JP2010031265A - 倍率バラツキの少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製造方法 - Google Patents

倍率バラツキの少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発泡倍率の倍率バラツキが大きくなりやすいとされている炭酸ガスを発泡剤として使用した場合において、発泡倍率の倍率バラツキの少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり、発泡剤として炭酸ガスを使用して得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であり、下記式(1)で表される発泡倍率の倍率バラツキが10%以下であるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
倍率バラツキ(%)=(σm/Kav)×100 (1)
(式中、Kavは篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:Kav=Σ(Ki×Wi)で求められる平均発泡倍率、σmは篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:σm=√Σ{Wi×(Kav−Ki2}で求められる標準偏差)
【選択図】 なし

Description

本発明は、緩衝包装材、通函、断熱材、自動車のバンパー芯材などに用いられるポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造に好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製造方法に関する。
従来から、密閉容器内でポリオレフィン系樹脂粒子を水系分散媒に分散させ、揮発性発泡剤を含浸させた後に、前記ポリオレフィン系樹脂組成物の軟化点以上に加熱し、低圧雰囲気下に放出して、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る方法はよく知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、該方法で予備発泡粒子を製造する場合、揮発性発泡剤の含浸ムラにより、発泡倍率の倍率バラツキが大きいという問題があった。また、特許文献2や特許文献3のように、発泡剤として可塑性のない水を用いた場合は、予備発泡粒子の発泡倍率の倍率バラツキは少ないことが報告されている。
発泡剤として炭酸ガスを用いて予備発泡粒子を製造する方法も知られているが(例えば特許文献4)、炭酸ガスは可塑化効果があり、含浸ムラを発生しやすく発泡倍率の倍率バラツキが大きいという問題があった。
特許文献5には、倍率バラツキを低減する方法も提案されている。しかしながら、発泡剤として水やブタンを使用した例が具体的に開示されているのみであり、発泡剤として可塑性の高い炭酸ガスを使用した場合については開示されていない。
倍率バラツキが多い予備発泡粒子を用いてポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体を製造した場合、品質のバラツキが生じる。具体的には、成形体重量が安定せず、製品規格外の成形体が多く生じてしまう問題、また発泡倍率が異なる予備樹脂粒子では成形時の発泡力が異なってくるため部分的に成形体の融着や表面性が悪くなる問題などが挙げられる。
特開昭58−199125号公報 WO05/080486号公報 特開2007−137987号公報 特開平5−32815号公報 WO05/085337号公報
本発明は、含浸ムラにより発泡倍率の倍率バラツキが大きくなりやすいとされている炭酸ガスを発泡剤として使用した場合において、倍率バラツキの少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、発泡剤として炭酸ガスを使用する場合において、とりわけ、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して所定量の親水性有機化合物を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂粒子を原料として、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂粒子、分散剤、分散助剤を水系分散媒に分散させた分散液を耐圧容器内に入れ、加熱した後、炭酸ガスにて加圧下のもと、耐圧容器内の圧力を2.0MPa・G以上にすることにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり、発泡剤として炭酸ガスを使用して得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であり、下記式(1)で表される発泡倍率の倍率バラツキが10%以下であるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に関する。
倍率バラツキ(%)=(σm/Kav)×100 (1)
(式中、KavはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:Kav=Σ(Ki×Wi)で求められる平均発泡倍率、σmはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:σm=√Σ{Wi×(Kav−Ki2}で求められる標準偏差)
本発明の第2は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂粒子、分散剤、分散助剤を耐圧容器内で水系分散媒に分散させ、発泡剤として炭酸ガスを耐圧容器内に導入し、ポリオレフィン系樹脂組成物の軟化温度以上の温度に加熱した後、耐圧容器内の圧力を2.0MPa・G以上としながら、耐圧容器内よりも低圧の雰囲気に放出することを特徴とする前記記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
本発明の第3は、前記記載の製造方法によって得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し加熱して得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体に関する。
本発明では、発泡剤として炭酸ガスを使用した場合においても、発泡倍率の倍率バラツキの少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であるため、得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体重量のバラツキが少なく、成形体ごとの重量規格に安定して適合する。また、均一な大きさのポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であるため、外観が均一美麗なポリオレフィン系樹脂発泡成形体を得るに好適である。
本発明で得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり、発泡剤として炭酸ガスを使用して得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であり、下記式(1)で表される発泡倍率の倍率バラツキが10%以下であり、より好ましくは7.5%以下である。
倍率バラツキ(%)=(σm/Kav)×100 (1)
式中、KavはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:Kav=Σ(Ki×Wi)で求められる平均発泡倍率、σmはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:σm=√Σ{Wi×(Kav−Ki2}で求められる標準偏差である。
このように、発泡剤として炭酸ガスを使用して得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子において発泡倍率の倍率バラツキを10%以下とするには、所定量の親水性有機化合物を含有したポリオレフィン系樹脂組成物を原料として使用することが好ましい。
本発明において用いるポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、無水マレイン酸−プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体等のポリプロピレン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は無架橋のものが好ましいが、架橋したものも使用できる。なかでも、ポリプロピレン系樹脂が他のポリオレフィン系樹脂と比べて、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られやすく、また、得られた予備発泡粒子から製造された成形体の機械的強度や耐熱性が良好であるため好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、メルトフローインデックス(以下、MIと表記する場合がある)としては、0.5g/10分以上30g/10分以下が好ましく、3g/10分以上10g/10分以下のものが更に好ましい。
前記MIが0.5g/10分未満のばあい、溶融粘度が高すぎて高発泡倍率の予備発泡粒子が得られにくく、30g/10分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸びに対する溶融粘度が低く破泡しやすくなり、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られにくくなる傾向にある。
また、曲げ弾性率としては500MPa以上2000MPa以下が好ましく、800MPa以上1600MPa以下のものが更に好ましい。融点としては125℃以上165℃以下が好ましく、130℃以上150℃以下のものが更に好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンの場合、MIとしては上記ポリプロピレン系樹脂と同様の理由により、0.1g/10分以上10g/10分以下が好ましく、0.5g/10分以上5g/10分以下のものが更に好ましい。曲げ弾性率としては200MPa以上1200MPa以下のものが更に好ましい。融点としては105℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上135℃以下が更に好ましい。
本発明において用いる親水性有機化合物としては、例えば、メラミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸縮合物等のトリアジン環を有する有機化合物や、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。親水性有機化合物は、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基、スルホ基、ポリオキシエチレン基などの親水性基が含有され、親水性ポリマーも含む。
親水性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5重量%以上のポリマーのことであり、いわゆる吸湿性ポリマー、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーである吸水性ポリマー、および、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーである水溶性ポリマーを包含するものである。具体的には、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや亜鉛イオンなどの遷移金属イオンで中和し、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのカルボキシル基含有ポリマー、ナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のノニオン型吸水性ポリマー、ペレスタット(商品名、三洋化成社製)等に代表されるポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体、アクアコーク(商品名、住友精化社製)等に代表される架橋ポリエチレンオキサイド系重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。中でも、親水性モノマー、ノニオン型吸水性ポリマー、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体であることが、耐圧容器内での分散安定性が比較的良好であり、かつ比較的少量で吸水性を発揮するためるため好ましい。
親水性有機化合物の使用量は、その種類や用いるポリオレフィン系樹脂の種類・量、発泡剤、所望の発泡倍率等によって異なり、一概に規定できないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下であり、好ましくは0.05重量部以上3.0重量部以下である。当該範囲内であると、発泡剤として炭酸ガスを使用した場合に発泡倍率の倍率バラツキの低減効果が得られる。
ポリオレフィン系樹脂は、親水性有機化合物と共に既知の方法を用いて、ポリオレフィン系樹脂粒子の形状とする。例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(商標)、ロール等を用いて溶融して、1粒の重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6.0mgのポリオレフィン系樹脂粒子に加工される。必要に応じて添加する他の添加剤等もこの段階で添加することが好ましい。
一般的には、押出機を用いて溶融し、ストランドカット法にて製造することが好ましい。例えば、円形ダイスからストランド状に押出されたポリオレフィン系樹脂を水、空気等で冷却、固化させたものを切断して、所望の形状のポリオレフィン系樹脂粒子を得ることができる。
また、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造の際にセル造核剤を添加することが、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子とした時のセル径を所望の値に調整することが出来るため好ましい。セル造核剤としては、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。中でも、タルクを使用することが、均一なセルが得られるため好ましい。
セル造核剤の添加量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、セル造核剤の種類により異なり一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上2重量部以下であることが好ましい。
更に、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造の際、必要により種々の添加剤を、ポリオレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲内で添加することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、有機顔料などの着色剤;アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルエタノールアミン、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドなどの帯電防止剤;IRGANOX(登録商標)1010(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1076(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1330(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1425WL(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)3114(登録商標)(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;
IRGAFOS(登録商標)168(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGAFOS(登録商標)P−EPQ(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGAFOS126、等のリン系加工安定剤;ラクトン系加工安定剤;ヒドロキシルアミン系加工安定剤、IRGANOX(登録商標)MD1024(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の金属不活性剤;
TINUVIN(登録商標)326(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)327等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;TINUVIN(登録商標)120等のベンゾエート系光安定剤;CHIMASSORB119(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、CHIMASSORB(登録商標)944(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)622(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)770等のヒンダードアミン系光安定剤;
ハロゲン系難燃剤および三酸化アンチモン等の難燃助剤;FLAMESTAB(登録商標)NOR116(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、MELAPUR(登録商標)MC25(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の非ハロゲン系難燃剤;ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム等の酸中和剤;IRGASTAB(登録商標)NA11(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の結晶核剤;エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド系添加剤などが例示される。
本発明において、発泡倍率の倍率バラツキが10%以下のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子とするためには、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂粒子、分散剤、分散助剤を耐圧容器内で水系分散媒に分散させ、発泡剤として炭酸ガスを耐圧容器内に導入し、ポリオレフィン系樹脂組成物の軟化温度以上の温度に加熱した後、耐圧容器内の圧力を2.0MPa・G以上としながら、耐圧容器内よりも低圧の雰囲気に放出する製造することが好ましい。更には、耐圧容器内の圧力を2.5MPa・G以上としながら、耐圧容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することが好ましい。
使用する耐圧容器には特に限定はなく、予備発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
本発明における水系分散媒とは、水または親水性有機溶媒を含む水あり、具体的には、水、エタノール、エチレングリコール等が例示できるが中でも、水を使用することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂粒子の水系分散媒中での分散性を良好なものにするために、該ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して水系分散媒100重量部以上500重量部以下使用するのが好ましい。
分散剤としては、難水溶性無機化合物を用いることが好ましく、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸バリウム、硫酸バリウム、ピロリン酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩や、カオリン、クレー等のアルミノ珪酸塩などが挙げられる。中でも、アルカリ土類金属塩が、使用後、酸などにより容易に除去可能であるため好ましい。なお、難水溶性無機化合物とは、25℃の水への溶解量が1重量%未満である無機化合物を言う。
分散剤の使用量は、その種類や用いるポリオレフィン系樹脂粒子の種類や量等によって異なり、一概に規定できないが、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して、0.2重量部以上5重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2重量部以上3.0重量部以下である。
分散助剤としては、界面活性剤を使用することが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン系高分子界面活性剤、ノニオン系高分子界面活性剤等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやn−パラフィンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等、アニオン系高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、マレイン酸α−オレフィン共重合体塩等、ノニオン系高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール等が例示できる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。好ましい分散助剤は使用する分散剤の種類によって変わるため一概に規定できないが、例えば分散剤として第三リン酸マグネシウムおよび第三リン酸カルシウムを使用する場合は、アニオン系界面活性剤を使用することが、分散状態が安定になるため好ましい。
分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリオレフィン系樹脂の種類や量などによって異なり一概に規定できないが、通常、水100重量部に対して、分散助剤0.001重量部以上0.2重量部以下であることが好ましい。
本発明においては、発泡剤として、炭酸ガスを使用する。本発明の効果を阻害しない限り他の発泡剤を併用してもよい。他の発泡剤としては、水、窒素、空気、等が例示できる。例えば発泡剤として水を併用することで更に発泡倍率の倍率バラツキを低減できる傾向がある。
発泡剤の使用量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して、2重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
以上の様にして耐圧容器内に調整された、ポリオレフィン系樹脂粒子、分散剤、分散助剤を水系分散媒に分散させてなる分散液は、発泡剤を添加し、攪拌下、所定の圧力まで加圧され、所定の温度まで昇温され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持された後、加圧された分散液を、耐圧容器下部に設けられたバルブを開放して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することによりポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
ポリオレフィン系樹脂粒子を含んだ分散液を低圧雰囲気に放出する際、流量調整、発泡倍率の倍率バラツキ低減などの目的で2〜10mmφの開口オリフィスを通して放出することもできる。さらに例えば、WO05/085337号公報記載の方法を併用すれば、更なる倍率バラツキ低減効果が期待できる。
耐圧容器内を加熱する温度(以下、発泡温度と称す場合がある)は、用いるポリオレフィン系樹脂の融点[Tm(℃)]、種類等により異なり、一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂組成物の軟化温度以上に加熱することが好ましく、より好ましくはTm−30(℃)以上Tm+10(℃)以下に加熱することが好ましい。また、耐圧容器内を加圧する圧力(以下、発泡圧力と称す場合がある)は、用いるポリオレフィン系樹脂の種類、親水性有機化合物の種類、所望の予備発泡粒子の発泡倍率によって異なり、一概には規定できないが、耐圧容器内の圧力は2.0MPa・G以上が好ましく、さらに好ましくは2.5MPa・G以上である。発泡圧力が2.0MPa・G未満になると、炭酸ガスの含浸ムラが生じやすく、さらに耐圧容器からの放出時、開口部を樹脂粒子が通過する際の圧力開放速度もムラが生じ易く、得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率の倍率バラツキが大きくなる傾向がある。
なおここでいうポリオレフィン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計を用いて、ポリオレフィン系樹脂粒子4〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事によりポリオレフィン系樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度として求められる値である。
以上のようにして、得られた本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、金型に充填し加熱することでポリオレフィン系樹脂発泡成形体とすることができる。
成形方法は一概に規定できないが、例えば、得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に空気加圧処理を施し、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の倍率などによって一概に規定できないが、好ましくは0.001〜0.20MPa・Gの内圧を付与する。内圧が低すぎると加熱時の発泡力が低く、成形体表面のノビが悪くなり、内圧が高すぎると、予備発泡粒子のセルが破泡し、表面が美麗でなくなるため、より好ましくは0.02〜0.15MPa・Gの内圧を付与する。内圧を付与した予備発泡粒子を金型内に充填し、成形時の蒸気圧力は使用した樹脂種、樹脂融点や付与した内圧との兼ね合いで一概に規定できないが、好ましくは0.08〜0.40MPa・Gの蒸気で加熱、融着させて発泡成形体を得る方法が挙げられる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、二段発泡し、所望する倍率の予備発泡粒子として成形に使用することもできる。
本発明で得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、粒子同士の発泡倍率の倍率バラツキが少ないため、該ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子から得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、密度分布の少ないため、ポリオレフィン系樹脂発泡成形体表面が美麗であり、ポリオレフィン系樹脂発泡成形体重量のバラツキが少ない。
つぎに、本発明を実施例および比較例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これらにおいて、特にことわりのない限り「部」は「重量部」を示す。
(MIの測定方法)
メルトフローインデックス(MI)の測定は、JIS K7210記載のMI測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、ポリプロピレン系樹脂では230±0.2℃の条件下、ポリエチレン系樹脂では、190±0.2℃の条件下で測定したときの値である。
(樹脂融点の測定方法)
ポリオレフィン系樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、試料5〜6mgをポリプロピレン系樹脂の場合は10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事により樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度として求められる値である。ポリエチレン系樹脂の場合は、上記ポリプロピレン系樹脂条件の220℃を全て190℃に変更した以外は同様の方法で測定した。
(曲げ弾性率の測定方法)
曲げ弾性率はJIS K7106に準拠して測定した。
(発泡倍率の倍率バラツキの測定)
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子300〜500mLをJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けし、各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:
av=Σ(Ki×Wi)により平均発泡倍率Kavを求め、式:
σm=√Σ{Wi×(Kav−Ki2
により、標準偏差σmを求め、式:
倍率バラツキ(%)=(σm/Kav)×100
により倍率バラツキを求めた。
(発泡倍率の測定)
発泡倍率Kiは以下のように求めた。測定する発泡粒子重量をW1とし、メスシリンダーにエタノールを入れ体積V1を求める。メスシリンダー内に発泡粒子を入れ、押し棒などで全ての発泡粒子をエタノール内に浸漬した後の体積V2を求め、式:
i=(V2−V1)×樹脂密度/W1
により発泡倍率を求めた。
(発泡成形体の外観評価)
400×300×20mmの金型から得られたポリオレフィン系樹脂発泡成形体表面の中央付近100×100mmの領域を観察し、発泡粒子間の間隙数が3個以下のものを○、4〜9個のものを△、10個以上あるものを×とした。
(発泡成形体の重量安定性)
400×300×20mmの金型を使用し、同一の成形条件から得られたポリオレフィン系樹脂発泡成形体10個の重量を測定し、重量の平均値を求めた。発泡成形体10個のうち重量が平均値から±2%以上乖離している発泡成形体がないものを○、乖離した発泡成形体が1個あるものは△、2個以上あるものを×とした。
(実施例1)
基材樹脂として、MI=6g/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、親水性有機化合物としてポリエチレングリコール0.2重量部、更にセル造核剤としてタルク0.1重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とポリエチレングリコールとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し、円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水200重量部、分散剤として第三リン酸マグネシウム0.7重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.3m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを4.9重量部添加した。表1の発泡温度より1℃低い温度までオートクレーブ内容物を昇温し、10分後に炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を2.7MPa・Gの発泡圧力まで昇圧した。該発泡圧力下で昇温速度を0.04℃/分として発泡温度まで昇温した。次いで、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.05MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×20mmの金型内に充填し、0.30MPa・Gの成形温度にて型内発泡成形し、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(実施例2)
親水性有機化合物としてメラミン0.1重量部使用した以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂粒子を得、実施例1と同様にして表1記載の条件でポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。実施例1と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(実施例3)
基材樹脂として、MI=7g/10分、融点142℃、曲げ弾性率800MPa、コモノマーとしてエチレンを3.6wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、親水性有機化合物としてポリエチレングリコール0.5重量部、更にセル造核剤としてタルク0.1重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とポリエチレングリコールとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム0.5重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを6.0重量部添加した。表1の発泡温度より1℃低い温度までオートクレーブ内容物を昇温し、10分後に炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を3.0MPa・Gの発泡圧力まで昇圧した。該発泡圧力下で昇温速度を0.04℃/分として発泡温度まで昇温した。次いで、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×20mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度にて型内発泡成形し、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(実施例4)
親水性有機化合物として、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体(商品名:ペレスタット300、三洋化成社製)1.0重量部を使用した以外は、実施例3と同様にして、ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子を用い、実施例3と同様にして表1記載の条件でポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(実施例5)
基材樹脂として、MI=7g/10分、融点136℃、曲げ弾性率700MPa、コモノマーとしてエチレンを4.0wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、親水性有機化合物として、グリセリンを0.2重量部、更にセル造核剤としてタルク0.02重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とグリセリンとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子を用い、実施例3と同様にして表1記載の条件でポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、0.24MPa・Gの成形温度であること以外は実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(実施例6)
3.6mmφの開口オリフィスの代わりに、開口部が3.6mmφ、放出口が斜めになっており、放出した内容物と壁面が20〜30度の角度で衝突するように設計した筒体を使用した以外は実施例3と同様の条件でポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
獲られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
実施例6より、WO05/085337号公報記載の方法と組み合わせれば、更なる効果が発揮できる。
(実施例7)
基材樹脂として、MI=2g/10分、融点123℃、曲げ弾性率300MPa、コモノマーとして4−メチル−1−ペンテンを含む密度0.926g/cm3のポリエチレン系樹脂(商品名:ウルトゼックス、プライムポリマー社製)100重量部に対し、親水性有機化合物として、グリセリンを0.2重量部、更にセル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記ウルトゼックスとグリセリンとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.3mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部、水200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム0.5重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.05重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを7.5重量部添加した。表1の発泡温度より1℃低い温度までオートクレーブ内容物を昇温し、10分後に炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を3.5MPa・Gの発泡圧力まで昇圧した。該発泡圧力下で昇温速度を0.04℃/分として発泡温度まで昇温した。次いで、オートクレーブ下部のバルブを開き、実施例6で使用した筒体を通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出し、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。二段発泡を実施し、発泡倍率が14倍の予備発泡粒子とした後、得られたポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を、400×300×20mmの金型内に充填し、0.10MPa・Gの成形温度にて型内発泡成形し、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例1)
発泡剤として炭酸ガスを3.0部添加、および発泡温度を151.3℃、発泡圧力を1.9MPa・Gにしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例1と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例2)
発泡温度を151.7℃、発泡圧力を1.8MPa・Gにしたこと以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例1と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例3)
発泡剤として炭酸ガスを3.0部添加、および発泡温度を148.7℃、発泡圧力を1.9MPa・Gにしたこと以外は、実施例3と同様にしてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例4)
発泡剤として炭酸ガスを3.0部添加、および発泡温度を148.7℃、発泡圧力を1.9MPa・Gにしたこと以外は、実施例4と同様にしてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例5)
実施例1と同じエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、ホウ酸亜鉛0.5重量部をドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し、円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム1.5重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.05重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを6.0重量部添加した。表1の発泡温度より1℃低い温度までオートクレーブ内容物を昇温し、10分後に炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内を3.0MPa・Gの発泡圧力まで昇圧した。該発泡圧力下で昇温速度を0.04℃/分として発泡温度まで昇温した。次いで、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.6mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用い、実施例1と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例6)
実施例3と同じエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、セル造核剤としてタルク0.1重量部をドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し、円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子を用い、発泡温度を147.7℃、発泡圧力を2.7MPa・Gにしたこと以外は、実施例6と同様にしてポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて、実施例3と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
(比較例7)
発泡剤として炭酸ガスを4.0部添加、発泡圧力を1.9MPa・Gにしたこと以外は、実施例7と同様にしてポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。二段発泡を実施し、発泡倍率が14倍の予備発泡粒子とした後、得られたポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を実施例7と同様の条件にて型内発泡成形を行い、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。
Figure 2010031265
Figure 2010031265
実施例1〜7で得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子或いはポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は比較例1〜7に比べ、発泡倍率の倍率バラツキが格段に改善されており、発泡圧力が倍率バラツキに影響を及ぼしていることが確認できた。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなり、発泡剤として炭酸ガスを使用して得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子であり、下記式(1)で表される発泡倍率の倍率バラツキが10%以下であるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
    倍率バラツキ(%)=(σm/Kav)×100 (1)
    (式中、KavはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:Kav=Σ(Ki×Wi)で求められる平均発泡倍率、σmはJIS Z8801標準篩(3.5、4.5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩残発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから式:σm=√Σ{Wi×(Kav−Ki2}で求められる標準偏差)
  2. ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、親水性有機化合物0.01重量部以上10重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂粒子、分散剤、分散助剤を耐圧容器内で水系分散媒に分散させ、発泡剤として炭酸ガスを耐圧容器内に導入し、ポリオレフィン系樹脂組成物の軟化温度以上の温度に加熱した後、耐圧容器内の圧力を2.0MPa・G以上としながら、耐圧容器内よりも低圧の雰囲気に放出することを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法によって得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し加熱して得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体。
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