JP2013185076A - 印刷インキ組成物用樹脂、印刷インキ組成物、及び印刷インキ組成物用樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロジン変性フェノール樹脂に替えて使用することが可能であり、好適な粘度や顔料分散性を備えた、印刷インキ組成物を調製するための新規な樹脂を提供すること。
【解決手段】酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる印刷インキ組成物用樹脂を使用する。この際、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量となる割合で多価アルコールを使用することや、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量となる割合で一塩基脂肪酸を使用することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる印刷インキ組成物用樹脂を使用する。この際、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量となる割合で多価アルコールを使用することや、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量となる割合で一塩基脂肪酸を使用することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、印刷インキ組成物用樹脂、当該樹脂を使用した印刷インキ組成物、及び印刷インキ組成物用樹脂の製造方法に関する。
オフセット印刷は、油性である印刷インキ組成物が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備える印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とした印刷方式である。この印刷版は、凹凸の代わりに親油性の画像部と親水性の非画像部とを備え、印刷に際して、まず、印刷版に供給された湿し水によって非画像部が湿潤される。すると、油性である印刷インキ組成物が印刷版に供給された際に、当該印刷インキ組成物は、湿し水で湿潤されて水分を帯びた非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面に印刷インキ組成物による画像が形成され、その印刷インキ組成物による画像がブランケット及び紙に順次転移することにより印刷が行われる。
上記オフセット印刷方式は、印刷版の作製が比較的簡単でありながら、高い美粧性を備えた印刷物を得たり、大量の印刷物を短時間で得たりする分野に適するという特性を備える。そこで、オフセット印刷方式は、パンフレット、ポスター、カレンダー等といった高い美粧性が要求される分野から、新聞、雑誌、電話帳等といった高速かつ大量に印刷されることが要求される分野まで広く利用されている。
ところで、オフセット印刷で使用される印刷インキ組成物では、印刷インキ組成物に着色力を与える成分となる顔料を分散させ、また当該顔料を印刷後の紙面に固定させるために、バインダーと呼ばれる樹脂成分が含まれている。このバインダーとして使用される樹脂としては、天然物であるロジンをフェノール樹脂で変性したロジン変性フェノール樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。このロジン変性フェノール樹脂は、樹脂骨格中にロジンを含むため、顔料との濡れ性が高く、顔料を均一に分散させやすいという特徴を備える。このため、ロジン変性フェノール樹脂は、印刷インキ組成物において主要原料の一つとして多用されている。
しかしながら、上記のように、ロジン変性フェノール樹脂は、天然物であるロジンを含むため、気候や需給の変化等に伴う価格の変動を比較的受けやすい材料ともいうことができる。印刷インキ組成物のような工業製品において、その主要原料の一つである成分がこのように価格の変動を受けやすいということは、コスト管理の面で大きな問題となる。
また、ロジン変性フェノール樹脂の骨格成分となるフェノール樹脂(正確にはレゾールと呼ばれるものである。)は、その合成においてホルムアルデヒドを架橋剤として使用する。このホルムアルデヒドは、フェノール樹脂の合成の際に完全に消費されればフェノール樹脂の骨格に組み込まれて無害なものとなるが、未反応のものがフェノール樹脂、ひいてはロジン変性フェノール樹脂に含まれたならば、印刷インキ組成物中に含まれることになる。ホルムアルデヒドは、人体にとって有害であり、シックハウス症候群等の問題を引き起こす原因物質になり得ると考えられている。幸いなことに、ロジン変性フェノール樹脂に残留するホルムアルデヒドの量は、人体や環境に影響を与える心配の全く無い程度に抑制されてはいるが、ロジン変性フェノール樹脂の使用量を極限まで抑えることができるのであればそれに越したことはない。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ロジン変性フェノール樹脂に替えて使用することが可能であり、好適な粘度や顔料分散性を備えた、印刷インキ組成物を調製するための新規な樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させることにより、印刷インキ組成物を調製するのに適した樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明は、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる印刷インキ組成物用樹脂である。
上記酸変性石油樹脂及び上記一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、上記多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量となる割合で上記多価アルコールを使用することが好ましい。
上記酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、上記一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量となる割合で上記一塩基脂肪酸を使用することが好ましい。
上記一塩基脂肪酸は、炭素数9〜40の一塩基脂肪酸であることが好ましい。
また、本発明は、上記の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物でもある。
本発明によれば、ロジン変性フェノール樹脂に替えて使用することが可能であり、好適な粘度や顔料分散性を備えた、印刷インキ組成物を調製するための新規な樹脂が提供される。
以下、本発明の印刷インキ組成物用樹脂及び印刷インキ組成物の一実施形態について説明する。
<印刷インキ組成物用樹脂>
本発明の印刷インキ組成物用樹脂は、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる。この加熱反応において、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれるカルボキシル基と、多価アルコールに含まれる水酸基とがエステル化反応を生じ、酸変性石油樹脂が架橋される。この反応により得られる樹脂は、もとの酸変性石油樹脂よりも大きな分子量を有し、一塩基脂肪酸に由来する脂肪鎖を備える。これにより、当該樹脂は、印刷インキ組成物におけるバインダー樹脂として使用した際に、印刷インキ組成物に適度な粘度を付与するとともに、良好な溶解性や顔料分散性を発揮する。以下、加熱反応に供される各成分について説明する。なお、本発明における印刷インキ組成物用「樹脂」には、樹脂と他の成分とを組み合わせてなる「樹脂組成物」も含まれる。
本発明の印刷インキ組成物用樹脂は、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる。この加熱反応において、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれるカルボキシル基と、多価アルコールに含まれる水酸基とがエステル化反応を生じ、酸変性石油樹脂が架橋される。この反応により得られる樹脂は、もとの酸変性石油樹脂よりも大きな分子量を有し、一塩基脂肪酸に由来する脂肪鎖を備える。これにより、当該樹脂は、印刷インキ組成物におけるバインダー樹脂として使用した際に、印刷インキ組成物に適度な粘度を付与するとともに、良好な溶解性や顔料分散性を発揮する。以下、加熱反応に供される各成分について説明する。なお、本発明における印刷インキ組成物用「樹脂」には、樹脂と他の成分とを組み合わせてなる「樹脂組成物」も含まれる。
[酸変性石油樹脂]
本発明で使用される酸変性石油樹脂は、例えば印刷インキ組成物、ゴム配合剤、粘着テープ用の粘着剤等の分野で使用されている石油樹脂に、カルボキシル基等の酸性置換基が導入されたものである。石油樹脂は、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン、ブタジエン等の有用な化合物を得た後に残るC4−C5留分やC5−C9留分を混合状態のまま重合させて得られる樹脂である。この樹脂は、側鎖に多くの二重結合を含み、例えば、オレフィン化合物であるカルボン酸無水物や不飽和カルボン酸とともに加熱するとディールスアルダー反応やアルダーエン反応等によりカルボキシル基が導入され、容易に酸変性される。石油樹脂としては、主としてインデン、スチレン、ビニルトルエン等が共重合した芳香族系石油樹脂、イソプレン、ピペリレン、ペンテン、ペンタジエン等が共重合した脂肪族系石油樹脂、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が共重合した脂環族系石油樹脂等が挙げられる。本発明では、いずれの石油樹脂を酸変性させたものを使用してもよいが、芳香族系石油樹脂を酸変性させたものを使用することが好ましい。
本発明で使用される酸変性石油樹脂は、例えば印刷インキ組成物、ゴム配合剤、粘着テープ用の粘着剤等の分野で使用されている石油樹脂に、カルボキシル基等の酸性置換基が導入されたものである。石油樹脂は、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン、ブタジエン等の有用な化合物を得た後に残るC4−C5留分やC5−C9留分を混合状態のまま重合させて得られる樹脂である。この樹脂は、側鎖に多くの二重結合を含み、例えば、オレフィン化合物であるカルボン酸無水物や不飽和カルボン酸とともに加熱するとディールスアルダー反応やアルダーエン反応等によりカルボキシル基が導入され、容易に酸変性される。石油樹脂としては、主としてインデン、スチレン、ビニルトルエン等が共重合した芳香族系石油樹脂、イソプレン、ピペリレン、ペンテン、ペンタジエン等が共重合した脂肪族系石油樹脂、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が共重合した脂環族系石油樹脂等が挙げられる。本発明では、いずれの石油樹脂を酸変性させたものを使用してもよいが、芳香族系石油樹脂を酸変性させたものを使用することが好ましい。
石油樹脂を酸変性させる際に石油樹脂とともに反応させる化合物としては、この分野の化学反応で一般に使用されるものを特に制限無く挙げることができる。このような化合物としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、1,2,3,4−テトラブタンカルボン酸二無水物、シトラコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無視物等のカルボン酸無水物や、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノオクチル、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸を例示することができる。
酸変性石油樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは1000〜10000程度を挙げることができ、より好ましくは1500〜5000程度を挙げることができ、最も好ましくは2000〜4500程度を挙げることができる。酸変性石油樹脂の重量平均分子量が上記の範囲であれば、印刷インキ組成物用樹脂を使用して印刷インキ組成物を調製した際に好ましい粘度とすることができる。
酸変性石油樹脂の有する酸価としては、好ましくは10〜50mgKOH/gを挙げることができ、より好ましくは15〜45mgKOH/gを挙げることができ、最も好ましくは20〜40mgKOH/gを挙げることができる。酸変性石油樹脂の有する酸価が10mgKOH/g以上であれば、合成される印刷インキ組成物用樹脂の架橋を進めることができ、適切な分子量とすることができるので好ましく、酸変性石油樹脂の有する酸価が50mgKOH/g以下であれば、合成される印刷インキ組成物用樹脂の溶解性を十分なものとすることができるので好ましい。
酸変性石油樹脂は、市販の石油樹脂にカルボン酸無水物、不飽和カルボン酸等を反応させて得てもよいし、市販のものを購入してもよい。市販の酸変性石油樹脂としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のネオポリマー160等を例示することができる。
[一塩基脂肪酸]
一塩基脂肪酸は、後述する多価アルコールとともにエステル化合物を形成する。その後、このエステル化合物における残りの水酸基が酸変性石油樹脂のカルボキシル基とエステル結合を形成することで、酸変性石油樹脂に一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖が導入される。これにより、本発明の印刷インキ組成物用樹脂は、脂肪鎖を備えることとなる。印刷インキ組成物用樹脂に導入された脂肪鎖は、印刷インキ組成物用樹脂に溶解性や顔料に対する濡れ性を付与することに寄与する。なお、まず、後述する多価アルコールが酸変性石油樹脂のカルボキシル基とエステル結合を形成して酸変性石油樹脂に導入され、その後、当該多価アルコールにおける残りの水酸基が一塩基脂肪酸とエステル結合を形成することも考えられる。この場合においても、一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖が酸変性石油樹脂に導入されることに変わりはない。
一塩基脂肪酸は、後述する多価アルコールとともにエステル化合物を形成する。その後、このエステル化合物における残りの水酸基が酸変性石油樹脂のカルボキシル基とエステル結合を形成することで、酸変性石油樹脂に一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖が導入される。これにより、本発明の印刷インキ組成物用樹脂は、脂肪鎖を備えることとなる。印刷インキ組成物用樹脂に導入された脂肪鎖は、印刷インキ組成物用樹脂に溶解性や顔料に対する濡れ性を付与することに寄与する。なお、まず、後述する多価アルコールが酸変性石油樹脂のカルボキシル基とエステル結合を形成して酸変性石油樹脂に導入され、その後、当該多価アルコールにおける残りの水酸基が一塩基脂肪酸とエステル結合を形成することも考えられる。この場合においても、一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖が酸変性石油樹脂に導入されることに変わりはない。
このような脂肪酸としては、大豆油由来の脂肪酸や亜麻仁油由来の脂肪酸を好ましく例示することができる。なお、本発明で使用される一塩基脂肪酸の代わりに多塩基脂肪酸を使用すると、得られる印刷インキ組成物用樹脂の溶解性が十分でなくなる。その理由は、必ずしも明らかでないが、複数のカルボキシル基を備えた多塩基脂肪酸が、後述する多価アルコールとともに架橋剤として振る舞う結果、樹脂の架橋の程度が大きくなりすぎてしまうためと考えられる。その点、一塩基脂肪酸であれば、カルボキシル基が一分子中に一つしか存在しないので、架橋剤として振舞うのは後述する多価アルコールのみとなる。これにより、樹脂の架橋の程度を適切なものとすることができるので、印刷インキ組成物用樹脂の溶解性を十分なものにできる。
酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び後述の多価アルコールを加熱反応させる際、一塩基脂肪酸は、上述の酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量となる割合で添加されることが好ましい。加熱反応の際にこのような割合で一塩基脂肪酸が添加されることで、得られた印刷インキ組成物用樹脂を使用して調製した印刷インキ組成物において、ミスチングの抑制と、印刷物の良好な光沢とを両立させることが可能になる。一塩基脂肪酸の添加量は、上述の酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.8〜3.0当量となる割合とすることがより好ましく、1.2〜2.0当量となる割合とすることが最も好ましい。
また、一塩基脂肪酸は、一分子中に含まれる炭素数が9〜40の範囲であることが好ましい。一塩基脂肪酸の一分子中に含まれる炭素数が上記範囲であることにより、得られる印刷インキ組成物用樹脂の溶解性や顔料に対する濡れ性を良好なものとすることができる。一塩基脂肪酸の一分子中に含まれる炭素数は、12〜30の範囲であることがより好ましく、15〜25の範囲であることが最も好ましい。なお、一塩基脂肪酸は、直鎖状の分子であってもよいし、分岐鎖状の分子であってもよいし、環状の分子であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
なお、樹脂の架橋度を調節するために、上記一塩基脂肪酸に加えて少量の多塩基脂肪酸を併用してもよい。また、上記一塩基脂肪酸は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基の当量数は、酸変性石油樹脂の酸価(mgKOH/g)及び酸変性石油樹脂の質量から算出でき、例えば、酸変性石油樹脂の酸価をA(mgKOH/g)とし、酸変性石油樹脂の質量をM(g)とした場合、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基の当量数は、(A×M)/(56×1000)となる。また、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基の当量数は、先と同様に一塩基脂肪酸の酸価及び一塩基脂肪酸の質量から算出することも可能であるし、一塩基脂肪酸の質量から当該質量に含まれる一塩基脂肪酸のモル数を算出し、そのモル数を当量数とすることもできる。
[多価アルコール]
多価アルコールは、一分子中に二以上の水酸基を有する化合物であり、エステル反応によって、上述の酸変性石油樹脂同士を架橋したり、酸変性石油樹脂に上述の一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖を導入したりするために用いられる。
多価アルコールは、一分子中に二以上の水酸基を有する化合物であり、エステル反応によって、上述の酸変性石油樹脂同士を架橋したり、酸変性石油樹脂に上述の一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖を導入したりするために用いられる。
多価アルコールは、一分子中に複数の水酸基を有するものであれば特に限定されない。このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール(ブタンジオール)、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール(C(CH2OH)4)、ジペンタエリスリトール、D−ソルビトール(D−グルシトール)等の鎖状の多価アルコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−ジメチロールシクロヘキサン)等の脂環式の多価アルコール等が挙げられる。多価アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させる際、多価アルコールは、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量となる割合で添加されることが好ましい。加熱反応の際にこのような割合で多価アルコールが添加されることで、得られた印刷インキ組成物用樹脂を使用して調製した印刷インキ組成物において、ミスチングの抑制と、印刷物の良好な光沢と、良好な乳化適性とを並立させることが可能となる。多価アルコールの添加量は、上述の酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜1.5当量となる割合とすることがより好ましく、0.9〜1.2当量となる割合とすることが最も好ましい。
なお、多価アルコールに含まれる水酸基の当量数は、多価アルコールの質量から当該質量中のモル数を算出し、そのモル数に多価アルコール一分子中の水酸基数(すなわち価数)を乗じて算出できる。
上記のように、多価アルコールは、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれるカルボキシル基とエステル化反応をすることにより、酸変性石油樹脂同士を架橋するとともに、多価アルコールとエステル化反応をした酸変性石油樹脂に一塩基脂肪酸由来の脂肪鎖を導入する。このような観点からは、多価アルコールとしては、水酸基を2個有するジオール化合物のみでなく、水酸基を3個以上有するものを用いることが好ましい。これにより、一分子の多価アルコールが酸変性石油樹脂に対する架橋と脂肪鎖の導入とに寄与できるので、より好ましい結果が得られる。
[加熱反応]
上述の酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを混合し、加熱して反応させることにより、印刷インキ組成物用樹脂が調製される。これらは、全てを同時に混合した後に加熱して反応を開始させてもよいし、先にいずれかの二種を混合した後に加熱して反応を開始させた後に、残りの一種を反応混合物に添加し加熱して反応させてもよい。後者の場合、先に反応させる成分の組み合わせとして、酸変性石油樹脂及び多価アルコールの組み合わせ、又は一塩基脂肪酸及び多価アルコールの組み合わせを挙げることができる。
上述の酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを混合し、加熱して反応させることにより、印刷インキ組成物用樹脂が調製される。これらは、全てを同時に混合した後に加熱して反応を開始させてもよいし、先にいずれかの二種を混合した後に加熱して反応を開始させた後に、残りの一種を反応混合物に添加し加熱して反応させてもよい。後者の場合、先に反応させる成分の組み合わせとして、酸変性石油樹脂及び多価アルコールの組み合わせ、又は一塩基脂肪酸及び多価アルコールの組み合わせを挙げることができる。
加熱して反応させるに際して、公知のエステル化触媒を添加してもよい。このようなエステル化触媒として、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン酸、硫酸等の酸触媒;水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ触媒;酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム等の二価金属化合物等を例示することができる。
反応させる際の温度としては、用いる原料及びその組成に応じて適宜選択すればよいが、一般には、100〜290℃の範囲で選択することが好ましく、200〜270℃の範囲で選択することがより好ましい。また、反応時間としては、用いる原料及びその組成に応じて適宜選択すればよいが、一般には、2〜20時間の範囲で選択することが好ましく、3〜10時間の範囲で選択すればよい。
上記加熱反応によって得られた印刷インキ組成物用樹脂は、そのまま冷却させて固形又は液状の樹脂として得てもよいし、印刷インキ組成物に対して一般的に使用される植物油や鉱物油を加えて混合しワニスとして得てもよい。
なお、加熱して反応させるに際して、反応中における泡の発生を抑制するために、シリコン系化合物等の消泡剤を添加してもよい。また、加熱して反応させるに際して、粘度を調節したり、反応によって得られた印刷インキ組成物用樹脂のハンドリング性を向上させたりする目的で、鉱物油のような油成分を共存させてもよい。このような油成分としては、印刷インキ組成物に対して一般的に使用されるものを挙げることができ、一例として、0号ソルベント(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、AFソルベント(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、テレピン油等を挙げることができる。また、油成分として植物油を使用することも可能ではあるが、植物油を使用すると、植物油と多価アルコールとの間でエステル交換反応が生じ、新たに一塩基脂肪酸を生じる場合があるので、注意が必要である。
また、上記加熱反応によって得られた印刷インキ組成物用樹脂に対して、本発明の目的を逸脱しない範囲で、従来から知られている他の樹脂を添加して複合型樹脂組成物としてもよい。このような樹脂としては、ロジン重合体、ダイマー酸、多価アルコールのエステル、ロジン類のエステル、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。なお、ロジン変性フェノール樹脂には、上述のように、ごく少量のホルムアルデヒドが含まれ得るが、本発明の印刷インキ組成物用樹脂が使用されることによってロジン変性フェノール樹脂の使用量が減ることになるので、本発明の効果は得られることになる。
<印刷インキ組成物>
上述の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物も本発明の一つである。上述の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物は、乳化適性、印刷物の光沢性、低ミスチング性等に優れ、オフセット印刷に好ましく適用される。
上述の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物も本発明の一つである。上述の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物は、乳化適性、印刷物の光沢性、低ミスチング性等に優れ、オフセット印刷に好ましく適用される。
印刷インキ組成物は、上述の本発明に係る印刷インキ組成物用樹脂、顔料成分、油成分等の成分を公知の手段によって混練して調製される。
上述の本発明に係る印刷インキ組成物用樹脂は、後述の油成分と適宜混合されて、ワニスの状態とされて使用される。本発明に係る印刷インキ組成物用樹脂の添加量としては、印刷インキ組成物全体に対して5〜40質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
なお、本発明に係る印刷インキ組成物用樹脂は、キレート化合物や金属石けん類等により、その一部又は全部をゲル化された上で使用されてもよい。
上述の通り、本発明に係る印刷インキ組成物用樹脂は、顔料に対する優れた濡れ性を備えるので、ロジン変性フェノール樹脂を主成分とするこれまでの印刷インキ組成物と同様の顔料成分を使用することができる。このような顔料成分としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、カーボンブラック等の黒色顔料等の着色顔料が例示される。着色顔料の添加量としては、印刷インキ組成物全体に対して8〜30質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
また、必要に応じ、上記着色顔料に加えて、クレー、タルク、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタン等の無色顔料を顔料成分として用いてもよい。これらの無色顔料は、体質顔料とも呼ばれ、印刷インキ組成物における粘度等といった特性を調節するために好ましく使用される。無色顔料の添加量としては、印刷インキ組成物全体に対して0〜33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
油成分としては、植物油及び鉱物油を挙げることができる。植物油としては、大豆油、綿実油、亜麻仁油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油等の乾性油や半乾性油等が例示される。なお、印刷後に、印刷物上で乾性油や半乾性油を重合させて印刷インキ組成物を乾燥させる印刷方式が採用される場合、ナフテン酸マンガン溶液等の重合触媒を適量添加してもよい
鉱物油としては、従来のロジン変性フェノール樹脂を主成分とした印刷インキ組成物にて使用されていたものを特に制限無く挙げることができる。このような鉱物油としては、0号ソルベント、0号ソルベントS、0号ソルベントH、AFソルベント4〜7号(以上、JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等を挙げることができる。
油成分の添加量としては20〜80質量%を例示することができるが、印刷インキ組成物に求められる粘度等といった特性を考慮して適宜設定すればよい。
本発明の印刷インキ組成物には、印刷性能を向上させる等の観点から、必要に応じて上記の他に各種成分を添加することができる。このような各種成分としては、脂肪酸エステル、界面活性剤、リン酸塩等の塩類、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、アルコール類、酸化防止剤等が例示される。
<印刷インキ組成物用樹脂の製造方法>
上記印刷インキ組成物用樹脂の製造方法も本発明の一つである。この製造方法は、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させる工程を含む。これについては、既に説明した通りであるので、ここでの説明を割愛する。なお、上述のように、この工程は、全ての材料を混合した後に加熱するような一の工程としてなされてもよいし、先にいずれかの二種を混合した後に加熱して反応を開始させた後に、残りの一種を反応混合物に添加し加熱するような二の工程としてなされてもよい。
上記印刷インキ組成物用樹脂の製造方法も本発明の一つである。この製造方法は、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させる工程を含む。これについては、既に説明した通りであるので、ここでの説明を割愛する。なお、上述のように、この工程は、全ての材料を混合した後に加熱するような一の工程としてなされてもよいし、先にいずれかの二種を混合した後に加熱して反応を開始させた後に、残りの一種を反応混合物に添加し加熱するような二の工程としてなされてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
[試験樹脂1]
反応容器中に、市販の酸変性石油樹脂であるネオポリマー160(JX日鉱日石エネルギー株式会社製、平均分子量3500、酸価32mgKOH/g)を760g、一塩基脂肪酸である大豆油脂肪酸(酸価200mgKOH/g)を200g、及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂1を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
反応容器中に、市販の酸変性石油樹脂であるネオポリマー160(JX日鉱日石エネルギー株式会社製、平均分子量3500、酸価32mgKOH/g)を760g、一塩基脂肪酸である大豆油脂肪酸(酸価200mgKOH/g)を200g、及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂1を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
[試験樹脂2]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを64g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂2を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.09(式;64×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを64g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂2を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.09(式;64×3/92)である。
[試験樹脂3]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを32g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂3を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.04(式;32×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを32g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂3を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.04(式;32×3/92)である。
[試験樹脂4]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を386g、及びグリセリンを65g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂4を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は1.38(式;200×386/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.12(式;65×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を386g、及びグリセリンを65g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂4を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は1.38(式;200×386/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.12(式;65×3/92)である。
[試験樹脂5]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を92g、及びグリセリンを26g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂5を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.329(式;200×92/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.848(式;26×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を92g、及びグリセリンを26g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂5を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.329(式;200×92/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.848(式;26×3/92)である。
[試験樹脂6]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びペンタエリスリトールを37g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が275℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂6を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、ペンタエリスリトールに含まれる水酸基の当量数は1.09(式;37×4/136)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びペンタエリスリトールを37g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が275℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂6を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、ペンタエリスリトールに含まれる水酸基の当量数は1.09(式;37×4/136)である。
[試験樹脂7]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、一塩基脂肪酸である亜麻仁油脂肪酸(酸価202mgKOH/g)を200g、及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂7を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、亜麻仁油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.721(式;202×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、一塩基脂肪酸である亜麻仁油脂肪酸(酸価202mgKOH/g)を200g、及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂7を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、亜麻仁油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.721(式;202×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
[試験樹脂8]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、グリセリンを40g、及びエステル化触媒として水酸化カルシウムを2g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂8を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、グリセリンを40g、及びエステル化触媒として水酸化カルシウムを2g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂8を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
[試験樹脂9]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、2時間この温度で反応させた。その後、大豆油脂肪酸を200g反応容器中に加え、均一に混合し、260℃にてさらに6時間反応させて試験樹脂9を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、2時間この温度で反応させた。その後、大豆油脂肪酸を200g反応容器中に加え、均一に混合し、260℃にてさらに6時間反応させて試験樹脂9を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
[試験樹脂10]
反応容器中に、大豆油脂肪酸を200g及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、2時間この温度で反応させた。その後、上記ネオポリマー160を760g反応容器中に加え、均一に混合し、260℃にてさらに6時間反応させて試験樹脂10を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
反応容器中に、大豆油脂肪酸を200g及びグリセリンを40g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、2時間この温度で反応させた。その後、上記ネオポリマー160を760g反応容器中に加え、均一に混合し、260℃にてさらに6時間反応させて試験樹脂10を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は1.30(式;40×3/92)である。
[試験樹脂11]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを78g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂11を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.54(式;78×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを78g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂11を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.54(式;78×3/92)である。
[試験樹脂12]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを21g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂12を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.685(式;21×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を200g、及びグリセリンを21g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂12を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.714(式;200×200/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.685(式;21×3/92)である。
[試験樹脂13]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を450g、及びグリセリンを72g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂13を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は1.61(式;200×450/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.35(式;72×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を450g、及びグリセリンを72g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂13を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は1.61(式;200×450/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は2.35(式;72×3/92)である。
[試験樹脂14]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を19g、及びグリセリンを26g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂14を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.0679(式;200×19/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.848(式;26×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、大豆油脂肪酸を19g、及びグリセリンを26g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が260℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて試験樹脂14を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、大豆油脂肪酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.0679(式;200×19/56000)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.848(式;26×3/92)である。
[比較樹脂1]
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、脂肪族二塩基酸であるセバシン酸を30g、及びグリセリンを23g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が275℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて比較樹脂1を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、セバシン酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.297(式;30×2/202)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.750(式;23×3/92)である。
反応容器中に、上記ネオポリマー160を760g、脂肪族二塩基酸であるセバシン酸を30g、及びグリセリンを23g加え、均一に混合した。この反応容器を内容物が275℃になるように加熱し、6時間この温度で反応させて比較樹脂1を得た。この反応に使用した酸変性石油樹脂に含まれるカルボキシル基の当量数は0.434(式;32×760/56000)であり、セバシン酸に含まれるカルボキシル基の当量数は0.297(式;30×2/202)であり、グリセリンに含まれる水酸基の当量数は0.750(式;23×3/92)である。
得られた試験樹脂1〜14及び比較樹脂1のそれぞれについて、酸価及び重量平均分子量を測定した。なお、酸価は、樹脂1.5gをトルエン/エタノール=2/1(体積比)溶液に溶解させた上でフェノールフタレイン溶液を数滴加え、次いで得られた溶液に対して0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液をビュレットから滴定し、滴定終了までに要した水酸化カリウム溶液の量から算出した。また、重量平均分子量として、GPCによりポリスチレン換算の分子量を求めた。その結果を表1に示す。また、表1にて、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸若しくは脂肪族二塩基酸に含まれる酸性置換基(カルボキシル基)1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基の当量数([OH]/[COOH])、並びに酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基(カルボキシル基)1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基(カルボキシル基)の当量数([脂肪COOH]/[石油COOH])も併せて示す。
試験樹脂1〜14及び比較樹脂1のそれぞれについて、溶解性を評価した。溶解性の評価は、樹脂とAFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)とを6:4(質量比)で混合させることで評価用ワニスを調製し、100mLビーカーに量りとった評価用ワニス5gに対して撹拌しながらn−ヘキサンを徐々に加えていき、白濁し始めた時点を試験終了とした。そして、試験開始から試験終了までの間に要したn−ヘキサンの質量(g)の数値を溶解性とした。その結果を表2に示す。n−ヘキサンの質量(表2における「溶解性」)が大きければ、そのワニス中に含まれる樹脂の溶解性が高いという評価になり、n−ヘキサンの質量(表2における「溶解性」)が小さければ、そのワニス中に含まれる樹脂の溶解性が低いという評価になる。なお、試験の際の液温は、25℃とした。また、比較樹脂1については、溶解性が極めて乏しく、評価用ワニスを調製することができなかったので測定しなかった。また、表2において、試験ワニス1〜14は、それぞれ試験樹脂1〜14から調製した評価用ワニスであることを意味する。
試験樹脂1〜14及び比較樹脂1のそれぞれについて、得られた樹脂を細かく砕き、粉砕された樹脂40質量部、大豆油10質量部及びAFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)49質量部を反応容器に入れた。反応容器の内容物に窒素ガスを吹き込みながら内容物を昇温し、190℃にて撹拌しながら30分間温度を維持して樹脂を溶解させた。得られた溶解物(溶解ワニス)を100℃まで冷却し、ゲル化剤としてALCH(川研ファインケミカルス株式会社製)1質量部をAFソルベント4号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)1質量部にて希釈したものを反応容器内の溶解ワニスに加えた。その後、反応容器内の温度を170℃に昇温し、この温度を1時間維持することで溶解ワニスをゲル化させゲル化ワニスとした。試験樹脂1〜14から得られたゲル化ワニスをそれぞれ試験ワニス1〜14と呼ぶ。なお、比較樹脂1については、溶解性が極めて乏しく、溶解させてワニスとすることができなかった。
試験ワニス1〜14のそれぞれについて、試験ワニス75質量部に対してカーボンブラックMA7(三菱化学株式会社製)20質量部を加えて混合し、得られた混合物を三本ロールミルにて練肉してカーボンブラックを微細化分散させ、さらにポリエチレン系のワックスコンパウンド5質量部を加え、印刷インキ組成物を調製した。なお、試験ワニス1〜14から得られた印刷インキ組成物をそれぞれ実施例1〜14の印刷インキ組成物とした。
実施例1〜14の印刷インキ組成物のそれぞれについて、粘度、用紙に展色した際の光沢値、ミスチング及び乳化限度率を評価した。その結果を表3に示す。なお、表3には、各実施例における各物性の評価結果とともに、各物性に対して許容される範囲(目標値の範囲)についても掲載した。各物性についての評価方法は下記の通りである。
[粘度]
コーンプレート型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、測定時のせん断速度を100s−1に設定し、印刷インキ組成物の粘度(Pa・s)を測定した。なお、測定時の印刷インキ組成物の温度は25℃とした。
コーンプレート型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、測定時のせん断速度を100s−1に設定し、印刷インキ組成物の粘度(Pa・s)を測定した。なお、測定時の印刷インキ組成物の温度は25℃とした。
[光沢値]
印刷インキ組成物を0.0875cc採取し、これをRIテスター(株式会社明製作所製)の1/2ロール(面積204cm2)を用いてOKトップコート紙に展色し、熱風乾燥機にて乾燥させて展色紙面を作製した。得られた展色紙面の展色面の光沢値を60°,−60°光沢計で測定した。
印刷インキ組成物を0.0875cc採取し、これをRIテスター(株式会社明製作所製)の1/2ロール(面積204cm2)を用いてOKトップコート紙に展色し、熱風乾燥機にて乾燥させて展色紙面を作製した。得られた展色紙面の展色面の光沢値を60°,−60°光沢計で測定した。
[ミスチング]
印刷インキ組成物を2.6cc採取し、これをインコメーター(東洋精機株式会社製)の回転ローラーに付着させた。次に、回転ローラーを400rpmにて30秒間回転させることにより、回転ローラー上で印刷インキ組成物の均一な膜を形成させ、その後、回転ローラーを1200rpmにて2分間回転させ、その際のミスチング(印刷インキ組成物のごく微少な滴が霧状に飛散することを意味する。)した印刷インキ組成物をバイブレーションローラー下部に敷いた10cm×10cmの用紙上に付着させ、この用紙上に付着した印刷インキ組成物の量を目視により評価した。試験は、温度25℃、湿度50%に維持された恒温恒湿室内にて実施した。ミスチングの評価基準は、下記の通りである。なお、下記評価基準において「標準的」とは、試験対象である印刷インキ組成物と同等の粘度グレードである、市販のロジン変性フェノール樹脂タイプの印刷インキ組成物と同等程度であることを意味する。
5:用紙上の汚れが殆ど無い(ミスチングが極めて少ない)
4:用紙上の汚れが標準的なものよりも若干少ない
3:用紙上の汚れが標準的なもの
2:用紙の汚れが標準的なものよりも若干多いもの
1:用紙の汚れが標準的なものよりも非常に多いもの(ミスチングが極めて多い)
印刷インキ組成物を2.6cc採取し、これをインコメーター(東洋精機株式会社製)の回転ローラーに付着させた。次に、回転ローラーを400rpmにて30秒間回転させることにより、回転ローラー上で印刷インキ組成物の均一な膜を形成させ、その後、回転ローラーを1200rpmにて2分間回転させ、その際のミスチング(印刷インキ組成物のごく微少な滴が霧状に飛散することを意味する。)した印刷インキ組成物をバイブレーションローラー下部に敷いた10cm×10cmの用紙上に付着させ、この用紙上に付着した印刷インキ組成物の量を目視により評価した。試験は、温度25℃、湿度50%に維持された恒温恒湿室内にて実施した。ミスチングの評価基準は、下記の通りである。なお、下記評価基準において「標準的」とは、試験対象である印刷インキ組成物と同等の粘度グレードである、市販のロジン変性フェノール樹脂タイプの印刷インキ組成物と同等程度であることを意味する。
5:用紙上の汚れが殆ど無い(ミスチングが極めて少ない)
4:用紙上の汚れが標準的なものよりも若干少ない
3:用紙上の汚れが標準的なもの
2:用紙の汚れが標準的なものよりも若干多いもの
1:用紙の汚れが標準的なものよりも非常に多いもの(ミスチングが極めて多い)
[乳化限度率]
印刷インキ組成物50gと精製水100gとをデューク乳化試験機(DUKE乳化試験機:INK−WATER EMULSIFICATION TESTER,DUKE CUSTOM SYSTEMS INC.MODEL D−10E)に仕込み、混合した。混合開始から30分後に、乳化せずに遊離している水の量を測定して乳化によって消費された水の量を算出し、この消費された水の量をもとにして印刷インキ組成物の乳化率(%)を算出した。
印刷インキ組成物50gと精製水100gとをデューク乳化試験機(DUKE乳化試験機:INK−WATER EMULSIFICATION TESTER,DUKE CUSTOM SYSTEMS INC.MODEL D−10E)に仕込み、混合した。混合開始から30分後に、乳化せずに遊離している水の量を測定して乳化によって消費された水の量を算出し、この消費された水の量をもとにして印刷インキ組成物の乳化率(%)を算出した。
上述の通り、酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを反応させて得られた試験樹脂1〜14は、溶解した際の良好な粘度、並びに良好な溶解性及び顔料分散性を備え、印刷インキ組成物を調製するための樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂に代えて好ましく利用できることがわかる。これに対して、酸変性石油樹脂、脂肪族二塩基酸及び多価アルコールを反応させて得られた比較樹脂1は、溶解性が不足し、印刷インキ組成物を調製するための樹脂として不適切であることがわかる。
また、表3において、実施例1の印刷インキ組成物と、実施例11及び12の印刷インキ組成物とを対比すると、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量であることにより、乳化限度率が高くなりすぎることを抑制でき、好ましいことがわかる。特に、酸変性石油樹脂及び一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、多価アルコールに含まれる水酸基が0.8当量よりも小さくなる実施例11の印刷インキ組成物では、光沢値も低めになる傾向があった。
さらに、表3において、実施例1〜10の印刷インキ組成物と、実施例13及び14の印刷インキ組成物とを対比すると、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量であることにより、光沢値の向上やミスチングの抑制といった効果が得られ、好ましいことがわかる。具体的には、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4当量よりも小さい実施例14の印刷インキ組成物では、他の実施例の印刷インキ組成物よりも光沢値が低めとなる傾向にあり、顔料の分散性が他に比べてやや劣る傾向にあると考えられる。また、酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が3.6当量よりも大きな実施例13の印刷インキ組成物では、他の実施例の印刷インキ組成物よりもミスチングが多くなる傾向にあり、樹枝の架橋の程度がやや不足気味となる傾向にあると考えられる。
Claims (6)
- 酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させて得られる印刷インキ組成物用樹脂。
- 前記酸変性石油樹脂及び前記一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基1当量に対して、前記多価アルコールに含まれる水酸基が0.8〜2.0当量となる割合で前記多価アルコールを使用することを特徴とする請求項1記載の印刷インキ組成物用樹脂。
- 前記酸変性石油樹脂に含まれる酸性置換基1当量に対して、前記一塩基脂肪酸に含まれる酸性置換基が0.4〜3.6当量となる割合で前記一塩基脂肪酸を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷インキ組成物用樹脂。
- 前記一塩基脂肪酸が、炭素数9〜40の一塩基脂肪酸である請求項1〜3のいずれか1項記載の印刷インキ組成物用樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の印刷インキ組成物用樹脂を含む印刷インキ組成物。
- 酸変性石油樹脂、一塩基脂肪酸及び多価アルコールを加熱反応させる工程を含む印刷インキ組成物用樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012051572A JP2013185076A (ja) | 2012-03-08 | 2012-03-08 | 印刷インキ組成物用樹脂、印刷インキ組成物、及び印刷インキ組成物用樹脂の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015046354A1 (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-02 | 積水フーラー株式会社 | ホットメルト接着剤及びこれを用いてなる使い捨て製品 |
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2012
- 2012-03-08 JP JP2012051572A patent/JP2013185076A/ja active Pending
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