JP2019209232A - ホウ素含有排水からのホウ素の回収方法 - Google Patents

ホウ素含有排水からのホウ素の回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ホウ素含有排水からホウ素を除去するための、1日の必要ホウ素処理量能力を効率よく上げることができるホウ素の回収方法を提供する。【解決手段】 ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得る工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を4〜9h−1、鉱酸溶液の脱離液量を硫酸再生レベルとして70〜120g−asSO4/L−Resin(塩酸再生レベルの場合50〜90g−asCl/L−Resin)として、ホウ素再生率を一定にした各鉱酸溶液の通液速度と鉱酸再生レベルの関係を少なくとも3点プロットし、そこから一次式の近似曲線を作成し、設定したい通液速度(SV)の鉱酸再生レベルの最適値をその関係から導き出すことで最適な鉱酸量によりホウ素脱離を行うことを特徴とするホウ素の回収方法。【選択図】 図6

Description

本発明は、ホウ素含有排水のホウ素を吸着させたホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得る工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸の通液速度(SV)を速めて、且つ鉱酸溶液の脱離液量を適量とできるホウ素含有排水からのホウ素の回収方法に関するものである。
ホウ素の人体に与える影響については必ずしも明確ではないものの、低濃度の継続摂取により生殖器能の低下などの健康障害を起こす可能性があることを指摘されている。平成11年2月に、ホウ素の環境基準として1mg/L以下が告示され、平成13年7月には、一律排水基準としてホウ素10mg/L以下(海域排出は230mg/L以下)も定められたため、ホウ素を扱う工場ではホウ素含有排水中のホウ素除去処理が必要になる。ホウ素化合物は、例えば、ガラス製品、医薬品、化粧品、半導体、めっき製品等の製造に使用され、その製造排水中に含まれ、また、火力発電所の排煙脱硫排水、ゴミ焼却施設排水等にも含まれている場合が多い。このため、排水中に含まれているホウ素化合物を排水から除去する排水処理をしなければならない。
ホウ素を含有する排水中のホウ素を除去する方法としては、ホウ素選択吸着樹脂を用いる方法が種々提案されている。この方法では、ホウ素を含有する排水を、たとえばN−メチルグルカミン基を有するホウ素選択吸着樹脂を充填したホウ素選択吸着塔に通水してホウ素をホウ素選択吸着樹脂に吸着させてホウ素を含有しない処理水とし、しかる後ホウ素を吸着した樹脂に塩酸、硫酸などの鉱酸溶液を通液して樹脂を再生する操作が行われる。この操作に伴ってホウ素溶離液も発生し、ホウ素溶離液回収タンクに回収される。ホウ素溶離液は、ホウ素とともに鉱酸を含有している(例えば、特許文献1、2参照)。
ところが、石炭火力発電所等の大規模な設備では、1日当たりに排出される高濃度のホウ素含有排水が多く排出し、ホウ素含有排水からホウ素を除去するための、1日の必要ホウ素処理量を多くする必要があるが、従来の方法では1日の必要ホウ素処理量能力を効率よく上げることができていないのが実状である。
特許第3913939号公報 特開2003−094049号公報
本発明は、上記実状に鑑み、ホウ素含有排水からホウ素を除去するための、必要ホウ素処理量能力を効率よく上げることができるホウ素の回収方法を提供することを課題とするものである。
ホウ素含有排水の必要ホウ素処理量を多くする手段としては、ホウ素選択吸着樹脂量を増やすことでホウ素処理量を上げられるが、ホウ素選択吸着樹脂はキレート構造を持つ官能基を有し、一般的なイオン交換樹脂と比較して高価なためコストが高くなるという問題がある。
また、他の手段としてはホウ素選択吸着塔へのホウ素含有排水の通液速度を上げ、サイクルを増やすことでホウ素処理量を上げる方法が考えられる。
1日あたりのホウ素処理量が多いと、ホウ素含有排水からホウ素選択吸着樹脂によるホウ素吸着工程とホウ素選択吸着樹脂のホウ素量の飽和した後のホウ素脱離工程、樹脂再生工程の操作を頻繁に行う必要があるため、一連のホウ素吸着からホウ素脱離、樹脂再生の工程におけるホウ素脱離工程および樹脂再生工程の処理時間の占める割合が大きくなる。この方法では、上記の脱離工程と樹脂再生工程の処理時間を速くする事で1日あたりのホウ素処理量を大きくする事が出来る。
しかしながら、ホウ素脱離工程での鉱酸溶液の通液速度(SV:Space Velocity)は、ホウ素選択吸着樹脂塔内のホウ素残留によるホウ素回収率の低下を原因とする樹脂再生後のホウ素吸着工程でのホウ素吸着能力低下を防止する目的から、メーカーが推奨するマニュアルに記載の値では通常SV1〜3(h−1)と抑えられている。この脱離工程にて通液速度を上げる事は、1日あたりのホウ素処理能力を上げるという観点からすると非常に重要である。ここで、通液速度(SV:Space Velocity)とは、1時間あたり樹脂体積の何倍相当の液を通液(通水)したかの指標を意味する。
鉱酸溶液の通液速度を上げた場合のデメリットとしては、ホウ素脱離時の通液速度を速くすればする程、ホウ素選択吸着樹脂内にホウ素が残留してしまい樹脂再生率が落ちることから、樹脂再生後のホウ素吸着工程のホウ素処理量が減少してしまいホウ素回収率の低下問題が生じる。その対策として、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液量を増加させる事でホウ素選択吸着樹脂のホウ素残留量を低減する事が考えられる。
しかしながら、単純にホウ素脱離工程の鉱酸溶液量を増加させると、鉱酸溶液使用量増によるランニングコストの増加につながる。また、ホウ素脱離工程により回収したホウ素脱離液から次工程として塩基性陰イオン交換樹脂を使用して高純度のホウ酸溶液を得るホウ素脱離液の精製工程の際に、ホウ素脱離液中の鉱酸量が増加してしまい、鉱酸をホウ素脱離液から分離をするための塩基性陰イオン交換樹脂量も増やす必要があるため、精製工程の規模の増大によるイニシャルコストおよびランニングコストの増加につながり不経済的であるという問題がある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究した結果、ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得る工程において、ホウ素脱離工程における鉱酸溶液の通液速度(SV)を高く設定してホウ素脱離工程の処理能力を高めながら、ホウ素吸着工程のホウ素再生率を低く抑えることができる通液速度と鉱酸量の最適条件を作成することで、ホウ素脱離工程の処理能力を上げてホウ素脱離液を回収できることを見出して、本発明を完成した。
本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得る工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を4〜9h−1、鉱酸溶液の脱離液量を硫酸再生レベルとして70〜120g−asSO/L−Resin(塩酸再生レベルの場合50〜90g−asCl/L−Resin)として、ホウ素再生率を一定にした各鉱酸溶液の通液速度と鉱酸再生レベルの関係を少なくとも3点プロットし、そこから一次式の近似曲線を作成し、設定したい通液速度(SV)の鉱酸再生レベルの最適値をその関係から導き出すことで最適な鉱酸量によりホウ素脱離を行うことを特徴とするホウ素の回収方法。
(2)ホウ素選択吸着樹脂がN−メチルグルカミン基を有することを特徴とする上記(1)に記載のホウ素の回収方法。
(3)鉱酸が硫酸または塩酸であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のホウ素の回収方法
本発明によれば、ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得るホウ素脱離工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を速めて、且つ鉱酸溶液の脱離液量を適量としてホウ素脱離液を回収できる。
ホウ素含有排水のホウ素選択吸着樹脂による吸着工程を示す図である。 ホウ素選択吸着樹脂のホウ素脱離工程を示す図である。 ホウ素選択吸着樹脂の樹脂再生工程を示す図である。 ホウ素脱離・樹脂再生工程の通液速度SVと経済性指標の関係を示す図である。 ホウ素脱離工程において、鉱酸溶液を5mass%硫酸としてホウ素選択吸着樹脂へ通液した硫酸再生レベルとホウ素再生率の関係を、通液速度をSV4、6.5、9の各3条件として示した図である。 予め作成した図5の縦軸のホウ素再生率0.9と各SV条件の横軸の交点3点をプロットし、ホウ素再生率を0.9に規定した場合の鉱酸溶液の通液速度と硫酸再生レベルの関係を導き出した式を示す図である。 通液速度条件を3条件、塩酸再生レベルの条件を5条件の計15条件を実施した塩酸再生レベルとホウ素再生率との関係を示す図である。 ホウ素再生率を0.9とした場合の塩酸溶液の通液速度と塩酸再生レベルの関係を示す図である。
本発明は、ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得る工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を速めて、且つ鉱酸溶液の脱離液量を硫酸再生レベルとして70〜120g−asSO/L−Resin(塩酸再生レベルの場合50〜90g−asCl/L−Resin)とする事により、ホウ素脱離工程の処理能力を上げるホウ素の回収方法である。具体的には、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度を4〜9h−1と高く設定してホウ素脱離工程の処理能力を高めながら、次回ホウ素吸着工程へのホウ素再生率も高くすることを特徴とする方法である。
本発明で使用するホウ素選択吸着樹脂についてはN−メチルグルカミン基を有する樹脂を使用することが好ましい。N−メチルグルカミン基を有する樹脂については一般に市販されているホウ素選択吸着樹脂を用いる事が出来る。
排水中に含まれるホウ素を除去する方法としては、例えばN−メチルグルカミン基を有するホウ素選択吸着樹脂を充填したホウ素選択吸着塔に、ホウ素を含有する排水を通水して、ホウ素をホウ素選択吸着樹脂に吸着させてホウ素を含有しない処理水とする。しかる後ホウ素を吸着した樹脂に塩酸、硫酸などの鉱酸溶液を通液して吸着したホウ素を樹脂から脱離する操作と、ホウ素脱離を行った樹脂に苛性ソーダを通液してホウ素選択吸着樹脂を再生する操作を行う。
この鉱酸溶液を通液して吸着したホウ素を樹脂から脱離するホウ素脱離工程において、鉱酸溶液の通液速度を上げる事により1日あたりのホウ素処理量を上げ、尚且つホウ素選択吸着樹脂のホウ素再生率を目標値0.9以上に上げながら鉱酸溶液を適量に抑える事が出来る方法を発見し、本発明に至る。
尚、本発明が適用される条件としては、ホウ素吸着工程により処理された放流水のホウ素濃度の許容値が10mg/Lオーダーの比較的高い場合で、ホウ素処理量が多いために1日あたりに吸着・再生を数回繰り返す必要のある場合に好適に当てはまる。従って吸着工程に対する溶離・再生に要する時間の比率が低い場合や、放流する処理水中のホウ素濃度の許容値が1mg/L未満が求められるような厳しい条件下で処理水中のホウ素漏れの要因となり得るホウ素選択性吸着樹脂のホウ素再生率をほぼ1で保持する必要のある場合には、効果が薄く不向きである。
以下、図を参酌して本発明を具体的に説明する。
本発明は例えば、図1〜3に示すように、ホウ素含有排水原水槽1、工業用水槽2、ホウ素選択吸着樹脂塔3、処理水放流管4、鉱酸槽5、ホウ素脱離液回収槽6、回収鉱酸槽7、リサイクル水回収槽8、苛性ソーダ槽9、を有する装置を用いて実施される。図1はホウ素吸着工程、図2はホウ素脱離工程、図3はホウ素樹脂再生工程の各フローを示す図である。ホウ素選択吸着樹脂で処理されるホウ素含有排水は、各種の製造工場等から排出されるもので、水中のホウ素はホウ酸およびホウ酸塩として含まれている。尚、本明細書においてこれ以降、ホウ素はホウ酸及びホウ酸塩の総称を意味する。
各種の製造工場等から排出されるホウ素含有排水は、その排水の種類にもよるが、通常10〜1000mg−asB/L程度のホウ素を含有しており、一旦ホウ素含有排水原水槽に貯蔵される。例えば図1のホウ素吸着工程のフローに示すように、ホウ素含有排水原水槽1に貯蔵されたホウ素含有排水は苛性ソーダ等のアルカリ剤によりpH4〜10、好ましくは7〜10に調整する。ここで、pH調整は次工程でのホウ素選択吸着樹脂によるホウ素吸着を効果的に行う為のものである。ホウ素含有排水原水槽1に貯蔵されたホウ素含有排水は、pH調整した後、ホウ素選択吸着樹脂塔3へ移送するが、その際予め凝集沈殿および、またはろ過器等によりホウ素含有排水中に含まれる不溶解性不純物、例えばpH調整により生じた金属水酸化物等の不純物を除去しておくのがよい。
pH調整されたホウ素含有排水は、ホウ素選択吸着樹脂が充填されたホウ素選択吸着樹脂塔3に通水してホウ素の吸着操作によりホウ素を除去する。次いで工業用水槽2から水を該ホウ素選択吸着樹脂塔3に通水し、塔内の残存排水を押出すホウ素吸着工程を行う。その際、pH調整されたホウ素含有排水は、ホウ素選択吸着樹脂塔3に通常SV1〜20で供給され、ホウ素がホウ素選択吸着樹脂に吸着される。
ホウ素選択吸着樹脂塔3により処理された排水はホウ素を含まないので、処理水放流管4に送られて放流することができる。このとき、必要に応じてpH調整槽を設けpH調整後放流する。また処理水に重金属等が含まれているおそれがある場合には、さらにキレート樹脂による処理、或いは苛性ソーダ、消石灰等のアルカリ剤により金属水酸化物を形成させて固液分離処理する等の後処理工程に付した後放流するのが好ましい。
ホウ素をホウ素選択吸着樹脂に吸着させると、ホウ素選択吸着樹脂はやがてホウ素吸着量の許容量に達してホウ素を吸着しなくなる。このホウ素を吸着飽和したホウ素選択吸着樹脂は、例えば、図2のホウ素脱離工程のフローに示すように、鉱酸槽5から塩酸、硫酸などの鉱酸溶液をホウ素選択吸着樹脂塔3に通液して吸着したホウ素を樹脂から脱離させ、工業用水槽2から水を通水するホウ素脱離工程を行う。ホウ素脱離工程で流出するホウ素脱離液、鉱酸、水はそれぞれホウ素脱離液回収槽6、回収鉱酸槽7、リサイクル水回収槽8に分画して回収する。液分画の切替え回収は、ホウ素選択吸着樹脂塔3からの流出液の出口管に電気伝導度計を設置し、電気伝導率の変化を測定することにより行うことができる。
通常、ホウ素脱離工程での鉱酸の通液速度(SV)は、ホウ素選択吸着樹脂塔内のホウ素残留による回収率の低下、樹脂再生後のホウ素吸着工程でのホウ素吸着能力低下を防止する目的からSV1〜3(h−1)と設定される。
脱離工程によりホウ素を脱離したホウ素選択吸着樹脂の再生処理は、図3のホウ素樹脂再生工程のフローに示すように、工業用水槽2からホウ素選択吸着樹脂塔3に通水して洗浄した後、苛性ソーダ槽9から苛性ソーダ等のアルカリ溶液を通液するホウ素樹脂再生工程によりイオン形を鉱酸形(例えばSO形やCl形)から遊離塩基形(OH形)に調整して再生する。ホウ素選択吸着樹脂塔3からの処理水は処理水放流管4から放流する。再生処理されたホウ素選択吸着樹脂塔3は、再びホウ素回収に供される。
ここで、ホウ素脱離工程、樹脂再生工程の通液速度SVを上げる事により、吸着、脱離、樹脂再生を1サイクルとした「ホウ素処理回数」は上がる方向になる。例えば、ホウ素吸着工程の通液量を10BV、通液速度はSV2で固定とし、ホウ素脱離・樹脂再生工程の通液量を10BV、通液速度をSV2からSV6に変更した場合の「ホウ素処理時間」は、ホウ素脱離・樹脂再生工程の通液速度SV2で「ホウ素処理時間」はホウ素吸着工程の通液時間×ホウ素再生率+ホウ素脱離・樹脂再生工程の通液時間=10(L/L−Resin)×0.998÷2(L/L−Resin・hr)+10(L/L−Resin)÷2(L/L−Resin・hr)=10.0hrとなる。ここでホウ素吸着工程の通液時間は、後段で説明する「ホウ素再生率」による補正を考慮して試算を行う。「ホウ素処理回数」は24(hr/日)÷10.0(hr/回)=2.40(回/日)となる。同様にSV6の場合は「ホウ素処理時間」10(L/L−Resin)×0.958÷2(L/L−Resin・hr)+10(L/L−Resin)÷6(L/L−Resin・hr)=6.5(hr/回)、「ホウ素処理回数」は3.7(回/日)となり、SV2の場合と比較したホウ素処理回数は増加する。ホウ素処理回数が上がる事はすなわち、ホウ素処理を連続で繰り返す事により処理出来るホウ素処理量の増大につながり、処理設備の規模を小さくしたり、ホウ素樹脂量を低減したり出来るメリットにつながる。ここで、「BV(Bed Volume)」とは、樹脂体積あたりの何倍相当の液を通液したかの指標を意味する。
一方で、ホウ素脱離工程、樹脂再生工程の通液速度SVを上げると「ホウ素再生率」が下がる方向になる。「ホウ素再生率」とは、ホウ素脱離・樹脂再生工程をした後にホウ素樹脂内部にホウ素がどれだけ残留せずに再生出来たかを示す指標である。「ホウ素再生率」の試算は、(1−ホウ素残留率)で算出する。「ホウ素残留率」とはホウ素選択吸着樹脂に飽和吸着したホウ素量を1として、その後ホウ素脱離・樹脂再生工程にてホウ素選択吸着樹脂からホウ素を脱離させた後のホウ素選択吸着樹脂を鉱酸に1日浸漬させて脱離したホウ素量を割合として算出した数値である。
例えば、ホウ素選択吸着樹脂の飽和ホウ素量が3.0g/L−Resin asB、ホウ素脱離・樹脂再生工程後の鉱酸浸漬後のホウ素脱離量が0.3g/L−Resinの場合は、ホウ素残留率は0.3g/L−Resin÷3.0g/L−Resin=0.1と算出される。この場合の「ホウ素再生率」は、(1−ホウ素残留率)=(1−0.1)=0.90と試算される。
「ホウ素再生率」がホウ素脱離工程、樹脂再生工程の通液速度を速くする程に低くなる理由としては、通液速度を上昇させる事によりホウ素選択吸着樹脂とホウ素脱離工程に通液する鉱酸溶液の接触時間が短くなる事が主な原因と考えられる。
通液速度SVを決定するにあたり、2つの指標「ホウ素処理回数」と「ホウ素再生率」を掛け合わせた指標を「経済性指標」とし、SVと経済性指標の関係を図示した。表1および図4は通液速度と経済性指標の一例を図示したものである。ここで、SV6の場合の「ホウ素処理回数」は3.7(回/日)、「ホウ素再生率」は0.958であったので、「経済性指標」=「ホウ素処理回収」×「ホウ素再生率」=3.7×0.958=3.6と試算される。
これにより、経済性指標は通液速度SVは6付近が極大値を示す曲線となる事が分かる。これによりホウ素脱離工程、樹脂再生工程の通液速度の範囲は、経済性指標が3.1以上の範囲にある通液速度SV4〜9が好ましく、より好ましくはSV5〜8とする。
Figure 2019209232
上記の「ホウ素再生率」は、樹脂再生後の次回ホウ素吸着工程の際にホウ素選択吸着樹脂の吸着能力の低下につながるため、高いほど好ましい。ホウ素再生率が低くなるほど、次回のホウ素処理量が落ちる事、及びホウ素処理水からのホウ素の常時漏れが起こりホウ素濃度が上昇する要因に繋がる可能性がある事がその理由である。具体的にはホウ素再生率0.9以上が好ましく、0.95以上がより好ましい。
この「ホウ素再生率」は、ホウ素脱離工程の鉱酸による通液速度SVに依存するが、その他にも鉱酸の再生レベルにも影響を受ける。具体的にはホウ素選択吸着樹脂へ通液する鉱酸の使用量は多いほどホウ素再生率は高くすることが出来る。表2、図5にホウ素脱離工程において、鉱酸溶液を5mass%硫酸としてホウ素選択吸着樹脂へ通液した硫酸再生レベルとホウ素再生率の関係を示す。ここで硫酸再生レベルとは、ホウ素選択吸着樹脂1L−Resinあたりにどれくらいの硫酸量を通液したかの指標であり、単位は[g−asSO/L−Resin]とする。塩酸および硫酸の濃度は、濃度3〜20mass%程度が望ましい。この範囲とすることにより、ホウ素選択吸着樹脂を効率よく再生することができ、かつ、希釈熱や設備の腐食等の問題を抑制することができる。尚、硫酸通液後の通液量を同じとするため、硫酸を再生レベルの規定量を投入した後は合計が6BVとなるように水押し水洗水として純水を使用して通水した。
Figure 2019209232
ホウ素選択吸着樹脂あたりの鉱酸再生レベルが高い程、すなわち1回の脱離工程につきホウ素脱離に使用する鉱酸使用量を多くする程、ホウ素再生率を高くする事は可能であるが、その反面鉱酸使用量を多く使用すると鉱酸使用量が増加する分だけランニングコストの増加につながる。
鉱酸溶液の脱離液量を硫酸再生レベルとして70〜120g−asSO/L−Resin(塩酸再生レベルの場合50〜90g−asCl/L−Resin)とした理由は、硫酸再生レベルが70g−asSO/L−Resin未満または塩酸再生レベル50g−asCl/L−Resin未満と設定すると、ホウ素選択吸着樹脂の樹脂再生後のホウ素再生率が目標管理値の0.9を下回ってしまう為であり、一方、硫酸再生レベルが120g−asSO/L−Resin超または塩酸再生レベルが90g−asCl/L−Resin超とすると、鉱酸使用量のランニングコストがホウ素除去の効果に対して使用量が大きくなってしまう為である。
そこで本発明は、ホウ素選択吸着樹脂への鉱酸溶液の通液速度と再生レベルに一定の線形近似の相関関係がある事を見出し、それによりホウ素選択吸着樹脂のホウ素再生率を目標値0.9以上に上げながら鉱酸溶液を適量に抑える事が出来ることを知見した。
具体的には鉱酸溶液の通液速度と鉱酸再生レベルを図5のように実際に求め、そこからホウ素再生率が一定である点を一定として(図5ではSV4、6.5、9の3条件を例としてプロットした。)鉱酸の各通液速度と鉱酸再生レベルを図にプロットし、そこから通液速度と鉱酸再生レベルの関係式を導き出し、任意に設定したい鉱酸の通液速度でのホウ素脱離に必要な鉱酸再生レベルを求める事が出来る。
図6は鉱酸を硫酸としてホウ素再生率を0.9に規定した場合の硫酸溶液の通液速度と硫酸再生レベルの関係をプロット(図5からSV4、6.5、9でホウ素再生率0.9となる硫酸再生レベルは、それぞれ70g−asSO/L−Resin、83g−asSO/L−Resin、109g−asSO/L−Resinである)して求めた式を示す図であり、この関係式(y=7.8x+36.633)から鉱酸の通液速度と再生レベルの関係を線形近似の近似曲線として導き出す。この関係式は、ホウ素吸着量、鉱酸の種類、鉱酸濃度等の条件が異なる場合は、その都度鉱酸の通液速度と鉱酸再生レベルを予めカラム試験などによる簡易な試験により相関図を作成し、それにより求めた関係式を導き出して使用する事が出来る。例えばホウ素再生率を0.95、通液速度SV6.5としたい場合は、図5のホウ素再生率0.95の各SV4、6.5、9の3点の通液速度と硫酸再生レベルをプロットし、そこから直線近似の近似曲線を書き出し、設定したい通液速度の硫酸再生レベルを求めることが出来る。この時の硫酸の各通液速度SV(h−1)と硫酸再生レベルとの関係は、近似直線により求めることができることを知見したので、所定のホウ素選択吸着樹脂のホウ素再生率における通液速度の異なる硫酸再生レベル(g−asSO/L−Resin)の値の少なくとも3点以上求めることで決められる。また、より精度向上のためには4点以上とすることが好ましいが、少なくともほぼ等間隔の3点で決められることは確認してある。
規定量の鉱酸溶液を通液した後のホウ素選択吸着樹脂の系内には、まだ脱離したホウ素や余剰分の鉱酸が存在している。この鉱酸を系内に残したまま、次工程である再生工程に移行すると後述のように本来ホウ素選択吸着樹脂のイオン形の調整に使用される筈の苛性ソーダ等のアルカリ剤を樹脂内部又は樹脂間隙に存在する鉱酸が消費してしまう可能性があるため、鉱酸を系内から洗い流す意図として水道水や工水により樹脂内を水押し水洗する。水押し水洗の水洗量はアルカリ剤の消費に問題の無い程度まで水洗されれば良いが、水洗を過剰に行うことで水洗水の使用量増加や水洗工程時間が長くなるため、3〜5BVが好ましく、より好ましくは3〜4BVである。この水押し水洗についてもホウ素脱離液として適宜回収する事が出来る。
尚、このホウ素脱離操作に伴って発生する鉱酸を含有するホウ素脱離液はホウ素脱離液槽に回収し、必要であれば適宜陰イオン交換樹脂を用いた鉱酸の分離によるホウ素脱離液の精製操作およびホウ素脱離液の濃縮、固化する事により固体ホウ酸とする等の操作を経て、ホウ酸原料として再利用する事が出来る。
また、ホウ素脱離工程により発生するホウ素脱離液は、次工程であるホウ素精製工程のコスト低減のために3つの区分に分画し、各分画液をそれぞれの工程で使用することが出来る。
ホウ素脱離液の分画は、ホウ素脱離液のホウ素濃度と鉱酸濃度の通液(通水)区間での変化に応じて適宜採取する。鉱酸通水におけるホウ素濃度と鉱酸濃度のピークは、重なっていない事から、ホウ素濃度が高く鉱酸濃度がまだ上昇していない箇所をホウ素脱離液と、主要成分が鉱酸でホウ素を含む部分を回収鉱酸溶液と、ホウ素と鉱酸を低濃度で含む希薄溶液の回収リサイクル水に分画することが出来る。このホウ素脱離液の分画については、予めホウ素脱離液中のホウ素濃度と鉱酸濃度を鉱酸通液量毎に測定して溶離濃度曲線図を作成する事により実施する事が出来る。
脱離工程で分画したホウ素脱離液は、例えば、図2に示すホウ素脱離液回収槽6のように回収し、I型のOH形強塩基性陰イオン交換樹脂、II型のOH形強塩基性陰イオン樹脂、またはOH形弱塩基性陰イオン交換樹脂に通水して、鉱酸イオンを該OH形塩基性陰イオン交換樹脂に吸着するとともに、ホウ素溶液を抽出し高純度ホウ素溶液の回収に使用することが出来る。
また脱離工程で分画した主要成分が鉱酸でホウ素を含む回収鉱酸溶液は、例えば、図2に示す回収鉱酸槽7のように回収し、ホウ素選択吸着樹脂からホウ素を脱離させる工程に使用する鉱酸溶液の一部として再使用することが出来る。
また脱離工程で分画したホウ素脱離液のうち、ホウ素と鉱酸を低濃度で含む希薄溶液である回収リサイクル水は、例えば、図2に示すリサイクル水回収槽8のように回収し、ホウ素選択吸着樹脂からホウ素を脱離させる工程に使用する鉱酸溶液の希釈水などに再使用することが出来る。
このように比較的低濃度のホウ素を含む処理液をホウ素選択吸着樹脂塔の前段の工程へ戻す事で、ホウ素脱離工程の鉱酸使用量を低減する事によりイニシャルおよびランニングコストを抑える事が出来、尚且つホウ素脱離液以外の系外に排出するホウ素を含有する処理水を低減する事で、ホウ素処理工程の系内全体から見たホウ酸回収率を高くすることができる。
脱離工程によりホウ素を脱離したホウ素選択吸着樹脂は、苛性ソーダ等のアルカリ溶液を通液するホウ素樹脂再生工程によりイオン形を鉱酸形(例えばSO形やCl形)から遊離塩基形(OH形)に調整する。例えば、図3のフローに示すとおりである。樹脂再生工程によりイオン形を鉱酸形(例えばSO形やCl形)から遊離塩基形(OH形)に調整する際の最適な遊離塩基形の割合は、処理される排水に含まれる塩類の種類や濃度、および処理後に放流させる水のpHにより異なるため、通水させるアルカリ溶液の使用量は適宜調整する。樹脂再生工程のアルカリ溶液の通液速度は脱離工程の通液速度と同じ速度で通液する事が出来る。尚、苛性ソーダを再生工程に用いる際の最適濃度は3〜20mass%が好ましい。この範囲とすることにより、ホウ素選択吸着樹脂を効率よく再生することができ、かつ、希釈熱や凍結等の問題を抑制することができる。これより薄い場合は、再生不良を起こす可能性がある。
樹脂再生工程後のホウ素選択吸着樹脂は、その後純水や水道水、又は工業用水により樹脂内の鉱酸や塩類を洗い流すなどを実施して、前記の「ホウ素吸着工程」に戻り、再びホウ素含有排水を通水することが出来るようになる。
樹脂再生工程で発生した鉱酸やナトリウム塩、カリウム塩などの塩類を含む排水は、処理水放流管4に送られて放流することができる。このとき、必要に応じてpH調整槽を設けpH調整後放流する。また処理水に重金属等が含まれている恐れがある場合には、更にキレート樹脂による処理、或いは苛性ソーダ、消石灰等のアルカリ剤により金属水酸化物を形成させて固液分離処理する等の後処理工程に付した後放流するのが好ましい。
ホウ素選択吸着樹脂についてはN−メチルグルカミン基を有する樹脂を使用する。N−メチルグルカミン基を有する樹脂については一般に市販されているホウ素選択吸着樹脂を用いる事が出来る。
本発明において、ホウ素脱離液中に含まれる鉱酸が硫酸であるとき、本発明を好ましく用いることができる。硫酸は一般的には塩酸と比較すると腐食性は低いため、塩酸を使用した場合に使用できない種類の素材を設備に用いることができる。ただし、硫酸の腐食性は温度や濃度によって大きく変化するため、使用環境に適応した素材を吟味して選択することが必要となる。
ホウ素選択吸着樹脂塔を2系列設置することで、ホウ素含有排水液のホウ素選択吸着樹脂による吸着工程とホウ素脱離・樹脂再生工程を同時に行うことができる。すなわち、ホウ素脱離液のホウ素脱離・樹脂再生工程を行っている間に、前のサイクルで再生したもう1系列のホウ素選択吸着樹脂塔に排水を通水してホウ素含有排水のホウ素吸着をすることで、ホウ素含有排水の通水停止後に配管の切り替えのみでホウ素含有排水の処理を再開することができ、処理サイクルを増やすことができる。更に、3系列設置することで、1塔目と2塔目を連結してホウ素含有排水のホウ素吸着工程を行い、1塔目をホウ素の吸着、2塔目を1塔目の処理水からホウ素が漏れ出した場合の保安用とし、3塔目をホウ素脱離・樹脂再生工程を行う3塔メリーゴーラウンド方式とすることも可能である。
以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1〜3に示す装置を構成した。内径20mmΦ×高さ1000mmのアクリル製カラムを用意し、ホウ素選択吸着樹脂を200ml−Resin充填したものをホウ素選択吸着樹脂塔3とする。このホウ素選択吸着樹脂塔3にホウ素含有排水を通水してホウ素選択吸着樹脂を飽和させた。ホウ素飽和時のホウ素選択吸着樹脂のホウ素吸着量は3.98g−asB/L−Resinであった。この飽和した樹脂を鉱酸として5mass%濃度の硫酸溶液を通液してホウ素を脱離させた。通液速度条件を3条件、硫酸再生レベルの条件を5条件の計15条件を実施し、ホウ素再生率を調査した。尚、ホウ素選択吸着樹脂のホウ素再生率は、硫酸によるホウ素脱離後に水洗3BVにより余剰分の硫酸を樹脂から洗い流し、樹脂再生工程の薬剤を4mass%苛性ソーダとし、苛性ソーダ再生レベル40g−asNaOH/L−Resin通液、更に水洗3BVを実施し樹脂内の硫酸およびその塩類を洗い流した後に測定を実施した。
ホウ素再生率の算出は、実際のホウ素残留率と許容ホウ素残留率から行った。実際のホウ素残留率は、上記の鉱酸によるホウ素脱離、樹脂再生工程を行ったホウ素選択吸着樹脂200ml−Resinをアクリル製カラムから取り出し、それを2000mlの5mass%硫酸に投入、撹拌混合を実施した後1日浸漬させてからホウ素選択吸着樹脂を取り出し、溶液中のホウ素量を分析する事により算出する。溶液中のホウ素量は、例えば通液速度SV5、硫酸再生レベル60g−asSO4/L−Resin(表2の試験No.1)の場合、0.52g−asB/L−Resinと算出された。ホウ素残留率は、このホウ素残留量とホウ素飽和時の吸着量3.98g−asB/L−Resinの比率から0.13と試算される。ホウ素再生率は、1−0.13=0.87と試算される。
結果は表2、図5のとおりであった。この結果よりホウ素再生率を0.9とした場合の硫酸の通液速度と硫酸再生レベルの関係を図6に導き出した。具体的には、図5の各SV条件と狙いであるホウ素再生率を0.9とし、図5の横軸として線を引き、この横軸と各SV条件の交点を導き出す。表3に導き出した数値を記載した(試験No.16〜18)。この3点を横軸に硫酸の通液速度、縦軸を硫酸再生レベルとした図にプロットする。この3点から線形近似の近似曲線を導き出す。近似曲線の相関式からy=7.8x+36.633の関係式(x:通液速度、y:硫酸再生レベル)が導き出され(図6)、例えば硫酸の通液速度xをSV6に設定する場合は、硫酸再生レベルyを83.5g−asSO/L−Resin以上とする事でホウ素再生率を0.9以上とする事ができると試算される。
上記試算に基づく試験を行い表4にその結果を示す。すなわち、脱離工程通液速度SV6にて5mass%硫酸を85g−asSO/L−Resin流してホウ素残留量を測定した結果、ホウ素再生率は0.91の結果となり目標値の0.9以上を達成した(試験No.20)。これに対して脱離工程通液速度SV6にて5mass%硫酸を70g−asSO/L−Resin流してホウ素残留量を測定した結果、ホウ素再生率は0.84の結果となり目標のホウ素再生率0.9を下回った(試験No.19)。
Figure 2019209232
Figure 2019209232
[実施例2]
実施例1と同様の装置を構成、ホウ素選択吸着樹脂の充填量も200ml−Resin、その他条件も同条件とし、ホウ素選択吸着樹脂を飽和させたところホウ素飽和時のホウ素選択吸着樹脂のホウ素吸着量は3.86g−asB/L−Resinであった。この飽和した樹脂を鉱酸として5mass%濃度の塩酸溶液を通液してホウ素を脱離させた。通液速度条件を3条件、塩酸再生レベルの条件を5条件の計15条件を実施し、ホウ素再生率を調査した。結果は、表5、図7のとおりであった。この結果よりホウ素再生率を0.9とした場合の塩酸の通液速度と塩酸再生レベルの関係を表6(試験No.36〜38)、図8に導き出し、この3点を横軸に塩酸の通液速度、縦軸を塩酸再生レベルとした図にプロットして近似曲線の相関式からy=7.48x+18.847の関係式(x:通液速度、y:塩酸再生レベル)を導き出した。この関係式より、例えば塩酸の通液速度xをSV6に設定する場合は、塩酸再生レベルyを63.7g−asCl/L−Resin以上とする事でホウ素再生率を0.9以上とする事ができると試算される。
Figure 2019209232
Figure 2019209232
以上の通り、本発明によれば、ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得るホウ素脱離工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を速めて、且つ鉱酸溶液の脱離液量を適量としてホウ素脱離液を回収できることが確認できた。
1ホウ素含有排水原水槽
2工業用水槽
3ホウ素選択吸着樹脂塔
4処理水放流管
5鉱酸槽
6ホウ素脱離液回収槽
7回収鉱酸槽
8リサイクル水回収槽
9苛性ソーダ槽

Claims (3)

  1. ホウ素を吸着したホウ素選択吸着樹脂から、鉱酸溶液を用いて吸着したホウ素を脱離させて脱離液を得るホウ素脱離工程において、ホウ素脱離工程の鉱酸溶液の通液速度(SV)を4〜9h−1、鉱酸溶液の脱離液量を硫酸再生レベルとして70〜120g−asSO/L−Resin(塩酸再生レベルの場合50〜90g−asCl/L−Resin)として、ホウ素残留率を一定にした各鉱酸溶液の通液速度と鉱酸再生レベルの関係を少なくとも3点プロットし、そこから一次式の近似曲線を作成し、設定したい通液速度(SV)の鉱酸再生レベルの最適値をその関係から導き出すことで最適な鉱酸量によりホウ素脱離を行うことを特徴とするホウ素の回収方法。
  2. ホウ素選択吸着樹脂がN−メチルグルカミン基を有することを特徴とする請求項1に記載のホウ素の回収方法。
  3. 鉱酸が硫酸または塩酸であることを特徴とする請求項1または2に記載のホウ素の回収方法
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