JP2005000840A - フッ素含有排水の処理方法 - Google Patents

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修二 杉野
Ichiro Morioka
一郎 森岡
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一樹 林
Satoshi Aramatsu
智 新松
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Abstract

【課題】フッ素濃度を高度に低減することができ、かつスラッジの発生の少ないフッ素含有排水の処理方法を提供することにある。
【解決手段】下記の工程からなるフッ素含有排水の処理方法。
(1)フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させ、次いでフッ化カルシウムを除去することにより、フッ素濃度が低減された第一処理排水を得る工程;
(2)第一処理排水に酸化マグネシウム粉末を添加して、酸化マグネシウム粉末に排水中のフッ素を吸着させる工程;
(3)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末と排水とを分離することによりフッ素濃度がさらに低減された第二処理排水を得る工程;
(4)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末を(1)の工程を実施する前のフッ素含有排水に溶解させる工程;
(5)酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水を、(1)の工程に送る工程。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素を含む排水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フッ素を含む排水の処理方法として、排水にカルシウム化合物を添加することにより、フッ素をフッ化カルシウムとして固定して、次いでそのフッ化カルシウムを除去する方法が知られている。このフッ素をフッ化カルシウムとして固定除去する方法は、処理装置が簡単で維持管理費が安価であるため、広く利用されている。しかしながら、処理後の排水中のフッ素濃度は、理想的な条件で処理を行なった場合でも10mg/L程度が限界とされており、各種の物質が混在する実際の排水の場合では、処理後の排水中のフッ素濃度が20〜30mg/Lとなることもある。
このため、フッ素含有排水のフッ素濃度をさらに低減することができるフッ素含有排水の処理方法の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水酸化マグネシウムを吸収剤として使用する、排ガス中の硫黄酸化物を吸収除去する湿式排煙脱硫装置から排出される排液中のフッ素イオンを除去する方法として、該廃液に消石灰を添加し、反応させた後、固液分離し、さらに分離した液に酸化マグネシウムを含む固体(マグネシウム系吸着剤)を添加し、酸化マグネシウムにフッ素イオンを吸着させた後固液分離させるフッ素イオンの除去方法が開示されている。この特許文献には、フッ素を吸着させた酸化マグネシウムのスラッジを排煙脱硫装置のアルカリ剤(吸収剤)として再利用することにより、スラッジ処理の問題をなくすることができると記載されている。この特許文献に開示されている方法は、湿式排煙脱硫装置から排出される排液の処理方法としては有用であるが、他のフッ素含有排水への利用については記載がない。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−71197号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フッ素濃度を高度に低減することができ、かつスラッジの発生の少ないフッ素含有排水の処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の工程からなるフッ素含有排水の処理方法にある。
(1)フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させ、次いでフッ化カルシウムを除去することにより、フッ素濃度が低減された第一処理排水を得る工程;
(2)第一処理排水に酸化マグネシウム粉末を添加して、酸化マグネシウム粉末に排水中のフッ素を吸着させる工程;
(3)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末と排水とを分離することによりフッ素濃度がさらに低減された第二処理排水を得る工程;
(4)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末を(1)の工程を実施する前のフッ素含有排水に溶解させる工程;
(5)酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水を(1)の工程に送る工程。
【0007】
上記の本発明のフッ素含有排水の処理方法の好ましい態様を下記に示す。
(1)上記(1)の工程をフッ素含有排水のpHを4〜9の範囲に調整しながら行なう。
(2)上記(3)の工程にて発生したフッ素吸着酸化マグネシウム粉末の一部を、(2)の工程の第一処理排水に添加する工程を含んでいる。
(3)上記(2)の工程において、第一処理排水に添加する酸化マグネシウム粉末が、平均結晶子径が1〜20nmの範囲にあるペリクレース結晶子の凝集体であって、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状一次凝集体を含み、比表面積が80m/g以上であり、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上である酸化マグネシウム粉末である。
【0008】
本発明はまた、下記の工程からなるフッ素含有排水の処理方法にもある。
(1)フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させ、次いでフッ化カルシウムを除去することにより、フッ素濃度が低減された第一処理排水を得る工程;
(2)第一処理排水に酸化マグネシウム粉末を添加して、酸化マグネシウム粉末に排水中のフッ素を吸着させる工程;
(3)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末と排水とを分離することによりフッ素濃度がさらに低減された第二処理排水を得る工程;
(4)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末を(2)の工程の第一処理排水に添加する工程。
【0009】
上記の本発明のフッ素含有排水の処理方法の好ましい態様を下記に示す。
(1)上記(1)の工程をフッ素含有排水のpHを4〜9の範囲に調整しながら行なう。
(2)上記(2)の工程にてフッ素吸着酸化マグネシウム粉末の一部を抜き取って、(1)の工程を実施する前のフッ素含有排水に溶解させ、酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水を(1)の工程に送る工程を含んでいる。
(3)上記(2)の工程において、第一処理排水に添加する酸化マグネシウム粉末が、平均結晶子径が1〜20nmの範囲にあるペリクレース結晶子の凝集体であって、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状一次凝集体を含み、比表面積が80m/g以上であり、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上である酸化マグネシウム粉末である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素含有排水の処理方法は、例えば、フッ素化合物の製造及びフッ素による処理などのフッ素化学工程、シリコンウェハや電子部品の洗浄工程、アルミニウム電解製錬工程、リン酸肥料製造工程、ステンレス鋼などの金属製品ピクリング工程、電解メッキ工程、石炭を燃料とする発電所での排ガス脱硫工程などの各種の事業所から排出された排水の処理に利用することができる。
【0011】
本発明のフッ素含有排水の処理方法では、カルシウム化合物を添加して、排水のフッ素をフッ化カルシウムとして除去する(1)の工程と、酸化マグネシウム粉末を添加して、フッ素を酸化マグネシウム粉末に吸着させて除去する(2)の工程との二つの工程を実施することにより、排水中のフッ素濃度を低減する。(1)の工程にて発生したフッ化カルシウムはスラッジとして系外に排出する。(2)の工程にて発生したフッ素吸着酸化マグネシウム粉末は排水に溶解するか、あるいはフッ素の吸着剤として再利用する。フッ素吸着酸化マグネシウム粉末が溶解した排水は、(1)の工程に送って、フッ素はフッ化カルシウムとして除去し、マグネシウムは水に溶解したまま系外に排出する。
【0012】
本発明において用いるカルシウム化合物は、水溶性であれば特に限定はなく、その例としては、酸化カルシウム(生石灰)、炭酸カルシウム(石灰石)、水酸化カルシウム(消石灰)、塩化カルシウム、及び硝酸カルシウムが挙げられる。これらのカルシウム化合物は、単独で使用してもよいし、二種以上の混合物として使用してもよい。カルシウム化合物は、水酸化カルシウム及び/又は塩化カルシウムであることが好ましい。
【0013】
フッ素をフッ化カルシウムとして除去する(1)の工程では、スラッジ発生量の低減のため、排水のpHを4〜9の範囲とすることが好ましく、5〜8.5の範囲に調整することがより好ましい。排水のpHが4よりも低くなるとフッ化カルシウムが析出しにくくなり、pHが9を超えると排水に溶解させたマグネシウムが水酸化マグネシウムとして析出し、これがスラッジに混入するためである。
【0014】
本発明においてフッ素吸着剤として用いる酸化マグネシウム粉末は、平均結晶子径が1〜20nmの範囲にあるペリクレース結晶子の凝集体であって、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状一次凝集体を含み、比表面積が80m/g以上であり、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上であることが好ましい。ペリクレース結晶子の平均結晶子径は、1〜10nmの範囲にあることがより好ましい。板状一次凝集体の平均粒子径(板状一次凝集体表面の長軸方向の長さの平均)は、0.1〜3μmの範囲にあることがより好ましく、0.1〜1μmの範囲にあることが特に好ましい。比表面積は、80〜400m/gの範囲にあることがより好ましい。1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量は、98.8〜99.6質量%の範囲にあることがより好ましい。1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム粉末は、酸化カルシウムを0.2〜0.6質量%の範囲で、酸化ケイ素とアルミナとをその合計量として、0.1〜0.3質量%の範囲で含んでいてもよい。
【0015】
上記の酸化マグネシウム粉末は、板状一次凝集体を60質量%以上含んでいることが好ましく、80質量%以上含んでいることがより好ましい。板状一次凝集体は、二次凝集体を形成していてもよい。二次凝集体はレーザ回折法による粒子径が30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが特に好ましい。
【0016】
上記の酸化マグネシウム粉末は、例えば、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状水酸化マグネシウム粒子を含み、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上にある水酸化マグネシウム粉末を、350〜900℃(好ましくは、400〜600℃)の温度で焼成することによって製造することができる。水酸化マグネシウム粉末は、例えば、海水、苦汁及びかん水などのマグネシウムを含む水に、水酸化カルシウムなどのアルカリを添加することにより製造することができる。
【0017】
次に、本発明のフッ素含有排水の処理方法を行なうシステムの例を、添付図面の図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0018】
図1において、フッ素含有排水はまず、カルシウム化合物混合槽11に送られる。カルシウム化合物混合槽11にて、フッ素含有排水にカルシウム化合物が添加される。このカルシウム化合物の添加により排水中のフッ素がフッ化カルシウムとして固定される。カルシウム化合物が添加されたフッ素含有排水は次いで、第一沈殿槽12に送られ、フッ化カルシウムが沈降分離される。分離回収されたフッ化カルシウムはスラッジとして外部に排出される[(1)の工程]。
【0019】
第一沈殿槽12にて、フッ化カルシウムが除去され、フッ素濃度が低減した排水(第一処理排水)は、酸化マグネシウム粉末混合槽13に送られる。酸化マグネシウム粉末混合槽13にて、第一処理排水に酸化マグネシウム粉末が添加される。この酸化マグネシウム粉末の添加により、第一処理排水の残留フッ素が酸化マグネシウム粉末に吸着固定される[(2)の工程]。
【0020】
酸化マグネシウム粉末が添加された第一処理排水は次いで、第二沈殿槽14に送られ、酸化マグネシウム粉末(フッ素吸着酸化マグネシウム粉末)が沈降分離される。第二沈殿槽14にて、分離回収されたフッ素吸着酸化マグネシウム粉末(一部は、水酸化マグネシウムとなっている)は一時貯槽15に送られ、一旦貯蔵される。フッ素吸着酸化マグネシウム粉末は次いで、カルシウム化合物混合槽11に送られる前のフッ素含有排水に添加され、その全量が溶解される。酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水は、カルシウム化合物混合槽11に送られる。第二沈殿槽14にて、フッ素吸着酸化マグネシウム粉末が除去され、フッ素濃度がさらに低減した排水(第二処理排水)は、例えば、pHの調整などが行われた後、外部に排出される。
【0021】
図2において、フッ素含有排水はまず、図1の場合と同様に、カルシウム化合物混合槽21に送られる。カルシウム化合物混合槽21にて、フッ素含有排水にカルシウム化合物が添加される。このカルシウム化合物の添加により排水中のフッ素がフッ化カルシウムとして固定される。カルシウム化合物が添加されたフッ素含有排水は次いで、第一沈殿槽22に送られ、フッ化カルシウムが沈降分離される。分離回収されたフッ化カルシウムはスラッジとして外部に排出される[(1)の工程]。
【0022】
第一沈殿槽22にて、フッ化カルシウムが除去され、フッ素濃度が低減した排水(第一処理排水)は、酸化マグネシウム粉末混合槽23に送られる。酸化マグネシウム粉末混合槽23にて、第一処理排水に酸化マグネシウム粉末が添加される。この酸化マグネシウム粉末の添加により、第一処理排水の残留フッ素が酸化マグネシウム粉末に吸着固定される[(2)の工程]。
【0023】
酸化マグネシウム粉末が添加された第一処理排水は、反応槽24に送られ、一旦貯留された後、第二沈殿槽25と回収槽26とに分けて送られる。第二沈殿槽25及び回収槽26にて、酸化マグネシウム粉末(フッ素吸着酸化マグネシウム粉末)が沈降分離される。第二沈殿槽25にて分離回収されたフッ素吸着酸化マグネシウム粉末(一部は、水酸化マグネシウムとなっている)は一時貯槽25に送られ、一旦貯蔵される。このフッ素吸着酸化マグネシウム粉末は次いで、カルシウム化合物混合槽21に送られる前のフッ素含有排水に添加され、溶解される。酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水は、カルシウム化合物混合槽21に送られる。第二沈殿槽25にて、フッ素吸着酸化マグネシウム粉末が除去され、フッ素濃度がさらに低減した排水(第二処理排水)は、例えば、pHの調整などが行われた後、外部に排出される。
【0024】
一方の回収槽26にて分離回収されたフッ素吸着酸化マグネシウム粉末は、反応槽24に返送される。このフッ素吸着酸化マグネシウム粉末(一部が水酸化マグネシウムとなっている)は、フッ素の吸着剤として充分に機能する。回収槽26の上澄み水は、第二沈殿槽25に送られる。
【0025】
図3において、フッ素含有排水はまず、図1の場合と同様に、カルシウム化合物混合槽31に送られる。カルシウム化合物混合槽31にて、フッ素含有排水にカルシウム化合物が添加される。このカルシウム化合物の添加により排水中のフッ素がフッ化カルシウムとして固定される。カルシウム化合物が添加されたフッ素含有排水は次いで、第一沈殿槽32に送られ、フッ化カルシウムが沈降分離される。分離回収されたフッ化カルシウムはスラッジとして外部に排出される[(1)の工程]。
【0026】
第一沈殿槽32にて、フッ化カルシウムが除去され、フッ素濃度が低減した排水(第一処理排水)は、酸化マグネシウム粉末混合槽33に送られる。酸化マグネシウム粉末混合槽33にて、第一処理排水に酸化マグネシウム粉末が添加される。この酸化マグネシウム粉末の添加により、第一処理排水の残留フッ素が酸化マグネシウム粉末に吸着固定される[(2)の工程]。
【0027】
酸化マグネシウム粉末が添加された第一処理排水は次いで、第二沈殿槽34に送られ、酸化マグネシウム粉末(フッ素吸着酸化マグネシウム粉末)が沈降分離される。第二沈殿槽34にて、分離回収されたフッ素吸着酸化マグネシウム粉末(一部は、水酸化マグネシウムとなっている)は、酸化マグネシウム粉末混合槽33に返送される。このフッ素吸着酸化マグネシウム粉末は、フッ素の吸着剤として充分に機能する。第二沈殿槽34にて、フッ素吸着酸化マグネシウム粉末が除去され、フッ素濃度がさらに低減した排水(第二処理排水)は、例えば、pHの調整などが行われた後、外部に排出される。
【0028】
酸化マグネシウム粉末混合槽33にて酸化マグネシウム粉末が添加された第一処理排水の一部は、連続的あるいは間欠的に抜き取り槽35に取り出される。抜き取り槽35にて、酸化マグネシウム粉末(フッ素吸着酸化マグネシウム粉末)が沈降分離される。分離回収されたフッ素吸着酸化マグネシウム粉末は一時貯槽36に送られ、一旦貯蔵される。フッ素吸着酸化マグネシウム粉末は次いで、カルシウム化合物混合槽31に送られる前のフッ素含有排水に添加され、溶解される。酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水は、カルシウム化合物混合槽31に送られる。上澄み水は酸化マグネシウム粉末混合槽33に返送される。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
本実施例にて用いた酸化マグネシウム粉末の製造方法、及びその性状は下記の通りである。
【0030】
[酸化マグネシウムの製造方法]
(1)水酸化マグネシウム粉末の製造
海水(マグネシウム濃度:1300mg/L、炭酸濃度:80mg/L、ホウ素成分濃度(B換算):13mg/L)をアンスラサイトが充填されたろ過塔に通水し、海水の浮遊物を除去した。次に、海水に硫酸を加えて弱酸性とした後、エアレーションによる脱炭酸処理を行なって、海水中の炭酸濃度を1mg/Lとした。そして、海水をホウ素選択性イオン交換樹脂を充填した吸着塔に空間速度SV=20(/H)にて通水して、海水中のホウ素成分濃度を1mg/Lとした。この炭酸濃度とホウ素成分濃度を低減させた海水に、水酸化カルシウム(粒径:350メッシュ以下)の濃度が15質量%の石灰乳(水酸化カルシウムスラリー)を、海水中のマグネシウム100モルに対してカルシウム量85モルとなる量にて添加して、水酸化マグネシウムを生成した。次いで、シックナーを用いて水酸化マグネシウムを沈降濃縮して、濃度35質量%の水酸化マグネシウムスラリーを得た。この水酸化マグネシウムスラリーを工業用水で洗浄し、再度シックナーにて濃度35質量%に濃縮した。この水酸化マグネシウムスラリーをろ過脱水した後、200℃の温度で乾燥して水酸化マグネシウム粉末を得た。得られた水酸化マグネシウム粉末の粒子形状を電子顕微鏡を用いて観察したところ、板状であり、その平均粒子径は0.5μmであった。また、この水酸化マグネシウム粉末は、1400℃での灼熱後の酸化マグネシウム含有量が99.5質量%であった。
【0031】
(2)酸化マグネシウム粉末の製造
上記の水酸化マグネシウム粉末をロータリー型間接キルンを用いて、420℃の温度で30分焼成して酸化マグネシウムを得た。得られた酸化マグネシウムのペリクレース結晶粒子の平均粒子径、板状一次凝集体の平均粒子径、二次凝集体の最大粒子径、比表面積、及び1400℃で灼熱後の化学組成を、表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2005000840
(1)ペリクレース結晶子の平均結晶子径:粉末X線回折法(内部標準物質にシリコンを使用)により測定した。
(2)板状一次凝集体の平均粒子径:電子顕微鏡を用いた画像解析法により測定した。
(3)二次凝集体の最大粒子径:エタノールに試料を投入し、超音波にて試料を分散させた後、レーザー回折粒度分布測定装置により測定した。
(4)比表面積:BET法により測定した。
(5)1400℃で灼熱後の化学組成:試料を1400℃の温度で1間加熱して、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、シリカ(SiO)、及びアルミナ(Al)の含有量を定量した。
【0033】
[実施例1]
図1に示した排水処理システムを用いて、フッ素含有排水(フッ素濃度100mg/L)の処理を行なった。フッ素含有排水を、カルシウム化合物混合槽11(容量:100L)に100L/時間の流量にて導入し、これに消石灰(JIS特号消石灰)を排水1L当たり0.25g添加した。次いで、消石灰を添加したフッ素含有排水を第一沈殿槽12(容量:3000L)に導入した。カルシウム化合物混合槽11及び第一沈殿槽12のフッ素含有排水には、そのpHが4〜9の範囲となるように塩酸を添加した。第一沈殿槽12にて回収した沈殿物の化学組成を分析した結果、その主成分はフッ化カルシウムであることが確認された。
【0034】
第一沈殿槽12にて、フッ化カルシウムを除去した排水(第一処理排水)を、酸化マグネシウム粉末混合槽13(容量:20L)に導入し、第一処理排水1L当たり2gの酸化マグネシウム粉末を添加した。次いで、酸化マグネシウム粉末を添加した第一処理排水を、第二沈殿槽14(容量:120L)に導入した。
第二沈殿槽14にて回収した沈殿物を一時貯槽15(容量:500L)に導入し、一旦貯留した後、フッ素含有排水に添加して溶解させた。沈殿物が溶解したフッ素含有排水は、カルシウム化合物混合槽11に導入した。第二沈殿槽14にて回収した沈殿物の化学組成を分析した結果、その主成分は酸化マグネシウムであり、微量のフッ素の存在も確認された。
【0035】
上記の操作を48時間連続的に行なった後、第一沈殿槽12にて回収した不溶物の化学組成を分析した結果、その主成分はフッ化カルシウムであり、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物はほとんど混入していないことが確認された。また、第一処理排水及び第二処理排水のフッ素濃度を測定したところ、第一処理排水は20mg/L、第二処理排水は0.2mg/Lであった。
【0036】
[実施例2]
図2に示した排水処理システムを用いて、フッ素含有排水(フッ素濃度100mg/L)の処理を行なった。フッ素含有排水を、カルシウム化合物混合槽21(容量:100L)に100L/時間の流量にて導入し、これに消石灰(JIS特号消石灰)を排水1L当たり0.25g添加した。次いで、消石灰を添加したフッ素含有排水を第一沈殿槽22(容量:3000L)に導入した。カルシウム化合物混合槽21及び第一沈殿槽22のフッ素含有排水には、そのpHが4〜9の範囲となるように塩酸を添加した。第一沈殿槽22にて回収した沈殿物の化学組成を分析した結果、その主成分はフッ化カルシウムであることが確認された。
【0037】
第一沈殿槽22にて、フッ化カルシウムを除去した排水(第一処理排水)を、酸化マグネシウム粉末混合槽(容量:20L)23に導入し、第一処理排水1L当たり0.4gの酸化マグネシウム粉末を添加した。次いで、酸化マグネシウム粉末を添加した第一処理排水を、反応槽24(容量:60L)に導入し、酸化マグネシウム粉末濃度が10g/Lとなるように、酸化マグネシウム粉末をさらに添加した。この酸化マグネシウム粉末を添加した第一処理排水を、第二沈殿槽(容量:120L)25と回収槽26(容量:100L)に、それぞれ体積比(第二沈殿槽:回収槽)で4:96となるように導入した。
【0038】
第二沈殿槽25にて回収した沈殿物を一時貯槽27(容量:500L)に導入し、一旦貯留した後、フッ素含有排水に添加して溶解させた。沈殿物が溶解したフッ素含有排水は、カルシウム化合物混合槽21に導入した。回収槽26にて回収した沈殿物は、反応槽24に返送し、上澄み水は第二沈殿槽25に導入した。反応槽24への沈殿物の返送を開始してから、反応槽24での酸化マグネシウム粉末の添加を止めた。第二沈殿槽25及び回収槽26にて回収した沈殿物の化学組成を分析した結果、その主成分は酸化マグネシウムであり、微量のフッ素の存在も確認された。
【0039】
上記の操作を48時間連続的に行なった後、第一沈殿槽22にて回収した沈殿物の化学組成を分析した結果、その主成分はフッ化カルシウムであり、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物はほとんど混入していないことが確認された。また、第一処理排水及び第二処理排水のフッ素濃度を測定したところ、第一処理排水は20mg/L、第二処理排水は3mg/Lであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のフッ素含有排水の処理方法によれば、フッ素濃度を高度に低減することができる。また、フッ素吸着剤として用いられる酸化マグネシウム粉末は、その全量が排水に溶解されるので、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどのマグネシウムなどの化合物マグネシウム化合物がスラッジとしてほとんど発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うフッ素含有排水の処理方法を行なうシステムの一例を説明するフローチャートである。
【図2】本発明に従うフッ素含有排水の処理方法を行なうシステムの別の一例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に従うフッ素含有排水の処理方法を行なうシステムのさらに別の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
11 カルシウム化合物混合槽
12 第一沈殿槽
13 酸化マグネシウム粉末混合槽
14 第二沈殿槽
15 一時貯槽
21 カルシウム化合物混合槽
22 第一沈殿槽
23 酸化マグネシウム粉末混合槽
24 反応槽
25 第二沈殿槽
26 回収槽
27 一時貯槽
31 カルシウム化合物混合槽
32 第一沈殿槽
33 酸化マグネシウム粉末混合槽
34 第二沈殿槽
35 抜き取り槽
36 一時貯槽

Claims (8)

  1. 下記の工程からなるフッ素含有排水の処理方法:
    (1)フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させ、次いでフッ化カルシウムを除去することにより、フッ素濃度が低減された第一処理排水を得る工程;
    (2)第一処理排水に酸化マグネシウム粉末を添加して、酸化マグネシウム粉末に排水中のフッ素を吸着させる工程;
    (3)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末と排水とを分離することによりフッ素濃度がさらに低減された第二処理排水を得る工程;
    (4)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末を(1)の工程を実施する前のフッ素含有排水に溶解させる工程;
    (5)酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水を(1)の工程に送る工程。
  2. (1)の工程をフッ素含有排水のpHを4〜9の範囲に調整しながら行なうことを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  3. (3)の工程にて発生したフッ素吸着酸化マグネシウム粉末の一部を、(2)の工程の第一処理排水に添加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  4. (2)の工程において、第一処理排水に添加する酸化マグネシウム粉末が、平均結晶子径が1〜20nmの範囲にあるペリクレース結晶子の凝集体であって、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状一次凝集体を含み、比表面積が80m/g以上であり、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上である酸化マグネシウム粉末であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  5. 下記の工程からなるフッ素含有排水の処理方法:
    (1)フッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させ、次いでフッ化カルシウムを除去することにより、フッ素濃度が低減された第一処理排水を得る工程;
    (2)第一処理排水に酸化マグネシウム粉末を添加して、酸化マグネシウム粉末に排水中のフッ素を吸着させる工程;
    (3)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末と排水とを分離することによりフッ素濃度がさらに低減された第二処理排水を得る工程;
    (4)フッ素吸着酸化マグネシウム粉末を(2)の工程の第一処理排水に添加する工程。
  6. (1)の工程をフッ素含有排水のpHを4〜9の範囲に調整しながら行なうことを特徴とする請求項5に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  7. (2)の工程にてフッ素吸着酸化マグネシウム粉末の一部を抜き取って、(1)の工程を実施する前のフッ素含有排水に溶解させ、酸化マグネシウム粉末が溶解したフッ素含有排水を(1)の工程に送る工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  8. (2)の工程において、第一処理排水に添加する酸化マグネシウム粉末が、平均結晶子径が1〜20nmの範囲にあるペリクレース結晶子の凝集体であって、平均粒子径が0.1〜5μmの範囲にある板状一次凝集体を含み、比表面積が80m/g以上であり、1400℃で灼熱後の酸化マグネシウム含有量が98.0質量%以上である酸化マグネシウム粉末であることを特徴とする請求項5に記載のフッ素含有排水の処理方法。
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