JP3373033B2 - 水中のリン除去方法 - Google Patents

水中のリン除去方法

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JP3373033B2
JP3373033B2 JP04798294A JP4798294A JP3373033B2 JP 3373033 B2 JP3373033 B2 JP 3373033B2 JP 04798294 A JP04798294 A JP 04798294A JP 4798294 A JP4798294 A JP 4798294A JP 3373033 B2 JP3373033 B2 JP 3373033B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浄水用水、汚水、処理
水、陸水や海水等の天然水、及びその他各種の水中に含
まれるリンを新規な技術思想によって効果的に除去する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のリン除去方法(脱リン方法)のう
ち代表的な方法は、凝集沈殿法である。従来の凝集沈殿
法は、リン含有水に対して硫酸アルミニウム、ポリ塩化
アルミニウム、塩化第2鉄、ポリ硫酸鉄等の無機凝集剤
を添加し、攪拌することによって、リン酸アルミニウム
もしくはリン酸第2鉄のフロック状沈殿を生成させてリ
ンを除去する方法である。凝集沈殿法は、操作が簡便で
あり、維持管理性、ランニングコストの面でも優れてお
り、実用性が高いが、従来の凝集沈殿法は以下に記載す
るような致命的欠点を有する。すなわち、多量に生成す
るリン酸アルミニウムもしくはリン酸第2鉄のフロック
状沈殿(汚泥と呼ばれる)は、その沈降濃縮性及び濃縮
脱水性が極めて悪いということである。このため、汚泥
は、処理・処分する面で著しい不利益をもたらす。この
ため、近年では、粒状の吸着材をカラムに充填する吸着
脱リン法や晶析脱リン法が検討されているが、いずれも
以下に記載するような欠点を有するため、凝集沈殿法に
比べて、実用性がかなり劣る技術として評価される。す
なわち、 1.吸着剤(活性アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム等の粒状物)自体の価格が高価である。 2.晶析脱リン法は、脱炭酸工程が必要等、プロセスが
煩雑であり、リン晶析材の活性劣化も招き易い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
諸欠点を完全に解決することを課題としており、具体的
には以下に記載する課題をすべて克服できる新技術を提
供することにある。すなわち、 難濃縮性、難脱水性の汚泥が一切発生しないこと。 汚泥処理が不要であること。 プロセスがシンプルであること。 ランニングコストが安価であること。 リン除去速度が大きいこと。 リン除去効果が優れていること。 リン回収効率が優れていること。 である。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記解決すべき課題につ
いて鋭意研究した結果、次の知見を得て本発明に達し
た。すなわち、本発明者の研究によれば、水酸化第2鉄
や水酸化アルミニウム(ここで、水酸化第2鉄や水酸化
アルミニウムは、水和酸化第2鉄や水和酸化アルミニウ
ムを含む総称として用いる。)のそれぞれ単独又はそれ
らの混合物からなる粒子により、沈降濃縮性が良く、濃
縮脱水性も良いスラリーを後述の方法で製造しておき、
このスラリーを流動させながら、原水であるリン含有水
と接触させると、原水からリンを速やかに、かつ高い除
去率で除去でき、しかもスラリーの沈降性およびろ過性
が良いため固液分離性に優れ、容易に水酸化第2鉄、水
酸化アルミニウムのスラリーを系外に分離できることが
判明した。
【0005】上記研究の結果に従って本発明の前記課題
は、本発明の水中のリン除去方法及び回収方法によって
達成される。すなわち、(1)水酸化第2鉄及び/又は
水酸化アルミニウムからなる粒子により、沈降濃縮性が
制御可能なスラリーを作成し、該スラリーを流動状態に
おいてリンを含有する原水と接触させた後、リンを吸着
した前記スラリーを固液分離し、分離水を処理水とする
水中のリン除去方法、(2)水酸化第2鉄及び/又は水
酸化アルミニウムからなる粒子により、沈降濃縮性が制
御可能なスラリーを作成し、該スラリーからなるブラン
ケット層を形成させ、該ブランケット層にリンを含有す
る原水を上向流で通水して前記スラリーと該原水を接触
させて、通過水を処理水とする水中のリン除去方法、又
は、(3)リンを吸着した後固液分離した前記スラリー
を系外に取出し、アルカリ液と混合し、液側にリンを溶
出させた後、固液分離し、分離された粒子により再度ス
ラリーを形成する前記(1)又は前記(2)記載の水中
のリン除去方法によって達成される。さらにまた本発明
のリン除去方法では、リン回収、すなわち、(4)前記
(3)に記載された工程において、固液分離で得られた
分離液よりリン化合物としてリンを回収することによっ
て、廃棄物から、効率良くリン回収ができ、新しいリン
資源が提供できる。
【0006】前記の沈降濃縮性が制御可能なスラリー
は、例えば下記のようにして調製・作成することができ
る。すなわち、鉄塩及び/又はアルミニウム塩の酸性溶
液にアルカリ剤を添加して、該鉄塩、アルミニウム塩の
溶液のpHを高めて、生成する水酸化第2鉄、水酸化ア
ルミニウムからなる粒子により、沈降濃縮性が制御可能
なスラリーを調製することが好ましい。あるいは、鉄
塩、アルミニウム塩の酸性溶液にMg系又はCa系のア
ルカリ剤を添加して、該鉄塩、アルミニウム塩の溶液の
pHを高めて、生成する水酸化第2鉄、水酸化アルミニ
ウムからなる粒子により、沈降濃縮性が制御可能なスラ
リーを調製することが好ましい。勿論、調製方法はこの
他の方法によっても、沈降濃縮性が予め製造するスラリ
ー及び実際に処理する系におけるスラリーの初期値のみ
ならず再生されたスラリーをも含めた範囲において制御
可能なスラリーが製造できれば良く、上記に限定するも
のではない。なお、「沈降濃縮性が制御可能」とは、適
正な沈降濃縮性の指標(例えばSVI値)が再現できる
ことを示す。
【0007】
【作用】従来の凝集沈殿法においては、リン含有水、例
えば下水処理水に対して塩化第2鉄、ポリ硫酸鉄、硫酸
アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤を
直接添加し、攪拌することにより、急速にリン酸第2鉄
もしくはリン酸アルミニウムのフロック状沈殿を生成さ
せる。この場合、下記のような沈殿反応、すなわち、 M3++PO4 3- → MPO4 ↓ −−−−(1) M3++3OH- → M(OH)3 ↓ −−(2) (ここで、M3+はFe3+又はAl3+を表す。)の沈殿生
成反応が生じ、リンが除去されると同時に、極めて難濃
縮で、また難脱水性のMPO4 やM(OH)3 の沈殿が
生成してしまう。従来法のように、リン除去対象水に無
機凝集剤を直接添加するのでは、多量のリン含有水(p
H中性)に、少量の無機凝集剤を添加するので、pH中
性領域でMPO4 やM(OH)3 の沈殿の生成が急速に
進行してしまうため濃縮脱水性の良いMPO4 やM(O
H)3 の沈殿を生成させることは不可能である。
【0008】これに対し本発明では、鉄塩またはアルミ
ニウム塩の酸性水溶液に前もって、アルカリ剤を添加す
るので、スラリーを調製する槽内では、 M3++3OH- → M(OH)3 ↓ −−(2) の反応が低いpHの環境から中性pHに変化していく環
境下で進行するために、沈降濃縮脱水性の良いM(O
H)3 の沈殿を再現性良く生成させることが可能にな
る。またアルカリ剤として、NaOH以外のMg(O
H)2 、MgO、Ca(OH)2 、CaO、CaCO3
等のアルカリを用いるとさらに沈降濃縮脱水性の良いM
(OH)3 の沈殿を生成させることができる。本発明に
おいて沈降濃縮性が制御可能なスラリーの生成とは、例
えば上記のように鉄塩、アルミニウム塩の酸性水溶液に
前もって、アルカリ剤を添加する方法によって得た沈殿
を水中に分散・懸濁せしめて、沈降濃縮性の良い、かつ
濃縮脱水性の良いスラリーを安定かつ再現性良く調製す
ることを意味する。
【0009】ここで、スラリーの沈降濃縮性の評価の尺
度は、Sludge Volume Index (以下SVI値と略称す
る)によって指標される。SVI値とはメスシリンダー
中にスラリーを満たし、30分間静置後に1gの固形物
が占める汚泥の容積をミリリットル単位で示したもので
ある。
【0010】本発明において、沈降濃縮脱水性の良い水
酸化第2鉄、水酸化アルミニウムの沈殿を製造する手段
としては、ポリ硫酸鉄(略称ポリ鉄)及び/又は硫酸ア
ルミニウムの水溶液をMg(OH)2 又はCa(OH)
2 によって中和する製造方法が操作上最も簡単であり、
本発明にとって最も好適である。なお、その他の製造方
法としては、第1鉄塩の水溶液を空気、酸素、オゾン又
は過酸化水素のいずれかの酸化剤で酸化してFe(O
H)3 粒子を得る方法によっても沈降濃縮脱水性の良い
沈殿粒子を得ることができる。
【0011】本発明において、前記水酸化第2鉄及び/
又は水酸化アルミニウムの沈殿を予め製造する手段によ
って、沈降濃縮脱水性の良い沈殿を得て、該沈殿を水中
に分散・懸濁して沈降濃縮性が制御可能なスラリーとす
ることができるが、かかるスラリーは、以下のような多
様な水処理方法、すなわち、被処理水(リンを含有す
る原水)とスラリーを混合し、攪拌機で攪拌し、相互に
接触させる水処理方法、被処理水とスラリーは相互に
向流あるいは平行流の流動状態にあるが、系から流出す
る状態では処理水中にはスラリーが含まれない一種の流
動層を形成して相互に接触させる水処理方法、あるいは
スラリーを含む層がブランケット層を形成され、該ブ
ランケット層を被処理水が通過する態様として相互に接
触する水処理方法等の種々の水処理方法によって、リン
を吸着した状態のスラリーとなってもを形成しても、な
お沈降濃縮性の良い、かつ濃縮脱水性の良いスラリーを
形成している。かように沈降濃縮性の良い、かつ濃縮脱
水性の良いスラリーはSVI値で評価するとSVI値が
概ね50以下であるように物性が制御されたスラリーで
ある。
【0012】従来の鉄系もしくはアルミニウム系凝集剤
を用いる凝集沈殿法において生成した水酸化第2鉄スラ
リーもしくは水酸化アルミニウムスラリーは膨化状態
(以下バルキーともいう)で、通常SVI値として10
0〜200程度の値をもつ難濃縮脱水性で固液分離性の
劣るスラリーである。このような状態のスラリーは、そ
の沈降濃縮性が良好な状態に制御できず、接触床、ブラ
ンケット層といった簡単なプロセスでの運用ができなか
った。
【0013】本発明の新規な技術は、前記従来のバルキ
ーであってSVI値の大きな値をもつ水酸化第2鉄スラ
リーもしくは水酸化アルミニウムスラリーを用いるので
はなく、予め沈降濃縮性の良い、かつ濃縮脱水性の良い
水酸化第2鉄及び/又は水酸化アルミニウムを含むスラ
リーを作成しておき、これを流動させながらリンを含む
原水と接触させ、リンを吸着除去した後、水酸化第2鉄
及び/又は水酸化アルミニウムの粒子をリンが除去され
た処理水と容易にかつ速やかに分離する技術である。本
発明者の測定したところでは、本発明の沈降濃縮性が制
御可能なスラリーは、そのSVI値が最大でも50であ
り、その殆どは20以下であった。なお、本発明の沈降
濃縮性が制御可能な水酸化第2鉄スラリー、水酸化アル
ミニウムスラリーによるリンの吸着速度は、活性アルミ
ナ等の粒状リン吸着剤(粒径3〜5mm程度)をカラム
に充填してリン含有水を通水し、粒状リン吸着剤により
リンを吸着する速度に比べて著しく大きい。
【0014】このような本発明の水酸化第2鉄粒子、水
酸化アルミニウム粒子をからなる沈降濃縮性が制御可能
なスラリーによって、次のような利点が生じる。すなわ
ち、 1)本発明の水酸化第2鉄粒子等を用いた沈降濃縮性が
制御可能なスラリーは、沈降性、ろ過性が良く、固液分
離性が優れている。従ってリン吸着量が飽和に達した水
酸化第2鉄等のスラリーの濃縮性が良いので回収性が良
い。 2)本発明のスラリーは、スラリーブランケット状にし
て原水と接触させる場合に、SVI値が大きなスラリー
に比べ、同一の原水上昇流速においてスラリー濃度を高
く維持できるため、リンの吸着除去速度が大きくなり、
またリンの吸着容量も大きく保てる。 3)高濃度に濃縮されたスラリーに対して、少量のNa
OHを添加することにより、吸着されていたリンが容易
に放出されるので、スラリーの再生が容易で再生コスト
も安価である。さらにかく再生されたスラリーのSVI
値は出発スラリーのSVI値と同じかそれに近い値であ
る。
【0015】以下に述べる本発明の具体的態様から一層
明らかになるように、前記特徴によって本発明の沈降濃
縮性が良く、かつ濃縮脱水性が良い、SVI値で評価す
るとSVI値が50以下であるスラリーを媒介すること
により、リン含有の原水からリンを永続的に除去・回収
することが可能となる。従って本発明のリン除去方法の
工程からは、凝集沈殿法における汚泥状の廃棄物が一切
発生せず、従ってまたリン吸着剤の交換・補給も不要で
ある。さらにまた、本発明のリン除去方法の工程によっ
て得られた固液分離濃縮水に含まれるリンの濃度は極め
て高濃度であり、かつ純度が良いので、化学的又は物理
化学的方法によりリン化合物として極めて容易にリンを
回収することができる。ここで化学的方法を例示すれば
例えばCa(OH)2 、CaOを添加して、リン酸カル
シウム沈殿として回収する方法、Mg2+、NH4 + を添
加してリン酸マグネシウムアンモンNH4 MgPO4
して回収する方法等である。また、物理化学的方法とし
ては、濃縮した後リン酸ナトリウムとして晶析させる方
法等である。以上が本発明の作用である。
【0016】次に、本発明の具体的な実施態様について
説明する。図1に示す反応槽は、本発明の反応槽の1例
である。図1の反応槽1内では、本発明の沈降濃縮脱水
性が良い水酸化第2鉄及び/又は水酸化アルミニウムス
ラリーの粒子7が懸濁状態にある。2は固液分離部であ
り、沈降、ろ過、膜分離、遠心分離のいずれかの手段の
装置が採用され、設置されている。図1において、下
水、下水の生物処理水等リン含有の原水3は原水供給管
17を経て反応槽1内に供給される。反応槽1には攪拌
機6が配備され、攪拌状態で原水3はスラリー71と接
触する。反応槽1に仕込まれたスラリー71のSVI値
は50以下である。
【0017】前記反応槽1内で原水3は、攪拌状態で1
0〜15分間スラリー71と接触する。この短い間に原
水3中のリンはスラリー71中の固形物粒子に吸着除去
される。次に反応槽1からスラリー流出管18を経て流
出したスラリー72(リン吸着スラリー)は必要に応
じ、高分子凝集剤が添加された後は、固液分離部2に流
入し、リンが高度に除去された処理水4と分離スラリー
73に分離される。分離スラリー73の一部スラリー
(分離スラリー73の一部)はスラリー循環管5を経て
反応槽1内に循環される。分離スラリー73の他の一部
スラリー(分離スラリー73の他の一部)はスラリー移
送管21を経て攪拌槽9に流入する。攪拌槽9流入前に
スラリー移送管20の途中で分離スラリー73にアルカ
リ剤8(NaOH)を添加する。アルカリ剤8が添加さ
れたアルカリ性スラリー75は、攪拌槽9内に攪拌状態
で10分間滞留すると、アルカリ性スラリー75に吸着
されていたリンが液側(分離水側)に溶出する。次にリ
ンが溶出したスラリーは攪拌槽流出管21を経て固液分
離部10に移送され、分離された循環スラリー74は循
環管15を経て反応槽1にリサイクルすると再びリン吸
着力の高いスラリーとして機能を発揮する。ここで、必
要に応じて酸16を添加し、スラリーを中和してスラリ
ー71を再生してから反応槽1にリサイクルすることが
好ましい。
【0018】固液分離部10で分離され、処理水流出管
19から排出された液11(分離水)は高濃度のリン酸
ナトリウムを含むアルカリ性水溶液であり、これを濃縮
し、さらに晶析させることによって、リン酸ナトリウム
の結晶を回収できる。以上のプロセスによって、永続的
に原水3からリンを除去し続けることが可能となり、本
発明の工程からは、凝集沈殿法においては不可避的に発
生した汚泥が一切発生しない。なお、固液分離部として
は、沈降分離、膜分離、粒状ろ材ろ過、ろ布ろ過、遠心
分離、スクリーン分離、浮上分離等の各手段を備えた分
離部を適宜採用できる。
【0019】次に図2に示すフロー図は、スラリーブラ
ンケットを用いた本発明の別の1例のフロー図である。
図2の処理槽23内では、本発明の骨子になる沈降濃縮
性の制御可能な水酸化第2鉄及び/又は水酸化アルミニ
ウムスラリー71はスラリーブランケット層12を形成
している。処理槽23内のスラリー71のSVI値は5
0以下である。図2において、下水、下水の生物処理水
等リン含有の原水3は原水供給管17を経て処理槽23
内に供給される。原水3の上向流速とスラリーの沈降速
度がバランスしてブランケット層12が形成されてい
る。13はブランケット界面であり、14は清澄処理水
部である。原水3またはブランケット層12に高分子凝
集剤を添加すると、一層高濃度のブランケット層を形成
できる。図2に示すようなスラリーブランケット方式の
処理では、ブランケット層12はリン含有水(原水3)
との接触によるリンの除去とスラリーの固液分離の機能
を併せもっている。
【0020】このような態様で操作すると、原水3に含
まれるリンがスラリーブランケット層12において、ス
ラリー71に吸着除去され、リンが除去された処理水4
を得ることができる。処理槽23の上部には処理水流出
管19を備えた処理水流出部24が設けられており、処
理水4は処理槽23上部から処理水流出部24に入り、
処理水流出管19を経て系外に流出する。ブランケット
層12を構成するスラリー71のリンの吸着量は当然限
界量があるので、ブランケット界面13より下で、処理
槽23の中間部に設けたスラリー流出管26を経てスラ
リー72(リン吸着スラリー)として攪拌槽9に流入す
る。攪拌槽9内のスラリー72に攪拌状態でアルカリ剤
8(NaOH)を添加する。
【0021】アルカリ剤8が添加されたアルカリ性スラ
リー75は、攪拌槽9にて所要時間攪拌されると、アル
カリ性スラリー75に吸着されていたリンが液側に放出
されるので、これを固液分離し、高濃度のリンを含む液
11とリンが放出された循環スラリー74とする。循環
スラリー74は循環管15を経て処理槽23に還流され
る。(ここで、図2に示されるように循環管15の途中
で酸16を添加し中和するのが良い。中和されるとスラ
リー71となる。)リサイクルされたスラリー71は再
びリン吸着力の高いスラリーとして機能を発揮する。高
アルカリ性(pH10〜11程度)の前記アルカリ性ス
ラリー75はそのままブランケット層に返送せずに、H
2 SO4 、HCl等の酸16を添加し、中和してから戻
すのが良い。また、リンを放出させるのに添加するアル
カリ剤としては、NaOH、KOHが好ましく、Ca
(OH)2 、CaOを用いるとリンがヒドロキシアパタ
イト、リン酸カルシウムとして固相となり析出してしま
い、リンを高濃度に含有する液11を取り出せないので
好ましくない。なお、スラリーブランケットを用いた本
発明において、リン含有水(原水3)とスラリー71と
の接触時間は、3乃至60分間程度とすることが好まし
い。
【0022】以上のプロセスによって、リン含有の原水
からリンを永続的に除去・回収することが可能となり、
本発明の工程からは、凝集沈殿法における汚泥状の廃棄
物が一切発生しない。またリン吸着剤の交換・補給も不
要になる。なお、高濃度のリンを含む液11からリンを
資源として回収するには、Ca(OH)2 、CaOを添
加して、リン酸カルシウム沈殿として回収する方法、M
2+、NH4 + を添加してリン酸マグネシウムアンモン
NH4 MgPO4 として回収する方法、リン酸ナトリウ
ムとして晶析させる方法のいずれかが好適である。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の水中のリン除去方法を用い
て、原水中のリンを除去する具体的な実施例を示す。た
だし、本発明の実施例は以下の説明によって限定される
ものではない。
【0024】(実施例1)ポリ硫酸第2鉄(Fe3+とし
て10%含有)を10倍に希釈して、Mg(OH)2
添加し、pH5〜6に中和した結果、SVI値が14
(mg/リットル)のFe(OH)3 スラリーを得た。
このスラリーを、原水滞留時間10分間の攪拌槽内にお
いて、スラリー固形物濃度として30〜35g/リット
ルの条件で懸濁流動させ、下水の活性汚泥処理水(リン
として1.5〜2.3mg/リットルを含む)を流入さ
せた。攪拌槽から流出するスラリーを沈殿槽で沈殿分離
させ、上澄水のリン濃度を測定したところ、0.013
〜0.021mg/リットルと極めて低濃度であった。
スラリーへのリン吸着量が15mg/gに達した時点
で、スラリーを系外に取り出し、NaOHを添加し、p
H11に調整して1時間攪拌後、沈殿分離させ、沈殿ス
ラリーに硫酸又はポリ硫酸第2鉄を添加、pH6に低下
させ、再び攪拌槽にリサイクルして、原水を接触させた
ところ、処理水のリン濃度は0.011〜0.022m
g/リットルであり、リンは高度に除去されていた。
【0025】(実施例2)市販の液体硫酸ばん土を水道
水で10倍に希釈したものにMg(OH)2 もしくはC
a(OH)2 を添加して、pHを5〜6に中和し、Al
(OH)3 を形成したところ、各々のSVI値は16及
び25であった。これらスラリーを実施例1の場合と同
様に、原水滞留時間3分間の攪拌槽内にスラリー固形物
濃度として30g/リットルになるように添加して、懸
濁流動させ、原水として下水の活性汚泥処理水(リンと
して1.5〜2.3mg/リットルを含む)を流入させ
原水のリン除去試験を行った。その結果それぞれ、0.
01〜0.012mg/リットル及び0.013〜0.
025mg/リットルと高度にリンが除去されていた。
【0026】(実施例3)市販の塩化第2鉄(FeCl
3 として38%含有)を水道水で20倍に希釈したもの
にNaOHを30分間かけて徐々に添加し、pH4〜5
に中和して得たFe(OH)3 スラリーのSVI値は4
8であった。このスラリーを15g/リットルの濃度で
攪拌槽に懸濁させ、実施例1の原水と90分間接触させ
た結果、処理水のリン濃度は0.008〜0.013m
g/リットルであった。
【0027】(実施例4)実施例1〜3で作成した水酸
化鉄スラリー及び水酸化アルミニウムスラリーとリン含
有水の接触時間を種々変化させてリン除去率への影響を
調べた。この結果を図3のグラフに示す。図3のグラフ
より、リン除去率80%以上を得るためには、接触時間
3分間以上が必要であり、又60分間以上接触させても
それ以上除去率は向上しないことが認められる。
【0028】
【発明の効果】本発明のリン除去方法及び回収方法によ
れば、以下に示す顕著な効果が得られる。 1)凝集沈殿法における最大の問題点である汚泥の発生
は、本発明の方法では発生しない。従って、汚泥の処理
・処分が不要である。 2)粒状の活性アルミナ等のリン吸着剤をカラムに充填
して、リン含有水を通水してリンを除去する方法に比較
して、造粒工程が不要なので、ランニングコストが安価
であり、また吸着速度が著しく大きいので、装置がコン
パクトになり設置費も安価である。 3)晶析脱リン法では、脱炭酸工程、Ca 、OH の
連続的添加工程が不可欠で、プロセスが煩雑であり、ラ
ンニングコストも高くなるが、本発明は薬品を添加する
必要もなく、脱炭酸の必要もない。 4)貴重で稀少な資源であるリンを汚水から回収して、
肥料、化学剤や工業原料等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリン除去反応槽の1例を説明するフロ
ー図である。
【図2】本発明のスラリーブランケットを用いた本発明
のリン除去の別の1例を説明するフロー図である。
【図3】本発明のスラリーとリン含有水の接触時間とリ
ン除去率との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 反応槽 2 固液分離部 3 原水 4 処理水 5 スラリー循環管 6 攪拌機 7 (スラリーの)粒子 71 スラリー(反応槽や処理槽内及び回収) 72 スラリー(リン吸着) 73 分離スラリー 74 循環スラリー 75 アルカリ性スラリー 8 アルカリ剤 9 攪拌槽 10 固液分離部 11 液 12 ブランケット層 13 ブランケット界面 14 清澄処理水部 15 循環管 16 酸 17 原水供給管 18 スラリー流出管 19 処理水流出管 20 スラリー移送管 21 攪拌槽流出管 23 処理槽 24 処理水流出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−13170(JP,A) 特開 昭54−130252(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/28 C02F 1/58

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化第2鉄及び/又は水酸化アルミニ
    ウムからなる粒子により、沈降濃縮性が制御可能なスラ
    リーを作成し、該スラリーを流動状態においてリンを含
    有する原水と接触させた後、リンを吸着した前記スラリ
    ーを固液分離し、分離水を処理水とすることを特徴とす
    る水中のリン除去方法。
  2. 【請求項2】 水酸化第2鉄及び/又は水酸化アルミニ
    ウムからなる粒子により、沈降濃縮性が制御可能なスラ
    リーを作成し、該スラリーからなるブランケット層を形
    成させ、該ブランケット層にリンを含有する原水を上向
    流で通水して前記スラリーと該原水を接触させて、通過
    水を処理水とすることを特徴とする水中のリン除去方
    法。
  3. 【請求項3】 リンを吸着した後固液分離した前記スラ
    リーを系外に取出し、アルカリ液と混合し、液側にリン
    を溶出させた後、固液分離し、分離された粒子により再
    度スラリーを形成することを特徴とする請求項1又は請
    求項2記載の水中のリン除去方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項3に記載された工程におい
    て、固液分離で得られた分離水よりリン化合物としてリ
    ンを回収することを特徴とするリンの除去方法。
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