JP2010037447A - 液状封止樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

液状封止樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、フラックス剤を用いる工程を経て製造される半導体装置の信頼性を向上することである。
【解決手段】半田リフローする際にフラックス剤を使用して半導体素子と基板とを半田バンプで接続した後、前記半導体素子と前記基板との間を封止するために用いる液状封止樹脂組成物であって、
(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン系硬化剤と、(C)前記半田バンプの周辺に存在する前記フラックス剤の残渣を除去する1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩のうち少なくとも一種類を含むことを特徴とする液状封止樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状封止樹脂組成物および半導体装置に関する。
フリップチップ方式の半導体装置では半導体素子と基板とを半田バンプで電気的に接続している。このフリップチップ方式の半導体装置は、接続信頼性を向上するために半導体素子と基板との間にアンダーフィル材と呼ばれる液状封止樹脂組成物を充填して半田バンプの周辺を補強している。
このようなフリップチップ方式の半導体装置は、一般に半田バンプを有する半導体素子の半田バンプにフラックス剤を塗布する工程、フラックス剤が塗布された半田バンプを基板に仮置きする工程、基板と半導体素子とを半田接続する半田リフロー工程、フラックス剤を洗浄する洗浄工程および半導体素子と基板との間にアンダーフィル材を充填する工程により製造される。
フラックス剤は半田バンプの表面に生成した酸化皮膜を除去して半田接続を確実に行うために広く用いられているが、半田接続後はフラックス剤がイオン性不純物、アウトガス発生の要因となるために除去される必要がある。そこで、フラックス剤には溶剤洗浄タイプや水洗浄タイプなどのフラックス剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような溶剤洗浄および水洗浄によるフラックス剤の洗浄によっても、フラックス剤を完全に除去することができず、残渣として半田バンプ周辺にフラックス剤が残ってしまう場合があった。
このようなフラックス剤の残渣が半田バンプ周辺に存在すると、それによってアンダーフィル材が変質したり、またその周辺はアンダーフィル材が十分に充填されないなどの不具合が生じて、強度が不足し振動や熱衝撃などの外力によってバンプが剥離し導通が得られなくなったり、その部分に水分が浸入してバンプ金属を腐食しマイグレーションが発生したりして半導体装置の信頼性が低下する場合があった。
また、一般に無洗浄フラックス剤と呼ばれ、洗浄工程を必要としないフラックス剤を用いて、半導体装置の組立が行われる場合もあるが、その場合は洗浄を実施しないため、当然上記のような理由で信頼性低下を生じる場合があった。
特開2000−42786号公報
本発明の目的は、上述のようなフラックス剤を用いる工程を経て製造される半導体装置の信頼性を向上することである。
このような目的は、下記(1)〜(6)に記載の本発明により達成される
(1)半田リフローする際にフラックス剤を使用して半導体素子と基板とを半田バンプで接続した後、前記半導体素子と前記基板との間を封止するために用いる液状封止樹脂組成物であって、
(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン系硬化剤と、(C)前記半田バンプの周辺に存在する前記フラックス剤の残渣を除去する1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩のうち少なくとも一種類を含むことを特徴とする液状封止樹脂組成物。
(2)前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が、液状封止樹脂組成物全体の0.005〜0.3重量%含むものである前記(1)に記載の液状封止樹脂組成物。
(3)前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が、予め前記エポキシ樹脂(A)と混合したものである前記(1)または(2)に記載の液状封止樹脂組成物。
(4)前記フラックス剤残渣は、カルボン酸またはカルボン酸誘導体を主成分とするものである前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物。
(5)前記半導体素子と前記基板との間が、前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物の硬化物で封止されていることを特徴とする半導体装置。
(6)半導体素子または相手体に設けられた半田バンプにフラックス剤を塗布して、前記半導体素子と前記相手体とを仮接続する仮接続工程と、
仮接続した前記半導体素子と前記相手体とを半田リフローを通して、半田接続する半田接続工程と、
前記半導体素子と前記相手体との間に、前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物を充填する充填工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法
本発明によれば、フラックス剤を用いる工程を経て製造される半導体装置の信頼性を向上することができる液状封止樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置を得ることができる。
また、前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)を予め、前記エポキシ樹脂(A)と混合した場合、特にフラックス剤の残渣を除去する効果に優れる。すなわち、アミン系硬化剤(B)よりも先にエポキシ樹脂(A)に対して、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が作用するため、フラックス剤の残渣によるエポキシ樹脂(A)とアミン系硬化剤(B)とを含む液状封止樹脂組成物への変質化作用を抑制する効果を一層向上することができる。
以下、本発明の液状封止樹脂組成物および半導体装置について説明する。
本発明の液状封止樹脂組成物は、半田リフローする際にフラックス剤を使用して半導体素子と基板とを半田バンプで接続した後、前記半導体素子と前記基板との間を封止するために用いる液状封止樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン系硬化剤と、(C)前記半田バンプの周辺に存在する前記フラックス剤の残渣を除去する1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩を含むことを特徴とする。
また、本発明の半導体装置は、前記半導体素子と前記基板との間が、上記の液状封止樹脂組成物の硬化物で封止されていることを特徴とする。
まず、液状封止樹脂組成物について説明する。
前記液状封止樹脂組成物は、半導体素子と基板との半田接続においてフラックス剤を使用する工程を有して製造される半導体装置に用いられるものである。
本発明の液状封止樹脂組成物は、この半導体装置の製造時にフラックス剤の残渣が生じた場合に、そのフラックス剤の残渣を除去することが目的であり、また、無洗浄タイプのフラックス剤を使用した場合においても、そのフラックス剤の残渣が半田バンプ周辺に存在して信頼性などを低下させるのを防止するためである。
前記液状封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む。これにより、硬化後の封止樹
脂脂組成物が耐熱性、耐湿性、機械強度に優れ、且つ半導体素子と基板とを強固に接着することができる。そのため、信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
前記エポキシ樹脂(A)としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれ
ば特に分子量や構造は限定されるものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンなどの芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイドなどの脂環式エポキシなどの脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
さらに本発明の場合、芳香族環にグリシジル構造またはグリシジルアミン構造が結合した構造を含むものが耐熱性、機械特性、耐湿性という観点からより好ましく、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂は信頼性、特に接着性という観点から使用する量を制限するほうがさらに好ましい。これらは単独でも2種以上混合して使用しても良い。本発明では液状封止樹脂組成物の態様のため、エポキシ樹脂(A)として最終的に常温(25℃)で液状で
あることが好ましいが、常温で固体のエポキシ樹脂であっても常温で液状のエポキシ樹脂に溶解させ、結果的に液状の状態であればよい。
前記エポキシ樹脂(A)の含有量は、特に限定されないが、前記液状封止樹脂組成物全
体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜40重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、反応性や組成物の耐熱性や機械強度、封止時の流動特性に優れる。
前記液状封止樹脂組成物は、アミン系硬化剤(B)を含む。これにより、エポキシ樹脂(A)を硬化させることができる。
前記アミン系硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と共有結合を形成することが可能な1級アミンまたは2級アミンを分子中に2個以上含むものであれば、特に分子量や構造は限定されるものではない。そのようなアミン系硬化剤(B)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなどのピペラジン型のポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−P−アミノベンゾエートなどの芳香族ポリアミン類が挙げられる。
これらのアミン系硬化剤(B)は、単独で用いても、2種以上の硬化剤を配合して用いても良く、さらに半導体装置の封止用途を考慮すると、耐熱性、電気特性、機械特性、密着性、耐湿性の観点から芳香族ポリアミン型硬化剤が一層好ましい。さらに本発明の様態が
アンダーフィルとして用いる液状封止樹脂組成物であることを踏まえると、室温(25℃)で液状を呈するものがより好ましい。
前記アミン系硬化剤(B)の含有量は、特に限定されないが、前記液状封止樹脂組成物全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜40重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、反応性や組成物の機械特性や耐熱性などに優れる。
前記アミン系硬化剤(B)の含有量は、特に限定されないが、前記エポキシ樹脂(A)
のエポキシ当量に対して前記アミン系硬化剤(B)の活性水素当量で0.6〜1.4が好
ましく、特に0.7〜1.3が好ましい。前記アミン系硬化剤(B)の活性水素当量が前記範囲内であると、反応性や樹脂組成物の耐熱性が特に向上する。
前記液状封止樹脂組成物は、前記フラックス剤の残渣を除去する1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)を含む。これにより、フラックス剤の残渣を除去することが可能となり信頼性を向上することができる。
すなわち、フラックス剤の残渣中のフラックス活性成分は、エポキシ樹脂(A)とアミ
ン系硬化剤(B)と含む液状封止樹脂組成物を変質させ、硬化性を変化させる特性がある
。その結果、液状封止樹脂組成物の流動性や物性が変化し、半導体素子と前記基板との間の封止に使用した際、充填不十分な部分が発生して、半導体装置の信頼性が低下するなどの問題や、無洗浄タイプのフラックス剤を使用した場合においても半田バンプ周辺に、このフラックス剤の残渣が存在して、前述と同様の理由から信頼性を低下させる問題が生じる場合があった。
本発明は、そのような現象を軽減するためになされたものであり、エポキシ樹(A)脂と、アミン系硬化剤(B)と、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)とを含む液状封止樹脂組成物を、半田リフローする際にフラックス剤を使用して半導体素子と基板とを半田バンプで接続した後に、前記半導体素子と前記基板との間を封止するために用いることによって、フラックス剤の残渣によるエポキシ樹脂(A)とアミン系硬化剤(B)の変質反応を、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が抑制するために、フラックス剤の残渣を液状封止樹脂組成物中に溶解、除去することができるものである。
前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)の含有量は、特に限定されないが、前記液状封止樹脂組成物全体の0.005〜0.3重量%が好ましく、特に0.01〜0.2重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に流動性とフラックス剤の残渣除去性とのバランスに優れる。
前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)は、特に限定されないが、予め、前記エポキシ樹脂(A)と混合したものであることが好ましい。これにより、アミン系硬化剤(B)よりも先にエポキシ樹脂(A)に対して1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が作用するため、フラックス剤の残渣によるエポキシ樹脂(A)とアミン系硬化剤(B)と含む液状封止樹脂組成物への変質化作用を抑制する効果を特に向上することができる。予め混合とは、例えば室温で30分間撹拌した後、30分以上静置することであり、特に静置時間に上限はないが、1晩静置処理することが作業性などの点から好ましい。
前記フラックス剤残渣としては、カルボン酸またはカルボン酸誘導体を主成分とするものである。そのようなものとして、例えばロジンまたは水添ロジンなどを主成分とするフ
ラックスや、ロジンを原料にアンモニウム塩および/またはアミン塩としたフラックス、あるいは水溶性樹脂をカルボン酸類で変性したフラックスなどを用いてリフロー接続したフリップチップ方式の半導体装置の接続部に残っているフラックス剤残渣、または洗浄工程などを経た後でもフリップチップ方式の半導体装置の接続部に残っているフラックス剤残渣を挙げることができる。
前記樹脂組成物は、特に限定されないが、無機充填材を含むことが好ましい。これにより、破壊靭性などの機械強度、熱時寸法安定性、耐湿性を向上することができるから、これを用いた半導体装置の信頼性を特に向上することができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、合成シリカ、結晶シリカなどのシリカ粉末などの酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物などを用いることができる。これらの無機充填材は、単独でも混合して使用しても良い。これらの中でも樹脂組成物の耐熱性、耐湿性、強度などを向上できることから溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ粉末が好ましい。前記無機充填材の形状は、特に限定されないが、粘度、流動特性の観点から形状は球状であることが好ましい。
半導体装置に前記無機充填材を用いる場合、その平均粒子径は、特に限定されないが、0.1〜30μmが好ましく、特に0.2〜8μmが好ましい。前記平均粒子径が前記下限値を超えると樹脂組成物の粘度が適度に低下し流動性が向上する効果が高くなり、前記上限値未満であると樹脂組成物が半導体装置への流動する際にフィラー詰まりによる部分的な未充填や充填不良を抑制する効果が高くなる。
半導体装置に前記無機充填材を用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、前記液状封止樹脂組成物全体の30〜80重量%が好ましく、特に40〜75重量%が好ましい。含有量が前記下限値を超えると半導体装置の信頼性を向上させる効果が高くなり、前記下限値未満であると半導体装置の隙間に流動する際の詰まりを抑制する効果が高くなる。
前記液状封止樹脂組成物には、前記エポキシ樹脂(A)、前記アミン系硬化剤(B)など以外に、必要に応じて希釈剤、顔料、難燃剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を用いることができる。
前記液状封止樹脂組成物は、上述した各成分、添加剤などをプラネタリーミキサー、三本ロール、二本熱ロール、ライカイ機などの装置を用いて分散混練したのち、真空下で脱泡処理して製造することができる。
このような液状封止樹脂組成物は、半導体装置の製造プロセスにおける時間の短縮や半導体デバイスへの熱応力低減の観点から、150℃以下2時間以下の硬化条件でエポキシ樹脂の反応率が95%以上であることが好ましい。その理由としては、反応率が95%以上になると、高温保管などによる後硬化により、ガラス転移温度(Tg)や破壊靱性値などの硬化物物性が変化することが少なく、反りや剥離など半導体装置へ悪影響が低減されるからである。ここで、硬化とはエポキシ樹脂の熱硬化反応によって3次元網状構造を形成することをさし、その反応率(Y)はDSC(示差走査熱量測定)により測定し、未硬化のサンプルの発熱量A(mJ/mg)と硬化後のサンプルの発熱量B(mJ/mg)を
測定し、Y(%)=(1−B/A)×100の計算式を用いて算出する。DSCによる発熱量測定はアルミパンにサンプルを20mg秤量し蓋をした後、Seiko Instruments社製DSC220を用い30−300℃の温度範囲を10℃/minの昇温条件で測定し、横軸に温度(℃)縦軸にDSC(mJ/mg)をとったグラフにおけるベースラインを底辺とした反応ピークの面積として求めた。
次に、半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、上述した液状封止樹脂組成物を用いて製造される。
例えばフリップチップ接続の場合について説明すると、まず半田バンプを有する半導体素子と、基板とを、半田リフローを通して半田接続を行う。
次に、半導体素子と基板との間隙に液状封止樹脂組成物を充填する。充填する方法としては、毛細管現象を利用する方法が一般的である。具体的には、半導体素子の一辺に前記液状封止樹脂組成物を塗布した後、半導体素子と基板との間隙に毛細管現象で流し込む方法、半導体素子の2辺に前記液状封止樹脂組成物を塗布した後、半導体素子と基板との間隙に毛細管現象で流し込む方法、半導体素子の中央部にスルーホールを開けておき、半導体素子の周囲に前記液状封止樹脂組成物を塗布した後、半導体素子と基板との間隙に毛細管現象で流し込む方法などが挙げられる。また、一度に全量を塗布するのではなく、2度に分けて塗布する方法なども行われる。また、ポッテッィング、印刷などの方法を用いることもできる
次に、充填した前記液状封止樹脂組成物を硬化させる。硬化条件は、特に限定されないが、例えば100℃〜170℃の温度範囲で1〜12時間加熱を行うことにより硬化できる。さらに、例えば100℃で1時間加熱した後、引き続き150℃で2時間加熱するような、段階的に温度を変化させながら加熱硬化を行っても良い。
このようにして、半導体素子と基板との間が、液状封止樹脂組成物の硬化物で封止されている半導体装置を得ることができる。
ここで、半導体装置は、上述した液状封止樹脂組成物を用いているのでフラックス剤の残渣がより低減されているものである。したがって、半導体装置の信頼性をより向上することができるものである。
このような半導体装置には、フリップチップ方式の半導体装置、キャビティーダウン型BGA(Ball Grid Array)、POP(Package on Package)型BGA(Ball Grid Array)、TAB(Tape Automated Bonding)型BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Scale Package)などが挙げられる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
1.液状封止樹脂組成物の製造
エポキシ樹脂(A)として(大日本インキ化学工業(株)製 EXA−830LVP)23.9重量%と、アミン系硬化剤(B)として(日本化薬(株) カヤハードAA)14.08重量%と、化合物(C)として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下DBU)0.02重量%と、無機充填材として(アドマテクス(株)製、アドマファイン SO−E3)62.0重量%とを3本ロールにて混練分散した後、真空脱法して液状封止樹脂組成物を得た。なお、エポキシ樹脂(A)とDBUとは、予め室温混合した後一晩静置したものを用いた。
2.半導体装置の製造
バンプサイズ100μm、バンプ間隔200μmの半田バンプが設けられた15mm角(バンプ数:3872個)の半導体素子と、BT基板(ビスマレイミドトリアジン基板、
接続パッド:金メッキ表面)とを、ロジン系フラックス(タルチンケスター社製 Kester6502)を使用し、260℃で加熱して半田を溶融接合した(半導体素子とBT基板との間隙:80μm)。接合した半導体素子とBT基板との隙間に、上記液状封止樹脂組成物を110℃で充填し、150℃で2時間硬化封止して半導体装置を得た。
(実施例2)
DBUの代りに、DBU−フェノール塩(サンアプロ(株)製 U−CAT SA1)を用いた以外は、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。
(実施例3)
DBUの代りに、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(以下DBN)を用いた以外は、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。
(実施例4)
DBUの配合量を減らし、全体の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。
エポキシ樹脂(A)として(大日本インキ化学工業(株)製 EXA−830LVP)23.9重量%と、アミン系硬化剤(B)として(日本化薬(株) カヤハードAA)14.09重量%と、DBU 0.01重量%と、無機充填材として(アドマテクス(株)製、アドマファイン SO−E3)62.0重量%とを3本ロールにて混練分散した後、真空脱法して液状封止樹脂組成物を得た。なお、エポキシ樹脂(A)とDBUとは、予め室温混合した後一晩静置したものを用いた。
(実施例5)
DBUの配合量を増やし、全体の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。
エポキシ樹脂(A)として(大日本インキ化学工業(株)製 EXA−830LVP)23.9重量%と、アミン系硬化剤(B)として(日本化薬(株) カヤハードAA)13.9重量%と、DBU 0.2重量%と、無機充填材として(アドマテクス(株)製、アドマファイン SO−E3)62.0重量%とを3本ロールにて混練分散した後、真空脱法して液状封止樹脂組成物を得た。なお、エポキシ樹脂(A)とDBUとは、予め室温混合した後一晩静置したものを用いた
(実施例6)
相手体である基板に半田バンプを搭載し半導体装置を作製した以外は、実施例1と同様に評価した。
(実施例7)
半導体装置の製造について、ロジン系フラックス(タルチンケスター社製 Kester6502)を使用し、260℃で加熱して半田を溶融接合したあと、フラックス洗浄剤(マークレスST−100)を用いて40℃で2分間浸漬洗浄し乾燥した後、上記液状封止樹脂組成物を充填した以外は、実施例1と同様に評価した。
(実施例8)
実施例1のDBUの代りに、DBU−フェノール塩(サンアプロ(株)製 U−CATSA1)を用い、エポキシ樹脂(A)とDBU−フェノール塩とは、予め室温混合しないものを用いた。そして、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。(実施例9)
実施例1のDBUの代りに、DBU−フェノール塩(サンアプロ(株)製 U−CATSA1)を用い、エポキシ樹脂(A)とDBU−フェノール塩とは、予め室温混合した後、1時間静置したものを用いた以外は、実施例1と同様に液状封止樹脂組成物、半導体装置を作製した。
(比較例1)
DBUを用いず、全体の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様に液状封止樹
脂組成物、半導体装置を作製した。
エポキシ樹脂(A)として(大日本インキ化学工業(株)製 EXA−830LVP)23.9重量%と、アミン系硬化剤(B)として(日本化薬(株) カヤハードAA)14.1重量%と、無機充填材として(アドマテクス(株)製、アドマファイン SO−E3)62.0重量%とを3本ロールにて混練分散した後、真空脱法して液状封止樹脂組成物を得た。
[評価項目]
得られた液状封止樹脂組成物および半導体装置について、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
1.フラックス剤の残渣除去性
フラックス剤の残渣除去性を、以下のように評価した。
バンプサイズ100μm、バンプ間隔200μmの半田バンプが設けられた15mm角の半導体素子(バンプ数:3872個)を、スライドガラスに乗せ、ロジン系フラックス(タルチンケスター社製 Kester6502)を使用し、260℃で加熱して半田を溶融し半導体素子とスライドガラスとを接合させ、スライドガラス裏面から、封止前にフラックス剤残渣の付着が観られる全バンプ数を数えた後、上記液状封止樹脂組成物を110℃で半導体素子とスライドガラスとの隙間へ充填し、150℃で2時間硬化して封止した。その後、封止前にフラックス剤の残渣の付着が観られたバンプのうち封止後にフラックス剤の残渣の付着が観られなかったバンプ数を数えた。フラックス剤の残渣は以下の式により算出した。
フラックス剤の残渣=封止前にフラックス剤の残渣の付着が観られたバンプのうち封止後にフラックス剤の残渣の付着が観られなかったバンプ数/封止前にフラックス剤残渣の付着が観られるバンプ数
各符号は、以下の通りである。
◎:フラックス剤の残渣が、75%以上、100%以下であったもの。
○:フラックス剤の残渣が、50%以上、75%未満であったもの。
△:フラックス剤の残渣が、25%以上、50%未満であったもの。
×:フラックス剤の残渣が、 0%以上、25%未満であったもの。
2.接続信頼性
接続信頼性は、上記実施例および比較例により得られた半導体装置を電圧印加高温高湿処理(温度135℃、湿度85%、印加電圧5V、250時間処理)した後の絶縁抵抗(5V、30秒間印加しながら)を測定し評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:絶縁抵抗が、1×1010Ω以上であったもの。
○:絶縁抵抗が、1×109Ω以上、1×1010Ω未満であったもの。
△:絶縁抵抗が、1×107Ω以上、1×109Ω未満であったもの。
×:絶縁抵抗が、1×107Ω未満であったもの。
3.流動性
18mm×18mmのガラス板(上)とガラス板(下)とを70±10μmの間隔が空くように張り合わせて、隙間のある平行平面を持つガラスセルを作製した。このガラスセルをホットプレートの上に置き、ガラス板(上)の上面温度が110±1℃になるよう温度調整しながら5分間静置した。その後、ガラスセルの一辺に、室温で24時間静置した液状封止樹脂組成物0.05〜0.1mLを塗布し、18mm流れきる時間(流動時間)を測定した。各符号は、以下の通りである。
◎:流動時間が、100s以上、150s未満であったもの。
○:流動時間が、150s以上、250s未満であったもの。
△:流動時間が、250s以上、300s未満であったもの。
×:流動時間が、300s以上であったもの。
Figure 2010037447

Claims (6)

  1. 半田リフローする際にフラックス剤を使用して半導体素子と基板とを半田バンプで接続した後、前記半導体素子と前記基板との間を封止するために用いる液状封止樹脂組成物であって、
    (A)エポキシ樹脂と、(B)アミン系硬化剤と、(C)前記半田バンプの周辺に存在する前記フラックス剤の残渣を除去する1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩のうち少なくとも一種類を含むことを特徴とする液状封止樹脂組成物。
  2. 前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が、液状封止樹脂組成物全体の0.005〜0.3重量%含むものである請求項1に記載の液状封止樹脂組成物。
  3. 前記1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、およびこれらの塩(C)が、予め前記エポキシ樹脂(A)と混合したものである請求項1または2に記載の液状封止樹脂組成物。
  4. 前記フラックス剤残渣は、カルボン酸またはカルボン酸誘導体を主成分とするものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物。
  5. 前記半導体素子と前記基板との間が、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物の硬化物で封止されていることを特徴とする半導体装置。
  6. 半導体素子または相手体に設けられた半田バンプにフラックス剤を塗布して、前記半導体素子と前記相手体とを仮接続する仮接続工程と、
    仮接続した前記半導体素子と前記相手体とを半田リフローを通して、半田接続する半田接続工程と、
    前記半導体素子と前記相手体との間に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物を充填する充填工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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