JP2007136325A - ホウ素含有水の浄化処理方法 - Google Patents

ホウ素含有水の浄化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を工業的かつ効率的に分離するとともに、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用する経済的な方法を提供する。
【解決手段】ホウ素含有水を下記(イ)〜(ニ)の工程からなる一連の工程に付し、得られるホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することを特徴とする。
(イ)ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を含む水性スラリーを形成する。
(ロ)水性スラリーを静置し、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
(ハ)溶離生成液とホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末からなるスラリーを形成する。
(ニ)スラリーを静置し、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素含有水の浄化処理方法に関し、さらに詳しくは、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、吸着反応により形成された水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を工業的かつ効率的に分離するとともに、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することができる経済的な浄化処理方法に関する。
ホウ素含有水は、さまざまな工業排水として産出されている。例えば、ホウ酸やホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめとして、医薬用、化粧品原料、石鹸工業、電気めっき等のさまざまな工業用途で原材料として使用されている。そのため、これらの製造工程で発生する排水には、ホウ素化合物が含有されている場合が多い。また、発電所から発生する排水やゴミ焼却場における洗煙排水にもホウ素が含まれることが多い。ところで、近年、ホウ素の継続摂取による健康障害の可能性が指摘され、その分離及び除去が注目されている。
ホウ素含有排水の処理方法としては、ホウ素をアルミニウム又は鉄の水酸化物とともに沈殿する方法、ジルコニウム、マグネシウム等の水酸化物を用いて吸着する方法、含有水を蒸発濃縮して晶析する方法、アルコール基を有する溶媒により抽出分離する方法、逆浸透膜を用いて分離除去する方法等の種々の方法が実施され、又は提案されている。しかしながら、上記排水は一般にホウ素濃度が比較的低い状態で産出されるので、これらの方法には、それぞれ課題がある。
例えば、沈殿法では、低濃度で含まれるホウ素を沈殿させるために、多量のアルミニウム、鉄等の共沈剤を添加するので、操業資材が増加するとともにホウ素含有澱物である汚泥の発生量も増加するといった問題点があった。また、吸着法では、上記の水酸化物へのホウ素の吸着容量が低いため、多量の吸着剤の添加が不可欠であり、効率性と経済性において実用的でない。また、蒸発濃縮法では、ホウ素含有水を濃縮しホウ酸を晶析させるために熱源が必要であり、特にホウ素濃度の低い排水を対象とする場合には、莫大なエネルギーを要するので経済的でない。さらに、晶析後のホウ素含有水の中和処理等も必要である。
また、溶媒抽出法では、有機溶媒からホウ素を逆抽出して得られるホウ素含有液の処理のほかに、ホウ素を抽出するために使用した有機溶媒が微量溶解している処理後の排水の処理が不可欠となる。このため、活性炭等により有機溶媒を回収除去することなど、経済的な処理が困難である。また、逆浸透膜法では、この方法のみで低濃度までホウ素を除去することは困難であるので他の方法の併用が必要であり、また膜の閉塞による効率悪化の問題もある。
さらに、吸着法として、ホウ素の希土類元素水酸化物への高い吸着能を利用して、これを吸着剤として用いることが提案されている。例えば、希土類元素水酸化物を吸着剤として用いてホウ素含有水からホウ素を吸着することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの提案では、希土類元素水酸化物を用いて、ホウ素含有水からホウ素を吸着し、その後脱着再生し繰り返し使用すること、及び吸着操作において、希土類元素水酸化物の懸濁液、ケーキ、粉体或は造粒体をホウ素含有水中に懸濁させるか、粉体或は造粒体等を充填したカラムにホウ素含有水を通水するか、或は希土類元素水酸化物を含浸固定した不織布等を浸漬させる方法により、良好な吸着性が得られるとしている。
また、希土類元素水酸化物を高分子樹脂と混合し粒状に成形した吸着剤を用いて、ホウ素含有水からホウ素を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この提案では、希土類元素水酸化物を樹脂と混合し成形することで、カラムなどに充填して使用した場合、吸着操作における課題の多くが解決されるとしている。しかしながら、高分子樹脂を混合することにより希土類元素水酸化物の含有率が低下するため、吸着剤の単位重量あたりのホウ素吸着量は低下するため成形体の使用量が増加するので、成形体の生産において経済的かつ効率的な問題がある。したがって、吸着剤として希土類元素水酸化物を造粒又は成形したものをカラムなどに充填して使用することは、吸着操作として、必ずしも経済的かつ効率的であるとは云えない。
ところで、一般に、比較的大量の排液等の処理水から吸着剤により特定成分を分離する方法においては、特に、最も簡便な吸着操作として希土類元素水酸化物の粉体を用いて懸濁状態で行なう場合には、吸着処理後の処理水とホウ素を吸着した希土類元素水酸化物の固液分離が実操業上のネック技術となり、経済性と効率性の面から実用性を左右する。しかしながら、これらの提案では、処理水からホウ素を吸着した希土類元素水酸化物を分離回収する固液分離については、工業的に実施可能でかつ効率的な手段及びその条件については具体的に何ら言及されていない。
以上のように、吸着剤として希土類元素水酸化物を用いる従来技術においては、ホウ素を低濃度で含むホウ素含有水から希土類元素水酸化物によりホウ素を吸着することは可能であったが、処理水とホウ素を吸着した希土類元素水酸化物を工業的に実施可能でかつ経済的な方法により分離することが困難であった。そのため、吸着剤として、希土類元素水酸化物を効率的に繰り返し使用することができなかった。
この対策として、難濾過性の懸濁物の固液分離法として一般的に行なわれる、例えばフィルタープレスなどの加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過等の濾過法により、処理水とホウ素を吸着した希土類元素水酸化物を分離する際には、希土類元素水酸化物の粉末粒子が細かいため濾過に著しく長時間を要するので、工業的に実施することは効率的でない。
以上の状況から、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いたホウ素含有水の処理方法において、処理水からホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を工業的かつ効率的に分離することにより、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することが求められている。
特公昭63−24431号公報(第1頁) 特公平3−22238号公報(第1頁) 特開2004−330012号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、吸着反応により形成された水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を工業的かつ効率的に分離するとともに、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することができる経済的な浄化処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法について、鋭意研究を重ねた結果、ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後撹拌して水性スラリーを形成する工程、得られた水性スラリーを静置し水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する工程、得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に酸性水溶液を接触させてスラリーを形成する工程、及び得られたスラリーを静置しスラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する工程からなる一連の工程に付したところ、吸着反応により形成された水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を工業的かつ効率的に分離するとともに、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、
ホウ素含有水を下記(イ)〜(ニ)の工程からなる一連の工程に付し、得られるホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
(イ)ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後、撹拌して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を含む水性スラリーを形成する。
(ロ)得られた水性スラリーを静置し、水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
(ハ)得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に、酸性水溶液を接触させて、ホウ素を含む溶離生成液とホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末とからなるスラリーを形成する。
(ニ)得られたスラリーを静置し、スラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(イ)の工程で希土類元素水酸化物粉末の添加量は、ホウ素含有水1リットル当たり、1〜100gの割合であることを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、(ロ)の工程に先だって、水性スラリーに陰イオン性又は非イオン性凝集剤を添加することを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、(ロ)の工程で用いる沈降分離装置は、シックナー又は沈殿槽であることを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、(ハ)の工程で用いる酸性水溶液は、塩酸又は硫酸であることを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、(ニ)の工程に先だって、スラリーに陰イオン性凝集剤を添加することを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明において、前記希土類元素水酸化物粉末は、水酸化セリウム粉末であることを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法が提供される。
本発明のホウ素含有水の浄化処理方法は、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後撹拌して形成した水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を分離する際に、該水性スラリーから工業的かつ効率的に分離することができる。また、得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に酸性水溶液を接触させて形成したスラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を分離する際に、スラリーから工業的かつ効率的に分離することができる。これにより、ホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することができるので、その工業的価値は極めて大きい。さらに、必要に応じて、形成された水性スラリー又はスラリーに凝集剤を添加することによって、沈降速度を速めることができるので、より有利である。
以下、本発明のホウ素含有水の浄化処理方法を詳細に説明する。
本発明のホウ素含有水の浄化処理方法は、吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、ホウ素含有水を下記(イ)〜(ニ)の工程からなる一連の工程に付し、得られるホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することを特徴とする。
(イ)ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後、撹拌して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を含む水性スラリーを形成する。
(ロ)得られた水性スラリーを静置し、水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
(ハ)得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に、酸性水溶液を接触させて、ホウ素を含む溶離生成液とホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末とからなるスラリーを形成する。
(ニ)得られたスラリーを静置し、スラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
本発明において、ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後撹拌して形成した水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を分離する際に、並びに得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に酸性水溶液を接触させて形成したスラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を分離する際に、スラリーを静置し、スラリーから希土類元素水酸化物粉末を沈降分離することが重要である。これによって、希土類元素水酸化物粉末を形成された該水性スラリー又は該スラリーから工業的かつ効率的に分離することができる。
すなわち、従来の高分子樹脂と混合した希土類元素水酸化物成形体をカラムに充填して使用する方法、或は濾過法による分離法とは異なり、単に形成したスラリーを静置し、スラリーから吸着反応後又は脱着反応後の希土類元素水酸化物を沈降させて沈澱分離することにより、浄化された処理水又は溶離生成液から分離することができる。
本発明の方法に用いるホウ素含有水としては、特に限定されるものではなく、前述した種々の工業排水及びその他のホウ素化合物を含有する水が挙げられる。このようなホウ素含有水のホウ素は、通常、ホウ酸イオン(BO 3−)の形態で存在することが多い。
上記方法に用いる希土類元素水酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びYからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の水酸化物粉末が用いられるが、この中で、特にホウ素吸着能が高いCe元素の水酸化物粉末が好ましい。これらの希土類元素水酸化物粉末は、希土類元素を含む硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸溶液を中和処理することにより得られるが、市販の試薬を用いることができる。また、上記希土類元素水酸化物粉末の粒度としては、特に限定されるものではなく、前記中和処理により得られるもの、或は試薬をそのまま用いることができる。例えば、平均粒径がD80で10〜50μmのものが好ましい。ここで、平均粒径の測定は、レーザー式粒度計で行なった。
上記方法の(イ)の工程は、上記ホウ素含有水に、上記希土類元素水酸化物粉末を添加後、撹拌して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を含む水性スラリーを形成する工程である。
(イ)の工程において希土類元素水酸化物粉末の添加量としては、特に限定されるものではなく、土類元素水酸化物粉末の飽和吸着量とホウ素含有水中に含有されるホウ素量により適切な添加割合で行なうが、粉末状の希土類元素含水酸化物が用いられるので、希土類元素水酸化物の有する高いホウ素吸着能力を保持したまま使用することができる。そのため、希土類元素水酸化物の使用量が少なくすることができる。例えば、(イ)の工程において希土類元素水酸化物粉末の添加量としては、ホウ素として0.01〜1g/Lの濃度でホウ酸を含むホウ素含有水では、通常はホウ素含有水1リットル当たり、1〜100gが好ましい。
ここで、撹拌の手段と条件としては、特に限定されるものではなく、水性スラリーが懸濁状態であればよい。また、水性スラリーの温度としては、特に限定されるものではなく、室温で行なうことができる。また、撹拌時間としては、特に限定されるものではなく、長いほどホウ素の吸着量は増加する傾向にはあるが、比較的短時間に最大吸着量に達するので、1〜3時間程度でよい。
上記方法の(ロ)の工程は、得られた水性スラリーを静置し、水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する工程である。
(ロ)の工程に先だって、必要に応じて、凝集剤を添加することができる。ここで、凝集剤を添加後、凝集剤が均一に分散されるまで撹拌を継続することが好ましい。
上記凝集剤の種類及び添加量としては、特に限定されるものではないが、所定量の陰イオン(アニオン)性又は非イオン(ノニオン)性凝集剤を用いることが好ましい。すなわち、ホウ素含有水が中性又はアルカリ性であるときには、アニオン性又はノニオン性の凝集剤が適している。例えば、pH8のホウ素含有水からホウ素を除去する場合には、希土類元素水酸化物1kg当たり、アニオン系又はノニオン系の凝集剤を、好ましくは10〜1000mg、より好ましくは30〜300mgの割合で添加することによって、極めて効率的に希土類元素水酸化物を沈降させることができる。
(ロ)の工程において、水性スラリーの静置時間としては、特に限定されるものではなく、スラリーから希土類元素水酸化物が沈降して、上澄み液が略透明になるまで行なえばよい。例えば、適正な凝集剤の使用においては、1分以内に沈降分離が終了する。
ここで、沈降分離に用いる装置としては、特に限定されるものではなく、一般的に使用される形状及び方式のものが用いられるが、例えば、工業的に実績のあるシックナー、又は沈殿槽を使用すれば小型化することができるので好ましい。ここで、静置による沈降分離が終了した後、通常は上澄み液の排出の後に沈殿の回収が行なわれる。また、シックナー等に付属した撹拌機の動力は、一般に濾過装置のポンプ等に比べれば小さく、消費エネルギーも小さく済むので好都合である。これに対して、従来の濾過法では、濾過性が悪いので大きな設備が必要であり実用上の障害となっていた。
上記方法の(ハ)の工程は、得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に、酸性水溶液を接触させて、ホウ素を含む溶離生成液とホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末からなるスラリーを形成する工程である。
上記酸性水溶液としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸等の鉱酸が用いられる。ここで、鉱酸の種類と濃度としては、特に限定されるものでなく、プロセス経済性、及びホウ素を含む溶離生成液の取り扱い方法により決定することができる。例えば、上記鉱酸の濃度としては、0.05〜1Nが好ましい。
上記方法の(ニ)の工程は、得られたスラリーを静置し、スラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する工程である。
(ニ)の工程に先だって、必要に応じて、凝集剤を添加することができる。ここで、凝集剤を添加後、凝集剤が均一に分散されるまで撹拌を継続することが好ましい。上記凝集剤の種類及び添加量としては、特に限定されるものではないが、スラリーは酸性であるので、所定量の陰イオン性凝集剤を用いることが好ましい。
(ニ)の工程において、スラリーの静置時間としては、特に限定されるものではなく、スラリーから希土類元素水酸化物が沈降して、上澄み液が略透明になるまで行なえばよい。ここで、沈降分離に用いる装置としては、特に限定されるものではなく、一般的に使用される形状及び方式のものが用いられるが、例えば、工業的に実績のあるシックナー、又は沈殿槽を使用すれば小型化することができるので好ましい。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いたホウ素の分析方法は、ICP発光分析法で行った。また、希土類元素水酸化物の平均粒径の測定は、レーザー式粒度計で行なった
(実施例1)
希土類元素水酸化物として水酸化セリウム粉末を用いて、ホウ酸溶液中のホウ素の吸着と脱着を行ないホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を回収した。
まず、反応容器を用いて、ホウ酸溶液(B濃度:1g/L)1リットルに、水酸化セリウム粉末(平均粒径:D80で10〜50μm)50gを添加し、室温下撹拌して1時間の吸着操作を行った。
次に、そのスラリーに、アニオン系凝集剤を水酸化セリウム粉末1トン当たり90gの割合で添加し、均一になったのを確認後、撹拌を止め沈降させた。このとき、水酸化セリウム粉末は速やかに沈降し、1分以内で透明な上澄み液が形成された。なお、上澄み液中の懸濁している水酸化セリウム粉末濃度は20mg/L以下であった。これより、従来の濾過法に比べて、極めて短時間で固液分離を行なうことができることが分かる。その後、上澄み液を反応容器から取り出し、浄化された処理水のホウ素濃度を求めた。その結果、浄化水のホウ素濃度は68mg/Lであり、これより水酸化セリウム粉末1kg当たり19gのホウ素が吸着されていることが分かった。
次いで、沈降したホウ素を吸着した水酸化セリウム粉末に硫酸(濃度:0.5N)100mLを添加し、室温下撹拌して1時間の脱着操作を行った。次に、そのスラリーに、陰イオン系凝集剤を水酸化セリウム粉末1トン当たり90gの割合で添加し、均一になったのを確認後、撹拌を止め沈降させた。このとき、水酸化セリウム粉末は速やかに沈降し、1分以内で透明な上澄み液が形成された。これより、従来の濾過法に比べて、極めて短時間で固液分離を行なうことができることが分かる。その後、上澄み液を反応容器から取り出し、溶離生成液を分離し、ホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を回収した。このとき、ホウ素の溶離率は99%以上であった。なお、回収されたホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末は、ホウ素が十分に脱着されているので吸着剤として再度使用することができるものであった。
(実施例2)
希土類元素水酸化物として水酸化セリウム粉末を用いて、ホウ酸溶液中のホウ素の吸着と脱着を行ないホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を回収した。
まず、反応容器を用いて、ホウ酸溶液(B濃度:0.14g/L)1リットルに、水酸化セリウム粉末(平均粒径:D80で10〜50μm)17gを添加し、室温下撹拌して1時間の吸着操作を行った。
次に、そのスラリーに、ノニオン系凝集剤を水酸化セリウム粉末1トン当たり90gの割合で添加し、均一になったのを確認後、撹拌を止め沈降させた。このとき、水酸化セリウム粉末は速やかに沈降し、1分以内で透明な上澄み液が形成された。なお、上澄み液中の懸濁している水酸化セリウム粉末濃度は20mg/L以下であった。これより、従来の濾過法に比べて、極めて短時間で固液分離を行なうことができることが分かる。その後、上澄み液を反応容器から取り出し、浄化された処理水のホウ素濃度を求めた。その結果、浄化水のホウ素濃度は2mg/Lであり、これより水酸化セリウム粉末1kg当たり8.2gのホウ素が吸着されていることが分かった。
次いで、沈降したホウ素を吸着した水酸化セリウム粉末に硫酸(濃度:0.5N)100mLを添加し、室温下撹拌して1時間の脱着操作を行った。次に、そのスラリーに、陰イオン系凝集剤を水酸化セリウム粉末1トン当たり90gの割合で添加し、均一になったのを確認後、撹拌を止め沈降させた。このとき、水酸化セリウム粉末は速やかに沈降し、1分以内で透明な上澄み液が形成された。これより、従来の濾過法に比べて、極めて短時間で固液分離を行なうことができることが分かる。その後、上澄み液を反応容器から取り出し、溶離生成液を分離し、ホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を回収した。このとき、ホウ素の溶離率は99%以上であった。なお、回収されたホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末は、ホウ素が十分に脱着されているので吸着剤として再度使用することができるものであった。
以上より、実施例1又は2では、ホウ素含有水を、ホウ素含有水に水酸化セリウム粉末を添加後撹拌してスラリーを形成する工程、得られたスラリーを静置しスラリーからホウ素を吸着した水酸化セリウム粉末を沈降分離する工程、得られたホウ素を吸着した水酸化セリウム粉末に酸性水溶液を接触させてスラリーを形成する工程、及び得られたスラリーを静置しスラリーからホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を沈降分離する工程からなる一連の工程に付し、本発明の方法に従って行われたので、浄化された処理水とホウ素を吸着した水酸化セリウム粉末を工業的かつ効率的に分離することができるとともに、ホウ素が脱着された水酸化セリウム粉末を吸着剤として繰り返し使用することができることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のホウ素含有水の浄化処理方法は、ホウ酸等を用いる工業分野をはじめ、発電所、ゴミ焼却場、鉱山等の分野で利用されるホウ素含有排水からホウ素を分離除去する方法として好適である。

Claims (7)

  1. 吸着剤として希土類元素水酸化物粉末を用いて、ホウ素の吸着反応と脱着反応を利用してホウ素を除去するホウ素含有水の浄化処理方法において、
    ホウ素含有水を下記(イ)〜(ニ)の工程からなる一連の工程に付し、得られるホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を吸着剤として繰り返し使用することを特徴とするホウ素含有水の浄化処理方法。
    (イ)ホウ素含有水に希土類元素水酸化物粉末を添加後、撹拌して、ホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を含む水性スラリーを形成する。
    (ロ)得られた水性スラリーを静置し、水性スラリーからホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
    (ハ)得られたホウ素を吸着した希土類元素水酸化物粉末に、酸性水溶液を接触させて、ホウ素を含む溶離生成液とホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末とからなるスラリーを形成する。
    (ニ)得られたスラリーを静置し、スラリーからホウ素が脱着された希土類元素水酸化物粉末を沈降分離する。
  2. (イ)の工程で希土類元素水酸化物粉末の添加量は、ホウ素含有水1リットル当たり、1〜100gの割合であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
  3. (ロ)の工程に先だって、水性スラリーに陰イオン性又は非イオン性凝集剤を添加することを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
  4. (ロ)の工程で用いる沈降分離装置は、シックナー又は沈殿槽であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
  5. (ハ)の工程で用いる酸性水溶液は、塩酸又は硫酸であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
  6. (ニ)の工程に先だって、スラリーに陰イオン性凝集剤を添加することを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
  7. 前記希土類元素水酸化物粉末は、水酸化セリウム粉末であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のホウ素含有水の浄化処理方法。
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