JP5861327B2 - 定量吐出容器 - Google Patents
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しかし、バイアルやアンプルから薬液を吸引し、投薬に先立って、泡抜き動作と呼ばれる注射筒内の気泡を抜くため、注射筒内の薬液の一部を注射針から排出する。この時、排出される薬液量にばらつきが発生していた。つまり、投薬するたびにバイアルやアンプルから薬液を吸引する際の吸引量にばらつきが出てしまっている。このため、無駄に薬液を排出してしまう不具合が発生してしまっていた。
これらの問題の発生を恐れ、作業者は、無駄に排出される薬液を抑えようとしたり、また、必要な投薬量にするため、注射筒の外周面に投薬に必要な薬液量の目盛りにピストンを的確に合わせる必要もあり、意識、視認し、その状態に対して常に注意を図り、気を使わなければならなかった。
ところで、前記注射器を筆記具のインキの充填器として使用する場合がある。主に、サンプル用として10本〜100本程度を試作するボールペンやマーキングペンなどのインキ収容部へのインキの充填である。このような場合、最初にインキを注射器に注入するが、明るい色よりも暗い色、特に黒色は、注射器の目盛りと同色のため、見えにくく、必要なインキ量の目盛りにピストンを合わせることが非常に難しい。よって、作業性が非常に悪く、ややもすると、一定量のインキを注入することができなくなってしまうことがある。
また、作業者は、無駄に排出されるインキを抑えようとしたり、また、必要な吐出量にするため、注射筒の外周面に吐出に必要な液量の目盛りにピストンを的確に合わせる必要もなくなり、意識、視認し、その状態に対して常に注意を図るなど、気を使わなくても良くなり、意識を作業に集中出来る。
また、前記シリンジ3の内径部3bにピストンセット4が前記シリンジ3の軸線方向に対して、前後摺動可能に配置されていている。その前記ピストンセット4は、ピストン7とそのピストン7の先端に連結されたジョイント8と、そのジョイント8に対して回転、並びに前後動が可能に配置されたプランジャー(ピストン部)9と、そのプランジャー(ピストン部)9の前方の外周に配置されたOリング10から構成されている。そして、前記Oリング10の外周面10aは前記シリンジ3の内径部3bに対して摺動可能に圧入されている。つまり、前記Oリング10の材質は軟質部材であるブチルゴムで出来ているので圧縮、変形可能となっているため、インキが前記プランジャー9から漏れ出ないようになっている。更に、前記シリンジ3の前記内径部3bとの摺動性を向上させるため、前記Oリング10の外周面10aにシリコンを塗布している。なお、前記シリンジ3の材質はPP(ポリプロピレン)である。
次いで、前記ピストンセット4の構成を説明する。前記ピストン7の前方に位置する前記ジョイント8は前記ピストン7と圧入嵌合され、且つ、前記ジョイント8の後方凸部8aが前記ピストン7の溝部7aに嵌り込んでいる。即ち、前記ジョイント8は前記ピストン7と一体に固定されているが、それら前記ジョイント8と前記ピストン7とを予め一体形成しても良い。更に、前記ジョイント8の前方には前記プランジャー9が配置されていて、その前記プランジャー9の係止部9aが前記ジョイント8の内径段部8bに嵌り込んでいると共に、一定距離、前後摺動可能に配置されていている。また、前記プランジャー9の中間部の側面に形成されたL型溝部9bは第1溝9cと第2溝9dからなり、前記ジョイント8の前方凸部(第2突出部)8cが嵌り込んでいて、且つ、その前方凸部(第1突出部)8cの前端部8dが前記第1溝9cの端面9eと、前記第2溝9dの端面9fにそれぞれ当接すると共に、前記シリンジ3の軸線方向に対して前後、及び、回転方向に移動可能に配置されている。
更に、前記プランジャー(ピストン部)9の内径部9gに前記ピストン7の先端部7bが挿入されており、使用中に前記係止部9aが内径方向に変形し、その前記プランジャー(ピストン部)9が前記ピストン7から抜け出ないようになっている。即ち、前記ピストン7に前記プランジャー(ピストン部)9を挿着することによって、前記ピストンセット4の分解を防止しているのである。
前記プランジャー(ピストン部)9の凹部9hには、前記Oリング10が変形可能に圧入固定されている。また、前記レバー(第1突出部)11は、係止部11aを有しており、その前記係止部11aは前記ピストン7の貫通孔7cに嵌合していると共に、前記レバー(第1突出部)11は前記シリンジ3の軸線方向に対して垂直方向に一体的に係合している。それぞれ材質は前記ピストン7がPP(ポリプロピレン)であり、レバー(突出部)11がPP(ポリプロピレン)である。
また、前記シリンジ3の溝部3cは第1溝3dと第2溝3eからなり、前記レバー(第1突出部)11が嵌り込んでいて、且つ、そのレバー(第1突出部)11の前端部11bが前記第1溝3dの段部3fと前記第2溝3eの前端面3gにそれぞれ当接し、更に、前記レバー(第1突出部)11の後端部11cが前記第1溝3dの後端面3hに当接すると共に、前記シリンジ3の軸線方向に対して前後、及び、回転方向に移動可能となっている。
続いて、前記シリンジ3内のインキを吐出するため、前記ピストン7の押圧操作部7dの後端面を押圧すると、前記レバー(第1突出部)11が前方へ移動し始め、前記ジョイント8の前方凸部(第2突出部)8cの前端部8dが前記プランジャー(ピストン部)9のL型溝部9bの第1溝9cの端面9eと当接する。更に、前記ピストン7を前方へ移動させると、針5の先端穴5aからインキが吐出すると共に、図6の様に前記レバー(第1出部)11の前端部11bが前記シリンジ3の溝部3cの第1溝3dの段部3fと当接し、前記ピストン7の前進が規制される。この時、第1段階の吐出が完了した状態となる。
しかし、筆記具は、その外径、内径や全長などにより、充填出来るインキの量にバラつきがあり、軸筒の中に入っている中綿に、染み込ませられる量より多いインキを充填してしまうと、インキ漏れが発生してしまい、また、充填不足だと筆記距離が短くなるなどの不具合があった。そのため、第1段階の吐出の次に第2段階の吐出、つまり、充填するインキ量を微調整させる必要があった。
次に、第2段階の吐出の操作方法について説明する。第2段階の吐出をするため、前記ピストンセット4を押圧距離X分、前方へ移動させる必要がある。前記ピストン7の凹部7eをシリンジ3の軸線方向に対して回転させると、前記レバー(第1突出部)11が前記第2溝3eへ移動すると同時に、前記ジョイント8の前記前方凸部8cが前記プランジャー(ピストン部)9のL型溝部9bの第2溝9dへ移動する。ここで、更に、前記ピストン7の押圧操作部7dの後端面を押圧すると、前記レバー(第1突出部)11が前記第2溝3eに沿って前進し始め、前記ジョイント8の前方凸(第2突出部)8cの前記前端部8dが第2溝9dの端面9fへ当接し、空押圧距離Y分、前方へ移動する。この間、前記ピストンセット4のうち、前記ピストン7と前記ジョイント8とレバー(第1突出部)11の3部品は一体に固定されているので、前方へ移動しているが、前記プランジャー(ピストン部)9と前記Oリング10は停止している。つまり、前記ピストンセット4は空押圧距離Y分、前方へ移動しているが、まだ吐出されていないのである。ここで、更に、前記ピストン7の押圧操作部7dの後端面を押圧すると前記ピストンセット4が前方へ移動を始める。最後に図1の様に前記シリンジ3の第2溝部3eの前端面3gに前記第2突出部8Cの前端部8dが当接し、吐出距離Z分前方へ移動する。つまり、前記ピストンセット4が最前端の位置にいて吐出が完了し、使用前と同じ状態となる。即ち、押圧距離X=空押圧距離Y+吐出距離Zの式が成り立つ。
吐出量がごく少量である0.2ミリリットル以下の場合、前記シリンジ3の内径の大きさによって、押圧距離が2mm以下になってしまうと押した感覚が少なくなる。その結果、誤操作の恐れが出てくる。その誤操作をジョイント8とプランジャー9で構成される空押圧距離で防止しているのである。例えば、吐出量を0.2ミリリットルでシリンジ3の内径を12mmにした場合、投薬距離は1.8mmではあるものの、押圧距離は4mm以上ある方が押した感覚があるので好ましい。よって、この場合、空押圧距離は2.2mm必要となる。即ち、押圧距離4mm=空押圧距離2.2mm+吐出距離1.8mmとなる。
また、前例では、レバー(第1突出部)11の形状は長方形であったが、これに限定されることはなく、例えば、正方形や丸、だ円、ひょうたん形などであっても良く、レバーの形状は適宜選択可能である。
更に、前例においては、シリンジ3と針基6とピストン7を透明樹脂、ジョイント8とプランジャー9とレバー(第1突出部)11を色付き不透明樹脂で成形しているが、それらを逆転させても良く、更には、不透明樹脂同士や透明樹脂同士、あるいは半透明樹脂同士でも良く、それらを組み合わせるなど適宜選択可能である。
更に、前例ではシリンジ3と針基6とピストン7とレバー(第1突出部)11の材質はPP(ポリプロピレン)樹脂を使用しているが、PE(ポリエチレン)等でも良い。また、Oリング10はブチルゴムを使用しているが透明、不透明樹脂に限らず、ブタジエンゴムやシリコンゴム、エラストマー樹脂でも良く、使用状況により、その材質は適宜選択可能である。
本実施例では溝部は2段階だが、3段階、4段階など、多段階にしても良く、更に、溝形状も直線でなく、円弧形状、スプライン曲線でも良い。
具体的に説明すると、溝部を3段階、4段階など、多段階にすると、各段、正確に一定量を吐出可能となり、例えば細字用は2段階まで、中字用は3段階まで、太字用は4段階まで、と多くのペン先の太さ、或いは、中綿の太さや長さ等に対応可能となる。
また、溝形状を直線でなく、円弧形状、スプライン曲線にした場合、人が物を押す時、人の指や手首など多くの関節を使いながら押すため、その軌跡は一直線ではなく、若干、湾曲しながらして、押している。それに合わせるように円弧形状、スプライン曲線を組み込むことにより、操作上の向上が期待される。
更に、ピストン側に溝部を設け、シリンジの内径部に凸部を設け、その凸部にピストン側の溝部が嵌り込むような構造にすると、外観にレバー(突出部)が出なくなるので、外観が良くなり、それらを組み合わせるなど用途に合わせて適宜選択可能である。
また、前記ピストン7の前記凹部7eは凹形状に指の腹に当てて、前記レバー(突出部)11を軸線方向に対して回転させているが、凸形状にして、指の側面に当てても良く、用途に合わせて適宜選択可能である。
更には、溝部を3段階、4段階など、多段階にすることによって、第2段階までは4.2ミリリットル、第3段階までは4.5ミリリットルなど、シャーレに一定量の試薬を滴下するような実験の条件を変える時などに有効である。
2 注射針セット
3 シリンジ
3a 先端部
3b 内径部
3c 溝部
3d 第1溝
3e 第2溝
3f 段部
3g 前端面
3h 後端面
3i 斜面
3j リブ
4 ピストンセット
5 針
5a 先端穴
6 針基
6a 内径
7 ピストン
7a 溝部
7b 先端部
7c 貫通孔
7d 押圧操作部
7e 凹部
8 ジョイント
8a 後方凸部
8b 内径段部
8c 前方凸部(第2突出部)
8d 前端部
9 プランジャー(ピストン部)
9a 係止部
9b L型溝部
9c 第1溝
9d 第2溝
9e 端面
9f 端面
9g 内径部
9h 凹部
10 Oリング
10a 外周面
11 レバー(第1突出部)
11a 係止部
11b 前端部
11c 後端部
X 押圧距離
Y 空押圧距離
Z 吐出距離
Claims (2)
- シリンジの内部に摺動自在にピストンセットを配置した定量吐出容器であって、前記シリンジ又はピストンセットの何れか一方の長手方向には第1溝部を形成し、他方には第1突出部を設け、前記第1溝部と第1突出部とを相対的に前後動可能に嵌挿させると共に、前記第1溝部には前記第1突出部と長手方向で当接する当接段部を設け、また、前記ピストンセットをピストンとそのピストンの先端に連結されたジョイントと、そのジョイントに対して回転、並びに前後動が可能に配置されたピストン部と、それらジョイント並びにピストン部に対して前後動画可能な押圧操作部とから構成すると共に、前記ジョイントの内面には内径段部を形成し、その内径段部に係止する係止部を前記ピストン部の後部に形成し、それらピストン部、又は押圧操作部の何れか一方の長手方向には凹状の第2溝部を形成し、他方にはその凹状の第2溝部と係合する第2突出部を設け、それら第2溝部と第2突出部とを相対的に前後動、且つ、回転可能に嵌挿させると共に、その第2溝部には第2突出部が当接する当接段部を長手方向に設けたことを特徴とする定量吐出容器。
- 前記第1溝部の内部側面にリブを設けると共に、そのリブに対して前記第1突出部を係脱可能に配置した請求項1に記載の定量吐出容器。
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