JP2018130717A - 脱硫排水の処理方法及び処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】薬剤の使用量を抑制すると共に汚泥の発生量を抑制し、且つ、更に別の処理が必要とされる排水が処理に伴って発生することなく、その上運用コストの増加を抑制しつつ、たとえ高濃度であってもホウ素含有水のホウ素を良好な除去率で除去することができる脱硫排水の処理方法及び処理システムを提供する。
【解決手段】石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水が供給される反応槽と、当該反応槽において薬剤が添加された前記脱硫排水が導入される沈殿槽とを有し、前記反応槽において前記脱硫排水に過酸化水素が添加され、前記反応槽において生成される析出物を前記沈殿槽において固液分離する脱硫排水の処理方法。前記過酸化水素が脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0%以上となる様に添加し、カルシウム塩が脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上となる様に添加する脱硫排水の処理方法。
【選択図】なし
【解決手段】石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水が供給される反応槽と、当該反応槽において薬剤が添加された前記脱硫排水が導入される沈殿槽とを有し、前記反応槽において前記脱硫排水に過酸化水素が添加され、前記反応槽において生成される析出物を前記沈殿槽において固液分離する脱硫排水の処理方法。前記過酸化水素が脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0%以上となる様に添加し、カルシウム塩が脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上となる様に添加する脱硫排水の処理方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、脱硫排水の処理方法及び処理システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば石炭火力発電所において排出される脱硫排水の処理に用いて好適な技術に関する。
石炭火力発電所では石炭燃焼排ガスに対して脱硫装置によって脱硫処理が行われるところ、脱硫装置から排出される脱硫排水中に、石炭に含まれるホウ素に起因してホウ素(具体的には、オルトホウ酸[H3BO3]などのホウ素化合物)が高濃度で含まれる場合がある。そして、排水については、陸域に関しては10〔mg−B/L〕以下、海域に関しては230〔mg−B/L〕以下でなければならないとするホウ素排出基準がある。ここで、多くの火力発電所は臨海地域に立地するので、脱硫排水中のホウ素を除去して海域の排水基準である230〔mg−B/L〕以下まで低減させるように処理する技術が有用である。
例えば石炭火力発電所から排出される脱硫排水のようなホウ素含有水を処理する従来の方法として、ホウ素含有水をアルミニウム化合物及びカルシウム化合物の存在下にpH9以上に調整して析出物を分離する第一の工程と、第一の工程の分離液を濃縮することなくアルミニウム化合物及びカルシウム化合物の存在下にpH9以上に調整して析出物を分離する第二の工程とによってホウ素を除去するものがある(特許文献1)。
ホウ素含有水を処理する従来の方法として、また、例えばN−メチルグルカミン型のホウ素吸着樹脂を用いてホウ素を吸着させて除去するものや、逆浸透膜を用いてホウ素をろ過して除去するものがある。
しかしながら、例えば特許文献1の処理方法のように硫酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物や水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物を添加してホウ素を凝集させ沈殿させて分離する方法では、ホウ素の除去効率が低いために多量の薬剤を使用する必要があるという問題があり、また、処理に伴って大量の沈殿物(即ち、汚泥)が発生するという問題がある。
また、ホウ素吸着樹脂を用いる方法では、吸着樹脂が高価であるという問題があり、また、高濃度のホウ素含有水を処理する場合に特に樹脂の再生頻度(即ち、洗浄頻度)が増加するという問題や、樹脂の再生に伴って発生する高濃度排水を更に別に処理する必要があるという問題がある。
また、逆浸透膜を用いる方法では、ホウ素含有水のpHが中性付近の場合に特にホウ素除去率が低いという問題があり、また、処理に伴って発生する濃縮排水を更に別に処理する必要がある(そして、排水を全量処理することはできない)という問題や、膜の目詰まり抑制のための維持・管理コストが増加するという問題がある。
そこで、本発明は、薬剤の使用量を抑制すると共に汚泥の発生量を抑制し、且つ、更に別の処理が必要とされる排水が処理に伴って発生することなく、その上運用コストの増加を抑制しつつ、たとえ高濃度であってもホウ素含有水のホウ素を良好な除去率で除去することができる脱硫排水の処理方法及び処理システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の脱硫排水の処理方法は、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水に過酸化水素が添加されて生成される析出物が固液分離されるようにしている。
本発明の脱硫排水の処理システムは、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水が供給される反応槽と、当該反応槽において薬剤が添加された前記脱硫排水が導入される沈殿槽とを有し、前記反応槽において前記脱硫排水に過酸化水素が添加され、前記反応槽において生成される析出物が前記沈殿槽において固液分離されるようにしている。
したがって、これらの脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムによると、過酸化水素とカルシウム塩とが関係する反応によって脱硫排水中のホウ素が析出して固液分離されることにより、脱硫排水中のホウ素が除去される。なお、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水には、通常、カルシウム成分(具体的には例えば、硫酸カルシウム,炭酸カルシウム)が含まれている。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記脱硫排水にカルシウム塩が更に添加されるようにしても良い。この場合には、脱硫排水にカルシウムが補充されることになり、ホウ素が析出する反応が一層確実に十分に行われると共にフッ素が析出する反応が十分に行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記脱硫排水に水酸化物が更に添加されるようにしても良い。この場合には、脱硫排水に水酸化物が補充されることになり、ホウ素が析出する反応が一層確実に十分に行われると共に重金属が析出する反応が十分に行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記過酸化水素が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されるようにしても良い。この場合には、脱硫排水中に十分な量の過酸化水素が存在することになり、ホウ素が析出する反応が良好に行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記カルシウム塩が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されるようにしても良い。この場合には、脱硫排水中に十分な量のカルシウム塩が存在することになり、ホウ素が析出する反応とフッ素が析出する反応とが良好に行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記カルシウム塩として石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される石膏が用いられるようにしても良い。この場合には、石炭燃焼排ガスの脱硫処理における排出物としての石膏が有効利用されるので、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に纏わる脱硫プロセス全体として投入される薬剤の量が抑制されると共に発生する汚泥の量が低減する。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記脱硫排水にカルシウムが溶存している状態で、前記カルシウム塩として水酸化カルシウム及び/又は水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加されるようにしても良い。この場合には、ホウ素が析出する反応が効率良く行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記カルシウムが前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で0.4以上溶存している状態にされるようにしても良い。この場合には、脱硫排水中に十分な量のカルシウムが予め存在することになり、ホウ素が析出する反応が一層効率良く行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、前記水酸化物が、前記脱硫排水のpHが9以上になるように添加されるようにしても良い。この場合には、脱硫排水のpHが適切な範囲に調整されるので、ホウ素が析出する反応とフッ素が析出する反応とにとって適当な環境下でこれら反応が良好に行われる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムによれば、過酸化水素を添加して過酸化水素とカルシウム塩とが関係する反応を生じさせることによって脱硫排水中のホウ素を析出させて分離することができるので、脱硫排水中のホウ素を除去することが可能になる。しかも、過酸化水素とカルシウム塩とを利用してホウ素を析出させる反応では、使用される薬剤の使用量を抑制すると共に汚泥の発生量を抑制することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、カルシウム塩が添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応を一層確実に十分に行うことができると共にフッ素が析出する反応を十分に行うことができるので、一層高い除去率でホウ素を除去すると共にフッ素を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、水酸化物が添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応を一層確実に十分に行うことができると共に重金属が析出する反応を十分に行うことができるので、一層高い除去率でホウ素を除去すると共に重金属を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、過酸化水素が対ホウ素モル比で1.0以上添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応を良好に行うことができるので、一層高い除去率でホウ素を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、カルシウム塩が対ホウ素モル比で1.0以上添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応とフッ素が析出する反応とを良好に行うことができるので、一層高い除去率でホウ素を除去すると共にフッ素を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、カルシウム塩として脱硫処理で排出される石膏が用いられるようにした場合には、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に纏わる脱硫プロセス全体として投入される薬剤の量を抑制すると共に発生する汚泥の量を低減させることができるので、薬剤の準備や汚泥の処理にかかる費用を低減させることが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、カルシウムを予め溶存させてから水酸化カルシウム及び/又は水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応を効率良く行うことができるので、高い除去率でホウ素を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、カルシウムが対ホウ素モル比で0.4以上溶存しているようにした場合には、ホウ素が析出する反応を一層効率良く行うことができるので、一層高い除去率でホウ素を除去することが可能になる。
本発明の脱硫排水の処理方法や脱硫排水の処理システムは、水酸化物がpH9以上になるように添加されるようにした場合には、ホウ素が析出する反応とフッ素が析出する反応とにとって適当な環境下でこれら反応を良好に行うことができるので、ホウ素が析出する反応を一層良好に行って一層高い除去率でホウ素を除去すると共にフッ素が析出する反応を行ってフッ素を除去することが可能になる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、元素記号や分子式・化学組成などを[ ]で括って表記し、また、単位を〔 〕で括って表記する。
図1に、本発明の脱硫排水の処理方法及び処理システムの実施形態の一例を示す。
本発明では、脱硫排水が処理対象とされる。具体的には例えば、石炭火力発電所のボイラからの排煙(言い換えると、石炭燃焼排ガス)に対して脱硫装置によって施される硫黄酸化物の除去処理(即ち、脱硫処理)に伴って前記脱硫装置から排出される脱硫排水が処理対象(即ち、被処理水)とされる。
脱硫排水には、ホウ素,フッ素,及び重金属、並びに、化学的酸素要求量の原因となる成分(「COD成分」と呼ぶ)が含まれている。
本実施形態では、脱硫装置(図示省略)から排出された脱硫排水1が処理対象として用いられる場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の脱硫排水の処理方法は、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水1に過酸化水素が添加されて生成される析出物が固液分離されるようにしている。
本実施形態の脱硫排水の処理システムは、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水1が供給される反応槽2と、当該反応槽2において薬剤が添加された脱硫排水1が供給されて凝集剤が投入される凝集槽3と、反応槽2において薬剤が添加されると共に凝集槽3において凝集剤が投入された脱硫排水1が導入される沈殿槽4とを有し、反応槽2において脱硫排水1に過酸化水素が添加され、反応槽2において生成される析出物が凝集槽3において凝集されて沈殿槽4において固液分離されるようにしている。
本発明では、脱硫排水1中に過酸化水素[H2O2]を存在させることによってホウ素[B]を析出させて分離して除去する。
本実施形態では、さらに、脱硫排水1中にカルシウム[Ca]塩を存在させることによってフッ素[F]を析出させて分離して除去すると共に、水酸化物を存在させることによって重金属を析出させて分離して除去するようにしている。
反応槽2では、ホウ素(オルトホウ酸[H3BO3])と過酸化水素[H2O2]との反応物(ペルオキソホウ酸(過ホウ酸))がカルシウムイオン[Ca2+]と反応し、析出物としてペルオキソホウ酸(過ホウ酸)とカルシウムとの化合物が生成される。ペルオキソホウ酸(過ホウ酸)とカルシウムとの反応の態様は複数あると考えられ、例えば以下の化学式1で表される反応が生じていると考えられる。なお、Ca[B(OH)2(OO)2B(OH)2] は、ペルオキソホウ酸(過ホウ酸)とカルシウムとの化合物であり、沈殿する。
(化1) 2H3BO3+2OH-+2H2O2+Ca2+ → Ca[B(OH)2(OO)2B(OH)2]+4H2O
(化1) 2H3BO3+2OH-+2H2O2+Ca2+ → Ca[B(OH)2(OO)2B(OH)2]+4H2O
過酸化水素[H2O2]の量は、脱硫排水1に含まれているホウ素の含有量(言い換えると、脱硫排水1のホウ素濃度)に応じて調整され得る。反応槽2において脱硫排水1中に存在する過酸化水素[H2O2]の量は、具体的には例えば、ホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]で、0.8以上であることが好ましく、1.0以上であることが一層好ましい。
カルシウム[Ca]塩の量は、脱硫排水1に含まれているホウ素の含有量(言い換えると、脱硫排水1のホウ素濃度)に応じて調整され得る。反応槽2において脱硫排水1中に存在するカルシウム[Ca]の量は、具体的には例えば、ホウ素[B]に対するモル比[Ca]/[B]で、0.54以上であることが好ましく、1.0以上であることが一層好ましい。
カルシウム塩については、脱硫装置から排出される脱硫排水1に元より含まれているものが用いられるようにしても良く(尚、石炭火力発電所のボイラから排出される石炭燃焼排ガスに対する脱硫処理に伴って排出される脱硫排水には、通常、カルシウム成分が含まれている)、或いは、例えば元より含まれている量が上述のカルシウム塩の好ましい量に対して不足する場合にはカルシウム塩が追加的に添加されるようにしても良い。
追加的に添加される場合のカルシウム塩(言い換えると、カルシウム化合物)としては、具体的には例えば、塩化カルシウム[CaCl2],硫酸カルシウム[CaSO4],水酸化カルシウム(消石灰)[Ca(OH)2],酸化カルシウム(生石灰)[CaO],炭酸カルシウム(石灰石)[CaCO3]などが用いられ得る。
追加的に添加される場合のカルシウム塩として、脱硫装置による脱硫処理に伴って生成されて排出される石膏[CaSO4・2H2O](「脱硫石膏」とも呼ばれる;例えば、石膏スラリーとして排出される)が利用されるようにしても良い。具体的には例えば、石炭火力発電所のボイラから排出される石炭燃焼排ガスを石灰石膏法で脱硫処理する際に生成されて排出される脱硫石膏が利用され得る。なお、追加的に添加される脱硫石膏は、処理対象の脱硫排水1を排出した脱硫装置から排出されたものであっても良く、或いは、処理対象の脱硫排水1を排出した脱硫装置とは異なる脱硫装置から排出されたものであっても良い。
反応槽2では、また、フッ素[F]とカルシウム[Ca]塩とによって以下の化学式2で表される反応が生じ、析出物としてフッ化カルシウム[CaF2]が生成される。なお、フッ化カルシウムの生成反応は、pHが中性域において特に良好に生じると共にアルカリ性域において良好に生じ、このため、脱硫装置から排出された脱硫排水1のpHが1〜2程度である場合にはその状態のままでは生じ難い。
(化2) 2F-+Ca2+ → CaF2
(化2) 2F-+Ca2+ → CaF2
したがって、本発明では、脱硫排水1中にカルシウム塩が存在することにより、化学式1で表されるホウ素の析出(即ち、ペルオキソホウ酸とカルシウムとの化合物の生成反応)が行われると共に化学式2で表されるフッ素の析出(即ち、フッ化カルシウムの生成反応)が行われ、脱硫排水1からホウ素に加えてフッ素が分離除去される。
そこで、化学式1で表されるホウ素の析出が十分に行われるようにすることに加えて化学式2で表されるフッ素の析出が十分に行われるようにするために脱硫排水1へとカルシウム塩が追加的に添加されるようにしても良い。
また、脱硫排水1中に水酸化物が存在するようにすることにより、反応槽2では、金属[M]と水酸化物とによって以下の化学式3で表される反応が生じ、析出物として金属水酸化物[M(OH)2 等]が生成される。
(化3) M2++2OH- → M(OH)2
(化3) M2++2OH- → M(OH)2
したがって、本発明では、脱硫排水1中に水酸化物が存在することにより、化学式1で表されるホウ素の析出(即ち、ペルオキソホウ酸とカルシウムとの化合物の生成反応)が行われると共に化学式3で表される重金属の析出(即ち、金属水酸化物の生成反応)が行われ、脱硫排水1からホウ素に加えて重金属が分離除去される。
そこで、脱硫排水1のpHを調整すると共に化学式1で表されるホウ素の析出が十分に行われるようにすることに加えて化学式3で表される重金属の析出が十分に行われるようにするために脱硫排水1へと水酸化物が添加されるようにしても良い。
水酸化物(言い換えると、pH調整剤)としては、水酸化物イオン[OH-]を生成するアルカリ性のものが用いられ、具体的には例えば、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)[NaOH],水酸化カルシウム(消石灰)[Ca(OH)2],水酸化カリウム[KOH]などが用いられ得る。
なお、水酸化カルシウムは、化学式2で表されるフッ素の析出(即ち、フッ化カルシウムの生成反応)に利用されるカルシウム塩として機能し得ると共に化学式3で表される重金属の析出(即ち、金属水酸化物の生成反応)に利用される水酸化物(pH調整剤)としても機能し得るので、カルシウム塩と水酸化物とを兼ねるものとして用いられ得る。
アルカリ性の水酸化物が添加されることにより、脱硫排水1のpHが9〜12程度になるように調整される(即ち、pHの程度の調整に応じて水酸化物の添加量が調整される)ことが好ましく、pHが10.5〜11.5程度になるように調整されることが一層好ましく、pHが11程度になるように調整されることが更に好ましい。反応槽2における脱硫排水1のpHが9未満の場合にはホウ素に関係する反応が良好に行われない虞があり、一方で、pHが10.5〜11.5程度の場合には前記反応が良好に行われて脱硫排水1の処理効率が高くなり、pHが11程度の場合に前記反応が一層良好に行われて脱硫排水1の処理効率が更に高くなる。
本発明において薬剤(具体的には、過酸化水素,追加的に添加される場合のカルシウム塩,水酸化物)が添加される順序は特定の順序には制限されない。具体的には例えば、過酸化水素,追加的に添加される場合のカルシウム塩,及び水酸化物の全てが同時に添加されるようにしても良く、或いは、過酸化水素がまず添加されてから追加的に添加される場合にはカルシウム塩が次に添加されて更に水酸化物が続いて添加されるようにしたり、過酸化水素及び追加的に添加される場合のカルシウム塩が同時に添加されてから水酸化物が次に添加されるようにしたりしても良い。
なお、脱硫排水には通常は鉄[Fe]などの金属イオンが含まれており、金属イオン濃度が高い場合には過酸化水素[H2O2]が分解されてしまうことがあり得る。このため、脱硫排水1へと過酸化水素が添加(言い換えると、投入)される前に水酸化物が添加(投入)されて脱硫排水1に含まれる鉄などの重金属が除去(言い換えると、析出させられて分離)されることにより、金属粒子による過酸化水素の分解が意図的に抑制されるようにしても良い。ただし、発明者の知見によると、脱硫装置実機から排出される脱硫排水に通常含まれる程度の金属イオンによる過酸化水素の分解は僅かであってホウ素除去効率に与える影響は小さい。
反応槽2において脱硫排水1が必要に応じて攪拌機2aによって攪拌混合された後、一次処理排水1aとして凝集槽3へと供給される。
凝集槽3では、高分子凝集剤等の凝集剤が一次処理排水1aへと投入されて析出物が凝集させられる。
凝集剤としては、具体的には例えば、アニオン系高分子凝集剤,カチオン系高分子凝集剤,ノニオン系高分子凝集剤などが用いられ得る。
凝集槽3において凝集剤が投入された一次処理排水1aが必要に応じて攪拌機3aによって攪拌混合された後、二次処理排水1bとして沈殿槽4へと導入される。
沈殿槽4では、二次処理排水1bが静置されて二次処理排水1b中の固形物が分離される(即ち、上澄水と沈殿した固形物とに分離される)。
沈殿槽4における固液分離によって沈降分離された固形物は汚泥5として排出される。これにより、ホウ素,フッ素,及び重金属が、それぞれ固形物(即ち、汚泥5)として沈殿して分離され、脱硫排水1中から除去されることになる。
なお、上澄水6は、例えば、必要に応じてCOD成分の除去処理が更に施された上で排水(言い換えると、放流)される。
以上のように構成された脱硫排水の処理方法及び処理システムによれば、過酸化水素を添加して過酸化水素とカルシウム塩とが関係する反応を生じさせることによって脱硫排水1中のホウ素を析出させて分離することができるので、脱硫排水1中のホウ素を除去することが可能になる。しかも、過酸化水素とカルシウム塩とを利用してホウ素を析出させる反応では、使用される薬剤の使用量を抑制すると共に汚泥の発生量を抑制することが可能になる。
以上のように構成された脱硫排水の処理方法及び処理システムによれば、また、ホウ素を析出させる反応のために過酸化水素と共に利用されるカルシウム塩によってフッ素を析出させる反応を生じさせたり、ホウ素を析出させる反応(また、脱硫排水1のpHの調整)のために過酸化水素と共に利用される水酸化物によって重金属を析出させる反応を生じさせたりすることができるので、脱硫排水1の処理に使用される薬剤の使用量を抑制すると共に汚泥の発生量を抑制しつつ脱硫排水1中のホウ素に加えてフッ素及び重金属を分離除去することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では凝集槽3において高分子凝集剤等の凝集剤が使用されて析出物・固形物の沈降速度が加速させられるようにしているが、凝集槽3を有するようにしたり凝集剤が使用されるようにしたりすることは本発明において必須の構成ではない。さらに言えば、上述の実施形態では沈降分離によって析出物・固形物の固液分離が行われるようにしているが、固液分離の手法として沈降分離が用いられるようにすることは本発明において必須の構成ではなく、例えばろ過や遠心分離などによって固液分離が行われるようにしても良い。
また、上述の実施形態では反応槽2において(言い換えると、一つの反応槽において)脱硫排水1中に過酸化水素,カルシウム塩,及び水酸化物(pH調整剤)を存在させるようにして反応槽2において(言い換えると、一つの反応槽において)化学式1乃至3でそれぞれ表される反応を生じさせるようにしているが、複数の反応槽が用いられるようにしても良い。例えば、第一の反応槽において脱硫排水1中に過酸化水素を存在させるようにして化学式1で表される反応を生じさせ、第一の反応槽から脱硫排水1が供給される第二の反応槽において脱硫排水1中にカルシウム塩を存在させるようにして化学式2で表される反応を生じさせ、さらに、第二の反応槽から脱硫排水1が供給される第三の反応槽において脱硫排水1中に水酸化物を存在させるようにして化学式3で表される反応を生じさせるようにしても良く、或いは、前段の反応槽において脱硫排水1中に過酸化水素及びカルシウム塩を存在させるようにして化学式1で表される反応及び化学式2で表される反応を生じさせ、さらに、前段の反応槽から脱硫排水1が供給される後段の反応槽において脱硫排水1中に水酸化物を存在させるようにして化学式3で表される反応を生じさせるようにしても良い。なお、複数の反応槽が用いられる場合の、薬剤(具体的には、過酸化水素,追加的に添加される場合のカルシウム塩,及び水酸化物)が添加される順序は特定の順序に制限されるものではなく、また、各反応槽で添加される薬剤の組み合わせも特定の組み合わせに限定されるものではない。
本発明の脱硫排水の処理方法の効果を検証した実施例を説明する。
本実施例では、純水にオルトホウ酸[H3BO3]を溶解させてホウ素濃度500〔mg−B/L〕に調整された0.6〔L〕の模擬排水が用いられた。具体的には表1に示す組成の模擬排水が用いられた。
上記の模擬排水に過酸化水素[H2O2]及び塩化カルシウム[CaCl2]が添加されると共に、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)[NaOH]が用いられてpH11になるように調整された。
本実施例では、過酸化水素[H2O2]が、模擬排水中のホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]で0.8〜2.0の範囲で変化させられて添加された。
本実施例では、また、塩化カルシウムが、模擬排水中のホウ素[B]に対するカルシウム[Ca]のモル比[Ca]/[B]=0.66の条件で添加された。
上記の薬剤が添加された模擬排水が、まず、100〔rpm〕で5分間攪拌された後に30〔rpm〕で15分間攪拌された。
そして、攪拌を停止して1時間静置した後の上澄みが採取され、塩化水素(塩酸)[HCl]でpHが中性に調整された後、0.2〔μm〕の酢酸セルロース膜でろ過を行った試料(即ち、ろ液)のホウ素濃度が測定された。
上記条件での実験の結果、表2に示す結果が得られた。
表2に示す結果から、本発明の脱硫排水の処理方法によれば、添加される過酸化水素[H2O2]の量がホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]で0.8以上であれば、海域での排水基準である230〔mg−B/L〕を下回る200〔mg/L〕以下までホウ素濃度を低減させることが可能であることが確認された。特に、添加される過酸化水素[H2O2]の量がホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]で1.0以上であれば、ホウ素の除去率で60%超を達成して180〔mg/L〕以下までホウ素濃度を低減させることが可能であることが確認された。
本発明の脱硫排水の処理方法の効果を検証した他の実施例を説明する。
本実施例でも、上述の実施例1で用いられた模擬排水の組成と同様の組成の模擬排水が用いられた。
本実施例では、模擬排水に過酸化水素[H2O2]及び塩化カルシウム[CaCl2]が添加されると共に、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)[NaOH]が用いられてpH11になるように調整された。
本実施例では、過酸化水素[H2O2]が、模擬排水中のホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]=1.2の条件で添加された。
本実施例では、また、塩化カルシウムが、模擬排水中のホウ素[B]に対するカルシウム[Ca]のモル比[Ca]/[B]で0〜1.46の範囲で変化させられて添加された。なお、カルシウムの添加量が「0」の場合は、模擬排水に元より含まれているカルシウムが利用されることになる。模擬排水に元より含まれているカルシウム[Ca]濃度は、模擬排水中のホウ素[B]に対するモル比[Ca]/[B]で0.54であった。
薬剤添加後の模擬排水の攪拌,pHの調整,及びろ過に関する態様は、上述の実施例1と同様とされた。
上記条件での実験の結果、表3に示す結果が得られた。
表3に示す結果から、本発明の脱硫排水の処理方法によれば、カルシウム塩が追加的に添加されなくても、すなわち、脱硫排水に元より含まれているカルシウムのみによっても(本実施例では、模擬排水に元より含まれているカルシウム[Ca]は、模擬排水中のホウ素[B]に対するモル比[Ca]/[B]で0.54)、海域での排水基準である230〔mg−B/L〕以下までホウ素濃度を低減させることが可能であることが確認された。また、追加的に添加されるカルシウムの量がホウ素[B]に対するモル比[Ca]/[B]で0.46以上(即ち、模擬排水中のカルシウム[Ca]の存在量としては、ホウ素[B]に対するモル比[Ca]/[B]で1.0以上)であれば、ホウ素の除去率で70%を達成して150〔mg/L〕以下までホウ素濃度を低減させることが可能であることが確認された。
本発明の脱硫排水の処理方法の効果を検証した更に他の実施例を説明する。
本実施例でも、上述の実施例1で用いられた模擬排水の組成と同様の組成の模擬排水が用いられた。
本実施例では、模擬排水に過酸化水素[H2O2]及び石膏[CaSO4・2H2O]が添加されると共に、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)[NaOH]が用いられてpH11になるように調整された。
本実施例では、過酸化水素[H2O2]が、模擬排水中のホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]=1.2の条件で添加された。
本実施例では、また、石膏[CaSO4・2H2O]が6.0〔g〕添加された。
薬剤添加後の模擬排水の攪拌,pHの調整,及びろ過に関する態様は、上述の実施例1と同様とされた。
上記条件での実験の結果、表4に示す結果が得られた。
表4に示す結果から、本発明の脱硫排水の処理方法によれば、石膏が添加されることによっても、つまり添加されるカルシウム塩として例えば石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される石膏(脱硫石膏)が用いられるようにしても、ホウ素濃度を低減させる(本実施例では具体的には、海域での排水基準である230〔mg−B/L〕を下回る190〔mg/L〕以下まで低減させる)ことが可能であることが確認された。
本発明の脱硫排水の処理方法の効果を検証したまた更に他の実施例を説明する。
本実施例では、純水にオルトホウ酸[H3BO3]を溶解させてホウ素濃度500〔mg/L〕に調整された0.6〔L〕のホウ酸溶液(尚、模擬排水ではない)が用いられた。
本実施例では、上記のホウ酸溶液に、塩化カルシウム[CaCl2]が、ホウ酸溶液中のホウ素[B]に対するカルシウム[Ca]のモル比[Ca]/[B]で0〜1.2の範囲に亙って0.2刻みで変化させられて添加された。
本実施例では、次に、過酸化水素[H2O2]が、ホウ酸溶液中のホウ素[B]に対するモル比[H2O2]/[B]=1.2の条件で添加された。
本実施例では、次に、水酸化カルシウム(消石灰)[Ca(OH)2]が、ホウ酸溶液中のホウ素[B]に対するカルシウム[Ca]のモル比[Ca]/[B]=1.2の条件で添加された。
続いて、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)[NaOH]が用いられて溶液のpHが10〜11になるように調整された。
上記の薬剤が添加された溶液が、まず、100〔rpm〕で5分間攪拌された後に30〔rpm〕で15分間攪拌された。
そして、攪拌を停止して1時間静置した後の上澄みが採取され、塩化水素(塩酸)[HCl]でpHが中性に調整された後、0.2〔μm〕の酢酸セルロース膜でろ過を行った試料(即ち、ろ液)のホウ素濃度が測定された。
上記条件での実験の結果、表5に示す結果が得られた。
表5に示す結果から、水酸化カルシウム(消石灰)[Ca(OH)2]を添加する前の処理対象水中にカルシウム[Ca]を溶存させることにより、ホウ素[B]の処理性能(別言すると、除去性能)が向上することが確認された。具体的には、Ca(OH)2を添加する前の溶存Ca濃度をホウ素に対するモル比[Ca]/[B]で0.4以上とすることにより、海域での排水基準である230〔mg/L〕以下までホウ素濃度を低減させることが可能であることが確認された。特に、Ca(OH)2を添加する前の溶存Ca濃度をホウ素に対するモル比[Ca]/[B]で0.8程度とすることにより、ホウ素の除去率で60%超を達成して180〔mg/L〕程度までホウ素濃度を効率良く低減させることが可能であることが確認された。
つまり、脱硫排水へと添加されるカルシウム塩として水酸化カルシウムや水に溶解して水酸化カルシウムになる成分(言い換えると、水酸化カルシウムと水に溶解して水酸化カルシウムになる成分とのうちの少なくとも一方)が使用される場合には、水酸化カルシウムや水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加される前に処理対象水中にカルシウムを予め/事前に溶存させることにより、脱硫排水中のホウ素を効率良く析出させて分離することができ、脱硫排水中のホウ素の除去性能を向上させることが可能であることが確認された。
また、本実施例の場合(即ち、水酸化カルシウムや水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加される前に処理対象水中にカルシウムを予め/事前に溶存させるようにしてホウ素を析出させる場合)は、上述の実施例1乃至実施例3の場合と比べて析出物の量が減少する傾向があることが確認された。したがって、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水の処理へと本実施例における手順が実際に適用された場合には、沈殿物(別言すると、廃棄物)の発生量を一層抑制することが可能であることが知見された。
ここで、石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水には、通常、カルシウム成分(具体的には例えば、硫酸カルシウム,炭酸カルシウム)が含まれているところ、脱硫排水の処理へと本実施例における手順が実際に適用される場合には、実際の脱硫排水に元より溶存しているカルシウムを含めた上で(言い換えると、実際の脱硫排水に元より溶存しているカルシウム濃度が計測された上で)溶存カルシウム濃度がホウ素に対するモル比[Ca]/[B]で0.4以上(尚、0.8程度が好ましい)になるように調整される。
なお、上述の実施例4では過酸化水素がホウ酸溶液中のホウ素に対するモル比[H2O2]/[B]=1.2の条件で添加されるようにしているが、実施例1乃至実施例3の結果や本発明に関連して発明者が得た知見を踏まえると前記モル比[H2O2]/[B]で1.0程度であっても大凡同等の結果が得られると考えられ、したがって、過酸化水素は溶液中のホウ素に対するモル比[H2O2]/[B]で1.0以上になるように添加されることが好ましい。
また、上述の実施例4では脱硫排水へと添加されるカルシウム塩としての水酸化カルシウムがホウ酸溶液中のホウ素に対するカルシウムのモル比[Ca]/[B]=1.2の条件で添加されるようにしているが、実施例1乃至実施例3の結果や本発明に関連して発明者が得た知見を踏まえると前記モル比[Ca]/[B]で1.0程度であっても大凡同等の結果が得られると考えられ、したがって、カルシウム塩としての水酸化カルシウム(尚、水に溶解して水酸化カルシウムになる成分を含む)は溶液中のホウ素に対するモル比[Ca]/[B]で1.0以上になるように添加されることが好ましい。
また、上述の実施例4では脱硫排水へと添加される水酸化物として水酸化ナトリウムが用いられて溶液のpHが10〜11に調整されるようにしているが、実施例1乃至実施例3の結果や本発明に関連して発明者が得た知見を踏まえると溶液のpHが9程度であっても大凡同等の結果が得られると考えられ、したがって、水酸化物を添加する場合は溶液のpHが9以上になるように水酸化物が添加されることが好ましい。
また、上述の実施例4ではホウ酸溶液に溶存カルシウムとしての塩化カルシウムが添加されてから過酸化水素が添加されると共にカルシウム塩としての水酸化カルシウムが添加されるようにしているが、カルシウム塩としての水酸化カルシウム(尚、水に溶解して水酸化カルシウムになる成分を含む)が添加される前にカルシウムが予め溶存していれば、言い換えると、処理対象水中にカルシウムが溶存している状態で水酸化カルシウム(尚、水に溶解して水酸化カルシウムになる成分を含む)が添加されるのであれば、薬剤が添加される順序は実施例4における順序には限定されない。具体的には例えば、過酸化水素がまず添加されてから溶存カルシウムとしての塩化カルシウムが次に溶存させられて更にカルシウム塩としての水酸化カルシウム(尚、水に溶解して水酸化カルシウムになる成分を含む)が続いて添加されるようにしても良く、或いは、溶存カルシウムとしての塩化カルシウムがまず溶存させられてから過酸化水素及びカルシウム塩としての水酸化カルシウム(尚、水に溶解して水酸化カルシウムになる成分を含む)が次に同時に添加されるようにしても良い。
1 脱硫排水
2 反応槽
3 凝集槽
4 沈殿槽
5 汚泥
6 上澄水
2 反応槽
3 凝集槽
4 沈殿槽
5 汚泥
6 上澄水
Claims (18)
- 石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水に過酸化水素が添加されて生成される析出物が固液分離されることを特徴とする脱硫排水の処理方法。
- 前記脱硫排水にカルシウム塩が更に添加されることを特徴とする請求項1記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記脱硫排水に水酸化物が更に添加されることを特徴とする請求項1記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記過酸化水素が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されることを特徴とする請求項1記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記カルシウム塩が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されることを特徴とする請求項2記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記カルシウム塩として石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される石膏が用いられることを特徴とする請求項2記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記脱硫排水にカルシウムが溶存している状態で、前記カルシウム塩として水酸化カルシウム及び/又は水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加されることを特徴とする請求項2記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記カルシウムが前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で0.4以上溶存している状態にされることを特徴とする請求項7記載の脱硫排水の処理方法。
- 前記水酸化物が、前記脱硫排水のpHが9以上になるように添加されることを特徴とする請求項3記載の脱硫排水の処理方法。
- 石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される脱硫排水が供給される反応槽と、当該反応槽において薬剤が添加された前記脱硫排水が導入される沈殿槽とを有し、前記反応槽において前記脱硫排水に過酸化水素が添加され、前記反応槽において生成される析出物が前記沈殿槽において固液分離されることを特徴とする脱硫排水の処理システム。
- 前記脱硫排水にカルシウム塩が更に添加されることを特徴とする請求項10記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記脱硫排水に水酸化物が更に添加されることを特徴とする請求項10記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記過酸化水素が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されることを特徴とする請求項10記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記カルシウム塩が、前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で1.0以上になるように添加されることを特徴とする請求項11記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記カルシウム塩として石炭燃焼排ガスの脱硫処理に伴って排出される石膏が用いられることを特徴とする請求項11記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記脱硫排水にカルシウムが溶存している状態で、前記カルシウム塩として水酸化カルシウム及び/又は水に溶解して水酸化カルシウムになる成分が添加されることを特徴とする請求項11記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記カルシウムが前記脱硫排水中のホウ素に対するモル比で0.4以上溶存している状態にされることを特徴とする請求項16記載の脱硫排水の処理システム。
- 前記水酸化物が、前記脱硫排水のpHが9以上になるように添加されることを特徴とする請求項12記載の脱硫排水の処理システム。
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