JP2023503518A - インク組成物 - Google Patents

Abstract

【要約】半乾燥溶媒と、顔料と、アルキド樹脂と、アミン系ポリマー分散剤とを含むインク組成物であって、組成物の全重量を基準にして５重量％以上のアルキド樹脂が含有され、組成物の全重量を基準にして５重量％以上のアミン系ポリマー分散剤が含有されている、インク組成物が開示されている。

Description

本発明は、インク組成物、およびインク組成物の製造方法に関する。

インクジェット印刷は、様々な印刷用途に使用されており、広範囲の基板上に高解像度の画像を提供することができる。近年、例えばパッケージのような、その上に画像が印刷されてもよい物の生産者及び消費者は、そのような物が、リサイクル可能で、堆肥化可能で、及び／又は生分解性であることの重要性をますます認識するようになってきている。ラベルを使用するとパッケージのリサイクルが妨げられるが、直接的な印刷はラベルの使用を回避することができる。印刷画像が、例えばパッケージ上に印刷された１次元又は２次元の光学的に読み取り可能なコードのような、光学的に読み取り可能なデータを含んでもよい場合、画像を確実に復号化／デコーディングするために十分に高い解像度で、且つ、十分に広がり又はぼやけが抑制される様に、画像を直接的に印刷することを可能にすることがインクにとって重要である。その上に画像が印刷されるべき物が茶色い段ボール原紙のような低品質の基板である場合、インクの広がり又はぼやけの問題が特に顕著である。インクジェット印刷は、生産ラインの状況において可変のデータを印刷することを可能にするので、有利である。

低品質の基板上でさえ十分に広がり又はぼやけが抑制される様にインクジェット印刷できる生分解性インクを提供することは、特別な課題のままである。

本発明は、半乾燥溶媒と、顔料と、アルキド樹脂と、アミン系ポリマー分散剤とを含むインク組成物であって、組成物の全重量を基準にして５重量％以上のアルキド樹脂が含有され、組成物の全重量を基準にして５重量％以上のアミン系ポリマー分散剤が含有されている、インク組成物を提供する。

本発明は、さらに、半乾燥溶媒、顔料、アルキド樹脂、及び分散剤を提供することを含むインク組成物の製造方法であって、アルキド樹脂が組成物の全重量を基準にして５重量％以上の量で提供され、分散剤が組成物の全重量を基準にして５重量％以上の量で提供される、インク組成物の製造方法を提供する。

本発明者らは、驚くべきことに、インク組成物中で半乾燥溶媒をアルキド樹脂およびアミン系ポリマー分散剤と組み合わせて上述の量で使用すると、低品質の基板上でさえ、十分に広がり又はぼやけが抑制される様にインクジェット印刷することが確実に可能な生分解性インクを得ることができることを見出した。

本発明のインク組成物は、半乾燥溶媒を含む。用語「半乾燥溶媒（ｓｅｍｉ－ｄｒｙｉｎｇ ｓｏｌｖｅｎｔ）」は、技術用語であり、インク組成物中に存在する溶媒の種類に関する。それは組成物の状態又は乾燥に関係しない。半乾燥溶媒については、Ｓｕｒｆａｃｅ Ｃｏａｔｉｎｇｓ Ｖｏｌ Ｉ － Ｒａｗ Ｍａｔｅｒｉａｌｓ ａｎｄ Ｔｈｅｉｒ Ｕｓａｇｅ ｂｙ ｔｈｅ Ｏｉｌ ａｎｄ Ｃｏｌｏｕｒ Ｃｈｅｍｉｓｔｓ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ ｏｆ Ａｕｓｔｒａｌｉａ （１９８３）； § ３．２．４においてより詳細に論じられている。

本明細書で使用する場合、半乾燥溶媒は、ヨウ素価１２０～１５０の溶媒であってもよい。溶媒のヨウ素価は、インク原料の分野でよく理解されているパラメータであり、１００グラムの油によって吸収されるヨウ素のグラム数として定義される。ヨウ素価は、溶媒の成分の化学構造によって決まり、二重結合において吸収された又は反応したヨウ素の量で決まる不飽和度の尺度である。ヨウ素価については、Ｓｕｒｆａｃｅ Ｃｏａｔｉｎｇｓ Ｖｏｌ Ｉ － Ｒａｗ Ｍａｔｅｒｉａｌｓ ａｎｄ Ｔｈｅｉｒ Ｕｓａｇｅ ｂｙ ｔｈｅ Ｏｉｌ ａｎｄ Ｃｏｌｏｕｒ Ｃｈｅｍｉｓｔｓ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ ｏｆ Ａｕｓｔｒａｌｉａ （１９８３）； §３．２．７においてより詳細に論じられている。溶媒のヨウ素価は、Ｓｕｒｆａｃｅ Ｃｏａｔｉｎｇｓ Ｖｏｌ Ｉ － Ｒａｗ Ｍａｔｅｒｉａｌｓ ａｎｄ Ｔｈｅｉｒ Ｕｓａｇｅ ｂｙ ｔｈｅ Ｏｉｌ ａｎｄ Ｃｏｌｏｕｒ Ｃｈｅｍｉｓｔｓ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ ｏｆ Ａｕｓｔｒａｌｉａ （１９８３）； §３．２．７において論じられている方法のようなよく知られている方法で決定することができる。

本発明のインク組成物の好ましい実施形態において、半乾燥溶媒は、組成物の全重量を基準にして６４～８０重量％の量で存在する。本発明のインク組成物の特に好ましい実施形態において、半乾燥溶媒は、組成物の全重量を基準にして７０～７５重量％の量で存在する。

半乾燥溶媒は、エステル（以下、第１のエステルと称する）を含んでもよい。第１のエステルは、酸（以下、第１のエステルの酸成分と称する）とアルコール（以下、第１のエステルのアルコール成分と称する）に由来する。

いくつかの実施形態において、第１のエステルの酸成分は不飽和脂肪酸である。好ましくは、第１のエステルの酸成分はジ不飽和脂肪酸である。ジ不飽和脂肪酸は、例えば、植物油（例えば、大豆油）の加水分解によって得てもよい。好適なジ不飽和脂肪酸の例としては、リノール酸、エイコサジエン酸、およびドコサジエン酸が挙げられる。第１のエステルの酸成分として、リノール酸が好ましい。リノール酸は、大豆油の加水分解によって得ることができる。

いくつかの実施形態において、第１のエステルのアルコール成分は、１価アルコールである。好適な１価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、ｎ－プロパノール、イソプロパノール、ｎ－ブタノール、ｉ－ブタノール、およびｔ－ブタノールが挙げられる。第１のエステルのアルコール成分としてメタノールが好ましい。

第１のエステルは、ジ不飽和脂肪酸および１価アルコールのエステルであってもよく、第１のエステルの例としては、リノール酸メチルエステル、エイコサジエン酸メチルエステル、ドコサジエン酸メチルエステル、およびリノレレイド酸などのメチルエステルが挙げられる。第１のエステルとしてリノール酸メチルエステルが好ましい。

半乾燥溶媒は、単一の物質または異なる物質の混合物であってもよい。１つ以上のさらなる物質は、他のエステル（例えば、不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含む脂肪酸と１価アルコールの他のエステル）、またはインクジェットインク組成物のための溶媒に一般的に見られるタイプの他の物質であってもよい。半乾燥溶媒が第１のエステルと１つ以上のさらなる物質との混合物である場合、第１のエステルは、半乾燥溶媒の５０重量％以上の量で存在してもよい。ここで、上で論じた半乾燥溶媒の量（例えば、インク組成物の３２重量％以上又は４４重量％以上）を参照されたい。

本発明者らは、半乾燥溶媒（例えば、上述した半乾燥溶媒）が、本明細書に記載したインク組成物の他の成分と、本明細書に記載した量で組み合わせて使用されると、生分解性であり、低品質の基板上においてさえ十分に広がりやぼやけが抑制される様にインクジェット印刷することに好適であるという利点を有することを見出した。

本発明のインク組成物は、顔料を含む。本発明のインク組成物に使用される顔料は、特に限定されない。いくつかの実施形態において、顔料は黒色顔料である。いくつかの実施形態では、顔料は着色顔料（すなわち、シアン、マゼンタ又はイエローのような非黒色顔料）である。

本発明のインク組成物の好ましい実施形態において、顔料は、組成物の全重量を基準にして１０～１８重量％の量で存在する。特に好ましい実施形態において、顔料は、組成物の全重量を基準にして１３～１５重量％の量で存在する。

本発明のインク組成物に使用されてもよい黒色顔料は、特に限定されない。黒色顔料は、例えばカーボンブラック顔料であってもよい。本発明のインク組成物に用いることができるカーボンブラック顔料の例としては、ＲＥＧＡＬ（R)シリーズ（例えば、ＲＥＧＡＬ（R)４００Ｒ、ＲＥＧＡＬ（R)６６０Ｒ）、ＥＭＰＥＲＯＲ（R)シリーズ（例えば、ＥＭＰＥＲＯＲ（R)１６００、ＥＭＰＥＲＯＲ（R)１８００）、ＭＯＮＡＲＣＨ（R)シリーズ（ＭＯＮＡＲＣＨ（R)８００）、Ｃａｂｏｔ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎから入手可能なＶＵＬＣＡＮ（R)シリーズ（例えば、ＶＵＬＣＡＮ（R) ＸＣ７２Ｒ）、Ｂｉｒｌａ Ｃａｒｂｏｎから入手可能なＢｉｒｌａ Ｎ３３０、およびＣｏｌｕｍｂｉａｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ Ｃｏｍｐａｎｙから入手可能なＲａｖｅｎレンジからの黒色顔料が挙げられる。

本発明のインク組成物は、アルキド樹脂を含む。いくつかの実施形態において、本発明のインク組成物は、７重量％以上の量で存在する。本発明のインク組成物の好ましい実施形態において、アルキド樹脂は、組成物の全重量を基準にして５～９重量％の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態において、アルキド樹脂は、組成物の全重量を基準にして５～８重量％の量で存在する。特に好ましい実施形態において、アルキド樹脂は、組成物の全重量を基準にして６～８重量％の量で存在する。本明細書で使用するアルキド樹脂は、エステル（以下、第２のエステルと称する）を含む。第２のエステルは、酸（以下、第２のエステルの酸成分と称する）とアルコール（以下、第２のエステルのアルコール成分と称する）に由来する。

いくつかの実施形態において、第２のエステルの酸成分は、不飽和脂肪酸である。好ましくは、第２のエステルの酸成分は、ジ不飽和脂肪酸である。ジ不飽和脂肪酸は、例えば、植物油（例えば、大豆油）の加水分解によって得てもよい。好適なジ不飽和脂肪酸の例としては、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、およびリノレレイド酸が挙げられる。第２のエステルの酸成分としてリノール酸が好ましい。リノール酸は、大豆油の加水分解によって得ることができる。いくつかの実施形態において、第２のエステルのアルコール成分は、多価アルコールである。好適な多価アルコールの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールが挙げられる。第２のエステルのアルコール成分としてペンタエリトリトールが好ましい。

第２のエステルは、ジ不飽和脂肪酸および多価アルコールのエステルであってもよく、第２のエステルの例としては、リノール酸のグリセリルエステル（例えば、モノリノール酸グリセリル、ジリノール酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、またはこれらの任意の混合物）、エイコサジエン酸のグリセリルエステル（例えば、モノエイコサジエン酸グリセリル、ジエイコサジエン酸グリセリル、トリエイコサジエン酸グリセリル、またはこれらの任意の混合物）、リノール酸のトリメチロールプロピルエステル（例えば、モノリノール酸トリメチロールプロピル、ジリノール酸トリメチロールプロピル、トリリノール酸トリメチロールプロピル、またはこれらの任意の混合物）、エイコサジエン酸のトリメチロールプロピルエステル（例えば、モノエイコサジエン酸トリメチロールプロピル、ジエイコサジエン酸トリメチロールプロピル、トリエイコサジエン酸トリメチロールプロピル、またはこれらの任意の混合物）、ドコサジエン酸のトリメチロールプロピルエステル（例えば、モノドコサジエン酸トリメチロールプロピル、ジドコサジエン酸トリメチロールプロピル、トリドコサジエン酸トリメチロールプロピル、またはこれらの任意の混合物）、リノール酸のペンタエリトリチルエステル（例えば、モノリノール酸ペンタエリトリチル、ジリノール酸ペンタエリトリチル、トリリノール酸ペンタエリトリチル、テトラリノール酸ペンタエリトリチル、またはこれらの任意の混合物）、エイコサジエン酸のペンタエリトリチルエステル（例えば、モノエイコサジエン酸ペンタエリトリチル、ジエイコサジエン酸ペンタエリトリチル、トリエイコサジエン酸ペンタエリトリチル、テトラエイコサジエン酸ペンタエリトリチル、またはこれらの任意の混合物） 、およびドコサジエン酸のペンタエリトリチルエステル（例えば、モノドコサジエン酸ペンタエリトリチル、ジドコサジエン酸ペンタエリトリチル、トリドコサジエン酸ペンタエリトリチル、テトラドコサジエン酸ペンタエリトリチル、またはこれらの任意の混合物）が挙げられる。第２のエステルとしてテトラリノール酸ペンタエリトリチルが好ましい。モノリノール酸ペンタエリトリチルおよびジリノール酸ペンタエリトリチルを含む混合物が特に好ましい。

アルキド樹脂は、単一の物質、または異なる物質の混合物であってもよい。１つまたは複数のさらなる物質は、異なるエステル（例えば、不飽和脂肪酸および多価アルコールの異なるエステル）、またはアルキド樹脂に一般的に見られるタイプの異なる物質であってもよい。アルキド樹脂が第２のエステルと１つまたは複数のさらなる物質との混合物である場合、第２のエステルは、半乾燥溶媒の５０重量％以上（すなわち、インク組成物の２．５～４．５重量％以上）の量で存在してもよい。

アルキド樹脂（例えば、上述のアルキド樹脂）は、本明細書に記載のインク組成物の他の成分と組み合わせて、本明細書に記載の量で使用されると、インク組成物の安定性および／または粘度を改善するという利点を有することを、本発明者らは見出した。

本発明のインク組成物は、５重量％以上のアミン系ポリマー分散剤を含む。好ましい実施形態において、本発明のインク組成物は、組成物の全重量を基準にして、５～９重量％のアミン系ポリマー分散剤を含む。いくつかの好ましい実施形態において、本発明のインク組成物は、組成物の全重量を基準にして、５～８重量％のアミン系ポリマー分散剤を含む。特に好ましい実施形態において、分散剤は、組成物の全重量を基準にして、６～８重量％の量で存在する。好適なアミン系ポリマー分散剤は、アミン系ポリマー成分を含む。いくつかの実施形態において、アミン系ポリマー分散剤は、アミン系ポリマー成分から構成されていてもよい。他の実施形態において、アミン系ポリマー分散剤は、アミン系ポリマー成分を含んでもよく、またさらに有機媒体を含んでもよい。アミン系ポリマー分散剤は、分散剤の３０～５０重量％または約４０重量％（例えば、インク組成物の最大４．５重量％または約２．０～約３．６重量％）の量でアミン系ポリマー成分を含んでもよい。そのような分散剤は、分散剤の３０～５０重量％の分散剤に加えて、有機媒体（例えば、沸点が２２０～２８０℃の脂肪族成分）を含んでもよい。

好適なアミン系ポリマー成分は、米国特許第８，１６７，９９２号Ｂ２に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、アミン系ポリマー成分は、式（１）の化合物、またはその塩であってもよい。

(化１)
Ｕ－（Ｙ）_ｘ－Ｔ－Ｎ（Ｇ）_ｒ－（Ｂ－Ｚ）_ｑ （式１）
ここで、Ｕは、他と関係なく、Ｒ’－Ｎ－（Ｃ）－Ｔ’－Ｏ－またはＲ－Ｏ－であり、
ＲまたはＲ’は、同じであっても異なっていてもよく、他と関係なく、水素原子、置換されていてもよい炭素数１～５０のヒドロカルビル基またはヒドロカルボニル基（アシル基）、エポキシドの残基、置換されていてもよいアクリル酸（メタクリル酸）エステルの残基、あるいはアミド基であり、
Ｙは、炭素数２～４のアルキレンオキシ基であり、
ＴまたはＴ’は、他と関係なく、炭素数２～４のアルキレン基であり、
Ｂは、メチレンのようなアルキレン基であり、
Ｚは、硫酸またはリン酸の極性頭部基のような無機酸の極性頭部基であり、
ＧおよびＧ’は、同じであっても異なっていてもよく、他と関係なく、水素原子、置換されていてもよい炭素数１～５０のヒドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数１～５０のヒドロカルビル基またはヒドロカルボニル基、エポキシドの残基、置換されていてもよいアクリル酸（メタクリル酸）エステルの残基、あるいはアミド基であり、
ｒは、０または１であり、
ｑは、ｑが２のときｒは０であるという条件付きで、１または２であり、
ｘは、２～９０である。

好適なアミン系ポリマー分散剤の具体的な例としては、
２４０／２６０（℃）脂肪族蒸留物中の４０％活性アミン系ポリマー分散剤であるＬｕｂｒｉｚｏｌから入手可能なＳｏｌｓｐｅｒｓｅ １３９４０；
１００％活性ポリマー分散剤であるＬｕｂｒｉｚｏｌから入手可能なＳｏｌｓｐｅｒｓｅ Ｊ９６５；
ＳＨＥＬＬＳＯＬＴＭ Ｄ４０中の５０％活性ポリマー分散剤であるＬｕｂｒｉｚｏｌから入手可能なＳｏｌｓｐｅｒｓｅ １１２００；
１００％活性ポリマー分散剤であるＬｕｂｒｉｚｏｌ社から入手可能なＳｏｌｓｐｅｒｓｅ ２１０００；
１００％活性陽イオン性ポリマー分散剤であるＣｒｏｄａから入手可能なＨｙｐｅｒｍｅｒ ＫＤ１；
１００％活性陰イオン性ポリマー分散剤であるＣｒｏｄａから入手可能なＨｙｐｅｒｍｅｒ ＫＤ４、および
１００％活性アニオン性ポリマー分散剤であるＣｒｏｄａから入手可能なＨｙｐｅｒｍｅｒ ＫＤ９、が挙げられる。
アミン系ポリマー分散剤としてＳｏｌｓｐｅｒｓｅ １３９４０が好ましい。

アミン系ポリマー分散剤（例えば、上述のアミン系ポリマー分散剤）は、本明細書に記載のインク組成物の他の成分と組み合わせて、本明細書に記載の量で使用されると、本発明のインク組成物によって実証される有利な結果の再現性を改善するという利点を有することを、本発明者らは見出した。

本発明の好ましいインク組成物は、
半乾燥溶媒が組成物の全重量を基準にして６４～８０重量％の量で存在し、
顔料が組成物の全重量を基準にして１０～１８重量％の量で存在し、
アルキド樹脂が組成物の全重量を基準にして５～９重量％の量で存在し、
アミン系ポリマー分散剤が組成物の全重量を基準にして５～９重量％の量で存在する、インク組成物を含む。

特に好ましいインク組成物は、
半乾燥溶媒が組成物の全重量を基準にして７０～７５重量％の量で存在し、
顔料が組成物の全重量を基準にして１３～１５重量％の量で存在し、
アルキド樹脂が組成物の全重量を基準にして５～９重量％の量で存在し、
アミン系ポリマー分散剤が組成物の全重量を基準にして６～８重量％の量で存在する、インク組成物を含む。

本明細書に記載される本発明のインク組成物は、インクジェット印刷によって基板へ適用されて、基板上に印刷画像を形成することができる。好適な基板は、クラフト紙およびクラフト板のようなクラフト基板を含む。好適な印刷画像は、１次元又は２次元の光学的に読み取り可能なコードのような光学的に読み取り可能なコードを含む。印刷画像を担持する基板は、印刷物を構成してもよい。印刷物は、箱又は封筒のようなパッケージの品目であってもよい。

インクジェット印刷の一般的なプロセスは、当業者にとって周知である。本発明のインク組成物を本明細書に記載したので、当業者は、その技術常識に基づいて、インクジェット印刷法において、インクを好適な基板に容易に塗布することができる。

インク組成物を形成する一般的な方法は、当業者にとって周知である。本発明のインク組成物を本明細書に記載したので、当業者は、本発明のインク組成物を形成する方法を容易に実施することができる。

例えば、本発明によるインク組成物の製造方法は、半乾燥溶媒、顔料、アルキド樹脂、および分散剤を提供するステップを含み、アルキド樹脂は、組成物の全重量を基準にして５重量％以上の量で提供され、分散剤は、組成物の全重量基準にして５重量％以上の量で提供される。

本発明は、以下の非限定的な例によって以下に示される。
例
インクジェット印刷に対する適合性

下の表１（例１～３）および表２（比較例１～７）に示す組成物を有するインクを、以下の手順に従って調製した。

ステップ１：液体成分、すなわち、下記の表１または２に列挙されている顔料を除く全ての成分を混合容器に添加し、次いで、Ｅｉｇｅｒ Ｔｏｒｒａｎｃｅ ＨＳＤ Ｌａｂ混合機のような歯車混合インペラを備えた機械的撹拌機を用いて１０００ｒｐｍの混合速度で５分間一緒に混合した。

ステップ２：顔料を、混合された油相混合物に添加し、次いで、真空下（真空圧－５００ｍｂａｒ未満）で前述と同様の機械的撹拌機を用いて１０００ｒｐｍの湿潤化速度で３０分間湿潤化して、分散させた。湿潤化は、顔料表面から空気および水分を除去し、均一な分散を保証する。

ステップ３：次いで、湿潤化された混合物を、前述と同様の機械的撹拌機上で３０００ｒｐｍの予備混合速度で－５００ｍｂａｒ未満の予備混合真空のもとで３０分間予備混合し、分散顔料の粒子サイズを減少させ、均一化して、混合物が粉砕に適しているようにした。

ステップ４：次いで、予備混合物を水平ビーズミルに移し、３０００ｒｐｍの粉砕速度で２時間粉砕して、顔料粒子サイズをさらに小さくした。サイズが０．４～０．７mmのセリウム安定化ジルコニウムビーズを使用するＮｅｔｚｓｃｈ Ｍｉｎｉｚｅｔａタイプのミルが、好適である。ミルチャンバー内のビーズの負荷は、８５体積％を超えるべきである。混合物の温度を５０℃未満に維持するために、ミルは、冷水で冷却すべきである。

ステップ５：ステップ４の結果として得られたインク混合物を、次に、粘度および粒子サイズについてテストした。ＢｒｏｏｋｆｉｅｌｄタイプのＤＶ３Ｔ円錐型および平板型粘度計、ならびにＭａｌｖｅｒｎ Ｚｅｔａｓｉｚｅｒ Ｎａｎｏ－ＺＳタイプの粒度サイズ計器が好適である。

ステップ６：次いで、インクをガラス繊維フィルタシステムを通して濾過した。真空圧力が－８００ｍｂａｒ未満で孔サイズが１μのＷｈａｔｍａｎ ＧＦ／Ｂフィルタディスクを使用するＰａｌｌ真空フィルタシステムが好適である。

インク組成物を、インクの安定性、インクの粘度、印刷密度、粒子サイズ、および組成物を濾過する能力を含む、インクジェット印刷に対するそれらの適合性に関連する特性について分析した。

インクジェット印刷に好適な組成物は、「優秀」または「良好」と格付けされた。インクジェット印刷に好適でない組成物は、「良好でない」または「不良」と格付けされた。

表１および表２に示される成分の量は、重量パーセントである。使用した成分と分析結果は以下の通りである：
メチルエステル：Ｍｏｓｓｅｌｍａｎ油（大豆油）、
カーボンブラック：Ｒｅｇａｌ ４００Ｒ
アルキド樹脂：Ｖｉｌｋｙｄ ７８２
ポリマー分散剤：Ｓｏｌｐｌｕｓ Ｋ ２００
アミン系ポリマー分散剤：Ｓｏｌｓｐｅｒｓｅ １３９４０

例１～３のインク組成物は、良好な安定性、良好な粘度、及び良好な光学濃度を有し、一般にインクジェット印刷、特に光学的に読み取り可能なコード印刷に適していることが分かった。比較例１～７のインク組成物は、インクジェット印刷に適さないことが判明した。

例３の繰り返しバッチを調製し、元のバッチと同じ方法でインクジェット印刷に対する適合性についてテストした。例３の組成物の繰り返しバッチの結果は、元のバッチと一致することが分かった。

バーコード可読性テスト

様々なタイプのクラフト基板（１８０ｇｓｍの再生クラフト紙、１４０ｇｓｍの再生クラフト紙、Ｐａｌｌｅｔカバー板、および１８０ｇｓｍの未使用のクラフト紙）上に、例３のインク組成物を用いて、バーコード（９桁、２０％～２５％の範囲のバー幅減少）を印刷した。バーコードの可読性をテストしたところ、いずれの場合も可読であることがわかった。

これらの結果は、本発明のインク組成物の、一連の基板上で、一連のインク広がり状況に対処し、強固なバーコード可読性を達成する能力を示す。

環境テスト

本発明のインク組成物は、物質の易生分解性または固有生分解性のテストを受ける（ＯＥＣＤガイドライン３０１Ｂおよび３０１Ｆ）。

本発明のインク組成物で印刷されたクラフト板は、ＩＳＯ １４８５５（生分解性評価）及びＩＳＯ １６９２９（崩壊評価））規格によるテストばかりでなく、組成分析及び生態毒性テスト（堆肥品質）も受ける。

本発明は、特定の実施形態を参照して上述される。しかしながら、これらの実施形態は単に例示的なものであり、当業者は、特許請求の範囲（その等価物を十分に考慮して）に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、別々の実施形態を参照した上述した特徴の組み合わせを含めて、種々の修正が可能であることを理解するであろう。

Claims (12)

1. 半乾燥溶媒と、
   顔料と、
   アルキド樹脂と、
   アミン系ポリマー分散剤と
   を含むインク組成物であって、
   前記組成物の全重量を基準にして５重量％以上の前記アルキド樹脂が含有され、
   前記組成物の全重量を基準にして５重量％以上の前記アミン系ポリマー分散剤が含有されている、インク組成物。
2. 前記アルキド樹脂と前記アミン系ポリマー分散剤の両方は同じ量だけ含有されている、請求項１に記載のインク組成物。
3. 前記アルキド樹脂は前記組成物の全重量を基準にして７重量％以上の量で含有されている、請求項１または２に記載のインク組成物。
4. 前記アミン系ポリマー分散剤は前記組成物の全重量を基準にして７重量％以上の量で含有されている、請求項１～３のいずれか１項に記載のインク組成物。
5. 前記半乾燥溶媒は１２０～１５０のヨウ素価を有する、請求項１～４のいずれか１項に記載のインク組成物。
6. 前記半乾燥溶媒は第１のエステルを含み、前記第１のエステルはジ不飽和脂肪酸と１価アルコールのエステルである、請求項１～５のいずれか１項に記載のインク組成物。
7. 前記第１のエステルは前記インク組成物の３２重量％以上の量で存在する、請求項６に記載のインク組成物。
8. 前記顔料は黒色顔料である、請求項１～７のいずれか１項に記載のインク組成物。
9. 前記アルキド樹脂は第２のエステルを含み、前記第２のエステルはジ不飽和脂肪酸と多価アルコールのエステルである、請求項１～５のいずれか１項に記載のインク組成物。
10. 前記半乾燥溶媒は前記組成物の全重量を基準にして６４～８０重量％の量で存在する、請求項１～９のいずれか１項に記載のインク組成物。
11. 前記顔料は前記組成物の全重量を基準にして１０～１８重量％の量で存在する、請求項１～１０のいずれか１項に記載のインク組成物。
12. 半乾燥溶媒、顔料、アルキド樹脂、および分散剤を供給するステップを含むインク組成物の製造方法であって、
    前記アルキド樹脂は前記組成物の全重量を基準にして５重量％以上の量で供給され、
    前記分散剤は前記組成物の全重量を基準にして５重量％以上の量で供給される、方法。