JP2008029989A - ホウ素含有水からホウ素の分離回収方法 - Google Patents

ホウ素含有水からホウ素の分離回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素を分離回収する方法において、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、かつ高濃度に濃縮して回収する方法を提供する。
【解決手段】下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする。
工程(1):ホウ素含有水を、イオン交換樹脂と接触させ、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水とを得る。
工程(2):前記ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を、鉱酸と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液を得る。
工程(3):前記溶離液を、希土類元素水酸化物粉末と接触させ、溶離液中のホウ素を吸着して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を得る。
工程(4):前記ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を、鉱酸又はアルカリ水溶液と接触させ、ホウ素を脱着して、高濃度ホウ酸溶液とを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素含有水からホウ素の分離回収方法に関し、さらに詳しくは、ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法において、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、かつ高濃度に濃縮して回収する方法に関する。
ホウ素含有水は、さまざまな工業排水として産出されている。例えば、ホウ酸やホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめとして、医薬用、化粧品原料、石鹸工業、電気めっき等のさまざまな工業用途で原材料として使用されている。そのため、これらの製造工程で発生する排水には、ホウ素化合物が含有されている場合が多い。また、発電所から発生する排水やゴミ焼却場における洗煙排水にもホウ素が含まれることが多い。ところで、近年、ホウ素の継続摂取による健康障害の可能性が指摘され、その分離及び回収が注目されている。
ホウ素含有排水の処理方法としては、ホウ素をアルミニウム又は鉄の水酸化物とともに沈殿する方法、ジルコニウム、マグネシウム等の水酸化物を用いて吸着する方法、含有水を蒸発濃縮して晶析する方法、アルコール基を有する溶媒により抽出分離する方法、逆浸透膜を用いて分離除去する方法等の種々の方法が実施され、又は提案されている。しかしながら、上記排水は一般にホウ素濃度が比較的低い状態で産出されるので、これらの方法には、それぞれ課題がある。
例えば、沈殿法では、低濃度で含まれるホウ素を沈殿させるために、多量のアルミニウム、鉄等の共沈剤を添加するので、操業資材が増加するとともにホウ素含有澱物である汚泥の発生量も増加するといった問題点があった。また、吸着法では、上記の水酸化物へのホウ素の吸着容量が低いため、多量の吸着剤の添加が不可欠であり、効率性と経済性において実用的でない。また、蒸発濃縮法では、ホウ素含有水を濃縮しホウ酸を晶析させるために熱源が必要であり、特にホウ素濃度の低い排水を対象とする場合には、莫大なエネルギーを要するので経済的でない。さらに、晶析後のホウ素含有水の中和処理等も必要である。
また、溶媒抽出法では、有機溶媒からホウ素を逆抽出して得られるホウ素含有液の処理のほかに、ホウ素を抽出するために使用した有機溶媒が微量溶解している処理後の排水の処理が不可欠となる。このため、活性炭等により有機溶媒を回収除去することなど、経済的な処理が困難である。また、逆浸透膜法では、この方法のみで低濃度までホウ素を除去することは困難であるので他の方法の併用が必要であり、また膜の閉塞による効率悪化の問題もある。
また、イオン交換樹脂を用いる方法は、ホウ素に対して吸着能力を有するイオン交換樹脂に、ホウ素含有水を接触させてホウ素を吸着した後、このホウ素を該樹脂から溶離し、ホウ素を溶離液中に濃縮するものである。その後、ホウ素を溶離液から中和処理などで固形物として固定し除去する。ここで、使用されるイオン交換樹脂としては、特にホウ素吸着性に優れているものが用いられる。例えば、N−メチルグルカミン基を有するイオン交換樹脂では、N−メチルグルカミン基とホウ酸が錯体形成することによって、ホウ素が吸着される。この吸着反応の逆反応と考えられる溶離においては、反応的には高濃度の硫酸、塩酸等の鉱酸を使用することが一般的であり、例えば、1Nを超える高濃度の硫酸、塩酸等の鉱酸を使用してホウ素を溶離している(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような高濃度の鉱酸を使用しても、少量の鉱酸溶液では必ずしもホウ素の高溶離率を達成することができない。そのため、通常は、溶離において、樹脂に対して多量の鉱酸を通液して高溶離率を得ていた。得られた溶離液中のホウ素は中和処理などで固形物として固定され除去されるが、ここで、酸濃度が高いため多量の中和剤を消費することになり、さらに中和処理において生成する澱物量も多いという問題があった。
一方、ホウ素が吸着された樹脂の再生(溶離)に際して、再生用の鉱酸使用量を低減し、かつ再生排水の中和に要するアルカリ量を節減するために、溶離用溶液として、濃度0.5〜2モル/リットルの塩酸、又は0.3〜1モル/リットルの硫酸という比較的低濃度の酸を使用する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されているが、得られた溶離液の取扱いについては具体的に何ら言及されていない。
以上のように、従来技術では、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、ホウ素を効率的かつ経済的に分離回収することは困難であった。
さらに、吸着法として、ホウ素の希土類元素水酸化物への高い吸着能を利用して、例えば、希土類元素を含む水溶液にアルカリを添加し中和生成することなどにより得られた希土類元素水酸化物を吸着剤として用いて、低濃度までホウ素を除去する方法(例えば、特許文献3、4参照。)が提案されている。しかしながら、これらの方法により、ホウ素が含まれている実際の排液又は坑水からホウ素を除去する際には、ホウ素の吸着量は少なく、そのため多量の吸着剤が必要となり、実用的ではなかった。これらの現象については、共存イオン成分の影響の可能性が示唆されており、例えば、ホウ素含有水中に共存イオン成分として炭酸イオンが共存する際には、希土類元素水酸化物へのホウ素の吸着が妨害され、吸着能が低下すると云われている。
ところが、実際にホウ素が含まれている排液又は坑水には、炭酸イオンが含有されている場合が多くあり、このようなホウ素含有水から、希土類元素水酸化物の十分なホウ素吸着能を得ることが難しく、多量の希土類元素水酸化物が必要となり、工業的に使用することができなかった。この対策としては、液中の炭酸イオンの除去方法として公知の方法、例えば、弱酸性領域にpHを調整しながら煮沸又は空気吹込みを行なう方法を応用することが考えられる。しかしながら、これらの方法では、ホウ素含有水中の炭酸イオンの含有量が多い場合には、その除去に長時間を要し設備効率上の問題が生じるとともに、動力又は加熱のためエネルギー消費上の問題も起きる。
このように、従来技術では、実際のホウ素含有液から効率よくホウ素を分離回収することは困難であった。以上の状況から、ホウ素含有水、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素を分離回収する方法において、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、さらには分離されたホウ素を有効に利用するため、高濃度に濃縮して回収する方法が求められている。
特開2003−94049号公報(第3頁) 特開2002−59154号公報(第1頁、第2頁) 特公昭63−24431号公報(第1頁) 特公平3−22238号公報(第1頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法において、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、かつ高濃度に濃縮して回収する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法について、鋭意研究を重ねた結果、ホウ素含有水を、まずイオン交換樹脂と接触させて、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂と、ホウ素が除去された浄化水とに分別した後、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂よりホウ素を溶離してホウ素を含む溶離液を分別し、次いで、この溶離液を希土類元素水酸化物粉末と接触させて、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を得た後、さらに、これよりホウ素を脱着して高濃度ホウ酸溶液を得る、という一連の工程を行なったところ、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、かつ高濃度に濃縮して回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法において、
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
工程(1):ホウ素含有水を、イオン交換樹脂と接触させ、ホウ素含有水中のホウ素を吸着除去して、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水とを得る。
工程(2):前記ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を、鉱酸と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液とホウ素が脱着されたイオン交換樹脂とを得る。
工程(3):前記溶離液を、希土類元素水酸化物粉末と接触させ、溶離液中のホウ素を吸着して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末とホウ素が除去された残液とを得る。
工程(4):前記ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を、鉱酸又はアルカリ水溶液と接触させ、ホウ素を脱着して、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末と高濃度ホウ酸溶液とを得る。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、工程(1)において、イオン交換樹脂は、アニオン性樹脂であることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、工程(2)において、鉱酸は、塩酸であることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、工程(2)において、鉱酸の濃度は、0.05〜1Nであることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、工程(3)において、希土類元素水酸化物粉末は、水酸化セリウムであることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、工程(3)において、溶離液に中和剤を添加してpHを4〜8に調整し、その後、希土類元素水酸化物粉末と接触させることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、工程(4)において、鉱酸は、高濃度のホウ酸を含み、かつ濃度が0.05〜1Nであることを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7いずれかの発明において、前記ホウ素含有水は、共存イオン成分として炭酸イオンを含有することを特徴とするホウ素の分離回収方法が提供される。
本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法は、ホウ素含有水を、まずイオン交換樹脂と接触させ、ホウ素が除去された浄化水を得るとともに、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を得て、これよりホウ素を溶離し、次いで得られたホウ素を含む溶離液から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて吸着と脱着により高濃度ホウ酸溶液を得る一連の工程により、ホウ素含有水中のホウ素を共存イオン成分の影響を受けずに効率的に分離除去し、かつ高濃度に濃縮して回収することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法を詳細に説明する。
本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法は、ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法において、
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする。
工程(1):ホウ素含有水を、イオン交換樹脂と接触させ、ホウ素含有水中のホウ素を吸着除去して、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水とを得る。
工程(2):前記ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を、鉱酸と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液とホウ素が脱着されたイオン交換樹脂とを得る。
工程(3):前記溶離液を、希土類元素水酸化物粉末と接触させ、溶離液中のホウ素を吸着して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末とホウ素が除去された残液とを得る。
工程(4):前記ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を、鉱酸又はアルカリ水溶液と接触させ、ホウ素を脱着して、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末と高濃度ホウ酸溶液とを得る。
本発明において、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素を分離回収する工程に先だって、イオン交換樹脂を用いて、ホウ素含有水からホウ素を吸着し、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水を得る工程と、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂からホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液を得る工程を組合せて行なうことが重要である。
すなわち、まず、ホウ素を吸着又は脱着する際に炭酸イオン等の共存イオンの影響が受け難いイオン交換樹脂により、ホウ素含有水からのホウ素の分離を行なうことにより、後続の希土類元素水酸化物粉末を用いる溶離液からの吸着においては、ホウ素含有水に含まれる炭酸イオン等の共存イオンの影響を排除することができる。したがって、希土類元素水酸化物本来の吸着性能が発揮され、その添加量を過剰に増加することなく効率的にホウ素を除去することができる。一方、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末からのホウ素の脱着においては、希土類元素水酸化物本来の高濃度のホウ酸溶液中での優れた脱着性能を利用することにより、容易にホウ素濃度を高めることができる。このため、高濃度のホウ酸溶液として回収することができる。
ここで、本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法を、図面を用いて説明する。図1は、本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法を表す工程図の一例である。
図1において、ホウ素含有水1から、まず、イオン交換樹脂を用いた吸着工程2により、ホウ素が吸着除去され、浄化水3が得られる。次に、イオン交換樹脂の溶離工程4において、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を鉱酸5と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液6とホウ素が脱着されたイオン交換樹脂を得る。次いで、中和工程7で、溶離液6を水酸化ナトリウム水溶液8で中和した後、希土類元素水酸化物粉末を用いた吸着工程9により、溶離液中のホウ素が吸着分離され、残液10が得られる。その後、希土類元素水酸化物粉末の脱着工程11において、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末と鉱酸又はアルカリ水溶液12と接触させ、ホウ素を脱着して、高濃度ホウ酸溶液13を得る。さらに、高濃度ホウ酸含有液13から、冷却又は濃縮する工程14により、ホウ酸15を晶析回収する。
1.工程(1)
上記工程(1)は、ホウ素含有水を、イオン交換樹脂と接触させ、ホウ素含有水中のホウ素を吸着除去して、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水とを得る工程である。
上記工程に用いるホウ素含有水としては、特に限定されるものではなく、前述した種々の工業排水及びその他のホウ素化合物を含有する水が挙げられるが、その中で、特に共存イオンとして炭酸イオンを含有する場合に、吸着時の効果が大きく好ましい。なお、このようなホウ素含有水のホウ素は、通常、ホウ酸イオン(BO 3−)の形態で存在することが多い。
上記工程に用いるイオン交換樹脂としては、特に限定されるものではなく、ホウ素を吸着することができるものならば種類に係らず用いることができるが、この中で、アニオン交換樹脂が好ましく、ホウ素の選択吸着性を高めたホウ素吸着用樹脂がより好ましい。例えば、ホウ素吸着用樹脂としては、N−メチルグルカミン基を有する樹脂が挙げられ、商品名アンバーライトIRA−743(オルガノ株式会社製)、商品名デュオライトES−371N(住友化学株式会社製)、商品名ユニセレックUR−3500(ユニチカ株式会社製)等が市販されている。なお、これらの樹脂は、ホウ素含有水との接触に先だって、通常、事前にアルカリ溶液を用いて樹脂の官能基末端をOH形にする処理を行なう。
上記工程に用いるホウ素含有水とイオン交換樹脂の接触の方法としては、特に限定されるものではなく、ホウ素含有水中にイオン交換樹脂を懸濁させる方法も行なえるが、カラム型充填塔内に所定量のイオン交換樹脂を充填し、この内部へホウ素含有水を所定の流量で通液する方法が用いられる。なお、上記通液の条件としては、ホウ素が十分に除去された浄化水を得るための条件が選ばれる。
例えば、ここで、イオン交換樹脂として、アンバーライトIRA−743を、また、ホウ素含有水として、ホウ素濃度が5.7mg/Lの溶液を用いた。まず、前記樹脂を充填したカラムに、通液速度が5BV/hで、通液量がBV100の条件で前記溶液を通液し、ホウ素を吸着させた。なお、BVは充填された樹脂の容積(Bed Volume)を表す。従って、BV100は充填された樹脂の容積の100倍量を表す。ここで、カラム通液後の回収液のホウ素濃度は、1mg/L以下となり、ホウ素含有水に含まれるホウ素の80%以上が吸着されたことを示した。
2.工程(2)
上記工程(2)は、前記ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を、鉱酸と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液とホウ素が脱着されたイオン交換樹脂とを得る工程である。なお、ホウ素が脱着されたイオン交換樹脂は、必要に応じて、再度ホウ素を吸着させるため、水酸化ナトリウム等でOH形に変換した後、工程(1)で繰返し用いることができる。
上記工程で用いる鉱酸としては、特に限定されるものではないが、硫酸、塩酸、硝酸等が使用できるが、この中で、特に樹脂の劣化を招かないこと、低酸濃度で効率よく溶離できること等から、塩酸が好ましい。また、このとき、0.1N以上の酸濃度でイオン交換樹脂に吸着したホウ素をほぼ完全に溶離することができる。
上記鉱酸の濃度としては、0.05〜1Nであり、0.05〜0.5Nが好ましく、0.1〜0.4Nがより好ましい。
上記工程に用いるホウ素を吸着したイオン交換樹脂と鉱酸の接触方法としては、特に限定されるものではなく、鉱酸中にイオン交換樹脂を懸濁させる方法も行なえるが、カラム型充填塔内にホウ素を吸着したイオン交換樹脂を充填し、この内部へ所定濃度の鉱酸を所定の流量で通液する方法が用いられる。なお、上記通液の条件としては、ホウ素が十分に溶離されるための条件が選ばれる。
3.工程(3)
上記工程(3)は、前記溶離液を、希土類元素水酸化物粉末と接触させ、溶離液中のホウ素を吸着して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末とホウ素が除去された残液を得る工程である。ここで、前記溶離液中には、炭酸イオンを全く含まないため、希土類元素水酸化物を吸着剤として用いてホウ素を効率よく吸着することができる。なお、得られるホウ素が除去された残液中にホウ素が残留される場合には、ホウ素含有水として再度繰返し用いることができる。
上記工程において、必要に応じて、前記溶離液を希土類元素水酸化物粉末と接触させる前に、溶離液に中和剤を添加してpHを好ましくは4〜8、より好ましくは5〜8に調整することができる。すなわち、希土類元素水酸化物によるホウ素の吸着反応には、pH依存性があり、弱酸性から中性以上のpH領域が望ましく、特に上記範囲が好ましい。ここで、中和剤としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウムが好ましい。
上記工程で用いる溶離液を希土類元素水酸化物粉末と接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、溶離液に希土類元素水酸化物を添加後、撹拌して行なわれる。また、希土類元素水酸化物を含有する粒状物を用いるときには、カラム型充填塔を用いることができる。
上記工程に用いる希土類元素水酸化物としては、特に限定されるものではなく、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びYからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の水酸化物が用いられるが、この中で、特にホウ素吸着能が高いCe元素の水酸化物粉末が好ましい。これらの希土類元素水酸化物は、希土類元素を含む硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸溶液を中和処理することにより得られるが、市販の試薬を用いることができる。
また、上記希土類元素水酸化物粉末の粒度としては、特に限定されるものではなく、前記中和処理により得られるもの、或は試薬をそのまま用いることができる。例えば、平均粒径がD80で10〜50μmのものが好ましい。ここで、平均粒径の測定は、レーザー式粒度計で行なった。
上記工程で用いる希土類元素水酸化物の添加量としては、特に限定されるものではなく、希土類元素水酸化物粉末の飽和吸着量と溶離液中に含有されるホウ素量により適切な添加割合で行なう。すなわち、添加量は、使用する希土類元素水酸化物、溶離液中に含有されるホウ素濃度等の条件により、事前に決定することができる。例えば、粉末状の希土類元素含水酸化物を用いる場合には、希土類元素水酸化物の有する高いホウ素吸着能力を保持したまま使用することができるので、希土類元素水酸化物の使用量が少なくすることができる。
ここで、撹拌の手段と条件としては、特に限定されるものではなく、スラリーが懸濁状態であればよい。また、スラリーの温度としては、特に限定されるものではなく、室温で行なうことができる。また、撹拌時間としては、特に限定されるものではなく、長いほどホウ素の吸着量は増加する傾向にはあるが、比較的短時間に最大吸着量に達するので、1〜3時間程度でよい。
4.工程(4)
上記工程(4)は、前記ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を、鉱酸又はアルカリ水溶液と接触させ、ホウ素を脱着して、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末と高濃度ホウ酸溶液を得る工程である。なお、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物は、再度ホウ素を吸着させるため、工程(3)で繰返し使用することができる。
ここで、希土類元素含水酸化物に吸着されたホウ素は、高濃度のホウ酸を含む鉱酸溶液又はアルカリ溶液でも、効率的に脱着される。したがって、ホウ素が含まれる脱着液の繰返し、又は希土類元素含水酸化物に対して少量の脱着液を使用するなどの操作により、非常に高濃度のホウ酸溶液を回収することができる。しかも、このような高濃度ホウ酸含有液が得られるので、濃縮あるいは冷却により容易にホウ酸を晶析回収することができる。
上記工程で用いる鉱酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸等が用いられる。ここで、鉱酸の種類と濃度としては、特に限定されるものでなく、プロセス経済性、及びホウ素を含む脱着液の取扱い方法により決定することができる。例えば、上記鉱酸の濃度としては、0.05〜1Nが好ましい。
上記工程で用いる希土類元素水酸化物粉末と脱着用溶液を接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、脱着用溶液に希土類元素水酸化物を添加後、撹拌して行なわれる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いたホウ素の分析方法は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
(1)イオン交換樹脂によるホウ素の吸着
イオン交換樹脂 (アンバーライトIRA−743、オルガノ株式会社製)を充填したカラムに、24mg/Lのホウ素および410mg/Lの炭酸イオンを含有するホウ酸溶液を、20BV(Bed Volume)/hの速度で通液しホウ素を吸着させた。また、樹脂に対し、100(L/L−樹脂)の溶液を通液した。その後、ここで得られたカラム通液後に回収された浄化液のホウ素濃度を分析した。その結果、浄化液のホウ素濃度は、1mg/L以下となり、96%以上のホウ素が除去されたことが分かった。
(2)イオン交換樹脂からホウ素の溶離
続いて、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂に、0.3Nの塩酸溶液を4B/hの速度で通液しホウ素を溶離させた。また、樹脂に対し5(L/L−樹脂)の溶液を通液した。その後、溶離後の樹脂に残留したホウ素を分析した。その結果、樹脂中のホウ素濃度は<0.1g/L−樹脂であり、完全に溶離できたことが分かった。なお、溶離液のホウ素濃度は460mg/L、pHは0.78であり、及び炭酸イオン濃度は<0.01g/Lであった。
(3)希土類元素水酸化物粉末によるホウ素の吸着
次いで、前記溶離液に水酸化ナトリウム5.0gを添加しpH7.3に調整した。その後、溶離液1L当たりに水酸化セリウム50gを添加し、撹拌した。25℃で1時間撹拌した後、水酸化セリウムを濾過分離し濾液を回収し分析した。その結果、濾液中のホウ素濃度は24mg/Lとなり、効率的にホウ素を除去することができたことが分かる。
(4)希土類元素水酸化物粉末からホウ素の脱着
最後に、得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物を、ホウ素として9.1g/Lを含有する硫酸溶液中に懸濁し、pHを1に制御しながら脱着した。その結果、ホウ素の脱着率は79%であり、効率よくホウ素を脱着することができた。なお、脱着液からは、ホウ素濃度が高いので、さらに加熱濃縮してホウ酸を回収することができた。
以上より明らかなように、本発明のホウ素含有水からホウ素の分離回収方法は、ホウ酸等を用いる工業分野をはじめ、発電所、ゴミ焼却場、鉱山等の分野で利用されるホウ素含有排水からホウ素を分離回収する方法として好適である。
ホウ素含有水からホウ素の分離回収方法を表す工程の一例を表す図である。
符号の説明
1 ホウ素含有水
2 イオン交換樹脂を用いた吸着工程
3 浄化水
4 イオン交換樹脂の溶離工程
5 鉱酸
6 溶離液
7 中和工程
8 水酸化ナトリウム水溶液
9 希土類元素水酸化物粉末を用いた吸着工程
10 残液
11 希土類元素水酸化物粉末の脱着工程
12 鉱酸又はアルカリ水溶液
13 高濃度ホウ酸溶液
14 冷却又は濃縮する工程
15 ホウ酸

Claims (8)

  1. ホウ素含有水から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を分離回収する方法において、
    下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするホウ素の分離回収方法。
    工程(1):ホウ素含有水を、イオン交換樹脂と接触させ、ホウ素含有水中のホウ素を吸着除去して、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂とホウ素が除去された浄化水とを得る。
    工程(2):前記ホウ素を吸着したイオン交換樹脂を、鉱酸と接触させ、ホウ素を溶離して、ホウ素を含む溶離液とホウ素が脱着されたイオン交換樹脂とを得る。
    工程(3):前記溶離液を、希土類元素水酸化物粉末と接触させ、溶離液中のホウ素を吸着して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末とホウ素が除去された残液とを得る。
    工程(4):前記ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を、鉱酸又はアルカリ水溶液と接触させ、ホウ素を脱着して、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末と高濃度ホウ酸溶液とを得る。
  2. 工程(1)において、イオン交換樹脂は、アニオン性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  3. 工程(2)において、鉱酸は、塩酸であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  4. 工程(2)において、鉱酸の濃度は、0.05〜1Nであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  5. 工程(3)において、希土類元素水酸化物粉末は、水酸化セリウムであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  6. 工程(3)において、溶離液に中和剤を添加してpHを4〜8に調整し、その後、希土類元素水酸化物粉末と接触させることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  7. 工程(4)において、鉱酸は、高濃度のホウ酸を含み、かつ濃度が0.05〜1Nであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素の分離回収方法。
  8. 前記ホウ素含有水は、共存イオン成分として炭酸イオンを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のホウ素の分離回収方法。
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