JP2005279346A - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、イオン交換樹脂に吸着されたホウ素を溶離する際に、鉱酸の使用量を節減し、かつ排水液量を削減することができる経済的な処理方法を提供することにあり、さらに、得られた溶離液の中和に際して、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができる処理方法を提供する。
【解決手段】ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1Nに調整することを特徴とするホウ素含有水の処理方法などにより提供する。
【選択図】なし
【解決手段】ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1Nに調整することを特徴とするホウ素含有水の処理方法などにより提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ホウ素含有水の処理方法に関し、さらに詳しくは、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、該樹脂に吸着されたホウ素を溶離する際に、鉱酸の使用量を節減し、かつ排水液量を削減することができる経済的な処理方法に関し、さらに、得られた溶離液の中和処理に際して、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができる処理方法に関する。
ホウ素含有水は、さまざまな工業排水として産出されている。例えば、ホウ酸やホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめとして、医薬用、化粧品原料、石鹸工業、電気めっき等のさまざまな工業用途で原材料として使用されている。そのため、これらの製造工程で発生する排水には、ホウ素化合物が含有されている場合が多い。また、発電所から発生する排水やゴミ焼却場における洗煙排水にもホウ素が含まれることが多い。
ホウ素含有排水の処理方法としては、ホウ素をアルミニウムや鉄の水酸化物とともに沈殿する方法、ジルコニウム、マグネシウム、セリウム等の水酸化物を用いて吸着する方法、含有水を蒸発濃縮して晶析する方法、アルコール基を有する溶媒により抽出分離する方法、逆浸透膜を用いて分離除去する方法等の種々の方法が実施され、又は提案されている。しかしながら、上記排水は一般にホウ素濃度が比較的低い状態で産出されるので、これらの方法には、それぞれ課題がある。
例えば、沈殿法では、低濃度で含まれるホウ素を沈殿させるために、多量のアルミニウムや鉄等の共沈剤を添加するので、操業資材が増加するとともにホウ素含有澱物である汚泥の発生量も増加するといった問題点があった。また、吸着法では、上記の水酸化物へのホウ素の吸着容量が低いため、多量の吸着剤の添加が不可欠であり、効率性と経済性において実用的でない。また、蒸発濃縮法では、ホウ素含有水を濃縮しホウ酸を晶析させるために熱源が必要であり、特にホウ素濃度の低い排水を対象とする場合には、莫大なエネルギーを要するので経済的でない。さらに、晶析後のホウ素含有水の中和処理等も必要である。
また、溶媒抽出法では、有機溶媒からホウ素を逆抽出して得られるホウ素含有液の処理のほかに、ホウ素を抽出するために使用した有機溶媒が微量溶解している処理後の排水の処理が不可欠となる。このため、活性炭等により有機溶媒を回収除去することなど、経済的な処理が困難である。また、逆浸透膜法では、この方法のみで低濃度までホウ素を除去することは困難であるので他の方法の併用が必要であり、また膜の閉塞による効率悪化の問題もある。
この解決策として、イオン交換樹脂を用いてホウ素を分離除去する方法が提案されている。この方法は、ホウ素に対して吸着能力を有するイオン交換樹脂に、ホウ素含有水を接触させてホウ素を吸着した後、このホウ素を該樹脂から溶離し、ホウ素を溶離液中に濃縮するものである。その後、ホウ素を溶離液から中和処理などで固形物として固定し除去する。
ここで、使用されるイオン交換樹脂としては、特にホウ素吸着性に優れているものが用いられる。例えば、N−メチルグルカミン基を有するイオン交換樹脂では、N−メチルグルカミン基とホウ酸が錯体形成することによって、ホウ素が吸着される。この吸着反応の逆反応と考えられる溶離においては、反応的には高濃度の硫酸、塩酸等の鉱酸を使用することが一般的であり、例えば、1Nを超える高濃度の硫酸、塩酸等の鉱酸を使用してホウ素を溶離している(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような高濃度の鉱酸を使用しても、少量の鉱酸溶液では必ずしもホウ素の高溶離率を達成することができない。そのため、通常は、溶離において、樹脂に対して多量の鉱酸を通液して高溶離率を得ていた。得られた溶離液中のホウ素は中和処理などで固形物として固定され除去されるが、ここで、酸濃度が高いため多量の中和剤を消費することになり、さらに中和処理において生成する澱物量も多いという問題があった。
しかしながら、このような高濃度の鉱酸を使用しても、少量の鉱酸溶液では必ずしもホウ素の高溶離率を達成することができない。そのため、通常は、溶離において、樹脂に対して多量の鉱酸を通液して高溶離率を得ていた。得られた溶離液中のホウ素は中和処理などで固形物として固定され除去されるが、ここで、酸濃度が高いため多量の中和剤を消費することになり、さらに中和処理において生成する澱物量も多いという問題があった。
一方、ホウ素が吸着された樹脂の再生(溶離)に際して、再生用の鉱酸使用量を低減し、かつ再生排水の中和に要するアルカリ量を節減するために、溶離用溶液として、濃度0.5〜2モル/リットルの塩酸、又は0.3〜1モル/リットルの硫酸という比較的低濃度の酸を使用する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されているが、得られた溶離液の取扱いについては具体的に何ら言及されていない。
以上のように、従来技術では、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、ホウ素を効率的かつ経済的に分離除去することは困難であった。
特開2003−94049号公報(第3頁)
特開2002−59154号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、該樹脂に吸着されたホウ素を溶離する際に、鉱酸の使用量を節減し、かつ排水液量を削減することができる経済的な処理方法を提供し、さらに、得られた溶離液の中和処理に際して、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができる処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法について、鋭意研究を重ねた結果、イオン交換樹脂に吸着されたホウ素を鉱酸を用いて溶離する際に、溶離用溶液として、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用し、かつ特定の鉱酸の濃度に調整したものを用いたところ、溶離液中にホウ酸を高度に濃縮するとともに、鉱酸の使用量を節減し、かつ排水液量を削減することができることを見出し、さらに、得られた溶離液の中和処理に際して、特定の条件でホウ素を中和除去したところ、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができることを見出し、これらによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1Nに調整することを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記鉱酸の濃度は、0.05〜0.5Nであることを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、さらに、得られたホウ素含有溶離液にケイ素化合物を添加した後、pH8〜13になるようにカルシウム化合物を添加してホウ素を中和除去することを特徴とするホウ素含有水の処理方法が提供される。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水からイオン交換樹脂によりホウ素を分離除去する方法において、イオン交換樹脂に吸着されたホウ素を溶離する際に、鉱酸の使用量を節減することができ、かつ排水液量を削減することができるので、その工業的価値は極めて大きい。さらに、本発明の方法で、溶離液の中和を行えば、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができるので、より有利である。
以下、本発明のホウ素含有水の処理方法を詳細に説明する。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1N(規定)に調整することを特徴とする。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1N(規定)に調整することを特徴とする。
本発明において、溶離用溶液は、鉱酸の濃度が0.05〜1Nであり、かつ得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用したものであることが重要である。この範囲の濃度の鉱酸を用いれば、イオン交換樹脂に吸着されたホウ素を効率的に溶離することができるとともに、イオン交換樹脂から溶離されたホウ素を含有する溶離液は、ホウ酸が晶析することもなく溶離に再使用することができる。すなわち、溶離用溶液の酸濃度が希薄であることによって、ホウ素溶離率が向上するとともに、溶離液のホウ酸の溶解度が高くなることによる。これを利用して、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用することによって、主に酸濃度と液温度によって決まるホウ酸の飽和溶解度までの範囲内で、溶離液中にホウ酸を濃縮しホウ素濃度を高めることができる。
これに対して、従来技術のような高濃度の鉱酸溶液中ではホウ酸の溶解度が低下し、得られたホウ素含有溶離液を溶離に再度使用すると、すぐにホウ酸の溶解度を超えてしまい、カラム内でホウ酸の析出が起こり、閉塞やホウ素溶離率の低下を招くことになる。したがって、本発明の処理方法によって、従来技術と比べて、鉱酸使用量を節減することができるとともに、排水液量も削減することができる。
本発明に用いるホウ素含有水としては、特に限定されるものではなく、前述した種々の工業排水及びその他のホウ素化合物を含有する水が挙げられる。このようなホウ素含有水のホウ素は、通常、BO3 3−の形態で存在することが多い。
本発明に用いるイオン交換樹脂としては、ホウ素を吸着することができるものならば種類に係らず用いることができるが、この中で、アニオン交換樹脂が好ましく、ホウ素の選択吸着性を高めたホウ素吸着用樹脂がより好ましい。例えば、ホウ素吸着用樹脂としては、N−メチルグルカミン基を有する樹脂が挙げられ、商品名アンバーライトIRA−743(オルガノ株式会社製)、商品名デュオライトES−371N(住友化学株式会社製)、商品名ユニセレックUR−3500(ユニチカ株式会社製)等が市販されている。
これらの樹脂は、通常、事前にアルカリ溶液を用いて官能基末端をOH形とした後、カラムに充填され用いられる。その後、上記ホウ素含有水をカラムに通液し、ホウ素を吸着し、次いで、上記溶離用溶液を通液し溶離する。ホウ素の溶離が終わった樹脂は、必要に応じて、水酸化ナトリウム等でOH形に変換した後、再びホウ素の吸着操作に繰返すことができる。
これらの樹脂は、通常、事前にアルカリ溶液を用いて官能基末端をOH形とした後、カラムに充填され用いられる。その後、上記ホウ素含有水をカラムに通液し、ホウ素を吸着し、次いで、上記溶離用溶液を通液し溶離する。ホウ素の溶離が終わった樹脂は、必要に応じて、水酸化ナトリウム等でOH形に変換した後、再びホウ素の吸着操作に繰返すことができる。
本発明に用いる鉱酸としては、特に限定されるものではないが、イオン交換樹脂の耐久性に影響を与えない硫酸及び塩酸が好ましく、塩酸がより好ましい。例えば、ホウ素を含む溶離液からホウ素を分離固定する際、一般的な中和剤であるカルシウム化合物を使用すると、溶離用溶液として硫酸を使用した場合には石膏の生成が起こり、生成澱物量が多くなる。
上記鉱酸の濃度としては、0.05〜1Nであり、0.05〜0.5Nが好ましく、0.1〜0.45がより好ましい。
すなわち、従来技術では1Nを越える高濃度の酸溶液を使用して行われたが、本発明では、むしろ低濃度の鉱酸を使用することで、ホウ素を効率的に溶離できるという具体例に基づいている。以下に、この具体例について説明する。
すなわち、従来技術では1Nを越える高濃度の酸溶液を使用して行われたが、本発明では、むしろ低濃度の鉱酸を使用することで、ホウ素を効率的に溶離できるという具体例に基づいている。以下に、この具体例について説明する。
ここで、イオン交換樹脂として、アンバーライトIRA−743(オルガノ社製)を、また、ホウ素含有水として、ホウ素濃度が5.7mg/Lの溶液を用いた。まず、前記樹脂を充填したカラムに、通液速度が5BV/hで、通液量がBV100の条件で前記溶液を通液し、ホウ素を吸着させた。なお、BVは充填された樹脂の容積(Bed Volume)を表す。従って、BV100は充填された樹脂の容積の100倍量を表す。ここで、カラム通液後の回収液のホウ素濃度は、1mg/L以下となり、ホウ素含有水に含まれるホウ素の90%以上が吸着されたことを示した。
次に、溶離用溶液として、HCl濃度0.01〜3Nの塩酸溶液を調整して、上記カラムに各々通液量BV5で通液し樹脂に吸着したホウ素を溶離し、得られた溶離液のホウ素を分析してホウ素溶離率を求めた。結果を表1に示す。
表1より、HCl濃度が0.05N未満では、イオン交換樹脂からホウ素を効率的に溶離することがむずかしく、一方、鉱酸の濃度が1Nを超えると、ホウ素の溶離率は低くなることが分る。また、鉱酸の濃度が1Nを超えると、ホウ酸の溶解度が低下するのでホウ素含有溶離液の繰返し使用において有利ではない。その上、高濃度の鉱酸を使用すると溶離液のホウ素の中和処理に多大の費用が必要となるので、実施に際しては、溶離の効率と比較した上で、できるだけ低濃度の鉱酸を使用することが好ましい。
本発明のホウ素含有水の処理方法は、必要に応じて、さらに、得られたホウ素含有溶離液にケイ素化合物を添加した後、pH8〜13になるようにカルシウム化合物を添加してホウ素を中和除去する工程を行うことができる。この工程において、ホウ酸が生成するCaSiO3に吸着され、又は一部SiO3イオンと置換して、生成澱物中にホウ素が固定される。ここで、pHが8未満では、CaSiO3が生成しない。一方、pHが13を超えると、消石灰等のカルシウム化合物の使用量が増加し好ましくない。
上記ケイ素化合物としては、特に限定されるものではなく、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩を用いることができるが、この中で、特に価格及び入手しやすさなどの点からケイ酸ナトリウムが好ましい。
上記ケイ素化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、ケイ素量として、溶離液中に存在するホウ素に対して重量比で0.5〜10倍が好ましく、0.7〜5倍がより好ましい。すなわち、添加量が0.5倍未満では、溶離液からのホウ素の除去が不十分であり、一方、10倍を超えると、薬剤使用量の上昇によるコストアップのほか、濾過工程等の後工程の負荷が過大になる。
上記カルシウム化合物としては、特に限定されるものではなく、消石灰、生石灰、塩化カルシウム等があげられるが、この中で、特に経済性と取り扱い性を考慮すると消石灰が好ましい。
上記pHとしては、特に限定されるものではなく、8〜13が好ましく、9〜12がより好ましい。すなわち、溶液のpHが8未満では、ホウ素の不溶性沈殿物の生成が不十分である。一方、溶液のpHが13を超えると、カルシウム化合物の添加量が増加するため経済的でない。これに対して、例えば、従来のアルミニウム化合物によりホウ素を固定する場合には、pHを好ましくは12以上に調整することが行われるので、中和剤の使用量と生成中和殿物が多くなるという問題があった。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたホウ素の分析方法は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
イオン交換樹脂として、アンバーライトIRA−743(オルガノ社製)を、また、ホウ素含有水として、ホウ素濃度が5.7mg/Lの溶液を用いた。
まず、前記樹脂を充填したカラムに、通液速度が5BV/hで、通液量がBV100の条件で前記溶液を通液し、ホウ素を吸着させた。ここで、カラム通液後の回収液のホウ素濃度は、1mg/L以下となり、ホウ素含有水に含まれるホウ素の90%以上が吸着されたことを示した。
続いて、ホウ素を吸着させたイオン交換樹脂の溶離によって別途調製したホウ素含有溶離液(HCl濃度0.3N、ホウ素濃度1.8g/L)を通液量BV5でカラムに流し、樹脂に吸着したホウ素を溶離した。樹脂からのホウ素溶離率は100%となった。また、この際の溶離液中のホウ素の最高濃度は2.4g/Lとなったが、ホウ酸結晶の析出は認められなった。
さらに、上記溶離液に、ケイ酸ナトリウム24.9g/L(Si/B重量比で3.0にあたる。)を加えた後、消石灰を用いて、pH9.0で中和した。1時間反応させた後、固液分離を行い、濾液と澱物を得た。濾液中のホウ素濃度は、0.34g/Lとなり、溶離液中ののホウ素の82%を分離除去することができた。このホウ素が残留した液は、吸着工程へ繰返すか、又は溶離用溶液として再使用することができる。また、生成澱物のホウ素品位は5.0重量%であり、高度にホウ素を濃縮した澱物が得られた。澱物の重量は、溶離液1Lにつき38.2gであり、殿物の生成量は少量であった。
イオン交換樹脂として、アンバーライトIRA−743(オルガノ社製)を、また、ホウ素含有水として、ホウ素濃度が5.7mg/Lの溶液を用いた。
まず、前記樹脂を充填したカラムに、通液速度が5BV/hで、通液量がBV100の条件で前記溶液を通液し、ホウ素を吸着させた。ここで、カラム通液後の回収液のホウ素濃度は、1mg/L以下となり、ホウ素含有水に含まれるホウ素の90%以上が吸着されたことを示した。
続いて、ホウ素を吸着させたイオン交換樹脂の溶離によって別途調製したホウ素含有溶離液(HCl濃度0.3N、ホウ素濃度1.8g/L)を通液量BV5でカラムに流し、樹脂に吸着したホウ素を溶離した。樹脂からのホウ素溶離率は100%となった。また、この際の溶離液中のホウ素の最高濃度は2.4g/Lとなったが、ホウ酸結晶の析出は認められなった。
さらに、上記溶離液に、ケイ酸ナトリウム24.9g/L(Si/B重量比で3.0にあたる。)を加えた後、消石灰を用いて、pH9.0で中和した。1時間反応させた後、固液分離を行い、濾液と澱物を得た。濾液中のホウ素濃度は、0.34g/Lとなり、溶離液中ののホウ素の82%を分離除去することができた。このホウ素が残留した液は、吸着工程へ繰返すか、又は溶離用溶液として再使用することができる。また、生成澱物のホウ素品位は5.0重量%であり、高度にホウ素を濃縮した澱物が得られた。澱物の重量は、溶離液1Lにつき38.2gであり、殿物の生成量は少量であった。
以上より、溶離用溶液として、HCl濃度0.3Nのホウ素含有溶離液を用いて、本発明の方法に従って行ったので、塩酸使用量を節減することができ、かつ溶離液中にホウ酸を高度に濃縮することによって排水液量を削減することができることが分る。また、中和剤使用量とホウ素含有澱物の生成量を削減することができることが分る。
(実施例2)(比較例1)
ホウ素含有水(ホウ素濃度0.32g/L)中に、10容量%のイオン交換樹脂を添加して、pH7の条件下でホウ素を吸着させた。その後、ホウ素を吸着させた樹脂に、その4倍量の塩酸溶液を溶離用溶液として添加して溶離を2回行った。2回目の溶離には、1回目の溶離液を繰返し使用した。なお、溶離用溶液の初期HCl濃度は、1N(実施例2)と5N(比較例1)であった。また、1回目の溶離液のHCl濃度は、0.90N(実施例2)と4.90N(比較例1)であった。その後、得られた溶離液それぞれのホウ素を分析して、1回目と1及び2回目合計のホウ素溶離率を求めた。結果を表2に示す。
ホウ素含有水(ホウ素濃度0.32g/L)中に、10容量%のイオン交換樹脂を添加して、pH7の条件下でホウ素を吸着させた。その後、ホウ素を吸着させた樹脂に、その4倍量の塩酸溶液を溶離用溶液として添加して溶離を2回行った。2回目の溶離には、1回目の溶離液を繰返し使用した。なお、溶離用溶液の初期HCl濃度は、1N(実施例2)と5N(比較例1)であった。また、1回目の溶離液のHCl濃度は、0.90N(実施例2)と4.90N(比較例1)であった。その後、得られた溶離液それぞれのホウ素を分析して、1回目と1及び2回目合計のホウ素溶離率を求めた。結果を表2に示す。
表2より、実施例2では2回目の溶離には、溶離用溶液としてHCl濃度0.90Nのホウ素含有溶離液を用いて本発明に従って溶離をおこなったので、ホウ素が効率良く溶離できた。これに対して、比較例1では、溶離用溶液のHCl濃度がこれらの条件に合わないため、ホウ素溶離率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ酸等を用いる工業分野をはじめ、発電所、ゴミ焼却場、鉱山等の分野で利用されるホウ素含有排水からホウ素を分離除去する方法として好適である。特に排水のホウ素を高度に濃縮して排水量とホウ素含有澱物を削減する方策として有用である。
Claims (3)
- ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させてホウ素を吸着した後、鉱酸を用いて該ホウ素を溶離する際に、得られたホウ素含有溶離液の一部を繰返し使用するとともに、溶離用溶液に含まれる鉱酸の濃度を0.05〜1Nに調整することを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
- 前記鉱酸の濃度が、0.05〜0.5Nであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の処理方法。
- さらに、得られたホウ素含有溶離液にケイ素化合物を添加した後、pH8〜13になるようにカルシウム化合物を添加してホウ素を中和除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のホウ素含有水の処理方法。
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US8808547B2 (en) | 2009-07-30 | 2014-08-19 | Infilco Degremont, Inc. | Apparatus and processes for removing boron from liquids |
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2004
- 2004-03-29 JP JP2004093918A patent/JP2005279346A/ja active Pending
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