水とホウ素を吸着した吸着剤を形成する吸着工程、
(2)前記吸着工程で得られる吸着剤に、ホウ素飽和された酸性水溶液を加熱して接触させて、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する溶離工程、及び
(3)前記溶離工程で得られる溶離生成液を冷却してホウ酸を晶析させて、ホウ酸結晶とホウ素飽和された酸性水溶液を形成する晶析工程、を含むことを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記吸着工程で用いる吸着剤が、イオン交換樹脂、キレート剤又はグラフト重合吸着布から選ばれる少なくとも1種のグルカミン基を有する吸着剤であることを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記溶離工程で用いるホウ素飽和された酸性水溶液として、前記晶析工程で得られるホウ素飽和された酸性水溶液を繰返し使用することを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記溶離工程において、前記ホウ素飽和された酸性水溶液の液温を60〜90℃に加熱することを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホウ素含有水の処理方法を詳細に説明する。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、吸着剤を用いて、ホウ素の吸着と脱着を利用してホウ素を浄化するホウ素含有水の処理方法において、浄化水とホウ素を吸着した吸着剤を形成する吸着工程、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する溶離工程、及びホウ酸結晶とホウ素飽和された酸性水溶液(以下ホウ素飽和液と呼称する場合がある。)を形成する晶析工程を含む。
【0013】
本発明において、溶離液として常温以下の低温度でホウ素飽和された酸性水溶液を加熱して使用することで吸着剤に吸着したホウ素を脱着し、得られた溶離生成液を冷却させることでホウ酸の溶解度差によってホウ酸を晶析分離することが、重要である。これによって、低価格で処理できる簡便な処理方法が得られる。
【0014】
まず、本発明のホウ素含有水の処理方法の概要を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一例を示す工程概念図である。図1において、ホウ素含有水1を吸着工程2に送り、吸着剤にホウ素を吸着させ、浄化水3とホウ素を吸着した吸着剤を形成する。次に溶離工程4で、晶析工程6から繰返されたホウ素飽和液を予め加熱処理8した溶離液を用いて、前記吸着剤からホウ素を脱着して、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する。次いで、前記溶離生成液を冷却処理5を経て晶析工程6に送り、ホウ酸結晶7とホウ素飽和液を形成する。さらに、脱着された吸着剤は、必要量の鉱酸を用いて残留したホウ素を再溶離した後、又はそのまま再生工程9で水酸化ナトリウム等のアルカリで再生処理され、吸着工程に再使用される。
【0015】
(1)ホウ素含有水
本発明に用いるホウ素含有水は、特に限定されるものではなく、ホウ素を含有する、メッキ、アルミ表面処理、ガラス、釉薬、染料、医療等の各種産業からの工程水、排煙脱硫設備及びゴミ焼却炉等の処理水、鉱廃水、温泉水等が挙げられる。上記ホウ素含有水において、ホウ素は通常ホウ酸又はホウ酸塩として含有されている。また、その含有濃度は、特に限定されるものではなく、10mg/l以上のものに好ましく適用できる。
【0016】
(2)吸着工程
本発明の吸着工程は、ホウ素含有水を吸着剤に接触させて、浄化水とホウ素を吸着した吸着剤を形成する工程である。
本発明で用いる吸着剤としては、特に限定されるものではなく、ホウ素を選択的に吸着できる吸着剤が用いられるが、この中で、特に高い吸着性能が得られる交換基としてN―メチルグルカミン基を有する吸着剤が好ましい。ここで、吸着剤としては、特に限定されるものではなく、市販のイオン交換樹脂、キレート剤若しくはキレート繊維、又はグラフト重合させたグラフト吸着布等を用いることができるが、この中で、特に、単位量当りのホウ素吸着量が通常のイオン交換樹脂に比べて10倍以上の吸着性能を示すN―メチルグルカミン基を有するグラフト重合吸着布が好ましい。
【0017】
上記工程に用いる設備としては、特に限定されるものではなく、用いられる吸着剤の性状に合わせ、カラム型吸着塔、ミキサーセトリング槽、又は吸着剤を浸潤させる排水貯水池等が使用できる。ここで、その設備容量は吸着剤の性能に依存するので、設備容量を小さくするためには、例えば上記グラフト重合吸着布のように吸着性能に優れた吸着剤を用いるのが好ましい。
上記工程において、ホウ素含有濃度が、10mg/l以下の浄化水が得られる。
【0018】
(3)溶離工程
本発明の溶離工程は、上記吸着工程で得られる吸着剤に、ホウ素飽和液を加熱して接触させて、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する工程である。
本発明の溶離工程において、溶離液として、ホウ素飽和液を用い、かつ加熱して用いることが重要である。これによって、ホウ素が吸着された吸着剤から、ホウ素を効率的に脱着することができる。すなわち、加熱することにより、常温でホウ酸飽和であった鉱酸へのホウ酸溶解度が上がるので、前記ホウ素飽和液がその加熱温度で未飽和の状態になるからである。
【0019】
本発明のホウ素飽和液としては、特に限定されるものではなく、常温以下の温度でホウ素が飽和された酸性水溶液が用いられるが、上記晶析工程から繰返されたホウ素飽和液が効率上において特に好ましい。
本発明のホウ素飽和液で用いる酸性水溶液としては、特に限定されるものではなく、吸着したホウ素を溶離できる塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を含む水溶液が用いられる。
【0020】
上記工程において、ホウ素飽和液の加熱の温度は、特に限定されるものではなく、用いられるホウ素飽和液のホウ素溶解度を上昇させることができる、例えば常温以上の温度に調整されるが、特に60〜90℃が好ましい。すなわち、加熱の温度が60℃未満では、ホウ酸溶解度の上昇が十分でなく溶離効率は低い。一方90℃を超えると吸着剤の官能基を傷めることにつながり、吸着剤の再生使用が難しくなる。
【0021】
上記工程において、ホウ素飽和液の加熱の方法は、特に限定されるものではなく、溶離工程に送るホウ素飽和液を予め加熱処理するか、又は溶離工程でホウ素飽和液を加熱するかいずれの方法も用いられるが、予め加熱処理する方法が簡便であり好ましい。この場合、溶離工程での温度の低下による吸着剤内でのホウ素の析出を防ぐためには、その保温が重要となる。ここで、グラフト重合吸着布を用いた場合には、スプレー等による洗浄方法が行えるので、事前に加熱されたホウ素飽和液を用いる場合においても保温に関する問題は少ない。
【0022】
上記工程において形成される脱着された吸着剤は、必要量の鉱酸を用いて残留したホウ素を再溶離した後、又はそのまま再生工程で水酸化ナトリウム等のアルカリで再生処理され、吸着工程に再使用される。また、この際再溶離に使用された鉱酸は、繰り返し使用しホウ素濃度が十分に上がった時点で晶析工程の補償用の鉱酸として使用することが好ましい。
【0023】
(4)晶析工程
本発明の晶析工程は、上記溶離工程で得られる溶離生成液を冷却してホウ酸を晶析させて、ホウ酸結晶とホウ素飽和液を形成する工程である。
本発明の晶析工程において、溶離生成液を冷却することが重要である。これによって、ホウ素を過剰に含む溶離生成液から効率的にホウ酸結晶が晶析される。すなわち、冷却することにより、加熱温度でホウ酸飽和であった鉱酸へのホウ酸溶解度が下がるので、その冷却温度で過飽和分のホウ酸が析出される。
上記工程において、溶離生成液の冷却の温度は、特に限定されるものではなく、溶離工程でのホウ素飽和液の加熱温度より低い温度に調整することで行われるが、冷却コストの安い常温付近にするのが好ましい。
上記工程において、溶離生成液の冷却の方法は、特に限定されるものではなく、晶析工程へ送られる前に冷却されるか、又は、晶析工程にて冷却されるかいずれかの方法が用いられる。
【0024】
上記工程において、形成されたホウ酸結晶は、晶析工程で用いられる晶析槽底から取り出されろ過されて、固形のホウ酸結晶として回収される。このとき、ろ液は晶析槽に戻すのが好ましい。また上記したように、晶析槽の上澄み水は溶離工程での溶離液として繰返し使用するのが好ましい。なお、回収されたホウ酸結晶は、ボロン系合金鉄、ガラスその他の原料に使用できる。
以上、本発明の処理方法によって、吸着剤を使用する吸着工程、ホウ素飽和液を用いる溶離工程、及びホウ酸結晶としてホウ素を分離する晶析工程により、ホウ素含有水を簡便な処理方法で低価格で処理できる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたホウ素の吸着量と溶離率の評価方法及び再溶離試験方法は以下の通りである。
(1)ホウ素吸着量:用いたホウ素含有水と吸着後の残液のホウ素濃度をICP発光分析法で分析して濃度の差と液量を掛けることにより求めた。
(2)ホウ素の溶離率:再溶離液のホウ素濃度を測定し、その濃度と再溶離液量を掛けた値を溶離残留ホウ素量とし、上記吸着量と溶離残留ホウ素量の差を吸着量で割ることにより溶離率を求めた。
(3)再溶離試験方法:溶離後の吸着布を常温の3N(HCl濃度110g/l)塩酸500mlでさらに1時間攪拌処理して再溶離して、残留ホウ素の溶離させた。
【0026】
また、実施例及び比較例で用いたホウ素含有水、溶離液及びグラフト重合吸着布の調整方法は、以下の通りである。
[ホウ素含有水の調整]
試薬1級のホウ酸を用いてホウ素濃度300mg/lで含有する水溶液を調整し、それに水酸化ナトリウムを添加してpH7.5に調整した。
[溶離液の調整]
室温で3N(HCl濃度110g/l)の塩酸に、試薬1級のホウ酸をビーカーの底にホウ酸結晶が沈澱析出するまで添加して、その上澄み液を採取した。
[グラフト重合吸着布の調製]
ポリプロピレンの表面にポリエチレンコートした不織布基材に電子線を照射してラジカルを形成した後、真空下にてグリジルメタクリレートによりグラフト重合を行い、それにN―メチルグルカミンを反応させて得た。
【0027】
実施例1
ホウ素含有水とグラフト重合吸着布を用いた吸着工程、溶離液を用いた溶離工程及び晶析工程を行ない、評価した。さらに、ホウ素の実際の溶離率を求めるため再溶離試験を行った。
まず、吸着工程では、所定量の上記ホウ素含有水の中に乾燥させた所定量の上記グラフト重合吸着布を投入し、1時間攪拌してホウ素を吸着させた。次に溶離工程では、上記溶離液200mlを60℃に加熱処理した後、その中に前記ホウ素を吸着させたグラフト重合吸着布を入れ、1時間攪拌して溶離を行った。又、溶離後のグラフト重合吸着布を、再溶離試験に供した。さらに、晶析工程では、溶離後の液を25℃に冷却して、その後吸引濾過して、ホウ酸結晶を得た。各工程でのホウ素の吸着量と溶離率を求めた。結果を表1に示す。なお、再溶離試験の結果を、表2に示す。
【0028】
比較例1
溶離工程での溶離液の温度を室温(25℃)で行った以外は、実施例1と同様に行った。各工程でのホウ素の吸着量と溶離率を求めた。結果を表1に示す。なお、再溶離試験の結果を、表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
表1から明らかなように、実施例1では、溶離液を加熱して用いたとき、77.8%という高い溶離率はが得られることが分かる。これに対して、比較例1では、溶離液を加熱しないで用いたとき、約3%の低い溶離率であり満足すべき結果が得られないことが分かる。また、グラフト重合吸着布による単位重量当りのホウ素吸着量は20〜30g/kgとなっており、通常のイオン交換樹脂の吸着量2〜3g/kgと比較し、非常に高い吸着量であることが分る。表2より、実施例1の実際の溶離率は、室温の再溶離率97%から60℃での再溶離率22%を引いた約75%であるとみなせる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素を安定なホウ酸結晶の形態で固定できることから澱物処理の問題もなく、かつこれまで必要とされた中和等の処理工程が不要な簡便な処理方法で、低価格で処理できる方法であり、これまで費用面で適用が難しかった大量、又は低濃度のホウ素含有水にも適用を図ることができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す工程概念図である。
【符号の説明】
1 ホウ素含有水
2 吸着工程
3 浄化水
4 溶離工程
5 冷却工程
6 晶析工程
7 ホウ酸結晶
8 加熱工程
9 再生工程
Claims (4)
- 吸着剤を用いて、ホウ素の吸着と脱着を利用してホウ素を浄化するホウ素含有水の処理方法において、
(1)前記ホウ素含有水を吸着剤に接触させて、浄化水とホウ素を吸着した吸着剤を形成する吸着工程、
(2)前記吸着工程で得られる吸着剤に、ホウ素飽和された酸性水溶液を加熱して接触させて、脱着された吸着剤とホウ素を過剰に含む溶離生成液を形成する溶離工程、及び
(3)前記溶離工程で得られる溶離生成液を冷却してホウ酸を晶析させて、ホウ酸結晶とホウ素飽和された酸性水溶液を形成する晶析工程、を含むことを特徴とするホウ素含有水の処理方法。 - 前記吸着工程で用いる吸着剤が、イオン交換樹脂、キレート剤又はグラフト重合吸着布から選ばれる少なくとも1種のグルカミン基を有する吸着剤であることを特徴とする請求項1記載のホウ素含有水の処理方法。
- 前記溶離工程で用いるホウ素飽和された酸性水溶液として、前記晶析工程で得られるホウ素飽和された酸性水溶液を繰返し使用することを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の処理方法。
- 前記溶離工程において、前記ホウ素飽和された酸性水溶液の液温を60〜90℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の処理方法。
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