JP2015228878A - 定量吐出容器 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、バイアルやアンプルから薬液を吸引し、投薬に先立って、泡抜き操作と呼ばれる注射筒内の気泡を抜くために、注射筒内の薬液の一部を注射針から排出する必要がある。この時、バイアルやアンプルから薬液を吸引する際の吸引量にばらつきが生じ、また、投薬時に排出される薬液量にもばらつきが生じていた。
このような不都合の発生を防止するために、医療従事者は、注射筒の外周面に投薬に必要な薬液量の目盛りにピストンを的確に合わせて適正量とする必要があり、細心の注意を払って投薬操作に集中しなければならなかった。
また、前記注射器は、筆記具のインキの充填器として使用する場合もある。主に、サンプル用として10本〜100本程度を試作するボールペンやマーキングペンなどのインキ収容部へのインキの充填である。このような場合、最初にインキを注射器に注入するが、明るい色よりも暗い色、特に黒色は、注射器の目盛りと同色のため、見えにくく、必要なインキ量の目盛りにピストンを合わせることが非常に難しい。よって、作業性が非常に悪く、ややもすると、一定量のインキを注入することができなくなってしまうことがある。
そして、定量吐出容器においてシリンジ前部の内径をシリンジ後部の内径よりも小さくすることで、シリンジの後方からOリングを取り付けたピストンセットを組み付ける操作が容易になる。さらに、シリンジ前部の小内径部と前記シリンジ後部の大内径部の間にテーパー部を設けることで、ピストン先端部に取り付けられたOリングをキズ付けることなくスムーズに、シリンジの後方からピストンセットを組み付けることができる。
このように、本容器の使用者は、注射筒の外周面に吐出に必要な液量の目盛りにピストンを正確に合わせる操作を要しないので、過度の注意を払わずとも適正な吐出量の注射を行うことが出来る。
実施例1
実施例1の注射器1は、注射針セット2、シリンジ3、ピストンセット4で構成されている。前記注射針セット2は前記シリンジ3の軸線方向に対して前方に着脱可能にねじ螺合されていて、一般的にルアーロック方式と呼ばれているものである。前記注射針セット2は針5が針基6に圧入固定、及び、接着されていて、且つ、前記針基6の内径6aと前記シリンジ3の先端部3aが圧入嵌合されているので薬液が注射針先端以外から漏れ出ないようになっている。それぞれ材質は、前記針5がステンレス鋼、前記針基6がPP樹脂(ポリプロピレン)である。
また、前記シリンジ3前部の小内径部3bにピストンセット4が前記シリンジ3の軸線方向に対して、前後摺動可能に配置されていている。その前記ピストンセット4は、ピストン7の前方に設けた溝7aに配置されたOリング8から構成されている。そして、前記Oリング8の外周面8aは前記シリンジ3前部の小内径部3bに対して摺動可能に圧入されている。つまり、前記シリンジ3前部の前記小内径部3bは前記Oリング8の前記外周面8aの外径より若干、小さく出来ており、且つ、前記Oリング8の材質は軟質部材であるシリコーンゴムで出来ているので圧縮、変形可能となっているため、密閉性が保たれ、薬液が前記ピストン7から漏れ出ないようになっている。更に、前記シリンジ3前部の前記小内径部3bとの摺動性を向上させるため、前記Oリング8の外周面8aにシリコーンを塗布している。なお、前記シリンジ3の材質はCOP樹脂(シクロオレフィンポリマー)である。
また、前記シリンジ3前部には前記Oリング8の前記外周面8aより、若干、小さい前記小内径部3bが配置されているが、前記シリンジ3後部には溝部3cとOリング8の前記外周面8aより、若干、大きい大内径部3dが配置されている。そして前記シリンジ3前部と前記シリンジ3後部は同一の材質または異なる材質でつながっている。図1〜12は、シリンジ3の小径部3bと大内径部3dの間に緩やかなテーパー部3gが設けられているものを示す。
尚、実施例1においては、前記大内径部3dの内径を、Oリング8の外周面8aの外径よりも、若干、大きく形成しているが、ほぼ同一な径としても良い。
次に、前記シリンジ3と前記ピストンセット4の組み立て方法と固定方法を詳しく説明する。前記ピストンセット4は前記シリンジ3の後方に開放された孔3eから前端に向かって挿嵌されており、前記大内径部3dは前記Oリング8の前記外周面8aより若干、大きく出来ているので、挿嵌時に、前記Oリング8は前記大内径部3dの内壁面で圧縮、変形されることはない、したがって、組立段階で前記溝部3cのエッジ3fによって、前記Oリング8はキズつけられることはない。また、前記シリンジ3前部にある前記小内径部3bと前記シリンジ3後部にある前記大内径部3dとの間には緩やかな前記テーパー部3gを設ければ、前記ピストンセット4が前進する際に前方に配置された前記Oリング8がキズつくことなくスムーズに、前記小内径部3bに組み付けられ、注射器の組立性がより向上する。
前記シリンジ3に前記ピストンセット4が挿嵌された後、レバー9は、前記シリンジ3の前記溝部3cの外周面から軸線方向に向かって前記ピストン7の貫通孔7bへと挿嵌される。この時、前記レバー9には係止部9aと凸部9bを有しており、その前記係止部9aは前記ピストン7の前記貫通孔7bに嵌合し、且つ、前記凸部9bにより圧入されている。更に、前記レバー9は凹部7cに嵌り込み、前記レバー9は前記シリンジ3の軸線方向に対して垂直方向に前記ピストンセット4と一体的に係合しているので、前記レバー9は前記ピストンセット4から容易に抜けることが出来ないようになっている。それぞれ材質は前記ピストン7がPP樹脂(ポリプロピレン)であり、レバー9がPP樹脂(ポリプロピレン)である。
また、前記シリンジ3の溝部3cは第1溝部3hと第2溝部3iからなり、前記レバー9が嵌り込んでいて、且つ、そのレバー9の前端部9cが前記第1溝部3hの段部3jと前記第2溝部3iの前端面3kにそれぞれ当接し、更に、前記レバー9の後端部9dが前記第1溝部3hの後端面3lに当接すると共に、前記シリンジ3の軸線方向に対して前後、及び、回転方向に移動可能となっている。この時、前記Oリング8の外周面8aは前記シリンジ3前部の前記小内径部3bに対して常に摺動可能に圧入されている状態であるため、薬液が前記ピストン7から後方に向かって漏れ出ることはなく、更に、前記シリンジ3と前記ピストンセット4は前記シリンジ3の溝部3cと前記ピストンセット4と一体的に係合した前記レバー9によって、前後摺動可能に、且つ、外れることなく、固定されているので、誤って前記シリンジ3から前記ピストンセット4が抜け落ちることはない。
前記シリンジ3の前記溝部3cに前記レバー9が嵌り込んでいるので、通常の注射器の様に誤って前記シリンジ3の後方へ前記ピストンセット4が抜け出る心配がない。また、前記注射針セット2を取り外し、替わりにキャップをして、包装すれば、薬液充填済シリンジとして利用できる。さらに、注射針を通じて薬液を吸引しなくても、キャップをした状態で薬液をシリンジ3の後方からピストンセット4を組み付ける前に充填して、包装すれば、同様に薬液充填済シリンジとして利用できる。
続いて、前記シリンジ3内の薬液を吐出するため、前記ピストン7の押圧操作部7dの後端面を押圧すると、前記ピストンセット4と一体的に係合した前記レバー9が前方へ移動し、針5の先端穴5aから薬液が吐出し始めると共に、図9の様に前記レバー9の前端部9cが前記シリンジ3の溝部3cの第1溝部3hの段部3jと当接し、前記ピストン7の前進が規制される。この時、第1段階の吐出が完了し、泡抜きされた状態となる。
次に、第2段階の吐出の操作方法について説明する。第2段階の吐出をするため、前記ピストンセット4をシリンジ3の軸線方向に対して回転させると、前記レバー9が前記第2溝部3iへ移動する。更に、前記ピストン7の押圧操作部7dの後端面を押圧すると前記ピストンセット4が前方へ移動を始める。最後に図1の様に前記シリンジ3の第2溝部3iの前端面3kに前記レバー9の前記前端部9cが当接し、吐出が完了し、使用前と同じ状態に戻る。
また、成形性を考慮すれば、シリンジ3の前部と後部の肉厚が均一であることが好ましく、変形例3の図18と図19、変形例4の図20と図21の様にシリンジ3の前部と後部の内径に合わせて、外径が異なる径で構成されても良く、つまり、外観上、シリンジ3に段があっても良い。
実施例1では吸引時と吐出時において、注射針セット2を細い針と交換しているが、用途に合わせて注射針セット2を太い針に変えても良い。
また、実施例1では、レバー9の形状は長方形であったが、これに限定されることはなく、例えば、正方形や丸、だ円、ひょうたん形などであっても良く、レバー9の形状は適宜選択可能である。
更に、実施例1においては、シリンジ3と針基6を透明樹脂、ピストン7とレバー9を色付き不透明樹脂で成形しているが、それらを逆転させても良く、更には、不透明樹脂同士や透明樹脂同士、あるいは半透明樹脂同士でも良く、それらを組み合わせるなど適宜選択可能である。
更に、実施例1では針基6とピストン7とレバー9の材質はPP樹脂(ポリプロピレン)を使用しているが、PE樹脂(ポリエチレン)等でも良い。また、Oリング8はシリコーンゴムを使用しているが透明、不透明樹脂に限らず、ブタジエンゴムやブチルゴム、エラストマー樹脂でも良く、また、Oリングの形状はO形だけでなく、□形、△形、U形、V形、W形、もしくはガスケット形状にするなどしても良く、使用状況により、その材質及び形状は適宜選択可能である。
更に、実施例1においては、シリンジ3のテーパー部3gのテーパー角度は約30°だが、テーパー角度は例えば5°〜90°の範囲であれば良く、その角度についてはOリングやガスケットの形状、及び、材質もしくはゴム硬度など、その用途により適宜選択可能である。また、実施例1のテーパー部3gは直線状であるが、R形状や放物線のような円弧形状、スプライン曲線でも良く、組立性やOリング8の破損やねじれなどの変形、機能上に支障がなければ、その形状は適宜選択可能である。なお、変形例1〜4の図14〜21の様にシリンジ3の後部の大内径部3dの内径がOリング8の外径より、極端に大きい場合、組立性やOリング8の破損やねじれなどの変形、機能上に支障がなければ、テーパー部3gと大内径部3dの間に段が生じても良い。なお、シリンジ3前部の内径をシリンジ3後部の内径よりも小さくしているので、シリンジ3前部の小内径部と前記シリンジ3後部の大内径部の間にテーパー部が設けられていなくとも、組立用治具などを用いれば、シリンジ3の後方からピストンセット4を組み付けることができる。ただし、組立性を簡易にしたい場合は、実施例1の様にテーパー部3gを設けた方がより望ましい。
更に、実施例1では、第1段階の吐出完了後、第2段階の吐出前へ移行させる場合、シリンジ3の段部3jの幅は1.8mmで、レバー9の幅0.8mmの倍以上の幅とし、且つ、約50°回転させて、第1溝部3hから第2溝部3iへ移動するようになっている。その理由として、第1段階の吐出時に誤ってレバーを回転させてしまうことがあり、第1溝部3hから第2溝部3iへ誤ってレバーを移動させないためであり、回転角度はシリンジの第1溝部3h、第2溝部3iやレバー9の形状、及び、材質もしくは硬度など、その用途により適宜選択可能であり、特に制限されないが、例えば15°〜120°の範囲が望ましく、さらに30〜80°の範囲がより望ましい。
実施例1では2段階の溝部を設けているが、3段階、4段階など、多段階にしても良く、更に、溝形状も直線でなく、円弧形状、スプライン曲線でも良い。
具体的に説明すると、シリンジ3の溝部3cを3段階、4段階など、多段階にすると、各段、正確に一定量を吐出可能となり、例えば細字用は2段階まで、中字用は3段階まで、太字用は4段階まで、と多くのペン先の太さ、或いは、中綿の太さや長さ等に対応可能となる。
また、溝形状を直線でなく、円弧形状、スプライン曲線にした場合、人が物を押す時、人の指や手首など多くの関節を使いながら押すため、その軌跡は一直線ではなく、若干、湾曲する傾向がある。それに合わせるように円弧形状、スプライン曲線を組み込むことにより、操作性の向上が期待される。
更に、ピストン側に溝部を設け、シリンジの内径部に凸部を設け、その凸部にピストン側の溝部が嵌り込むような構造にすると、外観にレバー(突出部)が出なくなるので、外観が良くなり、それらを組み合わせるなど用途に合わせて適宜選択可能である。
また、前記ピストン7の前記凸部7eは凸形状に指の側面に当てて、前記レバー9を軸線方向に対して回転させているが、凹形状にして、指の腹に当てても良く、用途に合わせて適宜選択可能である。
筆記具は、その外径、内径や全長などにより、充填出来るインキの量は筆記具毎に異なり、軸筒の中に入っている中綿に、染み込ませられる量より多いインキを充填してしまうと、インキ漏れが発生してしまい、また、充填不足だと筆記距離が短くなるなどの不具合があり、そのため、第1段階の吐出の次に第2段階の吐出、第3段階の吐出などを行い、充填するインキ量を微調整させる必要がある。例えば図22は、3つの溝部を設けて第1段階〜第3段階の吐出を可能とする実施例2のインキ充填器である。
さらに、本発明は、簡便に一定量の吐出が出来る容器なので、注射針を外せば乳児用や小動物用の飲み薬、アロマオイル、香水などの定量吐出容器としても利用できる。
また、シリンジの溝部を3段階、4段階など、多段階にすることによって、第2段階までは4.2ミリリットル、第3段階までは4.5ミリリットルなど、シャーレに一定量の試薬を滴下するような実験の条件を変える時などに有効である。
2 注射針セット
3 シリンジ
3a 先端部
3b 小内径部
3c 溝部
3d 大内径部
3e 孔
3f エッジ
3g テーパー部
3h 第1溝部
3i 第2溝部
3j 段部
3k 前端面
3l 後端面
3m 斜面
3n リブ
4 ピストンセット
5 針
5a 先端穴
6 針基
6a 内径
7 ピストン
7a 溝
7b 貫通孔
7c 凹部
7d 押圧操作部
7e 凸部
8 Oリング
8a 外周面
9 レバー
9a 係止部
9b 凸部
9c 前端部
9d 後端部
Claims (4)
- シリンジの内部に摺動自在にピストンを配置した定量吐出容器であって、前記シリンジ又はピストンの何れか一方の長手方向には溝部を形成し、他方には突出部を設け、前記溝部と突出部とを相対的に前後動可能に嵌挿させると共に、前記溝部には前記突出部と長手方向で当接する段部を設け、前記シリンジ前部の内径が前記シリンジ後部の内径よりも小さいことを特徴とする定量吐出容器。
- 前記シリンジ前部と前記シリンジ後部の間にテーパー部を設けたことを特徴とする請求項1記載の定量吐出容器。
- 前記シリンジ前部に薬液を充填すると共に、前記シリンジ後部に溝部を配置することを特徴とする請求項1または2記載の定量吐出容器。
- 前記シリンジ前部にインキを充填すると共に、前記シリンジ後部に溝部を配置することを特徴とする請求項1または2記載の定量吐出容器。
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