JP2007137716A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課 題】SiOおよびCaOを含有する廃棄物、特に、従来ではゼオライトの合成が困難とされているCaO含有率が23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰から工業的有利にゼオライトを製造する方法の提供。
【解決手段】SiOおよびCaOを含有する廃棄物をCa分抽出処理に付して、該廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を下げる第1の工程と、第1の工程で得られる廃棄物処理物を、アルカリ水溶液とともに加熱することによりゼオライトを生成させる第2の工程を含むことを特徴とするゼオライトの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、SiOおよびCaOを含有する廃棄物、特にペーパースラッジ焼却灰からゼオライトを製造する方法に関する。
従来より、ペーパースラッジ焼却灰をアルカリおよび加熱処理することによりゼオライトを製造する方法が知られている(特許文献1および2)。また、ペーパースラッジ焼却灰以外の原料として、特許文献3にはフライアッシュ、特許文献4には真珠岩、特許文献5には珪酸やアルミニウムを含む物質もしくはスラッジ焼却灰に珪酸富化剤の1種または2種を添加した混合物などが知られている。
しかしながら、従来法では、CaOを主成分として含む廃棄物、特にCaO含有率23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰からは、Ca2+イオンがゼオライト骨格構造形成を妨害する、焼却時に生成したゲーレナイトからのSiおよびAlの溶解量が少ないなどの理由により、ゼオライトを製造することが困難であり、ソーダライトが若干製造できる程度であった。そのため、従来法では、ゼオライトを製造するために、CaO含有率23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰に、シリカを新たに加えたりしなければならず、リサイクルや廃棄物の有効利用の点からも満足のいくものではなく、また、コストの面からも満足のいくものではなかった。
なお、非特許文献1によって、CaO含有率のゼオライト合成に与える影響は既に報告されており、ゼオライト合成に適するペーパースラッジ焼却灰のCaO含有率が、次の(1)〜(4)のとおり区分して提案されている。
(1)CaO含有率が15.2重量%以下のペーパースラッジ焼却灰はゼオライト合成に適し、高機能のゼオライト(LTA、FAU、PHI)が生成する。
(2)CaO含有率が15.2〜23.1重量%のペーパースラッジ焼却灰は主にヒドロキシソーダライト(SOD)の合成が可能である。
(3)CaO含有率が23.1〜38.0重量%のペーパースラッジ焼却灰はゼオライト合成が困難である。
(4)CaO含有率が38.0重量%以上のペーパースラッジ焼却灰はゼオライト合成が不可能である。
特開2004−224687号公報 特開2004−182538号公報 特開2002−201021号公報 特開2002−179424号公報 特開2001−220132号公報 特開2001−179208号公報 安藤ら,紙パ技協誌,第57巻第7号,p.101−111,2003
本発明は、SiOおよびCaOを含有する廃棄物、特に、従来ではゼオライトの合成が困難とされているCaO含有率が23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰から工業的有利にゼオライトを製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、SiOおよびCaOを含有する廃棄物からゼオライトを製造する方法において、該廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を下げることにより、工業的有利にゼオライトを製造できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1] SiOおよびCaOを含有する廃棄物をCa分抽出処理に付して、該廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を下げる第1の工程と、第1の工程で得られる廃棄物処理物をアルカリ水溶液とともに加熱することによりゼオライトを生成させる第2の工程を含むことを特徴とするゼオライトの製造方法、
[2] 第1の工程を、SiOおよびCaOを含有する廃棄物を、弱塩基と強酸の塩を含有する水溶液に接触させて、該廃棄物中のカルシウム分をカルシウム強酸塩として水溶液中に移行させることにより行う前記[1]に記載の製造方法、
[3] 弱塩基と強酸の塩が、塩化アンモニウムまたは硝酸アンモニウムである前記[2]に記載の製造方法、
[4] さらに、水溶液中に移行したカルシウム強酸塩を、炭酸ガスを含む気体を用いて炭酸カルシウムとして除去し、除去された水溶液を第1の工程に循環させる前記[2]または[3]に記載の製造方法、
[5] 廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を20%以上下げることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法、
[6] 廃棄物がペーパースラッジ焼却灰である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、および
[7] ペーパースラッジ焼却灰としてCaO含有率23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰を用いる前記[6]に記載の製造方法、
に関する。
本発明により、SiOおよびCaOを含有する廃棄物から工業的有利にゼオライトを製造することができる。また、本発明は、従来法のようにシリカを新たに添加する必要がなく、リサイクル性や有効利用性において優れている。さらに、本発明によれば、ゼオライトの合成が困難あるいは不可能とされていたCaO含有率が23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰からでも、ゼオライトを好適に製造することができる。
本発明のゼオライトの製造方法は、SiOおよびCaOを含有する廃棄物を、該廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を下げる第1の工程に付し、ついで得られた廃棄物処理物を、アルカリ水溶液とともに加熱することによりゼオライトを生成させる第2の工程に付すことを特徴とする。
(第1の工程)
前記の第1の工程は、SiOおよびCaOを含有する廃棄物のSiOに対するCaOの含有比率を下げる工程である。
前記のSiOおよびCaOを含有する廃棄物としては、本発明の目的を阻害しない限りにおいては特に限定されないが、CaOを多く含有する廃棄物であるのが好ましく、例えば、スラグ、廃コンクリート、焼却灰などが好適な例として挙げられる。
前記のスラグは、例えば製鉄所等から発生する高炉スラグおよび製鋼スラグを含み、例えば2CaO・SiOあるいは3CaO・SiOを主組成とし、CaO含有率は高炉スラグで約30重量%、製鋼スラグで約18〜40重量%である。年間排出量(日本、2001年度)は高炉スラグ約2,330万トン、製鋼スラグ約1,372万トンとされている。
前記の廃コンクリートは、例えば建築廃棄物等の一つとして廃棄されたコンクリート廃棄物を含み、例えばこの主組成は3CaO・2SiO・3HOである。年間排出量は約3,500万トンとされている。この結果、都市には多量のコンクリート構造物が毎年蓄積されている。また、日本においては高度成長期に建設された建造物が、近い将来更新時期を迎えると予想されており、建て替え需要の増加により、コンクリート消費量およびコンクリート廃棄量の大幅な増加が今後問題になると言われている。この膨大な量の廃棄されるコンクリートが本発明によって有効利用される。
前記の焼却灰としては、例えば製紙工場等から発生するペーパースラッジ焼却灰、火力発電所から発生する石炭灰(フライアッシュ)、または汚泥、都市ゴミ等の焼却灰等を挙げることができる。これらの焼却灰はCaO、SiO、Al等を主成分とし、例えばCaO含有率はペーパースラッジ焼却灰で約1〜70重量%(平均約30重量%)、フライアッシュのうち高含有率のもので約10〜30重量%、都市ゴミ焼却灰は約17〜40重量%程度である。年間排出量(日本、2000年度)はペーパースラッジ焼却灰として約89万トン、フライアッシュとして約630万トン、都市ゴミ焼却灰として約600万トンとされている。
なお、前記の廃棄物は焼却灰が好ましく、ペーパースラッジ焼却灰がより好ましい。
前記の廃棄物のCaO含有率は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、通常10重量%以上であり、例えば、前記の廃棄物がペーパースラッジ焼却灰である場合には、好ましくは23.1重量%以上であり、より好ましくは25〜35重量%である。
また、前記の廃棄物のSiOに対するCaOの含有比率は89%以上であるのが好ましい。なお、前記の廃棄物のCaO含有率およびSiO含有率は、下記実施例1の(1)に記載の方法に従い求められ、前記の廃棄物のSiOに対するCaOの含有比率は下式により求められる。
本工程では、前記の廃棄物に対してCa分抽出処理を行って、該廃棄物のSiOに対するCaOの含有比率を下げる。かかる処理方法としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、廃棄物のカルシウム分を選択的に抽出する方法が好適な例として挙げられ、より具体的には、SiOおよびCaOを含有する廃棄物を、弱塩基と強酸の塩から得られる水溶液に接触させることにより、該廃棄物中のカルシウムを水溶性のカルシウム強酸塩として水溶液中に移行させる方法が挙げられる。本工程では、このような好適な処理を繰り返し行ってもよく、繰り返し行うことにより、廃棄物処理物中のSiOに対するCaOの含有比率を所望の含有比率まで下げることができる。
また、本工程では、前記の廃棄物としてSiOに対するCaOの含有比率が89%以上の廃棄物を用いる場合には、前記の廃棄物処理物のSiOに対するCaOの含有比率を74%以下とするのが好ましく、65%以下とするのがより好ましく、50%以下とするのが最も好ましい。また、廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率は、20%以上下げるのが好ましく、30%以上下げるのがより好ましく、40%以上下げるのが最も好ましい。
前記の弱塩基と強酸の塩は、弱塩基と強酸から形成される塩であれば特に限定されず、弱塩基と強酸とから形成される塩としては、例えば、NHCl、NHNO、Cu(NO2、CuCl、MgCl、Mg(NO、Zn(NO2、Fe(NO、AlCl、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン等が挙げられる。これらの内、NHCl、NHNO、Cu(NOが好ましく、NHClまたはNHNOがより好ましい。
前記のカルシウム強酸塩を生成させる際の反応温度は、好ましくは20〜90℃、より好ましくは60〜80℃であり、反応時間は、好ましくは0.25〜2時間、より好ましくは1〜2時間である。
また、前記の水溶液中に移行したカルシウム強酸塩を、炭酸ガスを含む気体を用いて炭酸カルシウムとして除去し、除去した後の水溶液を第1の工程に循環させることができる。より具体的には、炭酸ガスを含む気体を第1の工程で得られた水溶液中に導入することにより、該気体中の炭酸ガスが前記の水溶液中に存在する弱塩基と反応して弱塩基の炭酸塩が生成し、ついで該弱塩基の炭酸塩と該カルシウム強酸塩とが反応して炭酸カルシウムが生成する。生成した炭酸カルシウムは固相として除去することができる。除去された水溶液は第1の工程に循環させる。
前記の炭酸ガスを含む気体は、炭酸ガス(CO)を含んでさえいれば特に限定されず、燃焼廃棄ガス、あるいは火力発電所、製鉄プラントおよびセメントプラント等から発生する排気ガスを含む。排気ガス中の主成分含有量は、一概には言えないが、例えば石油を燃料とする火力発電設備からの排ガス(脱硫装置出口における排ガスで、排ガス温度:約60℃、排ガス圧力:大気圧)の場合、炭酸ガスが約12〜13容積%(ドライベース)、酸素が約2〜4容積%(ドライベース)、水が約9〜11容積%(ウェットベース)および残りが窒素である排ガスが一般的である。しかしながら、このような一般的な排ガスに限られるものではなく、前記の炭酸ガスを含む気体は、種々の製造設備から排出される炭酸ガス含有排ガスが含まれる。
以下、炭酸ガスを含む気体を用いて水溶液中に移行したカルシウム強酸塩を炭酸カルシウムとする場合の一実施態様を説明する(図1参照)。反応容器1(図中の符号1)に入れた弱塩基と強酸から形成される塩の水溶液中に前記の廃棄物を投入し、撹拌を行う。塩、水および前記の廃棄物の混合比率は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、あえて好ましい一例を挙げると、重量比約1:15:1である。前記の塩の水溶液の温度は、通常約室温〜100℃、好ましくは約60〜80℃である。この好ましい塩の水溶液の温度は比較的低温であるから、該温度に低品位廃熱を利用することができる。また、通常、一般の工場から排出される炭酸ガス含有排ガスの温度は約100〜200℃であるので、そのような排ガスを利用する場合には液を特に温める必要はない。尚、加熱によって発生するNHは常法によって回収され、再使用され得る。例えば、水、塩としてNHCl、前記の廃棄物として製鋼スラグ(主組成として2CaO・SiOあるいは3CaO・SiO)を用いた場合、次のような反応が起こっていると考えられる。
NHCl→NH↑+HCl ・・・(1)
2CaO・SiO+4HCl→SiO↓+2CaCl+2HO ・・・(2)
Ca(OH)+2HCl→CaCl+2HO ・・・(3)
NH + HO → NHOH ・・・(4)
なお、前記式(3)の「Ca(OH)」は、2CaO・SiO(あるいは3CaO・SiO)が、HOと反応することによって生成し得る。ここで沈殿したSiOを常法により系外に分離し、CaClおよびNHOH(いずれも水溶液)を別に設けた反応容器2(図1中の符号2)に、反応容器1および反応容器2の間に設けた連通管4(図1中の符号4)を通して送り込む。反応容器2において、吹き込まれた炭酸ガスを含む気体を、連通管4(図1中の符号4)を通して送り込まれたNHOH/CaCl水溶液系と接触させる。反応容器2において、次のような反応が起こっていると考えられる。
2NHOH+CO→(NHCO+HO ・・・(5)
(NHCO+CaCl→CaCO↓+2NHCl ・・・(6)
生成したCaCOは常法により系外に取り出され、同時に生成したNHClは反応容器1および反応容器2の間に設けられた別の連通管5(図1中の符号5)を通して反応容器1に返送される。このようにしてNHClはリサイクルされて繰り返し使用される。
また、本工程において、炭酸ガスのほかに例えばSO、NO等の有害物質を含む排気ガスを利用する場合には、反応容器1中においてSO、NOがHClと共に酸として働き、廃棄物の溶解反応の促進に寄与すると同時に、例えばSOがCaSO(石膏)として固定化されるので、排気ガスが無害化されるという利点がある。
かくして第1の工程で得られた廃棄物処理物は、従来のSiOおよびCaOを含有する廃棄物とは異なり、SiOに対するCaOの含有比率が低い組成となっている。このようにして、前記の廃棄物を、前記の廃棄物に比べてSiOの組成割合が増え、かつCaOの組成割合が減った廃棄物処理物とすることにより、従来から製造困難とされてきたCaOを多く含有する廃棄物からであっても、好適に良質のゼオライトを合成することができるようになる。
(第2工程)
本工程では、第1の工程により得られた廃棄物処理物を、アルカリ水溶液とともに加熱して、ゼオライトを生成させる。
本工程に用いられるアルカリ水溶液としては、たとえば、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液又は水酸化セシウム水溶液等の水酸化アルカリ水溶液などが挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液が好ましい。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、通常0.5〜4.5モル%、好ましくは1〜4モル%である。
本工程では、常法に従い、前記の第1の工程により得られた廃棄物処理物と、前記のアルカリ水溶液とを混合して加熱するが、前記の廃棄物処理物と前記のアルカリ水溶液との配合割合は、好ましくは前記のアルカリ水溶液に対して、前記の廃棄物処理物5〜15重量%となる割合であり、加熱温度は、通常70〜200℃であり、好ましくは90℃〜130℃である。加熱時間は、通常3〜168時間であり、好ましくは4〜24時間である。
かくしてSiOおよびCaOを含有する廃棄物から良質のゼオライトが得られる。
(実施例1)
(1)強酸と弱塩基の塩を含んだ水溶液によるペーパースラッジ焼却灰からのカルシウム分の選択的抽出
100mlのなす型フラスコに40mlの水を入れ、これに、2.2044gのNHCl(和光純薬工業株式会社、試薬特級、No.017−02995)を添加して攪拌した(NHCl濃度:約1.02N)。NHClが溶解した後、混合溶液に、表1の実施例1の抽出回数0に示す組成の3gのペーパースラッジ焼却灰粉末を添加して、均一になるように攪拌し、反応スラリーとした。
その後、反応スラリーの入ったフラスコを80℃に保った水浴(Fine社製、FWB−24S)中に浸漬し、クランプにより固定しながらマグネチックスターラー(Magnetic Stirrer、Fine社製、F−201N)により攪拌しながら1時間溶解反応を行った。このときフラスコ内にテフロン製で長さ10mmの棒形のものを投入し反応スラリーの攪拌を行った。なお、溶解反応時には反応容器を密閉して反応を行った。
反応終了後、下記の手順i)〜iv)にて、未反応ペーパースラッジ焼却灰等の固体(PS焼却灰処理物)と溶液を分離し、溶液中に溶解抽出した各成分をプラズマ発光分析(ICP)により定量した。
(ICPの測定方法の手順)
i)反応後の懸濁液を速やかに0.2μmのメンブランフィルター(Millipore社製、47mmφ)によりろ過し、ろ液を得た。
ii)ろ液を蒸留水により20倍希釈して、20倍希釈液を調製した。さらに、20倍希釈液を蒸留水により40倍希釈し、トータル800倍の希釈液を調製した。
iii)Ca、Mg、Al、Fe、Mnなどの陽イオン分析は800倍希釈液を用い、P、Siなどの陰イオン分析は20倍希釈液を用いた。
iv)ICP分析装置はICPS−7000Ver.2(株式会社島津製作所)を用いた。
なお、抽出処理する前のペーパースラッジ焼却灰の各成分の含有率は、Si、Fe、P、Ca、Mg、Alの各元素について分析することにより求めた。それぞれの分析法としては、各元素に対する感度および濃度に応じた分析法を適宜選択した。すなわち、Fe、P、Mgは誘導結合プラズマ発光分光分析法(JIS G1258準拠)、Si、Ca、Alは蛍光X線分析法(JIS M8205準拠)をそれぞれの分析法として選択した。
以上の分析結果から、表1に示されるように、抽出残渣に含まれる各成分の含有比率を求めた。また、表1の実施例1の抽出回数1、3および5に示すように、残渣中のSiOに対するCaOの含有比率が50%以下となるまで上記の抽出操作を繰り返した。
(2)カルシウム分抽出後のペーパースラッジ焼却灰処理物を用いたゼオライト合成
ペーパースラッジ焼却灰(PS焼却灰)および前記(1)で得られたPS焼却灰処理物のそれぞれをアルカリ水溶液とともに加熱することによりゼオライト化させた。ゼオライト化反応は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた水熱合成法によって行った。
すなわち、還流冷却器付き100mlなす型フラスコに、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社、特級試薬)を用いて調製した3M NaOH水溶液10mlと、前記(1)で得られたPS焼却灰処理物1gあるいは比較用にPS焼却灰を加え、オイルバス中(Fine社製、FWB−240)にて、90℃で4時間攪拌還流し、ゼオライト化反応を行った。
反応終了後、50ml容器にて遠心分離(日立工機株式会社製、CF16RX、10000rpm・15分間)して反応生成物を回収し、さらに蒸留水を加えて遠心分離した。上澄み液がpH8以下になるまでこの洗浄操作を繰り返し行い、60℃で12時間乾燥させてゼオライト化生成物を得た。
ゼオライト化生成物の同定は、CuKα線を用い、粉末X線回折装置(理学電機工業株式会社製、RINT2000)を使用して行った。(I)実施例1の抽出回数0のPS焼却灰、(II)実施例1の抽出回数0のPS焼却灰をゼオライト化したもの、および(III)実施例1の抽出回数5のPS焼却灰処理物をゼオライト化したものについてのXRDパターンを図2に示す。
図2から次のことがわかる。すなわち、抽出処理前のPS焼却灰からは、ゲーレナイトおよびタルクに帰属される回折ピークが観察される。抽出処理前のPS焼却灰からのゼオライト化生成物の回折パターンには、ゲーレナイトおよびタルクに起因する回折ピークの他にヒドロキシソーダライト(SOD)のピークが観察されたが、SODのピーク強度は低く、SODはごくわずかにしか生成しなかった。一方、抽出処理を5回行ったPS焼却灰処理物からのゼオライト化生成物の回折パターンには、A型ゼオライト(LTA)およびSODに帰属されるピークが観察された。SODと比較してLTAのピーク強度は大きく現れており、高機能なゼオライトであるLTA型ゼオライトが多く生成していることがわかる。
(実施例2〜3)
また、下記表1に示すように、実施例1で用いたペーパースラッジ焼却灰とは発生源が異なるペーパースラッジ焼却灰を用いたこと、および残渣のSiOに対するCaOの含有比率が74%以下となるように抽出回数を3と設定したこと以外、実施例1と同様にして、ゼオライトを製造した。
以上より、ゼオライトの製造が困難であったPS焼却灰をCa分抽出処理して、PS焼却灰中のSiOに対するCaOの含有比率を下げることにより、ゼオライト合成に適した材料に転換できることが明らかとなった。
また、SiOに対するCaOの含有比率は生成するゼオライトの種類および量に影響を及ぼし、前掲の表1に示したとおり、PS焼却灰を第1の工程に付すことにより、CaO含有率は29.29〜31.78重量%から20.43〜28.33重量%に減少する。一方、SiOなどの含有比率は上昇する。
前記の実施例では、CaO含有率23.1重量%以上に属する組成をもつPS焼却灰(例えば、実施例1の抽出回数0のPS焼却灰、CaO含有率31.78重量%)を抽出処理することでLTAを好適に合成できた。ゼオライト合成に不適とされているPS焼却灰をゼオライト化する際に、SiOを新たに添加することなく高機能なゼオライトに転換することができることが明らかとなり、本発明のゼオライトの製造方法はPS焼却灰の有効利用方法として特に有用である。
本発明により、SiOおよびCaOを含有する廃棄物、特に、従来ではゼオライトの合成が困難とされているCaO含有率が23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰から工業的有利にゼオライトを製造することができる。
炭酸ガスを含む気体を用いて水溶液中に移行したカルシウム強酸塩を炭酸カルシウムとする場合の第1の工程の一実施態様の概略図面である。 (I)実施例1の抽出回数0のペーパースラッジ焼却灰(PS焼却灰)、(II)実施例1の抽出回数0のペーパースラッジ焼却灰をゼオライト合成したもの、および(III)実施例1の抽出回数5の廃棄物処理物をゼオライト合成したものについてのXRDパターンを示す図である。
符号の説明
1 反応容器1(ここで、スラグが溶解されカルシウム強酸塩が抽出される。沈殿物(SiO等)が回収される。)
2 反応容器2(ここで、炭酸ガスが固定化され、CaCOが沈殿物として分離される。)
3 NHCl水溶液
4 反応容器1から反応容器2への連通管
5 反応容器2から反応容器1への連通管
6 炭酸ガス含有ガス導入ポンプ
7 スラグ投入口
8 溶液温度調整装置
9 沈殿物CaCO取り出し口
10 沈殿物SiO取り出し口

Claims (7)

  1. SiOおよびCaOを含有する廃棄物をCa分抽出処理に付して、該廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を下げる第1の工程と、第1の工程で得られる廃棄物処理物をアルカリ水溶液とともに加熱することによりゼオライトを生成させる第2の工程を含むことを特徴とするゼオライトの製造方法。
  2. 第1の工程を、SiOおよびCaOを含有する廃棄物を、弱塩基と強酸の塩を含有する水溶液に接触させて、該廃棄物中のカルシウム分をカルシウム強酸塩として水溶液中に移行させることにより行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 弱塩基と強酸の塩が、塩化アンモニウムまたは硝酸アンモニウムである請求項2に記載の製造方法。
  4. さらに、水溶液中に移行したカルシウム強酸塩を、炭酸ガスを含む気体を用いて炭酸カルシウムとして除去し、除去された水溶液を第1の工程に循環させる請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 廃棄物中のSiOに対するCaOの含有比率を20%以上下げることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 廃棄物がペーパースラッジ焼却灰である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. ペーパースラッジ焼却灰としてCaO含有率23.1重量%以上のペーパースラッジ焼却灰を用いる請求項6に記載の製造方法。
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KR20230062969A (ko) * 2021-11-01 2023-05-09 한국해양대학교 산학협력단 간접탄산화 공정에서 발생하는 잔류부산물을 이용한 제올라이트-p 합성 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102649207B1 (ko) 2021-11-01 2024-03-19 국립한국해양대학교산학협력단 간접탄산화 공정에서 발생하는 잔류부산물을 이용한 제올라이트-p 합성 방법

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