JP2010059312A - 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷インキに添加して、特に中性カーボンブラックに対する顔料分散性を改良しながら、光沢・濃度、乳化性を向上できる添加剤を開発する。
【解決手段】 不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物を有効成分として印刷インキ用添加剤とする。不飽和脂肪酸エステルは動植物油とC1〜C8の一価アルコールとのエステル交換生成物などであり、当該エステルと(無水)マレイン酸との加熱によるエン反応生成物を添加剤として印刷インキに加えると、少量含有でも中性カーボンブラックのような分散困難な顔料に対する分散性を改良しながら、光沢・濃度、乳化性を向上できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷インキ用添加剤に関して、印刷インキに添加することにより、特に中性カーボンブラックを初めとする顔料分散性を改良しながら、光沢・濃度、乳化性を向上できるものを提供する。
基本的に、カーボンブラックを代表として、印刷インキに鮮明な色調、高い着色力、優れた光沢性を付与するための顔料は微細な粒子から構成される。
例えば、印刷インキで使用されるカラー用カーボンブラックの場合には、印刷物の光沢及び着色力などを向上させるため、一般に、表面に酸化処理を施した酸性カーボンブラックが使用される。
その一方で、印刷インキ用の中性カーボンブラックは価格的に安価なため、これまで汎用されてきた酸性カーボンブラックに代えて印刷インキへの適用も進んでいるが、分散性が悪いために、酸性カーボンブラックのような高い光沢、着色力、乳化性が得られ難く、また、インキ生産性も低下するという不具合があった。
そこで、印刷インキに対してカーボンブラックの顔料分散性を改善する先行技術を挙げると、特許文献1がある。
即ち、特許文献1には、油性インキ中へのカーボンブラックの分散剤として、マレイン化植物油とモノアミン又はポリアミンとの反応生成物を使用することで、新聞墨インキに混合した際の粘性を低減するだけでなく、油性インキの顔料濡れ性や流動性を改善できることが開示されている(アブストラクト、或は発明の簡潔な要約参照)。
このマレイン化植物油とモノアミン又はポリアミンとの反応生成物はマレイン化植物油のエステルイミド誘導体であると推定でき、3〜10部の無水マレイン酸と100部の植物油を約200℃に昇温させて反応させ、その後、得られたマレイン化植物油を140℃〜200℃程度の温度範囲でジアルキレンアミン又はトリアルキレンテトラミンと反応させて、植物油ベースのポリマレイン酸イミドが製造される(第3頁第30行〜第4頁第9行参照)。
具体的には、同文献1の実施例1に、コーヒー豆油と無水マレイン酸を反応させた後、トリエチレンテトラミンを反応させた生成物が、同様に、実施例2に、重合アマニ油と無水マレイン酸とジエチルアミンを反応させた生成物が夫々記載され、実施例3には、カーボンブラックを顔料とし、上記生成物を添加剤として混合して新聞インキを調製することが記載される(第5頁第1行〜同頁第30行参照)。
WO/2005/044934号公報
しかしながら、上記特許文献1に関連して、市販のマレイン化植物油、或は、大豆油などの植物油と無水マレイン酸の加熱反応物を使用して、中性カーボンブラックを印刷インキに混合しようとしても、顔料分散性は悪く、これに伴って光沢・濃度、乳化性の改善は期待できないという問題がある。
また、マレイン化植物油とポリアミンの反応生成物を使用した場合でも、中性カーボンブラックのインキ中への顔料分散性は満足できる水準にはなく、光沢・濃度、乳化性も不充分であるのが実情である。
本発明は印刷インキに添加して、特に中性カーボンブラックのような分散困難な顔料に対する顔料分散性を改良しながら、光沢・濃度、乳化性を向上できる添加剤を開発することを技術的課題とする。
前記特許文献1にあっては、無水マレイン酸と植物油を反応させてマレイン化植物油を製造し、さらにポリアミンを反応させた生成物を顔料分散剤に使用しているが、従来、この植物油を構成する脂肪酸や無水マレイン酸は、印刷インキの分野で汎用されて来たものである。
例えば、先ず、特開2000−212493号公報には、
(a)樹脂酸と、
(b)マレイン酸などの不飽和カルボン酸と、
(c)ポリオールと、
(d)大豆油やあまに油などの動植物油の脂肪酸を代表とする脂肪酸とを
反応させて得られる生成物を印刷インキ用樹脂に使用することが記載されている(請求項1)。
その際、予め上記ポリオールと脂肪酸とを反応させて水酸基含有エステル化物を得て、このエステル化物に樹脂酸と不飽和カルボン酸のディールス・アルダー付加物を反応させ、印刷インキ用樹脂を製造できることも開示される(請求項2〜4)。
印刷インキ用樹脂の具体例として、同公報の実施例2には、重合ロジンと無水マレイン酸とペンタエリスリトールとオレイン酸との反応生成物が、また、実施例3には、ペンタエリスリトールとカプロン酸とのエステル化物と重合ロジンとフマル酸との反応生成物が夫々記載される(段落40〜41)。
第二に、特開2004−269752号公報には、ロジンと大豆油やあまに油などの動植物油の脂肪酸とをモノアルコールで部分エステル化し、これに多価アルコールとフェノールホルムアルデヒド初期縮合物とを反応させて得られるロジン変性フェノール樹脂を印刷インキ用樹脂とすることが記載される(請求項1)。
その際、予めロジンと動植物油脂肪酸をマレイン酸などの不飽和カルボン酸で変性できることも開示される(請求項6)。
印刷インキ用樹脂の具体例として、同公報の実施例1には、トール油ロジンと大豆油脂肪酸とブタノールでモノエステル体を製造し、これにペンタエリスリトールと上記初期縮合物を反応させた樹脂が、実施例3には、実施例1のトール油ロジンと大豆油脂肪酸を無水マレイン酸でマレイン化することが記載される(段落63と65)。
第三に、特開2002−173634号公報には、ロジン変性フェノール樹脂をインキ用樹脂成分とする印刷インキにおいて、マレイン化油を乾性油として添加することが記載される(段落19)。
以上のように、印刷インキの分野では、動植物油脂肪酸を代表とする脂肪酸や無水マレイン酸は印刷インキ用樹脂や乾性油などの用途に汎用されて来たが、本発明者らは、この脂肪酸や無水マレイン酸、或はその類縁物を上記用途とは異なり、印刷インキ用の添加剤、具体的にはカーボンブラックなどの顔料分散剤として印刷インキの分野に適用することを鋭意研究した結果、不飽和脂肪酸エステルと無水マレイン酸との加熱反応で得られるエン反応生成物が、特に中性カーボンブラックに対しても優れた顔料分散性を示し、もって、光沢・濃度、乳化性を有効に改善することを見い出して、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物を有効成分とする印刷インキ用添加剤である。
本発明2は、上記本発明1において、n個の不飽和結合を有する不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸を反応させる際のモル比が、不飽和脂肪酸エステル1モルに対して(無水)マレイン酸が1〜4nモルであることを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、不飽和脂肪酸エステルが、動植物油とC1〜C8の一価アルコールとのエステル交換生成物、不飽和脂肪酸とC1〜C8の一価アルコールとの直接エステル化生成物より選ばれたエステル化物の少なくとも一種であることを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明4は、上記本発明3に記載の動植物油が牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油の少なくとも一種であり、
不飽和脂肪酸が、牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油より選ばれた動植物油から得られる混合脂肪酸、オレイン酸、トール油脂肪酸の少なくとも一種であり、
1〜C8の一価アルコールが、メタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ヘキサノールの少なくとも一種であることを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明5は上記本発明1〜4のいずれかにおいて、不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸を窒素存在下、120〜300℃、5〜24時間の条件で加熱反応することを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかの印刷インキ用添加剤を含有する印刷インキであって、印刷インキ全量に対する上記添加剤の含有量が0.1〜5.0重量%であることを特徴とする印刷インキである。
本発明7は、上記本発明6において、中性カーボンブラックを顔料として含有する印刷インキである。
印刷インキに本発明の添加剤を含有させると、様々な顔料に対する顔料分散性の改善によりタックやフローを良好に保持しながら、光沢・濃度、乳化性を向上できる。
本発明の印刷インキ用添加剤は、特に、従来では分散が困難であった中性カーボンブラックに対しても優れた顔料分散性を示すため、汎用されて来た酸性カーボンブラックを安価な中性カーボンブラックに代替することで、高い光沢と着色力を実現できる。しかも、中性カーボンブラックを顔料に使用する場合、本添加剤を少量添加する(好ましい割合は0.1〜5.0重量%)ことで、酸性カーボンブラックを使用した場合と同等か、それ以上の光沢・濃度、乳化性を得ることができる。
また、本発明の添加剤は各種顔料の分散剤や様々な印刷インキ用の添加剤の外、インクジェット用顔料分散剤、トナー用顔料分散剤、塗料用顔料分散剤などにも好適であり、さらには、タイヤ用の中性カーボンブラックに対しても同様に優れた分散性を示すことから、タイヤ用途にも好適である。
本発明は、第一に、不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物を有効成分とする印刷インキ用添加剤であり、第二に、当該添加剤を含有する印刷インキである。
本発明の印刷インキ用添加剤の有効成分は、上述の通り、不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物である。
本発明3に示すように、上記不飽和脂肪酸エステルは、動植物油とC1〜C8の一価アルコールとのエステル交換生成物、不飽和脂肪酸とC1〜C8の一価アルコールとの直接エステル化生成物より選ばれたエステル化物の少なくとも一種であり、これらのうちでは上記エステル交換生成物が好ましい。
上記エステル交換や直接エステル化で得られる本発明の不飽和脂肪酸エステルとしては、C14〜C18の不飽和脂肪酸のモノエステルが好ましい。但し、油脂(即ち、動植物油自体)も上位概念では脂肪酸エステルに属するとも解されるが、本発明にあっては、油脂は本発明の不飽和脂肪酸エステルの概念から排除される。
上記エステル交換反応で用いる動植物油は不飽和脂肪酸含有油脂が基本であり、例えば、豚脂、牛脂、アマニ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、コーン油、綿実油、ゴマ油、コメ油、菜種油、パーム油などを単用又は併用でき、特に、牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油が好適である(本発明4参照)。
また、上記直接エステル化で用いる不飽和脂肪酸としては、動植物油を常法に従い、分解後濃縮して得られる混合脂肪酸である豚脂、牛脂、アマニ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、コーン油、綿実油、ゴマ油、コメ油、菜種油、パーム油等の動植物油脂肪酸や、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸等の単一脂肪酸、或はトール油脂肪酸を単用又は併用でき、牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油より選ばれた動植物油の混合脂肪酸、オレイン酸、トール油脂肪酸が好ましい(本発明4参照)。
上記エステル交換反応や直接エステル化反応で用いるC1〜C8の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘプタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の直鎖および分岐飽和アルコールを単用又は併用でき、特に、メタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノールが好適である(本発明4参照)。
8を越える一価アルコールはコスト高であるうえ、C8を越えて直鎖が過剰に長くなると乳化性が損なわれる恐れがある。
尚、乳化性の見地から、当該一価アルコールでは直鎖アルコールより分岐アルコールが好ましい。また、直接エステル化に際しては、C4〜C8の一価アルコールを使用するのが好ましい。
不飽和脂肪酸エステルと反応させる相手方は(無水)マレイン酸である。(無水)マレイン酸は無水マレイン酸、マレイン酸を包含する概念であり、無水マレイン酸が好ましい。
即ち、本発明のエン反応において、(無水)マレイン酸に代えて、フタル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸などの他の不飽和カルボン酸を用いると、反応性や収率が低く、また、反応後の系からの除去が容易でない。
このため、本発明にあっては、不飽和カルボン酸は(無水)マレイン酸に限定される。
本発明では、上記不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物を印刷インキ用添加剤の有効成分とする。
本発明の反応では、例えば、特殊な触媒の存在などを前提とせず、加熱反応を基本とするため、エン付加生成物が主に生成するものと推定できるが、その一方、ディールス・アルダー付加反応生成物が副生することを排除するものではなく、本発明の反応生成物にはディールス・アルダー付加物が混在しても差し支えない。
本発明のエン付加反応は、アリル位に水素をもつアルケン(ene)と、アルケンやカルボニル基などの2π電子系(enophile)との間でσ結合の形成を伴う水素移動が起こる反応をいう。これに対して、ディールス・アルダー付加反応は共役ジエン(diene)とオレフィンなどの2π電子系(dienophile)との間の反応であり、2本の結合手による環式化合物が生成するが、本発明のエン付加反応では、不飽和脂肪酸エステルの不飽和結合(二重結合が基本)に(無水)マレイン酸が1本の結合手で付加して、コハク酸無水物の誘導体が生成することを基本原理とする。
従って、本発明では、不飽和脂肪酸エステルの不飽和結合(二重結合が基本)は少なくとも1個あれば足り、ジエンなどの複数個の不飽和結合を必須要件とするものではなく、従って、共役ジエンなどのような不飽和結合同士の特定の位置関係に左右されるものでもない。
そこで、不飽和脂肪酸エステルがオレイン酸メチルの場合、オレイン酸メチルと無水マレイン酸の加熱によるエン付加反応を示すと、次の構造式で表されるオレイン酸メチル・コハク酸無水物誘導体が生成する。
Figure 2010059312
即ち、上記エン反応にあっては、オレフィンである無水マレイン酸の二重結合とオレイン酸メチルの9:10位の二重結合との間の反応により、無水マレイン酸が飽和のコハク酸構造に転換して、コハク酸無水物がオレイン酸メチルの9位又は10位に結合するとともに、オレイン酸メチルの二重結合が8:9位、或は10:11位に移動して、コハク酸無水物がオレイン酸メチルの直鎖構造に結合した、オレイン酸メチル・コハク酸無水物誘導体が生成するものと推定される。
そこで、エン反応における不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸との仕込みのモル比率を述べる。
本発明2に示すように、n個の不飽和結合(二重結合が基本)を有する不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸を反応させる際のモル比は、不飽和脂肪酸エステル1モルに対して(無水)マレイン酸が1〜4nモルであることが好ましい。
即ち、エン反応をより確実に進行させる見地から、(無水)マレイン酸は不飽和脂肪酸エステルに対して過剰のモル比で反応させることが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステルがオレイン酸エステルの場合、n=1であるため、オレイン酸エステル1モルに対して(無水)マレイン酸の好ましいモル数は1〜4モルである。オレイン酸エステル1モルに対して、(無水)マレイン酸のより好ましいモル数は1.2〜2モルである。
また、不飽和脂肪酸エステルがリノール酸エステルの場合、n=2であるため、リノール酸エステル1モルに対して、(無水)マレイン酸の好ましいモル数は1〜8モルである。この場合、リノール酸の全部の不飽和結合に(無水)マレイン酸が付加しても良いが(この場合の(無水)マレイン酸のモル数は8モル)、少なくとも1個の不飽和結合に(無水)マレイン酸が付加すれば足りるため、(無水)マレイン酸の1モルが不飽和脂肪酸エステルに付加すれば有効である。
本発明5に示す通り、エン反応にあっては、不活性ガス雰囲気下、キシレン等の溶剤の存在下、あるいは非存在下で撹拌しながら120〜300℃、5〜24時間の条件で反応させるのが適当である。反応温度は150〜240℃が好ましく、反応時間は7〜15時間が好ましい。未反応の(無水)マレイン酸は常法により水洗、蒸留等により除去することができる。
本発明の印刷インキ用添加剤は、上記エン反応での粗生成物の状態で使用可能であるが、さらに蒸留等により当該粗生成物から不飽和脂肪酸エステル・無水マレイン酸付加物を単離精製したものを使用できることは勿論である。
本発明の印刷インキに使用するインキワニスは、印刷インキ用樹脂と石油系溶剤を配合し、必要に応じて、植物油、ゲル化剤を配合して調製される。
その調製方法としては、例えば、上記樹脂、石油系溶剤、植物油を不活性ガス存在下、或は非存在下に、180〜220℃で溶解し、ゲル化剤を加えてさらに180〜220℃で加熱して調製する。
前記印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、マレイン酸変性ロジンエステル樹脂、石油樹脂、ギルソナイト樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂などの公知の樹脂を単用又は併用できる。
その使用量はインキワニスの全量に対して30〜60重量%が適当であり、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
前記石油系溶剤としては、芳香族成分が1重量%以下の石油留分から得られるパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系などの溶剤を単用又は併用できる。
上記溶剤の市販品としては、0号ソルベント(H)、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号(ともに新日本石油(株)製)などが挙げられる。
使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、インキワニス中に30〜60重量%が適当であり、好ましくは40〜50重量%である。
また、石油溶剤の全部又は一部を、植物油と一価アルコールとをエステル交換、或は脂肪酸と一価アルコールとを直接エステル化した脂肪酸エステルに置き換えて、使用することも可能である。
前記植物油としては、アマニ油、桐油、大豆油などの乾性油、或は半乾性油が好適である。使用量としては、インキワニス中に1〜30重量%が適当であり、好ましくは3〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
前記ゲル化剤としては公知のものが使用でき、例えば、アルミニウムエチルアセテートジイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレート、ステアリン酸アルミニウム、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキサイト、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシドなどが挙げられる。使用量としては、0.1〜5.0重量%が適当であり、好ましくは0.5〜3.0重量%である。
本発明の印刷インキは上記インキワニスに、公知の顔料と本発明のエン反応生成物を有効成分とする添加剤とを添加して調製される(本発明6参照)。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、磁性酸化鉄などの無機顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、イソインドリン顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料などの有機顔料、酸性及び中性カーボンブラック及び染料などが挙げられ、これらを単用又は併用できる。本発明7に示す通り、本発明の印刷インキ用添加剤は特に中性カーボンブラックに対する顔料分散性に優れるため、安価な中性カーボンブラックを顔料に使用することで、酸性カーボンブラックに比しても遜色のない光沢・濃度及び乳化性を実現できる。
顔料の使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、通常、印刷インキ100重量%中に5〜40重量%が適当であり、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
本発明で使用される不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物は単用又は併用できる。
上記エン反応生成物(印刷インキ用添加剤)の含有量は印刷インキ100重量%に対して0.1〜5.0重量%が適当であり(本発明6参照)、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。含有量が0.1重量%に満たないと、本発明の印刷用添加剤の効果が充分でなく、5.0重量%を超えて添加しても、それに見合う効果が期待できない。
尚、本発明の印刷インキ中のインキワニス含有量は50〜90重量%が適当であり、好ましくは55〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
そこで、本発明の印刷インキ用添加剤を使用した印刷インキの製造方法を述べると、例えば、上記インキワニス、本発明の印刷インキ用添加剤、上記顔料をミキサーでプレミキシングし、次に、三本ロールミルで均一に混練して、前記インキワニスに用いた溶剤及び/又は当該ワニスを追加するなどして、インキのタックを調整する。あるいは、上記インキワニスの製造後に本発明の印刷インキ用添加剤を所定量添加し、この混合物を顔料と混練して、印刷インキを製造しても良い。
また、必要に応じてパラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの耐摩擦剤、BHTなどの酸化防止剤、ナフテン酸マンガンなどの乾燥補助剤等を配合できることはいうまでもない。
本発明のエン反応生成物を有効成分とする添加剤は、各種印刷インキに添加することで特に分散困難な中性カーボンブラックのような顔料の分散性が改良され、光沢・濃度及び乳化性が良好に向上し、もってオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの任意の印刷インキに適用可能である。
また、本発明の添加剤は印刷インキへの適用にとどまらず、あらゆる分野での利用が可能であり、印刷インキ用以外では、例えば、インクジェット用顔料分散剤、塗料用顔料分散剤、各種プラスチック用可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、潤滑油などの分野での利用が期待できる。
以下、本発明の不飽和脂肪酸エステルと無水マレイン酸とのエン反応生成物(印刷インキ用添加剤)の合成例、当該合成例で得られた添加剤を含有する印刷インキの実施例、当該実施例で得られた印刷インキの顔料分散性、光沢、濃度、乳化性などの評価試験例を順次説明する。合成例、順次、試験例中の「部」、「%」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の合成例、実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《エン反応生成物の合成例》
下記の合成例1〜4のうち、合成例1はオレイン酸メチル(不飽和脂肪酸エステル)と無水マレイン酸をエン反応させた例、合成例2は合成例1と同様の反応物から得られた粗生成物をさらに精製した例、合成例3はトール油脂肪酸ブチル(不飽和脂肪酸エステル)と無水マレイン酸をエン反応させた例、合成例4は菜種油脂肪酸2−エチルヘキシル(不飽和脂肪酸エステル)と無水マレイン酸をエン反応させた例である。
また、下記の比較合成例1〜3のうち、比較合成例1は植物油としての大豆白絞油と無水マレイン酸を反応させた例、比較合成例2は冒述の特許文献1に準じて、上記合成例2のエン反応生成物にジエチレントリアミンを反応させた例である。比較合成例3は不飽和脂肪酸であるトール油脂肪酸と無水マレイン酸を反応させた例である。
(1)合成例1
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルのオレイン酸メチル(花王(株)製、エキセパールM−OL、ヨウ素価85)、無水マレイン酸1.2モルを仕込み、キシレン環流下、180℃、15時間の条件で加熱した。
その後、未反応無水マレイン酸を水洗除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去し、粗反応生成物を得た。
(2)合成例2
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルのオレイン酸メチル(花王(株)製、エキセパールM−OL、ヨウ素価85)、無水マレイン酸1.2モルを仕込み、200℃、10時間の条件で加熱した。
その後、150℃に冷却し、減圧下で未反応無水マレイン酸を除去し、粗反応生成物を得た。これをさらに減圧下(<1mmHg)、240℃〜260℃の留分を集め、GLC純度95%のオレイン酸メチル・コハク酸無水物誘導体を得た。
(3)合成例3
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルのトール油脂肪酸ブチル(ハリマ化成(株)製のハートールFA−1と1−ブタノールとの直接エステル化物、ヨウ素価111)、無水マレイン酸1.5モルを仕込み、220℃で8時間加熱した。
その後、未反応無水マレイン酸を水洗除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去し、粗反応生成物を得た。
(4)合成例4
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルの菜種油脂肪酸2−エチルヘキシル(当栄ケミカル(株)製、TOENOL#5090、ヨウ素価87)、無水マレイン酸2.0モルを仕込み、200℃で12時間加熱した。
その後、未反応無水マレイン酸を水洗除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去し、粗反応生成物を得た。
(5)比較合成例1
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルの大豆白絞油(ヨウ素価131)、無水マレイン酸2.0モルを仕込み、220℃で15時間加熱した。
その後、未反応無水マレイン酸を水洗除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去し、粗反応生成物を得た。
(6)比較合成例2
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、前記合成例2で得られたオレイン酸メチル・コハク酸無水物誘導体1モル、ジエチレントリアミン1.05モルを仕込み、205℃で4時間加熱した。
その後、減圧下に未反応ジエチレントリアミンを除去し、オレイン酸メチルコハク酸イミドを得た。
(7)比較合成例3
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入器を備えた四つ口フラスコに、不飽和結合1モルのトール油脂肪酸(ハリマ化成(株)製、ハートールFA−1、ヨウ素価135)、無水マレイン酸1.2モルを仕込み、220℃で15時間加熱した。
その後、未反応無水マレイン酸を水洗除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧留去し、粗反応生成物を得た。
尚、この粗反応生成物を下記のインキワニスに添加して乳化試験を行ったところ、評価はきわめて低かった。
《合成例2で得られた生成物の構造解析例》
前記合成例2で得られた精製物をIRスペクトル、1H−NMRスペクトルなどにより構造を確認した。
(1)IRスペクトル
IR(KBr)cm-1:1855,1783,1739,917
(2)NMRスペクトル
1H−NMR(CDCl3):0.9ppm(3H,t),1.2〜1.5(20H,m),1.55〜1.7(2H,m),2.0(2H,q),2.3(2H,t),2.58〜2.71(1H,m),2.75(1H,dd,J=18.8,5.3Hz),2.92(1H,dd,J=18.9,9.9Hz),3.1〜3.3(1H,m),3.7(3H,s),5.0〜5.2(1H,m),5.6(1H,dt,J=13.6,7.1Hz)
(3)マススペクトル
MS(m/z):394(M+),363,294,262
IRスペクトルでは、波数=1855、1783cm-1に酸無水物のC=O伸縮振動、917cm-1に五員環無水物(コハク酸無水物)に特有のC=O伸縮振動の各吸収帯が認められた。
1H−NMRでは、化学シフト=5.6ppmと5.0〜5.2ppmにオレフィンのプロトンに帰属されるシグナル、2.6〜3.0ppm間にはコハク酸基のCH2−CO−O−COに基づくシグナル、3.1〜3.3ppmにはCH−COに帰属されるシグナルが認められた。
また、マススペクトルでは分子量が394であった。
これにより、オレイン酸メチルと無水マレイン酸の加熱反応で得られた生成物は、コハク酸無水物骨格がオレイン酸メチルの炭素鎖に結合したエン付加生成物であることが確認できた。
そこで、下記の通り、印刷インキ用樹脂に植物油、溶剤などを配合してインキワニスを調製した後、上記合成例1〜4並びに比較合成例1〜2で得られた各印刷インキ用添加剤の存在下に中性カーボンブラック(顔料)を配合して、印刷インキを製造した。
但し、前述したように、前記比較合成例3の生成物では、下記のインキワニスでの乳化試験で非常に劣る結果となったため、その後の印刷インキの製造は行わなかった。
《インキワニスの調製例》
ロジン変性フェノール樹脂(ハリマ化成(株)製、ハリフェノールP−750)43部、大豆油20部、AFソルベント6号(新日本石油(株)製)37部を反応容器に加え、窒素ガスを吹き込みながら180℃、30分間で溶解させた。
次に100℃に冷却し、アルミキレート(ALCH、川研ファインケミカル(株)製)1.0部を添加した。
そして、これらの混合物を180℃、60分間加熱して、インキワニスを得た。
《印刷インキの製造実施例》
下記の実施例1〜8のうち、実施例1〜2は上記合成例1の添加例、実施例3〜4は上記合成例2の添加例、実施例5〜6は上記合成例3の添加例、実施例7〜8は上記合成例4の添加例である。
この場合、同じ合成例の添加剤を含む2組の実施例のうち、奇数の実施例は印刷インキ全体への添加剤の含有量が0.5重量%の例であり、偶数の実施例は同様に1実施例%の例である(例えば、同じ合成例1を含む実施例1〜2の組み合わせにおいて、実施例1は0.5%の例、実施例2は1%の例である)。
一方、下記の比較例1〜6のうち、比較例1〜2は比較合成例1の添加例、比較例3〜4は比較合成例2の添加例である。比較例5は顔料に中性カーボンブラックを用いて、本発明の印刷インキ用添加剤を用いないブランク例である。比較例6は中性カーボンブラックを酸性カーボンブラックに代えて、本発明の添加剤を用いないブランク例である。
また、図1には、実施例1〜8及び比較例1〜6の印刷インキについて、インキ組成、タック、フローをまとめた。
(1)実施例1
上記調製例のインキワニス60部、中性カーボンブラック(三菱化学(株)製、RCF#52)18部、前記合成例1の印刷インキ用添加剤を0.5部添加し、三本ロールを用いて均一に混練した。次に、さらに、上記インキワニス及び石油系溶剤を追加して、均一に混合して印刷インキを製造した。
(2)実施例2〜8及び比較例1〜6
上記実施例1を基本として、添加剤の種類並びに含有量を図1に示す通りに変更し、それ以外は実施例1と同様の条件で処理して、印刷インキを製造した。
また、上述したように、比較例5〜6のブランク例において、比較例5は顔料として実施例1と同種の中性カーボンブラックを使用し、比較例6は顔料として酸性カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−7)を使用した。
《印刷インキの評価試験例》
次いで、上記実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた各印刷インキについて、下記に示す顔料分散性試験、並びに各種インキ特性試験を行った。
(a)印刷インキ用添加剤による顔料分散性
三本ロールにて混練した上記インキ5gを採り、これにテトラヒドロフラン50gを加えて溶解し、ろ紙クロマト用添加槽に移し、槽内を飽和させた。
次いで、20×190mmのクロマト用ろ紙を1cm浸けて10cm展開させ、下式の展開率Rfにより顔料分散性を評価した(Rfが大きいほど顔料分散性は良好である)。
Rf=色素の展開距離(cm)/テトラヒドロフランの展開距離(10cm)
(b)インキ特性評価
(1)タック
インコメーター(東洋精機(株)製)を使用して、インキ量1.3cc、ローラー温度30℃、回転数400rpmの条件で、1分後の値を測定した。
(2)フロー60s
離合社(株)製のスプレッドメーターにより、インキの拡がり(直径:mm)を測定した。
(3)光沢性
インキ0.3mlを使用して、(株)明製作所製のRIテスターにてアート紙に展色し、25℃、60%RHの恒温恒湿室内にて24時間乾燥し、展色試料を作製した。
光沢性は、村上色彩技術研究所製の光沢計(入射角/反射角=60°/60°)で測定した。
(4)濃度
光沢測定と同一の展色紙を反射濃度計を用いて濃度を測定した。
(5)乳化性
リソドロニック乳化試験機(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25gの上記印刷インキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが飽和した時点での水分量を測定した。
尚、インキが過乳化するとインキの凝集力が小さくなるため、汚れ、ブランケットパイリング等の不具合が発生し易くなる。従って、本装置で測定した場合の最大乳化率が10〜50%の範囲にある印刷インキが前記不具合を削減する効果があると考えられる。
図2は印刷インキ用添加剤による顔料分散性の評価試験結果、図3は印刷インキの特性評価試験結果である。
図2の顔料分散性を見ると、本発明の添加剤を含まない比較例5(顔料は中性カーボンブラック)に比して、冒述の特許文献1に準拠したエステルイミドをインキ用添加剤とする比較例3〜4では顔料分散性は大きく劣り、マレイン化植物油を同添加剤とする比較例1〜2では、含有量を1%に増量した比較例2においても分散性の改善は余り認められなかった。
これに対して、不飽和脂肪酸エステルと無水マレイン酸とのエン反応生成物を添加剤とする実施例1〜8では、比較例5(0.6)に比して顔料分散性が大きく改善され、特に、0.5%の少量を含有した実施例1、3、5、7でも特段の改善が認められた。しかも、1%に増量した実施例2、4、6、8では、酸性カーボンブラックを使用した比較例6(0.84)と同等か、それ以上の顔料分散性を示すことが確認できた。
尚、前述した通り、トール油脂肪酸と無水マレイン酸のエン反応生成物(比較合成例3)は、インキワニスに加えた段階で乳化性がきわめて劣るため、印刷インキ用添加剤として適しないことは明白である。
図3のインキ特性を見ると、本発明のインキ用添加剤を含まない比較例5に比して、比較例3〜4は光沢と濃度で劣り、比較例1〜2は光沢、濃度、乳化性で余り改善は認められなかった。
これに対して、実施例1〜8は比較例5に比して、光沢、濃度、乳化性のすべてに優れるうえ、前述したように、0.5%の少量を含有した場合でも比較例5より優位の改善が認められた。また、1%に増量すると、酸性カーボンブラックを使用した比較例6に比して、光沢、濃度、乳化性がすべて向上することが確認できた。
以上の通り、本発明のエン反応生成物を有効成分とする添加剤は、印刷インキの光沢・濃度、および乳化性を良好に向上させるため、印刷インキ用添加剤として好適であるばかりでなく、インクジェット用顔料分散剤、トナー用顔料分散剤、塗料用顔料分散剤などの様々な分野でも有効利用が期待できる。
実施例1〜8並びに比較例1〜6の印刷インキについての組成、タック及びフローの試験結果をまとめた図表である。 実施例1〜8並びに比較例1〜6の印刷インキについて、使用した印刷インキ用添加剤による顔料分散性の評価試験結果をまとめた図表である。 実施例1〜8並びに比較例1〜6の印刷インキについての光沢、濃度、乳化性の評価試験結果をまとめた図表である。

Claims (7)

  1. 不飽和脂肪酸エステルと、(無水)マレイン酸とを加熱反応して得られるエン反応生成物を有効成分とする印刷インキ用添加剤。
  2. n個の不飽和結合を有する不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸を反応させる際のモル比が、不飽和脂肪酸エステル1モルに対して(無水)マレイン酸が1〜4nモルであることを特徴とする請求項1に記載の印刷インキ用添加剤。
  3. 不飽和脂肪酸エステルが、動植物油とC1〜C8の一価アルコールとのエステル交換生成物、不飽和脂肪酸とC1〜C8の一価アルコールとの直接エステル化生成物より選ばれたエステル化物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷インキ用添加剤。
  4. 動植物油が牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油の少なくとも一種であり、
    不飽和脂肪酸が、牛脂、大豆油、コメ油、菜種油、パーム油より選ばれた動植物油から得られる混合脂肪酸、オレイン酸、トール油脂肪酸の少なくとも一種であり、
    1〜C8の一価アルコールが、メタノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ヘキサノールの少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の印刷インキ用添加剤。
  5. 不飽和脂肪酸エステルと(無水)マレイン酸を窒素存在下、120〜300℃、5〜24時間の条件で加熱反応することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷インキ用添加剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷インキ用添加剤を含有する印刷インキであって、印刷インキ全量に対する上記添加剤の含有量が0.1〜5.0重量%であることを特徴とする印刷インキ。
  7. 中性カーボンブラックを顔料として含有する請求項6に記載の印刷インキ。
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