JP2010043260A - 伝導性ポリアニリン及びその合成方法 - Google Patents

伝導性ポリアニリン及びその合成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い電気伝導度を維持しながらも、一般溶媒における溶解度と熱による溶融性を顕著に向上させることができるようにした新しい伝導性ポリアニリン及びその合成方法を提供。
【解決手段】水素酸と有機溶媒の混合物に、それぞれ独立して水素や疎水性の置換基が付着したアニリン誘導体(但し、いずれも水素の場合は除く)と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル比で添加し重合させて置換された伝導性ポリアニリン共重合体を合成。
【選択図】なし

Description

本発明は、伝導性ポリアニリン及びその合成方法に関し、さらに詳しくは、置換基が付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定の割合で添加し重合させて置換されたポリアニリン共重合体を合成することによって、相対的に高い電気伝導度を維持しながらも、一般溶媒における溶解度と熱による溶融性を顕著に向上させることができるようにした伝導性ポリアニリン及びその合成方法に関する。
伝導性プラスチックは、米国のA.J.HeegerとA.G.MacDiarmid及び日本のH.Shirakawa教授が2000年にノーベル化学賞を受賞して一般大衆に知られた高分子である。彼らは、ポリアセチレンという高分子がドーピングという工程を経て電気を通じるという事実を1977年に最初に報告し、その後、現在に至るまで伝導性プラスチックに関する研究が非常に活発に行われている。
伝導性高分子は、通常、第4世代プラスチックと呼ばれているが、これらの特徴は、プラスチックの役割がこれ以上絶縁体等のように受動的ではなく、有機半導体のように能動的な役割をするのことにある。
伝導性高分子は、伝導度によって、10−13〜10−7S/cmの場合は帯電防止物質(Antistatic materials)、10−6〜10−2S/cmの場合は静電気除去物質(Static discharge materials)、1S/cm以上の場合は電磁波遮蔽用物質(EMI shielding materials)またはバッテリー電極、半導体あるいは太陽電池などに適用されるが、その伝導度の数値を向上させると、さらに様々な用途の開発が可能になる。
よって、伝導性高分子は、高分子固有の優れた機械的特性及び加工性に加えて、金属の電気的、磁気的、光学的特性を同時に示すことによって、合成化学、電気化学、固体物理学などの学問分野だけでなく、その潜在的な実用性により各種の産業分野で重要な研究対象となっている。
現在、知られている重要な伝導性高分子としては、ポリアニリン(Polyaniline)、ポリピロール(Polypyrrole)、ポリチオフェン(Polythiophene)、ポリフェニレンビニレン{Poly(p−phenylene vinylene)}、ポリパラフェニレン{Poly(p−phenylene)}、ポリフェニレンサルファイト(Polyphenylene sulfide:PPS)などがある。
この中、ポリアニリンは、空気中で安定性が高く、産業化が容易で最も大きな注目を浴びてきており、最近、ディスプレイの革新をもたらした有機電気発光素子(OLED)、電界効果トランジスタ(FET)などの重要な素子の作成に欠かせない役割が期待されている。
下記の構造式から分かるように、ポリアニリンは、交互環ヘテロ元素主鎖(Alternating ring heteroatom backbone)の構造を有する有機高分子であって、その幅広い誘導体は、ベンゼン環または窒素原子に置換することによって合成可能であり、下記の化学式のように、その酸化状態によって、部分酸化型(y=0.5)であるエメラルジン塩基(Emeraldine Base)、完全還元型(y=1.0)であるロイコエメラルジン塩基(Leuco−emeraldine Base)及び完全酸化型(y=0.0)であるペルニグルアニリン塩基(Pernigraniline Base)に分類できる。
イミン窒素原子(Imine nitrogen atom)は、プロトン酸水溶液によって全体または部分的に陽子が加えられ得るが、そうなれば、他のドーピングレベルを有するエメラルジン塩(Salt)になると共に、パウダー及びフィルム状の両方における電気伝導度は、10−8から1〜100S/cmまで増加する。
このようなポリアニリンを合成する方法は、大きく電荷移動反応による電気化学的方法と、酸化還元反応または酸/塩基反応を通じるプロトン化による化学的酸化方法に区分され得るが、ポリアニリンを産業的規模で大量生産しようとする場合は、化学的酸化方法が適合したものと知られている。
このように、ポリアニリンは、他の様々な伝導性高分子と比べてみると、相対的に容易に合成することができ、また、その酸化状態によって電気的な性質が調節できるという長所があり、なお、異なる2つの独立したドーピングにより不導体である中間酸化形態のエメラルジン塩基(emeraldine base:EB)から伝導性を有するエメラルジン塩(emeraldine salt:ES)型に変換可能な特性を利用して、TFD−LCDに入る既存のITOの代替、半導体回路工程の単純化、超高速スイッチ、非線形光学素子など、様々な応用研究が進行されている。
また、ドーピング後に高い電気伝導度を示すことは勿論、ドーピング型と非ドーピング型は何れも熱的及び大気安全性に優れており、導電性プラスチック、透明な伝導体、電磁波遮蔽用薄膜、2次電池、電気変色素子、発光ダイオードなどに利用され得る高分子が開発されている。
しかし、このような様々な長所にも拘わらず、ポリアニリンは、高分子鎖間の水素結合により、溶解性が低く、かつ熱により溶融され難い特性から加工性に劣り、結晶性と伝導度の限界を表してしまい、実用化する際の難易度が高い。
これにより、最近は、不溶性及び不融性のようなポリアニリンの短所を改善するために様々な研究が進行されているところ、ドデシルベンゼンスルホン酸(dodecylbenzene sulfonic acid:DBSA)またはカンファースルホン酸(camphorsulfonic acid:CSA)のように分子の大きさが大きい有機酸でドープする場合、高分子鎖間の引力が減少し、N−メチル−2−ピロリジン(N−methyl−2−pyrrolidine:NMP)、クロロホルムまたはキシレンなどのような有機溶媒に可溶性を示すと報告された。
特に、m−クレゾールを溶媒として用いる場合、溶媒とポリアニリンとの間の水素結合によって溶媒化能力が大きくなり、配位構造が膨張したコイル(expanded coil)型に変わり、これによって高い伝導度を有すると報告された。
また、界面活性剤(micelles)、安定剤などの添加剤を入れて重合するか、または溶媒、反応温度などを変化させて高分子の分子量を高めると同時に線形性も向上させ、高分子をブランドする際に様々な添加剤を入れる研究も進行されている。
また、最近は、アニリンの芳香族環または窒素にアルキル、アルコキシ、ベンジル、アリールのような様々な側鎖を付けてから重合すると溶解度が向上したことが報告されたことがあり、特に、2−or−3−メトキシアニリン(2−or−3−methoxyaniline)、2−or−3−エトキシアニリン(2−or−3−ethoxyaniline)のような長手の短い側鎖を有するアニリンを重合した場合、アルコキシルが電子供与体であるため、ポリアニリンとほぼ同様の水準の伝導度が得られ得ると報告された。
一般的に、高分子は、単量体を繰り返し連結する重合工程を通じて製造されるが、これらの工程のうち、多くの熱が放出される添加重合においては、短時間で反応が連鎖的に起こるため、激しくなり過ぎてしまい爆発することもある。
このような反応熱を制御するために、通常、反応媒体として水が利用されるが、ほとんどの高分子は非極性単量体からなり、これらの単量体は、水に溶解されず、かつ重合反応により生成される高分子もまた水に溶解されないため、反応を効率よく行うために様々な不均質の重合方式が利用されてきた。
これらのうち、分散重合という重合法は、生成される高分子の沈殿を防ぐと共に、最終的な形態としてマイクロン台の安定した微細粒子を得るために、重合過程中に高分子粒子を立体的に安定化させる安定剤を用いる。しかし、ポリアニリンのような伝導性高分子の場合、製造過程で安定剤を用いると、反応後に安定剤を除去することが難しいため、電気伝導度が急激に減少するという問題が生じる。
このような理由で、さる80年代中盤にノーベル賞を受賞したマグダイアミッド教授は、ポリアニリンを合成する際に立体安定剤を用いず、直ちに水溶液上で反応を行い、この方式が全世界でほぼ標準化された方式として利用されてきた(A.G.MacDiarmid、J.C.Chaing、A.F.Richter、N.L.D.Somarisi、in L.Alcacer(ed.)、Conducting Polymers、Special Applications、Reidel、Dordrecht、1987、p.105)。
この方式は、水溶液上で過硫酸アンモニウムのような酸化剤を利用して塩酸などに溶解させたアニリン単量体を1〜5℃で重合した後、その沈殿物を分離し、洗浄してポリアニリンを合成することであって、アニリン単量体が塩酸水溶液の媒質に溶解されるため、重合反応の初期には問題がないが、高分子が大きくなるにつれて沈殿が生じるため、分子量を高めるかまたは副反応を抑えることが難しい。
マグダイアミッド方法により製造されたエメラルジン塩基(Emeraldine Base、EB)型のポリアニリンのうち、分子量の低いもの(固有粘度0.8−1.2dl/g)のみが1−メチル−2−ピロリドン(1−methyl−2−pyrrolidone(NMP))に溶解され、10−カンファースルホン酸(10−camphorsulfonic acid(CSA))でドープしたエメラルジン塩(Emeraldine salt、ES.CSA)は、メタクレゾールに少量溶解される。
この溶液から製造されたフィルムの電気伝導度は、約100S/cmであるが、塩酸でドープしたエメラルジン塩(ES.HCl)は、約5S/cm程度の電気伝導度を示す。特に、従来の方法では、溶解されない部分を分離しなければならず、かつ合成されたポリアニリンの形態構造を調節し、分子量を高めたり電気伝導度を高めたりするのに限界がある。
従来の方法による問題点を改善し、ポリアニリンの加工性を向上させるために乳化重合を利用した様々な製造方法が公開されている。例えば、Cao等(Cao et al.,米国特許第5,231,631号、第5,324,453号)は、アニリン単量体、機能性水素酸などを水のような極性溶媒に溶解させ、これを非極性有機溶媒と混合してエマルションを製造した後、酸化剤をエマルションに添加してポリアニリンを製造した。
このように製造されたエメラルジン塩(ES)は、乳化剤がドーパントの役割をしてポリアニリンと複合体を形成し、キシレンのような非極性有機溶媒に溶解されるものと知られている。
しかし、乳化剤の機能を行う機能性有機酸を利用したドーピングの調節が難しく、通常コスト高であり、ポリアニリンを合成した後にこれを分離し難いため用途に制約があるだけでなく、その電気的特性も良くない。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(dodecylbenzene sulfonate、DBS)の場合、溶解度は0.5%未満であり、伝導度は0.1S/cm程度に過ぎない。
モンサント(Monsanto)社の研究者であるKinlen{米国特許第5,567,356号;Macromolecules,31,1745(1998)}は、水に溶解される2−ブトキシエタノール(2−butoxyethanol)のような有機溶媒と水に溶解されないが、前記有機溶媒に溶解される疏水性乳化剤である有機酸で逆のエマルション(reverse emulsion)を製造した後、アニリン単量体とラジカル開始剤を混合し重合してポリアニリン塩を含む有機層と、ラジカル開始剤または未反応物を含む水溶液層とが分離され、非極性溶媒に1%以上溶解されるポリアニリン塩を製造した。
この方法は、ラジカル開始剤層と単量体層が分離されるため、重合が容易でなく、ドーピングの調節が難しいため、合成されたポリアニリンの電気伝導度もまた低い。例えば、疏水性有機酸であるジノニルナフタレンスルホン酸(dinonylnaphthalenesulfonic acid)を利用して合成されたポリアニリン塩の伝導度は、ペレットに製造して測定すると、10−5S/cm程度であるものと報告された。
前記の乳化重合とは異なり、アニリンなどの単量体は反応溶媒に完全に溶解されるが、生成される高分子は、同一の条件で溶解されない分散重合を利用したポリアニリンの製造と連関しても多くの方法が報告されたことがある。例えば、Armes等(Armes et al.,Handbook of Conducting Polymers Elsenbaumered.M.Dekker,New York,1996,Vol.1,p423)は、特殊安定剤を設計して立体的に高分子を安定化させた後に粒子化する重合方法を報告している。
この分散重合方法では、ほとんどが安定化剤を用いて生成されたポリアニリンを取り囲むため、水溶液上でも供給可能であるが、合成されたポリアニリンの粒子の大きさは60〜300nmであって安定剤の影響を多く受けるだけでなく、ポリアニリンの電気伝導度が低いため、当然用途が制限されるしかない。
一方、有機溶媒を含む水溶液でポリアニリンを合成する方法も報告されている。Cao等(Y.Cao et al.,Polymer,30,2305(1989))によると、様々な酸化剤と無機酸などを利用してポリアニリンを合成したが、収得率に大きな変わらず、反応初期の高分子の沈澱を防ぐためにジメチルポルムアミドのような親水性有機溶媒を反応系に添加しても特別な効果はないものと報告した。
Geng等(Geng et al.,Synth.Metals,96,1(1998))もエタノール、THF、アセトン等のような有機溶媒を水溶液中に用いてアニリンを重合することによって、フィルムの伝導度が10S/cm程度のポリアニリンを製造し、有機溶媒の効果が僅かであった。
類似した方法でアンジェロポーラス等(韓国公開特許公報第1999−63696号)は,ポリアニリンを含めて10種類余りの伝導性高分子の製造方法を公開しているが、これらは、酸化剤の量を調節するかまたは有機溶媒を添加して高分子の沈澱速度を制御することによって、反応初期の均質反応を誘導し、分子量の分布を複合ピークから単一ピークにしようとした。
また、Huang等(Huang et al.,J.Am.Chem.Soc.125,314(2003))は、有機層と水溶液層が互いに混じらない系を構成した後、アニリン単量体は有機層に、開始剤と有機酸は水溶液層に溶解させ、界面で重合を行ってナノ繊維形態のポリアニリンを製造した。
その後の研究でHuang等(Huang et al.,Angew.Chem.Int.Ed.43,p5817,2003)は、有機溶媒を利用して界面重合を行うと、ナノ繊維の収得率を高めるのに寄与するだけであり、有機溶媒が必ず必要なのではなく、むしろ水溶液で迅速な混合によりナノ繊維の製造できると報告された。
Beadel等(Beadle et al.,Synth.Met.95,29(1998)の研究によると、前記のマグダイアミッド等が提示した一種の標準化された合成法によって製造されたポリアニリンにおいて、分子量が増加するほど電気伝導度は増加し、分子量を高めるためには反応温度を下げなければならない。
ところが、前記のマグダイアミッド、Cao、Geng、アンジェロポーラス、Huan等が試みた均一系(homogeneous)水溶液で重合が起こる場合は、反応温度を下げるために、通常、LiCl、CaFなどのような金属塩を添加して凍結を防止しなければならない。しかし、このような金属塩を混合すると、反応の完結時間が48時間以上に長くなって反応のコントロールが困難である。それだけでなく、反応温度を下げると、分子量と共に分子量の分布も共に増加する(分散度2.5以上)。
また、アニリン単量体が鎖の中間のキノンジイミン(quinonediimine)グループに添加されるとブランチが生じるため、このようなブランチの生成を抑えるために、反応の途中に酸化剤としてFeClを添加するか、または重合反応の途中に合成反応が中断されたオリゴマーなどの副産物を除去するために、有機溶媒で抽出する過程を経ることもある。
また、前述した乳化重合(emulsion polymerization)または界面重合(interfacial polymerization)においても、ポリアニリン主鎖に含まれるベンゼン環のパラ(para)の位置だけでなく、オルト(ortho)の位置にも添加反応が起こる確立が高いため、分岐が必然的に多く生成されて、伝導度と溶解度の低下の原因となる。
伝導性高分子は、それ自体だけでは完全なる直線型を形成することができないため、結晶型のような秩序が完璧に形成できず、実際の伝導度が理論的に予測した約105〜6S/cm(Kohlman et al.,Phys.Rev.Lett.78(20),3915,1997)よりも遥かに及んでいない。
よって、既存のポリアニリンに比して相対的に高い電気伝導度を維持しながらも、水などの一般溶媒における溶解度が顕著に向上し、熱的安定度を低めて溶融性が向上するようにするという新しい伝導性ポリアニリン及びその合成方法を設計する必要がある。
本発明は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、置換基が付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定の割合で添加し重合させて置換されたポリアニリン共重合体を合成することによって、相対的に高い電気伝導度を維持しながらも、一般溶媒における溶解度と熱による溶融性を顕著に向上させることができるようにした伝導性ポリアニリン及びその合成方法を提供することである。また、これらのポリアニリン共重合体は、組成によって粒子の大きさを小さくは5nmから大きくは300nmまで調節でき、ポリアニリンの合成と同一の条件で分子量を2倍以上高めることができる。
本発明による第1の側面は、下記のステップを含む伝導性ポリアニリンの合成方法を提供する。
(a)冷却循環器が設けられた反応器の反応温度を設定し、前記反応器内に水素酸と有機溶媒を所定の割合で含む混合物を入れ、前記混合物を撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させるステップ;
(b)前記水素酸と有機溶媒の混合物に、下記化学式1で表す置換基Rが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル比で入れて30〜35分間分散させるステップ:
(化学式1)
前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除く;
(c)前記アニリンが分散された反応器内に、水素酸に溶解させた開始剤溶液を滴下して重合反応させるステップ;
(d)前記重合反応の終了後に反応溶液を濾過して前記重合反応からの生成物を得、洗浄溶剤を利用して前記生成物を洗浄し、脱ドープ(Dedoping)するステップ;及び
(e)前記生成物を水で洗浄した後、乾燥させて置換されたポリアニリン共重合体を得るステップ;を含む。
本発明の第2の側面は、前記本発明の第1の側面によって製造される伝導性ポリアニリンを製造する
また、本発明者らは、前記反応工程において置換基が付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを水素酸と当量の割合でそれぞれ反応させて1:1のアニリニウム塩(anilinium salt)を予め製造した後、これを単量体として用いる場合、同一の条件でRが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとをそのまま用いる場合に比して重合度と電気伝導度が向上することを見出した。この際のアニリニウム陽イオンは、窒素原子の非共有電子対がこれ以上アニリン分子内に非偏在化(delocalized)せず、陽イオンに偏在化しているため、直接的な酸化反応が相対的に起こり難い。しかし、反応中に生成される中間体ペルニグルアニリン(pernigraniline)は、伝播の段階でアニリニウム陽イオンを容易に受け入れ成長した後、反応中に残っている残留アニリンにより還元されながら所望の緑色のエメラルジン塩基型の生成物が製造される。従って、本発明においては、置換基が付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとその一部をアニリニウム塩にまず製造した後、適正の割合で混合して単量体として使用できる。
なお、本発明の第3の側面は、前記定義された置換基Rが付着したアニリン誘導体または下記化学式2で表す置換基Rが付着したアニリニウム塩酸誘導体(anilinium hydrochloride derivative)と、置換基が付着していないアニリンまたはアニリニウム塩酸誘導体とを含有する単量体混合物を用いて、前記本発明の第1の側面による伝導性ポリアニリン製造方法と同様に行うことを含む、伝導性ポリアニリンの合成方法を提供する。
(化学式2)
前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除かれる。
本発明の第4の側面は、前記本発明の第3の側面の製造方法によって製造される伝導性ポリアニリンを提供する。
本発明におけるように、置換基が付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル比で添加して重合する方式で置換されたポリアニリン共重合体を合成すると、分岐鎖が付いたアニリン誘導体の含量によって分子量が少なくなり、また熱的な安定度が低くなることは勿論、従来のポリアニリンに比して分岐鎖のモル比が多くなるかまたは長くなるほど、一般溶媒における溶解度が顕著に向上する。
特に、分岐鎖が付いたアニリン誘導体が10mol%の割合で重合された本発明のポリアニリン共重合体エメラルジン塩(ES)は、水で約220nmの均一な大きさで分散されるため、既存に有毒性の溶媒のみに溶解させて加工するしかなかったポリアニリンの短所を補完できるようになる。
また、本発明により合成されたポリアニリン共重合体は、既存のポリアニリンに比して結晶性や粘度が低く、分岐鎖による立体障害が共役長(conjugation length)に影響を及ぼしてある程度の伝導度が減少されはするが、従来の置換されたポリアニリンに比して相対的に高い電気伝導度(〜290S/cm)を示すという効果がある。
本発明に係る製造例によって合成された、下記置換されたアニリン誘導体単量体のH−NMRスペクトルである:(a)2−R−フェニルアミン(2−R−phenylamine)(ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHである。)、及び(b)2−R−フェニルアミン(2−R−phenylamine)(ここで,Rは−OCHCH−OCHCH−OCHCH−OCHである。) 本発明の実施例3によって製造されたポリアニリンのTEMイメージである。 本発明によって製造されたポリアニリンフリースタンディングフィルムに対する4−端子方式の電気伝導度の測定方法を示す図である。 本発明によって製造された下記ポリアニリンのTGAデータを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−S、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−S 本発明によって製造された下記ポリアニリンのTGAデータを示すグラフである。((a)2mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、(b)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、及び(c)10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−S 本発明によって製造された下記ポリアニリンのDSCデータを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのDSCデータを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのIRスペクトルを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのIRスペクトルを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのNMRスペクトルを示すグラフである。(溶媒:CDCH、(a)10mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、(b)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−S)。 本発明によって製造された下記ポリアニリンのUVスペクトルを示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのUVスペクトル(溶媒:NMP)を示すグラフである。((a)Pani EB、(b)2mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、(c)5mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB、及び(d)10mol%の2−R−フェニルアミンを含むPANI−SEB) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのUVスペクトル(溶媒:m−クレゾール)を示すグラフである。((a)Pani ES、(b)CSAドーピングされた2mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES(m−クレゾール溶媒)、(c)CSAドーピングされた5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES、及び(d)CSAドーピングされた10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES) 本発明によって製造された下記ポリアニリンのUVスペクトル(溶媒:m−クレゾール)を示すグラフである。((a)CSAドーピングされたPani ES、(b)CSAドーピングされた2mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES、(c)CSAでドーピングされた5mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES、及び(d)CSAでドーピングされた10mol%の2−R−フェニルアミンを有するPANI−SES) 本発明によって製造された下記ポリアニリンの粒子の大きさの分布である((a)PANI−S10 ES、及び(b)PANI−S10 ES) 本発明のよって製造された下記ポリアニリンの水に対する溶解度を表す写真である。(水中、(a)PANI−S5、(b)PANI−S10、(c)PANI−S5、及び(d)PANI−S10)
以下、本発明の好ましい実施例をさらに詳しく説明する。
本発明による第1の側面は、下記のステップを含む伝導性ポリアニリンの合成方法を提供する。
(a)冷却循環器が設けられた反応器の反応温度を設定し、前記反応器内に水素酸と有機溶媒を所定の割合で含む混合物を入れ、前記混合物を撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させるステップ;
(b)前記水素酸と有機溶媒の混合物に、下記化学式1で表す置換基Rが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル比で入れて30〜35分間分散させるステップ:
(化学式1)
前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除く;
(c)前記アニリンが分散された反応器内に、水素酸に溶解させた開始剤溶液を滴下して重合反応させるステップ;
(d)前記重合反応の終了後に反応溶液を濾過して前記重合反応からの生成物を得、洗浄溶剤を利用して前記生成物を洗浄し、脱ドープ(Dedoping)するステップ;及び
(e)前記生成物を水で洗浄した後、乾燥させて置換されたポリアニリン共重合体を得るステップ;を含む。
前記本発明の一具現例において、前記水素酸はpH<4であってもよいが、これに限られるものではない。
前記本発明の一具現例において、前記有機溶媒は不溶性または難溶性の特性を有する物質であってもよい。
前記本発明の他の具現例において、前記アニリンに添加されるRが付着したアニリン誘導体のモル比は、生成されるポリアニリンの溶解度によって調節され得るようにしてもよい。
本発明の第2の側面は、前記本発明の第1の側面によって製造される伝導性ポリアニリンを製造する。前記本発明の伝導性ポリアニリンにおいて、前記化学式1で、それぞれのRのうち少なくとも1つ以上のRは、疏水性の−(O)(−CH−)−CH(m=0以上の定数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であってもよい。
本発明の第3の側面は、前記定義された置換基Rが付着したアニリン誘導体または下記化学式2で表す置換基Rが付着したアニリニウム塩酸誘導体(anilinium hydrochloride derivative)と、置換基が付着していないアニリンまたはアニリニウム塩酸誘導体とを含有する単量体混合物を用いて、前記本発明の第1の側面による伝導性ポリアニリン製造方法と同様に行うことを含む、伝導性ポリアニリンの合成方法を提供する。
(化学式2)
本発明の第4の側面は、前記本発明の第3の側面の製造方法によって製造される伝導性ポリアニリンを提供する。
本発明による伝導性ポリアニリンを合成するために、先ず、冷却循環器が設けられた反応器を準備し、該反応器の反応温度を−10℃に設定した後、反応器内に水素酸と有機溶媒を所定の割合で入れて撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させる。
この時、前記水素酸として4N HCl800mlを入れ、有機溶媒としてはクロロホルム400mlを入れた状態で、反応温度としてあらかじめ設定された−10℃に到達するまで十分に撹拌する。
本発明の実施例において、前記水素酸としてHClが適用されたことを例示したが、これに限定されることではなく、pH<4である酸は何れも適用できる。
また、前記有機溶媒としては、水に不溶性または難溶性の特性を有する物質が適用され得る。
次いで、前記水素酸と有機溶媒の混合物に下記の化学式1で示す置換基Rが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル(mol)比で入れて、30〜35分間分散させる。
前記置換基が付着していないアニリンに添加される置換されたアニリン誘導体のモル比は、生成物の溶解度の水準によって調節され得る。
前記置換されたアニリン誘導体としては、2−R−フェニルアミン(2−R−Phenylamine)(Rは、前記化学式1で定義された置換基Rと同一である。)と、2−R−フェニルアミン(2−R−Phenylamine)(Rは、前記化学式1で定義された置換基Rと同一である。)等がそれぞれ添加され、これらの置換されたアニリン誘導体は、約0.5〜20mol%、より好ましくは2〜10mol%で置換されていないアニリンに添加される。
このように、アニリンが分散した反応器内に、水素酸に溶解させた開始剤溶液を滴下して重合反応させるが、この時の開始剤としては、過硫酸アンモニウム{(NH}が適用され、4MのHCl200mlに対して過硫酸アンモニウム11.44gの割合で入れて溶解させた溶液を滴下管で25分間滴下させる方式で重合反応させる。
このような重合反応が終了した後に、反応溶液を2μmの濾過紙(Whatman No.42)とブフナー漏斗を利用して濾過させた後、アセトンとMC(Methylene Chloride)できれいに洗浄した後、0.1MのNHOHに入れて脱ドープする。
次いで、水酸化アンモニウムで脱ドープされた沈殿物を水できれいに洗浄した後、50℃に固定された真空オーブンで48時間乾燥させると、下記の化学式のRが付着したアニリン誘導体を有する本発明による置換されたポリアニリン共重合体である茶色のPANI−SとPANI−Sが得られる。
前記化学式で、Rは、水素または疏水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=1〜24)、或いは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)である。
前記化学式で、それぞれのRのうち少なくとも1つ以上のRは、水素性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=1〜24)または親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)となり得る。
本発明で前記アニリン誘導体は、下記のような方式で得られ得る。
[製造例]
アニリン誘導体の合成
<Scheme 1>N−protecting 2−aminophenol(AP−Boc)
1000ml入りの丸底フラスコで2−アミノフェノール(2−aminophenol)10.9g(0.1mol)とNaHCO8.8g(0.15mol)を蒸留水100mlとテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran:THF)100mlに溶解させた後、ジ−tert−ブチルジカーボネート(Di−tert−butyl dicarbonate)22.7g(0.1mol)を添加する。還流の開始から10時間をさらに反応させた後、茶色の溶液のみを分離器(separation funnel)を利用して得る。前記得られた茶色の溶液を蒸発させて薄茶色の沈殿物を得た(歩留まり86%)。
<Scheme 2>Tosylated R(R−Ts)
500ml入りの三角フラスコにTsCl19g(0.1mol)とR−H化合物(ここで、Rは前記化学式1で定義された置換基Rと同一である。)(0.12mol)をTHF200mlに撹拌して溶解させる。溶液が透明になった後、NaH5g(0.12mol)を少しずつ入れて溶液の色が薄紫色に変わった後、薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認してTsClがなくなったことを確認した。
反応の終了後、HOを添加して溶液の色を透明にした後、蒸発させてTHFを除去した後に塩化メチレン(MC)を200ml添加して抽出した。抽出されたMC層を再び蒸発して薄黄色の液相の生成物が得られた(歩留まり80%)。
<Scheme 3>tert−butyl 2−R−phenylcarbamate
500ml入りの三口丸底フラスコにAP−Boc 10.45g(0.05mol)と、カリウムtert−ブトキシド6.1g(0.055mol)をTHF200mlに溶解させた後、窒素雰囲気下で撹拌しながら40℃に加熱した。
溶液の色が濃茶色に変わった後、R−Ts(0.55mol)を50mlのTHFに溶解させて滴下した。反応は3日間持続し、反応中にTLCを確認した結果、AP−bocの斑点が消えたことを見て反応の終了を確認した。
反応の終了後、吸入と蒸発の方式で残った反応物をEA(Ethyl Acetate):HO(2:1v/v)に分離してカリウムtert−ブトキシドを除去した。残った有機層は、蒸発後にEA:HX(1:4v/v)の混合溶媒を利用してカラムクロマトグラフィーで分離した(歩留まり68%)。
<Scheme 4>2−R−phenylamine
500ml入りの丸底フラスコにAP−Boc−g−MEE6.24g(0.02mol)と、ジクロロメタン40mlを入れた後、過量のTFA4.56g(0.04mol)を添加し、コンデンサー(condensor)を取り付けて撹拌させる。その後、40℃で3時間反応させた。反応の終了後に、40℃で蒸溜してMCとTFAを除去し、NaHCO水溶液を添加してpHを滴下した。中和された溶液にエチルアセテート(EA)を添加して抽出分離した後、蒸発させてEAを除去した。EA:HX(1:3v/v)でカラムクロマトグラフィーをして生成物が得られた(歩留まり90%)。
下記のSchemeは、前記アニリン誘導体のモノマーの合成過程を示し、最終単量体はNMRで確認し、図1に示した。
(スキーム1)
(スキーム2)
(ここで、Rは前記化学式1で定義された置換基Rと同一である。)
(スキーム3)
(ここで、Rは前記化学式1で定義された置換基Rと同一である。)
(スキーム4)
実施例1
本発明による置換されたポリアニリン、PANI−SとPANI−Sの合成
冷却循環器が設けられた1,000mlの二重ジャケットの反応器に冷却循環器を設けた後、反応器の反応温度を−10℃に設定し、前記反応器内に4N HCl800mlとクロロホルム400mlを入れて、撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させた。前記塩酸とクロロホルムの混合物に、非置換されたアニリンと、置換されたアニリン誘導体である2−R−フェニルアミン(2−R−Phenylamine:ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHである。)、2−R−フェニルアミン(2−R−Phenylamine:ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHCH−OCHである。)とが、それぞれ所定の2mol%、5mol%、10mol%のモル比で添加されたアニリン単量体20.0gを入れて30〜35分間分散させ、アニリンが分散された反応器内に過硫酸アンモニウム11.44gを4MのHCl200mlに溶解させた溶液を滴下器で25分間滴下させながら反応溶液が青色から濃青色に変わるまで重合反応させた。
このように重合反応が完了した後、該反応溶液を2μmの濾過紙とブフナー漏斗で濾過し、アセトンとMCで洗浄して沈殿物を取った後、0.1M NHOH800mlに入れて脱ドープ(Dedoping)し、脱ドープ後に水できれいに洗浄し、50℃に固定された真空オーブンで48時間乾燥させて、濃茶色のPANI−S、PANI−Sをそれぞれ得た。前記PANI−S及びPANI−Sにおいて、SとSはポリアニリン高分子の分岐に付着された置換基がR及びRを表し、SとSの各々の数字はOCHCHの個数を示す。
実施例2
PANI−SとPANI−Sの比較のためのポリアニリンの合成
冷却循環器が設けられた1,000mlの二重ジャケットの反応器に冷却循環器を設けた後、反応器の反応温度を−10℃に設定し、前記反応器内に4N HCl800mlとクロロホルム400mlを入れて、撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させた。前記塩酸とクロロホルムの混合物に精製されたアニリン20.0gを入れて30〜35分間分散させた後、アニリンが分散された反応器内に過硫酸アンモニウム11.44gを4M HCl200mlに溶解させた溶液を滴下器で25分間滴下させながら反応溶液が青色から濃青色に変わるまで重合反応させた。
このように重合反応が完了した後、その反応溶液を2μmの濾過紙とブフナー漏斗で濾過し、蒸留水とメタノールで洗浄して沈殿物を取った後、0.1M NHOH800mlに入れて24時間撹拌させる方式で脱ドープした。
撹拌後に濾過し、50℃に固定された真空オーブンで48時間乾燥させて、黒色のポリアニリンエメラルジン塩基(EB)を得た。
実施例3
実施例2の反応温度を0℃にし、4N HClとアニリンの代わりに、水とアニリンハイドロクロライドとを同一の体積と重量で添加した後に繰り返した。得られたEBのI.V.は、0.96と示されており、アニリンを用いた場合と比べて2倍高いものである。それだけでなく、粒子の大きさが透過電子顕微鏡で観察した結果、下記の図2のTEMイメージのように殆どが7nm〜30nmの範囲にあった。
実施例4
実施例3においてアニリンハイドロクロライドとアニリン誘導体である2−R−フェニルアミン(2−R−Phenylamine:ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHである。)とをモル比で9:1に混合して実験を繰り返した。得られたEBのI.V.は、0.78と示された。
本発明の実験に用いられた試薬と器機
−試薬−
本発明において溶媒として用いられるHCl、NHOHとHSO、THF、TFAは一般試薬を、NaH、NaHCO、カリウムtert−ブトキシド(Potassium tert butoxide)は購入した試薬、クロロホルムはAldrich社の一級試薬をそのまま用いた。また、反応に用いられた試薬であるアニリン、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate)、2−アミノフェノール(2−aminophenol)、R−H化合物(ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHである。)、R−H化合物(ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHCH−OCHである。)、p−トルエンスルホン酸クロライド(p−toluene sulfonic chloride)及び(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸((1S)−(+)−10−camphorsulfonic) acid)は、Aldrich社の一級試薬をそのまま用いた。
−器機−
化合物の構造の確認に用いられたIRは「NICOLET system 800」を、UVは「Jasco V−570」を用いて、厚みの測定には「Tencor P−10 super surface profiler」を用いて、スピンコートフィルム(spin coating film)の製造にはHEADWAY RESERCH INCのスピンコーターを用いた。
高分子の粘度の測定には、CANNON社の「Ubbelohde粘土計」を用いて30℃で測定した。高分子フィルムの電気伝導度の測定には、KEITHLEY社の 「Source−Measure Units Model 237」を用いた。熱的分析の確認に用いられたTGA、DSCは「TA TGAQ50」、「DSCQ10」を用いて、粒子の大きさ分析(particle size analysis)にはPhotal社の「FPAR−1000」を用いた。元素の分析は、CE INSTRUMENTSの「Flash EA1112」を用いた。
実験例1.
ポリアニリンエメラルジン塩基(EB)の粘度(I.V.)の測定
本発明の実施例2で合成した高分子の粘度を測定するために、ポリアニリン(EB)10mgを10mlの濃硫酸に約30時間溶解させて高分子の標準溶液を準備し、該高分子の標準溶液に対する粘度(I.V)の測定は、「Ubbelohde粘度計」を用いて30℃で測定した。
高分子溶液の粘度を測定する前に、30℃で濃硫酸の粘度を先に測定し、粘度の測定時に基準として用いた。高分子溶液と基準溶媒である濃硫酸は、測定温度の安定化のために約1時間程恒温槽に浸けた後に測定した。
ηinh:固有粘度(inherent viscosity)
η:溶液粘度(solution viscosity)
ηs:溶媒粘度(solvent visosity)
c:濃度(concentration)
実験例2.
ポリアニリンフィルムの製造
(1)ポリアニリン(ES)溶液の製造
ポリアニリンフィルムの製造に先立って、ポリアニリン(ES)溶液を下記のように製造した。
Aldrich社から購入したHCSA[(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸((1S)−(+)−10−camphorsulfonic acid)99%でドープされたポリアニリン(ES)溶液を製造するために、ポリアニリン(EB)四量体単量体(tetramer unit)とHCSAのモル比を1:2にして、これらの全含量が溶媒であるm−クレゾール(m−cresol)に対して1.5wt%となるようにした。ポリアニリン(EB)とHCSAは、乳鉢内で30分間均一に粉砕して混合し、該混合粉末をm−クレゾール(m−cresol)中に入れ、ホモジナイザー(homogenizer)を利用して24,000rpmの速度で10分間溶解させた。
(2)ポリアニリンフィルムの製造
前記の過程で製造した溶液をシリンジフィルターと注射器を用いて溶液中に溶解されていない部分を除去した。ガラス板(2.5cm×2.5cm×0.1cm)は王水に4時間以上漬けてから取り出し、2次蒸留水とエタノールで表面を洗浄して用いた。濾過した溶液を40〜50℃に調整された加熱板(hot plate)に載せたガラス板上に約3ml程加え、48時間以上乾燥させてフィルムを製造した。
実験例3.
電気伝導度の測定
試料の抵抗は、試料の長さ及び断面積と関係があり、D.C.電流と電圧がかかったときにD.C.比抵抗(resistivity)の量と下記のような関係が成立する。
R=ρL/A
ここで、ρは比抵抗であり、ohms−cmという単位を有する。Lは長さであり、cmで表し、Aは試料の断面積であり、cmで表す。
この比抵抗は各物質ごとに全て異なる。D.C.比抵抗の逆数をD.C.伝導度(conductivity)と称し、単位はohms−1cm−1と、IUPAC単位としてS/cm(seimans per cm)を用いる。前記伝導度は、同一の条件下で製造した同一の物質においては同一であり、他の物質と区分するのに有用に利用できる。
金属性伝導度を有する物質に対して、端子(probe)と試料との間の電気的接触抵抗は、ときどき試料それ自体の抵抗よりも大きい場合がある。このような理由のため、単純な2−端子法(two−probe method)は広く用いられない。このような問題は、4−端子法(four−probe method)を用いて解決され得る。
−ポリアニリンフィルムの電気伝導度の測定−
前記過程を通じて製造したフィルムの電気伝導度は、金線(gold wire)電極と試料の接触抵抗を除去するために、4−端子法を利用して測定した(図3)。
フィルムと金線は、カーボン・ペースト(carbon paste)を用いて接触させ、フィルムの厚みは、Mitutoyo社の「micrometer」を用いて測定した。
電流と電圧は、KEITHLEY社の「Source−Measure Units Model 237」を利用して測定した。測定方式は、外側の2つの端子に一定のソース(source)電流(I、DC電流)をかけたとき、これにより生じる電圧差(V)を内側の2つの端子で測定することである。測定時にソース電流は、電圧が増加する領域を基準として、100μA、1mA、10mAのうち相対的に低いレベルで選択され、対応する電圧差を特定して比較した。
電気伝導度は、下記の式を利用して計算した。
σ:電気伝導度(Scm−1、Ωcmの逆数)
I:サンプルにかけた一定のソース電流(DC電流)(A)
V:一定のソース電流をかけた時に測定される電圧(V)
t:フィルムの厚み(cm)
l:電極間の距離
d:端子と接触したフィルムの長さ(フィルムの幅)
半導体ウェハや伝導性を帯びるコーティングのような極めて薄いサンプルの電気伝導度を測定する時は、「collinear four−point probe」方法を利用して測定した。
「collinear four−point probe」は、JANDEL社から購入して用いて、該端子をKEITHLEY社の「Source−Measure Units Model 237」に連結して用いており、測定方式は、4−端子法と同様であり、計算式は、下記の通りである。
σ:電気伝導度(Scm−1、Ωcmの逆数)
I:サンプルにかけた一定のソース電流(DC電流)(A)
V:一定のソース電流をかけた時に測定される電圧(V)
t:フィルムの厚み(cm)
:4つのプローブに生じる電場ファクター(定数)(1/C)
(a)d:collinear four−point probeの電極間距離、t:フィルムの厚み
(b)m/n:長方形フィルムの長さ/幅
実験例4
−PANI−SとPANI−Sの熱的分析−
本発明によって合成されたPANI−SとPANI−Sの熱的安全性、脱ドープ(dedoping)されたか否か、及び分岐鎖の含有の程度を見るために、窒素雰囲気下でTGA、DSCを測定し、TGAの測定結果を下記の図4及び図5に、DSCの測定結果を下記の図6及び図7に示した。
アニリン単量体(aniline monomer)に対して、それぞれのモル比で2−R−フェニルアミン(ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHである。)、2−R−フェニルアミン(ここで、Rは−OCHCH−OCHCH−OCHCH−OCHである。)単量体を添加して重合したPANI−SとPANI−Sに対する結果である。
TGAの測定結果、400℃までの熱に安定したポリアニリン(EB)と異なり、250℃付近で分岐鎖が付いた単量体の含量によって約4%〜24%の分解が起こった後、ポリアニリンの熱分解曲線と類似した曲線が示される。
図6及び図7のDSCデータと比べてみると、250℃付近で発熱ピーク(exothermic peak)が見られ、TGAにおいて、ポリアニリン(EB)の重量の損失は見られなかった。これは、重合体の主鎖間の架橋結合(Crosslinking)に対するピークと解釈できる。
なお、最初の発熱ピーク(exothermic peak)の温度が、分岐鎖の含有量が多くなるにつれて低い温度で表れることが見られるが、これは、より多くの分岐鎖を有する共重合体であるほど、分子量が少なくなるにより熱的な安全性が落ちるものと考えられる。
実験例5
IRスペクトロスコピー及びH NMRスペクトル
下記の図8及び図9においては、典型的なポリアニリン−エメラルジン塩基(polyaniline−emeraldine base)のIRスペクトルとモル比による共重合体のIRスペクトルを示す。キノイド環(Quinoid ring:1592〜1578cm−1)、ベンゾイド環(benzoid ring:1535〜1495cm−1)のピークと、C=Nストレッチング(C=N stretching:1310〜1290cm−1)のピーク、及び芳香族のC−H in−plane bending(1170〜1000cm−1)とC−H out−of−plane bending(830cm−1)のピークとも大きな相違点は見られなかった。
但し、アニリン誘導体のモル比が増加するにつれて、フェニル環(phenyl ring)と連結された酸素に関するC−Oストレッチング(1200cm−1)のピークの強度(intensity)が相対的に増加することが見出せる。
なお、側鎖(side chain)が多くなるほどC−Hストレッチングバンド(C−H stretching band)(2925〜2853cm−1)のピークが明らかになることが見られる。
下記の図10は、MCに高い溶解度を示す5mol%と10mol%の割合で重合した共重合体(EB)に対するNMRデータである。ポリマーバックボーン(Polymers backbone)のフェニルプロトン(phenyl protons)(6.2〜7.4ppm)に対するピークと、分岐(3.2〜4.2ppm)に対するピークとが見られ、アニリン誘導体を利用した共重合体重合になったことが確認できる。
しかし、NMRの測定のための共重合体(EB)がMCに完全に溶解されていない状態であったため、側鎖の含有率を求めることはできなかった。
実験例6
UV−Vis−NIRスペクトロスコピー
ポリアニリン(EB)を溶解させたNMP溶液を製造した後、これを石英板(quarz plate)にスピンコートして作成した0.1〜0.2μm厚みの薄膜をUV−Vis−NIRスペクトロスコピーで分析した。
ポリアニリン(EB)と同様に、共重合体は、330nm付近でp−p遷移(transition)に対する吸収が表れ、640〜650nmの間で励起子遷移(exciton transition)の吸収ピークが表れた。
但し、下記の図11及び図12において、分岐鎖のモル比が大きくなるほど吸収ピークが短波長側に若干移動したことが分かり、励起子遷移の吸収ピークがp−p遷移に比して相対的に強度が減少することが分かる。
このような結果は、塊状(Bulk)の分岐鎖による高分子主鎖の非平面配座(nonplanar conformation)のような立体障害から生じる。立体障害は、高分子主鎖の共役長(conjugation length)を減少させ、結果的に伝導度を減少させる。
これは、下記の図13と図14において、CSAでドープされた共重合体(CSA doped coplymers)のUVデータを通じて間接的に確認できる。CSAでドープされたポリアニリン(ES)を溶解させたm−クレゾール(m−cresol)溶液を製造した後、EBと同様の方法でスピンコートして分析した。420nmとnear IR領域で広幅のピークは、それぞれポラロンピーク(polaron peak)とフリーキャリアテール(free−carrier tail)に関するピークである。
分岐鎖が長くなるかまたはモル比が大きくなるほどフリーキャリアテールの高さが低くなることが見られ、下記の表2と比べると、伝導度の減少と関連性があることが分かる。
実験例7
電気伝導度、粘度及び溶解性(Conductivities、I.V&solubility)の測定
電気伝導度は、−10℃で重合したポリアニリンと共重合体(PANI−S、PANI−S)をそれぞれCSAでドープした後、王水で48時間以上洗浄したガラス板上にキャスト(casting)してフィルムを作成した後、電気伝導度を測定した。
粘度(I.V)は、EB/HSO(0.01g/10ml)の溶液を製造し、30℃の恒温槽で測定した。
下記の表2は、各共重合体のI.V(inherent viscosity)対比電気伝導度を示した表である。
一般的に、粘度を測定して分子量を類推することができるが、全体的にポリアニリンの粘度が増加するほど電気伝導度もまた増加することが見られ、分岐鎖のモル比と長さが増加するほど粘度と電気伝導度が減少する傾向が見られた。
これは、分岐鎖の長さが長くなるほど鎖間に電子の移動が難しくなり、鎖のモル比が高くなるにつれて分子量が小さくなり、共役長(conjugation length)が短くなるにつれて伝導度が低くなるものと推測される。
下記の表3は、ポリアニリンと共重合体(copolymers)の溶解度を調べた表である。重合後に得られるHClでドープされた青紫色のESと、これを0.1Mのアンモニア水で脱ドープしたEBとを各10mlの溶媒に0.02gずつ入れて、24時間常温で撹拌させながら見た。
この場合、おおよそ分岐鎖のモル比が増加し、鎖が長くなるにつれて溶解度は増加した。
それぞれの10mol%の割合の共重合体エメラルジン塩(ES)は、水に溶解されたことが見られ(図16参照)、この溶液をPSAで測定したとき、平均206、221nmの均一な大きさに分散されていることが確認できた(図15参照)。
本発明においては、ポリアニリンの溶解度を高めるために分岐鎖が付着したアニリン誘導体を添加した置換されたポリアニリン(substituted polyaniline)共重合体を合成し、NMRとIRを測定して化学構造を確認した。
なお、分子量を高めるために自体分散重合方法で合成し、分岐鎖の長さとアニリン誘導体のモル比を変えながら重合を行い、ポリアニリン及び共重合体は、その粘度(I.V)を測定して分子量を類推し、HCSAでドープした後、キャスト(casting)フィルムを作成して電気伝導度を測定した。
このような測定の結果、分岐鎖が付いたアニリン誘導体の含量によって分子量が低くなることを粘度で確認し、これにより熱的な安定度が減少することをDSC、TGAで確認した。
なお、本発明により合成されたポリアニリン共重合体(PANI−SとPANI−S)は、既存のポリアニリンに比して分岐鎖のモル比が多くなるかまたは長くなるほど一般溶媒における溶解度が向上することが確認できた。特に、10mol%の割合で重合されたポリアニリン共重合体(ES)は、水で約220nmの均一な大きさに分散され、既存に有毒性の溶媒のみに溶解させて加工するしかなかったポリアニリンの短所を補完できる可能性を見出した。
本発明により合成されたポリアニリン共重合体は、既存のポリアニリンに比して結晶性や粘度が低く、かつ、分岐鎖による立体障害は共役長さに影響を及ぼして、電気伝導度の減少を確認することができた。しかし、従来の置換されたポリアニリンに比して相対的に高い電気伝導度(〜290S/cm)が得られた。

Claims (7)

  1. (a)冷却循環器が設けられた反応器の反応温度を設定し、前記反応器内に水素酸と有機溶媒を所定の割合で含む混合物を入れ、前記混合物を撹拌しながら設定された反応温度まで冷却させるステップ;
    (b)前記水素酸と有機溶媒の混合物に、下記化学式1で表す置換基Rが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとを所定のモル比で入れて30〜35分間分散させるステップ:
    (化学式1)
    前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除く;
    (c)前記アニリンが分散された反応器内に、水素酸に溶解させた開始剤溶液を滴下して重合反応させるステップ;
    (d)前記重合反応の終了後に反応溶液を濾過して前記重合反応からの生成物を得、洗浄溶剤を利用して前記生成物を洗浄し、脱ドープ(Dedoping)するステップ;及び
    (e)前記生成物を水で洗浄した後、乾燥させて置換されたポリアニリン共重合体を得るステップ;を含む、伝導性ポリアニリンの合成方法。
  2. 前記水素酸は、pH<4であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性ポリアニリンの合成方法。
  3. 前記有機溶媒は、水に不溶性または難溶性の特性を有する物質であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性ポリアニリンの合成方法。
  4. 前記アニリンに添加されるRが付着したアニリン誘導体のモル比は、生成されるポリアニリンの溶解度によって調節され得るようにすることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性ポリアニリンの合成方法。
  5. 下記化学式1で表すRが付着したアニリン誘導体と置換基が付着していないアニリンとが一定のモル比で混合された単量体混合物から請求項1による伝導性ポリアニリンの合成方法によって製造されることを特徴とする伝導性ポリアニリン:
    (化学式1)
    前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の{−(O)−(−CH−)−CH:m=0以上の整数、n=5〜24}、あるいは親水性の{−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH:n’=1以上の整数、m’=0以上の整数}であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除く。
  6. 前記化学式1で、それぞれのRのうち少なくとも1つ以上のRは、疏水性の−(O)(−CH−)−CH(m=0以上の定数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であることを特徴とする、請求項5に記載の伝導性ポリアニリン。
  7. 一定のモル比で混合された、請求項1に定義された置換基Rが付着したアニリン誘導体、または下記化学式2で表す置換基Rが付着したアニリニウム塩酸誘導体(anilinium hydrochloride derivative)と、置換基が付着していないアニリンまたはアニリニウム塩酸誘導体とを含有する単量体混合物から請求項1による伝導性ポリアニリンの合成方法により製造される伝導性ポリアニリン:
    (化学式2)
    前記化学式で、Rは、それぞれ独立して水素や疎水性の−(O)−(−CH−)−CH(m=0以上の整数、n=5〜24)、あるいは親水性の−(−OCHCH−)n’−O(CHm’CH(n’=1以上の整数、m’=0以上の整数)であり、但し、前記Rが何れも水素である場合は除かれる。
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