JP2009079122A - 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ - Google Patents
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Abstract
【課題】 印刷インキに添加して光沢性、保存安定性、乳化性を向上し、特に少量でも有効性を発揮できる添加剤を開発する。
【解決手段】 ジペンタエリスリトール(DPE)と、安息香酸及びC8〜C18の分岐脂肪酸の両成分とを反応させ、DPEの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸とのエステル結合数が1〜5個であり、且つ、上記分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜5個であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤である。DPEと、安息香酸及び所定炭素数の分岐脂肪酸とのエステル化物を印刷インキに添加すると、顔料分散性を良好に確保しながら、光沢性、保存安定性、乳化性を向上でき、特に、少量の添加で有効性を発揮できる。
【選択図】 なし
【解決手段】 ジペンタエリスリトール(DPE)と、安息香酸及びC8〜C18の分岐脂肪酸の両成分とを反応させ、DPEの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸とのエステル結合数が1〜5個であり、且つ、上記分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜5個であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤である。DPEと、安息香酸及び所定炭素数の分岐脂肪酸とのエステル化物を印刷インキに添加すると、顔料分散性を良好に確保しながら、光沢性、保存安定性、乳化性を向上でき、特に、少量の添加で有効性を発揮できる。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷インキ用添加剤に関して、印刷インキに添加することで光沢性、保存安定性及び乳化性を向上し、特に少量の添加でも有効に作用するものを提供する。
一般に、オフセット印刷インキにおいて、鮮明な色調、高い着色力、優れた光沢性を付与可能な顔料(例えば、後述の特許文献2に記載のカーボンブラックなど)は微細な粒子から構成されている。
従って、オフセット印刷インキの非水系ビヒクルにこの微細粒子からなる顔料を分散させると、流動性、貯蔵安定性の良い分散体を得ることが難しく、製造工程並びに製品の品質に問題を引き起こす恐れがある。例えば、微細粒子からなる顔料を含む分散体はしばしば高粘性を示すため、分散機から製品を取り出したり、輸送することが困難になったり、貯蔵中にゲル化して使用できなくなるなどの恐れがある。さらに展色物においては、光沢の著しい低下やレベリング不良などを引き起こすこともある。
従って、オフセット印刷インキの非水系ビヒクルにこの微細粒子からなる顔料を分散させると、流動性、貯蔵安定性の良い分散体を得ることが難しく、製造工程並びに製品の品質に問題を引き起こす恐れがある。例えば、微細粒子からなる顔料を含む分散体はしばしば高粘性を示すため、分散機から製品を取り出したり、輸送することが困難になったり、貯蔵中にゲル化して使用できなくなるなどの恐れがある。さらに展色物においては、光沢の著しい低下やレベリング不良などを引き起こすこともある。
印刷インキが有する上記諸問題を解消し、インキの光沢性、経時安定性、或は流動性などを改善する有効策として、印刷インキに各種添加剤を含有させることが行われている。
その従来技術を挙げると、次の通りである。
(1)特許文献1
光沢性、延展性、経時安定性などを改善する目的で(段落1、段落8)、ペンタエリスリトール(PE)と安息香酸類とC3〜C28の分岐脂肪酸とから構成されるエステル化物からなる添加剤(油剤)をインキや塗料に含有させることが開示されている(請求項1)。
塗料やインキに対する上記添加剤の含有量は1〜40重量%である(段落30)。
また、PEと安息香酸(安)と分岐脂肪酸(脂)の反応モル比率は、実施例1ではPE:安:脂=1:2:2、実施例2ではPE:安:脂=1:3:1、実施例3ではPE:安:脂=1:2:2である。
その従来技術を挙げると、次の通りである。
(1)特許文献1
光沢性、延展性、経時安定性などを改善する目的で(段落1、段落8)、ペンタエリスリトール(PE)と安息香酸類とC3〜C28の分岐脂肪酸とから構成されるエステル化物からなる添加剤(油剤)をインキや塗料に含有させることが開示されている(請求項1)。
塗料やインキに対する上記添加剤の含有量は1〜40重量%である(段落30)。
また、PEと安息香酸(安)と分岐脂肪酸(脂)の反応モル比率は、実施例1ではPE:安:脂=1:2:2、実施例2ではPE:安:脂=1:3:1、実施例3ではPE:安:脂=1:2:2である。
(2)特許文献2
カーボンブラックを含有するオフセット印刷用墨インキにおいて、優れた印刷適性と高い流動性を具備させる目的で(段落1と5)、C16〜C20のヒドロキシカルボン酸(12−ヒドロキシステアリン酸など:請求項2、段落11)の縮合ポリエステル又はその変性物とギルソナイトからなる顔料分散剤をカーボンブラックに対して2.0〜50重量%の割合で含有させることが開示されている(請求項1)。
特開2005−146095号公報
特開平9−25444号公報
カーボンブラックを含有するオフセット印刷用墨インキにおいて、優れた印刷適性と高い流動性を具備させる目的で(段落1と5)、C16〜C20のヒドロキシカルボン酸(12−ヒドロキシステアリン酸など:請求項2、段落11)の縮合ポリエステル又はその変性物とギルソナイトからなる顔料分散剤をカーボンブラックに対して2.0〜50重量%の割合で含有させることが開示されている(請求項1)。
上記特許文献1の添加剤をオフセット印刷インキに適用する場合、光沢性や安定性を向上するには使用量を多くする必要があるため、インキのタックが上昇し、乾燥性が損なわれるなどの不具合が発生してしまう問題がある。
また、特許文献2では、ある程度の流動性、着色力、貯蔵安定性などを具備したオフセット印刷用インキは得られる反面、いまだ満足できるレベルには至らないうえ、少量添加ではやはり有効性が低い。
また、特許文献2では、ある程度の流動性、着色力、貯蔵安定性などを具備したオフセット印刷用インキは得られる反面、いまだ満足できるレベルには至らないうえ、少量添加ではやはり有効性が低い。
本発明は印刷インキに添加して光沢性、保存安定性、乳化性を向上し、特に少量でも有効性を発揮できる添加剤を開発することを技術的課題とする。
本発明者らは、このような現状を参考にして、各種のポリオールと安息香酸と分岐脂肪酸とからなる生成物が印刷インキに対していかなる作用を付与するかを鋭意研究した結果、ジペンタエリスリトールと、安息香酸及び所定炭素数の分岐脂肪酸とのエステル化物を印刷インキに添加すると、顔料分散性を良好に確保しながら、光沢性、保存安定性、乳化性が向上すること、特に、上記特許文献1の添加剤に比べて格段に少量の添加で有効性を発揮できることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、ジペンタエリスリトールと、安息香酸及びC8〜C18の分岐脂肪酸の両成分とを反応させ、
ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸とのエステル結合数が1〜5個であり、且つ、上記分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜5個であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤である。
ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸とのエステル結合数が1〜5個であり、且つ、上記分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜5個であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤である。
本発明2は、上記本発明1に記載のエステル化物が、ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸類とのエステル結合数が3〜5個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜3個である生成物からなることを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明3は、上記本発明2に記載のエステル化物が、ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸類とのエステル結合数が3個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数が3個である生成物からなることを特徴とする印刷インキ用添加剤。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、C8〜C18分岐脂肪酸が2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸の少なくとも一種であることを特徴とする印刷インキ用添加剤である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれか1項に記載の添加剤を含有することを特徴とする印刷インキである。
本発明6は、上記本発明5において、印刷インキ全量に対する添加剤の含有量が0.5〜10重量%であることを特徴とする印刷インキである。
印刷インキに本発明の添加剤を含有させると、顔料分散性の確保によりタックやフローを良好に保持しながら、光沢性、保存安定性及び乳化性を良好に向上できる。
特に、冒述の特許文献1の添加剤に比べても、比較的少ない添加量で上記インキ性能を円滑に向上できる。
本発明の添加剤は従来では分散が容易でなかった中性カーボンなどの顔料分散性にも優れ、殊にオフセット印刷インキ用の添加剤として好適である。
特に、冒述の特許文献1の添加剤に比べても、比較的少ない添加量で上記インキ性能を円滑に向上できる。
本発明の添加剤は従来では分散が容易でなかった中性カーボンなどの顔料分散性にも優れ、殊にオフセット印刷インキ用の添加剤として好適である。
本発明は、第一に、ジペンタエリスリトール(DPE)と安息香酸及び所定炭素数の分岐脂肪酸の両成分とのエステル化物であって、DPEと安息香酸及び分岐脂肪酸とのエステル結合数が各1個以上であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤であり、第二に、当該添加剤を含有する印刷インキである。
本発明の添加剤はDPEと酸とのエステル化物を有効成分とし、エステル反応におけるDPEの相手方(酸)の一方は安息香酸であり、また、その他方は分岐脂肪酸であって、この分岐脂肪酸はC8〜C18の分岐脂肪酸であることが必要である。
上記C8〜C18の分岐脂肪酸の具体例としては2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などを単用又は併用でき、光沢性、保存安定性、乳化性を促進する見地から、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸が好ましく、2−エチルヘキサン酸がより好ましい。
上記C8〜C18の分岐脂肪酸の具体例としては2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などを単用又は併用でき、光沢性、保存安定性、乳化性を促進する見地から、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸が好ましく、2−エチルヘキサン酸がより好ましい。
上記DPEのエステル化物にあっては、エステル反応の際のモル比率は、DPE1モルに対して、安息香酸1〜5モル、C8〜C18の分岐脂肪酸1〜5モルであり、生成するエステル化物は次の一般式(1)で表される。
(式(1)中、R1〜R6は安息香酸残基、C8〜C18の分岐脂肪酸残基、水素原子のいずれかであり、R1〜R6の少なくとも1個は安息香酸残基、残りの少なくとも1個は分岐脂肪酸残基である。)
即ち、このエステル化物にあっては、DPEの分子内の水酸基6個のうち、安息香酸とのエステル結合数は1〜5個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数は1〜5個である。この場合、DPEの分子内の水酸基は6個なので、安息香酸とのエステル結合数及び分岐脂肪酸とのエステル結合数の和が6個を越えることはない。例えば、安息香酸とのエステル結合数が4個の場合、分岐脂肪酸とのエステル結合数は1〜2個である。
また、上記エステル化物はDPEの水酸基6個のすべてがエステル化されたフルエステル化物に限定されるものではなく、例えば、安息香酸とのエステル結合数が3個、分岐脂肪酸とのエステル結合数が1個、残りは水酸基のままの部分エステル化物であっても良い。但し、水酸基が3個以上の部分エステル化物では、添加剤の外観が霞んだり、乳化性が後退する恐れがある。
即ち、このエステル化物にあっては、DPEの分子内の水酸基6個のうち、安息香酸とのエステル結合数は1〜5個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数は1〜5個である。この場合、DPEの分子内の水酸基は6個なので、安息香酸とのエステル結合数及び分岐脂肪酸とのエステル結合数の和が6個を越えることはない。例えば、安息香酸とのエステル結合数が4個の場合、分岐脂肪酸とのエステル結合数は1〜2個である。
また、上記エステル化物はDPEの水酸基6個のすべてがエステル化されたフルエステル化物に限定されるものではなく、例えば、安息香酸とのエステル結合数が3個、分岐脂肪酸とのエステル結合数が1個、残りは水酸基のままの部分エステル化物であっても良い。但し、水酸基が3個以上の部分エステル化物では、添加剤の外観が霞んだり、乳化性が後退する恐れがある。
本発明の目的である光沢性、保存安定性及び乳化性を促進するためには、DPE1モルに対して、安息香酸3〜5モル及び上記分岐脂肪酸1〜3モルをエステル化したものが好ましい。即ち、本発明2に示すように、このエステル化物にあっては、DPEの分子内の水酸基6個のうち、安息香酸とのエステル結合数は3〜5個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数は1〜3個である。この場合、エステル化物はフルエステル化物に限らず、部分エステル化物であっても良い点は前述と同じである。
また、光沢性、保存安定性及び乳化性をさらに促進するためには、DPE1モルに対して、安息香酸3モル及び分岐脂肪酸3モルを反応させて、すべての水酸基をエステル化することがより好ましい。即ち、本発明3に示すように、このフルエステル化物にあっては、DPEの分子内の水酸基6個のうち、安息香酸及び分岐脂肪酸とのエステル結合数は各3個づつである。
また、光沢性、保存安定性及び乳化性をさらに促進するためには、DPE1モルに対して、安息香酸3モル及び分岐脂肪酸3モルを反応させて、すべての水酸基をエステル化することがより好ましい。即ち、本発明3に示すように、このフルエステル化物にあっては、DPEの分子内の水酸基6個のうち、安息香酸及び分岐脂肪酸とのエステル結合数は各3個づつである。
次いで、本発明のエステル化物の製造方法を説明する。
反応物であるDPEと安息香酸と所定炭素数の分岐脂肪酸を適当な反応容器に仕込み、酸、アルカリ、金属等の適当な触媒存在下又は非存在下で、好ましくは当該反応に不活性なトルエン、キシレン等の有機溶剤及び窒素等の気体中で、200〜250℃で反応させて、所定の酸価に到達するまでエステル化を行う。
触媒を用いる場合、触媒の種類にもよるが、反応物の全量に対して0.001〜1.0重量%の範囲で添加するのが良い。
所定の酸価に到達した後、水洗、アルカリ脱酸、吸着、蒸留などの公知の方法で未反応物や触媒などを除去し、さらに脱色、脱臭処理を行ってエステル化物を精製する。
反応物であるDPEと安息香酸と所定炭素数の分岐脂肪酸を適当な反応容器に仕込み、酸、アルカリ、金属等の適当な触媒存在下又は非存在下で、好ましくは当該反応に不活性なトルエン、キシレン等の有機溶剤及び窒素等の気体中で、200〜250℃で反応させて、所定の酸価に到達するまでエステル化を行う。
触媒を用いる場合、触媒の種類にもよるが、反応物の全量に対して0.001〜1.0重量%の範囲で添加するのが良い。
所定の酸価に到達した後、水洗、アルカリ脱酸、吸着、蒸留などの公知の方法で未反応物や触媒などを除去し、さらに脱色、脱臭処理を行ってエステル化物を精製する。
本発明の印刷インキに使用するインキワニスは、印刷インキ用樹脂と石油系溶剤を配合し、必要に応じて、植物油、ゲル化剤を配合して調製される。
その調製方法としては、例えば、上記樹脂、石油系溶剤、植物油を不活性ガス存在下、或は非存在下に、180〜220℃で溶解し、ゲル化剤を加えてさらに180〜220℃で加熱して調製する。
その調製方法としては、例えば、上記樹脂、石油系溶剤、植物油を不活性ガス存在下、或は非存在下に、180〜220℃で溶解し、ゲル化剤を加えてさらに180〜220℃で加熱して調製する。
前記印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、マレイン酸変性ロジンエステル樹脂、石油樹脂、ギルソナイト樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂などの公知の樹脂を単用又は併用できる。
その使用量はインキワニスの全量に対して30〜60重量%が適当であり、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
その使用量はインキワニスの全量に対して30〜60重量%が適当であり、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
前記石油系溶剤としては、芳香族成分が1重量%以下の石油留分から得られるパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系などの溶剤を単用又は併用できる。
上記溶剤の市販品としては、0号ソルベント(H)、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号(ともに新日本石油(株)製)などが挙げられる。
使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、インキワニス中に30〜60重量%が適当であり、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
また、石油溶剤の全部又は一部を、植物油と一価アルコールとをエステル交換、或は脂肪酸と一価アルコールとを直接エステル化した脂肪酸エステルに置き換えて、使用することも可能である。
上記溶剤の市販品としては、0号ソルベント(H)、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号(ともに新日本石油(株)製)などが挙げられる。
使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、インキワニス中に30〜60重量%が適当であり、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
また、石油溶剤の全部又は一部を、植物油と一価アルコールとをエステル交換、或は脂肪酸と一価アルコールとを直接エステル化した脂肪酸エステルに置き換えて、使用することも可能である。
前記植物油としては、アマニ油、桐油、大豆油などの乾性油、或は半乾性油が好適である。使用量としては、インキワニス中に1〜30重量%が適当であり、好ましくは3〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
前記ゲル化剤としては公知のものが使用でき、例えば、アルミニウムエチルアセテートジイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレート、ステアリン酸アルミニウム、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキサイト、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシドなどが挙げられる。使用量としては、0.1〜5.0重量%が適当であり、好ましくは0.5〜3.0重量%である。
本発明の印刷インキは上記インキワニスに、公知の顔料と本発明のエステル化物よりなる添加剤とを添加して調製される。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、磁性酸化鉄などの無機顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、イソインドリン顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料などの有機顔料、酸性及び中性カーボンブラック及び染料などが挙げられ、これらを単用又は併用できる。
顔料の使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、通常、印刷インキ100重量%中に5〜40重量%が適当であり、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、磁性酸化鉄などの無機顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、イソインドリン顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料などの有機顔料、酸性及び中性カーボンブラック及び染料などが挙げられ、これらを単用又は併用できる。
顔料の使用量としては従来公知の印刷インキと同様で良く、通常、印刷インキ100重量%中に5〜40重量%が適当であり、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
本発明のエステル化物は単用又は併用でき、その含有量は印刷インキ100重量%に対して0.1〜30重量%が適当であり、好ましくは0.3〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である(本発明6参照)。含有量が0.1重量%に満たないと、本発明の印刷インキ用添加剤の効果が充分でなく、30重量%を超えて添加しても、それに見合う効果が期待できない。
尚、本発明の印刷インキ中のインキワニスの含有量は50〜90重量%が適当であり、好ましくは55〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
尚、本発明の印刷インキ中のインキワニスの含有量は50〜90重量%が適当であり、好ましくは55〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
そこで、本発明の印刷インキ用添加剤を使用した印刷インキの製造方法を述べると、例えば、上記インキワニス、本発明の印刷インキ用添加剤、上記顔料をミキサーでプレミキシングし、次に、三本ロールミルで均一に混練して、前記インキワニスに用いた溶剤及び/又は当該ワニスを追加するなどして、インキのタックを調整する。
また、必要に応じてパラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの耐摩擦剤、BHTなどの酸化防止剤、ナフテン酸マンガンなどの乾燥補助剤等を配合できることはいうまでもない。
また、必要に応じてパラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの耐摩擦剤、BHTなどの酸化防止剤、ナフテン酸マンガンなどの乾燥補助剤等を配合できることはいうまでもない。
本発明のエステル化物よりなる添加物は、各種印刷インキに添加することで光沢性、保存安定性及び乳化性を良好に向上することができ、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの任意の印刷インキに適用可能であるが、特にオフセット印刷インキ用に好適である。
また、本発明の添加剤は印刷インキへの適用にとどまらず、あらゆる分野での利用が可能である。例えば、印刷インキ用以外では、インクジェット用顔料分散剤、塗料用顔料分散剤、各種プラスチック用可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、潤滑油などの分野での利用が期待できる。
また、本発明の添加剤は印刷インキへの適用にとどまらず、あらゆる分野での利用が可能である。例えば、印刷インキ用以外では、インクジェット用顔料分散剤、塗料用顔料分散剤、各種プラスチック用可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、潤滑油などの分野での利用が期待できる。
以下、本発明の印刷インキ用添加剤の合成例、合成例で得られた添加剤を含有する印刷インキの実施例、実施例で得られた印刷インキの光沢性、保存安定性、乳化性などの評価試験例を順次説明する。合成例、実施例、試験例中の「部」、「%」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の合成例、実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
尚、本発明は下記の合成例、実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《印刷インキ用添加剤の合成例》
合成例1〜4のうち、合成例1〜3は分岐脂肪酸に2−エチルヘキサン酸を使用して、DPEと安息香酸と分岐脂肪酸の反応モル数を変化させた例、合成例4はイソステアリン酸の使用例である。
また、比較合成例1〜3のうち、比較合成例1は分岐脂肪酸を使用せずに、DPEと安息香酸のみでエステル反応させたブランク例である。比較合成例2は安息香酸を使用せずに、DPEと分岐脂肪酸のみでエステル反応させたブランク例である。比較合成例3は冒述の引用文献1に準拠して、ペンタエリスリトールと安息香酸と分岐脂肪酸をエステル反応させた例である。
合成例1〜4のうち、合成例1〜3は分岐脂肪酸に2−エチルヘキサン酸を使用して、DPEと安息香酸と分岐脂肪酸の反応モル数を変化させた例、合成例4はイソステアリン酸の使用例である。
また、比較合成例1〜3のうち、比較合成例1は分岐脂肪酸を使用せずに、DPEと安息香酸のみでエステル反応させたブランク例である。比較合成例2は安息香酸を使用せずに、DPEと分岐脂肪酸のみでエステル反応させたブランク例である。比較合成例3は冒述の引用文献1に準拠して、ペンタエリスリトールと安息香酸と分岐脂肪酸をエステル反応させた例である。
(1)合成例1
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、2−エチルヘキサン酸432g(3.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価350のエステル化物902gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、2−エチルヘキサン酸432g(3.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価350のエステル化物902gを得た。
(2)合成例2
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸610g(5.0モル)、2−エチルヘキサン酸144g(1.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価378のエステル化物854gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸610g(5.0モル)、2−エチルヘキサン酸144g(1.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価378のエステル化物854gを得た。
(3)合成例3
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸122g(1.0モル)、2−エチルヘキサン酸720g(5.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価344のエステル化物928gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸122g(1.0モル)、2−エチルヘキサン酸720g(5.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価344のエステル化物928gを得た。
(4)合成例4
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、イソステアリン酸(ユニケマ社製:PRISORINE 3505)906g(3.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.8gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価230のエステル化物1320gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、イソステアリン酸(ユニケマ社製:PRISORINE 3505)906g(3.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.8gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価230のエステル化物1320gを得た。
(5)比較合成例1
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸732g(6.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価384のエステル化物807gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、安息香酸732g(6.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.5gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価384のエステル化物807gを得た。
(6)比較合成例2
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、2−エチルヘキサン酸864g(6.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.6gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価330のエステル化物940gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにジペンタエリスリトール254g(1.0モル)、2−エチルヘキサン酸864g(6.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.6gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価330のエステル化物940gを得た。
(7)比較合成例3
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにペンタエリスリトール136g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、2−エチルヘキサン酸144g(1.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.3gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価386のエステル化物530gを得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管および水分離器を備えた四つ口フラスコにペンタエリスリトール136g(1.0モル)、安息香酸366g(3.0モル)、2−エチルヘキサン酸144g(1.0モル)を加え、触媒としてジブチルスズオキシド0.3gを添加し、240℃で10時間エステル化を行った。
反応終了後、活性白土による脱色、減圧下での水蒸気吹き込みによる脱臭を行い、けん化価386のエステル化物530gを得た。
そこで、印刷インキ用樹脂に植物油、溶剤などを配合してインキワニスを調製した後、さらに、上記合成例1〜4及び比較合成例1〜3で得られた各印刷インキ用添加剤と顔料を配合してオフセット印刷インキを製造した。
《インキワニスの調製例》
ロジン変性フェノール樹脂(ハリマ化成(株)製、ハリフェノールP−600)45部、大豆油10部、AFソルベント7号(新日本石油(株)製)45部を反応容器に加え、窒素ガスを吹き込みながら200℃、30分間で溶解させた。
次に100℃に冷却し、アルミキレート(ALCH、川研ファインケミカル(株)製)2部を、AFソルベント7号の2部に溶かしたものをさらに添加した。
そして、これらの混合物を200℃、45分間加熱して、インキワニスを得た。
ロジン変性フェノール樹脂(ハリマ化成(株)製、ハリフェノールP−600)45部、大豆油10部、AFソルベント7号(新日本石油(株)製)45部を反応容器に加え、窒素ガスを吹き込みながら200℃、30分間で溶解させた。
次に100℃に冷却し、アルミキレート(ALCH、川研ファインケミカル(株)製)2部を、AFソルベント7号の2部に溶かしたものをさらに添加した。
そして、これらの混合物を200℃、45分間加熱して、インキワニスを得た。
《オフセット印刷インキの製造実施例》
実施例1〜2は合成例1の添加例、実施例3〜4は合成例2の添加剤、実施例5〜6は合成例3の添加例、実施例7〜8は合成例4の添加例である。この場合、同じ合成例の添加剤を含む2組の実施例のうち、奇数の実施例は印刷インキ全体への添加剤の含有量が1重量%の例であり、偶数の実施例は同様に3重量%の例である(例えば、実施例1〜2の組み合わせにおいて、実施例1は1重量%の例、実施例2は3重量%の例である)。
一方、比較例1〜2は比較合成例1の添加例、比較例3〜4は比較合成例2の添加例、比較例5〜6は比較合成例3の添加例である。この場合、同じ比較合成例の添加剤を含む2組の比較例のうち、奇数の比較例は印刷インキ全体への添加剤の含有量が1重量%の例であり、偶数の比較例は同様に3重量%の例である(例えば、比較例1〜2の組み合わせにおいて、比較例1は1重量%の例、比較例2は3重量%の例である)。比較例8は添加剤を含有しないブランク例である。また、比較例7は実施例2と同程度の光沢値を具備するように添加剤(比較合成例3)を増量した例である。
尚、図1Aには、実施例1〜8及び比較例1〜8の印刷インキについて、インキ組成、タック及びフローの試験結果をまとめた。
実施例1〜2は合成例1の添加例、実施例3〜4は合成例2の添加剤、実施例5〜6は合成例3の添加例、実施例7〜8は合成例4の添加例である。この場合、同じ合成例の添加剤を含む2組の実施例のうち、奇数の実施例は印刷インキ全体への添加剤の含有量が1重量%の例であり、偶数の実施例は同様に3重量%の例である(例えば、実施例1〜2の組み合わせにおいて、実施例1は1重量%の例、実施例2は3重量%の例である)。
一方、比較例1〜2は比較合成例1の添加例、比較例3〜4は比較合成例2の添加例、比較例5〜6は比較合成例3の添加例である。この場合、同じ比較合成例の添加剤を含む2組の比較例のうち、奇数の比較例は印刷インキ全体への添加剤の含有量が1重量%の例であり、偶数の比較例は同様に3重量%の例である(例えば、比較例1〜2の組み合わせにおいて、比較例1は1重量%の例、比較例2は3重量%の例である)。比較例8は添加剤を含有しないブランク例である。また、比較例7は実施例2と同程度の光沢値を具備するように添加剤(比較合成例3)を増量した例である。
尚、図1Aには、実施例1〜8及び比較例1〜8の印刷インキについて、インキ組成、タック及びフローの試験結果をまとめた。
(1)実施例1
上記インキワニス60部、カーミン6B(紅色顔料;東洋インキ製造(株)製)18部、合成例1の印刷インキ用添加剤を1部添加し、三本ロールを用いて均一に混練した。次に、さらに上記インキワニス及び石油系溶剤を追加配合して図1の組成となし、均一に混合・撹拌してオフセット印刷インキを製造した。
上記インキワニス60部、カーミン6B(紅色顔料;東洋インキ製造(株)製)18部、合成例1の印刷インキ用添加剤を1部添加し、三本ロールを用いて均一に混練した。次に、さらに上記インキワニス及び石油系溶剤を追加配合して図1の組成となし、均一に混合・撹拌してオフセット印刷インキを製造した。
(2)実施例2
上記実施例1を基本として、合成例1の含有量を1%から3%に増量し、それ以外は実施例1と同様の条件で処理して、オフセット印刷インキを製造した。
上記実施例1を基本として、合成例1の含有量を1%から3%に増量し、それ以外は実施例1と同様の条件で処理して、オフセット印刷インキを製造した。
(3)実施例3〜8及び比較例1〜8
上記実施例1を基本として、添加剤の種類並びに含有量を図1に示す通りに変更し(或は、比較例8では添加剤を含有せず)、それ以外は実施例1と同様の条件で処理して、オフセット印刷インキを製造した。
上記実施例1を基本として、添加剤の種類並びに含有量を図1に示す通りに変更し(或は、比較例8では添加剤を含有せず)、それ以外は実施例1と同様の条件で処理して、オフセット印刷インキを製造した。
《オフセット印刷インキの評価試験例》
次いで、上記実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた各オフセット印刷インキについて、下記に示す各種インキ特性試験を行った。
(1)タック
インコメーター(東洋精機(株)製)を使用して、インキ量1.3cc、ローラー温度30℃、回転数400rpmの条件で、1分後の値を測定した。
(2)フロー60s
離合社(株)のスプレッドメーターによるインキの拡がり(直径:mm)を測定した。
(3)光沢性
インキ0.3mLを使用して、(株)明製作所製のRIテスター2分割ロールにてコート紙に展色したのち、160℃で6秒間乾燥し、展色試料を作製した。
光沢性は、展色試料を24時間放置したのち、村上色彩技術研究所製の光沢計(入射角/反射角=60°/60°)で測定した。
(4)保存安定性
オフセット印刷インキを50℃の乾燥機内に1週間保存し、コーンプレート型粘度計で25℃における粘度を測定し、下式(a)により試験開始前・後での粘度変化率を算出して、保存安定性の優劣を評価した。
粘度変化率(%)=(1週間後の粘度−初期粘度)/初期粘度 …(a)
(5)乳化性
リソトロニック乳化試験機(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25gのオフセット印刷インキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが飽和した時点での水分量を測定した。
尚、インキが過乳化するとインキの凝集力が小さくなるため、汚れ、ブランケットパイリングなどの不具合が発生し易くなる。従って、このような不具合を防止する見地から、最大乳化率は概ね10〜50%の範囲が好ましい。
次いで、上記実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた各オフセット印刷インキについて、下記に示す各種インキ特性試験を行った。
(1)タック
インコメーター(東洋精機(株)製)を使用して、インキ量1.3cc、ローラー温度30℃、回転数400rpmの条件で、1分後の値を測定した。
(2)フロー60s
離合社(株)のスプレッドメーターによるインキの拡がり(直径:mm)を測定した。
(3)光沢性
インキ0.3mLを使用して、(株)明製作所製のRIテスター2分割ロールにてコート紙に展色したのち、160℃で6秒間乾燥し、展色試料を作製した。
光沢性は、展色試料を24時間放置したのち、村上色彩技術研究所製の光沢計(入射角/反射角=60°/60°)で測定した。
(4)保存安定性
オフセット印刷インキを50℃の乾燥機内に1週間保存し、コーンプレート型粘度計で25℃における粘度を測定し、下式(a)により試験開始前・後での粘度変化率を算出して、保存安定性の優劣を評価した。
粘度変化率(%)=(1週間後の粘度−初期粘度)/初期粘度 …(a)
(5)乳化性
リソトロニック乳化試験機(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25gのオフセット印刷インキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが飽和した時点での水分量を測定した。
尚、インキが過乳化するとインキの凝集力が小さくなるため、汚れ、ブランケットパイリングなどの不具合が発生し易くなる。従って、このような不具合を防止する見地から、最大乳化率は概ね10〜50%の範囲が好ましい。
図1Bは光沢性、保存安定性及び乳化性の試験結果である。
添加物を含有しない標準的な従来型のオフセット印刷インキである比較例8に比べて、実施例1〜8では共に光沢値が適正に増し、粘度変化率並びに最大乳化率は良好に減少していることから、光沢性、保存安定性及び乳化性が大幅に向上していることが確認できた。
また、DPEと安息香酸とのエステル化物を用いた比較例1〜2、或はDPEと分岐脂肪酸とのエステル化物を用いた比較例3〜4を実施例1〜8に対比すると、比較例1〜4に比べて実施例1〜8の光沢値、粘度変化率及び最大乳化率が夫々改善していることから、光沢性、保存安定性及び乳化性の向上には、いずれか一方の酸だけではなく、安息香酸と分岐脂肪酸を併せてDPEにエステル反応させることの重要性が確認できた。
さらに、前述したように、安息香酸及び分岐脂肪酸とエステル反応させる相手方がDPEである実施例1〜8では、添加物を含まない比較例8に比べて光沢性、保存安定性及び乳化性は大幅に改善しているのに対して、安息香酸及び分岐脂肪酸とエステル反応させる相手方がペンタエリスリトールである比較例5〜6(冒述の特許文献1の準拠例)では、ある程度の改善にとどまっていることから、光沢性、保存安定性並びに乳化性を向上する点で、ジペンタエリスリトールを用いた実施例1〜8の比較例5〜6に対する優位性は明らかである。
添加物を含有しない標準的な従来型のオフセット印刷インキである比較例8に比べて、実施例1〜8では共に光沢値が適正に増し、粘度変化率並びに最大乳化率は良好に減少していることから、光沢性、保存安定性及び乳化性が大幅に向上していることが確認できた。
また、DPEと安息香酸とのエステル化物を用いた比較例1〜2、或はDPEと分岐脂肪酸とのエステル化物を用いた比較例3〜4を実施例1〜8に対比すると、比較例1〜4に比べて実施例1〜8の光沢値、粘度変化率及び最大乳化率が夫々改善していることから、光沢性、保存安定性及び乳化性の向上には、いずれか一方の酸だけではなく、安息香酸と分岐脂肪酸を併せてDPEにエステル反応させることの重要性が確認できた。
さらに、前述したように、安息香酸及び分岐脂肪酸とエステル反応させる相手方がDPEである実施例1〜8では、添加物を含まない比較例8に比べて光沢性、保存安定性及び乳化性は大幅に改善しているのに対して、安息香酸及び分岐脂肪酸とエステル反応させる相手方がペンタエリスリトールである比較例5〜6(冒述の特許文献1の準拠例)では、ある程度の改善にとどまっていることから、光沢性、保存安定性並びに乳化性を向上する点で、ジペンタエリスリトールを用いた実施例1〜8の比較例5〜6に対する優位性は明らかである。
一方、共に添加剤の含有量が3%である実施例2と比較例6(上記特許文献1の準拠例)では、実施例2の光沢値が60であるのに対して比較例6では50である(この実施例2での「10」に及ぶ光沢値の増加は、インキ特性において顕著な改善といえる)。従って、比較例6と同種の添加剤(比較合成例3)を用いた場合であっても、実施例2と同様の水準に光沢値を改善するために、図1Aに示すように、比較合成例3を増量したものを新たに比較例7とした(比較例6(光沢値:50、添加量:3%)→比較例7(光沢値:62、添加量:11%))。
そこで、この比較例7を実施例2に対比すると、保存安定性や乳化性は実施例2の方が比較例7より優れているうえ、比較例7ではインキのタックやフローが添加剤を含まない比較例8に比べても劣っていることが分かる。
即ち、冒述した通り、特許文献1の添加剤にあっては、光沢性などを向上するために使用量を増す必要があり、その結果、インキのタックやフローが過度に上昇してしまうという不具合が起きるが、本発明の添加剤ではこのような不具合を招くことなく光沢性などを向上できることが裏付けられた。
そこで、この比較例7を実施例2に対比すると、保存安定性や乳化性は実施例2の方が比較例7より優れているうえ、比較例7ではインキのタックやフローが添加剤を含まない比較例8に比べても劣っていることが分かる。
即ち、冒述した通り、特許文献1の添加剤にあっては、光沢性などを向上するために使用量を増す必要があり、その結果、インキのタックやフローが過度に上昇してしまうという不具合が起きるが、本発明の添加剤ではこのような不具合を招くことなく光沢性などを向上できることが裏付けられた。
そこで、実施例1〜8を詳細に説明する。
同じ合成例の添加剤を含む一群の実施例を見ると、例えば、添加量が3%の実施例2では従来の比較例8から光沢性、保存安定性及び乳化性は大幅に向上しているが、同1%の実施例1についても比較例8に対して顕著な向上が認められるうえ、同3%を添加した比較例6(冒述の特許文献1の準拠例)と対比しても明らかに向上していることから、本発明の印刷インキ用添加剤は少量の含有で光沢性、保存安定性及び乳化性を有効に向上できることが確認できた。
また、DPEの6個の水酸基のうち、3個づつを安息香酸及び分岐脂肪酸と反応させたフルエステル化物を用いた実施例1〜2では、他の実施例3〜8に比べて、光沢性、保存安定性及び乳化性を向上する点で優位性が認められた。
但し、安息香酸及び分岐脂肪酸とのエステル結合数が変化しても(実施例3〜6)、或は分岐脂肪酸の種類が変化しても(実施例7〜8)、光沢性、保存安定性及び乳化性を向上できる有効性に変わりのないことは、比較例1〜8との対比によって明確に裏付けられた。
同じ合成例の添加剤を含む一群の実施例を見ると、例えば、添加量が3%の実施例2では従来の比較例8から光沢性、保存安定性及び乳化性は大幅に向上しているが、同1%の実施例1についても比較例8に対して顕著な向上が認められるうえ、同3%を添加した比較例6(冒述の特許文献1の準拠例)と対比しても明らかに向上していることから、本発明の印刷インキ用添加剤は少量の含有で光沢性、保存安定性及び乳化性を有効に向上できることが確認できた。
また、DPEの6個の水酸基のうち、3個づつを安息香酸及び分岐脂肪酸と反応させたフルエステル化物を用いた実施例1〜2では、他の実施例3〜8に比べて、光沢性、保存安定性及び乳化性を向上する点で優位性が認められた。
但し、安息香酸及び分岐脂肪酸とのエステル結合数が変化しても(実施例3〜6)、或は分岐脂肪酸の種類が変化しても(実施例7〜8)、光沢性、保存安定性及び乳化性を向上できる有効性に変わりのないことは、比較例1〜8との対比によって明確に裏付けられた。
Claims (6)
- ジペンタエリスリトールと、安息香酸及びC8〜C18の分岐脂肪酸の両成分とを反応させ、
ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸とのエステル結合数が1〜5個であり、且つ、上記分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜5個であるエステル化物を有効成分とする印刷インキ用添加剤。 - 請求項1に記載のエステル化物が、ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸類とのエステル結合数が3〜5個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数が1〜3個である生成物からなることを特徴とする印刷インキ用添加剤。
- 請求項2に記載のエステル化物が、ジペンタエリスリトールの分子内の水酸基6個のうち、上記安息香酸類とのエステル結合数が3個であり、且つ、分岐脂肪酸とのエステル結合数が3個である生成物からなることを特徴とする印刷インキ用添加剤。
- C8〜C18分岐脂肪酸が2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷インキ用添加剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の添加剤を含有する事を特徴とする印刷インキ。
- 印刷インキ全量に対する添加剤の含有量が0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項5に記載の印刷インキ。
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JP2007249227A JP2009079122A (ja) | 2007-09-26 | 2007-09-26 | 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ |
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JP2007249227A Pending JP2009079122A (ja) | 2007-09-26 | 2007-09-26 | 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106699593A (zh) * | 2016-12-30 | 2017-05-24 | 浙江浩川科技有限公司 | 一种松香衍生物及其制备方法和用途 |
-
2007
- 2007-09-26 JP JP2007249227A patent/JP2009079122A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106699593A (zh) * | 2016-12-30 | 2017-05-24 | 浙江浩川科技有限公司 | 一种松香衍生物及其制备方法和用途 |
CN106699593B (zh) * | 2016-12-30 | 2018-05-04 | 浙江浩川科技有限公司 | 一种松香衍生物及其制备方法和用途 |
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