JP2008295348A - 大豆発酵食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大豆食品の不快味、不快臭を除去した大豆発酵食品を提供することを目的とする。
【解決手段】大豆原料をラクトバシルス・プランタラムAP−1株及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株から選択される植物由来の乳酸菌の1種または2種で発酵させたことを特徴とする大豆発酵食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、苦み、渋み、収斂味等の不快味、青臭み、刺激臭等の不快臭の改善された大豆発酵食品を提供するものである。
近年の健康志向の高まりから、良質な植物性蛋白質を含有する豆乳等の大豆加工食品が注目されている。
大豆加工食品は大豆に由来する独特の風味を有するので乳酸菌を用いて乳酸発酵させることにより風味を改善した大豆発酵食品が知られている。
乳酸菌は消化管内で死滅しやすいのですべてがプロバイオテックス機能を有するものではないが、後述のようなプロバイオテックス機能を有する乳酸菌を利用した発酵豆乳も幾つか知られている。
ここで、プロバイオティクスとは「消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質」のことである。
プロバイオティクス機能を持つ微生物を摂取すると、それが消化管内(口腔内や腸内)のフローラ(細菌叢)に作用し、フローラの健常化をはかりながら、疾病の予防、改善を行う、というものである。例えば、免疫賦活,コレステロール低下作用,血圧降下作用,整腸作用,抗酸化,抗腫瘍,抗血栓,造血作用などに働くものである。
微生物のなかでも乳酸菌はプロバイオティクス機能を持つものが多いことで知られている。
乳酸菌は、胃酸や胆汁酸の作用でほぼ死滅してしまうため、乳酸菌製品の開発には、いかに胃酸や胆汁酸で消化されずに腸まで達する製品を作るかが求められている。
腸まで達するプロバイオティクス機能を持つ乳酸菌(広義の乳酸菌も含む。)として、例えば、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)DN−173 010株(カルピス味の素ダノン(株)販売)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)シロタ株((株)ヤクルト本社販売、登録商標)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)KW3110(麒麟麦酒(株)販売)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)OLL2716(明治乳業(株)販売)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)L92株(カルピス(株)販売)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、キムチや漬物発酵の際に活躍するラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)やラクトバチルス・プレビス(Lactobacillus brevis)などが知られている。
この漬物から得られるラクトバチルス・プランタラムは粉末とすることも出来、例えば特許文献1(特開平2−086768号公報)には、粉末ラクトバチルス・ブランタラムの製法が開示されている。
プロバイオテックスとしてのラクトバチルス・プランタラムとしては、特許文献2(特開平6−501624号公報)にラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)299 DSM 6595株が開示されている。
また、特許文献3(特開2005−68092号公報)には、「免疫促進用組成物」として、ラクトバチルス・プランタラムを含む乳酸菌3〜8種とサッカロミセス・セレビシエとの混合培養物が開示されている。
ラクトバチルス・プランタラムを用いた豆乳も幾つか知られている。
特許文献4(特開2003−81855号公報)には、「脂質代謝改善剤およびそれを含有する食品」として、ラクトバチルス・プランタラムを含む乳酸菌を豆乳に作用させて得られる発酵豆乳を含有することを特徴とする脂質代謝改善剤が開示されている。
特許文献5(特開2005−218390号公報)には、「乳酸菌スターター、並びに豆乳発酵食品の製造方法及び豆乳発酵食品」としてラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を含む計5種の乳酸菌株を所定割合で混合してなる混合スターターを用いることが開示されている。
特許文献6(特開平10−229841号公報)には、「脂質代謝改善剤およびそれを含有する食品」として、ラクトバチルス・プランタラムを含む乳酸菌を豆乳に作用させて得られる発酵豆乳が開示されている。
特許文献7(特開2005−224224号公報)には、豆乳あるいは調製豆乳を原料に、スターターとして漬物から分離されたLactobacillus plantarum HOKKAIDO株(受託番号:FERM P−19645)をスターターとして添加し発酵して乳酸発酵豆乳を得ることが開示されている。この菌株は豆乳の風味改善効果を有することが記載されている。この菌株は、北海道立食品加工研究センターが漬物から採取したものであり、これを用いて豆乳を発酵させヨーグルト状にした製品が市販されている。
しかし、以上のラクトバチルス・プランタラムは本発明のラクトバチルス・プランタラムとは菌株が異なるものである。
また、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスを用いた乳製品は多く知られているが豆乳に単独で用いることは稀である。
前記特許文献6には「脂質代謝改善剤」として豆乳に用いる乳酸菌の一つとして、ラクトコッカス・ラクチスやラクトバチルス・プランタラムも例示されているが、本発明に用いる菌株とは異なるものである。
(参考文献)
特開平2−086768号公報 特開平6−501624号公報 特開2005−68092号公報 特開2003−81855号公報 特開2005−218390号公報 特開平10−229841号公報 特開2005−224224号公報
前述の公知の方法では、大豆の不快臭のマスキングや、醗酵フレーバーがあまり好ましいものではなかったり、大豆本来のこく味や旨味が消された製品になってしまい、大豆由来の不快臭、不快味の問題を十分に解決する事が出来ず、それらの改善が求められている状況である。
また、牛乳を原料として製造されるヨーグルト等の乳製品と比較するとその風味の差は未だ大きく、発酵食品の風味改善に対する課題は多い。
なお、前記発酵食品の風味は、原料の発酵に用いられる乳酸菌によって大きく変動するため、スターターとなる乳酸菌の決定は特に重要である。
したがって本発明は、大豆食品の不快味、不快臭を除去した大豆発酵食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、多くの乳酸菌菌株を検索した結果、大豆固有の不快臭、不快味を改善するためには、リンゴの果皮部分から採取したラクトバチルス・プランタラムAP−1株又はキュウリの表皮部分から採取したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株を選択し、これらの植物由来の乳酸菌を含むスターターを用いて大豆原料を発酵させることにより、乳酸生産性、香気性に優れ、大豆食品特有の不快味、不快臭を除去した大豆発酵食品が得られ、かつ消化液に対する耐性にも優れるという知見を得て本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、大豆原料をラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)AP−1株(受領番号:NITE ABP−369)及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)Cu−1株(受領番号:NITE ABP−370)から選択される植物由来の乳酸菌の1種または2種を含むスターターで発酵させたことを特徴とする大豆発酵食品である。
大豆原料は豆乳、大豆粉又は分離大豆蛋白を用いることができる。
大豆発酵食品はプロバイオティクス食品とすることができる。
本発明の方法により、乳酸生産性、香気性に優れ、大豆食品特有の不快味、不快臭を除去した大豆発酵食品が得られる。
またラクトバシルス・プランタラムAP−1株及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株はプロバイオテックスとして消化液に対する耐性に優れ、菌叢のコントロールが容易なため、安定した品質のプロバイオテックス食品を簡便に製造できる。
本発明は、大豆原料をラクトバシルス・プランタラムAP−1株及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株から選択される植物由来の乳酸菌の1種または2種を含むスターターで発酵させたことを特徴とする大豆発酵食品である。
まず、本発明の大豆発酵食品に使用する上記の乳酸菌について説明する。
本発明の大豆発酵食品に用いる乳酸菌は植物由来のものであり、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株はリンゴの果皮部分、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株は、キュウリの表皮部分から常法に従い採取されたものであり、以下の菌学的性質を有する。
Figure 2008295348
Figure 2008295348
以上の菌学的性質について検討したところ、AP−1株はラクトバチルス・プランタラム、Cu−1株はラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスに類似の性質を有している。しかし、これらは既知のラクトバチルス・プランタラム、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスの諸性質とは完全に一致しない新規な微生物であるため、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(郵便番号292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)にラクトバチルス・プランタラムAP−1株(受領番号:NITE ABP−369)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株(受領番号:NITE ABP−370)としてそれぞれ寄託を申請した(受領日:2007年5月22日)。
これらの菌株をスターターとして大豆原料を発酵させることにより、大豆発酵物に特有の不快味、不快臭が極めて少なく、風味の優れた大豆発酵食品を得ることが可能となる。
これらの菌株はさらに人工胃液及び人工腸液中に保存後も比較的生存率が高く、消化液に対する耐性に優れるものであり、該大豆発酵食品はプロバイオティクスとしての機能も保持する。
本発明の大豆発酵食品の乳酸菌スターターには、上記菌株を含む限り、その他の種々の乳酸菌株(ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリウム属等)を含有させることもできる。例えば、ラクトバチルス属としては、L・カゼイ、L・プランタラム、L・ヘルベティカス、L・ブルガリカス、L・ガッセリ、L・アシドフィルス、L・ラクチス、L・サリバリウス・サリバリウス、L・ガリナラム、L・アミロボラス、L・ブレビス・ブレビス、L・ファーメンタム、L・マリ、L・デルブルッキィ、L・サンフランシスエンシス、L・パネックス、L・コモエンシス、L・イタリカス、L・ライキマニ、L・カルバタス、L・ヒルガルディ、L・ルテリ、L・パストリアヌス、L・ブク ネリ、L・セロビオサス、L・フルクティボランス等、ストレプトコッカス属としては、S・サーモフィルス、S・ラクチス、S・ジアセチルラクチス等、ラクトコッカス属としては、L・ラクチス・ラクチス、L・ラクチス・クレモリス等、ロイコノストック属としては、L・メセンテロイデス・クレモリス、L・ラクチス等、ビフィドバクテリウム属としては、B・ビフィダム、B・ロンガム、B・インファンティス、B・ブレーベ、B・ア ドレセンティス、B・アンギュラータム、B・カテニュラータム、B・シュードカテニュラータム、B・デンティウム、B・グロボズム、B・シュードロンガム、B・クニキュリ、 B・コエリナム、B・アニマリス、B・サーモフィラム、B・ボウム、B・マグナム、B・アステロイデス、B・インディカム、B・ガリカム、B・ラクチス、B・イノピナータム、B・デンティコレンス、B・プローラム、B・スイス、B・ガリナーラム、B・ルミナンティウム、B・メリシカム、B・サーキュラーレ、B・ミニマム、B・サブチル、B・コリネフォルメ等に属する菌株を適宜含有させることができる。またこれらの菌株から、よりプロバイオティクス機能に優れた菌株を選択し、より大豆発酵食品の機能を高めることができる。
(主原料)
本発明の大豆発酵食品の原料である大豆原料としては、例えば豆乳、大豆粉、大豆スラリー、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白などの大豆蛋白質を含有する各種素材を用いることができ、これらはどのような方法により得たものでもよい。
豆乳の場合、大豆または脱脂大豆等から常法により得られる豆乳を用いることができ、丸大豆や脱皮大豆等を水浸漬するか、またはせずに含水状態にて磨砕してスラリー状にし、これを濾過等して不溶性画分(オカラ)を除去して得ることができる。また、スラリー状のものは予め粉砕した大豆粉を水に懸濁させて調製してもよい。そして豆乳は生豆乳、無調整豆乳、調製豆乳、粉末豆乳等から選択される1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
オカラなどの不溶性繊維質を分離せずそのまま均質化させた、大豆スラリー(呉、全粒豆乳などとも言われる。)を用いる場合、さらに不溶性繊維質を高圧処理やペクチナーゼ処理などにより微細化したものを用いることもできる。
また豆乳や大豆粉よりも大豆蛋白質を精製した分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を使用することができる。
(発酵前副原料)
本発明の大豆発酵食品には、乳酸菌発酵前に必要に応じた副原料を調合することができる。例えばヨーグルトなどの発酵乳に一般的に使用されている原料を使用することができ、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、パラチノース等の糖;エリスリトール、キシリトール、マルチトール、還元水飴、ソルビトール等の糖アルコール;大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖等のオリゴ糖;ソーマチン、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料;寒天、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、ゼラチン等の増粘剤もしくはゲル化剤;りんごやレモン等の果汁;ポリデキストロース、セルロース、イヌリン、水溶性大豆多糖類等の食物繊維;カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等のミネラル;香料等が使用することができる。
まずラクトバチルス・プランタラムAP−1株、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株のいずれか1種または2種を用いたスターターを調製する。
得られた発酵前調製液を乳酸菌発酵するときに、例えば砂糖やオリゴ糖等の乳酸菌資化性糖類(表1、表2参照)を必ずしも添加する必要はないが、添加することにより乳酸菌発酵を促進し風味の優れた大豆発酵食品を得ることができる。
上記スターターを好ましくは0.5〜10%、特に好ましくは1〜5%添加し、好ましくは10℃以上45℃未満、特に好ましくは20〜40℃ で、好ましくは3〜48時間、特に好ましくは12〜48時間発酵することにより、大豆発酵食品を製造できる。
本発明の大豆発酵食品は、淡黄色でヨーグルト様に凝固し、滑らかな組織を有する。pHは好ましくは4.0〜5.0、特に好ましくは4.2〜4.8であり、乳酸酸度は好ましくは0.1〜0.6%、特に好ましくは0.3〜0.6%である。また酸味は顕著でなく、爽やかでマイルドであり、チーズ、バターフレーバーのようなアセトイン、ジアセチル等の独特の臭いもなくさっぱりしており、不快味、不快臭は大幅に除去されている。
発酵後は、製品容器内で発酵を行った場合はそのまま冷却し、ハードタイプの固形状の製品とすることができる。一方製造タンク内で発酵を行った場合は大豆発酵食品を攪拌後冷却して製品容器に充填し、ソフトタイプの固形状の製品にすることができる。また大豆発酵食品を撹拌後に均質化等の液状処理を行い、必要により加熱殺菌し、冷却することにより、生菌タイプあるいは殺菌タイプの液状の製品にすることができる。また必要に応じて、油脂、香料、色素、安定剤、酸味料、甘味料等を添加したり、フルーツプレパレーション等を添加したりしてフルーツタイプの製品を作ることもできる。
以下に実施例を記載する。以下の実施例、比較例中の「部」および「%」とあるのは、いずれも重量部および重量%である。
■実施例1
脱皮脱胚軸大豆1部に水10部を加え、30〜50℃で60分間以上浸漬して十分に吸水した脱皮脱胚軸大豆(水分含量40〜55%)1部に対し、熱水(85℃)3部を加えてグラインダー(増幸産業社製)で処理し、これに水酸化ナトリウムを加えてpH7.4〜8.0に調整した。これをホモゲナイザー(APV社製)に供給し、15MPaで均質化処理した。均質化した磨砕液は遠心分離機によって3000Gで5分間処理して豆乳とオカラに分離した。この豆乳は固形分9.0%、蛋白質4.5%、pHは7.5であった。
得られた豆乳にグルコース濃度が1%になるように添加し、スチームインジェクション方式の直接高温加熱装置(TANAKA FOOD MACHINERY社製)に供給し、加熱温度145℃、加熱時間4秒で蒸気による直接加熱処理にてあらかじめ殺菌したものを使用した。
リンゴの果皮部分から分離したラクトバチルス・プランタラムAP−1株(受領番号:NITE ABP−369、受領機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(郵便番号292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)、寄託日:2007年5月22日)の培養液をスターターとして1%添加し、35℃で16時間発酵を行った。10℃まで攪拌冷却して、製品容器に充填し、冷蔵下で静置して固形状となし、ソフトタイプヨーグルト様の固形状の大豆発酵食品Aを調製した。
得られた大豆発酵食品AのpHは4.5であり、青臭み、エグ味、独特の発酵臭がなく、後口がスッキリとしてなめらかな口当たりの大豆発酵食品であった。
また別途発酵後のサンプルを一部採取し、ホモゲナイザーで均質化後、プレートヒーターにて殺菌し、10℃まで冷却後、製品容器に充填し、ドリンクヨーグルト様で殺菌タイプの大豆発酵食品を調製した。得られた大豆発酵食品も同様に良好な風味を有していた。
■実施例2
実施例1で得られた豆乳にキュウリの表皮部分から分離したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスCu−1株(受領番号:NITE ABP−370、受領機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(郵便番号292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)、寄託日:2007年5月22日)の培養液をスターターとして1%添加し、35℃で18時間発酵を行った。10℃まで攪拌冷却して、製品容器に充填し、冷蔵下で静置して固形状となし、ソフトタイプヨーグルト様の固形状の大豆発酵食品Bを調製した。得られた大豆発酵食品BのpHは4.5であり、青臭み、エグ味、独特の発酵臭がなく、後口にコクがありなめらかな口当たりの大豆発酵食品であった。
■人工消化液耐性試験
実施例1及び実施例2で使用した乳酸菌のAP−1株及びCu−1株について、人工消化液耐性試験を以下行った。
まず、乳酸菌培地のMRS培地にペプシンを添加し塩酸でpH3.0に調整し人工胃液を調整した。また、乳酸菌培地のMRS培地に胆汁末、パンクレアチンを添加した人工腸液を調製した。これらの各人工消化液5mlを遠心分離したAP−1株及びCu−1株湿菌体それぞれ約0.1g(10個相当)に添加し、37℃、41℃、及び45℃で、人工胃液中で2時間および人工腸液中で3時間恒温器内にて保温した。その後各サンプルの乳酸菌数を測定した。なお、対照として、市販の乳酸菌飲料から分離した乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ BF−1株とラクトバチルス・カゼイ LCa株も同様に試験を行い、人工消化液に対する耐性を比較した。表3に結果を示した。
Figure 2008295348
表3の結果より、AP−1株及びCu−1株はいずれもヒトの体温に近い37℃では、人工消化液に対する耐性を有しており、市販乳酸菌飲料由来のBF−1株及びLCa株と比較しても人工腸液に対する耐性が優れていた。したがって、ヒトの消化液に対しても同様に耐性に優れ、プロバイオティクス機能を発揮しうる。特に、AP−1株については、保温温度が37℃を超えても人工消化液に対する耐性の低下が少なく、他の乳酸菌株よりも優れた機能を発揮しうることがわかった。
■実施例3
脱皮脱胚軸された大豆を乾式粉砕した大豆粉((株)ペリカン社製、平均粒子径15μm、粒子径100μm以下の粒子の含有量92%)が10.5%濃度になるようにホモミキサーで攪拌しながら60℃の水に分散させて懸濁液を調製した。懸濁液はスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置(TANAKA FOOD MACHINERY社製)で直接加熱殺菌処理を行い、冷却してオカラ分を含有する大豆スラリーを製造した。製造した大豆スラリーの固形分は9.2%であった。ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液をスターターとして2%添加し、35℃で14時間発酵を行った。10℃まで攪拌冷却して、製品容器に充填し、冷蔵下で静置して固形状となし、ソフトタイプヨーグルト様の固形状の大豆発酵食品Cを調製した。得られた大豆発酵食品CのpHは4.5であり、青臭み、エグ味、独特の発酵臭がなく、後口がスッキリとしてなめらかな口当たりの大豆発酵食品であった。
■実施例4
分離大豆蛋白「サンラバー50」(不二製油(株)製)を9.0%になるように溶解したものをあらかじめスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置(TANAKA FOOD MACHINERY社製)で直接加熱殺菌処理を行い、グルコースを1%になるように加え、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液をスターターとして3%添加し、35℃で24時間発酵を行った。10℃まで攪拌冷却して、製品容器に充填し、冷蔵下で静置して固形状となし、ソフトタイプヨーグルト様の固形状の大豆発酵食品Dを調製した。得られた大豆発酵食品DのpHは4.5であり、青臭み、エグ味、独特の発酵臭が少なく、後口がスッキリとしてなめらかな口当たりの大豆発酵食品であった。
■比較例1
実施例1において、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液の代わりに、ラクトバチルス・プランタラムの市販凍結乾燥菌「FloraPan L-73」(クリスチャン ハンセン社製)の培養液を1%添加する以外は実施例1と同様にして大豆発酵食品Eを調製した。得られた大豆発酵食品EのpHは4.0であり、大豆の青臭みやエグ味はないが、酸味が強く、漬け物の様な独特の発酵臭があり、乳酸発酵によって好ましくない風味が付与された。
■比較例2
実施例1において、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液の代わりに、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)の市販凍結乾燥菌「FloraPan L-62」(クリスチャン ハンセン社製)の培養液を1%添加する以外は実施例1と同様にして大豆発酵食品Fを調整した。得られた大豆発酵食品FのpHは4.10であり、大豆の青臭みやエグ味はないが、酸味が強く、漬け物の様な独特の発酵臭があり、乳酸発酵によって好ましくない風味が付与された。
■比較例3
実施例1において、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液の代わりに、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)の市販凍結濃縮菌「サンエイラクト MMF-LS151」(サンエイ糖化(株)製)の培養液を5%添加する以外は実施例1と同様にして大豆発酵食品Gを調整した。得られた大豆発酵食品GのpHは4.30であり、大豆の青臭みやエグ味以前に、漬け物の様な独特の発酵臭が非常に強く、乳酸発酵によって好ましくない風味が付与された。
■比較例4
実施例1において、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液の代わりに、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)の市販凍結乾燥菌「Lh-B 02」(クリスチャン ハンセン社製)の培養液を3%添加する以外は実施例1と同様にして大豆発酵食品Hを調整した。得られた大豆発酵食品HのpHは5.20であり、酸味や香気が乏しく、大豆の青臭みやエグ味も感じられた。
■比較例5
実施例1において、ラクトバチルス・プランタラムAP−1株の培養液の代わりに、市販のラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)2038株とストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)1131株を含むヨーグルト「明治ブルガリアヨーグルト LB81」(明治乳業(株)製、登録商標)を5%添加する以外は実施例1と同様にして大豆発酵食品Iを調整した。得られた大豆発酵食品IのpHは4.50であり、適度な酸味と爽やかな香気を呈したが、大豆の青臭みやエグ味も感じられ、後口は良くなかった。
(評価)
5名のパネラーにより、実施例1〜4及び比較例1〜5の大豆発酵食品について、味の質、香りの質、後味の質、酸味の強さ、不快味の強さ、不快臭の強さ、及び全体評価を評価した(表4)。
実施例1〜4はすべての項目で優れており、特に不快味、不快臭の点で顕著に優れていた。実施例1〜3は味の質、香りの質の点でさらに優れており、これは豆乳や大豆粉がオリゴ糖など発酵に必要な栄養分に富み、乳酸発酵がより良好に行われたためと考えられる。また、豆乳から調製した実施例1、2は後味の質の点でさらに優れており、より口溶けの良い後口であった。
比較例1〜比較例3は酸味が強く、漬け物の様な独特の発酵臭を感じ、乳酸発酵によりヨーグルト様の食品としては好ましくない風味が付与された。比較例4は酸味や乳酸発酵による香気に乏しく、大豆の青臭みやエグ味も感じられ、後口は良くなかった。また、比較例5は適度な酸味と爽やかな香気を呈したものの、大豆の青臭みやエグ味が感じられ、後口は良くなかった。
Figure 2008295348
本発明により大豆食品特有の不快味、不快臭を除去した大豆発酵食品が得られるようになった。
また菌叢のコントロールが容易なプロバイオテックスとしての発酵食品が可能になった。
したがって、プロバイオテックスとしての機能を有する風味の優れた大豆発酵食品が容易に製造できるようになったものであり産業の発達に寄与するものである。

Claims (3)

  1. 大豆原料をラクトバシルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)AP−1株(受領番号:NITE ABP−369)及びラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)Cu−1株(受領番号:NITE ABP−370)から選択される植物由来の乳酸菌の1種または2種を含むスターターで発酵させたことを特徴とする大豆発酵食品。
  2. 大豆原料が豆乳、大豆粉又は分離大豆蛋白である請求項1記載の大豆発酵食品。
  3. 大豆発酵食品がプロバイオティクス食品である請求項1記載の大豆発酵食品。
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