JP4923084B2 - 大豆発酵液 - Google Patents

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本発明は、大豆粉を乳酸菌で発酵させた大豆発酵液に関するものである。
近年、食の安全に対する関心が高まり、食品添加物を含まない食品が強く望まれている。そのため、既存の食品添加物の代替となる安全性の高い食品素材の研究が進められている。
また、特定健診の実施等により健康に対する関心が高まり、低カロリーかつ低コレステロールの食品が望まれている。そのため、低カロリーかつコレステロールを全く含まない大豆を用いた新たな食品の開発が進められている。
特許文献1には、大豆発酵食品素材が記載されている。この大豆発酵食品素材は、(1)植物油脂と水、レシチンの混合液にリパーゼを添加し、7〜15時間酵素分解して植物油分解物とする、(2)大豆粉スラリーに乳業用の乳酸菌を加えて5時間発酵させ、大豆発酵物とする、(3)植物油分解物と大豆発酵物を混合して15時間熟成させる、という工程により製造され、全工程で27〜35時間必要とする。
一方、特定の乳酸菌にスクロースを加えて培養すると多糖類のデキストランが生成することが知られている。
特許文献2には、乳酸菌「ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)」が産生したデキストランを含む製パン改良剤が記載されている。この製パン改良剤は、(1)乳酸菌を1〜5日間培養してデキストランを生成させる、(2)培養液にリンゴ果汁及びリンゴパルプを添加して1〜5日間発酵させる、(3)発酵終了後、1〜2日間低温殺菌を行う、という工程により製造され、全工程で3日〜12日間必要とする。
特開平10−276703号公報 特開2006−180724号公報
しかしながら、特許文献1に記載された大豆発酵食品素材は、製造時にレシチンを用いて水と油を乳化させなければならず、それゆえ製造された大豆発酵食品素材にも食品添加物であるレシチンが含まれるという問題があった。
また、リパーゼによる植物油の酵素分解については、反応開始時に含まれる植物油50%のうち、乳化力を有するモノグリセライドまで分解されるのは3〜5%であるため、製造された大豆発酵食品素材の乳化力は限定されていた。
そして、大豆発酵食品素材の製造には合計で27時間〜35時間を要し、製造に時間がかかるという問題があった。
さらに、当該大豆発酵食品素材を用いてパンを製造する場合には、別途イーストフードを添加する必要があり、加工先の食品について食品添加物を無添加にすることができないという問題があった。
一方、特許文献2に記載された製パン改良剤は、食品の大きな要素である風味がリンゴ味に限定されるため、汎用性がないという問題があった。
また、製パン改良剤中に含まれるリンゴ果汁及びリンゴパルプはアレルゲンになりやすい。
そして、この製パン改良剤の製造には合計で3日〜12日を要し、製造に時間がかかるという問題があった。
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的はそれ自体に食品添加物を含まず、乳化力をはじめ種々の食品添加物に求められる機能を有し、短時間で製造できる汎用性の広い食品素材としての大豆発酵液を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の大豆発酵液は、大豆粉とスクロース、リパーゼを含む培養液にロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌を接種して10〜24時間発酵させることを特徴とする。
上記構成によれば、接種したロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌は培養液中のスクロースを利用してデキストランを産生する。また、当該乳酸菌中に存在するプロテアーゼやアミラーゼ、リパーゼ等の酵素は、大豆粉中に含まれているタンパク質をペプチド又はアミノ酸に、炭水化物を糖類に、脂質をモノグリセライド及び脂肪酸に分解する。さらに、当該乳酸菌は乳酸や酢酸等を産生する。一方、培養液中に含まれるリパーゼは大豆粉中の脂質成分をモノグリセライド及び脂肪酸に分解する。ここで生成した脂肪酸は発酵液のpHをすみやかに低下させ、乳酸菌の増殖を活発化して発酵を促進する。
大豆発酵液のpHは4〜5で粘性を有し、大豆特有の臭気は低減されている。発酵液中に含まれる上記の反応により産生された物質はイーストフード、乳化剤、安定剤、酸味料、調味料としての機能を有する。
また、培養液にはプロテアーゼ、ホスホリパーゼのうち少なくとも1つがさらに含まれることを特徴とする。
上記構成によれば、培養液にこれらの酵素を添加することにより、大豆粉中のタンパク質又は脂質の分解を促進させることができる。また、生成した低分子物質は乳酸菌の増殖に用いられたり、発酵液のpHを低下させるために、乳酸菌の増殖が活発化して発酵が促進される。
また、本発明のパンの製造方法は、大豆発酵液をイーストフード及び乳化剤として使用することを特徴とする。
上記構成によれば、大豆発酵液に含まれるデキストラン、ペプチド類やアミノ酸、糖類、モノグリセライド、乳酸や酢酸等の成分が製パン時にイーストフード及び乳化剤としての機能を有する。
また、本発明の食品の製造方法は、大豆発酵液を乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちの少なくとも1つとして使用することを特徴とする。
上記構成によれば、大豆発酵液に含まれるデキストラン、ペプチド類やアミノ酸、糖類、モノグリセライド、乳酸や酢酸等の成分が食品製造時に乳化剤、安定剤、酸味料、調味料としての機能を有する。
本発明によれば、安全性が高く、低カロリーかつコレステロールを含まず、イーストフード、乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちの少なくとも1つの代替となる汎用性の広い大豆発酵液を短時間で製造することができる。
また、本発明の大豆発酵液をイーストフード又は乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちの少なくとも1つとして用いることにより、加工食品に含まれる食品添加物を減らすか、無添加とすることができる。
以下、本発明の実施形態に係る大豆発酵液について説明する。
本発明の大豆発酵液は、大豆粉とスクロース、リパーゼを含む培養液にロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌を接種して10〜24時間発酵させたものである。
大豆粉とは、大豆を主原料として調整された粉状のものをいい、全粒大豆を破砕した大豆粉でも、豆乳を乾燥させて粉状としたものでも良い。大豆粉の粒度は特に限定されないが、乳酸菌や酵素による大豆粉の分解を効率よく進める観点から、80メッシュ〜200メッシュ(0.075mm〜0.18mm)程度であることが好ましい。大豆粉の添加量は、培養液の混ざりを均一とし、乳酸菌発酵を効率よく進める観点から、5〜20%程度が好ましい。
スクロースは、グルコースとフルクトースがグリコシド結合した二糖類である。培養液中に含まれるスクロースは、純粋なスクロースだけでなく、糖蜜などスクロースを一成分とするものでもよい。スクロースの添加量は、大豆発酵液中に含まれる所望のデキストラン量に併せて適宜設定することができる。
リパーゼは、脂質を脂肪酸とモノグリセライドに分解する脂質の消化酵素である。リパーゼは、大豆粉中に含まれる脂質を加水分解できるものであればよく、由来は特に限定されないが、例えば、Candida属、Penicillum属、Aspergillus属、Rhyzopus属由来のリパーゼである。
リパーゼの添加量は、酵素の力価及び培養液に含まれる大豆粉量に併せて適宜設定すればよく、例えば0.001〜1%添加することができる。
培養液には、さらにプロテアーゼ、ホスホリパーゼのうち少なくとも1つが含まれることが望ましい。
プロテアーゼは、タンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素である。プロテアーゼは、大豆粉中に含まれるタンパク質またはペプチドを加水分解できるものであればよく、由来及び種類は特に限定されない。プロテアーゼの添加量は力価及び培養液に含まれる大豆粉量に併せて適宜設定することができる。
また、ホスホリパーゼは、リン脂質を分解する酵素である。ホスホリパーゼは、大豆粉中に含まれるリン脂質を分解するものであればよく、由来及び種類は特に限定されない。ホスホリパーゼの添加量は力価及び培養液に含まれる大豆粉量に併せて適宜設定することができる。
プロテアーゼ、ホスホリパーゼはいずれか一つのみが培養液に含まれてもよく、プロテアーゼ及びホスホリパーゼの両方が培養液に含まれていてもよい。
培養液には、上記物質だけでなく、塩分などの無機塩類やビタミン類、ペプトン、イーストエキストラクト等を適宜加えることができる。
培養液を作成するにあたっては、熱で失活してしまうリパーゼ等の酵素と熱で分解しやすいビタミン等を除いた成分について、溶解・混合して、滅菌することが望ましい。滅菌後、冷却してからリパーゼ等の酵素及びビタミン類を無菌的に添加し、培養液とすることが望ましい。
本発明の発酵に使用する乳酸菌は、ロイコノストック(Leuconostoc)属に属する微生物である。該属に属する乳酸菌はスクロースからデキストランを産生することができ、具体的には、ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック デキストラニカム(Leuconostoc dextranicum)、ロイコノストック パラメセンテロイデス(Leuconostoc paramesenteroides)、等が挙げられる。より具体的には、ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)が好ましい。
接種とは、培養液に微生物を植えつけることをいう。本発明では、上記培養液に乳酸菌を注入して植えつける。接種する乳酸菌は、乳酸菌スターターとして調整されていることが望ましい。乳酸菌スターターの添加量は、効率よく発酵を行う観点から、上記培養液中で所定の時間培養後に乳酸菌が1.0×10cfu/ml〜5.0×10cfu/mlとなるように設定されることが好ましい。
発酵は、嫌気性条件下で、接種した乳酸菌の最適生育条件に合わせた温度で行う。具体的には、20℃〜30℃条件下で培養することにより行うことができる。接種した乳酸菌、接種量、発酵温度により変動は生じるが、発酵時間は10時間より短いと乳酸菌の増殖との関係で発酵が十分でなく、24時間をこえると大豆発酵液のpHが低下して発酵が止まるか、液の分離が起こりやすくなる。そのため、発酵時間は、10〜24時間が望ましい。
さらに、本発明においては発酵12時間から18時間の間に大豆発酵液のpHが4.5以下となる。乳酸菌による発酵はpHが4.5以下になると弱まることから、これ以降の発酵は単位時間当たりに産生される成分の量を考慮すると非効率となる。そのため、発酵時間は12〜18時間がより望ましい。
大豆発酵液は、接種したロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌が産生したデキストランを含む。当該乳酸菌中に存在するプロテアーゼやアミラーゼ、リパーゼ等の酵素は、大豆粉中に含まれているタンパク質をペプチド又はアミノ酸に、炭水化物を糖類に、脂質をモノグリセライド及び脂肪酸に分解する。さらに、当該乳酸菌は乳酸や酢酸等を産生する。一方、培養液中に含まれるリパーゼは大豆粉中の脂質成分をモノグリセライド及び脂肪酸に分解する。ここで生成した脂肪酸は発酵液のpHをすみやかに低下させ、乳酸菌の増殖を活発化して発酵を促進する。大豆発酵液のpHは4〜5で粘性を有し、大豆特有の臭気は感じられない。
培養液にプロテアーゼが含まれると、大豆粉中のタンパク質の分解が促進され、大豆発酵液中にアミノ酸類、ペプチド類、窒素化合物が多量に含まれる。生成したこれらの低分子物質は乳酸菌の増殖を活性化して、発酵を促進する。また、粒度の大きい大豆粉を使用しても発酵後に残渣が残らず、なめらかな発酵液とすることができる。
培養液にホスホリパーゼが含まれると、大豆粉中の脂質の分解が促進され、大豆発酵液中にモノグリセライド、脂肪酸やリン酸等が多量に含まれる。生成した低分子物質は乳酸菌の増殖に用いられると共に、発酵液のpHを低下させ、乳酸菌の増殖を活発化して発酵を促進することができる。
本発明の大豆発酵液は、パンを製造するときにイーストフード及び乳化剤として使用することができる。
イーストフードとは、イースト菌発酵を促進するためにパン類に使用する食品添加物であり、主に窒素を含む無機塩類等から構成される。
また、乳化剤とは、素材の乳化、分散、浸透、起泡等の目的で使用される食品添加物である。パン類においては、老化防止剤、ソフナー、生地調整剤としても用いられる。
パン製造時に使用される大豆発酵液の使用量は、特に限定されないが、イーストフードと乳化剤の添加量と同量程度又はパンの製造に影響を与えない量であることが望ましく、中種配合時に0.3〜3%とすることが好ましい。
本発明の大豆発酵液には大豆由来のタンパク質が分解されたことによる窒素含有分子が多く含まれているため、その他の分解及び生成産物と共にイースト菌発酵を促進する。
さらに、この大豆発酵液には、乳酸菌が産生したデキストラン及び大豆由来のモノグリセライド、糖類が多く含まれている。これらの成分とその他の分解及び生成産物は、パン製造時における素材の乳化、生地の老化防止、柔らかさの向上、生地調整を行うことができる。
本発明の大豆発酵液は、食品を製造するときに乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちの少なくとも1つとして使用することができる。
安定剤とは、粘性を高めて食品成分を均一に安定させるために使用される食品添加物である。また、酸味料とは、酸味の付与又は調整、味の調和を目的として使用される食品添加物である。そして、調味料とは、うま味を与える目的で使用される食品添加物である。アミノ酸類や核酸などが挙げられる。
本発明の大豆発酵液には、乳酸菌が産生したデキストラン及び乳酸、酢酸等の有機酸が含まれると共に、乳酸菌中の酵素及び培養液中の酵素により生成した大豆由来のモノグリセライド、糖類、アミノ酸類、ペプチド、脂肪酸類等が含まれている。デキストラン及びモノグリセライド、糖類といった成分とその他の分解及び生成産物は、食品素材の乳化、分散、浸透、起泡を行うことができる。また、この大豆発酵液は粘性を有するため、食品成分を均一に安定させることができる。さらに、この大豆発酵液は有機酸が含まれているために、食品に酸味を付与、調整することができる。そして、アミノ酸類、ペプチド等が含まれているため、食品の味の調節やうま味を与えるために使用することができる。
食品製造時に使用される大豆発酵液の使用量は、特に限定されないが、食品の製造や意図した風味に影響を与えない量であることが望ましい。
本発明の大豆発酵液は、乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちいずれか一つを目的として使用するのはもちろん、乳化剤と安定剤というように複数の機能を目的として使用することもできる。このことにより、加工食品中に用いられていた複数の食品添加物を、本発明の大豆発酵液のみで代替することができる。
また、本発明の大豆発酵液は0.5kcal/g〜1.5kcal/gと低カロリーであり、良質のタンパク質が多量に含まれる。本発明の大豆発酵液又は大豆発酵液の乾燥粉末は、低カロリー・高タンパク質食品の食品基材や食品素材としても用いることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
次に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
全粒大豆を破砕して製造した生大豆粉(粒度100メッシュ(0.15mm))1kg(約10%)、砂糖1kg(約10%)に水7.7L(約77%)を混合し、99℃で45分間加熱して滅菌した。冷却後、リパーゼ(天野エンザイム株式会社製、製品名リパーゼA「アマノ」6)を1.5ml加え混合した。この培養液にLeuconostoc mesenteroides KK株(株式会社バイオテックジャパン社製)のスターター300ml(約3%)を加え、28℃で15時間発酵を行った。発酵後、大豆発酵液を80℃で20分間加熱して滅菌した。
得られた大豆発酵液は薄ベージュ色の色味を呈し、粘性を有した。大豆特有の臭気は感じられなかった。pHは4.2であった。
全粒大豆を破砕して製造した生大豆粉(粒度100メッシュ(0.15mm))1kg(約10%)、砂糖1kg(約10%)に水7.7L(約77%)を混合し、99℃で45分間加熱して滅菌した。冷却後、リパーゼ(天野エンザイム株式会社製、製品名リパーゼA「アマノ」6)を1.5ml、プロテアーゼ(ヤクルト薬品工業株式会社製、製品名パンチダーゼNP−2)を3ml、ホスホリパーゼ(三菱化学フーズ株式会社製、製品名ホスホリパーゼA1)を1.5ml加えた。この培養液に、Leuconostoc mesenteroides KK株(株式会社バイオテックジャパン社製)のスターター300ml(約3%)を加え、28℃で15時間発酵を行った。大豆発酵液を80℃で20分間加熱して滅菌した。
得られた大豆発酵液は薄ベージュ色の色味を呈し、粘性及び艶のあるなめらかな質感を有した。大豆特有の臭気は感じられなかった。pHは4.3であった。
前記実施例2で得られた大豆発酵液を使用して、中種法により食パンを試作した。表1に示す中種配合で製パン原料を混合した。中種工程はミキシングをL2M1、捏上温度を24℃として行い、発酵は27℃、湿度75%雰囲気下にて4時間行った。その後、通常の本捏工程を行い、焼成して食パンを得た。
Figure 0004923084
大豆発酵液を1%中種配合に添加した試験区と対象区(コントロール)の食パンを比較したところ、表2に示す結果を得た。
Figure 0004923084
本発明の大豆発酵液は製パン時におけるイーストフード及び乳化剤の代替とすることができ、これらの添加剤と同等またはそれ以上の機能を有することがわかった。また、大豆発酵液は食感及び風味にも影響を与えず、美味なパンを製造できることがわかった。
前記実施例1で得られた大豆発酵液を使用して、マヨネーズタイプのドレッシングを試作した。通常、カロリーハーフ等のマヨネーズタイプドレッシングには、増粘剤や安定剤、卵白などが含まれている。今回はこれらの代替として大豆発酵液を50%、マヨネーズを50%ボウルに入れて攪拌混合し、マヨネーズタイプドレッシングを得た。
得られたマヨネーズタイプドレッシングは、外観はマヨネーズと同等であった。分散性はマヨネーズ単体より優れており、野菜等の対象物にかける量を低減することができた。風味については、マヨネーズ単体に比べ味がまろやかであり、大豆特有の匂いや粉っぽさは全く感じられなかった。
本発明の大豆発酵液はマヨネーズタイプドレッシングにおける安定剤や増粘剤の代替とすることができ、これらの添加剤と同等またはそれ以上の機能を有することがわかった。また、実施例4で試作したマヨネーズタイプドレッシングのカロリーは、マヨネーズと比較して理論値で40%低減できることがわかった。
前記実施例1で得られた大豆発酵液を使用して、オイルタイプのドレッシングを試作した。表3に示す配合でドレッシング材料をボウルに入れて攪拌混合して試作した。
Figure 0004923084
得られたオイルタイプドレッシングの分散性は優れており、サラダや豆腐など対象物にかける量を低減することができた。風味については、原材料の酢のほかに大豆発酵液中に含まれる乳酸菌由来の乳酸等の有機酸、アミノ酸等も加わるため、これらが相乗効果となった豊かな味わいが感じられた。フレンチタイプドレッシングについては、大豆発酵液の色調と合い、外観的にも優れていた。
前記実施例2で得られた大豆発酵液を使用して、アイスクリームを試作した。通常、アイスクリームには、増粘剤や安定剤、乳化剤などが含まれている。表4に示す配合でこれらの食品添加物を含まないアイスクリーム材料を攪拌混合し、アイスクリーマー(パナソニック株式会社製、製品名コードレスアイスクリーマー BH−941)を用いてアイスクリームを試作した。
Figure 0004923084
得られたアイスクリームの外観は、両者とも通常のアイスクリームと同等であった。これらの試作アイスクリームは、適度な粘性を有し、脂肪分が少ないために牛乳や生クリームを原料とする通常のアイスクリームより溶けにくかった。風味としては、大豆特有の匂いは感じられず、さわやかな酸味を呈し、フローズンヨーグルト様のアイスクリームであった。
本発明の大豆発酵液はアイスクリームにおける安定剤や増粘剤、乳化剤や酸味料の代替とすることができ、これらの添加剤と同等またはそれ以上の機能を有することがわかった。大豆発酵液の使用により、クリーミー感や濃厚さを保ちながら、低カロリーのアイスクリームを作ることができた。

Claims (6)

  1. 大豆粉とスクロース、リパーゼを含む培養液にロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌を接種して10〜24時間発酵させることにより得られ、イーストフード、乳化剤、安定剤、酸味料及び調味料のうちの少なくとも1つとして使用されることを特徴とする大豆発酵液。
  2. 培養液にはプロテアーゼ、ホスホリパーゼのうち少なくとも1つが含まれる請求項1記載の大豆発酵液。
  3. ロイコノストック属の乳酸菌がロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)であることを特徴とする請求項1又は2記載の大豆発酵液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の大豆発酵液をイーストフード及び乳化剤として使用することを特徴とするパンの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の大豆発酵液を乳化剤、安定剤、酸味料、調味料のうちの少なくとも1つとして使用することを特徴とする食品の製造方法。
  6. 食品がパン、マヨネーズ類、ドレッシング類、アイスクリームである請求項5記載の製造方法。
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