JP2010054027A - スプラインシャフト、及び、スプラインシャフトの製造方法 - Google Patents

スプラインシャフト、及び、スプラインシャフトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ギヤを圧入する際の組付け性を確保するとともに回転方向のガタが発生せず、また、面粗度が向上することによって圧入荷重にばらつきが発生せず、かじりを防止でき、さらに、圧入工程を簡素化することのできる、スプラインシャフト、及び、スプラインシャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るスプラインシャフト10は、複数のギヤ41a・41b・41cを圧入するために、大径が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキー11を、外周面の周方向に複数個備え、前記スプラインキー11の大径、及び、歯面、の隣接する段である第1・第2・第3スプライン12・13・14の間には、それぞれと連続して第1・第2テーパー部15・16が形成され、前記スプラインキー11の大径、歯面、及び、テーパー面は、前粗材を鍛造押出加工することによって形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、スプラインシャフト、及び、スプラインシャフトの製造方法に関し、より詳しくは、複数のギヤの圧入を簡易とするスプラインシャフトを製造する技術に関する。
従来、マニュアルトランスミッション用アウトプットシャフトとして、スプラインシャフトが用いられている。該スプラインシャフトにおけるスプラインキーは、大径を砥石で研削加工して形成する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平6−55423号公報
前記従来技術について、図6及び図7を示して説明する。図6(a)は従来技術に係るスプラインシャフトの研削加工を示した図、(b)はスプラインキーの研削部分を示した断面図、図7は従来技術に係るスプラインシャフトにギヤを圧入した状態を示した断面図である。
なお、以下については、軸方向に3段並んだスプラインキーが、周方向に複数個形成されたスプラインシャフトについて説明する。
従来技術に係るスプラインシャフトにおいては、外周面のスプラインキーは転造加工の後に熱処理を施すことにより形成される。そして、ギヤを圧入した際の組付け性を確保し、且つガタ(ギヤの緩み)をなくすために、図6(a)(b)に示すように砥石で大径を研削して各段における径差を設けている。ここで、各段におけるスプラインキーは同じ転造工具で同時に加工することから、歯面のOBD寸法が等しくなる。このため、ギヤを圧入する際はスプラインシャフトの大径のみと接触して圧入することになり、歯面とは接触しないため、回転方向のガタが発生する場合がある。このため、スプラインシャフトにギヤを圧入し、締結した後のシフトフィーリングの悪化を招来することがあった。
また、スプラインキーは図6(b)に示すように大径のみを研削するため、歯面と大径との繋ぎ部分がピン角となり、ギヤを圧入する際にかじりが発生する原因となる。さらに、大径の研削部分については面粗度が悪いため、圧入荷重にばらつきが発生し、圧入条件範囲が狭くなることから部品精度管理が困難となっていた。
さらに、大径を研削する際に砥石の干渉を防ぐため、図6(a)に示すようにスプラインキー間に隙間を空ける必要がある。ギヤを圧入する際にはこの隙間を跨いで通過させることから、ギヤのガタつきを防いで姿勢を制御するための治具が必要であった。
さらに、ギヤは前記のようにスプラインシャフトと大径のみで接触して圧入することから、ギヤを圧入した後で軸方向の固定強度を確保する必要があるために、図7に示すようにギヤ間にスリーブを入れた上で、ギヤをサークリップで固定する必要があった。
そこで本発明では、上記現状に鑑み、ギヤを圧入する際の組付け性を確保するとともに回転方向のガタが発生せず、また、面粗度が向上することによって圧入荷重にばらつきが発生せず、かじりを防止でき、さらに、圧入工程を簡素化することのできる、スプラインシャフト、及び、スプラインシャフトの製造方法を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、複数のギヤを圧入するために、大径及び幅が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキーを、外周面の周方向に複数個備えるスプラインシャフトであって、前記スプラインキーの大径、及び、歯面、の隣接する段の間には、それぞれに連続してテーパー面が形成され、前記スプラインキーの大径、歯面、及び、テーパー面は、前粗材を鍛造押出加工することによって形成されるものである。
請求項2においては、前記スプラインキーの各段における大径、及び、歯面は、前記ギヤの内径に形成されたスプライン溝と同形状に形成され、前記ギヤは、前記スプラインキーと、大径、及び、歯面、で接触して圧入されるものである。
請求項3においては、複数のギヤを圧入するために、大径及び幅が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキーを、外周面の周方向に複数個備えるスプラインシャフトの製造方法であって、スプライン加工前の前粗材に対して、前記スプラインキーの大径、歯面、及び、前記スプラインキーの大径と歯面の隣接する段の間でそれぞれに連続するテーパー面、を形成する鍛造押出加工工程を備えるものである。
請求項4においては、前記スプラインキーの各段における大径、及び、歯面は、前記ギヤの内径に形成されたスプライン溝と同形状に形成され、前記ギヤを、前記スプラインキーと、大径、及び、歯面、において接触して圧入可能に形成されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明により、ギヤを圧入する際の組付け性を確保するとともに回転方向のガタが発生せず、また、面粗度が向上することによって圧入荷重にばらつきが発生せず、かじりを防止でき、さらに、圧入工程を簡素化することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るスプラインシャフトを示す断面図である。
図2は本発明に係るスプラインシャフトにおけるスプラインキーのテーパー面部分を示す模式図である。
図3は本発明に係るスプラインシャフトの鍛造押出加工を示した図である。
図4は本発明に係るスプラインシャフトの鍛造押出加工において用いられるダイスを示した図である。
図5は(a)は本発明に係るスプラインシャフトにギヤを圧入している状態を示した断面図、(b)は同じくスプラインシャフトにギヤを圧入した状態を示した断面図である。
図6(a)は従来技術に係るスプラインシャフトの研削加工を示した図、(b)はスプラインキーの研削部分を示した断面図である。
図7は従来技術に係るスプラインシャフトにギヤを圧入した状態を示した断面図である。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
[スプラインシャフト10]
まず始めに、本発明の一実施例に係るスプラインシャフト10について、図1を用いて説明をする。
本発明に係るスプラインシャフト10はマニュアルトランスミッション用アウトプットシャフトとして用いられるものであり、複数のギヤ41a・41b・41cを圧入するために、大径が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキー11を、外周面の周方向に複数個備えている(図5(a)(b)参照)。
なお本明細書では、スプラインキー11の、軸方向に垂直な面での断面視において、半径方向外側に突出した面を大径とし、周方向に向かって形成された、大径と交わる2つの面を歯面として説明する(図6(b)参照)。
本実施例においては図1に示す如く、スプラインキー11は第1スプライン12、第2スプライン13、及び、第3スプライン14の3段階に連続して大径が変化するように構成されている。具体的には、第1スプライン12における大径が最も大きく(軸心から離れて形成され)、第2スプライン13、第3スプライン14の順に小さくなるように構成されているのである。
また、図2に示す如く、スプラインキー11は第1スプライン12、第2スプライン13、及び、第3スプライン14の3段階に連続して円周方向の幅(歯面と歯面で形成される厚さ)が変化するように構成されている。具体的には、第1スプライン12の幅が最も大きく、第2スプライン13、第3スプライン14の順に小さくなるように構成されているのである。
そして、前記スプラインキー11の大径、及び、歯面、の隣接する段、即ち第1スプライン12と第2スプライン13、及び、第2スプライン13と第3スプライン14、の間には、それぞれに連続して第1テーパー部15及び第2テーパー部16が形成されている。
詳細には図2に示すように、第1スプライン12と第2スプライン13の接続部に第1テーパー部15が形成される。即ち、第1スプライン12の大径12aと第2スプライン13の大径13aとの間に第1テーパー部15のテーパー面である大径15aが形成され、また、第1スプライン12の歯面12b・12cと第2スプライン13の歯面13b・13cとの間にそれぞれ第1テーパー部15のテーパー面である歯面15b・15cが形成されるのである。
同様に、第2スプライン13と第3スプライン14の接続部に第2テーパー部16が形成されるのである。なお、本実施例においては、前記第1テーパー部15及び第2テーパー部16のテーパー面の角度は5度程度に形成されているが、その大きさは限定されるものではない。
[鍛造押出加工]
また、前記スプラインキー11の大径、歯面、及び、テーパー面は、図3に示すように鍛造押出加工機21によってスプラインシャフト10の前粗材10aを鍛造押出加工することによって形成される。図3の左半分は型打ち前の状態を、右半分は型打ち後の状態を示している。
具体的には図3に示すように、鍛造押出加工機21に第1ダイス22a、第2ダイス22b、及び、第3ダイス22cを、ノックピン24a、24bで固定し、スプラインシャフト10の前粗材10aに鍛造押出加工を行い、スプラインを形成するのである。詳細には、第1ダイス22aで第1スプライン12を形成し、同様に第2ダイス22b、及び、第3ダイス22cで第2スプライン13、及び、第3スプライン14を形成するのである。
このように本実施例においては、1段のスプラインサイズごとに型精度を確保するために、ダイス22a・22b・22cを分割した構成としている。なお、該ダイス22a・22b・22cについては、一体として構成することも可能である。
鍛造押出加工機21には、図4に示すように、第1ダイス22a、第2ダイス22b、及び、第3ダイス22cに対して、それぞれ第1ランド部23a、第2ランド部23b、及び、第3ランド部23cが配設され、このランド部23a・23b・23cによってスプラインシャフト10における精度出しを行っている。
このように、それぞれのダイス22a・22b・22cにランド部23a・23b・23cが配設されており、加工中の粗材曲がりの矯正が可能となり、軸曲がりも少ないスプラインシャフト10を鍛造加工することが可能となるように構成されているのである。
上記のように、本発明に係るスプラインシャフト10の製造方法は、複数のギヤ41a・41b・41cを圧入するために、大径が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキー11を、外周面の周方向に複数個備えるものであって、スプライン加工前の前粗材10aに対して、前記スプラインキー11の大径、歯面、及び、前記スプラインキー11の大径と歯面の隣接する段の間でそれぞれと連続するテーパー面、を形成する鍛造押出加工工程を備えるのである。
[ギヤ41a・41b・41cの圧入]
本実施例においては、前記スプラインキー11の各段における大径、及び、歯面は、ギヤ41a・41b・41cの内径に形成されたスプライン溝と同形状に形成され、前記ギヤ41a・41b・41cは、前記スプラインキー11と、大径、及び、歯面、で接触して圧入される。
具体的には図5に示すように、第1ギヤ41aにはスプラインシャフト10の先端が挿入される。この際、前記第1ギヤ41aの内径に形成されたスプライン溝は、第1スプライン12における大径12a、及び、歯面12b・12cと同形状に形成されており、第1ギヤ41aは図5(a)中の矢印Aの方向に、第1スプライン12における大径12a、及び、歯面12b・12cと接触して圧入されるのである。
その後、同様に第2ギヤ41bが第2スプライン13に、第3ギヤ41cが第3スプライン14にそれぞれ圧入されるのである。
以上のように構成することにより、ギヤ41a・41b・41cを圧入する際にはスプラインシャフト10の大径だけでなく、それぞれのスプライン12・13・14における歯面においても接触して圧入させることができる。即ち、ギヤ41a・41b・41cを圧入する際の組付け性を確保するとともに、回転方向のガタの発生を防止することができるのである。これにより、スプラインシャフト10にギヤ41a・41b・41cを圧入し、締結した後にシフトフィーリングが悪化することを防止できるのである。
また、本実施例において、スプラインキー11の大径と歯面は鍛造押出加工で形成するため、従来技術における転造及び研削加工による形成よりも面粗度、ピッチ誤差精度が良くなり、ギヤ41a・41b・41cを圧入する際のかじりの発生を防止することができる。また、圧入荷重のばらつきが低減されるため、部品精度管理が容易となる。
さらに、スプラインキー11に隙間を空ける必要がないため、ギヤ41a・41b・41cを圧入する際にガタつきが発生せず、ガタつきを防ぐための治具が不要となる。さらに、ギヤ41a・41b・41cは前記のようにスプラインシャフト10と大径及び歯面で接触して圧入することができる。このため、軸方向の固定強度を十分確保することが可能となり、従来技術のようにスリーブやサークリップで固定する必要がなくなり、圧入工程を簡素化することができるのである。
本発明に係るスプラインシャフトを示す断面図。 本発明に係るスプラインシャフトにおけるスプラインキーのテーパー面部分を示す模式図。 本発明に係るスプラインシャフトの鍛造押出加工を示した図。 本発明に係るスプラインシャフトの鍛造押出加工において用いられるダイスを示した図。 (a)は本発明に係るスプラインシャフトにギヤを圧入している状態を示した断面図、(b)は同じくスプラインシャフトにギヤを圧入した状態を示した断面図。 (a)は従来技術に係るスプラインシャフトの研削加工を示した図、(b)はスプラインキーの研削部分を示した断面図。 従来技術に係るスプラインシャフトにギヤを圧入した状態を示した断面図。
符号の説明
10 スプラインシャフト
11 スプラインキー
12 第1スプライン
13 第2スプライン
14 第3スプライン
15 第1テーパー部
16 第2テーパー部
21 鍛造押出加工機
41a 第1ギヤ
41b 第2ギヤ
41c 第3ギヤ

Claims (4)

  1. 複数のギヤを圧入するために、大径及び幅が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキーを、外周面の周方向に複数個備えるスプラインシャフトであって、
    前記スプラインキーの大径、及び、歯面、の隣接する段の間には、それぞれに連続してテーパー面が形成され、
    前記スプラインキーの大径、歯面、及び、テーパー面は、前粗材を鍛造押出加工することによって形成される、
    ことを特徴とする、スプラインシャフト。
  2. 前記スプラインキーの各段における大径、及び、歯面は、前記ギヤの内径に形成されたスプライン溝と同形状に形成され、
    前記ギヤは、前記スプラインキーと、大径、及び、歯面、で接触して圧入される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のスプラインシャフト。
  3. 複数のギヤを圧入するために、大径及び幅が軸方向に少なくとも2段階以上に連続して変化するスプラインキーを、外周面の周方向に複数個備えるスプラインシャフトの製造方法であって、
    スプライン加工前の前粗材に対して、前記スプラインキーの大径、歯面、及び、前記スプラインキーの大径と歯面の隣接する段の間でそれぞれに連続するテーパー面、を形成する鍛造押出加工工程を備える、
    ことを特徴とする、スプラインシャフトの製造方法。
  4. 前記スプラインキーの各段における大径、及び、歯面は、前記ギヤの内径に形成されたスプライン溝と同形状に形成され、
    前記ギヤを、前記スプラインキーと、大径、及び、歯面、において接触して圧入可能に形成される、
    ことを特徴とする、請求項3に記載のスプラインシャフトの製造方法。
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