JP4143707B2 - 高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる異常吸着クロマト現象を利用して純度99.99質量%以上という高純度塩化ナトリウム結晶を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、海水や、かん水のような塩化ナトリウム希溶液から塩化ナトリウム結晶を得るには、この溶液に石灰石、大理石、方解石などの粒子を接触反応させる方法(特許文献1参照)、回転ドラム型乾燥機のドラム本体に火炎を吹き込み、その外表面に海水を吹き付けて水分を蒸発させて結晶を析出させる方法(特許文献2参照)、内側水槽に海水を供給し、この内側水槽内の海水面に熱風を吹き付けると共に、内側水槽内の海水を内側水槽の外側に設けた外側水槽の温水で加熱し、水分を蒸発させて製塩する方法(特許文献3参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、このようにして得られる塩化ナトリウム結晶には、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンが不純物として含まれているため、高純度が要求される工業用原料として使用する場合には、これを精製して純度を向上させる必要がある。
【0004】
これまで、このような粗製塩化ナトリウムの精製方法としては、飽和食塩水中で天日塩の粒子を流動させながらふるい分けし、粒径の小さい不純物の多い部分を除去する方法(特許文献4参照)、塩化カリウム及び硫酸イオンで汚染された塩化ナトリウムブラインにカルシウム化合物を添加して、硫酸イオンを硫酸カルシウムとして沈殿させて除去し、その残液から塩化ナトリウム結晶を析出させる方法(特許文献5参照)などが提案されている。
【0005】
一方、固体吸着剤を用い、通常の吸着クロマト現象を利用して、2成分以上の混合物から各成分が濃縮した画分を連続的に取得する方法は種々提案されており、そのうちのいくつかは既に工業的にも行われている(特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)。
【0006】
そして、これらの吸着クロマト現象を利用する分離方法においては、吸着剤の選択が重要であり、このため所望成分に対し、高い選択係数を示す多数の無機イオン交換体(特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)や、キレート樹脂(特許文献12参照)が開発されている。
【0007】
しかしながら、塩化ナトリウム中に通常不純物として含まれているカリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンは、ナトリウムイオンと性質が類似しているため、溶液中のナトリウムイオンから分離しにくい上に、結晶化に際して塩化ナトリウム結晶の結晶格子中に入り込んだり、その結晶表面に強固に付着し、簡単には除去されない。
したがって、通常の吸着クロマト現象を利用して塩化ナトリウム結晶を精製する場合、精製物の純度が制限されるのを免れない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭53−91151号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特開2000−228964号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開2001−158616号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特開平8−119627号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献5】
特表2002−523330号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献6】
特開昭57−207507号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献7】
特開昭57−207508号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献8】
特開昭58−20208号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献9】
特開平3−153522号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献10】
特開平8−38887号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献11】
特開2002−119849号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献12】
特開平5−186215号公報(特許請求の範囲その他)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、従来の吸着クロマト現象の代りに、それとは全く異なった挙動を示す異常クロマト現象を利用して、純度98質量%以上、特に純度99.99質量%以上の塩化ナトリウム結晶を得る方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
通常、クロマトグラフィー法により混合物溶液から所定成分を分離する場合、該成分に対して選択性を示す吸着剤を固定相として、また混合物溶液を移動相として用い、吸着剤を充填したカラムに混合物溶液を流し、通過した画分を経時的に分取して、所定の成分が濃縮された画分を捕集するのであるが、この際の画分中の所定の成分の濃度についてみると、これは原溶液中の該成分の濃度(以下初めの濃度という)を超えることはなく、吸着剤の吸着容量と体積により決定される吸着量に達するまでは、吸着剤による吸着が続けられ、溶液中の該成分の濃度は次第に減少し、最後に吸着量が飽和して吸着能力を失い、通過する溶液中の濃度は一定になる。
【0011】
本発明者らは、塩化ナトリウム水溶液から、その中に不純物として含まれているカリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンを効率よく除去するために鋭意研究を重ねた結果、あらかじめこれらのイオンと同一のイオンを含有させておいた吸着カラムを用いて、これに処理すべき塩化ナトリウム水溶液を通液すれば、異常吸着クロマト現象を生じ、不純物濃度の大きい画分が形成され、これを除去することにより通過後の最終処理液として、不純物が除かれた塩化ナトリウムを含む水溶液を生じるので、これから塩化ナトリウム結晶を晶出させ、固液分離工程、乾燥工程を行うと、高純度の塩化ナトリウム結晶を分離回収しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた少なくとも1種のイオンを微量不純物として含有する固形分含有量50g/リットル以上の濃厚塩化ナトリウム水溶液を、その中に含まれているカリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた少なくとも1種のイオンに対して選択的な吸着性を示す吸着剤を充填したカラムに通液し、異常吸着クロマト現象を利用して微量不純物を除去する処理を行い、次いでこの処理液から塩化ナトリウムを晶出させ、固液分離工程、乾燥工程を行うことにより分離回収することを特徴とする高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法を提供するものである。
【0013】
一般に、微量のカリウムイオンを含む塩化ナトリウム水溶液を、カリウムイオンを選択的に吸着する吸着剤、例えばアンモニウムイオン型ゼオライトを充填したカラムに通す際に、この吸着剤にあらかじめカリウムイオンを吸着させておくと、主成分たるナトリウムイオンが、細孔中に存在するカリウムイオンと置換し、もともと水溶液中に含まれているカリウムイオンとともに流出し、水溶液中に含まれているカリウムイオンの濃度よりも高濃度の画分が得られる。
【0014】
この吸着剤に一時的に吸着されたナトリウムイオンは、後続の水溶液中のカリウムイオンと再び置換するが、この際活性化された吸着点を生成するために、通常の吸着クロマト現象の場合よりも多い量のカリウムイオンを吸着するという異常吸着クロマト現象を示す。
【0015】
本発明は、このような異常吸着クロマト現象を利用して、塩化ナトリウム水溶液中に含まれるカリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのような微量不純物を除去して、純度の向上した塩化ナトリウムを得る方法である。
【0016】
この異常吸着クロマト現象は、通常以下の過程の存在により特徴づけられている。すなわち、あらかじめ微量不純物と同じ物質を含む吸着剤を充填したカラムを用いてクロマトグラフィーを行った際に、
(1)カラムに微量不純物を含む所定物質の濃厚溶液を導入後、カラムからの溶出液体積がカラム体積の5倍に達するまでに、該微量不純物が富化された溶出液画分を生じる過程、
(2)次いでその微量不純物が単調減少する溶出液画分を生じる過程、
(3)引き続いて該微量不純物濃度が初濃度(原液中の濃度)よりも小さな値で一定となる溶出液画分を生じる過程、
(4)さらに引き続いて該不純物濃度が初濃度よりも小さい値で単調増加する溶出液画分を生じる過程、及び
(5)場合により該不純物濃度が初濃度よりも大きい値となる溶出液画分を生じる過程。
【0017】
なお、本発明方法においては、上記の(1)ないし(5)の過程のうちの(1)の過程を欠く異常吸着クロマト現象(以下擬似異常吸着クロマト現象という)についても同様に利用可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明方法において、原料として用いられる塩化ナトリウム水溶液の濃度としては、使用する吸着剤の種類、クロマトグラフィー条件、例えば温度、圧力、カラムへの通液速度などにより変わるが、通常は1質量%を下限とし、上限は飽和濃度の範囲内、好ましくは2〜30質量%の範囲内で、通常は固形分含有量50g/リットル以上で選ばれる。
一方、この塩化ナトリウム水溶液中に含まれる微量不純物の濃度は、主成分の塩化ナトリウムの濃度の20分の1以下、好ましくは50分の1以下である。
【0019】
本発明方法において用いる吸着剤としては、シリカゲル、アルミナなど通常のクロマトグラフィーで用いられている吸着剤を用いてもよいが、カリウムイオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンに対して優れた吸着性を示すイオン交換性物質、例えばアンモニウムイオン型ゼオライトやセルロース性イオン交換体やセファデックスイオン交換体などが好適である。これらは通常粒径0.2〜2.0mmの粒子としてクロマトグラフィー管、すなわちカラム中に充填して用いられる。
【0020】
本発明方法においては、異常クロマト現象を利用する関係上、上記の吸着剤に、あらかじめ微量不純物と同じ物質を吸着させておくことが必要であるが、この場合の吸着量としては、吸着剤1g当り1.0〜10μmolの範囲が好ましい。なお、この場合、吸着剤として既に不純物と同じ物質を吸着しているものを用いれば、特に不純物と同じ物質を吸着させる処理を省くことができる。
【0021】
本発明方法は、この吸着剤を充填したカラムに、先ずカリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた1種又は2種以上の金属イオンを吸着させ、次いでこれに所定の濃厚塩化ナトリウム水溶液を通すことによって行われる。この際の通液速度としては、通常、線速度で0.1〜300cm/hr、好ましくは0.1〜100cm/hrの範囲が用いられる。この通液に際しては、所望により加圧又は減圧して通過を促進することもできる。
【0022】
このようにして、最終的に不純物濃度が固形分質量に基づき1質量%以下の高純度塩化ナトリウムを得ることができる。そして、濃厚塩化ナトリウム水溶液を通した後の不純物を吸着した吸着剤カラムは、例えば塩化水素又は塩化アンモニウムの水溶液を通液することによって再生し、再利用することができる。また、この際、カリウムイオンが富化した画分同士、マグネシウムイオンが富化した画分同士、あるいはカルシウムイオンが富化した画分同士を集め、上記の再生操作を行えば、それぞれカリウムイオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンに富んだ画分を得ることができるので、これを濃縮すれば、それぞれに対応する塩、すなわち塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムを回収することができる。この再生に用いられる塩化水素水溶液又は塩化アンモニウム水溶液の濃度には特に制限はないが、取り扱いやすさの点で0.55M−濃度の範囲が適当である。
【0023】
次に、カラムを通して不純物を除去した後の濃厚塩化ナトリウム水溶液から塩化ナトリウム結晶を得るには、蒸発乾固するのが最も普通であるが、そのほか、処理液にアルコール類、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどを加えて塩化ナトリウムを晶出させてもよい。またさらに処理液に水酸化ナトリウムを加えて沈殿を生成させ、次いでこの沈殿をろ去後、アルコール類を加えて塩化ナトリウムを晶出させることにより、さらに高純度の塩化ナトリウムを得ることもできる。
【0024】
例えば、カリウムイオン濃度の低い画分を集め、濃縮後、アルコール類(好ましくはエチルアルコール)を添加することで、塩化ナトリウムの結晶を得ることができる。塩化ナトリウムが濃厚(20%以上)であれば、濃縮することなく、結晶を得ることも可能である。すなわち、塩化ナトリウム濃厚溶液にアルコール類(好ましくはエチルアルコール)を添加することにより、高収率で塩化ナトリウムの結晶を得ることができる。通常の条件では、塩化ナトリウム純度が低いため、不純物の混入により純度低下が考えられるが、元の母液が塩化ナトリウム純度99.95質量%以上の高純度溶液であるため、カリウム、カルシウム、マグネシウムの混入による純度低下は、ほとんど認められない。
【0025】
このアルコール類添加による超高純度塩化ナトリウム(塩化ナトリウム純度:99.99質量%以上)の結晶化は、また、マグネシウムイオン選択的イオン交換体処理後のマグネシウムイオン除去画分からの超高純度塩化ナトリウム結晶化あるいはカルシウムイオン選択的イオン交換体処理後のカルシウムイオン除去画分から超高純度塩化ナトリウム(塩化ナトリウム純度:99.99質量%以上)の結晶化のなどにも有効である。
【0026】
本発明方法を好適に行うには、不純物成分であるカリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのうち1種類以上のイオンを含む濃厚塩化ナトリウム水溶液(蒸発乾固物含有量100g/リットル、蒸発乾固物中の塩化ナトリウム純度は90質量%以上)のカラム溶出液の全画分を分取し、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのうち1種類以上のイオンの濃度を分析し、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのうち1種類以上のイオン濃度の類似した画分を集めることである。初濃度に比べカリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのイオン濃度の低い画分を集めることにより、さらに濃厚な塩化ナトリウム母液を得ることができる。
【0027】
このようにして得られた濃厚な塩化ナトリウム母液を蒸発晶析又は反応晶析などにより晶析することにより、超高純度塩化ナトリウム(塩化ナトリウム純度:99.99質量%以上)を製造することができる。
【0028】
そして、本発明方法においては、カリウムイオンの選択的イオン交換体を用いた場合、対カチオンとして、アンモニウムイオン又はプロトンが適当である。カリウムイオンの選択的イオン交換体は、カリウムイオンと親和性が高いため、塩酸処理のみでは、カリウムイオンを充分除去することができない。そのため、カリウムイオンと類似したイオン半径を有するアンモニウムイオンとのイオン交換処理(好ましくは塩化アンモニウム溶液による処理)は有効である。
【0029】
アンモニウムイオン型を直接カリウムイオン除去に用いることは可能であるが、塩化ナトリウム結晶化の際に塩化アンモニウムが混入する可能性がある。その点、プロトン型にしておくと、塩酸は析出することはないので、高純度塩化ナトリウムを得ることが保証される。ただし、塩酸処理を行うと吸着剤が溶解し、構成元素が溶出しやすくなるので、充分洗浄することが必要である。この塩酸洗浄は、上記に限定されず、マグネシウムイオン選択的イオン交換体を用いた場合のマグネシウムイオン除去あるいはカルシウムイオン選択的イオン交換体を用いた場合のカルシウムイオン除去などにも有効である。
【0030】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0031】
実施例1
送液ポンプ、吸着剤カラム及びフラクションコレクターからなる装置を用いて、不純物としてカリウムイオン13mg/リットル、マグネシウムイオン4.5mg/リットル及びカルシウムイオン3.5mg/リットルを含む1M−塩化ナトリウム水溶液中からカリウムイオンの分離を行った。
すなわち、ガラス製カラム(内径約10mm、高さ500mm)に、吸着剤としてカリウムイオン約5μmol/gを吸着させたアンモニウムイオン型天然ゼオライト(サンゼオライト社製、クリノプチロライト、商品名「サンゼオライト」、平均粒径0.5mm)を、高さ470mmまで充填し、恒温室(27℃)中で、上記の塩化ナトリウム水溶液を、線速度30cm/hrで通液した。このときのカラムからの溶出液のカラム体積に対する溶出液体積の比と各成分濃度(mg/リットル)との関係を求めた。このようにして得た濃度分布曲線を図1に示した。この図から、異常吸着クロマト現象が起っていること及びカリウムイオンが除去されていることが分る。
次いで、カリウムイオン濃度の低い画分を集め、ロータリーエバポレーターで濃縮したのち、エチルアルコールを添加し、結晶を析出させた。この結晶をろ別し、エチルアルコールで洗浄後、乾燥し、高純度塩化ナトリウムを得た。
このようにして得た塩化ナトリウムを水に溶解して10質量%水溶液とし、原子吸光光度法で分析したところ、カリウムイオン濃度0.4mg/リットル、マグネシウムイオン濃度0.03mg/リットル、カルシウムイオン濃度1.3mg/リットルであった。
【0032】
実施例2
送液ポンプ、吸着剤カラム及びフラクションコレクターからなる装置を用いて、不純物としてカリウムイオン9mg/リットル、マグネシウムイオン1mg/リットル、カルシウムイオン0.8mg/リットルを含む30質量%塩化ナトリウム水溶液からの不純物の除去を行った。
すなわち、ガラス製カラム(内径10mm、高さ500mm)のカラムに、吸着剤として、アンモニウムイオン型天然ゼオライト(オクタゼオライト社製、クリノプチロライト、商品名「オクタゼオライト」、平均粒径0.5mm)を450mmの高さまで充填し、温度50℃において線速度9cm/hrで上記の塩化ナトリウム水溶液を通液した。
このようにして、カラム体積に対する溶出液体積の比と各成分濃度(mg/リットル)との関係を求め、グラフとして図2に示した。この図から、カリウムイオンについて著しい異常吸着クロマト現象が起っていることが認められ、0.05mg/リットルまでカリウムイオン濃度の低下していることが分る。
次に、カリウムイオンの低い画分を集め、2倍体積量のエチルアルコールを添加し、結晶を析出させることにより、高純度塩化ナトリウム結晶を得た。
このようにして得た高純度塩化ナトリウム結晶を真空乾燥後、水に溶解して10質量%水溶液とした。これについて、原子吸光光度法で分析したところ、カリウムイオン濃度0.3mg/リットル、マグネシウムイオン濃度0.03mg/リットル、カルシウムイオン濃度0.04mg/リットルであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明方法によれば、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた少なくとも1種の不純物を含む濃厚塩化ナトリウム水溶液から、異常吸着クロマト現象を利用することにより、高純度の塩化ナトリウム結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1におけるカラム体積に対する溶出液体積の比と各成分濃度との関係を示すグラフ。
【図2】 実施例2におけるカラム体積に対する溶出液体積の比と各成分濃度との関係を示すグラフ。
Claims (5)
- カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた少なくとも1種のイオンを微量不純物として含有する固形分含有量50g/リットル以上の濃厚塩化ナトリウム水溶液を、その中に含まれているカリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの中から選ばれた少なくとも1種のイオンに対して選択的な吸着性を示す吸着剤を充填したカラムに通液し、異常吸着クロマト現象を利用して微量不純物を除去する処理を行い、次いでこの処理液から塩化ナトリウムを晶出させ、固液分離工程、乾燥工程を行うことにより分離回収することを特徴とする高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法。
- 濃厚塩化ナトリウム水溶液中の不純物濃度が、固形分質量に基づき1質量%以下である請求項1記載の高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法。
- 濃厚塩化ナトリウム水溶液を通した後の吸着剤を充填したカラムに、塩化水素又は塩化アンモニウムの水溶液を通液し、再生する請求項1又は2記載の高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法。
- 処理液にアルコール類を加えて塩化ナトリウムを晶出させる請求項1、2又は3記載の高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法。
- 処理液に水酸化ナトリウムを加え、生成した沈殿をろ去したのち、これにアルコール類を加えて塩化ナトリウムを晶出させる請求項4記載の高純度塩化ナトリウム結晶の製造方法。
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