JP3889647B2 - ヨーグルト類 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はβグルカンを配合したヨーグルト類に関する。詳しくはイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したヨーグルト類及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヨーグルトは牛乳とほぼ同様の栄養素を含んだ乳製品であり、手軽な栄養補給源であると同時に、健康維持機能に優れた食品である。ヨーグルトは、乳酸菌の作用により乳成分が発酵分解を受けており、含まれる蛋白質はペプチドあるいはアミノ酸のような低分子へ分解されており、乳糖などの糖質も加水分解を受けている。
【0003】
また、乳製品中のカルシウムは体内に吸収し易い形態であり、特にヨーグルトは栄養成分の消化吸収が早い特徴を有しており、子供から大人にわたる多くの人々をはじめ、通常の食事による栄養補給に支障のある患者あるいは高齢者の栄養補給として有用であることが知られている。さらに、ヨーグルトは発酵時にできる乳酸が消化液の分泌を促し、腸内の有害な菌の繁殖を抑えるなど整腸作用に一翼を担っていることが明らかにされている。近年では、乳酸菌自身の生理機能性に関する研究が進み、乳酸菌体自身にコレステロールや胆汁酸あるいはその代謝物の吸着・取り込み機能があることや食物繊維のような整腸作用が認められることがわかってきた。
【0004】
このように、ヨーグルトは高栄養であり、かつ整腸作用が期待されるなど、生活習慣病予防食品として有望であり期待されている食品である。
【0005】
しかしながら、ヨーグルトは整腸作用などの健康機能性が期待されると同時に栄養価の高い食品であり、大量摂取は栄養の摂取過多になりかねず、通常摂取する量、あるいは、より少量で整腸作用などの健康機能性が十分に発揮されることが必要である。従って、少量で十分な整腸作用を発現するヨーグルトや乳酸発酵物、すなわち、より健康機能性が高められたヨーグルトあるいは乳酸発酵食品が求められている。例えば、乳酸菌体や乳酸発酵産物を増強したヨーグルトや乳酸発酵食品は、少量で十分な整腸作用を発現するヨーグルトや乳酸発酵物になると期待されるが、乳酸菌が多いとこれに比例して乳酸値が高くなり、酸味が強く、その結果、食味食感が低下するという問題点がある。また、別途培養した菌体のみを添加することも可能であるが、菌体成分の雑味が発現し、結果として食味食感の低下が避けられない欠点がある。
【0006】
従って、乳酸菌体や乳酸発酵産物を増強したヨーグルトにおいて雑味や酸味を抑制する方法、あるいは食味食感に影響を与えず整腸作用に優れた機能性物質を添加することによってヨーグルトの健康機能性を増強する方法が望まれている。
【0007】
また、ヨーグルト類は、製造後、例えば流通に置かれている間に、時日が経過すると離水(乳清の分離)現象を起すことがある。離水の生じたヨーグルト類は商品価値が低下し、極端な場合は破棄処分とせざるを得ない。そこで、離水の防止方法が必要となる。
【0008】
従来採られてきたヨーグルト類の離水防止策の1つは、原材料に寒天、ゼラチン、ペクチン等を加える方法である。しかしながら、寒天を使用すると、離水は抑えられるが、製品のヨーグルト類はプリン的な食感を呈するようになり、ヨーグルト本来の滑かな食感を失なうようになる、すなわち、食感が低下する。また、寒天、ゼラチン、ペクチン等の使用はコスト的にも不利である。
【0009】
離水防止は、原材料に脱脂粉乳等を加えて原材料中の乳固形分を上げることによって行なわれることもあるが、この方法ではコストが高くなり、また食感が好ましくない等の難点がある。
【0010】
また、ソフトタイプのヨーグルトについては、水分は例えば88%で牛乳と変わらず、乳白色の絹ごし豆腐のような性状を呈し、その酸凝固乳は崩れやすく、撹拌により半液状となる。そして、上澄みの水分が多くみられる場合は、流通過程または保存中に酸度が増してカードが収縮する結果となる。
【0011】
従って、ヨーグルト類の離水を防止し、しかも本来の食感を維持したヨーグルト類の製法の開発が望まれている。
【0012】
一方、βグルカンは、近年その優れた生体調節機能性、例えば、脂質代謝改善作用・整腸作用・血糖値上昇抑制等が解析され、利用が注目されている素材である。このような素材を加工食品にて広く利用することは、加工食品の機能性増強(高付加価値化)に寄与するのみならず、広く国民の健康維持への貢献が期待され、きわめて有用なことである。βグルカンは、イネ科植物に含まれているが、このイネ科植物由来のβグルカンは、例えば、大麦やオーツ麦では、主に種子の胚乳細胞壁を構成する成分でほぼ全体に分布している。その含有量は、大麦粉では、部位や種によって差はあるが、おおむね3〜10重量%である。構造は、1−3,1−4−β−D−グルコピラノース結合を主成分とするグルコースの重合体である。
【0013】
しかし、従来このようなイネ科植物βグルカンを添加あるいは増強した加工食品を製造する場合、例えば、大麦βグルカンを添加・増強した食品の製造では、大麦粒や大麦粉を直接添加する方法が考えられてきた。これにより比較的簡単にβグルカンを増強した食品の製造が可能であるが、βグルカンの含有量は、添加した大麦粒や粉の10%程度であり、食品全体としてβグルカンの増強する量が制限されること、大麦粒や粉による食味・食感の低下など、問題点が多く、含有するポリフェノール類に起因した赤かっ色の着色等が発生することもあり、大麦粒や粉の直接添加は、品質を低下させる原因となる。また、大麦糠を添加することも考えられるが、糠は、大麦粒や大麦粉を配合する以上に、食味・食感の低下、着色など、製品価値の低下を招き、問題点が多く、加工食品への使用も困難である。例えば、特開2001-37414には、α化した大麦をアミラーゼ処理しデンプンを糖化させヨーグルト原料に用いることで大麦に含まれる健康機能性を増強したヨーグルトを製造する方法が記載されているが、上述のようにβグルカンの添加増強量は極めて限られたものになってしまうという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、食味・食感の低下等がなく、優れた生体調節機能性を有するヨーグルト類を提供することにある。さらにヨーグルト類本来の食感を維持したままで、離水の生じない物性機能が改善されたヨーグルト類を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、イネ科植物から抽出されたβグルカンに着目した。抽出されたイネ科植物由来のβグルカンは、5重量%程度の水溶液でゲル化特性を有し、1〜3重量%の水溶液でも他の低分子化食物繊維素材(グアーガムやペクチン、アルギン酸やアルギン酸ナトリウムなどを分子量20万以下に酵素あるいは酸・アルカリ分解によって得られた食物繊維素材、あるいはヒト消化酵素に抵抗性のデンプン類、デンプン分解物やデキストリン類)に比較して高粘度性を示し、水溶性食物繊維としての機能性が高いと期待される素材である。本発明者らは、イネ科植物より得られるβグルカンを乳原料に添加し乳酸発酵させることによって、あるいは、乳酸発酵させたヨーグルト類にβグルカンを添加することによって、特に、分子量20万以下、好ましくは10万以下に低分子化されたβグルカンを添加することによって、食味食感が優れ、しかも整腸作用等の健康機能性が高められ、さらに着色や離水の生じない優れた物性を有するヨーグルト類を提供できることを見いだし本発明に至った。
【0016】
すなわち本発明は、イネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したことを特徴とするヨーグルト類を提供するものである。
【0017】
また本発明は、イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である前記ヨーグルト類を提供するものである。
【0018】
また本発明は、βグルカンが重量平均分子量10万以下である前記ヨーグルト類を提供するものである。
【0019】
また本発明は、βグルカンの配合量が、ヨーグルト全量に対して、0.1〜30重量%である前記ヨーグルト類を提供するものである。
【0020】
また本発明は、イネ科植物から抽出されたβグルカン存在下で、乳酸発酵を行う工程を有するヨーグルト類の製造方法を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のヨーグルト類は、従来公知のヨーグルト類の製造原料に、イネ科植物から抽出されたβグルカンを配合して製造された、βグルカンが配合され製造されたヨーグルト類、または、従来公知のヨーグルト類に、βグルカンが配合添加されたヨーグルト類である。
【0022】
まず本発明でいうヨーグルト類について説明する。
ヨーグルト類は、例えば、生乳ないし牛乳または脱脂乳及び/または粉乳(全脂粉乳、脱脂粉乳等)あるいはその他植物蛋白質などの主原料にその他副原料を加えてから、乳酸菌スターターを接種し、びんや紙容器などの流通用容器に詰めて発酵させてプリン状に固めて製造されるハードタイプと称されるもの、また、流通用容器に詰めて発酵させる代りにタンクによる発酵後、解砕し、流通用容器に充填して製品とするソフトタイプと称されるもの、また、砂糖などの甘味料、酸味料、香料、オリゴ糖、乳化剤、その他を所望により主原料に加えて製造されたもの(このような添加物を加えないで製造されるものはプレーンタイプ)、さらには果物(果肉、果汁)、スターチ、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グリロイド等の増粘多糖類を原材料に加えて製造されたもの(フルーツタイプ)、さらには従来公知の、フローズンヨーグルト、固形のヨーグルト、発酵乳を凍結乾燥させた粉末ヨーグルトや、乳酸発酵エキスあるいは乳酸発酵液に油脂や蛋白質、その他乳化剤や糖類を混合した油脂乳化組成物、発酵乳および発酵乳に油脂を混合して得た乳化組成物に澱粉類を混合して得たペースト状ヨーグルト等が挙げられ、本明細書においては、これら種々のヨーグルトをまとめてヨーグルト類と総称する。ただし単なる乳酸菌飲料にβグルカンを添加したものは含まない。
【0023】
次にヨーグルト類の原料について説明する。
本発明のヨーグルト類においては、イネ科植物から抽出されたβグルカンを配合するということ以外、従来公知のヨーグルト類の製造に用いられる配合原材料及び従来公知の組成を使用でき、その製造方法は、常法に従うことができる。
【0024】
本発明のヨーグルト類に用いられる主原料は、例えば、生乳、牛乳、加工乳、生クリーム、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の粉乳等、あるいは、乳清蛋白質等の乳製品の一種または二種以上であり、無脂乳固形分8〜11重量%(以下、重量%を単に%と略記する)、乳脂肪分0〜7%のものを使用することができる。また、山羊乳や羊乳、馬乳を主原材料とすることもできる。総じて、ヨーグルト類の製造においては乳蛋白質を主体としてなる原材料を使用するが、さらには、豆乳、小麦グルテン等の植物性蛋白質原料などいずれの動植物蛋白質を使用したヨーグルトも本発明ではヨーグルト類と称する。また、無脂乳固形分が8重量%以下、乳脂肪分7%以上のものを使用したヨーグルト様食品も製造することができ、本発明ではヨーグルト類とする。
【0025】
さらには糖類も使用することができ、本発明のヨーグルト類で用いられる糖類としては、単糖類、2糖類、3糖類あるいはオリゴ糖、デキストリン、澱粉等、資化性の有無にかかわらずいずれのものも使用可能である。また、アスパルテーム、サッカリン、ステビオサイド等の低カロリー甘味料の0.01〜5%を原材料組成として使用することができる。なお、これら低カロリー甘味料は、賦形剤としてソルビトール、マルチトール、イノシトール等の糖アルコール類や「ポリデキストロース」(ダニスコカルタージャパン社製)などの難消化性多糖類が配合されていても差し支えない。副原料としては、離水防止剤や安定性を目的として、従来公知の寒天、ペクチン、ゼラチン、グアガム、カラギーナン、ローカストビーンガムなどの増粘多糖類を 0.1〜5.0 %配合することができる。しかし、食感の低下をなるべく抑えるために公知の離水防止剤や安定剤の使用をなるべく少量に抑えた方が好ましい。更には、油脂、上記に挙げた以外の糖類、好みにより、果実、香料などを添加してももちろん構わない。もちろん、上記添加、配合量は単なるめやすに過ぎず、この数値に限定されるものではない。
【0026】
次に本発明のヨーグルト類に使用される乳酸菌について説明する。
本発明のヨーグルト類は上記の原材料に、常法に従い、乳酸菌スターターを接種して発酵させればよく、桿菌のLactobacillus属やBifidobacterium属、球菌のLeuconostoc属、Pediococcus属、Streptococcus属、Lactococcus属が通常使用されるが、その他、Enterococcus属、Vagococcus属、Carnobacterium属、Aerococcus属、Tetragenococcus属の乳酸菌を利用することもできる。具体的な乳酸菌株としては、Lactobacillus bulgaricus、L.helveticus、L.acidophilus、 L.lactis、L.casei、L.brevis、L.plantarum、L.sake、Streptococcus thermophilus、S.lactis、S.cremoris、Bifidobacterium longum、B.bifidum、B.breve、B.infantis、Leuconostoc cremoris、Ln.mesenteroides、Ln.oenos、Pediococcus acidilactici、P.cerevisiae、P.pentosaceusなど従来使用されている乳酸菌の1種類または2種類以上を使用できる。これらは単品で使用してもよく、2種類以上を共生させてもよい。またビフィドバクテリウム菌の培養とその他乳酸菌の培養を別々に培養し混合してもよい。また、乳酸菌体を生育に適した培地を用いて培養して得た生菌、加熱処理等によって得た死菌体を添加混合してもよい。スタ−ターとしての目的以外に乳酸菌菌体の添加は、βグルカンを配合した本発明のヨーグルト類の機能性を増強するのに最も好ましい方法である。
【0027】
本発明のβグルカン含有ヨーグルト類は上記したようなヨーグルト類にイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合すればよい。
【0028】
次に本発明で使用されるイネ科植物から抽出されたβグルカンについて説明する。
本発明のヨーグルト類に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカン(以下、抽出βグルカンともいう)は、その抽出方法に特に制限はなく、抽出原料となるイネ科植物に、抽出溶媒を添加し抽出すればよい。また、固液分離された場合の抽出液そのもの、あるいは、抽出液より公知の方法で抽出されたβグルカンを濃縮した液体や固体状のもの、あるいは、抽出液より公知の方法で精製し純度を上げた液体や固体状のもの等、いずれの製造方法で得たものでも、いずれの形態のものでも、いずれの純度のものでも使用可能である。もちろんβグルカン以外の抽出された成分が混合していても何ら問題はない。本発明では、これらを全てイネ科植物から抽出されたβグルカンという。
【0029】
イネ科植物の例としては、米類、小麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等の穀類を挙げることができる。抽出には、植物全体を原料とできるが、βグルカンの含有量の比較的高い種子を用いるのが好ましい。全体を粉砕したもの(全粒粉)をはじめ、穀類の精製工程で得られる糠、フスマ、麦芽、胚芽、胚乳部位のいずれを用いてもよい。好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や穀粒を外周部より搗精した胚乳部分やその際発生する糠、米糠、小麦やトウモロコシ類のフスマや胚芽等であり、更に好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や穀粒を外周部より搗精した胚乳部分やその際発生する糠である。
【0030】
また、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンは、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合、1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンが好ましく、1−3−β−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを含有することがより好ましい。
【0031】
更に、本発明に係るβグルカンのイネ科植物からの抽出方法を説明すると、本発明に係るβグルカンは、水溶性高分子として水溶液として溶解させることができ、例えばイネ科植物の穀類粉末に水、温水、熱水あるいは塩溶液、更には酸、アルカリ性の水溶液、有機溶媒等を用いて、対粉2〜100倍量の溶媒にて任意の時間、任意の温度で抽出することができる。更に抽出液を固液分離してβグルカンを得ることができる。これらの中でも、水、温水又は熱水で抽出されたβグルカンが好ましく、温度80℃以下4℃以上の水で抽出されたβグルカンがより好ましい。更に抽出時に抽出促進剤等を加えてもよい。
【0032】
具体的には、大麦から高分子量のβグルカンを得る方法としては、例えば、多ろう質大麦を原料とし、水抽出により製造する方法(特公平4−11197号公報)、あるいは、大麦、オーツ麦を原料として、アルカリ抽出、中和、アルコール沈殿により、重量平均分子量10万〜100万のβグルカンを得る方法(特公平6−83652号公報)、搗精歩留まり82%以下の大麦糠類を原料として、80〜90℃の熱水にてβグルカンを抽出する方法(特開平11−225706号公報)等で得られたβグルカン、またこれらの製造方法で得られたβグルカンを更に公知の方法で低分子化βグルカンとしたもの。例えば低分子化の方法としては、公知である多糖類の加水分解反応のいずれもが利用可能である。例えば、水溶性多糖類は、酸存在下に加圧加熱により加水分解することが知られており、これを利用して低分子化することができる。また、酵素による加水分解反応を利用した低分子化も有効で、酵素としては、1・ 3−βグルカナーゼ等を用いることができる。更にまた、WO98/13056号公報、特願2000−287920号等の方法により、原料穀物から直接抽出して得たβグルカンも用いることができる。また、特願2000−295660号に記載の抽出促進剤等を使用するのも好ましい。
【0033】
本発明に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカンは、高分子体で、いずれの平均重量分子量を持つβグルカンも使用可能であるが、分子量の低下と共に他のヨーグルト成分との相和性がよくなるため、分子量300万以下、好ましくは50万以下、更に好ましくは10万以下のものがよい。抽出されたβグルカンは、他のヨーグルト成分との相和性が良くなるように、公知の方法で低分子化してもよく、直接低分子量のβグルカンを抽出してもよい。
【0034】
なお、イネ科植物から抽出し精製を行わず、抽出液をそのまま、あるいは粉体化、固体化処理のみを行なったものをそのまま使用する場合、該成分中のβグルカンの純度は、高純度であればある程良いが、1〜100%、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは20〜100%がよい。
【0035】
次に本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したヨーグルト類の製造方法について説明する。
【0036】
本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したヨーグルト類は、抽出βグルカンを、ヨーグルト類へ添加すれば得ることができる。添加時の抽出βグルカンの形態には特に制限はなく、そのまま、あるいは水やその他水溶性の溶媒やヨーグルト類の他の原材料に溶解させて、添加すればよい。添加時には、攪拌混合、必要に応じて加熱し、抽出βグルカンを溶解・分散させることが好ましく、また既存の食品用乳化剤等を加えて乳化させてもよい。混合させる手段は特に限定されず、ミキサー等の混合器を用いることができる。添加する時期は、発酵前、発酵後、容器への充填前後等、いずれでもよいが、発酵前に他の原材料と予め混合しておき、その後発酵させることが食感や耐離水性の点から好ましい。
【0037】
本発明のヨーグルト類中の抽出βグルカンの含有量は、特に制限されないが、摂食時のヨーグルト類全量に対して、0.1〜30重量%となるように配合するのが好ましく、0.5〜20重量%がより好ましい。抽出βグルカンが0.1重量%未満であると、該βグルカンの機能性効果が得られないおそれがあり、30重量%を超えると、ヨーグルトの品質が低下する場合がある。
【0038】
本発明のヨーグルト類は、ヨーグルトにβグルカンの機能性を付与し、ヨーグルトの離水を防ぐことはもとより、ヨーグルトの過度の酸味を抑制することもでき、その食味、食感が向上する。
【0039】
本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したヨーグルト類はさらに機能性を高めるため、他の健康機能性や生活習慣病予防作用を有する食品成分を併用添加することができる。例えば、血中脂質濃度を適正化する高不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、血清コレステロールを調節する植物ステロール、及びそのエステル化物、ジアシルグリセロール、γリノレン酸、αリノレン酸、共役リノール酸、ビートファイバー、コーンファイバー、サイリウム種皮、フェヌグリークガム、プルラン、オーレオバシジウム培養液、グアーガム酵素分解物、アルギン酸ナトリウム、低分子化アルギン酸ナトリウム、イヌリン、イヌリン分解物、茶ポリフェノール、レシチン、リゾレシチン、血圧降下に有効なかつお節ペプチド、イワシペプチド、カゼインドデカペプチド、大豆分離蛋白質等、乳酸菌菌体、酵母菌体、納豆菌菌体、納豆菌培養液、紅麹、紅麹菌体、グルコン酸、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロース、黒糖、蛋白質−多糖複合体、など各種食物繊維等を含む食品成分や食品、医薬品があげられる。その他、健康機能性を有することが知られている、サメ軟骨、サメ肝油、サメ抽出物、蜂蜜、黒酢、マヌカハニー、クロレラ、スピルリナ、プロポリス、キチン、キトサン、核酸、霊芝、アガリクス、点茶、点茶エキス、銀杏葉エキス、らかん果、ウコン、ガルシニア、アップルファイバー、ギムネマ、コラーゲン、ブルーベリー、クランベリー、アロエ、ノコギリヤシ、植物発酵酵素、葉酸、ビタミンK、大豆イソフラボン、葉緑素、ローヤルゼリー、プロポリス、高麗人参、プルーン、カモミール、タイム、セージ、ペパーミント、エキナシアエキス、レモンバーム、マロウ、オレガノ、キャットニップティー、ヤロー、ハイピスカス、マヌカオイル等のハーブ類、ブドウ種子エキス、大麦ポリフェノール、カテキン、L-アスコルビン酸、尿酸、ビタミンE、アントシアニジン、トコトリエノール、エンゾジノール、リコピン、SOD、チオタウリン、セサミン、ピクジェノール、アントシアン、アントシアニジンなどの抗酸化性を示す物質を本発明のヨーグルト類に添加して生体調節機能性を増強したヨーグルト類を得ることができる。
【0040】
本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したヨーグルト類はさらに嗜好性を高めるため、他の食品を添加することができる。例えば、果物・野菜類では、ザクロ、リンゴ、イチゴ、キウイ、チェリー、メロン、夕張メロン、洋なし、パイナップル、バナナ、栗、イチジク、ボイセンベリー、サボテン、オレンジ、キイチゴ、白桃、プルーン、ブドウ、白ブドウ、レモン、ミカン、夏みかん、伊予かん、ポンカン、かぼす、サクランボ、ゆず、巨峰、なし、スイカ、ブルーベリー、クランベリー、桃、クルクリン、アロエ、にんじん、カボチャ、大根、セロリ、パセリ、トマト、キューリ、なす、キャベツ、白菜、れんこん、サツマイモ、ポテト、里芋、キノコ類、ハーブ類などの果汁、あるいは果肉や葉を小片とし本発明のヨーグルト類に添加することができる。その他、全卵、卵蛋白、卵白、卵黄、生クリーム、バニラ、チーズ、カマンベール、レアチーズ、ババロア、抹茶、ナタデココ、牛乳、キャラメル、チョコレート、カカオ、コーヒーを本発明のヨーグルト類に添加して嗜好性を増強したヨーグルト類を得ることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、「部」は特記しない限り全て「重量部」を示し、「%」は特記しない限り「重量%」を示す。
【0042】
〔試験例1〕(βグルカン含有量の測定)
βグルカンの分析は、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)にて行った。まず、測定サンプルが粉体の場合、500μm(30メッシュ)のふるいにかけ、水分含量を測定し、その100mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。次に4mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、よく混合した後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合し、更に2分間、湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、1時間、50℃にて反応させた。チューブに200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、5ml加えて、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。100μlを3本のチューブに取り、1本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分間、反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ベルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)を測定した。βグルカン含有量は、次式により求めた。
βglucan(%,W/W)=(EA)×(F/W)×8.46
F=(100)/(グルコース100μgの吸光度)
W=算出された無水物重量(mg)
また、測定サンプルがβグルカンを抽出した抽出液(液体)の場合は、以下のように抽出物(固体あるいは粉末)としてから含有量を測定した。すなわち、βグルカン抽出液に2倍量のエタノールを添加しよく混合してから遠心分離にて沈殿を回収し、よく乾燥させ粉砕し、βグルカン抽出物(固体)とした。βグルカン抽出物は、水分含有量を測定後、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)にて分析した。各沈殿サンプル50mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。その後は上記と同様に測定した。
【0043】
〔試験例2〕(分子量の測定)
抽出物の分子量測定は、以下の通りとした。すなわち、抽出物の5mgをチューブに取り、0.5mlの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22μmのフィルターを通してHPLC用のサンプルとした。分離にはHPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックドカラムKS−805(昭和電工社製)を用い、流速0.6ml/min.、温度50℃、検出にはRI検出器、分離溶媒は水で実施した。分子量マーカーとしてはShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いて測定した。
抽出βグルカンが抽出液(液体)の場合は、まず、2倍量のエタノールを加え、−20℃に冷却して1時間、放置し、沈殿を得た。得られた沈殿の5mgをチューブに取り、以下、抽出物の場合と同様に操作して、分子量を測定した。
【0044】
〔βグルカン原料及び抽出促進剤の製造例〕
もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、歩留まり82%まで精麦した。このとき発生した糠を糠―1とした。歩留まり82%まで精麦した大麦は、さらに研削式搗精機により削り、歩留まり55%まで精麦した。このとき発生した糠を粉砕物−1とした。容器(50L)に水道水20Lを加え、撹拌しながら、15℃に調温した。これに糠―1の6kgを加え、2時間撹拌抽出し、連続遠心機にて固液分離後、上清を凍結乾燥し、抽出促進剤450gを得た。
【0045】
〔βグルカンの抽出例−1〕
容器(70L)に水道水30Lを加え、撹拌しながら、上記抽出促進剤を150g加え、溶解後、上記粉砕物―1の7.5kgを加えた。2時間、50℃で撹拌抽出してから連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、冷却後に15Lのわずかに粘調なβグルカン液を得た。得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈殿を回収、乾燥させて、抽出βグルカンAの460gを得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は83%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は、分子量20万〜1万に検出され、最大ピークは、分子量4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。
【0046】
〔βグルカンの抽出例−2〕
容器(70L)に水道水40Lを加え、撹拌しながら、上記抽出促進剤を150g加え、溶解後、オーツ麦の加熱粉砕物10kgを加えた。2時間、55℃で撹拌抽出してから連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、冷却後に15Lの粘調なβグルカン液を得た。得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈殿を回収、乾燥させて、抽出βグルカンBの300gを得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は74%であった。試験例2に従い分析の結果、抽出物は、分子量20万〜2万に検出され、最大ピークは、分子量7万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。
【0047】
実施例1
抽出βグルカンAを使用し本発明のヨーグルトを製造した。原材料として牛乳(無脂乳固形分 8.3%)をそのまま使用した。
牛乳1kgを2L容のビーカーに採り、これに上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンA50gを加え、撹拌し、βグルカンを均一に混合した。これを60℃まで昇温し、溶解させた後、43℃まで降温し、市販の乳酸菌スターターヨーフレックスカルチャー「YC-350」(クリスチャンハンセン社製)を対乳原料0.05% 添加し、同温度で約 4.5時間発酵させた。得られた本発明のヨーグルトは、pHが4.55であった。
更に比較のために、βグルカンを添加しなかった他はまったく同様にして同じくヨーグルトを試作し、比較品とした。
【0048】
各ヨーグルトを冷蔵(約15℃)下で3週間静置した後の離水率(ヨーグルト全量に対する分離乳清の重量比)は、比較品が 4.5%にも達っしたのに対し、本発明品はわずか 0.2%であって外観上では離水は殆どみられず、製造後40日間経ってもなおその効果が顕著であった。
また、引続き行なった20名よりなるパネラーによる官能評価では、比較品ではヨーグルトにややダマがみられ、ザラつく食感であったのに対し、本発明品はいずれもダマの発生はなく、ヨーグルト本来の滑かな食感であり、過度の酸味の抑えられた良好なものであった。
【0049】
実施例2
抽出βグルカンBを使用し本発明のヨーグルトを製造した。原料乳として全脂粉乳と脱脂粉乳とを併用した。
5L容のビーカーに水1820gと抽出βグルカンBの40gを採り、90℃でよく撹拌溶解した。50℃まで降温させ、全脂粉乳78g、脱脂粉乳 108gを分散溶解させた。このものの無脂乳固形分は 8.0%であった。これを45℃に保持した後、実施例1に記載したと同一のスターター1gを添加した。このものを44℃にて醗酵し、pHが4.6 に達したところで(醗酵所要時間は約3時間)10℃に冷却し、本発明のヨーグルトを得た。
更に比較のために、抽出βグルカンを添加しなかった他は全く同様にして同じくヨーグルトを試作し、比較品とした。
【0050】
各ヨーグルトを冷蔵(約15℃)下で3週間静置した後の離水率(ヨーグルト全量に対する分離乳清の重量比)は、比較品が 5.8%であったのに対し、本発明のヨーグルトは0.2%であり、本発明のものはその効果が顕著であった。
また、20名によるパネラーによる官能評価では、比較品に比べて本発明のヨーグルトは、ヨーグルト本来の滑らかな食感を有し、過度の酸味の抑えられた良好なものであった。
【0051】
実施例3
抽出βグルカンBを使用し、コーカサス地方の伝統的な発酵乳であるケフィアを製造した。1Lパックの牛乳から500mlを取り出し、55℃に暖め、βグルカンBを10g加えて溶解させ、パックへ戻してから、よく混合した。室温に戻してから、高活性ケフィア菌(ホームメードケフィア、ローゼル社製)1gを加えてよく混合した。パックを25℃に保温し、1日発酵させた。その後、冷蔵庫にて2週間保管した。
更に比較のために、抽出βグルカンを添加しなかった他は全く同様にして同じくケフィアを試作し、比較品とした。
【0052】
各ケフィアを冷蔵(約10℃)下で2週間静置した後の離水率(ヨーグルト全量に対する分離乳清の重量比)は、比較品が 7.7%であったのに対し、本発明のヨーグルトは1.2%であり、本発明のものはその効果が顕著であった。
また、20名によるパネラーによる官能評価では、比較品に比べて本発明のケフィアは、βグルカン無添加に比較してカードがよりなめらかで良好な食感を有し、酸味がより抑えられた良好なものであった。
【0053】
実施例4
抽出βグルカンAを使用し本発明の豆乳ヨーグルトを製造した。原料として豆乳を使用した。北海道産白目大豆1500gに水を加え、16時間浸漬し、次いで10倍量の水の存在下に磨砕し、95℃にて10分間加熱殺菌、蛋白抽出を行ない遠心分離し、固形分濃度5.7%の豆乳12400gを得た。
この豆乳1000gに乳糖40g、グルコース40gを加え溶解させたものを2L容のビーカーに採り、これに抽出βグルカンAの20gを加え、撹拌し、βグルカンを均一に混合した。これを44℃に温度調整し、市販の乳酸菌スターター「YC-470」(クリスチャンハンセン社製)を豆乳に対し0.02%添加し、同温度で約 4.5時間発酵させ、本発明品の豆乳ヨーグルトを得た。
更に比較のために、βグルカンを添加しなかった他はまったく同様にして同じく豆乳ヨーグルトを試作し、比較品とした。
【0054】
20名よりなるパネラーによる官能評価を行なった結果、比較品ではヨーグルトにややダマがみられ、ザラつく食感であったのに対し、本発明品はいずれもダマの発生はなく、ヨーグルト本来の滑かな食感であり、良好なものであった。
【0055】
実施例5
上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンAの0.1kgに18kgの水を混合し、80℃で溶解させた後、50℃まで降温し、脱脂粉乳6kg、オリゴ糖4kgを加えて撹拌混合し添加原料を得た。65℃に予熱した牛乳400リットルに上記の添加原料と、液糖50kgを加えホモゲナイザーを用いて均質化処理し、原料粒子を微細化・均一化し、完全混合、溶解させた。圧力条件は1次圧:120kg/cm2、2次圧:30kg/cm2に設定した。培養タンクに原料を送液し、85℃で30分間殺菌後、乳酸菌スターターYC350(クリスチャンハンセン社製)を0.07%混合して40℃、4時間培養した。また、25%脱脂粉乳液500mlにビフィドバクテリウム・ビフィダムのスターターを0.5%植菌しpHが5.3になるまで培養し培養液を得た。タンクを10℃以下になるまで、冷却後、適時撹拌して、培養液を添加混合した。次にタンク内発酵物を容器に充填し、βグルカン含有ヨーグルトを得た。βグルカンを添加しないこと以外同様に作業して比較例を得た。得られたヨーグルトは、βグルカン無添加の比較例に対して程良い酸味を呈し、ヨーグルト本来のとろみのある良好な食感を示し安定していた。
【0056】
実施例6(油中水型乳化組成物を乳酸発酵させたヨーグルト類)
ナタネ油:大豆硬化油(融点38℃)を80:20で含有する食用油脂10部を65℃に加温しながら、上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンA3部、レシチンとモノグリを各々0.08部添加し、撹拌溶解させて油相を調製した。一方、水65部を約38℃に加温し、ホモミキサーで撹拌しながら、脱脂粉乳22部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで50kg/cm2の圧力下で均質化し、30℃まで急冷してクリームミックスを調製した。クリームミックス中のβグルカン量は4.6%であった。このようにして得られたクリームミックスに、ヨーグルトスターター0.1部(YC-460:クリスチャンハンセン社製)を添加し、30℃で9時間発酵を行い、pH4.4の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液100部に対し食塩0.1部、ミルクフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに150kg/cm2の圧力下に均質化後、ピロー包装し、5℃に急冷してヨーグルト類を得た。更に比較のために、抽出βグルカンを添加しなかった他は全く同様にして同じくヨーグルト類を試作し、比較品とした。βグルカン無添加の比較品に対して本発明品は程良い酸味を呈し、食味に優れ、かつ保形成に優れた安定したスプレッド性のクリームが得られた。
【0057】
実施例7(油中水型乳化組成物を乳酸発酵させたヨーグルト類)
ナタネ油:大豆硬化油(融点45℃)を1:1で混合した食用油脂の18部を65℃に加温しながら、レシチンとモノグリを各々0.08部添加し、撹拌溶解させて油相を調製した。一方、水60部を約38℃に加温し、ホモミキサーで撹拌しながら、脱脂粉乳20部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで100kg/cm2の圧力下で均質化し、40℃まで急冷してクリームミックスを調製した。このようにして得られたクリームミックスに、実施例5と同様のヨーグルトスターター0.2部を添加し、33℃で10時間発酵を行い、pH4.4の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液100部に対し上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンAの5部、食塩0.1部、ミルクフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに100kg/cm2の圧力下に均質化後、ピロー包装し5℃に急冷してヨーグルト類を得た。更に比較のために、抽出βグルカンを添加しなかった他は全く同様にして同じくヨーグルト類を試作し、比較品とした。βグルカン無添加の比較品に対して本発明品は程良い酸味を呈し、食味に優れ、かつ安定したスプレッド性を示した。
【0058】
比較例1
抽出βグルカンAを添加しない代わりに大麦α化デンプンを5部添加すること以外は実施例7と同様にして、ヨーグルト類を得た。
すなわち、ナタネ油:大豆硬化油(融点45℃)を1:1で混合した食用油脂の18部を65℃に加温しながら、レシチンとモノグリを各々0.08部添加し、撹拌溶解させて油相を調製した。一方、水60部を約38℃に加温し、ホモミキサーで撹拌しながら、脱脂粉乳20部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで100kg/cm2の圧力下で均質化し、40℃まで急冷してクリームミックスを調製した。このようにして得られたクリームミックスに、実施例7と同様のヨーグルトスターター0.2部を添加し、33℃で10時間発酵を行い、pH4.4の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液100部に対し大麦α化デンプン5部、食塩0.1部、ミルクフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに100kg/cm2の圧力下に均質化後、ピロー包装し5℃に急冷して比較例1のヨーグルト類を得た。この比較品では、強い酸味を呈するとともに、油っぽい食味を呈した。また、すぐに型くずれして不安定なスプレッド性を示した。
【0059】
実施例8
全粉乳250gに水を加えて全量を1200gにした後、150kg/cm2で均質化し、さらに加熱殺菌をして37℃まで冷却した。次にラクトバチルス・アシドフィルスのスターター1%とビフィドバクテリウム・ブレーベのスターター1%を摂種し、pHが5.2になるまで37℃で培養した。また、オリゴ糖800g、上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンA10gを1kgの水に加え、80℃で溶解させ、30℃に降温したシロップを調製し、得られた発酵物に加え液状ヨーグルトを得た。βグルカンを添加しないこと以外同様に作業して比較例を得た。得られた液状ヨーグルトは、βグルカン無添加の比較例に対して程良い酸味を呈し、沈殿が抑えられており安定していた。
【0060】
実施例9
牛乳1lに砂糖10g、乳糖30gを加え、溶解させた後、乳酸菌スターターYC-280(クリスチャンハンセン社製)を0.4g添加し、40℃にて5時間発酵させた。この乳酸発酵液70部に水5部、脱脂粉乳5部を加えてよく混合した。別に、ナタネ硬化油(融点30℃)16部を60℃に保ち、上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンAのを0.1部分散させ、5分間混練した後、先に得た乳酸発酵液を徐々に添加し、100kg/cm2の圧力下に均質化後、冷却してヨーグルト類を得た。
【0061】
比較例2
抽出βグルカンAを添加しない代わりにナタネ硬化油(融点30℃)を4部追加すること以外は実施例9と同様にして、ヨーグルト類を得た。βグルカン無添加の比較例2では、油っぽい食味を呈した。また、すぐに型くずれして、数時間放置することで表面に油相分離が認められ、不安定なスプレッド性を示した。
【0062】
実施例10
Pediococcus damnosus菌株(大阪発酵研究所に保存のIFO-3896株)をMRS培地3Lに植菌し、5日間、30℃にて培養した。培養液を遠心分離して、18gの湿菌体を得た。 得られた菌体を0.9%生理食塩水で3回洗浄後、培養菌体とした。ナタネ油:大豆硬化油(融点45℃)を1:1で混合した食用油脂の18部を65℃に加温しながら、モノグリを0.1部添加し、撹拌溶解させて油相を調製した。一方、水60部を約38℃に加温し、ホモミキサーで撹拌しながら、脱脂粉乳20部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで100kg/cm2の圧力下で均質化し、40℃まで急冷してクリームミックスを調製した。このようにして得られたクリームミックスに、実施例5と同様のヨーグルトスターター0.02部を添加し、43℃で5時間発酵を行い、pH4.5の発酵液を得た。この発酵液100部に対し、上記βグルカンの抽出例−1で得られた抽出βグルカンAの0.5部、食塩0.1部、ミルクフレーバー0.05部、上記培養菌体2gを添加し、80℃で30分間加熱殺菌した後、100kg/cm2の圧力下に均質化後、ピロー包装し5℃に急冷してヨーグルト類を得た。本発明品は程良い酸味を呈し、食味に優れ、かつ安定したスプレッド性を示した。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた生体調節機能性を有するβグルカンを、食味・食感の低下等がなく、着色などの品質低下を抑え、供することのできるβグルカン含有ヨーグルト類を提供することができる。さらにヨーグルト類本来の食感を維持したままで、離水の生じないヨーグルト類を提供することができる。

Claims (5)

  1. イネ科植物から抽出されたβグルカンを配合したことを特徴とするヨーグルト類。
  2. イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である請求項1記載のヨーグルト類。
  3. βグルカンが重量平均分子量10万以下である請求項1または2記載のヨーグルト類。
  4. βグルカンの配合量が、ヨーグルト全量に対して、0.1〜30重量%である請求項1〜3の何れかに記載のヨーグルト類。
  5. イネ科植物から抽出されたβグルカン存在下で、乳酸発酵を行う工程を有するヨーグルト類の製造方法。
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