JP2012021086A - 液状封止樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

液状封止樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フリップチップ方式の半導体装置において、狭ギャップへの注入性に優れ、なおかつ狭い塗布スペースでの塗布を可能とする液状封止樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】フリップチップ方式の半導体装置において半導体チップと基板又は半導体チップと半導体チップのギャップの封止に用いる液状封止樹脂組成物であって、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を含有し、注入温度における粘度が0.1Pa・s以下であり、かつ注入温度および硬化温度における前記半導体チップ表面及び前記基板表面との接触角(θ)が15度以上である液状封止樹脂組成物。
【選択図】図2

Description

本発明は、液状封止樹脂組成物および半導体装置に関するものである。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高集積化の動向を反映して、半導体チップのサイズは、小さくなり、配線は微細化している。このような半導体チップを配線基板に電気的に接続して高速で動作させるために、半導体チップに突起電極(バンプ)を形成して、このバンプによって配線基板と一括接合するフリップチップ接続と呼ばれる実装方法が採用されている。
この場合、フリップチップ接続の微細な接続部であるバンプを保護するために、半導体チップと配線基板とのギャップに毛細管現象を利用して半導体チップの側部からアンダーフィル材と呼ばれる樹脂を充填し、硬化させることにより封止するアンダーフィル封止樹脂が使用されている。
さらに近年では、更なる小型化、高集積化を目的として、チップオンチップ(COC)と呼ばれる半導体チップを多段に集積する方式の半導体装置や、チップスケールパッケージ(CSP)と呼ばれる小型の半導体装置においてもフリップチップ接続が適用され始めている。COCではチップと基板の間のみでなく、チップとチップの間の接続にもフリップチップ接続が用いられるようになってきた。これらのフリップチップ接続形式のCOCやCSPは概して、チップとチップもしくはチップと基板の間のフリップチップ接続されている箇所のギャップが10〜50μmと非常に狭く、なおかつアンダーフィル材をそのギャップに注入すべく塗布するためのスペースが非常に狭い。
アンダーフィル材の狭ギャップへの注入性を高めるために、従来はフィラー粒径についての規定や、低粘度の原料を用いるといった技術がなされていた(特許文献1、特許文献2参照)。しかし狭ギャップに注入しやすいように単に低粘度化されたアンダーフィル材では、狭いスペースに塗布した場合にアンダーフィル材が容易に濡れ広がってしまい、周辺部品などの本来アンダーフィル材が触れてはならない箇所の汚染、ひいては半導体装置からアンダーフィル材が溢れ出してしまうという問題があった。
特許第3351974号公報 国際公開第2007/061037号公報
本発明の目的は、フリップチップ方式の半導体装置において、狭ギャップへの注入性に優れ、なおかつ狭い塗布スペースでの塗布を可能とする液状封止樹脂組成物を提供することである。
このような課題は、下記(1)〜(6)に記載の本発明によって解決される
(1)フリップチップ方式の半導体装置において半導体チップと基板又は半導体チップと半導体チップのギャップの封止に用いる液状封止樹脂組成物であって、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を含有し、注入温度における粘度が0.1Pa・s以下であり、かつ注入温度および硬化温度における前記半導体チップ表面及び前記基板表面との接触角(θ)が15度以上である液状封止樹脂組成物。
(2)(C)無機充填剤の含有量が10重量%以上80重量%以下であり、平均粒径が0.1μm以上3μm以下で、最大粒径は24μm以下であることを特徴とする(1)に記載の液状封止樹脂組成物。
(3)更に(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物を含有する(1)又は(2)に記載の液状封止樹脂組成物。
(4)(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物の含有量が0.008重量%以上0.600重量%以下である(3)に記載の液状封止樹脂組成物。
(5)(B)硬化剤が芳香族アミン化合物である(1)から(4)のいずれかに記載の液状封止樹脂組成物。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の液状封止樹脂組成物を用いて封止した半導体装置。
本発明によれば、フリップチップ方式の半導体装置において、狭ギャップへの注入性に優れ、なおかつ狭い塗布スペースでの塗布を可能とする液状封止樹脂組成物を提供することができる。
本発明のフリップチップ方式の半導体装置の一例でアンダーフィル材で封止する前の状態を示す断面概略図 本発明のフリップチップ方式の半導体装置の一例でアンダーフィル材で封止した後の状態を示す断面概略図。 本発明のフリップチップ方式の半導体装置の一例でアンダーフィル材で封止する前の状態を示す断面概略図 本発明のフリップチップ方式の半導体装置の一例でアンダーフィル材及びエポキシ樹脂封止材で封止した後の状態を示す断面概略図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、フリップチップ方式の半導体装置において半導体チップと基板又は半導体チップと半導体チップのギャップの封止に用いる液状封止樹脂組成物であって、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を含有し、注入温度における粘度が0.1Pa・s以下であり、かつ注入温度および硬化温度における前記半導体チップ表面及び前記基板表面との接触角(θ)が15度以上である液状封止樹脂組成物である。
本発明に用いる(A)液状エポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に分子量や構造は限定されるものではない。
例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンなどの芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイドなどの脂環式エポキシなどの脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
さらに本発明の場合、芳香族環にグリシジル構造またはグリシジルアミン構造が結合した構造を含むエポキシ樹脂が耐熱性、機械特性、耐湿性が高くなる点からより好ましく、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂は信頼性、特に接着性が低くなる点から使用する量を制限するほうがさらに好ましい。これらは単独でも2種以上混合して使用してもよい。
本発明の液状樹脂組成物は、室温で液状であるので、(A)エポキシ樹脂として、1種の(A)エポキシ樹脂のみを含む場合は、その1種の(A)エポキシ樹脂は、室温で液状であり、また、2種以上の(A)エポキシ樹脂を含む場合は、それら2種以上の(A)エポキシ樹脂全部の混合物が、室温で液状である。そのため、(A)エポキシ樹脂が、2種以上の(A)エポキシ樹脂の組合せの場合、(A)エポキシ樹脂は、全てが室温で液状のエポキシ樹脂の組合せであってもよく、あるいは、一部が室温で固形のエポキシ樹脂あっても他の室温で液状のエポキシ樹脂と混合することにより、混合物が室温で液状となるのであれば、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形のエポキシ樹脂との組合せであってもよい。なお、(A)エポキシ樹脂が、2種以上のエポキシ樹脂が組合せの場合、必ずしも、使用する全てのエポキシ樹脂を混合してから、他の成分と混合して、液状樹脂組成物を製造する必要はなく、使用するエポキシ樹脂を別々に混合して、液状樹脂組成物を製造してもよい。本発明で、(A)エポキシ樹脂が、室温で液状であるとは、エポキシ樹脂成分(A)として使用する全てのエポキシ樹脂を混合した場合に、その混合物が室温で液状になるということである。
本発明において、室温とは25℃を指し、また、液状とは樹脂組成物が流動性を有していることを指す。
前記(A)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、本発明の液状樹脂組成物全体の5重量%以上60重量%以下が好ましく、特に5重量%以上50重量%以下が好ましい。含有量が前記範囲内であると、反応性や組成物の耐熱性や機械的強度、封止時の流動特性に優れる。
本発明の液状封止樹脂組成物は、硬化剤(B)を含む。これによりエポキシ樹脂(A)を硬化させることができるものであれば特に限定はされないが、例えばアミン、フェノール類、酸無水物、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂などが挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。性状としては、熱硬化性液状封止樹脂組成物の流動性を確保するため液状の硬化剤が好ましく、例えばジアミノジエチルジフェニルメタンや液状ノボラック型フェノール樹脂などが挙げられる。これらは作業性の悪化が著しくならない限りにおいて、固形の硬化剤を溶解させて用いることもできる。
さらに耐熱性の観点から芳香族アミン化合物を、単独あるいは前記硬化剤と併用して用いることが好ましい。芳香族アミン化合物としては、エポキシ樹脂中のエポキシ基と共有結合を形成することが可能な1級アミンまたは2級アミンを分子中に2個以上含むものであれば、特に分子量や構造は限定されるものではない。このようなアミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−P−アミノベンゾエート、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン等の芳香族ポリアミン類が挙げられる。
これらの芳香族アミン化合物は、単独で用いても、2種以上の芳香族アミン化合物を配合して用いてもよい。さらに本発明の様態がアンダーフィル材として用いる液状封止樹脂組成物であるため、室温(25℃)で液状を呈するものがより好ましい。
芳香族アミン化合物の含有量は、特に限定されないが、液状封止樹脂組成物全体の1〜60重量%が好ましく、特に5〜50重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、反応性や組成物の機械的特性や耐熱性などに優れる。
又、芳香族アミン化合物の含有量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して芳香族アミン化合物の活性水素当量で0.6〜1.4が好ましく、特に0.7〜1.3が好ましい。芳香族アミン化合物の活性水素当量が前記範囲内であると、反応性や樹脂組成物の耐熱性が特に向上する。
本発明の液状封止樹脂組成物は、平均粒径が0.1μmから3μmで、最大粒径が24μm以下である無機充填材(C)を含む。前記無機充填材の材質としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ粉末、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、合成シリカ、結晶シリカなどのシリカ粉末などの酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物などを用いることができる。
無機充填材(C)の平均粒径を測定する方法としては、例えばレーザー回折光散乱法によって求めた粒度分布から算術計算によって得られた数値などを用いることができる。 また最大粒径を測定する方法は、前述のような粒度分布計測によって得られた累積分布において累積値99%に達する粒径値、あるいは湿式篩法によって所定サイズの目開きの篩いで篩った際の篩い上残渣の割合が0.1%以下となる粒径値などを用いることができるが、後者のほうが実質的に過大な粒径の無機充填材を含まないので、詰まり防止の観点からいっそう好ましい。
本願の実施例では、平均粒径はレーザー回折光散乱法によって測定し、最大粒径は湿式篩法によって測定した。
これらの無機充填材は、単独でも混合して使用してもよい。これらの中でも樹脂組成物の耐熱性、耐湿性、強度などを向上できることから溶融シリカ、結晶シリカ、又は合成シリカ粉末が好ましい。無機充填材の形状は、平均粒径と最大粒径の範囲を逸脱しない限り特に限定されないが、粘度や流動特性の観点から形状は球状であることが好ましい。無機充填材の含有量は、前記液状封止樹脂組成物全体の10重量%以上80重量%以下が好ましく、特に20重量%以上70重量%以下が好ましい。含有量が前記下限値以上であると半導体装置の信頼性を向上させる効果が高くなり、前記上限値以下であると半導体装置の隙間に流動する際の詰まりを抑制する効果が高くなる。
本発明の液状樹脂組成物は、注入温度における粘度が0.1Pa・s以下で、かつ注入温度および硬化温度における半導体チップ表面及び基板表面との接触角(θ)が15度以上であることを特徴とする。フリップチップ方式の半導体装置においては、封止樹脂は毛細管現象により封入される。実際にフリップチップ方式の半導体装置に液状樹脂組成物を封止させる高温での粘度および接触角に着目した。高温での粘度を低減することにより液状樹脂組成物の狭ギャップの充填性を向上させ、高温での接触角を15度以上とすることにより狭いスペースにおける樹脂組成物の過剰な濡れ広がりを防ぎ、周辺部品などの本来樹脂組成物が触れてはならない箇所の汚染や半導体装置から樹脂組成物が溢れ出してしまうといった事態を引き起こすことなく、狭い塗布スペースでの塗布を可能とした。液状樹脂組成物の注入温度における粘度が0.1Pa・sを超える場合は狭ギャップへの充填性が低くなり、接触角(θ)が15度未満である場合は狭スペースにおいて樹脂組成物が過剰に濡れ広がり、周辺部品などの本来樹脂組成物が触れてはならない箇所の汚染や半導体装置から樹脂組成物が溢れ出してしまうといった事態を引き起こしてしまう。
なお、本発明の液状封止樹脂組成物の注入温度および硬化温度における接触角(θ)は、θ/2法(液滴法)JIS R3257に準拠し、シリコンチップ表面、チップ回路保護膜表面、ソルダーレジスト表面に対する接触角を求めた。
液状樹脂組成物の濡れ性を制御するために、本発明の液状封止樹脂化合物は界面活性剤として(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物を含むことが望ましい。アミノ基を有する液状シリコーン化合物とは1分子中にアミノ基を1つ以上有する液状シリコーン化合物であれば、特に分子量や構造は限定されるものではない。この場合、効果が大きいことからジメチルシロキサン結合を有する構造が望ましい。また官能基の位置はシリコーン化合物の末端及びまたは側鎖に存在してもよい。アミノ基の存在により、樹脂組成物との相溶性を高め、かつシリコーン骨格による表面張力の向上により濡れ性を制御する。(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物は(B)硬化剤が芳香族アミン化合物である場合に特に効果を発揮する。
(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物の含有量は、特に限定されないが、液状封止樹脂組成物全体の0.008〜0.600重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満では接触角(θ)を高くする効果が得られ難く、含有量が前記上限値を超えると硬化後の樹脂組成物の密着性が低下する。
本発明の液状樹脂組成物には、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤などの上述した各成分以外に、必要に応じてカップリング剤、低応力剤、希釈剤、顔料、難燃剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を用いることができる。
本発明の液状樹脂組成物は、上述した各成分、添加剤などをプラネタリーミキサー、三本ロール、二本熱ロール、ライカイ機などの装置を用いて分散混練したのち、真空下で脱泡処理して製造することができる。
本発明の半導体装置は、本発明の液状樹脂組成物を用いて製造される。
具体的にはフリップチップ型半導体装置が挙げられる。フリップチップ型半導体装置とは、半導体チップに突起電極(バンプ)を形成して、このバンプによって配線基板と一括接合するフリップチップ接続と呼ばれる実装方法が採用した半導体装置である。チップオンチップ(COC)と呼ばれる半導体チップを多段に集積する方式の半導体装置においてもフリップチップ接続が適用され始めている。COCではチップと基板の間のみでなく、チップとチップの間の接続にもフリップチップ接続が用いられるようになってきた。
次に、半導体チップと基板とのギャップもしくは半導体チップと半導体チップとのギャップに本発明の液状樹脂組成物を充填する。充填する方法としては、毛細管現象を利用する方法が一般的である。具体的には、半導体チップの1辺に本発明の液状樹脂組成物を塗布した後、半導体チップと基板とのギャップもしくは半導体チップと半導体チップとのギャップに毛細管現象で流し込む方法、半導体チップの2辺に前記液状樹脂組成物を塗布した後、半導体チップと基板とのギャップもしくは半導体チップと半導体チップとのギャップに毛細管現象で流し込む方法、半導体チップの中央部にスルーホールを開けておき、半導体チップの周囲に本発明の液状樹脂組成物を塗布した後、半導体チップと基板とのギャップもしくは半導体チップと半導体チップとのギャップに毛細管現象で流し込む方法などが挙げられる。また、一度に全量を塗布するのではなく、2度に分けて塗布する方法なども行われる。また、ポッテッィング、印刷などの方法を用いることもできる
次に、充填した本発明の液状樹脂組成物を硬化させる。硬化条件は、特に限定されないが、例えば100℃〜170℃の温度範囲で1〜12時間加熱を行うことにより硬化できる。さらに、例えば100℃で1時間加熱した後、引き続き150℃で2時間加熱するような、段階的に温度を変化させながら加熱硬化を行ってもよい。
このようにして、本発明の液状樹脂組成物の硬化物で封止されている半導体装置を得ることができる。
このようなフリップチップ型半導体装置には、BGA(Ball Grid Array)、POP(Package on Package)、COC(Chip on Chip)、CSP(Chip Scale Package)などの半導体装置が挙げられる。本発明の液状封止樹脂組成物の最も好適な用途は、フリップチップ接続形式のCOCやCSPなどの、チップとチップもしくはチップと基板の間のフリップチップ接続されている箇所のギャップが例えば10〜50μmと非常に狭く、なおかつアンダーフィル材をそのギャップに注入すべく塗布するためのスペースが非常に狭い半導体装置である。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
1.液状封止樹脂組成物の製造
液状エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を15.955重量%およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂を15.955重量%、硬化剤(B)として、芳香族1級アミン型硬化剤を16.383重量%、無機充填剤(C)として平均粒径0.5μm、最大粒径24μmの球状シリカを50.000重量%、アミノ基を有する液状シリコーン化合物(D)を0.016重量%、シランカップリング剤としてエポキシシランカップリング剤を1.596重量%、着色剤を0.095重量%、配合し、プラネタリーミキサーと3本ロールを用いて混合し、真空脱泡処理することにより液状封止樹脂組成物を得た。
2.半導体装置の製造
得られた液状封止樹脂組成物を用いて2種類の半導体装置を作成した。
(半導体装置A)
用いた基板と半導体チップの構造を図1に示す。予め基板1と半導体チップ2が半田バンプ3によってフリップチップ接続されている基板を用いた。半導体チップのサイズは10mm×10mm×0.2mmtで、基板のサイズは12mm×12mm×0.3mmtであった。半導体チップと基板とは、176個の半田バンプによりペリフェラル(外周部のみにバンプがある形状)に接合されており、半田バンプの高さは0.03mmであった。半導体チップの回路保護膜4には窒化珪素(SiN)が用いられ、基板上のソルダーレジスト5には太陽インキ社製のAUS703が用いられた。半田バンプの組成はSn/Ag/Cuであった。
上述の半導体チップが搭載された基板を110℃の熱板上で加熱し、半導体素子の一辺に液状封止樹脂組成物をディスペンスし、ギャップ内を充填させ、150℃のオーブンで120分間液状封止樹脂組成物6を加熱硬化し、半導体装置Aを得た。得られた半導体装置Aの構造を図2に示す。
(半導体装置B)
用いた基板と半導体チップの構造を図3に示す。予め半導体チップ21と半導体チップ22が半田バンプ3によってフリップチップ接続されており、下段の半導体チップ22と基板1が金ワイヤーおよび熱硬化性接着剤により接合されている基板を用いた。上段の半導体チップのサイズは10mm×10mm×0.2mmtで、下段の半導体チップのサイズは12mm×12mm×0.2mmtで、基板のサイズは16mm×16mm×0.3mmtであった。上下段の半導体チップは、176個の半田バンプによりペリフェラル(外周部のみにバンプがある形状)に接合されており、半田バンプの高さは0.03mmであった。上段の半導体チップの回路保護膜4には窒化珪素が用いられ、下段の半導体チップの回路保護膜7にはポリイミドが用いられた。基板上のソルダーレジスト5には太陽インキ社製のAUS703が用いられ、半田バンプの組成はSn/Ag/Cuであった。
上述の半導体チップが搭載された基板を110℃の熱板上で加熱し、半導体素子の一辺に液状封止樹脂組成物をディスペンスし、ギャップ内を充填させ、150℃のオーブンで120分間液状封止樹脂組成物6を加熱硬化させた。その後、トランスファー成形機を用い、金型温度175℃、注入圧力7.8MPa、硬化時間2分でエポキシ樹脂封止材8のスミコンEME−G770(住友ベークライト製)を封止成形し、175℃、2時間で後硬化して、半導体装置Bを得た。得られた半導体装置Bの構造を図4に示す。
3.評価項目
得られた液状封止樹脂組成物および半導体装置について、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
・注入性
上記液状樹脂組成物を用いて半導体装置AおよびBを組み立てる際に、半導体チップと基板とのギャップ内もしくは半導体チップと半導体チップとのギャップ内に液状封止樹脂組成物が全て満たされるまでの注入時間を計測して評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:流動時間が、20s以上、60s未満であったもの。
○:流動時間が、60s以上、120s未満であったもの。
△:流動時間が、120s以上、180s未満であったもの。
×:流動時間が、180s以上であったもの。
・外観
上記液状樹脂組成物を用いて半導体装置AおよびBを組み立てる際に、液状封止樹脂組成物を硬化した後の外観観測評価を行った。各符号は、以下の通りである。
○:液状封止樹脂組成物が濡れ広がりすぎることなく、基板もしくは半導体チップから溢れ出さなかったもの。
×:液状封止樹脂組成物が濡れ広がりすぎ、基板もしくは半導体チップから溢れ出したもの。
・粘度
上記液状樹脂組成物の注入温度(110℃)における粘度を測定した。測定にはアレスレオメーターを用いた。
・接触角
上記液状樹脂組成物の注入温度(110℃)および硬化温度(150℃)における接触角(θ)を測定した。接触角(θ)は、θ/2法(液滴法)JIS R3257に準拠し、シリコンチップ表面、チップ回路保護膜(窒化珪素又はポリイミド)表面、ソルダーレジスト(AUS703)表面に対する接触角を求めた。
・リフロー試験
リフロー試験の試験方法としては、上記の半導体装置をJEDECレベル3の吸湿処理(30℃相対湿度60%で168時間処理)を行った後、IRリフロー処理(ピーク温度260℃)を3回行い、超音波探傷装置にて半導体装置内部での液状樹脂組成物の剥離の有無を確認した。
・温度サイクル試験
温度サイクル試験としては、上記のリフロー試験を行った半導体装置に(−55℃/30分)と(125℃/30分)の冷熱サイクル処理を施し、250サイクル毎に超音波探傷装置にて半導体装置内部の半導体チップと液状樹脂組成物界面の剥離の有無を確認した。上記温度サイクル試験は最終的に1000サイクルまで実施した。
[実施例2]
液状封止樹脂組成物の配合を変えた以外は、実施例1と同様にした。液状封止樹脂組成物の詳細な配合および評価結果を表1にまとめた。
[比較例1〜4]
液状封止樹脂組成物の配合を変えた以外は、実施例1と同様にした。液状封止樹脂組成物の詳細な配合および評価結果を表1にまとめた。 比較例1〜4は、作製した半導体装置の外観に問題があったため、リフロー試験と温度サイクル試験を実施しなかった。
実施例および比較例では、以下の材料を使用した。
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:日本化薬(株)製、RE−403S、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量165
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂:住友化学(株)製、ELM−100、4−(2,3−エポキシプロポキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−2−メチルアニリン、エポキシ当量100
・芳香族1級アミン型硬化剤:日本化薬(株)製、カヤハード−AA、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、アミン当量63.5
・無機充填材(合成球状シリカ):(株)アドマテックス製、アドマファインSO−E2/24C、合成球状シリカ、平均粒径0.5μm、最大粒径24μm
・アミノ基を有する液状シリコーン化合物:信越化学工業(株)製、KF−8010
・カルボキシル基を有する液状シリコーン化合物:東レ・ダウコーニング(株)製、BY16−750
・カップリング剤: 信越化学工業(株)製、KBM−403E、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・着色剤:三菱化学(株)製、MA−600、カーボンブラック
Figure 2012021086
本発明において、実施例1、2は注入温度における粘度が0.1Pa・s以下かつ注入温度および硬化温度における接触角(θ)が全ての条件で15度以上であるため、注入性に優れ、且つ外観も良く、半導体装置も問題無く作動した。
比較例1〜3は注入温度における粘度が0.1Pa・s以下であるために、注入性には優れるものの、注入温度および硬化温度における接触角(θ)がいずれかの条件で15度未満であるために外観不良が発生した。
比較例4は注入温度における粘度が0.1Pa・s以上であるために、注入性が遅く、注入温度および硬化温度における接触角(θ)がいずれかの条件で15度未満以下であるために外観不良も発生した。
1 基板
2、21、22 半導体チップ
3 半田バンプ
4 回路保護膜(窒化珪素)
5 ソルダーレジスト
6 液状封止樹脂組成物
7 回路保護膜(ポリイミド)
8 エポキシ樹脂封止材

Claims (6)

  1. フリップチップ方式の半導体装置において半導体チップと基板又は半導体チップと半導体チップのギャップの封止に用いる液状封止樹脂組成物であって、(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填剤を含有し、注入温度における粘度が0.1Pa・s以下であり、かつ注入温度および硬化温度における前記半導体チップ表面及び前記基板表面との接触角(θ)が15度以上である液状封止樹脂組成物。
  2. (C)無機充填剤の含有量が10重量%以上80重量%以下であり、平均粒径が0.1μm以上3μm以下で、最大粒径は24μm以下である請求項1記載の液状封止樹脂組成物。
  3. 更に(D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物を含有する請求項1又は2に記載の液状封止樹脂組成物。
  4. (D)アミノ基を有する液状シリコーン化合物の含有量が0.008重量%以上0.600重量%以下である請求項3記載の液状封止樹脂組成物。
  5. (B)硬化剤が芳香族アミン化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状封止樹脂組成物を用いて封止した半導体装置。
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