JP2006142301A - リン含有水の処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リン酸を難溶性のカルシウム塩として分離するリン含有水の処理方法及び装置において、中性に近いpHでの処理が可能であり、薬剤の使用量が少なく、汚泥濃度が高く、汚泥の脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することができるリン含有水の処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】リン酸を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン含有水の処理方法であって、鉱酸の所定量を添加して中和槽に送ると共に、後段の固液分離により得られた生成汚泥の一部に消石灰を混合した後中和槽に送り、原水と混合して、リン酸をカルシウム塩とした後、固液分離するリン含有水の処理方法において、原水のリン濃度を連続的にリン濃度計により測定し、予め測定した原水中のリン濃度と鉱酸添加量の関係のグラフから鉱酸の所定量を求め、その信号が鉱酸供給ポンプに送られ、鉱酸の所定量の添加を連続的に行うことを特徴とするリン含有水の処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、リン含有水の処理方法及び装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、リン酸を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン含有水の処理方法及び装置において、中性に近いpHでの処理が可能であり、鉱酸及び消石灰の使用量が少なく、汚泥濃度が高く汚泥発生量が減少し、汚泥の脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することができるリン含有水の処理方法及び装置に関する。
リン含有水は、一般に生物学的方法、晶析脱リン法あるいは難溶性の塩を形成する方法によって処理される。生物学的方法は、高濃度のリン含有水では処理が不安定となりやすく、かつ汚泥からリンが再溶出するという問題がある。晶析脱リン法は、原水に炭酸物質が含まれている場合、脱炭酸工程が必要になるという問題がある。難溶性の塩としては、鉄塩、アルミニウム塩及びカルシウム塩が一般的であるが、これらの塩の形成により得られる沈殿汚泥はいずれもゲル状であり、濃縮しにくく汚泥濃度が低く、その結果、汚泥の脱水性が悪いという問題がある。
リン含有水より、難溶性のリン酸第二鉄又はリン酸アルミニウムを形成させる反応は、pH6〜7の中性ないし弱酸性で行うことができる。しかし、生成するリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムからなる汚泥は脱水性が悪く、汚泥量が多くなるとともに、生成したリン酸アルミニウムは再資源化も困難である。また、鉄化合物及びアルミニウム化合物はカルシウム化合物に比べて高価であるために、カルシウム塩の形成による処理が広く行われている。リン含有水に消石灰のようなカルシウム化合物を添加すると、リン酸とカルシウムは塩を形成してヒドロキシアパタイトCa5(PO4)3OHの形で沈殿する。
5Ca2++3PO4 3-+OH-→Ca5(PO4)3OH
この反応において、溶解度積KSPは次式で表される。
SP=[Ca2+]5[PO4 3-]3[OH]=一定
したがって、処理水中のリン酸の濃度は、次式により求めることができる。
[PO4 3-]=(KSP/[Ca2+]5[OH])1/3
すなわち、処理水中のリン酸の濃度は、処理水に溶存するカルシウムイオン濃度と処理水のpHを選定することにより、理論的には任意に制御できることになる。しかし、実際にはこの式に基づいて消石灰の添加量とpHを調整しながらリン含有水の処理を行うことはなく、処理水中のリン酸の濃度を規定値以下とするために必要な消石灰の添加量を経験的に求め、原水であるリン含有水のリン濃度の変動に対して予測される必要な消石灰の量を、リン濃度の最大変動値に合わせて添加し、さらに消石灰とリン酸を効果的に反応させるためにpH10以上で処理する方法が一般的であった。このような方法によると、消石灰の使用量が多くなるばかりでなく、処理水を再中和する必要が生じ、原水のMアルカリ度が高い場合には、炭酸カルシウムが析出して装置にスケールが付着したり、ヒドロキシアパタイトの純度が低下して資源としての再利用が困難になるという問題もある。
リン含有水にカルシウム化合物として消石灰を添加する場合は、被処理水のpHを測定することによってその添加量を制御する。しかし、原水が中性ないしアルカリ性であると、下記の反応により生成する水酸化ナトリウムにより、反応当量の消石灰が添加される前に制御値であるpH10〜12になり、リン酸の処理が不十分になる場合がある。
3NaH2PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+6H2O+3NaOH
3Na2HPO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+3H2O+6NaOH
3Na3PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+9NaOH
このような場合は原水に硫酸のような酸を添加し、例えば、リン酸−水素ナトリウムの形で含まれる場合は下式の反応によりリン酸の形にして処理することが望ましい。
Na2HPO4+H2SO4→H3PO4+Na2SO4
3H3PO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+9H2
この場合も、ヒドロキシアパタイトを効果的に沈殿させるためには、pH10〜12にする必要がある。
このために、必要な薬剤量が少なく、より低い、中性に近いpHで処理することができ、しかも濃度が高く、脱水性の良好な汚泥を得ることができるリン含有水の処理方法及び装置が求められていた。
本発明は、リン酸を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン含有水の処理方法及び装置において、中性に近いpHでの処理が可能であり、鉱酸及び消石灰の使用量が少なく、汚泥濃度が高く汚泥発生量が減少し、汚泥の脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することができるリン含有水の処理方法及び装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルシウム塩の生成によるリン含有水の処理方法において、原水のリン濃度に基づいて原水に所定量の鉱酸を添加し、カルシウム塩を固液分離して得られる生成汚泥の一部を返送して消石灰と混合したのち被処理水に添加し、被処理水のpHが所定の値となるように消石灰の添加量を制御することにより、低いpHでの処理が可能になり、薬剤の使用量が減少し、かつ脱水性の良好な汚泥が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)リン酸を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン含有水の処理方法において、原水のリン濃度を連続的にリン濃度計により測定し、原水のリン濃度の測定値に基づいて、処理水のリン濃度2mg/L以下を達成するに要する鉱酸の所定量を、予め測定した原水中のリン酸濃度と鉱酸添加量の関係のグラフから求めて、その信号が鉱酸供給ポンプに送られ、該所定量の鉱酸を連続的に添加して中和槽に送ると共に、後段の固液分離により得られた生成汚泥の一部に前記中和槽の被処理水のpHが7.5〜8.6になるように消石灰を混合した後中和槽に送り、その後中和槽で前記の鉱酸を添加された原水と混合して、リン酸をカルシウム塩とした後、固液分離することを特徴とするリン含有水の処理方法、及び、
(2)原水のリン濃度を連続的にリン濃度計により測定するリン濃度計、リン濃度の測定値に基づいて、処理水のリン濃度2mg/L以下を達成するに要する鉱酸の所定量を予め測定した原水中のリン酸濃度と鉱酸添加量の関係のグラフから求めて、鉱酸の所定量を求める機構、その信号が鉱酸供給ポンプに送られ鉱酸の所定量の添加を連続的に行う鉱酸供給ポンプ、返送汚泥に消石灰を混合する反応槽、被処理水に返送汚泥と消石灰の混合汚泥を添加する中和槽、中和槽の被処理水のpHを測定して消石灰の混合量を該中和槽の被処理水のpHが7.5〜8.6になるように調節する制御機構、沈殿したリン酸のカルシウム塩を固液分離する沈殿槽及び生成汚泥の一部を返送する汚泥返送ポンプを有することを特徴とするリン含有水の処理装置、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(3)生成汚泥の返送量が、原水の0.01〜0.4容量倍である第1項記載のリン含有水の処理方法、
(4)鉱酸が、硫酸である第1項記載のリン含有水の処理方法、及び、
(5)中和槽の被処理水のpHが、8.0〜8.6になるように消石灰を混合する第1項記載のリン含有水の処理方法、
を挙げることができる。
本発明のリン含有水の処理方法及び処理装置によれば、中性に近いpHでの処理が可能であり、鉱酸及び消石灰の使用量が少なく、汚泥濃度が高く汚泥発生量が減少し、汚泥の脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することができる。また、処理水は中性に近く、再中和を必要としない。さらに、得られる脱水ケーキは、炭酸カルシウムをほとんど含まない純度の高いヒドロキシアパタイトなので、リン酸肥料などとして再資源化が可能である。
本発明のリン含有水の処理方法においては、原水のリン濃度を測定し、リン濃度の測定値に基づいて原水に所定量の鉱酸を添加して中和槽に送ると共に、後段の固液分離により得られた生成汚泥の一部に前記中和槽の被処理水のpHが7.5〜8.6になるように消石灰を混合した後中和槽に送り、その後中和槽で前記の鉱酸を添加された原水と混合して、リン酸を難溶性のカルシウム塩とした後、固液分離する。
本発明のリン含有水の処理装置は、原水のリン濃度を測定するリン濃度計、リン濃度の測定値に基づいて原水に所定量の鉱酸を添加する鉱酸供給ポンプ、返送汚泥に消石灰を混合する反応槽、被処理水に返送汚泥と消石灰の混合汚泥を添加する中和槽、中和槽の被処理水のpHを測定して消石灰の混合量を調節する制御機構、沈殿したリン酸のカルシウム塩を固液分離する沈殿槽及び生成汚泥の一部を返送する汚泥返送ポンプを有する。なお、ここでは、沈殿槽で固液分離された汚泥を「生成汚泥」、生成汚泥のうち反応槽に送る汚泥を「返送汚泥」、反応槽で消石灰と混合されて中和槽に供給される汚泥を「混合汚泥」と呼ぶ。
図1は、本発明装置の一態様の工程系統図である。原水のリン濃度が原水配管に設けられたリン濃度計1により測定され、信号が鉱酸供給ポンプ2に送られる。鉱酸貯槽3より所定量の鉱酸が鉱酸供給ポンプにより原水槽4に供給され、原水と混合される。鉱酸を添加された原水は、原水ポンプ5により中和槽6に送られ、混合汚泥が添加されて、リン酸は難溶性のカルシウム塩となって析出する。リン酸のカルシウム塩が析出した被処理水は、凝集槽7に送られ、凝集剤貯槽8から凝集剤ポンプ9により凝集剤が添加され、析出したリン酸のカルシウム塩が凝集してフロックを形成する。凝集槽7は、必ずしも設けなくともよい。フロックを形成した被処理水は、沈殿槽10において固液分離され、上澄水が処理水として排出される。
沈殿槽において分離された生成汚泥は、その一部が返送汚泥として汚泥返送ポンプ11により反応槽12に送られ、反応槽を溢流して中和槽6に流入する。汚泥返送ポンプは常時運転し、常に一定量の返送汚泥が反応槽へ流入する状態とすることが好ましい。中和槽にはpHセンサー13が設けられ、被処理水のpH測定値に基づいて制御器14よりバルブ15及び16に信号が送られ、中和槽の被処理水のpHが所定の値に保たれるように消石灰が添加される。消石灰貯槽17に貯留された消石灰スラリーは、消石灰スラリーポンプ18により循環しているが、中和槽の被処理水のpHが低下するとバルブ15が開き、バルブ16が閉じて反応槽12に送られる。反応槽において、消石灰のカルシウムが返送汚泥中のリン酸のカルシウム塩の粒子の表面に吸着され、返送汚泥とともに中和槽に供給される。中和槽の被処理水のpHが所定の値まで上昇すると、制御器14より送られる信号により、バルブ16が開き、バルブ15が閉じて消石灰の供給が停止される。
本発明方法においては、中和槽の被処理水のpHを7.5〜8.6、より好ましくは8.0〜8.6となるように制御する。本発明方法においては、反応槽に返送された返送汚泥に消石灰を添加するので、汚泥中のリン酸のカルシウム塩の粒子の表面に消石灰のカルシウムが吸着され、中和槽において被処理水中のリン酸も混合汚泥中のリン酸のカルシウム塩の粒子の表面で消石灰のカルシウムと反応する。その結果、新しく生成したリン酸のカルシウム塩は、混合汚泥中のリン酸のカルシウム塩の粒子の表面に強く吸着され、被処理水のpHが低い場合であってもリン酸の除去効果がよく、沈殿槽から排出される処理水中のリン濃度を2mg/L以下とすることができる。また、生成する汚泥は、従来の方法によるものと全く異なり、凝集性と沈降性に優れた特性を有する。
本発明方法において、反応槽へ送る返送汚泥の量は、原水量に対し0.01〜0.4容量倍であることが好ましく、0.02〜0.3容量倍であることがより好ましい。返送汚泥の量が原水量に対して0.01容量倍未満であると、添加される消石灰のカルシウムを吸着するための表面が不足するおそれがある。返送汚泥の量が原水量に対して0.4容量倍を超えると、返送ポンプが大きくなり設備の利用効率が低下するおそれがある。中和槽の被処理水のpHが7.5未満であると、処理水中のリン濃度が上昇するおそれがある。中和槽の被処理水のpHは8.6以下で十分なリン酸の除去効果が得られ、当該pHは、通常8.6を超える値にする必要はない。また、中和槽の被処理水のpHが8.6を超えると、沈殿槽から排出される処理水の再中和が必要になるとともに、炭酸カルシウムが析出するおそれがある。
本発明方法においては、中和槽への消石灰の添加量を被処理水のpHにより制御する。消石灰の添加量は、原水中のリン濃度が上昇するとともに増大するが、その量は化学反応式
5Ca2++3PO4 3-+OH-→Ca5(PO4)3OH
から求められる計算値とは、かなり異なった量となる。図2は、原水中のリン濃度と薬注量の関係の一例を示すグラフである。本例は、醸造工場廃水中の有機物を除去するために、嫌気性消化処理を行うことにより発生した原水についての測定値であり、リン濃度はほぼ5〜55mg/Lの範囲で変動している。同程度のリン濃度のリン含有水であっても、発生源が異なると、原水リン濃度と薬注量の関係は異なったものとなるが、同一プロセスから発生するリン含有水については、原水リン濃度と薬注量の関係は長期間にわたって一定している。
本発明方法においては、原水のリン濃度を測定し、リン濃度の測定値に基づいて原水に所定量の鉱酸を添加する。添加する鉱酸に特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などを挙げることができる。これらの中で、硫酸は、硫酸イオンが硫酸カルシウムとして除去され、処理水中に鉱酸に由来する陰イオン成分が混入しないので、特に好適に用いることができる。原水のリン濃度と鉱酸の添加量の関係は、特定の発生源に由来するリン含有水について、実験的に求めることができる。原水が中性ないしアルカリ性であると、
3Na2HPO4+5Ca(OH)2→Ca5(PO4)3OH+3H2O+6NaOH
などの反応により水酸化ナトリウムが生成し、必要量の消石灰が添加される前に被処理水のpHが上昇して、リン酸の除去が不十分となるおそれがある。原水にあらかじめ硫酸などの鉱酸を添加することにより、
Na2HPO4+H2SO4→H3PO4+Na2SO4
などの反応により、消石灰の添加による水酸化ナトリウムの生成を防ぐことができる。一方、原水に鉱酸を過剰に添加すると、過剰の鉱酸は中和槽において消石灰により中和されるので、鉱酸、消石灰ともに無駄に消費される。そのために、特定の発生源に由来するリン含有水について、原水のリン濃度と鉱酸の最適添加量について一定の関係がある。図2には、醸造工場廃水中の有機物を除去するために嫌気性消化処理を行うことにより発生した原水について、原水のリン濃度と硫酸の最適添加量の関係も示している。本図の硫酸の薬注量は、処理水のリン濃度2mg/L以下を達成するという条件で、硫酸の最小添加量を実験的に求めたものである。同程度のリン濃度のリン含有水であっても、発生源が異なると、原水リン濃度と鉱酸の添加量の関係は異なったものとなるが、同一プロセスから発生するリン含有水については、原水リン濃度と鉱酸の添加量の関係は長期間にわたって一定している。
処理すべきリン含有水のリン濃度が変動する場合、従来は予測される最大リン濃度に対応する鉱酸と消石灰を添加して処理していた。したがって、原水中のリン濃度が低下している場合には、薬剤が無駄に消費されるとともに、生成する汚泥の量の増大にもつながっていた。本発明方法及び装置によれば、原水のリン濃度に応じて最適量の鉱酸を添加するので、鉱酸と消石灰が無駄に消費されることがなく、経済的にリン含有水の処理を行い、リン濃度2mg/L以下の高い水質を有する処理水を回収することができる。また、ヒドロキシアパタイトとして回収されるリン酸のカルシウム塩の純度が高いために、リン酸肥料などとして再資源化し利用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
醸造工場廃水中の有機物を除去するために、嫌気性消化処理を行うことにより発生したリン含有水を、図1に示す工程により処理した。原水の性状は、pH7.5〜8.5、リン濃度2〜56mg/L、Mアルカリ度500〜1,000mg/Lの範囲で変動していた。
原水のリン濃度と硫酸の必要量の関係をあらかじめ実験的に求め、図2に示す結果を得た。
リンを含有する原水を、250m3/hの流速で処理装置に送った。原水のリン濃度をリン濃度計により測定し、図2に示す量の硫酸を原水槽に添加した。中和槽のpHは、消石灰の添加により、8.0〜8.6に制御した。凝集槽において、ポリアクリルアミド部分加水分解物1mg/Lを添加した。沈澱槽において生成した汚泥のうち、15m3/hを返送汚泥として反応槽に返送した。
24時間の連続運転中、原水のリン濃度は、図3に示すように変動した。これに伴って、硫酸の添加量及び消石灰の消費量は、図4に示すように変動した。24時間の硫酸の使用量は966kgであり、消石灰の使用量は1,583kgであった。また、この間、処理水のリン濃度は一貫して2mg/L以下であった。
比較例1
従来、この工程では、原水中の最大リン濃度を60mg/Lと想定し、原水に常に213mg/Lの硫酸を添加し、中和層に常に325mg/Lの消石灰を添加していた。処理水のリン濃度は一貫して2mg/L以下であった。
この方法によると、24時間の硫酸の使用量は1,278kg、消石灰の使用量は1,950kgとなる。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表に示す。
Figure 2006142301
第1表に見られるように、本発明方法によれば、従来法に比較して、硫酸の使用量は約76%、消石灰の使用量は約81%に減少する。処理水の水質は、本発明方法、従来法ともに同等である。硫酸の価格を20円/kg、消石灰の価格を25円/kgとすると、本発明方法を採用することにより、250m3/hのリン含有水を処理して、従来法に比べて1日当たり15,415円の薬剤費の節減が可能となる。
本発明のリン含有水の処理方法及び処理装置によれば、中性に近いpHでの処理が可能であり、鉱酸及び消石灰の使用量が少なく、汚泥濃度が高く汚泥発生量が減少し、汚泥の脱水性が良好で脱水ケーキの発生量を低減することができ、また、処理水は中性に近く、再中和を必要としない。さらに、得られる脱水ケーキは、炭酸カルシウムをほとんど含まない純度の高いヒドロキシアパタイトなので、リン酸肥料などとして再資源化が可能であり、リン含有水の処理産業において有益な発明である。
図1は、本発明装置の一態様の工程系統図である。 図2は、原水中のリン濃度と薬注量の関係の一例を示すグラフである。 図3は、原水のリン濃度の変動を示すグラフである。 図4は、硫酸の添加量及び消石灰の消費量の変動を示すグラフである。
符号の説明
1 リン濃度計
2 鉱酸供給ポンプ
3 鉱酸貯槽
4 原水槽
5 原水ポンプ
6 中和槽
7 凝集槽
8 凝集剤貯槽
9 凝集剤ポンプ
10 沈殿槽
11 汚泥返送ポンプ
12 反応槽
13 pHセンサー
14 制御器
15 バルブ
16 バルブ
17 消石灰貯槽
18 消石灰スラリーポンプ

Claims (2)

  1. リン酸を難溶性のカルシウム塩として固液分離するリン含有水の処理方法において、原水のリン濃度を連続的にリン濃度計により測定し、原水のリン濃度の測定値に基づいて、処理水のリン濃度2mg/L以下を達成するに要する鉱酸の所定量を、予め測定した原水中のリン酸濃度と鉱酸添加量の関係のグラフから求めて、その信号が鉱酸供給ポンプに送られ、該所定量の鉱酸を連続的に添加して中和槽に送ると共に、後段の固液分離により得られた生成汚泥の一部に前記中和槽の被処理水のpHが7.5〜8.6になるように消石灰を混合した後中和槽に送り、その後中和槽で前記の鉱酸を添加された原水と混合して、リン酸をカルシウム塩とした後、固液分離することを特徴とするリン含有水の処理方法。
  2. 原水のリン濃度を連続的にリン濃度計により測定するリン濃度計、リン濃度の測定値に基づいて、処理水のリン濃度2mg/L以下を達成するに要する鉱酸の所定量を予め測定した原水中のリン酸濃度と鉱酸添加量の関係のグラフから求めて、鉱酸の所定量を求める機構、その信号が鉱酸供給ポンプに送られ鉱酸の所定量の添加を連続的に行う鉱酸供給ポンプ、返送汚泥に消石灰を混合する反応槽、被処理水に返送汚泥と消石灰の混合汚泥を添加する中和槽、中和槽の被処理水のpHを測定して消石灰の混合量を該中和槽の被処理水のpHが7.5〜8.6になるように調節する制御機構、沈殿したリン酸のカルシウム塩を固液分離する沈殿槽及び生成汚泥の一部を返送する汚泥返送ポンプを有することを特徴とするリン含有水の処理装置。
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