JP2009227562A - α石膏の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】入手が平易で安価な原料を用いて、粗大なα石膏結晶を製造する。
【解決手段】水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液との複分解反応により生成した二水石膏スラリーに、アニオン性の高分子凝集剤を添加し、微粒の二水石膏を凝集させた後、二水石膏スラリーを洗浄後にα化反応を実施することで、粗大な粒径を持つα石膏の結晶を製造することが可能となる。微粒の二水石膏を凝集させるアニオン性凝集剤としては、アニオン性の高分子凝集剤を用いることが好ましい。凝集後の二水石膏をα化反応する際の反応温度は115〜150℃、反応系のPHは、5〜12の範囲で実施することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液との複分解反応により生成した二水石膏スラリーに、アニオン性の高分子凝集剤を添加し、微粒の二水石膏を凝集させた後、二水石膏スラリーを洗浄後にα化反応を実施することで、粗大な粒径を持つα石膏の結晶を製造することが可能となる。微粒の二水石膏を凝集させるアニオン性凝集剤としては、アニオン性の高分子凝集剤を用いることが好ましい。凝集後の二水石膏をα化反応する際の反応温度は115〜150℃、反応系のPHは、5〜12の範囲で実施することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、α石膏の製造方法に関する。更に詳しくは、複分解反応で生成した二水石膏にアニオン性凝集剤を添加することで、二水石膏の粒径を粗大化し、その二水石膏をα化することで粒径の粗大なα石膏結晶を製造する方法に関する
工業的なα石膏(半水石膏)の製造方法としては、天然に存在する二水石膏又は工業的に生産された二水石膏を、加圧水溶液法、加圧水蒸気法等の手法でα化した後、濃縮・乾燥・粉砕などの工程を経て製造する方法が一般的である。
工業的な二水石膏の製造方法としては、排煙脱硫石膏、リン酸製造工程における副成石膏、廃酸中和処理における副生石膏などがあり、何れも硫酸根とカルシウム源との反応により合成され、生成反応(一例)は下記のように示される。
Ca(OH)2+H2SO4→CaSO4・2H2O
Ca(OH)2+H2SO4→CaSO4・2H2O
この反応は通常水を溶媒として用いて実施されるため、得られる石膏は二水石膏(CaSO4・2H2O)であり、α石膏を得るには二水石膏をα化する工程が必要となる。
α化には加圧水蒸気法、加圧溶液法などの手法があり、生成反応は下記のように示される。
CaSO4・2H2O →CaSO4・1/2H2O+3/2H2O
CaSO4・2H2O →CaSO4・1/2H2O+3/2H2O
上記の反応によって得られたα石膏は、通常、分離・乾燥などの工程を経た後に粉砕され、所定の粒度分布となるよう粒度調整が行われる。この際、α石膏の粒径が粗大であれば、粉砕や粒度調整も容易となるため、幅広い粒度分布を持たせることが可能となる。
また凝集剤は、各種産業にて発生する廃水中の懸濁成分を凝集させて粗大な粒子などをフロックとして沈降分離し、廃水の清澄度やフロックの脱水性を向上させるために用いられる事が一般的である。
粒径の大きなα石膏を製造する方法としては、II型無水石膏を塩酸/硝酸に溶解し、硫酸で析出させる方法がある(特許文献1)。
凝集剤を用いて廃水中の有効成分を凝集物として回収する方法としては、凝集剤生産能力を有する培養物を酸性条件下で発酵残査懸濁液と接触させて凝集させ、有用物質を回収するという手法がある(特許文献2)。
特開平8−67516号公報
特開平2−215387号公報
しかし特許文献1に開示された方法にてα石膏を製造した場合、石膏の原料として入手が困難なII型の無水石膏が必要となり、入手可能性および価格の両面で大きな問題がある。さらに溶剤として硝酸を用いているため、製造装置の腐食といった懸念もあり、工業的に有利な手法とは言い難い。
特許文献2に開示された方法は、凝集剤を用いて廃水中の有用成分を回収する手法であるが、回収対象が有機物に限定されており、さらに回収した成分を反応・精製する手法については記載されていない。
このように、粒径の粗大なα石膏を製造する手法としては、無水石膏を鉱酸に溶解させた後に再析出させる方法があるが、価格面・原料の入手方法などに課題がある。
また、凝集剤を添加するプロセスはごく薄い懸濁物を含む排水から、粒子をフロック状に凝集させて沈降分離し廃水処理を行う事が一般的であり、分離後の固体成分は通常廃棄するものである。またその懸濁物を回収する場合においても、回収成分について反応・精製行う手法については知見がない。
したがって、本発明では、入手が平易で安価な原料を用い、さらに添加剤としてアニオン性凝集剤を用いることで装置腐食などの懸念の無いプロセスにて粗大なα石膏結晶を合成する方法を提供することを課題とする。
上記につき鋭意検討を行った結果、複分解反応で二水石膏に凝集剤を添加して見かけ上の粒度を大きくした後に、α化反応を行うことにより、粗大なα石膏の結晶の合成が可能であることを見いだした。
(1)水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液との複分解反応により生成した二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加し、二水石膏スラリーを洗浄した後にα化反応を実施することを特徴としたα石膏の製造方法。
(2)アニオン性凝集剤添加量が、二水石膏に対し0.01〜0.5wt%であることを特徴とする(1)に記載のα石膏の製造方法。
(3)α化反応を115〜150℃の範囲で実施することを特徴する(1)または(2)に記載のα石膏の製造方法。
(4)α化反応をPH5〜12の範囲で実施することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
(1)水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液との複分解反応により生成した二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加し、二水石膏スラリーを洗浄した後にα化反応を実施することを特徴としたα石膏の製造方法。
(2)アニオン性凝集剤添加量が、二水石膏に対し0.01〜0.5wt%であることを特徴とする(1)に記載のα石膏の製造方法。
(3)α化反応を115〜150℃の範囲で実施することを特徴する(1)または(2)に記載のα石膏の製造方法。
(4)α化反応をPH5〜12の範囲で実施することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
本発明により容易に粗大化したα石膏の結晶を得ることが可能となる。さらに、本発明により製造されたα石膏はその粒径の大きさより、粉砕により種々の粒度分布を持つα石膏を得ることが出来るため、陶磁器・貴金属・歯科模型などの型材や、歯科埋没材の原料として使用することが可能である。
本発明は、水酸化カルシウムスラリーと、硫酸または硫酸塩との複分解反応により生成した二水石膏にアニオン性凝集剤を添加することで、二水石膏の粒径を見かけ上粗大化し、この二水石膏を原料としてα化反応を実施することで粒径の粗大なα石膏結晶を製造する方法である。
以下に本発明における二水石膏の原料および添加剤について説明する。
本発明で用いる水酸化カルシウムスラリーの製造方法については特に制限はないが、例えば生石灰の消化反応により製造されたものや、JISに規定された特号品の消石灰をスラリー化したものを用いることができる。消石灰スラリー濃度は15wt%以下が好ましく、5〜13wt%の範囲にあることがより好ましい。消石灰スラリー濃度が上記を超えて高い場合は、複分解反応時に未反応の消石灰が残存しやすくなる傾向にある。
本発明で用いる硫酸根を含む水溶液については、硫酸または硫酸アンモニウムを用いることが好ましく、カプロラクタム製造工程で副産物として生じた硫酸アンモニウムを水に溶解させ、濃度40wt%以上、好ましくは濃度42wt%以上飽和溶解度以下に調整した硫酸アンモニウム水溶液を原料として用いることができる。
複分解反応により生成した二水石膏を凝集させるための凝集剤としては、アニオン性凝集剤を用いる。アニオン性凝集剤としては、通常用いられているものを使用することが可能であるが、アクリルアミドモノマーと、カルボキシル基またはスルホン酸基を有する重合性モノマーより得られた重合体から成るアニオン性高分子凝集剤を用いることが好ましい。前記重合体としては、アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共重合物やアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合物が好ましく、アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共重合物がより好ましい。
α化反応における媒晶剤としては、α石膏に対して媒晶効果のある物質で有れば特に制限はされないが、コハク酸またはクエン酸のナトリウム塩を用いることが好ましく、コハク酸二ナトリウムを用いることがより好ましい。
以下に本発明におけるα石膏の製造方法の詳細を説明する。
水酸化カルシウムスラリーと硫酸根とを含む水溶液との複分解反応は、温度0〜80℃で実施することが好ましい。反応温度が上記範囲を超えて高くなると、二水石膏が安定な状態で存在できなくなり、β石膏の生成量が多くなってしまう傾向にある。また、反応温度が上記範囲を超えて低くなる場合には、水溶液が凍結するために反応が進行しない。
複分解反応時間は10分以上であることが好ましく、30〜120分の範囲にあることがより好ましい。反応時間が上記を越えて短い場合、複分解反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、反応の進行が十分でないときは、未反応の水酸化カルシウムや硫酸根の残存量が増大してしまい、石膏純度の低下や、後工程におけるα化反応の阻害を引き起こす可能性がある。
上記二水石膏スラリーを含む反応液が副成生物を含有している場合は、アニオン性凝集剤を添加する前に除去することが好ましい。例えば硫酸根として硫酸アンモニウムを用いた場合、生成した二水石膏スラリーは副生成物であるアンモニアを含有しているため、ろ過などの手段により系外にアンモニアを排出することが好ましい。副成生物を除去した後の二水石膏スラリーに硫酸を添加し、酸性の条件下に保つことで未反応の消石灰を反応させ、二水石膏を生成させても良い。
アニオン性凝集剤を二水石膏スラリーに添加する手法は特に制限されないが、予めアニオン性凝集剤濃度が0.05〜0.5wt%となるようなアニオン性凝集剤溶液を調整し、二水石膏スラリーに混合する手法が好ましい。アニオン性凝集剤の溶媒はα化反応を阻害するものでなければ特に制限はされないが、水または希硫酸を用いることが好ましい。アニオン性凝集剤の添加量は、二水石膏スラリー重量に対しアニオン性凝集剤の重量が0.01〜0.5wt%の範囲となるよう、アニオン性凝集剤水溶液を添加することが好ましい。アニオン性凝集剤添加量が上記を越えて多くなると、後述の洗浄後にもアニオン性凝集剤が二水石膏スラリー中に残存し、媒晶剤の効果を阻害してしまうためα化が進行しづらい。アニオン性凝集剤添加量が上記を越えて少なくなると、二水石膏微粒子の凝集が十分に進行しない。
二水石膏凝集後、スラリー中に残存したアニオン性凝集剤は媒晶剤の効果を阻害してしまうためにスラリーの洗浄を実施する必要がある。洗浄方法としてはろ過により二水石膏とアニオン性凝集剤溶液を分離した後に、そのまま洗液として水を投入してリンスする手法が好ましい。洗液の投入量はろ過前の二水石膏スラリー重量に対し1〜10倍であることが好ましく、特に1〜5倍であることが好ましい。洗液投入量が上記を越えて多い場合は、過度の洗浄によりアニオン性凝集剤が洗液に溶解してしまい、凝集させた二水石膏が再度微粒の二水石膏に戻る。洗液投入量が上記を越えて少ない場合は、アニオン性凝集剤が二水石膏スラリー中に残存し、媒晶剤の効果を阻害してしまうためα化が進行しづらい。
二水石膏のα化は、上記の洗浄後の二水石膏に再度水を投入してスラリー化し、媒晶剤を添加した後に、密閉容器に投入し、加温・加圧される事で進行する。α化反応における反応温度は、115〜150℃の範囲で実施することが好ましく、120〜125℃の範囲で実施することがより好ましい。反応温度が上記を超えて低くなると、α化反応が進行しにくくなる。反応温度が上記を超えて高くなると、無水化が進行しやすい条件となるため、生成したα石膏が無水石膏に転換してしまう。
α化反応における反応系のPHは、5〜12の範囲にあることが好ましい。系のPHが過度に酸性に傾くと、媒晶剤の効果が阻害されてしまう傾向にあり、PHが過度にアルカリ性に傾くと、アルカリにより媒晶剤の効果が阻害されてしまう傾向にある。
その他α化反応における条件としては、二水石膏スラリー中の二水石膏濃度は50wt%以下であることが好ましく、5〜40%wtであることがより好ましい。また、反応時間は1時間以上であることが好ましく、1.5〜5時間の範囲にあることがより好ましい。媒晶剤の添加量はα化反応前の二水石膏スラリーに対して0.1〜0.5wt%の範囲にあることが好ましい。スラリー濃度が上記範囲にあることにより、二水石膏の撹拌を効率的に行うことができ、α化が促進される。反応時間が上記範囲にあるときにα化反応が十分に進行し、残存する二水石膏が殆ど無くなるため好ましい。媒晶剤添加量が上記範囲内にある場合に媒晶効果が適度に発揮され、α化反応そのものを阻害することなく、媒晶効果が発揮されることにより粒径の粗大なα石膏が生成しやすい。
媒晶剤をα化反応前に添加する手法は特に制限はされないが、媒晶剤を直接混合する手法や、予め媒晶剤濃度が1.0〜10.0wt%となるような媒晶剤溶液を調整し、α化反応前に混合する手法が好ましい。媒晶剤の溶媒はα化反応を阻害するものでなければ特に制限はされないが、水または希硫酸を用いることが好ましい。
上記反応により生成したα石膏は水スラリーであり、温度を低下させると即座に二水石膏に戻るため、加温されたままの状態で水との分離および乾燥する必要がある。分離・乾燥時のα石膏スラリー温度は90℃以上である事が好ましい。スラリーからα石膏を分離・乾燥する方法としては特に制限はされないが、例えば100℃に加熱した漏斗を用いてα石膏をろ過分離した後、100〜120℃の乾燥機で乾燥することでα石膏を得ることが出来る。
かくして得られたα石膏は粒径が大きく、具体的には平均粒径として50〜150μm程度のものを得ることが可能であり、好ましい態様によっては100〜150μm程度のものを得ることも可能である。
α石膏の平均粒径を測定する方法については特に限定されないが、例えば、レーザー粒度測定装置やSEMによる写真から直接粒径を測定する方法などが好ましく使用される。本発明においては、レーザー粒度測定装置を用いて粒度分布を測定し、そのメディアン値を平均粒径とする。
α石膏の平均粒径を測定する方法については特に限定されないが、例えば、レーザー粒度測定装置やSEMによる写真から直接粒径を測定する方法などが好ましく使用される。本発明においては、レーザー粒度測定装置を用いて粒度分布を測定し、そのメディアン値を平均粒径とする。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
原料となる硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、硫安水溶液を分離した後マグマ型晶析装置にて晶析)49.6gをイオン交換水66.9gに溶解して40wt%水溶液を調整し、500mlの4つ口フラスコに、消石灰25.0g、イオン交換水250.0gを投入した後、モーターの先に撹拌羽を取り付け、熱電対温度計、硫酸アンモニウム溶液滴下ラインを取り付けた。攪拌羽の回転を開始し、消石灰スラリーを攪拌しながら上記硫酸アンモニウム水溶液を、マイクロフィーダーを用いて四つ口フラスコへ滴下を開始した。反応終了後スラリーの温度は30℃であり、滴下に要した時間は60分であった。生成した二水石膏は58.0gであった。
原料となる硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、硫安水溶液を分離した後マグマ型晶析装置にて晶析)49.6gをイオン交換水66.9gに溶解して40wt%水溶液を調整し、500mlの4つ口フラスコに、消石灰25.0g、イオン交換水250.0gを投入した後、モーターの先に撹拌羽を取り付け、熱電対温度計、硫酸アンモニウム溶液滴下ラインを取り付けた。攪拌羽の回転を開始し、消石灰スラリーを攪拌しながら上記硫酸アンモニウム水溶液を、マイクロフィーダーを用いて四つ口フラスコへ滴下を開始した。反応終了後スラリーの温度は30℃であり、滴下に要した時間は60分であった。生成した二水石膏は58.0gであった。
上記二水石膏をろ過により反応液から分離した後、1Lのビーカーに入れ、イオン交換水250gを投入して再び二水石膏スラリーとした。このスラリーにアニオン性凝集剤(アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共重合物、(MTアクアポリマー社製“アコフロック”)0.02g(二水石膏スラリーに対し、0.08wt%)を100mlのイオン交換水に溶解したものを投入し、ガラス棒を用いて撹拌することで二水石膏を凝集させた。
生成した二水石膏凝集体を含むスラリーをろ過した後、イオン交換水1000mlを用いて二水石膏を洗浄・分離した後、α化反応器にイオン交換水450gと共に投入して三度二水石膏スラリー(スラリー濃度11.4%)とし、さらに媒晶剤(コハク酸二ナトリウム)0.1gを投入した(二水石膏スラリーに対し、0.2wt%)。この二水石膏スラリーを120℃で2時間加熱し、α化反応を実施した。生成したα石膏を冷却することなくろ過し、110℃に温度を設定した乾燥機で2時間乾燥させた。生成したα石膏の平均粒径についてはレーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)を用いてメディアン値を測定した。その結果116μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図1に示す。
実施例2
原料となる硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、硫安水溶液を分離した後マグマ型晶析装置にて晶析)74.4gをイオン交換水100.4gに溶解して40wt%水溶液を調整し、500mlの4つ口フラスコに、消石灰37.5g、イオン交換水300.0gを投入した後、モーターの先に撹拌羽を取り付け、熱電対温度計、硫酸アンモニウム溶液滴下ラインを取り付けた。攪拌羽の回転を開始し、消石灰スラリーを攪拌しながら上記硫酸アンモニウム水溶液を、マイクロフィーダーを用いて四つ口フラスコへ滴下を開始した。反応終了後スラリーの温度は30℃であり、滴下に要した時間は60分であった。生成した二水石膏は86.9gであった。
原料となる硫酸アンモニウム(カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加し、硫安水溶液を分離した後マグマ型晶析装置にて晶析)74.4gをイオン交換水100.4gに溶解して40wt%水溶液を調整し、500mlの4つ口フラスコに、消石灰37.5g、イオン交換水300.0gを投入した後、モーターの先に撹拌羽を取り付け、熱電対温度計、硫酸アンモニウム溶液滴下ラインを取り付けた。攪拌羽の回転を開始し、消石灰スラリーを攪拌しながら上記硫酸アンモニウム水溶液を、マイクロフィーダーを用いて四つ口フラスコへ滴下を開始した。反応終了後スラリーの温度は30℃であり、滴下に要した時間は60分であった。生成した二水石膏は86.9gであった。
上記二水石膏をろ過により反応液から分離した後、1Lのビーカーに入れ、イオン交換水350gを投入して再び二水石膏スラリーとした。このスラリーにアニオン性凝集剤(アクリルアミド−アクリル酸ソーダ共重合物、(伯東社製“ハクトロン”)0.03g(二水石膏スラリーに対し、0.08wt%)を100mlのイオン交換水に溶解したものを投入し、ガラス棒を用いて撹拌することで二水石膏を凝集させた。
生成した二水石膏凝集体を含むスラリーをろ過した後、イオン交換水1500mlを用いて二水石膏を洗浄・分離した後、α化反応器にイオン交換水500gと共に投入して三度二水石膏スラリー(スラリー濃度14.8%)とし、さらに媒晶剤(コハク酸二ナトリウム)0.12gを投入した(二水石膏スラリーに対し、0.2wt%)。この二水石膏スラリーを120℃で2時間加熱し、α化反応を実施した。生成したα石膏を冷却することなくろ過し、110℃に温度を設定した乾燥機で2時間乾燥させた。生成したα石膏の平均粒径についてはレーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)を用いてメディアン値を測定した。その結果112μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図2に示す。
比較例1
二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例1と同様の手法にてα石膏の合成を実施した。生成したα石膏の平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果23μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図3に示す。
二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例1と同様の手法にてα石膏の合成を実施した。生成したα石膏の平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果23μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図3に示す。
比較例2
二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例2と同様の手法にてα石膏の合成を実施した。生成したα石膏の平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果25μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図4に示す。
二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例2と同様の手法にてα石膏の合成を実施した。生成したα石膏の平均粒径を実施例1と同様にして測定した結果25μmであった。また、生成したα石膏について光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察した顕微鏡写真を図4に示す。
本発明によって製造されたα石膏は、少ない水で混錬する事が可能で高強度の硬化体が得られ、さらに硬化時の膨張率が小さいという特徴を有している。さらに、粗大な粒径を持つため、粉砕により種々の粒度分布を持つα石膏を得ることが出来るため、陶磁器・貴金属・歯科模型などの型材や、歯科埋没材の原料として使用することが可能となる。
Claims (4)
- 水酸化カルシウムスラリーと、硫酸根を含む水溶液との複分解反応により生成した二水石膏スラリーにアニオン性凝集剤を添加し、二水石膏スラリーを洗浄した後にα化反応を実施することを特徴とするα石膏の製造方法。
- アニオン性凝集剤添加量が、二水石膏に対し0.01〜0.5wt%であることを特徴とする請求項1に記載のα石膏の製造方法。
- α化反応を115〜150℃の範囲で実施することを特徴する請求項1または2に記載のα石膏の製造方法
- α化反応をPH5〜12の範囲で実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のα石膏の製造方法。
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