JP6391082B2 - 混合噴出器 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の液剤を混合してノズルから噴出させる混合噴出器に関し、とくに、別途特別な器具を必要とせずプランジャーの操作のみによって複数の液剤を十分に混合することができ、取り扱いが簡便な混合噴出器に関するものである。
例えば医薬用の注射器では、複数種類の液状薬剤を混合して投与する場合があるが、薬剤の安定性の問題から予め混合しておくことができなかったり、必要とされる薬剤の種類や混合比などの多様性から、投与する直前に複数の薬剤を混合しなければならない場合がある。
また、2液混合型の接着剤をノズルなどから噴出させて使用する場合には、混合後時間が経過すると固まってしまうため、使用する直前に混合する必要がある
従来、このように複数の液剤を混合して噴出させる器材では、各液剤を封入した容器からそれぞれ各液剤を噴出器のシリンジ内に吸引した後、シリンジを振って液剤を混合し噴出して使用していた。
しかし、このように噴出器のシリンジを振るだけでは、液剤が十分に混合できない場合があり、とくに液剤の粘性が高いような場合や互いに分離しやすい性質の液剤の場合には、混合が不十分となることがあった。
また、複数の薬剤を中栓によって隔てて収納した容器を用い、使用時に中栓を脱落させて薬剤を容器内で混合し噴出器に吸引するものや(例えば、特許文献1参照)、予めシリンジ内に栓体を挟んで複数の液剤を充填しておき、プランジャーを押していくと、栓体を越えて液剤が一体となって混合されるようにシリンジ内面形状を変化させた混合噴出器(例えば、特許文献2参照)なども従来より知られている。
実願昭62−89690号(実開昭63−197542号)のマイクロフィルム 特開平9−225032号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の液剤容器を使用しても、手で振って混合するだけであるから十分に混合することができない。
また、上記特許文献2記載の混合噴出器は、複数の液剤を一体にすることはできるが攪拌できるわけではないから、従来と同様にシリンジを振って混合しなければならず、やはり十分に混合することができなかった。
しかも、これら特許文献1や特許文献2記載のものでは、予め各液剤の種類と量の組合せをそろえておかなければならないから、必要とされる液剤の種類や混合比などの多様性に対応することが難しいという問題があった。
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、別途特別な器具を必要とせずに、プランジャーの操作のみによりシリンジ内の複数の液剤を攪拌して十分に混合することができ、必要な液剤の種類や混合比などの多様性にも対応することができる、取り扱いが簡便な混合噴出器を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、混合噴出器として、一端は開放されて周囲にフランジ部が設けられ、他端には、複数の液剤を吸引および噴出するノズル部とノズル部を密封するキャップを着脱可能に取り付けるための装着部とが設けられた筒状のシリンジと、シリンジに摺動可能に嵌入されるプランジャーとを含む混合噴出器であって、プランジャーは、シリンジ内周面により形成された第1シリンダ部に密接して摺動する筒状の外側ロッドと、外側ロッドの内周面により形成された第2シリンダ部に密接して摺動する内側ロッドとからなり、外側ロッドの先端には、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する多数の小孔通路が形成された前端壁が設けられ、外側ロッドおよび内側ロッドの後端部には、それぞれ外側フランジおよび内側フランジが形成され、内側フランジにより内側ロッドが押圧されたとき、内側フランジは外側フランジに接して外側ロッドをも押圧可能とされ、内側ロッドの先端部は、外側ロッドの前端壁に接して小孔通路を密閉するように設定されていることを特徴とする構成を採用する。
混合噴出器の具体的実施形態として、前端壁は、網状部材によって形成されていることを特徴とする構成を採用する。
また、混合噴出器のプランジャーの具体的実施形態として、外側フランジの後端面には内側フランジが嵌入する凹部を具え、内側フランジが凹部に嵌合したとき、両フランジの後端面が面一となることを特徴とする構成、さらに、外側フランジは円形状をなし、内側フランジは半円形状をなしていることを特徴とする構成を採用する。
さらに、混合噴出器のシリンジの具体的実施形態として、シリンジの装着部は、ノズル部を間隙を介して囲むように筒状に突設された装着筒部であり、その内周面には、ノズル部に嵌合する孔部を有するキャップの筒状部と螺合するねじ部が設けられていることを特徴とする構成を採用する。
本発明の混合噴出器は、プランジャーが、シリンジ内周面により形成された第1シリンダ部に密接して摺動する筒状の外側ロッドと、外側ロッドの内周面により形成された第2シリンダ部に密接して摺動する内側ロッドとからなり、外側ロッドの先端に、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する小孔通路が形成された前端壁を設けたから、第1シリンダ部に収納された複数の液剤を、外側ロッドと内側ロッドを操作するだけで、小孔通路を通過して第2シリンダ部との間で移動させるたびに攪拌して混合することができ、特別な器具を別途必要とすることなく、簡便に複数液剤を混合し投与することができる。
本発明の実施例である混合噴出器に吸引具を装着し、プランジャーをシリンジの最奥まで嵌入した状態を示し、(a)は部分断面側面図であり、(b)は平面図である。 本発明の実施例である混合噴出器の部分断面側面図であり、(a)は第1液剤を吸入するための操作状態を示し、(b)はさらに第2液剤を吸入するための操作状態を示す図である。 本発明の実施例である混合噴出器の部分断面側面図であり、シリンジ内の複数の液剤を攪拌混合する操作手順を示す図である。(c)は、ノズル部にキャップを装着した状態を示し、(d)は、外側ロッドのみをシリンジに対して力F1で押圧した状態を示し、(e)は、外側ロッドと内側ロッドを力F2で接近して重なり合うように押圧している状態を示し、(f)は、液剤が混合されてシリンジ内に戻った状態を示している。
次に、本発明の混合噴出器について、実施例を示した図面を参照して説明する。
図1〜3において、Aはシリンジ、Bはプランジャー、Cは吸引具、Dはキャップである。
図1に示すように、シリンジAは、円筒状の胴部1の一端が開放されて、周囲にフランジ部2が設けられ、胴部1の他端には、シリンジA内に連通する連通孔4を有するノズル部3が、胴部1から縮径して形成された前壁5に設けられている。
前壁5には、装着筒部6が、ノズル部3を間隙を介して囲むように前方に筒状に突出して設けられ、液剤をシリンジA内に吸引する吸引具Cを装着している。装着筒部6の内周面には、吸引具Cと螺合するめねじ7が形成されている。
なお、吸引具Cは必ずしも必要ではなく、ノズル部3から液剤を直接吸引することも可能である。
シリンジAの内周面によって形成される第1シリンダ部8には、プランジャーBが開放端から挿入されて摺動可能に嵌合されている。
プランジャーBは、シリンジAの第1シリンダ部8に密接して摺動する円筒状の外側ロッド10と、外側ロッド10の内周面により形成された第2シリンダ部12に摺動可能に嵌入される内側ロッド11とからなっている。
外側ロッド10の先端には、多数の小孔通路13を形成する網状部材からなる前端壁14が設けられ、小孔通路13を介してシリンジAの第1シリンダ部8と外側ロッド10の第2シリンダ部12とが連通するようになっている。
本実施例では、小孔通路13は網状に形成された前端壁14によって形成されているが、別途網状部材を外側ロッド10の先端に取り付けることによって形成されてもよい。
また、前端壁14は網状部材でなくともよく、多数の小孔を穿孔することによって小孔通路13を形成してもよい。
さらに、混合する液剤によっては、小孔通路13は単独の小孔であってもよい。
外側ロッド10および内側ロッド11の先端外周には、それぞれ第1シリンダ部8および第2シリンダ部12を密封して摺接する第1摺接突部15,第2摺接突部16が設けられている。
これらの第1,第2摺接突部15,16は、それぞれ外側ロッド10および内側ロッド11に一体に形成されていてもよいが、ガスケットなどの別部品を装着することによって形成されてもよい。
外側ロッド10および内側ロッド11の後端外周には、それぞれ外側フランジ17および内側フランジ18が形成され、外側フランジ17は円形状をなし、内側フランジ18は半円形状をなして、外側フランジ17は内側フランジ18よりも大きな外径を有している。
外側フランジ17の後端面には、内側フランジ18が嵌入可能な凹部19が設けられており、内側フランジ18が凹部19に嵌合して凹部19の底部に接し、外側フランジ17と内側フランジ18が完全に重なり合うと、両フランジの後端面は面一となって外側フランジ17と内側フランジ18とを同時に押圧することが可能となり、あたかもプランジャーB全体のフランジのように機能する。
なお、内側フランジ18は必ずしも半円形状でなくともよく、外側フランジ17のみを容易に操作することができるように、角形形状など外側フランジ17と平面視で重ならない部分ができるような形状とすればよい。
また、外側フランジ17と内側フランジ18が完全に重なり合ったときには、内側ロッド11の先端部20が前端壁14に接して小孔通路13を密閉するように、外側ロッド10と内側ロッド11の長さが設定されており、外側ロッド10の前端壁14と内側ロッド11の先端部20が一体となって、プランジャーB全体の先端部として機能する。
このように、外側ロッド10と内側ロッド11は、互いに軸方向に近接するように押圧され重なり合うと、全体が一体のプランジャーの如く機能するようになっている。
なお、内側ロッド11には、第2シリンダ部12を密封する第2摺接突部16が設けられているから、先端部20は、必ずしも小孔通路13を密閉しなくともよいが、このように前端壁14に接して小孔通路13を密閉するようにすれば、より無駄なく効率的に液剤を混合して噴出させることができる。
吸引具Cは、液剤導入路を有する中空の針部30と、針部30を保持してシリンジAに装着するための取付基部31とからなる。
取付基部31は、針部30と反対側の後部に、針部30に連通しノズル部3に嵌合する孔部32を有する筒状部33を具え、その外周面には装着筒部6のめねじ7に螺合するおねじ34が設けられている。
筒状部33は、おねじ34がめねじ7に螺合してノズル部3と装着筒部6との間の環状間隙に嵌入するにしたがって、孔部32とノズル部3とを密接して確実に密封するようになっている。
図3に示すように、キャップDは、吸引具Cの取付基部31と同様に、後部に筒状部41を具え、ノズル部3に嵌合して連通孔4を密閉する有底の孔部40を有するとともに、その外周面には装着筒部6のめねじ7に螺合するおねじ42が設けられている。
キャップDの前端部には、手指をかけやすいように径大部43が設けられている。
なお、本実施例では、シリンジAに吸引具CおよびキャップDを装着する手段としてねじ結合を採用しているが、必ずしもねじ結合に限定する必要はなく、着脱可能な各種結合手段を採用することができる。
次に、本実施例の使用態様と作用効果について、図面を参照しながら説明する。
まず、シリンジAに外側ロッド10と内側ロッド11を組み付けたプランジャーBを第1シリンダ部8の最奥まで嵌入させ、吸引具Cを装着筒部6に螺合して装着し、図1に示す状態にする。
次に、図2(a)に示すように、第1液剤を封入した液剤容器M1に吸引具Cの針部30を刺し、シリンジAに対して外側フランジ17を引いて外側ロッド10を後退させると、内側フランジ18は外側フランジ17の凹部19に嵌合しているから内側ロッド11も一緒に後退する。
このように、外側ロッド10と内側ロッド11は一体となってプランシャーBとして機能するから、第1シリンダ部8が負圧となって、第1液剤が第1シリンダ部8に吸入される。
次に、図2(b)に示すように、第1シリンダ部8に第1液剤が収納された混合噴出器は、さらに第2液剤を封入した液剤容器M2に吸引具Cを刺し、同様にプランジャーBを操作することによって、第2液剤が第1シリンダ部8に吸入され、第1シリンダ部8には、第1液剤と第2液剤がともに収納された状態になる。
この状態では、第1液剤と第2液剤は攪拌されていないため、均一の混合された状態にはなっていない。
次に、図3(c)に示すように、吸引具Cを装着筒部6から取り外し、代わってキャップDを装着筒部6に螺入して装着し、孔部40をノズル部3に嵌合する。
孔部40は有底で連通孔4を密閉するので、第1シリンダ部8は密閉された空間となる。
この状態から、図3(d)に示すように、外側フランジ17のみを力F1でシリンジAに対して押圧し、第1シリンダ部8内で外側ロッド10のみを押し込むように摺動させていく。
このとき、内側フランジ18は半円形状で、かつ外径が外側フランジ17より小径であるから、内側フランジ18が嵌合していない側の外側フランジ17の半円形部で、外側ロッド10のみを容易に押圧摺動させることができる。
外側ロッド10のみを押し込むように摺動させていくと、第1シリンダ部8に収納されていた第1液剤および第2液剤は、小孔通路13を通って第2シリンダ部12に流入し、流入した液剤は、内側ロッド11を後退させていく。
そして、第1シリンダ部8内の第1、第2液剤は、ほぼ全てが第2シリンダ部に移行して第3図(d)のようになるが、この過程で第1、第2液剤が攪拌され混合される。
次に、図3(e)に示すように、外側フランジ17と内側フランジ18を力F2で接近するように押圧すると、第2シリンダ部12内の第1,第2液剤は、さらに攪拌されながら小孔通路13を通って第1シリンダ部8に移行していき、図3(f)に示されるように、再び外側ロッド10と内側ロッド11が一体となって、第1、第2液剤が全て第1シリンダ部8に収納されるようになる。
図3(f)のシリンジAとプランジャーBの状態は、図3(c)の状態と同じであるが、図3(f)における第1シリンダ部8内の第1、第2液剤は、図3(d)、図3(e)に示されるロッド操作によって、小孔通路13を通過することで攪拌され、混合された状態になっている。
第1、第2液剤をさらに十分均一に混合したければ、図3(d)、図3(e)に示されるロッド操作を繰り返せばよい。
また、第1、第2液剤をよりきめ細かく混合するためには、小孔通路13を多数の小径孔からなるものとする方がよいが、より小径の流路とするとそれだけ流動抵抗も大きくなるので、小孔通路13の形状については、操作の効率性との兼ね合いで決定されればよい。
第1、第2液剤が十分に混合されて図3(f)の状態になったとき、キャップDを取り外せば、プランジャーBを操作することにより、十分に混合された液剤をノズル部3から噴出させて使用することができる。
また、吸引具Cを再び装着筒部6に装着して、針部30から混合された液剤を噴出して使用することも可能である。
このように、本実施例では、投与直前に必要な液剤の種類を必要な混合比となる量だけシリンジに吸入すればよいから、投与に必要な液剤の種類や混合比などの多様性に対応することが容易である。
そして、シリンジ内に吸入された複数種類の液剤を、外側ロッド10と内側ロッド11を操作するだけで、第1シリンダ部8と第2シリンダ部12の間を移動させるたびに小孔通路13を通過させることで攪拌混合することができ、そのまま外側ロッド10と内側ロッド11を一体としたプランジャーBとして操作することによって、混合された複数の液剤を簡便に噴出して使用することができる。
本発明の混合噴出器は、特別な器具を用いることなく、シリンジ内に収納した複数種類の液剤を、2つのロッドを操作するだけで簡便に攪拌混合することができるから、とくに、事前に混合しておくことが難しく、噴出器を振っただけでは均一に混合しにくい粘性の高い液剤や分離しやすい性質の複数の液剤を混合して使用する噴出器として好適に利用することができ、例えば医療用注射器や2剤混合型接着剤のノズル注出器など、広く利用可能である。
A シリンジ
B プランジャー
C 吸引具
D キャップ
M 液剤容器
1 胴部
2 フランジ部
3 ノズル部
4 連通孔
5 前壁
6 装着筒部
7 めねじ
8 第1シリンダ部
10 外側ロッド
11 内側ロッド
12 第2シリンダ部
13 小孔通路
14 前端壁
15 第1摺接突部
16 第2摺接突部
17 外側フランジ
18 内側フランジ
19 凹部
20 先端部
30 針部
31 取付基部
32 孔部
33 筒状部
34 おねじ
40 孔部
41 筒状部
42 おねじ
43 径大部

Claims (5)

  1. 一端は開放されて周囲にフランジ部が設けられ、他端には、複数の液剤を吸引および噴出するノズル部とノズル部を密封するキャップを着脱可能に取り付けるための装着部とが設けられた筒状のシリンジと、シリンジに摺動可能に嵌入されるプランジャーとを含む混合噴出器であって、
    プランジャーは、シリンジ内周面により形成された第1シリンダ部に密接して摺動する筒状の外側ロッドと、外側ロッドの内周面により形成された第2シリンダ部に密接して摺動する内側ロッドとからなり、
    外側ロッドの先端には、第1シリンダ部と第2シリンダ部とを連通する多数の小孔通路が形成された前端壁が設けられ、
    外側ロッドおよび内側ロッドの後端部には、それぞれ外側フランジおよび内側フランジが形成され、内側フランジにより内側ロッドが押圧されたとき、内側フランジは外側フランジに接して外側ロッドをも押圧可能とされ、
    内側ロッドの先端部は、外側ロッドの前端壁に接して小孔通路を密閉するように設定されていることを特徴とする混合噴出器。
  2. 前端壁は、網状部材によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の混合噴出器。
  3. 外側フランジの後端面には内側フランジが嵌入する凹部を具え、内側フランジが凹部に嵌合したとき、両フランジの後端面が面一となることを特徴とする請求項1または2に記載の混合噴出器。
  4. 外側フランジは円形状をなし、内側フランジは半円形状をなしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合噴出器。
  5. シリンジの装着部は、ノズル部を間隙を介して囲むように筒状に突設された装着筒部であり、その内周面には、ノズル部に嵌合する孔部を有するキャップの筒状部と螺合するねじ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の混合噴出器。
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