JP6777606B2 - 大豆粉を使用した乳酸菌発酵物の製造方法 - Google Patents
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Description
[1](i)丸大豆を100〜115℃未満で5〜10分、次いで115〜130℃で1〜10分の2段階で加熱処理すること、
(ii)加熱処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造すること、
(iii)大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得ること、
(iv)大豆粉分散溶解液を品温70〜100℃で40分以内のプロテアーゼ処理すること、
(v)プロテーゼ処理した大豆粉分散溶解液を均質化すること、および
(vi)均質化した大豆粉分散溶解液を乳酸菌で発酵させること
を含む、乳酸菌発酵物の製造方法、
[2]前記(iv)のプロテアーゼ処理後、前記(v)の均質化前に、加熱処理を行うことをさらに含む、[1]記載の方法、
[3]前記乳酸菌が資化する糖を大豆粉又は大豆粉分散溶解液に加えることをさらに含む、[1]又は[2]記載の方法、
[4]前記(i)の加熱処理が乾式加熱によって行われる、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法、
[5]前記(ii)において、加熱処理した大豆を脱皮した後、粉砕する、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法、
[6]前記(v)の均質化が、50MPa以上の圧力下で少なくとも2回の均質化処理によって実施される、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法を提供する。
下記の実施例および比較例は、特記しないかぎり、下記の材料および条件を用いて行った。
丸大豆の加熱処理は、110℃10分、次いで120℃5分の2段階の熱風加熱で行った。大豆粉の製造は、加熱処理後の大豆を脱皮機で脱皮し、粉砕機にて粉砕することにより行った。得られた大豆粉の平均粒径は20〜25μmである。
大豆粉の分散溶解は、95℃の熱水中10重量%の大豆粉を、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌することによって行った。大豆粉分散溶解液のプロテアーゼ処理は、パンチダーゼNP−2(ヤクルト薬品工業社製、中性プロテアーゼ)を10ppm(w/w)となるように添加し、70℃で40分間維持した。大豆粉分散溶解液の均質化は、ホモジナイザー(APV社製 LAB1000)を用いて、90MPaの圧力下で2回行った。
乳酸菌発酵は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFC(受託番号FERM P−20185)を用いて行った。グルコースを1.0重量%加えた無調整豆乳100mLに乳酸菌を添加し、25℃環境下で8時間発酵を行い、クレモリス菌を108cfu/g含有するスターター(以下、「スターターFC」という)を調製した。大豆粉分散溶解液への植菌は、該スターターを4.0重量%添加することにより行い、次いで、25℃環境下で8時間発酵を行った。
表2〜4に示す条件で、丸大豆の加熱処理を行った。各条件下で加熱後、脱皮、粉砕して大豆粉とし、95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるように入れ、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌して、各大豆粉分散溶解液を得た。各大豆粉分散溶解液にパンチダーゼNP−2を10ppm(w/w)となるように添加し、70℃で40分間維持してプロテアーゼ処理を行い、次いでホモジナイザーを用いて90MPaの圧力下で2回均質化処理を行い、25℃まで冷却した。各大豆粉分散溶解液にスターターFCを4.0重量%添加し、25℃環境下で8時間発酵させた後、得られた乳酸菌発酵物のカードの官能評価を行った。評価は、五味識別検査において味覚優良者として選抜され、訓練された嗜好性官能評価パネラー5名によって行った。官能評価は、不快味の有無(青臭み、収斂味(渋み、えぐ味)、苦味、酸味)、および、好ましい風味の有無(甘味、こく味、良好な香り立ち、ロースト感)の評価結果を踏まえて総合評価し、表1に示す通り、4段階で設定した。
室温(25℃)、50℃、70℃、または95℃の熱水中に大豆粉を10重量%となるように入れて、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌後、プロテアーゼ処理を行った。プロテアーゼ処理は、パンチダーゼNP−2を10ppm(w/w)となるように添加し、各温度で適当な時間(95℃は5分間、70℃は40分間、50℃と室温はいずれも1時間)維持した。次いで、ホモジナイザーを用いて90MPaの圧力下で2回均質化処理を行った後、25℃まで冷却し、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させた後、得られた乳酸菌発酵物のカードの官能評価を実施例1〜4と同様に行った。結果を表5に示す。
95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるように入れ、同時に、パンチダーゼNP−2を大豆粉分散溶解液中100ppmとなる量を添加し、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌して分散溶解させた後、95℃まで昇温して5分間維持した後、60℃まで冷却し、90MPa圧力下で均質化処理を2回行い、さらに30℃まで冷却した(実施例8)。同様に、95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるように入れ、酵素を添加せずに分散溶解させた後、95℃まで昇温して5分間維持した後、60℃まで冷却し、90MPa圧力下で均質化処理を2回行い、さらに30℃まで冷却した(比較例10)。得られた各大豆粉分散溶解液に、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させた。得られた各乳酸菌発酵物のカードの硬さをクリープメーター(Yamaden社製:Creep Meter RE2−33005C:プランジャーφ2cm、速度=600mm/分)で測定した。結果を表6に示す。
95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるよう入れ、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌して大豆粉分散溶解液を得た。該大豆粉分散溶解液にパンチダーゼNP−2を10ppm(w/w)となるように添加し、70℃で40分間維持してプロテアーゼ処理を行った。次いで、該大豆粉分散溶解液を、ホモジナイザーを用いて、0MPa、20MPa、40MPa、60MPa、75MPa、または90MPaの圧力で1回均質化した。均質化した大豆粉分散溶解液に、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させ、乳酸発酵物のカードの食感と沈殿の有無、および風味を評価した。評価は、五味識別検査において味覚優良者として選抜され、訓練された嗜好性官能評価パネラー5名によって行った。食感の評価は、「×」沈殿が多くザラツキがある、「△」少ないが底に沈殿物が認められる、「○」沈殿物もザラツキも気にならないレベルである、「◎」滑らかでザラツキを感じない、の4段階で評価した。風味の評価は、「×」青臭さ、豆臭さを感じる、「△」青臭さ、豆臭さを感じない、「○」青臭さ、豆臭さがなく、大豆由来の良い風味(甘味、うま味)を感じる、「◎」青臭さ、豆臭さがなく、大豆由来の良い風味(甘味、うま味)をより強く感じる、の4段階で評価した。結果を表7に示す。
93℃の熱水に大豆粉を11重量%となるよう入れ、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌して大豆粉分散溶解液を得た。パンチダーゼNP−2を大豆粉分散溶解液中30ppmとなる量を添加して分散溶解させた後、85℃で30分間維持した。次いで、110℃で4秒、120℃で4秒、130℃で4秒、140℃で4秒加熱処理した後、90MPaの圧力で2回均質化した。均質化した大豆粉分散溶解液に、スターターFCを8.0重量%添加して、30℃環境下で5.5時間発酵させた。また、上記プロテアーゼ処理後の大豆粉分散溶解液を140℃で4秒加熱処理し、90MPaの圧力で2回均質化し、次いで、110℃で4秒加熱殺菌処理した後、上記と同様に発酵工程に付した。また、均質化前の加熱処理がない比較対照として、上記プロテアーゼ処理後、直ちに90MPaの圧力で2回均質化し、上記と同様に発酵工程に付した。発酵終了後、5日間4℃で冷蔵静置保管し、各サンプルの官能評価と発酵物表面の離水量を測定した。乳酸発酵物の官能評価は、五味識別検査において味覚優良者として選抜され、訓練された嗜好性官能評価パネラー5名によって行い、均質化前の加熱処理がない実施例17を比較対照の基準にして、下記の食感・風味の評価基準に基づき3段階で評価した。離水量の測定は、発酵物から滲出した液を脱脂綿で拭き取り得られた水分量を、発酵物総量で除して得られる値(×100)を離水量(%)とした。また、発酵前の各大豆粉分散溶解液の粘度を25℃で測定した。粘度測定には、B型粘度計(BROOKFIELD社製、スピンドルLVタイプを使用し、回転速度はトルク値が10〜90%に入るように調整して、測定開始から30秒間の平均粘度(mPa・s)をその測定値とした。結果を表8に示す。
A:対照と比べて、極めて口当たりが滑らかで、かつ濃厚感がある。
B:対照と比べて、より口当たりが滑らかで、やや濃厚感がある。
C:対照と比べて、食感の滑らかさ、濃厚感に著しい差なし。
実施例12〜17と同様にしてプロテアーゼ処理した大豆粉分散溶解液を調製し、140℃で4秒加熱処理した。加熱処理後の大豆粉分散溶解液を、ホモジナイザーを用いて、0MPa、20MPa、40MPa、60MPa、80MPa、または100MPaの圧力で2回均質化した。均質化した大豆粉分散溶解液に、スターターFCを4.0重量%添加して、30℃環境下で5.5時間発酵させた。発酵終了後、4℃で冷蔵静置保管した。発酵終了翌日に、各サンプルの発酵物(生成したカード)を直径1.5cmのパイプで切り出して、室温で30分間放置した後、実施例12〜17に記載のように離水量を測定した。また、発酵前の各大豆粉分散溶解液の粘度を実施例12〜17に記載のように測定した。結果を表9に示す。
Claims (6)
- (i)丸大豆を100〜115℃未満で5〜10分、次いで115〜130℃で1〜10分の2段階で加熱処理すること、
(ii)加熱処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造すること、
(iii)大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得ること、
(iv) 大豆粉分散溶解液を品温70〜100℃で40分以内のプロテアーゼ処理すること、
(v)プロテーゼ処理した大豆粉分散溶解液を均質化すること、および
(vi)均質化した大豆粉分散溶解液を乳酸菌で発酵させること
を含む、乳酸菌発酵物の製造方法。 - 前記(iv)のプロテアーゼ処理後、前記(v)の均質化前に、加熱処理を行うことをさらに含む、請求項1記載の方法。
- 前記乳酸菌が資化する糖を大豆粉又は大豆粉分散溶解液に加えることをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
- 前記(i)の加熱処理が乾式加熱によって行われる、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
- 前記(ii)において、加熱処理した大豆を脱皮した後、粉砕する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 前記(v)の均質化が、50MPa以上の圧力下で少なくとも2回の均質化処理によって実施される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
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