JP4584185B2 - ホウ素含有排水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

ホウ素含有排水の処理方法及び処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、石炭火力発電所の排煙脱硫排水やごみ焼却場洗煙排水、ニッケルめっき工場排水、ガラス製造工場排水等のホウ素含有排水の処理に関し、より詳しくは、アルミニウム化合物とカルシウム化合物とを加え、アルカリ性に調整して生成する不溶性析出物を固液分離し、ホウ素を処理する方法に関する。
従来、ホウ素含有排水の凝集沈殿処理として、硫酸アルミニウム等のアルミニウム化合物と消石灰等のカルシウム化合物を加え、pH9以上のアルカリ性で反応させ、生成する不溶性析出物を分離して処理する方法が知られている(特許文献1、参照)。
アルミニウム化合物を水中に溶解させ、アルカリ性に調整するとアルミン酸イオンの状態で溶解する。アルミン酸イオンはカルシウムと反応しやすく、アルミン酸カルシウムと呼ばれる白色の不溶性析出物を生成する。従ってホウ素は、アルミニウムとカルシウムがアルカリ条件下で反応し、アルミン酸カルシウムと思われる不溶性析出物を生成する際に吸着、または結晶中に取り込まれるなどして除去されるものと考えられている。
また、アルミニウム薬剤として硫酸アルミニウムを用いる場合に処理性が良くなることから、硫酸イオンに処理性改善の効果があること、更にアルミニウムイオン、カルシウムイオン、硫酸イオンの最適な存在比率が存在することも報告されている(例えば、特許文献2、参照)。
さらに、特許文献3には、ホウ素を含んだ排水の処理方法に関し、ホウ素を含んだ排水にアルミニウム塩、難溶性のカルシウム塩及び消石灰を添加してpHが8以上となるように調節する方法が開示されている。
そこで、本発明者らは、アルミニウム化合物とカルシウム化合物を用いたホウ素含有排水について詳細に検討を行った結果、以下の3点(イ)、(ロ)、及び(ハ)を知見した。
まず、(イ)特にホウ素濃度が数百mg/L以下の排水を処理する場合には、従来“最適比率”と報告されていたアルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの比率(モル比1:4.5:1.5)では、処理性が不十分であり、カルシウムがより少ない条件の方が好ましいこと。
次に、(ロ)アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの最適比率は、一義的に決められるものではなく、カルシウムと難溶性物質を形成しやすい物質、例えばフッ化物イオン、炭酸イオン、リン酸イオンなどが排水中に含まれている場合には大きく変わること。
ただし、(ハ)最適なアルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの比率では、添加したアルミニウムが不溶化し切れずに処理水中に残留する場合があること。すなわち固液分離後の処理液を中和する工程で、残留アルミニウムが水酸化アルミニウムとなって析出し、処理水に濁りを発生させる要因となるため、懸濁物質(SS)の排水規制を超過する可能性が発生すること。
また、従来の添加比率における方法では、薬剤の添加比率から外れた場合の対策についての検討が不十分である。すなわち、カルシウム薬剤として一般に用いられる消石灰は、粉体もしくは水と混合してスラリー状で供給するのが一般的であるが、液体ではないため定量的に供給することが難しい。すなわち常時最適比率で供給することが設備上困難であるから、最適比率から外れた場合の対応方法を考慮しておくことが好ましいと言える。
特開2001−187386号公報 特開2002−233881号公報 特開2004−283731号公報
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、その目的は、カルシウムと難溶性物質を形成しやすい物質が共存している場合も含め、特に排水中ホウ素濃度が数百mg/L以下の場合に、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの最適比率を明確にするとともに、添加したアルミニウムの処理水への流出を防止する方法、ならびにカルシウムの供給量が最適比率から外れた場合であっても良好に処理することができ、かつ汚泥発生量も少量となる効率的なホウ素処理方法とそれに用いる処理装置とを提供することにある。
本発明者らが、硫酸アルミニウムとカルシウム化合物によるホウ素含有排水の処理について詳細に検討した結果、以下の六点を新たに知見した。
第一の新しい知見は、ホウ素処理に寄与する不溶性析出物についてである。すなわち、硫酸アルミニウムとカルシウム化合物によるホウ素処理は、従来考えられていたアルミン酸カルシウム等の物質よりも、「カルシウムアルミネートトリサルフェート」が主に処理に寄与していることを知見した。このカルシウムアルミネートトリサルフェートは、3CaO・Al・3CaSO・32HOの組成を有し、示性式[Ca{Al(OH)24HO](SO2HOで表される物質である。
ホウ素の処理機構について、過去に報告された例はないが、発明者らの研究によるとカルシウムアルミネートトリサルフェートのホウ素含有率が高いほど、その結晶格子定数が低下する傾向が認められることから、結晶格子中のSO 2−の一部がB(OH) と置換する反応により処理されている可能性が高いと考えられる。その他に考えられる機構としては、結晶表面へのホウ素の吸着反応がある。カルシウムアルミネートトリサルフェートの構造式に従えば、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの比率は、モル比では「2:6:3」であり、重量比に換算すると「1:4.4:5.3」となる。
第二の新しい知見は、実際に添加すべきアルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの最適比率についてである。まず、アルミニウム化合物として硫酸アルミニウムAl(SOを用いた場合、アルミニウムの供給と同時に、カルシウムアルミネートトリサルフェートの組成比率と同じ割合で硫酸イオンが自動的に供給されるために、カルシウムとの比率のみを考慮すれば良いことになる。添加すべきカルシウム量は、カルシウムアルミネートトリサルフェート中のアルミニウムとカルシウムとの比率(重量比で「1:4.4」)に対し、最適比率はややカルシウムが多い方向へシフトし、「1:4〜1:6」の範囲が適し、より好ましくは「1:5」前後が最適であることを知見した。カルシウムがやや多い方向へシフトする理由は、カルシウム化合物が難溶性のものが多く完全に溶解しないことが理由と考えられる。
第三の新しい知見は、難溶性のカルシウム化合物の生成速度についてである。すなわち、カルシウムアルミネートトリサルフェートの生成反応よりも、フッ化カルシウム(CaF)、炭酸カルシウム(CaCO)、リン酸ハイドロキシアパタイト(Ca(POOH)の生成反応の方が速く進行すること、また排水中にこれらの物質が含まれている場合には、カルシウムがこれらの物質と反応し、その後未反応の余剰カルシウムがカルシウムアルミネートトリサルフェートの生成に寄与するために、最適比率を維持するためにはカルシウムの消費分を上乗せする必要があることを知見した。
従って、フッ素が含まれている場合は、Ca2++2F→CaFの反応式より、重量比でフッ素の1.05倍のカルシウムイオンを上乗せする必要がある。また、炭酸イオンが含まれている場合は、Ca2++CO 2−→CaCOの反応式より、重量比で炭酸イオンの0.67倍のカルシウムイオンを上乗せする必要がある。更に、リン酸イオンが含まれている場合は、5Ca2++3PO 3−+OH→Ca(POOHの反応式より、重量比でリン酸態リンの2.15倍のカルシウムイオンを上乗せする必要があることになる。
第四の新しい知見は、アルミニウムの不溶化が不十分となる現象についてである。すなわち、アルミニウムとカルシウムの最適比率「1:4〜1:6」とした場合には、アルミニウムはいったんほぼ完全に不溶化するが、その後時間とともにゆっくりアルミニウムが溶解することを知見した。
このアルミニウムの再溶解現象の理由は、不溶性析出物がアルカリ分(OH)とゆっくり反応する性質があり、それに伴ってpHが低下し、カルシウムアルミネートトリサルフェートの生成pH領域から逸脱する方向になるからと考えられる。
この再溶解現象は、固液分離工程として沈殿分離法を採用する場合で、かつ粒子の沈殿速度が遅いなどの理由で、滞留時間を数時間以上にする必要がある場合に特に問題となる。すなわち、沈殿分離後の上澄水はアルカリ性であるから、最終的に酸で中和する必要があるが、アルミニウムは中性では水酸化アルミニウムとなって析出する性質があるため、処理水が白濁してしまうという問題がある。
第五の新しい知見は、ホウ素の良好な処理性と、アルミニウムの不溶化の両方を実現する方法についてである。すなわち、アルミニウムとカルシウムとの最適比率「1:4〜1:6」で反応させた後に、カルシウム化合物を再度添加する工程を追加すれば、カルシウムの合計添加量は最適比率を上回るにも関わらず、ホウ素の良好な処理性は維持されること、また沈殿分離時間を長時間とした場合であっても、アルミニウムの残留を確実に防止できることを知見した。
第六の新しい知見は、カルシウムの添加量が最適比率より多い場合であっても、ホウ素を良好に処理できる方法についてである。すなわち、この場合はアルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの不溶化反応速度が最適比率の場合と比べて非常に緩慢にはなるが、時間をかければ十分に進行し、それに伴いホウ素を良好に処理できることを知見した。またこの場合に必要となる反応時間は、最低で2時間、好ましくは4時間以上、更に好ましくは12〜24時間程度であることを知見した。
即ち、本発明によれば、300mg/L以下のホウ素を含有する排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応工程と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離工程とを含むホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程は、アルミニウム、カルシウムの存在量を1:4〜1:6の重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、前記固液分離工程は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程の後に、高分子凝集剤を添加する凝集工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理方法において、前記固液分離工程の後、前記上澄液を酸で中和する中和工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
また、本発明によれば、300mg/L以下のホウ素とともに、フッ素、炭酸、及びリン酸のいずれか1種以上を含む排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応工程と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離工程とを含むホウ素含有排水の処理方法において、上記反応工程におけるアルミニウム、カルシウムの存在量を、下記の数1で示される重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、前記固液分離工程は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
Figure 0004584185
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程の後に、高分子凝集剤を添加する凝集工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理方法において、前記固液分離工程の後、前記上澄液を酸で中和する中和工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法が得られる。
また、本発明によれば、300mg/L以下のホウ素を含有する排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整した被処理液とする反応手段と、前記被処理液から生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離手段とを含むホウ素含有排水の処理装置において、前記反応手段は、被処理液中のアルミニウム、カルシウムの存在量を1:4〜1:6の重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、前記固液分離手段は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理装置において、前記反応手段の下流側に、前記被処理液中の不溶性析出物を凝集させる高分子凝集剤を添加するための凝集手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理装置において、前記固液分離手段の下流に、不溶性析出物が沈殿して固液分離した上澄液を酸で中和する中和手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
また、本発明によれば、300mg/L以下のホウ素とともに、フッ素、炭酸、及びリン酸のいずれか1種以上を含む排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応手段と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離手段とを含むホウ素含有排水の処理装置において、上記反応手段は、アルミニウム、カルシウムの存在量を、下記の数で示される重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、前記固液分離手段は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
Figure 0004584185
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理装置において、前記反応手段の下流側に、被処理液中に高分子凝集剤を添加して前記不溶析出物を凝集させるための凝集手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのホウ素含有排水の処理装置において、前記固液分離手段の下流に、前記不溶析出物が沈殿した上澄液を酸で中和する中和手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置が得られる。
本発明によれば、カルシウムと難溶性物質を形成しやすい共存物質が存在する場合も含め、特に排水中ホウ素濃度が数百mg/L以下の場合に、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの最適な量が明確となり、より少ない薬剤で、汚泥発生量も少量となるホウ素含有排水の処理方法及び処理装置を提供することができる。
また、本発明によれば、添加したアルミニウムが処理水へ流出することを防止し、処理水に濁りを防止できるホウ素含有排水の処理方法及び処理装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、カルシウムの供給量が最適比率から外れた場合であっても、ホウ素を良好に処理することができるホウ素含有排水の処理方法及び処理装置を提供することができる。
発明の実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて更に詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態を示した工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。図1を参照すると、ホウ素含有排水の処理装置は、反応槽10と、凝集槽20と、沈殿槽30と、中和槽40とを備えている。これらの各槽に各物質が投入され、また、取り出しを含む排出がなされる。
反応槽10には、ホウ素含有排水1が導入され、pH調整剤2,消石灰3,硫酸アルミニウム4が投入され、不溶析出物を生成する(反応手段)。ここで、アルミニウムとカルシウムとの比率1:4〜1:6の範囲で投入され、ホウ素含有排水1との反応生成物は、「カルシウムアルミネートトリサルフェート」を主成分としている。このカルシウムアルミネートトリサルフェートは、3CaO・Al・3CaSO・32HOの組成を有し、示性式[Ca{Al(OH)24HO](SO2HOで表され、水に不溶な析出物である。この構造式に従えば、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの比率は、モル比では「2:6:3」であり、重量比に換算すると「1:4.4:5.3」である。
凝集槽20には、反応槽10からの反応後のホウ素含有排水1が導入され、高分子凝集剤5が導入され、不溶析出物が凝集した状態となる(凝集手段)。
沈殿槽30は、高分子凝集剤5が投入された凝集槽20からのホウ素含有排水1が導入され、上澄水6と沈殿した不溶析出物であるカルシウムアルミネートトリサルフェートを主成分とした汚泥7とに分離される(固液分離手段)。
次に、具体的に本発明のホウ素含有排水の処理装置の処理工程について説明する。
図1を参照すると、ホウ素含有排水1は、まず反応槽10を備えた反応工程13に導入される。反応工程では、硫酸アルミニウム4と消石灰3を、重量比でAl:Ca=1:4〜1:6となるよう添加し、pH9以上に調整する。
反応工程13では白色の不溶性析出物が生成し、その析出物中にホウ素が吸着、又は結晶中に取り込まれる反応が起こる。
次に固液分離工程14において、生成した不溶性析出物を沈殿分離し、汚泥7として回収し、清澄な上澄水6が得られる。
図1の例では、不溶性析出物を沈殿分離しやすいよう、反応工程13の後段に凝集槽20に高分子凝集剤5を加えて撹拌混合し、不溶性析出物を凝集させる凝集工程17も追加している。高分子凝集剤5の添加により粒子の沈降速度が増大するため、より短い滞留時間で固液分離を行うことが出来る。
固液分離工程14の上澄水6はアルカリ性であることから、中和槽40において酸8を加えて中性付近に調整し(中和工程18)、最終的な処理水が得られる。
図2は本発明の第2の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。図2に示すように、第1の実施の形態における反応槽10を第1及び第2の反応槽11,12に分けて、反応工程13を第1及び第2の反応工程15,16に分けた他は、第1の実施の形態と同様である。
つまり、第2の実施の形態においては、ホウ素の良好な処理性と、アルミニウムの不溶化の両方を実現するために、アルミニウムとカルシウムとの最適比率「1:4〜1:6」で反応させた後に、カルシウム化合物を再度添加する工程を追加している。これにより、カルシウムの合計添加量は最適比率を上回るにも関わらず、ホウ素の良好な処理性は維持されること、また沈殿分離時間を長時間とした場合であっても、アルミニウムの残留を確実に防止できる。
本発明の第2の実施の形態によるホウ素含有排水処理装置の処理工程について説明する。第2の実施の形態では、反応槽を用いた反応手段を第一反応槽を用いた第一反応手段と、第二反応槽を用いた第二反応手段との2段階の処理を行うものである。
図2を参照すると、ホウ素含有排水1は、まず第一反応工程15に導入される。第一反応工程では、硫酸アルミニウム4と消石灰3を、重量比でAl:Ca=1:4〜1:6となるよう第一反応槽11に導入された排水1に添加し、さらに、pH9以上に調整する。
第一反応工程15では白色の不溶性析出物が生成し、その析出物中にホウ素が吸着、又は結晶中に取り込まれる反応が起こる。
次に第二反応工程16では、第二反応槽12中に蓄えられた第一反応槽11からの被処理液に消石灰3を添加してpH12以上に調整することで、カルシウムによるアルミニウムの不溶化を確実に行うことができる(第二反応手段)。
次に、固液分離工程14において、生成した不溶性析出物を沈殿槽30にて汚泥7として沈殿分離し、清澄な上澄水6が得られる(固液分離手段)。図2の例では図1の例と同様、沈殿分離効率を向上させるために、反応工程16の後段に、凝集槽20に高分子凝集剤を加えて撹拌混合する凝集工程(凝集手段)17を追加している。
また固液分離工程14の上澄水6は、図1の例と同様に中和槽40を用いた中和手段にて酸8で中和し(中和工程)40、最終的な処理水が得られる。
図3は本発明の第3の実施の形態を示した工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。図3に示す処理装置と、図1に示す処理装置との相違点は、図3に示す処理装置がホウ素含有排水1として、その中にフッ素、炭酸、リン酸を含有する点である。
図3に示すように、ホウ素含有排水1は、まず反応工程13に導入される。
ここで、ホウ素含有排水1は、ホウ素とともに、フッ素、炭酸、リン酸のいずれか1種以上を含んでいる。反応槽13には、硫酸アルミニウム4及び消石灰3が投入される。
ホウ素含有排水1にフッ素、炭酸、リン酸を含む場合、難溶性のカルシウム化合物であるカルシウムアルミネートトリサルフェートの生成反応よりも、フッ化カルシウム(CaF)、炭酸カルシウム(CaCO)、リン酸ハイドロキシアパタイト(Ca(POOH)の生成反応の方が速く進行するため、排水中にこれらの物質が含まれている場合には、カルシウムがこれらの物質と反応し、その後未反応の余剰カルシウムがカルシウムアルミネートトリサルフェートの生成に寄与する(反応手段)。そのために、アルミニウムとカルシウムの最適比率を維持するためには、カルシウムの消費分を上乗せする必要がある。
まず、フッ素が含まれている場合は、Ca2++2F→CaFの反応式より、重量比でフッ素の1.05倍のカルシウムイオンを上乗せする必要がある。また、炭酸イオンが含まれている場合は、Ca2++CO 2−→CaCOの反応式より、重量比で炭酸イオンの0.67倍のカルシウムイオンを上乗せする必要がある。更に、リン酸イオンが含まれている場合は、5Ca2++3PO 3−+OH→Ca(POOHの反応式より、重量比でリン酸態リンの2.15倍のカルシウムイオンを上乗せする必要があることになる。
したがって、反応工程13では、硫酸アルミニウムと消石灰を供給し、かつアルミニウム、カルシウムの存在量が、1:4+{(F×1.05)+(CO×0.67)+(P×2.15)}/Al〜1:6+{(F×1.05)+(CO×0.67)+(P×2.15)}/Al、ただし、F:排水中のフッ素濃度(mg/L(リットル))、CO:排水中の炭酸濃度(mg/L)、P:排水中のリン酸態リン濃度(mg/L)、Al:反応工程におけるアルミニウム濃度(mg/L)、の重量比となるよう調整し、またpHを9以上に調整する。
次に固液分離工程14において、生成した不溶性析出物を汚泥7として沈殿分離し、清澄な上澄水6が得られる(固液分離手段)。
図3の例では図1の例と同様、沈殿分離効率を向上させるために、反応工程13の後段に高分子凝集剤5を加えて撹拌混合する凝集工程16(凝集手段))を追加している。また固液分離工程14の上澄水は、図1の例と同様に中和槽40にて酸8で中和し(中和手段)、最終的な処理水9が得られる。
図4は本発明の第4の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。図4に示すように、図3の例との相違は、反応槽を用いた反応手段を第一反応槽を用いた第一反応手段と、第二反応槽を用いた第二反応手段との2段階の処理を行うものである。
まず、ホウ素とともに、フッ素、炭酸、リン酸のいずれか1種以上を含むホウ素含有排水1は、第一反応工程15として、まずpH9以上の第1反応槽11に導入される。第一反応工程15では硫酸アルミニウム4と消石灰を供給し、かつアルミニウム、カルシウムの存在量が、1:4+{(F×1.05)+(CO×0.67)+(P×2.15)}/Al〜1:6+{(F×1.05)+(CO×0.67)+(P×2.15)}/Al、ただし、F:排水中のフッ素濃度(mg/L)、CO:排水中の炭酸濃度(mg/L)、P:排水中のリン酸態リン濃度(mg/L)、Al:反応工程におけるアルミニウム濃度(mg/L)、の重量比となるよう調整し、またpHを9以上に調整する。第一反応工程15では白色の不溶性析出物が生成し、その析出物中にホウ素が吸着、又は結晶中に取り込まれる反応が起こる(第一反応手段)。
次に、第二反応槽12における第二反応工程12では、消石灰3を添加してpH12以上に調整することで、カルシウムによるアルミニウムの不溶化を確実に行うことができる(第二反応手段)。
次に、沈殿槽30における固液分離工程14において、生成した不溶性析出物を沈殿分離し、汚泥7として回収され、清澄な上澄水6が得られる(固液分離手段)。図4の例では図1の例と同様、沈殿分離効率を向上させるために、反応工程16の後段に高分子凝集剤を加えて撹拌混合する凝集工程17(凝集手段)を追加している。また固液分離工程14の上澄水6は、中和槽40に送られ、図1の例と同様に酸8で中和し(中和工程18)、最終的な処理水9が得られる。
図5は本発明の第5の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。図5に示すように、ホウ素含有排水1は、まず、反応槽10における反応工程13に導入される。反応工程13では、硫酸アルミニウム4と消石灰3を、重量比でAl:Ca=1:6〜1:12となるよう添加し、pH9以上に調整する。
この反応工程13での必要反応時間は、最低で2時間、好ましくは4時間以上、更に好ましくは12〜24時間程度である。カルシウムの添加量が最適比率より多い場合は、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの不溶化反応速度が最適比率の場合と比べて非常に緩慢にはなるが、時間をかければ十分に進行し、それに伴いホウ素を良好に処理でき、このときに必要となる反応時間は、最低で2時間、好ましくは4時間以上、更に好ましくは12〜24時間程度であるからである。
次に、沈殿槽30における固液分離工程14にて、生成した不溶性析出物を沈殿分離し、汚泥7として回収し、清澄な上澄水6が得られる。図5の例では図1の例と同様、沈殿分離効率を向上させるために、反応工程13の後段に高分子凝集剤5を加えて撹拌混合する凝集工程を追加している。また固液分離工程14の上澄水6は、図1の例と同様に、中和槽40に送られ、酸8で中和し(中和工程18)、最終的な処理水9が得られる。
以下、実施例及び比較例を示してさらに本発明を詳細に説明する。
実施例及び比較例で用いた薬剤は、硫酸アルミニウムとして工業用硫酸バンド溶液(Al換算8重量%)、カルシウム化合物としては消石灰(水酸化カルシウムCa(OH))粉末(試薬特級)を用い、純水を加えて10重量%に調整し、石灰乳の状態としてから使用するか、又は粉体のまま使用した。また、pH調整剤としては、工業用25%苛性ソーダ(NaOH)及び35%塩酸を10重量%に調整したものを用いた。また、高分子凝集剤として日本ヘルス工業(株)社製高分子凝集剤(品番N−217)の粉末を0.1重量%に溶解させたものを用いた。
(実施例1)
図1のフローに準じたビーカースケール実験を行った。原水としては、ホウ酸を純水に溶解させ、ホウ素濃度100mg/Lに調整した模擬排水200mLを用いた。
模擬排水に、硫酸アルミニウムをAlとして500mg/Lとなるよう加えた後、消石灰をCaとして1,000〜5,000mg/Lの範囲で加え、1時間撹拌した。なお、消石灰添加によりpHは上昇するが、添加量が少ない条件ではpHが上昇しなかったため、pH11.5に達しなかったものは苛性ソーダを加えてpH11.5〜12.0としてから1時間撹拌した。その後、高分子凝集剤を5mg/Lとなるよう加えて不溶性析出物を凝集させ、撹拌を停止して30分間静置し、沈殿物と清澄な上澄水とに分離した後、上澄水を塩酸で中和して処理水を得た。処理水のホウ素、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオン濃度を測定したところ、図6の結果を得た。
図6より、カルシウムの添加量が、アルミニウム添加量の5倍の時に処理水ホウ素濃度が極小値となっており、アルミニウムとカルシウムの最適比率が重量比で1:5(モル比では1:3.375)であることが分かる。
また図6には、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオンの添加量も合わせて記載してあるが、添加量と処理水濃度の差を求めることにより、それらの成分の不溶性析出物への転換量を計算することができる。ホウ素の処理性が最も良かったCa2,500mg/Lの条件における各成分の不溶性析出物への転換量は以下の通りとなる。
まず、アルミニウムは、500mg/L−1.2mg/L=498.8mg/L=18.5mmol/Lである。
また、カルシウムは、2,500mg/L−206mg/L=2,294mg/L=57.4mmol/Lである。
さらに、硫酸イオンは、2,667mg/L−74mg/L=2,593mg/L=27.0mmol/Lである。
従って、モル比に直せば、Al:Ca:SO=2.0:6.2:2.9となり、これはカルシウムアルミネートトリサルフェート3CaO・Al・3CaSO・32HOの構成比率(2:6:3)とほぼ一致している。
(比較例1)
実施例1のうちカルシウムを2,500mg/Lとした実験において、高分子凝集剤添加後の固液分離工程における静置時間を3時間に変更した以外は実施例1と同様の実験を行った。静置30分の実施例1と比較した結果を下記表1、2に示す。
下記表1、2より、静置時間を3時間とした場合にはpHが低下し、アルミニウムが32mg/L検出された。従っていったん沈殿したアルミニウムが長時間の静置によりゆっくり再溶解していると認められる。
(実施例2)
図2のフローに準じたビーカースケール実験を行った。すなわち実施例1の実験のうち、消石灰の最適添加量Ca2,500mg/Lの実験において、消石灰を加えて1時間撹拌した後、更に消石灰を加えて30分撹拌してから高分子凝集剤を添加した。2段目の消石灰添加量はカルシウムとして1,000mg/Lとし、沈殿分離の静置時間は3時間とした。2段目の反応pHは消石灰を追加したことにより12.4まで上昇した。処理水分析結果を下記表1、2に示す。
下記表1、2に示す通り、消石灰の添加を2分割し、1段目で最適比率を添加すれば、カルシウムの合計添加量(3,500mg/L)が最適比率を上回っていても、ホウ素の良好な処理性は維持され、かつ処理水へのアルミニウムの流出も確実に防止できると認められる。
Figure 0004584185
Figure 0004584185
(実施例3)
フッ素、炭酸、リン酸が共存する場合のホウ素含有排水について、図3のフローに準じたビーカースケール実験を行った。原水としては、ホウ酸、フッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムの試薬を純水に溶解させ、ホウ素濃度100mg/L、フッ素、炭酸イオン、リン酸態リン濃度をそれぞれ150mg/Lに調整した模擬排水200mLを用いた。
模擬排水に、硫酸アルミニウムをAlとして500mg/Lとなるよう加えた後、消石灰をCaとして1,000〜5,000mg/Lの範囲で加え、1時間撹拌した。なお、消石灰添加によりpHは上昇するが、pHが11.5に達しなかったものは苛性ソーダを加えてpH11.5〜12.0としてから1時間撹拌した。その後、高分子凝集剤を5mg/Lとなるよう加えて不溶性析出物を凝集させ、撹拌を停止して30分間静置し、沈殿物と清澄な上澄水とに分離した後、上澄水を塩酸で中和して処理水を得た。処理水のホウ素、アルミニウム、カルシウム、硫酸イオン濃度を測定したところ、図7の結果を得た。
図7に示す通り、本排水においてはカルシウムが3,100mg/Lの時に処理水ホウ素濃度が極小値となっているが、これはホウ酸だけを含む排水の場合に比べ、カルシウムが約600mg/L多く必要であることが分かる。
ところで、フッ素、炭酸イオン、リン酸態リンそれぞれ150mg/Lが全てカルシウムと反応するとした場合、消費されるカルシウムは、(150×1.05)+(150×0.67)+(150×2.15)=580.5mg/Lと計算され、600mg/Lとおおよそ合致している。
従って、フッ素、炭酸イオン、リン酸が共存した排水では、それらが全てカルシウムと反応するとし、反応しなかった余剰分がホウ素排水処理に寄与するものとして考えれば、最適なアルミニウムとカルシウムの比率を維持できることになる。
(比較例2)
実施例3のうちカルシウムを3,100mg/Lとした実験において、高分子凝集剤添加後の固液分離工程における静置時間を3時間に変更した以外は実施例3と同様の実験を行った。静置30分の実施例3と比較したものを下記表3、4に示す。
下記表3、4より、静置時間を3時間とした場合にはpHが低下し、アルミニウムが42mg/L検出された。従って、ホウ素に加えてフッ素、炭酸、リン酸が共存する場合においても、いったん沈殿したアルミニウムが長時間の静置によりゆっくり再溶解していると認められる。
(実施例4)
フッ素、炭酸、リン酸が共存する場合のホウ素含有排水について、図4のフローに準じたビーカースケール実験を行った。すなわち実施例3の実験のうち、消石灰の最適添加量Ca3,100mg/Lの実験において、消石灰を加えて1時間撹拌した後、更に消石灰を加えて30分撹拌してから高分子凝集剤を添加した。2段目の消石灰添加量はカルシウムとして1,000mg/Lとし、沈殿分離の静置時間は3時間とした。2段目の反応pHは消石灰を追加したことにより12.4まで上昇した。処理水分析結果を下記表3、4に示す。
下記表3、4に示す通り、消石灰の添加を2分割し、1段目で最適比率を添加すれば、カルシウムの合計添加量(4,100mg/L)が最適比率を上回っていても、またフッ素、炭酸、リン酸が共存している場合であっても、ホウ素の良好な処理性は維持され、かつアルミニウムの残留も確実に防止できると認められる。
Figure 0004584185
Figure 0004584185
(実施例5)
図5のフローによるホウ素処理性を評価するため、反応時間を変えたビーカースケール実験を行った。原水としては、ホウ酸を純水に溶解させ、ホウ素濃度100mg/Lに調整した模擬排水200mLを用いた。
模擬排水に、硫酸アルミニウムをAlとして500mg/Lとなるよう加えた後、消石灰をCaとして3,400mg/L添加した。これはAl:Ca=1:6.8であり、最適比率に比べてカルシウムを敢えて多めに設定してある。その後、30分〜22時間の範囲で撹拌してから高分子凝集剤を5mg/Lとなるよう加えて不溶性析出物を凝集させ、撹拌を停止して30分間静置し、沈殿物と清澄な上澄水とに分離した後、上澄水を塩酸で中和して処理水を得た。反応時間と処理水ホウ素、カルシウム、硫酸イオン濃度との関係は図8の通りであった。
図8より、カルシウムが最適添加量よりも多い場合は、処理水カルシウム濃度、硫酸イオン濃度とともに、ゆっくりホウ素濃度も減少している。すなわち、カルシウムを最適量以上に添加した場合は、ホウ素を処理できない訳ではなく、ホウ素処理に寄与する不溶性析出物の生成速度が非常に遅いために、ホウ素の処理速度も遅くなっていると認められる。
(実施例6)
図5のフローによるホウ素処理性を評価するため、反応時間を20時間で固定し、カルシウムの添加量をAl:Ca=1:5〜1:12の範囲で変化させたビーカースケール実験を行った。原水としては、ホウ酸を純水に溶解させ、ホウ素濃度100mg/Lに調整した模擬排水200mLを用いた。
模擬排水に、硫酸アルミニウムをAlとして500mg/Lとなるよう加えた後、カルシウムを2,500mg/L〜6,000mg/L(Al:Ca=1:5〜1:12)添加し、20時間撹拌した。本実験では、カルシウムとして「消石灰(粉体)」「消石灰乳」の2種類を用いた。その後高分子凝集剤を5mg/Lとなるよう加えて不溶性析出物を凝集させ、撹拌を停止して30分間静置し、沈殿物と清澄な上澄水とに分離した後、上澄水を塩酸で中和して処理水を得た。処理水ホウ素濃度は図9の通りであった。
(比較例3)
実施例6の比較実験を行った。すなわち実施例6において、反応時間を1時間で固定した以外は実施例6と同じ実験を行った。処理水ホウ素濃度は、図9の通りであった。
図9より、いずれのカルシウム薬剤においても、Al:Ca=1:5では反応1時間で良好に処理できるが、カルシウム添加量をそれ以上とすれば処理性が悪化することが分かる。しかし反応時間を長くすることで、カルシウム添加量に関わらず良好に処理できると認められる。
本発明に係るホウ素含有排水の処理方法と処理装置は、石炭火力発電所の排煙脱硫排水やごみ焼却場洗煙排水、ニッケルめっき工場排水、ガラス製造工場排水等のホウ素含有排水の処理に適用される。
本発明の第1の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。 本発明の第3の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。 本発明の第4の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。 本発明の第5の実施の形態を示す工程説明およびその実施に用いられる設備の概略構成を示す図である。 本発明の実施例1による処理水分析結果を示した図である。 本発明の実施例3による処理水分析結果を示した図である。 本発明の実施例5による処理水分析結果を示した図である。 本発明の実施例6による処理水分析結果を示した図である。
1 ホウ素含有排水
2 pH調整剤
3 消石灰
4 硫酸アルミニウム
5 高分子凝集剤
6 上澄水
7 汚泥
8 酸
9 処理水
10 反応槽
11 第一反応槽
12 第二反応槽
13 反応工程
14 固液分離工程
15 第一反応工程
16 第二反応工程
17 凝集工程
18 中和工程
20 凝集槽
30 沈殿槽
40 中和槽

Claims (12)

  1. 300mg/L以下のホウ素を含有する排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応工程と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離工程とを含むホウ素含有排水の処理方法において、
    前記反応工程は、アルミニウム、カルシウムの存在量を1:4〜1:6の重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、
    前記固液分離工程は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  2. 請求項1に記載のホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程の後に、高分子凝集剤を添加する凝集工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  3. 請求項1又は2に記載のホウ素含有排水の処理方法において、前記固液分離工程の後、前記上澄液を酸で中和する中和工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  4. 300mg/L以下のホウ素とともに、フッ素、炭酸、及びリン酸のいずれか1種以上を含む排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応工程と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離工程とを含むホウ素含有排水の処理方法において、
    上記反応工程におけるアルミニウム、カルシウムの存在量を、下記の数1で示される重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、
    前記固液分離工程は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
    Figure 0004584185
  5. 請求項に記載のホウ素含有排水の処理方法において、前記反応工程の後に、高分子凝集剤を添加する凝集工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  6. 請求項4又は5に記載のホウ素含有排水の処理方法において、前記固液分離工程の後、前記上澄液を酸で中和する中和工程を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  7. 300mg/L以下のホウ素を含有する排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整した被処理液とする反応手段と、前記被処理液から生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離手段とを含むホウ素含有排水の処理装置において、
    前記反応手段は、被処理液中のアルミニウム、カルシウムの存在量を1:4〜1:6の重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、
    前記固液分離手段は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
  8. 請求項7に記載のホウ素含有排水の処理装置において、前記反応手段の下流側に、前記被処理液中の不溶性析出物を凝集させる高分子凝集剤を添加するための凝集手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
  9. 請求項7又は8に記載のホウ素含有排水の処理装置において、前記固液分離手段の下流に、不溶性析出物が沈殿して固液分離した上澄液を酸で中和する中和手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
  10. 300mg/L以下のホウ素とともに、フッ素、炭酸、及びリン酸のいずれか1種以上を含む排水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加し、アルカリ性に調整する反応手段と、生成した不溶性析出物を固液分離する固液分離手段とを含むホウ素含有排水の処理装置において、
    上記反応手段は、アルミニウム、カルシウムの存在量を、下記の数で示される重量比に調整し、さらに苛性ソーダを加えてpHを11.5以上に調整することを含み、
    前記固液分離手段は、前記不溶性析出物を沈殿させた上澄液をpH11.5以上に維持できる時間だけ静置することを含むことを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
    Figure 0004584185
  11. 請求項10に記載のホウ素含有排水の処理装置において、前記反応手段の下流側に、被処理液中に高分子凝集剤を添加して前記不溶析出物を凝集させるための凝集手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
  12. 請求項10又は11の内のいずれか一つに記載のホウ素含有排水の処理装置において、前記固液分離手段の下流に、前記不溶析出物が沈殿した上澄液を酸で中和する中和手段を備えていることを特徴とするホウ素含有排水の処理装置。
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