JP2010052043A - 丸鋳片の連続鋳造方法および連続鋳造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造中の丸鋳片に、一対のロールからなる圧下スタンドとして、上ロールにカリバー底の開き角度δを80〜130°とする鞍型ロール6aが、下ロールに平型ロール6bが配置された一対のロールからなる圧下スタンド6と、上ロールに平型ロール7bが、下ロールにカリバー底の開き角度δを80〜130°とする鞍型ロール7aが配置された一対のロールからなる圧下スタンド7とを、鋳造方向に沿って交互に複数基配置して、凝固完了前に圧下を加える。なお、鋳造パスラインの最上流側に、下ロールにカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールを配置した圧下スタンドとすることが好ましい。これにより、既設の鋳造設備を利用でき、丸鋳片に引張応力を発生させることなく、内部品質に優れた丸鋳片を安価に製造できる。
【選択図】図2
Description
このように、鋳造ままの素材で製管を行うと疵の発生が懸念される場合には、鋳造した素材(鋳片)を分塊圧延して機械的にポロシティを圧着させ、鋳片にポロシティが存在していてもその影響を製管時に発生させないようにしていた。
例えば、特許文献1には、連続鋳造における鋳片の連続鍛圧方法が記載されている。特許文献1に記載された技術は、鋳片に連続的に鍛圧加工するにあたり、鋳片の中心部の固相率fsが0.5〜0.9を示す位置で、未凝固厚みdの0.5倍以上を満足する総圧下量δからなる圧下を施す、連続鋳造における鋳片の連続鍛圧方法である。この特許文献1に記載された技術によれば、内部割れや負偏析の発生を回避でき、中心偏析の大幅な改善ができるとしている。また、特許文献1に記載された技術では、連続鋳造時に鍛圧加工を行っており、鍛圧加工による圧下のための加熱は必要とせず、ポロシティの圧着については優れた技術である。しかし、大圧下を可能とするために、設備強度を高く設定する必要があり、鍛圧加工設備の設備費が高額になるという問題がある。また、一般の炭素鋼などの鍛圧加工(圧下)を必要としない鋳片に対しても設備費の負担がかかってくるという問題もある。
例えば、板状鋳片を圧下するために用いるような、鋳片の移送方向に対しての垂直断面形状が矩形である平型ロールによる圧下を、丸鋳片に対して加えると、丸鋳片のロールに接触した部分は平面化し、他方、ロールに接触していない部分は膨らみ、丸鋳片の断面形状が偏平化し、更には角形に近づく。このため、このような鋳片を穿孔して継目無鋼管とした場合には、偏肉が発生する原因となる。しかも、このような平型ロールによる圧下により鋳片断面内で圧下方向と直交する方向に引張応力が発生し、割れが発生しやすくなる。また、ポロシティの圧着効果を高めるために圧下量を大きくすれば、丸鋳片の断面形状は更に真円から遠ざかる。その結果、得られる継目無鋼管の偏肉が大きくなって所望の規格を外れる恐れが高くなるとともに、割れの発生率が高くなる。また更には、継目無鋼管用素材として使用する際に、鋳片を転動して行う搬送ができなくなったり、また穿孔時に噛込みが不安定になったりするなどの重大な問題が発生する。
また、特許文献6には、丸鋳片の連続鋳造時に、一方のロールがカリバー底の開き角度δが75°以上160°以下の鞍型ロール、相対するロールが平ロールであるロール対により、丸鋳片に圧下を加える継目無鋼管用連続鋳片の製造方法が提案されている。しかし、特許文献6に記載された技術によってもなお、特許文献5に記載された技術と同様の問題を残していた。
即ち、合金成分を多く含む継目無鋼管用の丸鋳片の製造方法においては、軽圧下を行うことなく内質を改善することはほぼ不可能である。一方、軽圧下そのものの実施により真円形状から遠ざかることに起因して生ずる製管工程での損失が大きく、それ故、所望する圧下量での軽圧下を行うことができず、その結果、内質が良く、製管に好適な丸鋳片を得ることは困難であるという問題があった。
(1)円形鋳型による連続鋳造中の丸鋳片の凝固完了位置近傍の鋳造方向二箇所以上に、一対のロールからなる圧下スタンドを複数基配置し、当該複数基の圧下スタンドを用いて凝固完了前の前記丸鋳片に圧下を加え、次いで、丸鋳片を切断する、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法であって、前記複数基の圧下スタンドが、上ロールに、カリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールが配置され、下ロールに平型ロールが配置された上下一対のロールからなる圧下スタンドと、上ロールに、平型ロールが配置され、下ロールにカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールが配置された一対のロールからなる圧下スタンドと、を鋳造方向に沿って交互に配置した複数基の圧下スタンドであることを特徴とする、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
(3)(1)または(2)において、前記複数基の圧下スタンドを2基の圧下スタンドとし、該2基の圧下スタンドのうち、鋳造方向の下流側に設置された圧下スタンドにおける前記圧下を、前記丸鋳片の軸芯部の固相率fsが0.3〜0.85である時期に、次(1)式
面積減少率(%)={1−(圧下後の丸鋳片の断面積)/(圧下前の丸鋳片の断面積)}×100 ‥‥(1)
で定義される面積減少率が1.5〜5%の範囲内となる圧下とすることを特徴とする継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
(6)円形鋳型と、該円形鋳型の下流側に配置され、前記円形鋳型で形成された丸鋳片を、鋳造パスラインに沿って支持する複数の鋳片支持ロールからなる鋳片支持ロール群と、該鋳片支持ロール群のなかに配設され丸鋳片を冷却する二次冷却帯と、前記鋳片支持ロール群のなかの所定の位置に設置され、凝固完了前の前記丸鋳片を圧下する、一対のロールからなる圧下スタンドを複数基有し、丸鋳片を連続鋳造する丸鋳片の連続鋳造設備であって、前記複数基の圧下スタンドが、上ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、下ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドと、上ロールが平型ロールで、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドと、を鋳造パスラインに沿って交互に配置した複数基の圧下スタンドであることを特徴とする丸鋳片の連続鋳造設備。
(8)(6)において、 前記複数基の圧下スタンドを2基の圧下スタンドとし、該2基の圧下スタンドのうち、鋳造パスラインの上流側に設置する圧下スタンドを、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、上ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドとし、該圧下スタンドの下流側に配置する圧下スタンドを、上ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、下ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドとすることを特徴とする丸鋳片の連続鋳造設備。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記一対のロールが、油圧方式のロール軸心間距離制御機構を有することを特徴とする丸鋳片の連続鋳造設備。
No.1圧下スタンド6では、鋳造パスラインより上側の上ロールを鞍型ロール6aとし、鋳造パスラインより下側の下ロールを平型ロール6bとする。これらのロールはそれぞれ油圧シリンダー6cと連結され、油圧シリンダー6cによって丸鋳片9に対して押付け力が発現されるようになっている。また、No.2圧下スタンド7では、上ロールを平型ロール7bとし、下ロールを鞍型ロール7aとする。これらのロールはそれぞれ油圧シリンダー7cと連結され、油圧シリンダー7cによって丸鋳片9に対して押付け力が発現されるようになっている。なお、鋳造方向(鋳造パスライン)の上流側のNo.1圧下スタンドに対し、No.2圧下スタンド7では、上ロールおよび下ロールの形状がそれぞれ逆に配置されている。
なお、偏平率εは次式
ε(%)={1−(丸鋳片の断面最短径部長さ)/(丸鋳片の同一断面での最長径部長さ)}×100
で定義される。
また、本発明の連続鋳造設備1の、圧下スタンド6,7では、油圧方式のロール軸心間距離制御機構を有することが好ましい。ロール軸心間距離制御機構を有することにより、圧下スタンドの一対のロール間の間隔を一定に保持することができ、丸鋳片の温度が変動し変形抵抗が変化することに起因した丸鋳片の形状のばらつきを抑制でき、安定して所望の形状の丸鋳片を製造することができることになる。制御機構は、電動方式でも可能であるが、油圧方式とすることが、応答性、操業性の観点から好ましい。
浸漬ノズル3を介してタンディッシュ2から円形鋳型4に注入された溶鋼8は、円形鋳型4の内壁に接触して冷却され、円形鋳型4との接触部に外形が円形の凝固シェル10を形成する。この凝固シェル10を外殻とし、内部が未凝固層11である丸鋳片9は、鋳片支持ロール5のうちのピンチロールによって円形鋳型4から引き抜かれ、鋳片支持ロール5で支持されながら二次冷却帯で冷却されて凝固シェル10の厚みを増大させ、やがて軸芯部までの凝固を完了する。軸芯部までの凝固を完了した丸鋳片9は、鋳片支持ロール5の下流側に配置される鋳片切断機(図示せず)によって、所定の長さに切断され、継目無鋼管用丸鋳片とされる。なお、図1には示されていないが、電磁撹拌装置を配置して未凝固層11を強制的に撹拌し、等軸晶を形成させ、軸芯部のポロシティ及び偏析を改善してもよい。
本発明で使用するロール6aは、カリバー底の開き角度δが80°以上130°以下の鞍型ロールとし、ロール6bは、平型ロールとする。本発明で使用するロール7aは平型ロールとし、ロール7bはカリバー底の開き角度δが80°以上130°以下の鞍型ロールとする。No.1圧下スタンド6で、上ロールを鞍型ロール6aとし、下ロールを平型ロール6bとする上下一対のロールを用いて丸鋳片9を圧下する。これにより、丸鋳片9と接触する箇所が3点となり、ロールが丸鋳片を拘束しやすくなるとともに、異なる3方向から圧下するため、一対の平型ロールを用いる場合に比べて、圧下後の丸鋳片の偏平率εを小さくできる。そして、その下流側の圧下スタンド7では、上下ロールの形状を逆として、上ロールを平型ロール7bとし、下ロールを鞍型ロール7aとする上下一対のロールを用いて丸鋳片9を圧下する。これにより、上流側の圧下スタンド6と下流側の圧下スタンド7とで、ロールと丸鋳片との接触位置が変更され、下流側の圧下スタンド7での圧下が有効に丸鋳片の軸芯部に伝達され、丸鋳片の内部品質がより向上する。
本発明では、上記した構成の一対のロールからなる圧下スタンドを使用して、圧下を行うが、圧下は、丸鋳片の凝固末期、すなわち丸鋳片の軸芯部での固相率fsが0超え1未満である時期に行うことが好ましい。なお、ここでいう固相率fsは、当該断面において、凝固・伝熱計算より求められた丸鋳片の軸芯部の温度Tが、鋼種によって決まる液相線温度TLと固相線温度TSの間のどの位置にあるかを表す指標で、次式
fs=(TL−T)/(TL−TS)
を用いて算出するものとする。完全凝固状態がfsは1.0であり、未凝固状態がfsは0である。
面積減少率(%)={1−(圧下後の丸鋳片の断面積)/(圧下前の丸鋳片の断面積)}×100
で定義される値を使用するものとする。上記した少なくとも2基の圧下スタンドでの圧下量は、それぞれ上記した面積減少率で1.5〜5%の範囲となるように圧下することが好ましい。
以上のように、本発明によれば、従来は困難であった、Cr含有鋼などの難加工性鋼種の連続鋳造による継目無鋼管用丸鋳片の製造が、連続鋳造設備に大きな変更を加えることなく実現される。そして、丸鋳片の断面形状を損ねることなく、内部品質の大幅に改善された丸鋳片が製造可能になることにより、Cr含有鋼などの継目無鋼管の製造コストが低減可能となる。
(実施例1)
[試験鋳造1]
図1に示す連続鋳造設備(ビレット連続鋳造機)1の圧下スタンド6,7を、表1に示すように、一対のロールを、平型ロール同士、あるいは平型ロールと鞍型ロールとの組合せで種々変更し、さらに鞍型ロールのカリバー底角度を種々変化させたNo.1圧下スタンド及びNo.2圧下スタンドとして、各圧下スタンドでそれぞれ、鋳造中の丸鋳片を圧下した(試験No.1〜9)。なお、鋳造対象の鋼種は、Crを15質量%含有する15%Cr鋼とした。圧下前の丸鋳片は直径210mmであり、圧下後の面積減少率の目標値は、No.1圧下スタンド及びNo.2圧下スタンドにおいてともに4%とした。圧下時の鋳片の軸芯部の固相率fsが、No.1圧下スタンドの位置で0.4、No.2圧下スタンドの位置で0.8となるように、圧下スタンドを設置した。なお、丸鋳片の軸芯部の固相率fsは、凝固・伝熱計算から求められた丸鋳片の軸芯部の温度Tから、次式
fs=(TL−T)/(TL−TS)
を用いて算出した値である。TLは、鋼種によって決まる液相線温度、TSは、鋼種によって決まる固相線温度である。また、得られた丸鋳片について、それぞれの軸芯部の有限要素法解析から得た応力状態(引張応力の有無)を比較した。
得られた丸鋳片から、軸芯部観察用試験材を採取し、該試験材の断面を研磨して、光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて断面のマクロ組織、および軸芯部近傍のミクロ組織を撮像し、画像解析により、該断面におけるポロシティの面積を測定した。ポロシティの面積率は、次式
ポロシティ面積率(%)=(ポロシティの面積)/(丸鋳片断面積)×100
で算出した。
また、軸芯部のミクロ組織から、軸芯部での割れ発生の有無、および割れが発生している場合には、その長さを測定し、各割れの長さ総計を求め、その試験材の軸芯部割れ長さとして、軸芯割れの程度を評価した。
得られた結果を表1に示す。
試験No.1は、No.1圧下スタンドおよびNo.2圧下スタンドともに、上下ロールを平型ロールを用いて圧下した比較例である。ポロシティが改善されポロシティの評点が3であったが、軸芯割れも改善傾向であるが不十分で、軸芯割れの評点が2であった。しかも、製管成績は評点が1で、圧下の効果が認められなかった。
[試験鋳造2]
試験鋳造1と同様に、図1に示す連続鋳造設備1を利用し、圧下スタンド6,7を、表2に示すような平型ロールと鞍型ロールとの組み合わせである、一対のロールからなるNo.1圧下スタンドとNo.2圧下スタンドとして、連続鋳造中の丸鋳片をそれぞれ圧下した。圧下位置は、丸鋳片の軸芯部の固相率fsがそれぞれ表2に示す値となる位置とし、該圧下位置で表2に示す面積減少率となるように圧下した。なお、鋳造対象の鋼種は13%Cr鋼であり、圧下前の丸鋳片の直径は210mmである。また、丸鋳片の軸芯部の固相率fsは、凝固・伝熱計算から求められた丸鋳片の軸芯部の温度Tから、試験鋳造1と同様に算出した値である。
また、No.2圧下スタンドの設置位置が、固相率fsの好ましい範囲を高く外れる本発明例(試験No.15)は、鋳片軸芯部への圧下力の伝達が若干不足し、ポロシティの評点が3、軸芯割れの評点が3、製管結果(成績)の評点が3であった。
また、No.2圧下スタンドにおける圧下が、面積減少率の好ましい範囲を高く外れる本発明例(試験No.19)は、ポロシティの評点が4、軸芯割れの評点が5、製管結果(成績)の評点が4であった。しかし、好ましい範囲を高く外れる面積減少率で圧下したため、圧下後の鋳片断面形状が円形から大きく乖離し、外形形状の手入れを必要とした。なお、試験No.19は、圧下の負荷が大きく、他の試験と比較して大規模化した設備で実施した。
本発明の範囲を外れる比較例は、鋳片の内部品質の改善が少なく、ポロシティの評点が低く、したがって製管結果の評点も低くなっている。
No.1圧下スタンドの位置で既に丸鋳片が凝固完了した状態で圧下した試験No.10(比較例)は、内部品質の改善効果が、とくにポロシティの抑制に対して少なく(ポロシティの評点2)、製管結果(成績)の評点は1であった。これは、凝固完了後の圧下では、軸芯割れは抑制できるが、ポロシティの改善までの効果は不足したためである。
また、No.1圧下スタンドおよびNo.2圧下スタンドともに、圧下を行わなかった比較例(試験No.17)は、ポロシティの評点が1、軸芯割れの評点が1、製管結果(成績)の評点が1であった。
[試験鋳造3]
試験鋳造1と同様に、図1に示す連続鋳造設備1を利用し、圧下スタンド6,7を、平型ロールと鞍型ロールとの組み合わせである、一対のロールからなるNo.1圧下スタンドとNo.2圧下スタンドとして、連続鋳造中の丸鋳片をそれぞれ圧下した。No.1圧下スタンドは、上ロールを鞍型ロール、下ロールを平型ロールとし、No.2圧下スタンドは、上ロールを平型ロール、下ロールを鞍型ロールとした。鞍型ロールはいずれもカリバー底角度が90°のロールを使用した。圧下位置は、丸鋳片の軸芯部の固相率fsがそれぞれ表3に示す値となる位置とし、該圧下位置で表3に示す面積減少率となるように圧下した。なお、一部の試験では、各圧下スタンドでの圧下を行わなった。
得られた丸鋳片について、試験鋳造1と同様に、ポロシティの面積、軸芯割れを測定し、軸芯部の性状を評価した。また、得られた丸鋳片を素材(継目無鋼管用素材)とし、通常のマンネスマン−方式の製管法により、継目無鋼管(大きさ:外径177.8mmφ×肉厚12mm)を得た。試験鋳造1と同様に、得られた各鋼管について全長に亘り、内面を目視および超音波探傷法で検査し、内面疵の発生の有無を調査した。そして、内面疵の発生した鋼管の、全数に対する割合を、内面疵発生率(%)と定義し、算出した。そして、試験鋳造1と同様に、得られた内面疵発生率に基づき、5段階で評価し、製管結果(成績)とした。
鋳造対象鋼種が炭素鋼の場合には、鋳造中の丸鋳片に圧下を施さなくても、丸鋳片のポロシティ面積は0〜数mm2と小さいため、鋳造中の丸鋳片に圧下を施す効果は小さい。しかし、1%Cr鋼の場合は、圧下を施さない丸鋳片ではポロシティ面積は数十〜100mm2と観察位置(切断位置)でばらつくが、本発明の適用により、ポロシティ面積が一般炭素鋼並みまで低減することができ、製管結果(成績)の評点も4と高くなる。圧下を施すことなく鋳造した、本発明の範囲を外れる比較例(試験No.24)では、ポロシティの評点が3、軸芯割れの評点が2、製管結果(成績)の評点が2であった。
(実施例2)
[試験鋳造2−1]
実施例1と同様に、図1に示す連続鋳造設備(ビレット連続鋳造機)1の圧下スタンド6,7を、表4に示すように、一対のロールを、平型ロール同士、あるいは平型ロールと鞍型ロールとの組合せで種々変更し、さらに鞍型ロールのカリバー底角度を種々変化させたNo.1圧下スタンド及びNo.2圧下スタンドとして、各圧下スタンドでそれぞれ、鋳造中の丸鋳片を圧下した。なお、鋳造対象の鋼種は、Crを15質量%含有する15%Cr鋼とした。圧下前の丸鋳片は直径210mmであり、圧下後の面積減少率の目標値は、No.1圧下スタンド及びNo.2圧下スタンドにおいてともに4%とした。圧下時の鋳片の軸芯部の固相率fsが、No.1圧下スタンドの位置で0.4、No.2圧下スタンドの位置で0.8となるように、圧下スタンドを設置した。なお、丸鋳片の軸芯部の固相率fsは、実施例1と同様に、凝固・伝熱計算から求められた丸鋳片の軸芯部の温度Tから算出した。
得られた丸鋳片について、実施例1と同様に、ポロシティの面積、軸芯割れを測定し、軸芯部の性状を評価した。評価方法は実施例1と同様とした。
また、得られた丸鋳片の長手方向に垂直な断面を観察し、偏平率εを測定し、鋳片の断面形状を評価した。偏平率εは、次式
ε(%)={1−(丸鋳片の断面最短径部長さ)/(丸鋳片の同一断面での最長径部長さ)}×100
で定義される。評価が○は、偏平率εが3%以下、△はεが3%超7%以下、×はεが7%超である場合とした。
得られた結果を表4に示す。
No.1圧下スタンドおよびNo.2圧下スタンドともに、上下ロールを平型ロールを用いて圧下した比較例(試験No.A1)は、ポロシティが改善されポロシティの評点が3であったが、軸芯割れも改善傾向であるが不十分で、軸芯割れの評点が2であった。しかも、製管成績は評点が1で、圧下の効果が認められなかった。試験No.A1では、丸鋳片の断面形状は、真円からはずれ、大きく偏平化している。しかし、圧下スタンドは平型ロールのみを使用しており、鋳片の引抜き、ダミーバーの挿入および引抜きの作業についてはなんの支障もなく、操業性の評価は◎となっている。
2 タンディッシュ
3 浸漬ノズル
4 円形鋳型
5 鋳片支持ロール
6、7 圧下スタンド
6a、7a ロール(鞍型ロール)
6b、7b ロール(平型ロール)
6c、7c 油圧シリンダー
8 溶鋼
9 丸鋳片
10 凝固シェル
11 未凝固層
Claims (11)
- 円形鋳型による連続鋳造中の丸鋳片の凝固完了位置近傍の鋳造方向二箇所以上に、一対のロールからなる圧下スタンドを複数基配置し、当該複数基の圧下スタンドを用いて凝固完了前の前記丸鋳片に圧下を加え、次いで、丸鋳片を切断する、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法であって、
前記複数基の圧下スタンドが、上ロールに、カリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールが配置され、下ロールに平型ロールが配置された上下一対のロールからなる圧下スタンドと、上ロールに、平型ロールが配置され、下ロールにカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールが配置された一対のロールからなる圧下スタンドと、を鋳造方向に沿って交互に配置した複数基の圧下スタンドであることを特徴とする、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。 - 前記複数基の圧下スタンドのうちの鋳造方向の最上流側に、前記上ロールが平型ロールで、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドを、配置して、丸鋳片を圧下することを特徴とする請求項1に記載の継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
- 前記複数基の圧下スタンドを2基の圧下スタンドとし、該2基の圧下スタンドのうち、鋳造方向の下流側に設置された圧下スタンドにおける前記圧下を、前記丸鋳片の軸芯部の固相率fsが0.3〜0.85である時期に、下記(1)式で定義される面積減少率が1.5〜5%の範囲内となる圧下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
記
面積減少率(%)={1−(圧下後の丸鋳片の断面積)/(圧下前の丸鋳片の断面積)}×100 ‥‥(1) - 前記複数基の圧下スタンドを2基の圧下スタンドとし、該2基の圧下スタンドのうち、鋳造方向の上流側に設置された圧下スタンドにおける前記圧下を、前記丸鋳片の軸芯部の固相率fsが0.2以上0.5以下の時期に、前記(1)式で定義される面積減少率が1.5〜5%の範囲内となる圧下とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
- 前記丸鋳片が、Cr含有量が0.5質量%以上のCr含有鋼製であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
- 円形鋳型と、該円形鋳型の下流側に配置され、前記円形鋳型で形成された丸鋳片を、鋳造パスラインに沿って支持する複数の鋳片支持ロールからなる鋳片支持ロール群と、該鋳片支持ロール群のなかに配設され丸鋳片を冷却する二次冷却帯と、前記鋳片支持ロール群のなかの所定の位置に設置され、凝固完了前の前記丸鋳片を圧下する、一対のロールからなる圧下スタンドを複数基有し、丸鋳片を連続鋳造する丸鋳片の連続鋳造設備であって、
前記複数基の圧下スタンドが、上ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、下ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドと、上ロールが平型ロールで、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドと、を鋳造パスラインに沿って交互に配置した複数基の圧下スタンドであることを特徴とする丸鋳片の連続鋳造設備。 - 前記複数基の圧下スタンドのうち、鋳造パスラインの最上流側に設置された圧下スタンドを、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、上ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドとすることを特徴とする請求項6に記載の丸鋳片の連続鋳造設備。
- 前記複数基の圧下スタンドを2基の圧下スタンドとし、該2基の圧下スタンドのうち、鋳造パスラインの上流側に設置する圧下スタンドを、下ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、上ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドとし、該圧下スタンドの下流側に配置する圧下スタンドを、上ロールがカリバー底の開き角度δを80°以上130°以下とする鞍型ロールで、下ロールが平型ロールである一対のロールからなる圧下スタンドとすることを特徴とする請求項6に記載の丸鋳片の連続鋳造設備。
- 少なくとも前記鋳造パスラインの上流側に設置された圧下スタンドの下ロールが、鋳造パスラインに対する移動機構を有することを特徴とする請求項7または8に記載の丸鋳片の連続鋳造設備。
- 前記一対のロールが、油圧方式のロール軸心間距離制御機構を有することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の丸鋳片の連続鋳造設備。
- 前記丸鋳片の連続鋳造設備が、湾曲型であることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の丸鋳片の連続鋳造設備。
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JP (1) | JP5387205B2 (ja) |
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2009
- 2009-07-28 JP JP2009175650A patent/JP5387205B2/ja not_active Expired - Fee Related
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