JP2010051268A - 乳発酵食品の製法およびそれにより得られた乳発酵食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイルドで風味が良く、なめらかで粘性の高い特有の食感を有する乳発酵食品の製法およびそれにより得られた乳発酵食品を提供する。
【解決手段】牛乳を発酵させてなる乳発酵食品の製法であって、上記牛乳中に、下記の(A)成分を加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC ,FERM AP-20185)により発酵させる。
(A)乳清タンパクおよび大豆タンパクの少なくとも一方。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳発酵食品の製法およびそれにより得られた乳発酵食品に関するものであり、詳しくは、乳発酵食品中の多糖含量の富化を促し品質改善を行う乳発酵食品の製法およびそれにより得られた乳発酵食品に関するものである。
ヨーグルト等の乳発酵食品は、通常、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei) 、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus) 、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシーズ・サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp. thermophilus)等の乳酸菌による乳発酵により得られる(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年、「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれる、従来のヨーグルトとは全く異なる特異な粘性や整腸作用等を備えたヨーグルトが注目を集めている。このヨーグルトは、ヨーロッパの黒海とカスピ海とに挟まれたコーカサス地方で古くから食用されているヨーグルトにその名が由来しており、上記列挙した一般的な乳酸菌を用いたヨーグルトとは異なり、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)を、主たる発酵乳酸菌として用いている。また、この「カスピ海ヨーグルト」には、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス以外に、酢酸菌も含まれており、この酢酸菌の作用により、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスによる乳発酵が効率的に行われ、特異な粘性等が発現される。
特開2004−222670公報
ところで、近年、上記「カスピ海ヨーグルト」の製品改良が各種検討されており、例えば、その製造に際し、マイルドな風味を強調するため、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスのみで牛乳の発酵を行い、乳発酵食品を製造することが検討されている。また、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスのみでの発酵では、粘性やなめらかさ等といった特有の食感が得られないことから、適宜、増粘剤やゲル化剤等を牛乳に添加して発酵を行ったり、もしくは、発酵物に上記増粘剤やゲル化剤を混合したりする等の手法が検討されている。
しかしながら、上記のように増粘剤やゲル化剤等を添加しても、「カスピ海ヨーグルト」に特有の粘性やなめらかさ等といった食感や、それに伴う風味等のおいしさが充分に得られないといった問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、マイルドで風味が良く、なめらかで粘性の高い特有の食感を有する乳発酵食品の製法およびそれにより得られた乳発酵食品の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、牛乳を発酵させてなる乳発酵食品の製法であって、上記牛乳中に、下記の(A)成分を加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC ,FERM AP-20185)により発酵させる乳発酵食品の製法を第1の要旨とする。
(A)乳清タンパクおよび大豆タンパクの少なくとも一方。
また、本発明は、上記製法により得られる乳発酵食品であって、その発酵微生物由来の細胞外多糖の含有割合が、乳発酵食品400g当たり、0.1〜500mgである乳発酵食品を第2の要旨とする。
また、本発明は、上記製法により得られる乳発酵食品であって、その粘度が3000〜12000mPa・sである乳発酵食品を第3の要旨とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程において、牛乳の発酵に用いる微生物として、本出願人が寄託した特殊な菌株のクレモリス菌〔ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC) 〕を用いることを想起した。すなわち、この菌株は、発酵微生物由来の細胞外多糖の分泌生産能が、通常のクレモリス菌よりも高く、その分泌された細胞外多糖が、乳発酵食品の粘性を向上させる大きな要因となり得るからである。そして、本発明者らがさらに研究を重ねた結果、上記牛乳中に、乳清タンパクや大豆タンパクを加え、上記菌株による発酵を行ったところ、細胞外多糖の分泌生産が顕著に促されるようになり、その結果、従来のように酢酸菌を含ませなくても、クレモリス菌のみで、乳発酵食品中の多糖含量が富化し、なめらかで粘性の高い特有の食感の乳発酵食品を得ることができることを突き止めた。また、上記のように細胞外多糖含量が増え、さらに、酢酸菌を含ませずに乳発酵が行われることにより、乳発酵食品の酸味が抑えられ、マイルドで良好な風味となるため、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
以上のように、本発明の乳発酵食品の製法は、牛乳中に、乳清タンパクや大豆タンパクを加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FCにより発酵させることにより行われる。そのため、細胞外多糖の含有割合が高く、マイルドで風味が良く、なめらかで粘性の高い特有の食感を有する乳発酵食品を製造することができる。また、本発明の製法により得られた乳発酵食品は、上記特定のクレモリス菌を発酵微生物とし、しかも細胞外多糖の含量が富化されているため、通常のクレモリス菌により得られた乳発酵食品よりも生理作用(整腸作用、免疫賦活作用等)が高く、そのため、健康面においても、より優れた効果を発揮する。
特に、上記乳清タンパクや大豆タンパクの配合割合が特定の割合である場合、乳発酵食品の粘性や細胞外多糖含有割合を、より高くすることができる。
また、上記牛乳中に、さらに脱脂粉乳を加え、発酵させた場合、上記のような優れた機能を有する乳発酵食品を、効率的に製造することができる。
さらに、上記脱脂粉乳の配合割合が特定の割合である場合、粘性や細胞外多糖含有割合の向上効果を、より高くすることができる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の乳発酵食品の製法は、牛乳中に、乳清タンパクや大豆タンパクを加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FCにより発酵させることにより行われる。このような製法で製造することにより、細胞外多糖の含有割合が高く、マイルドで風味が良く、なめらかで粘性の高い特有の食感を有する乳発酵食品を製造することができる。
上記の、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC ,FERM AP-20185)は、本出願人が、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託した菌株であり、通常のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスとは異なるものである。なお、上記寄託菌株は、摂氏10℃以上で活性化する特性を有し、摂氏25〜30℃を至適温度としている。また、上記寄託菌株は、培地上に、白〜乳白状の粘稠性を有するコロニーを形成し、例えば、BCP培地上に、25℃×2日培養すると、直径0.5〜1.0mmの円形(半球状)コロニーとなる。さらに、培養条件や生理的状態によるコロニー形態の変化はなく、変異によるコロニー形態の変化もない。
また、上記牛乳に添加される乳清タンパクとは、牛乳由来の乳清(ホエイ)に含まれるタンパク質を濃縮、精製したものであり、その主な構成成分は、ラクトグロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリン等である。乳清とは、牛乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた水溶液であり、チーズ生産過程で副産物として大量に作られる。なお、乳清には、タンパク質以外に、ミネラルやビタミンも含まれるが、本発明においては、乳清を濃縮したものを、精製せずにそのまま「乳清タンパク」として用いてもよい。
一方、大豆タンパクとは、大豆に含まれるタンパク質を濃縮、精製したものである。なお、豆乳を濃縮したものには、タンパク質以外の成分も含まれるが、本発明においては、豆乳を濃縮したものを、精製せずにそのまま「大豆タンパク」として用いてもよい。
そして、牛乳中に添加される上記の乳清タンパクおよび大豆タンパクは、単独で配合することも、併用して配合することもできる。
上記乳清タンパクや大豆タンパクの配合割合は、乳発酵食品の材料の合計量に対し、0.01〜10重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.25〜5.0重量%の範囲である。すなわち、上記範囲未満であると、粘性や細胞外多糖含有割合の向上効果に乏しく、逆に、上記範囲を超えると、微生物の細胞外多糖分泌生産能が阻害されるようになるからである。
また、上記牛乳中に、さらに脱脂粉乳を加え、発酵させた場合、上記のような優れた機能を有する乳発酵食品を、効率的に製造することができるため、好ましい。なお、この効果は、乳清タンパクを配合する際に顕著にみられる効果であるため、大豆タンパクのみを配合しているところに脱脂粉乳を加えても、上記のような効果は認められない。
そして、上記脱脂粉乳の配合割合が、乳発酵食品の材料の合計量に対し、0.005〜5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜2.5重量%の範囲である。すなわち、上記範囲内で脱脂粉乳を配合することにより、粘性や細胞外多糖含有割合の向上効果を、より高くすることができる。
本発明の乳発酵食品の製法は、例えば、つぎのようにして行うことができる。
すなわち、まず、培地となる牛乳を殺菌(85℃で15分程度)し、続いて、上記牛乳中に、乳清タンパクや大豆タンパクを配合する。また、必要に応じ、脱脂粉乳も配合する。そして、上記牛乳を30℃まで冷却する。つぎに、クレモリススターター《ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC〔凍結乾燥され粉末状となったものを1g程度。上記粉末1g中の生菌数は1×105 以上(好ましくは1×107 〜1×109 )〕を、殺菌された培養ビンの中に入れ、さらに殺菌済みの乳を所定量(30〜40ml)加えて、室温(摂氏15〜30℃)環境下で3時間以上、好ましくは8〜24時間、放置したもの》を調製する。ついで、このクレモリススターターを、上記培地中に配合(植菌)する。なお、上記各材料の配合順序は、この順序と異なっていてもよい。そして、上記培地をよく振とうした後、室温(摂氏15〜30℃)環境下で3時間以上、好ましくは8〜24時間、放置する。これにより、上記微生物を活性化させ、発酵を促す。このようにして得られた乳発酵物を、必要に応じ、適宜、成分調整等を行い、目的とする乳発酵食品を得ることができる。
なお、上記製法において用いられる原料以外にも、必要に応じ、ショ糖,果糖,転化糖,ブドウ糖等の糖類、水、果肉、果汁、香料、酸味料等を適宜加えても良い。
このようにして得られた乳発酵食品中の細胞外多糖の含有割合は、乳発酵食品400g当たり、0.1〜500mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは、乳発酵食品400g当たり、31.5〜208.3mgの範囲である。すなわち、このように細胞外多糖を高含有しているため、上記乳発酵食品は、粘性の向上はもとより、酸味が抑えられ、マイルドで良好な風味となる。また、細胞外多糖の高含有により、生理作用(整腸作用、免疫賦活作用、ストレス由来の皮膚血流低下改善作用や皮膚機能改善作用、血中HDLコレステロールの割合を増やす働き等)が高く、そのため、健康面においても、より優れた効果を発揮する。
なお、上記乳発酵食品中の細胞外多糖の含有量は、例えば、乳発酵物に対し、トリクロロ酢酸を添加し、たんぱく質を変性させた後、遠心分離を行って上清を取り出し、その上清を濾過して等量のアセトンを注ぎ、浮上した白色析出物(細胞外多糖)を取り出し、その白色析出物を透析膜〔排除分子量(MWCO):3500〕に入れ、冷温下(4℃程度)で透析を行った後、凍結乾燥して細胞外多糖を抽出し、フェノール硫酸法にて糖の含有量を調べることにより、測定することができる。
また、上記のようにして得られた乳発酵食品の粘度は、3000〜12000mPa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは、6608〜11880mPa・sの範囲である。すなわち、本発明の製法により得られた乳発酵食品は、酸味が抑えられ、マイルドであるにもかかわらず、このように粘度が高く設定されているため、従来品に比べ品質改善がなされたものである。なお、上記乳発酵食品の粘度は、B型粘度計等により測定することができる。
本発明の乳発酵食品には、上記乳発酵物をそのまま(加熱殺菌したものを含む)直接用いることができるが、それ以外にも、上記乳発酵物を、凍結乾燥等により乾燥させて粉末化したり、また、その粉末を、適当な粉末担体に混合させたりして用いてもよい。さらに、その粉末を打錠して粒状にしたり、また、上記粉末をカプセルに封入したりして用いてもよい。さらに、上記乳発酵物を、適当な液状担体に溶解あるいは分散させたりして用いてもよい。
そして、本発明の乳発酵食品は、上記乳発酵物からなるヨーグルト以外にも、各種加工により、例えば、プリン,アイスクリーム,アイスキャンデー,ゼリー,アメ,チョコレート,パン,ケーキ,シュークリーム,ハム,ミートソース,カレー,シチュー,チーズ,バター,ドレッシング,健康食品,特定保健用食品,乳酸飲料,清涼飲料水,お茶等にも用いることができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜6〕
培地となる牛乳を殺菌(85℃で15分程度)し、続いて、上記牛乳中に、乳清タンパクや、脱脂粉乳、水を、後記の表1に示す割合で配合した後、30℃まで冷却した。つぎに、クレモリススターター(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(FERM AP-20185)〔凍結乾燥され粉末状となったものを1g程度。上記粉末1g中の生菌数は1×105 〕を、殺菌された培養ビンの中に入れ、さらに殺菌済みの牛乳を30ml加えて、摂氏30℃環境下で10時間放置したもの)を調製し、このクレモリススターターを、上記培地中に、後記の表1に示す割合で配合(植菌)した。そして、上記培地をよく振とうした後、摂氏30℃環境下で10時間放置して発酵を促し、目的とする乳発酵物(乳発酵食品)を得た。
〔比較例1〕
乳清タンパクを添加せず、後記の表1に示す割合で各材料を配合した培地により、実施例1と同様の条件で発酵を行い、乳発酵物を得た。
〔比較例2〕
ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FCに代えて、クレモリス基準菌株(ATCC 19257)の凍結乾燥粉末(粉末1g中のクレモリスの生菌数:5.5×107 )を使用し、実施例1と同様にクレモリススターターを調製した。そして、このクレモリススターターを用い、後記の表1に示す割合で各材料を配合した培地により、実施例1と同様の条件で発酵を行い、乳発酵物を得た。
このようにして得られた実施例1〜6および比較例1,2の乳発酵物を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。そして、これらの結果を後記の表1に併せて示した。
〔粘度〕
B型粘度計(BROOK FIELD社製、ローターNo.4、回転速度50rpm)を用い、これにガードを装着し、粘度測定を行った。そして、測定開始5分後の粘度(mPa・s)を、その測定値とした。
〔細胞外多糖含量〕
乳発酵物400g中の細胞外多糖含量(mg/400g)を測定した。すなわち、乳発酵物400gに対し、トリクロロ酢酸を添加し、たんぱく質を変性させた後、12000Gで20分間遠心分離を行って、上清を取り出し、さらにトリクロロ酢酸を添加して12000Gで20分間遠心を行って上清を取り出した。その後、その上清を濾過し、等量のアセトンを注いで、浮上した白色析出物(細胞外多糖)を取り出し、その白色析出物を透析膜〔排除分子量(MWCO):3500〕に入れ、4℃の冷蔵庫内で、滅菌水にて3日間の透析を行い、さらに滅菌したリン酸緩衝液(PBS)にて1日間の透析を行った。そして、上記透析により得られた試料を凍結乾燥し、フェノール硫酸法にて糖の含有量を測定し、その値を、細胞外多糖含量とした。
〔粘度比率・細胞外多糖比率〕
比較例1の粘度および細胞外多糖含量を100として換算し、その粘度や細胞外多糖含量の上昇比率を算出した。
Figure 2010051268
上記表1の結果から、実施例1〜6では、乳清タンパクを加えることにより、比較例1に比べ、粘度や細胞外多糖産生量が上昇していることがわかる。また、実施例1と実施例5との対比、および、実施例2と実施例6との対比からも明らかなように、乳清タンパクとともに脱脂粉乳を添加することにより、粘度や細胞外多糖産生量が相乗的に増加した。なお、比較例2は、乳清タンパクの配合割合は充分(2.50重量%)であったが、クレモリス基準菌株を用いることに起因し、乳清タンパクを加えなかった比較例1よりも粘度が低く、しかも、細胞外多糖も検出されないという結果となった。
〔実施例7〜12〕
培地となる牛乳を殺菌(85℃で15分程度)し、続いて、上記牛乳中に、大豆タンパクや、脱脂粉乳、水を、後記の表2に示す割合で配合した後、30℃まで冷却した。つぎに、クレモリススターター(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(FERM AP-20185)〔凍結乾燥され粉末状となったものを1g程度。上記粉末1g中の生菌数は1×105 〕を、殺菌された培養ビンの中に入れ、さらに殺菌済みの牛乳を30ml加えて、摂氏30℃環境下で10時間放置したもの)を調製し、このクレモリススターターを、上記培地中に、後記の表2に示す割合で配合(植菌)した。そして、上記培地をよく振とうした後、摂氏30℃環境下で10時間放置して発酵を促し、目的とする乳発酵物(乳発酵食品)を得た。
〔比較例3〕
大豆タンパクを添加せず、後記の表2に示す割合で各材料を配合した培地により、実施例7と同様の条件で発酵を行い、乳発酵物を得た。
〔比較例4〕
ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FCに代えて、クレモリス基準菌株(ATCC 19257)の凍結乾燥粉末(粉末1g中のクレモリスの生菌数:5.5×107 )を使用し、実施例7と同様にクレモリススターターを調製した。そして、このクレモリススターターを用い、後記の表2に示す割合で各材料を配合した培地により、実施例7と同様の条件で発酵を行い、乳発酵物を得た。
このようにして得られた実施例7〜12および比較例3,4の乳発酵物を用いて、前記実施例1〜6の基準に従い、各特性の評価を行った。そして、これらの結果を後記の表2に併せて示した。なお、「粘度比率・細胞外多糖比率」は、比較例3の粘度および細胞外多糖含量を100として換算し、その粘度や細胞外多糖含量の上昇比率を算出した値である。
Figure 2010051268
上記表2の結果から、実施例7〜12では、大豆タンパクを加えることにより、比較例3に比べ、粘度や細胞外多糖産生量が上昇していることがわかる。なお、比較例4は、大豆タンパクの配合割合は充分(2.50重量%)であったが、クレモリス基準菌株を用いることに起因し、大豆タンパクを加えなかった比較例3よりも粘度が低く、しかも、細胞外多糖も検出されないという結果となった。
以上の結果より、実施例1〜12で得られた乳発酵物は、粘性が高く、なめらかで特有の食感を有するものとなり、また、細胞外多糖の含有割合が高いため、酸味が抑えられ、マイルドで風味のよいものとなった。しかも、細胞外多糖の含量が富化されているため、通常のクレモリス菌により得られた乳発酵食品よりも生理作用(整腸作用、免疫賦活作用等)が高く、健康面においても優れた効果を発揮するものとなった。

Claims (6)

  1. 牛乳を発酵させてなる乳発酵食品の製法であって、上記牛乳中に、下記の(A)成分を加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC ,FERM AP-20185)により発酵させることを特徴とする乳発酵食品の製法。
    (A)乳清タンパクおよび大豆タンパクの少なくとも一方。
  2. 上記(A)成分の配合割合が、乳発酵食品の材料の合計量に対し、0.01〜10重量%の範囲である請求項1記載の乳発酵食品の製法。
  3. 上記牛乳中に、さらに脱脂粉乳を加え、発酵させる請求項1または2記載の乳発酵食品の製法。
  4. 上記脱脂粉乳の配合割合が、乳発酵食品の材料の合計量に対し、0.005〜5重量%の範囲である請求項3記載の乳発酵食品の製法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製法により得られる乳発酵食品であって、その発酵微生物由来の細胞外多糖の含有割合が、乳発酵食品400g当たり、0.1〜500mgであることを特徴とする乳発酵食品。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製法により得られる乳発酵食品であって、その粘度が3000〜12000mPa・sであることを特徴とする乳発酵食品。
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