JP2010063879A - カートリッジ - Google Patents

Abstract

【課題】大量の物質の収容と保管が可能なカートリッジを提供する。
【解決手段】吐出開口部１１ａ，１１ｂと、チャンバの中で移動できるピストン８ａ，８ｂにより閉鎖されるとともに物質の吐出に役立つ別の開口部と、をそれぞれ特色とする物質を収容するための少なくとも１つのチャンバ６ａ，６ｂを備え、カートリッジはさらに、チャンバ６ａ，６ｂの中でピストン８ａ，８ｂを移動させるためのピストンロッド機構を特色とし、ばね要素１８ａ，１８ｂの補助により第１吐出段階から第２吐出段階へ移行できるいくつかのピストンロッド１４ａ，１４ｂ，１５によって、ピストンロッド機構が構成される構成とする。
【選択図】図２

Description

本発明は、物質を収容するための少なくとも１つのチャンバと、チャンバの中でピストンを移動させるためのピストンロッド機構を備えるカートリッジに関する。チャンバは、吐出開口部と、チャンバ内で移動できるピストンにより閉鎖されて物質を吐出するのに役立つ別の開口部と、をそれぞれ特徴とする。

特に歯科学の分野において、このタイプのカートリッジは、単一成分または複数成分の材料を保管して加工の直前に吐出するためなど様々な用途について周知である。特許文献１および特許文献２は、それぞれ二種類の成分を保管し吐出するためのカートリッジを開示している。ここでは、カートリッジの後ろ側から突出するピストンロッドが設けられている。

さらに、米国ロビンスヴィルのＴＡＨ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓ ｉｎｃ．は、相互に同軸にかつ略前後に配置されるとともにポット状の伝達ピストンにより空にされる二つのチャンバを備える上述のタイプのカートリッジを、「ｕ−ＴＡＨ（商標）ｎａｎｏ」の名称で提供している。このカートリッジは、適用可能な場合に別のミキサまたは類似のアプリケータをカートリッジに装着するため、カートリッジの初回使用の前に取り外す必要のある密閉キャップが付いた状態で供給される。「ｕ−ＴＡＨ（商標）ｎａｎｏ」カートリッジは、米国シェルトンのＣｅｎｔｒｉｘ Ｉｎｃ．により「Ｃｅｎｔｒｉｘ（登録商標）」の名称で販売されているもの等の吐出ガン（dispensing gun）への接続に適した保持部を特色とする。このようなガンは特許文献３にも例示されている。

この吐出ガンは、カートリッジのカバーの方へ規定距離だけ前方に押圧されるプランジャを特色としており、これによってピストン機構がチャンバにおいて前方に押圧され、チャンバに収容された物質が吐出される。これら周知のカートリッジの特徴の１つは、吐出ガンのプランジャの１ストロークのみでカートリッジが完全に空になるという点に見ることができる。その結果、吐出ガンのプランジャは前方および後方に規定の距離のみ移動できる。

欧州特許出願公開第１６７９１２６号明細書 欧州特許第０６２４４０３号明細書 欧州特許出願公開第１２５６３８９号明細書

このような技術の現状に基づき、本発明は、大量の物質の収容と保管が可能な、はじめに挙げたタイプのカートリッジを利用可能にすることを目的とする。

この目的は、最初に挙げたタイプのカートリッジでは、吐出ガンのプランジャの所与のストロークによりチャンバの断面積が増大し、プランジャのストロークごとに大量の物質が吐出されるという点によって達成し得る。しかし、これは視覚的な理由から不都合であることが認識されているばかりでなく、プランジャのわずかなストロークによって大量の物質がすでにカートリッジから吐出されているため、正確な計量も非常に困難である。さらに、口腔内等の空間条件は限られたものであり、物質を吐出するのに必要な力は断面積に比例して増大するため、より広い断面積のカートリッジの利用はさらに困難になる。

はじめに挙げたタイプのカートリッジにおいては、本発明によって、ピストンロッド機構は、ピストンと対向する少なくとも１つの第１ピストンロッドと少なくとも１つの追加ピストンロッドとを特色とするという点により、上述した目的が本質的に達成される。ピストンロッドと、第１ピストンロッドと追加ピストンロッドとの間で圧縮応力を与えられた少なくとも１つのばね要素とを確実に（形状ばめ）および／または不確実に（圧力ばめ）接続するための少なくとも１つの手段が、第１および／または追加ピストンロッドに設けられる。この場合、第１ピストンロッドが少なくとも部分的に、または一部のみ追加ピストンロッドに隣接して配置される第１吐出段階から、第１および追加ピストンロッドが本質的に前後に配置されてばね要素により接続される第２吐出段階へ、ピストンロッドが移行する。言い換えると、進歩性を持つカートリッジは、ある量の物質を２つ（またはそれ以上）の段階で連続的にチャンバからそれぞれ吐出することを可能にする。これには、吐出ガンのプランジャの２連続ストロークが必要である。

第２吐出段階でのピストンロッドの接続は、スナップオンまたはスナップイン接続によって行われることが好ましい。代替的または付加的に、クランプ接続を設けることも可能であろう。

プランジャの各ストロークによってごく少量の物質が吐出されるため、特に正確な計量が実現される。さらに、視覚的な理由からも好ましい長円筒形をカートリッジが持つことが好ましい。この場合、最初に両方のピストンロッドが第１ストロークを一緒に実行して、第１吐出段階中には２本のピストンロッドの間のばね要素が引張状態のままであり、第１ピストンロッドと第２ピストンロッドとが最初はばね要素の力のために相互に移動し、続いて、第２吐出段階で吐出ガンのプランジャの後退中に好ましくはスナップオン接続により相互に接続される、すなわち第２ストローク中には両方のピストンロッドが再び一緒に前方へ押圧されるようにして、進歩性を持つピストンロッド機構が実現する。２本のピストンロッドは本質的に、第１吐出段階では相互に隣接して配置され、第２吐出段階では前後に配置されるので、第１吐出段階と第２吐出段階との間でピストンロッド機構の長さが変化する。

第２（または追加）吐出段階でのピストンロッドの間の接続は、ピストンロッドが相互接続される前に第１ストローク全体が実行される必要があるようにして実現される。代替的に、クランプ接続、または例えば複数の鋸歯によるスナップイン接続によってピストンロッドが相互接続される場合には特に、第１ストロークの全体が実行されたかどうかという事実には関係なく、つまり第１ピストンロッドが最初に最大限前方へ押圧されたかどうかという事実には関係なく、ピストンロッドが相互接続されてもよい。

第１吐出段階では、ピストンロッド機構の少なくとも２本のピストンロッドが相互に完全に隣接して配置される必要はなく、吐出プロセス中に軸方向につまり前方方向に部分的に重複すれば充分である。さらに、第２吐出段階では第１ピストンロッドと追加ピストンロッドは正確に前後に配置される必要はなく、むしろ、部分的に重複すればよいのであり、すなわち、第１吐出段階と比較してピストンロッド機構の長さが増えるのであれば、相互に整合状態で配置される必要はない。しかし、第１吐出段階では第１ピストンロッドと追加ピストンロッドとが相互に入れ子式に配置されることが特に好ましい。このため、ピストンロッドの一方には、他のピストンロッドが案内される穴または同様の開口部が設けられている。ピストンロッドはスリーブ状の形でも良く、これらのスリーブは、第１吐出段階中には相互に入れ子式に押圧されて、第２吐出段階中には引き離される。

第２吐出段階中に一緒に前方へ押圧されるようにピストンロッドを相互接続するため、ピストンロッドの一方にはスナップイン溝が設けられ、スナップイン溝と嵌合するスナップインタブが他のピストンロッドに設けられる。代替的または付加的に、ピストンロッドが相互に移動できる第１吐出段階中の位置から、ピストンロッドの相互に対する移動が少なくとも一方向に阻止される第２吐出段階中の第２位置まで、すなわちピストンロッドの間の相対位置に応じてスナップするように、少なくとも１つの拡張部またはスナップインウェブがピストンロッドの少なくとも一方に設けられてもよい。本発明によれば、ばね要素が２本のピストンロッドを相互に充分遠くまで移動させるとすぐに、ピストンロッドの間のスナップイン接続によって自動的に嵌合することが特に好ましい。しかし、手作業による嵌合などにより、ピストンロッド機構の延出位置にピストンロッドをロックすることも基本的に可能だろう。

少なくとも一種類の物質がカートリッジから吐出される時の計量精度を向上させるため、第１および第２吐出段階中には、追加ピストンロッドが第１ピストンロッドに直接支持されることが好ましい。少なくとも１本のピストンをチャンバの中で前方へ押圧するための力は、圧力ばねなどのばね要素によって伝達されるのでなく、むしろピストンロッドは相互に直接的に支持される。代替的に、吐出力を伝達するのに役立つ少なくとも１つの好ましくは剛性の中間要素が、ピストンロッドの間に設けられてもよい。

進歩性を有するカートリッジは、単一種類の物質の保管と、単一のチャンバでの／からの吐出とに適しているばかりでなく、数種類の物質を個別に保管することと、異なるチャンバで／から一緒に吐出することにも適している。チャンバおよびカートリッジの設計は、特に、全体を参照している独国実用新案第２０ ２００８ ００７ ８０１ Ｕ号に記載されているような形態である。

カートリッジにおいていくつかのチャンバが後方に、および／または相互に隣接して配置される場合には、ピストンおよびピストンロッド、または少なくともピストンロッドの一部が各チャンバにそれぞれ割り当てられる。本発明の特に好適な一実施例によれば、カートリッジが全体として本質的に円筒形の外側輪郭を持つように、ほぼ半円形の断面をそれぞれが持つ二つのチャンバが相互に隣接してカートリッジに配置される。本発明の別の好適な実施例によれば、同心状に相互を包囲する２つのチャンバが設けられ、外チャンバは内チャンバを囲繞する環状スペースを画定する。この場合にピストンは、外チャンバのための環状ピストンと、例えば内チャンバのための円形ピストンの形を取る。さらに、２つのチャンバを前後に配置することも可能であり、後方のチャンバのための好ましくは中央の流出通路が前方のチャンバに延在する。この場合、前端部は末端部、つまり少なくとも１つの吐出開口部が設けられる端部を表すのに対して、少なくとも１本のピストンによって閉鎖される端部は基端部または後端部を表す。

最初に挙げた「Ｃｅｎｔｒｉｘ（登録商標）」吐出ガンなどの吐出ガンに進歩性を持つカートリッジを利用するため、ピストンロッド機構は、少なくとも１つの吐出開口部の反対に位置する端部において移動可能に案内される伝達ピストンも特色とすることが好ましい。この場合、伝達ピストンはカバーの肉厚端部を持つ円筒形区分において案内され、伝達ピストンの端部は、初期状態においてカバーの円筒形区分の端部と本質的に同一平面にある。結果的に、吐出ガンのプランジャはカートリッジから少なくとも１種類の物質を吐出するためカバーのこの円筒形区分を貫通し、同時に、ピストンロッドも前方へ押圧されるように、少なくとも１つの吐出開口部の方へ伝達ピストンを押圧する。伝達ピストンと少なくとも１本のピストンロッドとは、単体として設けられることが好ましい。代替的に、伝達ピストンが独立した部品の形を取ってもよい。

少なくとも１つの吐出開口部を特色とする末端部において、カートリッジは、吐出チューブおよび／またはミキサの形などを取るアプリケータを特色とする。この場合、カートリッジの初回使用の前に、アプリケータが取り付けられる、好ましくは操作される必要がないように、カートリッジの充填済み初期状態ではすでにアプリケータがカートリッジにしっかりと接続されていることが好ましい。必要とされるのがカートリッジを吐出ガンに挿入してからこのガンを操作することだけである場合、つまり他の段階が必要ない場合には、進歩性を持つカートリッジの使い勝手が著しく向上する。このようなカートリッジの直感的な利用は、誤操作のリスクも減少させる。この場合、カートリッジに収容された少なくとも一種類の物質が数回の連続使用中に吐出されるように、アプリケータはカートリッジに分離不能に接続されるか、交換可能な形態である。

カートリッジに収容された少なくとも一種類の物質を輸送および保管中にほぼ無菌状態に維持して、少なくとも一種類の物質の吐出とともに埃の進入を防止するため、カートリッジは、少なくとも１本のピストンによって基端側ばかりでなく末端側でも密封される必要がある。このため、カートリッジからの物質の最初の吐出に先立って、少なくとも１つの吐出開口部が密封機構で密封されることが好ましい。この密封機構は自動的に、つまり好ましくはカートリッジの直感的利用の際に開封されることも好ましい。チャンバとアプリケータまたは吐出開口部などとの間の流接続が開放されるように、チャンバの中の物質の内圧が吐出通路内の密封機構を移動させることで、これが実現されることが好ましい。代替的または付加的に、密封機構がアプリケータと協働することも可能であり、カートリッジに対してアプリケータまたは別の部品を移動させることによって密封機構が開封される。この移動は、軸方向動作、径方向動作、および／または回転動作で構成される。密封機構およびカートリッジの開封に関しては、独国実用新案第２０ ２００８ ００７ ８０１ Ｕ号も参考にしている。

進歩性を有する本概念の付加的発展例によれば、ばね要素のみの力では密封機構が開封されないように、少なくとも１つのばね要素の力は密封機構に適したものであることが提案される。これにより、輸送または保管中にピストンロッド機構のピストンロッドが相互にすでに移動してしまって密封機構を自動的に開封するのに充分なレベルまで少なくとも１つのチャンバの内圧が上昇しないことが保証される。このため、第１吐出段階から第２吐出段階までピストンロッド機構を移行させるのにばね要素は低い力を加えるだけでよいように、ピストンロッドは特にスムーズな動きで相互に移動することが好ましい。

代替的または付加的に、第１吐出段階中、つまり少なくとも第１ピストンロッドが最初に前方に押圧される前に、ばね要素が圧縮される位置にピストンロッドを個別にロックすることが可能であろう。ロックされたピストンロッドは、第１吐出段階中にピストンロッド機構を前方へ押圧することなどにより自動的に分離される。こうして、カートリッジの輸送および保管中に、密封機構に対するばね要素の影響を排除する。

例えば上述したタイプのカートリッジで使用されるピストンロッド機構によって、本発明の目的がさらに達成される。本発明によれば、このピストンロッド機構は、第１圧縮状態では本質的に相互に隣接して配置され、ピストンロッドが本質的に前後に配置される第２延出状態へ移行する第１ピストンロッドと第２ピストンロッドとを特色とする。第２状態では、ピストンロッドの少なくとも一方に設けられたロック手段が第１状態への回復を阻止する。これらの任意で分離可能なロック手段は、相互に割り当てられたスナップイン溝とスナップインタブおよび／またはスナップインウェブとで構成される。第１状態から第２状態への移行は、例えば圧力ばねにより自動的に実施されることが好ましい。

本発明の第一実施例によるカートリッジの分解図である。 初回使用前の図１によるカートリッジの断面図である。 第１吐出段階の終了後の図１によるカートリッジの断面図である。 第２吐出段階中の図１によるカートリッジの断面図である。 空の状態での図１によるカートリッジの断面図である。 図１によるカートリッジのピストンロッド機構についての一部断面を含む斜視図である。 本発明の第二実施例によるカートリッジの分解図である。 初回使用前の図７に記載のカートリッジの断面図である。 第１吐出段階の終了後の図７に記載のカートリッジの断面図である。 第２吐出段階中の図７に記載のカートリッジの断面図である。 空の状態での図７に記載のカートリッジの断面図である。 図７に記載のカートリッジのピストンロッド機構についての一部断面を含む斜視図である。 図７に記載のカートリッジのピストンロッド機構についての一部断面を含む斜視図である。 初回使用前の別の実施例によるカートリッジの断面図である。 図１３に記載のカートリッジのピストンロッド機構についての一部断面を含む斜視図である。 図１３に記載のカートリッジのピストンロッド機構についての一部断面を含む斜視図である。

図面を参照して、本発明を実施例に基づいて以下で詳細に説明する。図面は概略的なものである。

図１〜図６に図示されたカートリッジ１は、円筒形ハウジング２と、カバー３と、中で移動できるピストンロッド機構４と、図の実施例ではミキサの形態であるアプリケータ５と、により本質的に構成される。

略半円形断面の二つのチャンバ６ａ，６ｂは、仕切壁７とハウジングとによって画定され、ハウジング内で相互に隣接して配置される。カバー３を支承するハウジング２の後端部において、密封状態でチャンバの中を移動できるピストン８ａ，８ｂによりチャンバ６ａ，６ｂがそれぞれ閉鎖されている。チャンバに収容された物質のための吐出通路において吐出方向に移動できる密封ピストン９によって、チャンバの他端部が閉鎖されている。図２に図示された密封ピストン９の位置では、この密封ピストンはチャンバ６ａ，６ｂの各吐出開口部１１ａ，１１ｂを密封する。図１に示したものとは対照的に、密封ピストン９はアプリケータ５と対向する側からハウジングに挿入される。

アプリケータ５は、ミキサ螺旋５ａとミキサスリーブ５ｂとを特色とするスタティックミキサの形態で設けられる。図の実施例では、ミキサ螺旋５ａは吐出通路１０に挿入されるのに対して、ミキサスリーブ５ｂは末端部で吐出通路１０を囲繞する。ミキサ５をハウジング２に固定するために、ミキサまたは他のアプリケータを分離可能に装着するための結合機構が設けられる。図の実施例において結合機構は、吐出通路１０に隣接してハウジング２の前側に配置された２本のばねアーム１２を特色とする。ロックリング１３の回転によってばねアーム１２がミキサスリーブ５ｂの末端エプロンに配置されると、ばねアーム１２に設けられたフックが径方向内側に向けられて、ミキサスリーブ５ｂの末端エプロンの対応のスナップインタブの後方に嵌合できる。軸方向には固定だが回転可能にハウジングに保持されたロックリング１３が反対方向に回されると、ハウジング２からミキサ５を解除するため、ばねアーム１２が拡開する。

図６に記載の拡大図から、ピストンロッド機構４が、ピストン８ａ，８ｂに接続された二つの部分の第１ピストン１４ａ，１４ｂを特色とすることも分かる。２本の第１ピストンロッド１４ａ，１４ｂの間には自由スペースが形成され、第１ピストンロッドが仕切壁７の上に押圧されるようになっている。第２ピストンロッド１５、および、カバー３の円筒形区分１７の中を移動可能に案内される伝達ピストン１６は、単体で設けられる。二つの部分の第１ピストンロッド１４ａ，１４ｂと第２ピストンロッド１５との間には圧力ばね１８ａ，１８ｂがそれぞれ設けられ、図２では圧力ばねが圧縮状態で示されている。第２ピストンロッド１５は、仕切壁７のためのスロットまたは自由スペースも備えている。

第１ピストンロッドは、カバー３の方へ延出する２本のピン状要素１４ａ，１４ｂによって本質的に構成されるのに対し、第２ピストンロッド１５は、第１ピストンロッドのピン状要素１４ａ，１４ｂが移動可能に案内される二つのスリーブ状区分を特色とする。図２、図６に示されたピン状要素とスリーブ状区分との入れ子位置では、スリーブ状区分の前壁が第１ピストンロッドの二つの部分の幅広の上面と当接する。各圧力ばね１８ａ，１８ｂは、この場合、第２ピストンロッド１５のスリーブ状区分を囲繞するように配置されている。第１ピストンロッドのピン状要素１４ａ，１４ｂはそれぞれ、基端部にスナップイン溝１９を備えている。第２ピストンロッド１５のスリーブ状区分は、前方末端部の内側でスナップインタブ２０を備える。

図２に示されたカートリッジ１の初期状態では、不図示の物質がチャンバ６ａ，６ｂの両方にそれぞれ充填されている。ピストンロッド機構４が軸方向つまり吐出方向に相対的に短くなるように、２本のピストンロッドは相互に入れ子式に押圧される。この場合、伝達ピストン１６の端部は、カバー３の円筒形区分１７と本質的に同一平面にある。物質は、連続する二つの段階でチャンバ６ａ，６ｂから吐出される。第１吐出段階では、伝達ピストン１６が吐出方向に前方へ押圧されるように、図示されないプランジャがカバー３の円筒形区分１７へ押入される。これによって、第２ピストンロッド１５と、第２ピストンロッド１５のスリーブ状区分が支持された第１ピストンロッド１４とが、ピストン８ａ，８ｂと一緒に前方へ押圧されるため、チャンバ６ａ，６ｂの圧力が上昇する。結果的に、チャンバの吐出開口部１１ａ，１１ｂを密封する密封ピストン９が吐出通路１０において前方へ押圧されるため、物質がチャンバ６ａ，６ｂから吐出開口部を通り、密閉ピストン９の周囲の吐出通路へ、最終的にはアプリケータ５へと流れる。これに関して、図３は第１吐出段階の終了を示しており、ここではピストンロッド機構が、物質のおよそ二分の一が吐出される程度までチャンバへと前方へ押圧されている。この場合、伝達ピストン１６は円筒形区分１７からほぼ完全に押し出されている。

吐出ガンのプランジャが再び最初の位置へ復帰すると、二つの圧力ばね１８ａ，１８ｂの力によって、第２ピストンロッド１５が伝達ピストン１６と一緒に、第１ピストンの二つの部分１４ａ，１４ｂに対して後方へ、すなわち図４に示された延出位置をピストンロッド機構が取るまで押圧される。この場合、伝達ピストンの端部は、再び、円筒形区分１７の端部と本質的に同一平面となる。図４に示された位置でスナップインタブ２０がスナップイン溝１９に嵌合して、ピストンロッド１４，１５が軸方向にしっかりと相互接続されるように、スナップインタブ２０およびスナップイン溝１９の位置が選択される。

第２吐出段階では、吐出ガンのプランジャがカバー３の円筒形区分１７へ再び移動し、伝達ピストン１６が再び吐出方向に前方へ押圧される。２本のピストンロッドがスナップインタブ２０およびスナップイン溝１９により連結されているため、図５に示されたように２本のピストンロッドがチャンバの中で前方へ一緒に押圧される。これにより、吐出ガンのプランジャを２回連続操作すると、カートリッジ１のチャンバ６ａ，６ｂを完全に空にすることが可能である。

類似した実施例が図７〜１２に示されており、ハウジング２、カバー３、アプリケータ５、結合機構、そして密封ピストン９は、第一実施例のものに対応する。

第二実施例によるピストンロッド機構は、チャンバ６ａ，６ｂの中で移動するように２個のピストン８ａ，８ｂを支承する第１ピストンロッドを特色とする。この場合、第１ピストンロッド１４は少なくとも部分的にスロット付きスリーブの形状を有し、スリーブのスロットは、第１ピストンロッド１４が仕切壁７の上に押圧されるような寸法を有する。第２ピストンロッド１５’および伝達ピストン１６は同様に単体の形を取り、第２ピストンロッド１５’が第１ピストンロッド１４の中で移動できるように、第２ピストンロッドは同様に略スリーブ状の形状を有する。圧力ばね１８は、第１ピストンロッド１４と第２ピストンロッド１５’との間に収容され、第２ピストンロッド１５’のスリーブ状区分で案内される。

さらに、複数のスナップインウェブ２１が、前方方向に対して第２ピストンロッド１５’の前端部つまり末端部に設けられ、応力が加えられていない状態では第２ピストンロッド１５’のスリーブ状区分に対して外側に拡開している。しかし、スナップインウェブ２１が描く外径が第２ピストンロッド１５’のスリーブ状区分のものにほぼ対応するように、スナップインウェブ２１は弾性復元力に反して径方向内側に押圧されてもよい。これは、ピストンロッド１５’をスナップインウェブ２１と一緒に第１ピストンロッド１４の円筒形凹部に挿入できることを意味する。

第二実施例によるカートリッジからの物質の吐出は、本質的には第一実施例を参照して上述したように行われる。２本のピストンロッド１４，１５’は、図８および図１２ａに示されているようにはじめは相互に入れ子式に押入されている。図９は第１吐出段階の終了を示し、物質のほぼ二分の一が２つのチャンバから吐出されている。吐出ガンなどのプランジャが後退した後、２本のピストンロッド１４，１５’は相互に対して入れ子式に延出する。スナップインウェブの前方末端側が第１ピストンロッド１４の前方基端面を通過するとすぐに、図１０，図１２ｂに示されているようにスナップインウェブ２１が径方向外側に拡開する。

第２吐出段階の間にカバー３の円筒形区分１７へプランジャが再び押入されると、第２ピストンロッド１５’はスナップインウェブ２１によって第１ピストンロッド１４の基端部に支持されているため、両方のピストンロッドが再びハウジング２の中で一緒に前方へ押圧される。図１１によれば、圧力ばね１８はこのプロセス中に再び仕切壁７によって部分的に圧縮される。結果的に、第２吐出段階の終了後に、第２ピストンロッド１５’が再びハウジング２内で部分的に押し戻される。

図１３，図１４ａ，図１４ｂは上述した実施例の変形例を示し、第１ピストンロッド１４の基端部に円筒形の幅広支持面２２が設けられており、第２吐出段階中に、第２ピストンロッド１５’のスナップインウェブ２１がこの幅広支持面に支持される。

示された実施例とは異なる構成および設計のチャンバ６ａ，６ｂを実現することも可能である。さらに、単一のチャンバのみ、または追加のチャンバを設けてもよい。図に描かれた二つの実施例において、ピストンロッド機構４は、二つの吐出段階によりカートリッジが空になるように設計されている。しかし、ピストンロッド機構４の相応の変形によって、追加吐出段階を設け、さらに大量の物質が吐出されるようにすることも可能になる。図に描かれた実施例と異なる取り付けおよび設計でミキサ５（アプリケータ）を実現することも可能である。

示された実施例では、ピストンロッドの間に確実なスナップインまたはスナップオン接続が設けられる。このようなスナップタイプの接続に対して、付加的または代替的に、ピストンロッドが延出状態においてくさび止めまたは圧迫により相互に固定されてもよい。ピストンロッドの一方の突起またはエッジが他のピストンロッドの材料に食い込むことも考えられる。当該技術の熟練者は基本的に適当な確実または不確実接続を設けることができるだろう。

Claims (13)

1. 物質を収容するための少なくとも１つのチャンバ（６ａ，６ｂ）と、前記チャンバ（６ａ，６ｂ）の中でピストン（８ａ，８ｂ）を移動させるためのピストンロッド機構（４）と、を備えるカートリッジにおいて、
   前記チャンバ（６ａ，６ｂ）は、吐出開口部（１１ａ，１１ｂ）と、前記チャンバ内で移動できる前記ピストン（８ａ，８ｂ）により閉鎖されて物質を吐出するのに役立つ別の開口部と、に特色を有し、
   前記ピストンロッド機構は、前記ピストン（８ａ，８ｂ）と対向する少なくとも１つの第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）と、少なくとも１つの追加ピストンロッド（１５，１５’）と、前記第１および／または追加ピストンロッドに設けられる前記ピストンロッドを確実および／または不確実に接続するための少なくとも１つの手段（１９，２０，２１）と、前記第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）と前記追加ピストンロッド（１５，１５’）との間で圧縮応力を与えられた少なくとも１つのばね要素（１８，１８ａ，１８ｂ）と、を特色とし、
   前記ピストンロッドは、前記第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）が前記追加ピストンロッド（１５，１５’）に少なくとも部分的に隣接して配置される第１吐出段階から、前記第１および追加ピストンロッドが本質的に前後に配置されて相互接続される第２吐出段階まで移動できる、カートリッジ。
2. 前記第１吐出段階において、前記第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）と前記追加ピストンロッド（１５，１５’）とが相互に入れ子式に配置されることを特徴とする、請求項１に記載のカートリッジ。
3. 前記ピストンロッドの１つにスナップイン溝（１９）が設けられ、他のピストンロッドに前記スナップイン溝（１９）と嵌合するためのスナップインタブ（２０）が設けられることを特徴とする、請求項１または２に記載のカートリッジ。
4. 前記ピストンロッドの少なくとも１つに少なくとも１つの拡張部またはスナップインウェブ（２１）が設けられ、前記第１吐出段階中に前記ピストンロッドが互いに対して移動する位置から、前記第２吐出段階中に少なくとも一方向における前記ピストンロッドの互いに対する移動が阻止される第２位置まで、すなわち前記ピストンロッドの間の相対位置に応じてスナップすることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載のカートリッジ。
5. 前記第１吐出段階および第２吐出段階中に、前記追加ピストンロッド（１５，１５’）が前記第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）に直接支持されることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載のカートリッジ。
6. 互いに対して前後におよび／または隣接して配置されるとともに、前記ピストン（８ａ，８ｂ）および前記ピストンロッド（１４ａ，１４ｂ）またはピストンロッド区分がそれぞれ割り当てられる複数の前記チャンバ（６ａ，６ｂ）を備える、請求項１〜５のいずれか一項に記載のカートリッジ。
7. 前記ピストンロッド機構が、少なくとも１つの前記吐出開口部（１１ａ，１１ｂ）の反対に位置するカバー（３，１７）において移動可能に案内される伝達ピストン（１６）を特色とすることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載のカートリッジ。
8. 前記カートリッジの前記少なくとも１つの吐出開口部（１１ａ，１１ｂ）を特色とする端部に、アプリケータ（５）が特に分離可能に固定されることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載のカートリッジ。
9. 前記少なくとも１つの吐出開口部（１１ａ，１１ｂ）が、特に前記少なくとも１つのチャンバ（６ａ，６ｂ）の内圧によりおよび／または前記カートリッジ（１）からの物質の初回吐出に先立ってアプリケータ（５）を移動させることによって自動的に開封される密封機構（９）により密封されることを特徴とする、請求項１〜８のいずれか一項に記載のカートリッジ。
10. 単独の前記ばね要素（１８，１８ａ，１８ｂ）の力のみにより前記密封機構（９）が開封されないように、少なくとも１つの前記ばね要素の力が前記密封機構（９）に適応していることを特徴とする、請求項９に記載のカートリッジ。
11. 前記第１吐出段階中、すなわち少なくとも前記第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）の初回移動の前に、前記ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ，１５，１５’）が、前記ばね要素（１８，１８ａ，１８ｂ）が圧縮される位置に分離可能にロックされることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか一項に記載のカートリッジ。
12. 特に圧力ばね（１８，１８ａ，１８ｂ）によって、第１圧縮状態では本質的に相互に隣接して配置されるとともに、前記ピストンロッドが本質的に前後に配置される第２延出状態へ自動的に移動できる第１ピストンロッド（１４，１４ａ，１４ｂ）および第２ピストンロッド（１５，１５’）を備え、前記ピストンロッドの少なくとも一方は前記第２圧縮状態中に前記第１圧縮状態への回復を阻止するロック手段（１９，２０，２１）を特色とする、請求項１〜１１のいずれか一項に記載の特にカートリッジのためのピストンロッド機構。
13. 歯科材料を保管および／または吐出するための、請求項１〜１２のいずれか一項に記載のカートリッジ（１）および／またはピストンロッド機構（４）の利用。

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