JP2017153458A - 大豆粉を使用した乳酸菌発酵物の製造方法 - Google Patents

大豆粉を使用した乳酸菌発酵物の製造方法 Download PDF

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英伸 内田
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Abstract

【課題】風味および食感に優れた大豆粉由来の乳酸菌発酵物を提供することを目的とする。【解決手段】(i)丸大豆を100〜115℃未満で5〜10分、次いで115〜130℃で1〜10分の2段階で加熱処理すること、(ii)加熱処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造すること、(iii)大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得ること、(iv) 大豆粉分散溶解液を品温70〜100℃で30分以内のプロテアーゼ処理すること、(v)プロテーゼ処理した大豆粉分散溶解液を均質化すること、および(vi)均質化した大豆粉分散溶解液を乳酸菌で発酵させることを含む、乳酸菌発酵物の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、大豆粉を使用した乳酸菌発酵物の製造方法に関する。
大豆は、良質な植物性タンパク質、およびミネラル、イソフラボン、サポニン、レシチン等の有効成分を豊富に含む有用な食品であり、大豆加工品は健康食品として注目されている。特に、豆乳は、豆腐の原料としてだけではなく、乳代替品としても利用され、また、直接飲用するための飲料としても人気がある。さらに、より栄養価の高い食品を目指して、「おから」を分離廃棄することなく、大豆を粉砕して得られた大豆粉から豆乳様飲料又は豆腐様食品を製造する試みもされている(特許文献1および特許文献2)。
一方、ヨーグルト等の乳酸菌発酵物は、整腸作用、免疫賦活作用、花粉症等のアレルギー発症抑制作用等の効果が期待される健康食品である。近年では、牛乳の代わりに豆乳を用いて乳酸菌発酵させたヨーグルト様飲食品が開発されている。
さらに、大豆粉を水に溶解して得られた豆汁を用いた乳酸菌発酵物の製造も試みられている。しかしながら、豆汁から製造された乳酸菌発酵物には、大豆由来の豆臭さや、食感にざらつきがある等の問題がある。この問題を解決するために、大豆粉砕時の加熱・乾燥条件や、大豆粉を水に溶解して得た粉豆汁の加熱条件又は均質化条件を工夫した大豆粉を原料とする乳酸菌発酵物の製造方法が提案されたが(特許文献3)、さらに良好な風味および食感を有する大豆粉由来の乳酸菌発酵物を開発する余地がある。
特許第4723160号 特許第5567595号 特開2014−132891
本発明は、風味および食感に優れた大豆粉由来の乳酸菌発酵物を提供することを目的とした。
本発明者らは鋭意研究した結果、原料大豆を2段階で高温加熱した後、粉砕し、熱水に分散溶解して得られた大豆粉分散溶解液を高温でプロテアーゼ処理し、均質化した後、乳酸菌発酵することにより、良好な風味および食感を有するヨーグルト様食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1](i)丸大豆を100〜115℃未満で5〜10分、次いで115〜130℃で1〜10分の2段階で加熱処理すること、
(ii)加熱処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造すること、
(iii)大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得ること、
(iv)大豆粉分散溶解液を品温70〜100℃で30分以内のプロテアーゼ処理すること、
(v)プロテーゼ処理した大豆粉分散溶解液を均質化すること、および
(vi)均質化した大豆粉分散溶解液を乳酸菌で発酵させること
を含む、乳酸菌発酵物の製造方法、
[2]前記乳酸菌が資化する糖を大豆粉又は大豆粉分散溶解液に加えることをさらに含む、[1]記載の方法、
[3]前記加熱処理が乾式加熱によって行われる、[1]又は[2]記載の方法、
[4]前記加熱処理した大豆を脱皮した後、粉砕する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の方法、
[5]前記均質化が、60MPa以上の圧力下で少なくとも2回の均質化処理によって実施される、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の方法を提供する。
本発明の方法によれば、大豆特有の豆臭さを抑制し、風味良好かつ食感良好なヨーグルト様の乳酸菌発酵物が得られる。また、大豆粉を熱水に分散溶解して得られる大豆粉分散溶解液は、豆乳のように製造時に「おから」を分離しないので、食物繊維を豊富に含む。したがって、本発明の方法によって製造される乳酸菌発酵物は、食物繊維に由来する整腸作用等の効果も期待できる。また、大豆粉分散溶解液は、原料となる大豆の成分を余すところなく含むので、本発明の方法によって製造される乳酸菌発酵物は栄養価が高い。さらに、大豆粉分散溶解液の製造には、豆乳のように「おから」を分離して廃棄する作業がないので、本発明の方法による乳酸菌発酵物の製造は、コスト面および生産効率の面からも優れている。
本発明の方法において、原料としては丸大豆が使用される。大豆の品種は特に限定されず、いずれの品種の大豆も使用可能である。
本発明の方法においては、まず、原料大豆を2段階で加熱処理する。1段階目の加熱は、品温100℃以上115℃未満で5〜10分、好ましくは品温100℃〜110℃で5〜10分行う。次いで、2段階目の加熱は、品温115〜130℃で1〜10分、好ましくは品温120〜125℃で1〜10分、加熱方法としては、乾式加熱および湿式加熱のいずれであってもよいが、次工程の脱皮が容易になることから乾式加熱が好ましい。例えば、焙煎、熱風等による加熱が挙げられる。該1段階目の加熱により、丸大豆特有の臭み(青臭み)の原因である大豆に含まれるリポキシゲナーゼが一部失活し、該第2段階目の加熱により、適度な風味が付与されると考えられる。該2段階の加熱処理後、大豆の残存リポキシゲナーゼ活性は、20%未満になる。なお、リポキシゲナーゼ活性は、メチレンブルー漂白法によって測定することができる。
丸大豆は、脱皮処理に付す。脱皮処理は、上記の加熱処理の前に行ってもよいが、加熱により大豆皮に亀裂が入り剥離し易くなるので、好ましくは上記加熱処理の後に行う。脱皮方法は特に限定されず、大豆の脱皮処理に一般的に用いられるいずれの方法を用いてもよい。脱皮方法としては、例えば、挽き割り方式、乾燥破砕方式、石臼による乾式脱皮方式、研磨方式、瞬間加熱方式等が挙げられ、市販の脱皮機を用いて行えばよい。
次に、加熱処理および脱皮処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造する。粉砕方法は特に限定されず、例えば、乾式粉砕、湿式粉砕、凍結粉砕等が挙げられ、市販の粉砕機を用いて行えばよい。得られる大豆粉の粒度は、例えば、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下であり、またさらに好ましくは25μm以下であり、最終的に得られる乳酸菌発酵物の食感を向上させる観点から、大豆粉の粒度は小さいほど好ましい。
次に、大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得る。ここで、「分散溶解」は、大豆粉を熱水中に入れ、または大豆粉に熱水を加えて、攪拌および混合することによって行う。大豆粉を分散溶解させる熱水の温度は、大豆粉を分散溶解した時の品温が70℃を下回らないような温度であればいずれであってもよい。熱水を用いると、残存する脂質酸化酵素(リポキシゲナーゼ)の働きを抑えることが出来、且つ、次に続くプロテーゼ処理工程のために大豆粉分散溶解液を加熱する必要がないので、好ましい。大豆粉は、豆汁全体に対して、例えば5〜20重量%、好ましくは7〜15重量%、さらに好ましくは8〜12重量%、より好ましくは9〜10重量%の固形分濃度となるよう分散溶解する。
次に、上記で得られた大豆粉分散溶解液をプロテアーゼ処理に付す。本発明の方法においては、70℃〜100℃で作用するプロテアーゼを使用する。使用するプロテアーゼは、好ましくはエンド型、エキソ型またはエンド型混合のいずれのプロテアーゼであってもよい。また、大豆粉分散溶解液が中性を示すことから、好ましくは、中性領域(例えば、pH5.0〜8.0)に至適pHを有するプロテアーゼが使用される。プロテアーゼとしては、例えば、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アスペルギルス(Aspergillus)属等の微生物由来のプロテアーゼが挙げられる。なかでも、アスペルギルス属由来のプロテアーゼが、大豆タンパクの分解を良好に行うことができるため好ましい。好ましくは、最終的に得られる乳酸菌発酵物に著しい離水を生じさせないプロテアーゼ、例えば離水率が3重量%以下のプロテアーゼが使用される。なお、離水率(%)は、10℃以下で29日間保存した乳酸菌発酵物の離水量の、該乳酸菌発酵物の総重量に占める割合である。本発明においては、市販のプロテアーゼを使用でき、例えばパンチダーゼ NP−2(ヤクルト薬品工業製)、ヌクレイシン90N(HBI enzyme)、アロアーゼAP−10(ヤクルト薬品工業)、Alcalase、Protamex、Nutrase、Flavourzyme(Novozyme)等が挙げられる。
プロテアーゼの使用量は、最終的に得られる乳酸菌発酵物の物性により適宜決定することができる。例えば、大豆粉分散溶解液中のプロテアーゼの濃度は、使用するプロテアーゼの種類により異なるが、0.01〜1,000ppm(w/w)である。通常、プロテアーゼの使用量が多すぎると、得られる乳酸菌発酵物においてカードが形成されなくなり、反対に、プロテアーゼの使用量が少なすぎると、得られる乳酸菌発酵物において形成されるカードが固くなり、また、発酵に使用される乳酸菌の種類にもよるが、得られる乳酸菌発酵物において十分な粘性または曳糸性が得られず好ましくない。
本発明の方法におけるプロテアーゼ処理工程は、上記のプロテアーゼを大豆粉分散溶解液に作用させることにより行う。具体的には、大豆粉分散溶解液中、70〜100℃の温度範囲内および30分までの時間で、上記プロテアーゼによる所望のタンパク質分解および上記プロテアーゼの失活と、リポキシゲナーゼの失活とを果たせるようなプロテアーゼ処理温度および処理時間を設定すればよい。ここで、所望のタンパク質分解とは、所望の物性を有する最終産物(乳酸菌発酵物)が得られるように大豆粉分散溶解液中のタンパク質が分解されることをいう。プロテアーゼは、大豆粉分散溶解液に添加してもよいし、または大豆粉と共に熱水中に分散溶解してもよい。こうして調製されたプロテアーゼを含む大豆粉分散溶解液の品温が上記の処理温度の範囲内にある場合は、上記の処理時間の間、そのまま放置して、または恒温器等で温度を維持して反応させればよい。該プロテアーゼを含む大豆粉分散溶解液の品温が70℃より低い場合、または設定した処理温度より低い場合は、該大豆粉分散溶解液の調製後すぐに、該大豆粉分散溶解液を設定した処理温度まで加熱し、設定した処理時間の間、当該温度を維持して反応させる。本発明の方法においてはプロテアーゼ反応と同時に失活が進行するので、プロテアーゼを失活させる工程は必要ない。本発明の方法におけるプロテアーゼ処理工程は、処理温度が高温であるため、大豆粉分散溶解液中に残存するリポキシゲナーゼが作用しないかまたは失活し、それにより、最終的に得られる乳酸菌発酵物の風味がさらに改善されると考えられる。
プロテアーゼ処理後の大豆粉分散溶解液は均質化工程に付す。該均質化の方法は特に限定されず、一般的な均質化方法および装置を用いて行うことができる。例えば、高圧ホモジナイズ等が挙げられる。該均質化の条件は、得られる乳酸菌発酵物の物性によって適宜決定することができる。例えば、ホモジナイザーを用いて、60MPa以上の圧力、好ましくは90MPa以上の圧力下で均質化処理を好ましくは複数回行う。大豆粉分散溶解液を均質化することにより、最終的に得られる乳酸菌発酵物において凝集物が減り、該乳酸菌発酵物がより滑らかでとろみがあるものになる。プロテアーゼ処理後の大豆粉分散溶解液の温度が高い場合は、好ましくは60〜80℃程度まで冷却した後に均質化すると効率がよい。
上記の均質化した大豆粉分散溶解液を次いで、乳酸菌発酵工程に付す。上記均質化した大豆粉分散溶解液の温度が高い場合は、使用する乳酸菌の至適温度付近まで冷却した後、乳酸菌を植菌する。本発明において使用する乳酸菌は、乳酸発酵飲食品の製造に通常用いられている乳酸菌であればいずれであってもよく、特に限定されない。例えば、ラクトバチルス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリウム属等に属する乳酸菌が挙げられ、例えば、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)等が挙げられる。なかでも、菌体外多糖産生能を有する乳酸菌、特に、曳糸性菌体外多糖産生能を有する乳酸菌を使用することにより、粘性が高く、かつ、プレバイオティクス効果や免疫賦活作用、血糖値上昇緩和作用等の優れた生理作用を有する乳酸菌発酵物を得ることができる。菌体外多糖産生能を有する乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリウム属等に属する菌体外多糖を産生する乳酸菌、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ラクトバチルス・ブルガリカス等の菌体外多糖産生能を有する乳酸菌が挙げられる。好ましくは、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウム・サブスピーシーズ・サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp. thermophilus)等の曳糸性菌体外多糖産生能を有する乳酸菌が使用される。曳糸性菌体外多糖産生能を有する乳酸菌は、例えば、特定生息域での微生物の採取やスクリーニングによる選別作業等により得ることができる。乳酸菌が曳糸性菌体外多糖を産生しているか否かの判断は、例えば、該乳酸菌を用いて適当な温度および時間で牛乳を発酵させ、該発酵物の粘度を粘度カップ(例えば、Zahn Cup No.7)で測定した場合、10℃での液切れ時間が20秒以上のものを、曳糸性菌体外多糖を産生していると判断することができる。好ましくは、曳糸性菌体外多糖産生能を有する乳酸菌として、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC, FERM P-20185)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FJCL001(Lactococcus lactis subsp. cremoris FCJCL001, 出願人において保存されている)、またはストレプトコッカス・サリバリウム・サブスピーシーズ・サーモフィラス FJST001(Streptococcus salivarius subsp. thermophilus FJST001,出願人において保存されている)を使用することができる。ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFC(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC,受託番号FERM P-20185)は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(現 独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)に寄託されている。上記の乳酸菌は、単独または二種以上を併せて用いてもよい。
大豆粉分散溶解液に植菌する乳酸菌の量は、特に限定されず、乳酸菌発酵に要する時間や最終的に得られる乳酸菌発酵物の物性を考慮して適宜決定することができる。例えば、大豆粉分散溶解液100mLに対し、生菌数が例えば1.0×10以上、好ましくは1.0×10〜1.0×10の範囲であってもよい。また、例えば、凍結乾燥粉末状態の乳酸菌を使用する場合は、豆乳中で乳酸菌を予め活性化させたものをスターターとして用いてもよい。上記スターターは、例えば、グルコース1重量%を加えた豆乳に乳酸菌粉末を添加し、15〜40℃で6〜48時間培養することにより得られる。このようにして得られたスターターは、好ましくは10cfu/g以上の生菌数を含み、該スターターを発酵原料全体に対し、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜4.0重量%の範囲となるように添加する。なお、上記スターター調製時の培養温度および時間は、使用する乳酸菌の種類および得られるスターター中の生菌数に応じて適宜決定することができる。例えば、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFCを使用した場合は、好ましくは25℃で7〜10時間培養する。
上記のように大豆粉分散溶解液に乳酸菌を植菌し、混合した後、例えば15〜40℃、好ましくは20℃〜35℃の温度条件下で例えば6〜48時間、好ましくは7〜10時間発酵する。なお、発酵温度および発酵時間は、使用する乳酸菌の種類および得られる発酵物の所望の物性等に応じて適宜決定することができる。例えば、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFCを使用した場合は、至適温度が25℃前後であるため、室温で発酵が進み、簡便である。
本発明の方法においては、上記乳酸菌発酵工程より前に、乳酸菌が資化する糖を大豆粉または大豆粉分散溶解液に加えてもよい。乳酸菌が資化する糖は、発酵工程前のいずれかの段階で加えられる。乳酸菌が資化する糖の例としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース等が挙げられ、使用する乳酸菌の種類によって加える糖の種類も異なる。なお、使用する乳酸菌によって資化される糖が大豆中にもともと含まれる場合は、糖を加える必要はない。
本発明の方法において、乳酸菌が資化する糖を大豆粉または大豆粉分散溶解液に加える場合、該糖の添加量は、乳酸菌発酵を促進する量であればよく、特に限定されない。当業者が適宜決定することができる。例えば、ラクトースを添加する場合、大豆粉分散溶解液中のラクトースの濃度が0.3〜5.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%、より好ましくは0.3〜0.5重量%となるような量が挙げられる。
かくして、本発明の方法によって、丸大豆特有の豆臭さが抑制され、かつ良好な風味、およびざらつきのない良好な食感を有し、尚且つ食物繊維であるオカラをそのまま含むヨーグルト様の乳酸菌発酵物が得られる。曳糸性細胞外多糖産生能を有する乳酸菌を用いた場合は、粘りのある好ましい食感を有し、かつ、免疫賦活作用、肌機能改善作用、血糖値上昇緩和作用等の優れた生理作用を有する乳酸菌発酵物が得られる。これらの乳酸菌発酵物もまた、本発明の一態様である。
本発明の方法により得られる乳酸菌発酵物は、必要に応じて、さらに甘味料、果肉、果汁、香料、酸味料等の添加物を加えて、ヨーグルト様食品、ヨーグルト様飲料、ヨーグルト様ペースト等とすることもできる。
以下、実施例により本願発明を説明するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
材料および条件
下記の実施例および比較例は、特記しないかぎり、下記の材料および条件を用いて行った。
丸大豆の加熱処理は、110℃10分、次いで120℃5分の2段階の熱風加熱で行った。大豆粉の製造は、加熱処理後の大豆を脱皮機で脱皮し、粉砕機にて粉砕することにより行った。得られた大豆粉の平均粒径は20〜25μmである。
大豆粉の分散溶解は、95℃の熱水中10重量%の大豆粉を、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌することによって行った。大豆粉分散溶解液の均質化は、ホモジナイザーを用いて、90MPaの圧力下で2回行った。
乳酸菌発酵は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスFC(受託番号FERM P−20185)を用いて行った。グルコースを1.0重量%加えた無調整豆乳100mLに乳酸菌を添加し、25℃環境下で8時間発酵を行い、クレモリス菌を10cfu/g含有するスターター(以下、「スターターFC」という)を調製した。大豆粉分散溶解液への植菌は、該スターターを4.0重量%添加することにより行い、次いで、25℃環境下で8時間発酵を行った。
実施例1〜5、比較例1〜7:大豆の加熱条件の検討
表1〜3に示す条件で、丸大豆の加熱処理を行った。各条件下で加熱後、脱皮、粉砕して大豆粉とし、10重量%の分散溶解液を得た。各大豆粉分散溶解液にスターターFCを4.0重量%添加し、25℃環境下で8時間発酵させた後、得られた乳酸菌発酵物のカードの官能評価を行った。評価は、嗜好性官能評価パネラー5名によって行い、「◎」かなり良い、「○」良い、「△」普通、「×」良くない、の4段階で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017153458
Figure 2017153458
Figure 2017153458
これらの結果から明らかなように、100℃未満では長時間加熱しても好ましい風味を出せなかった。
実施例6〜7、比較例8〜9:大豆粉分散溶解時の温度の検討
室温(25℃)、50℃、70℃、または95℃の熱水中に大豆粉を10重量%となるように入れて、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌後、パンチダーゼNP−2(ヤクルト薬品工業社製、中性プロテアーゼ)を10ppm(w/w)となるように添加し、各温度で適当な時間(95℃は5分間、70℃は40分間、50℃と室温はいずれも1時間)維持した。次いで、ホモジナイザーを用いて90MPaの圧力下で2回均質化処理を行った後、25℃まで冷却し、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させた後、得られた乳酸菌発酵物のカードの官能評価を実施例1〜4と同様に行った。結果を表4に示す。
Figure 2017153458
上記の結果から、70℃以上の熱水に分散溶解させ、維持することで、豆の良い風味が乳酸菌発酵物へと良い状態で生かされることが分かった。
実施例8、比較例10:高温加熱に対するプロテアーゼ処理の効果
95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるように入れ、同時に、パンチダーゼNP−2を大豆粉分散溶解液中100ppmとなる量を添加して分散溶解させた後、95℃まで昇温して5分間維持した後、60℃まで冷却し、90MPa圧力下で均質化処理を2回行い、さらに30℃まで冷却した(実施例8)。同様に、95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるように入れ、酵素を添加せずに分散溶解させた後、95℃まで昇温して5分間維持した後、60℃まで冷却し、90MPa圧力下で均質化処理を2回行い、さらに30℃まで冷却した(比較例10)。得られた各大豆粉分散溶解液に、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させた。得られた各乳酸菌発酵物のカードの硬さをクリープメーター(Yamaden社製:Creep Meter RE2−33005C:プランジャーφ2cm、速度=600mm/分)で測定した。結果を表5に示す。
Figure 2017153458
酵素を添加しない場合はカードが硬く、脆くなることが分かった。上記の結果から明らかなように、酵素処理を行うことにより、カードの硬さを改善することができ、さらに、滑らかさ、とろみを含む他のテクスチャーも改善された。
実施例9〜11、比較例11〜13:均質化処理条件の検討
95℃の熱水に大豆粉を10重量%となるよう入れ、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌して大豆粉分散溶解液を得た。次いで、該大豆粉分散溶解液を、ホモジナイザーを用いて、0MPa、20MPa、40MPa、60MPa、75MPa、または90MPaの圧力で1回均質化した。均質化した大豆粉分散溶解液に、スターターFCを4.0重量%添加して、25℃環境下で8時間発酵させ、乳酸発酵物のカードの沈殿の有無と風味を評価した。評価は、嗜好性官能評価パネラー5名によって行い、「×」沈殿が多くザラツキがある、「△」少ないが底に沈殿物が認められる、「○」沈殿物もザラツキも気にならないレベルである、「◎」滑らかでザラツキを感じない、の4段階で評価した。結果を表6に示す。
Figure 2017153458
さらに、均質化処理を1回行った場合と2回行った場合を比べると、2回均質化処理した方が、よりクリーミーで滑らかな乳酸菌発酵物が得られた。よって、複数回均質化処理をすることが好ましいことが分かった。
本発明の方法により、大豆特有の豆臭さを抑制し、風味良好かつ食感良好なヨーグルト様の乳酸菌発酵物が得られる。また、大豆粉を熱水に分散溶解して得られる豆汁は、豆乳のように製造時に「おから」を分離廃棄しないので、食物繊維を豊富に含む。したがって、本発明の方法によって豆汁を用いて製造される乳酸菌発酵物は、食物繊維に由来する整腸作用等の効果も期待できる。また、豆汁は、原料となる大豆の成分を余すところなく含むので、本発明の方法によって製造される乳酸菌発酵物は栄養価が高い。さらに、豆汁の製造には、豆乳のように「おから」を分離廃棄する作業がないので、本発明の方法による乳酸菌発酵物の製造は、コスト面および生産効率の面からも優れている。

Claims (5)

  1. (i)丸大豆を100〜115℃未満で5〜10分、次いで115〜130℃で1〜10分の2段階で加熱処理すること、
    (ii)加熱処理した大豆を粉砕して大豆粉を製造すること、
    (iii)大豆粉を熱水に分散溶解して大豆粉分散溶解液を得ること、
    (iv) 大豆粉分散溶解液を品温70〜100℃で30分以内のプロテアーゼ処理すること、
    (v)プロテーゼ処理した大豆粉分散溶解液を均質化すること、および
    (vi)均質化した大豆粉分散溶解液を乳酸菌で発酵させること
    を含む、乳酸菌発酵物の製造方法。
  2. 前記乳酸菌が資化する糖を大豆粉又は大豆粉分散溶解液に加えることをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記加熱処理が乾式加熱によって行われる、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記加熱処理した大豆を脱皮した後、粉砕する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記均質化が、60MPa以上の圧力下で少なくとも2回の均質化処理によって実施される、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
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