JP2009298931A - ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に関し、生産性を損なうことや設備の制約が少なく、予備発泡粒子間の倍率バラツキ、気泡バラツキが小さく、型内発泡成形に用いた場合に、型内発泡成形体の予備発泡粒子間の融着、表面性、寸法精度に優れる型内発泡成形体が得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を提供すること。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明はポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子、およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、たとえば型内発泡成形体の原料として好適に使用し得るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子、およびその製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気等で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。この型内発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れている。断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材など様々な用途に好適に用いられる。
従来、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡剤とともに水系分散媒に分散させ、昇温して一定圧力、一定温度として樹脂粒子中に発泡剤を含浸させたのち、低圧雰囲気下に放出して予備発泡粒子を得る除圧発泡方法が知られている。発泡剤としては、プロパン、ブタンといった揮発性有機発泡剤を使用する方法(例えば、特許文献1)、炭酸ガス、窒素、空気などの無機ガスを使用する方法(例えば、特許文献2,3)が開示されている。
しかしながら、揮発性有機発泡剤は、地球温暖化係数が炭酸ガスよりも大きい物質であり、また、プロパン、ブタンなどの揮発性有機発泡剤は、水への溶解性が乏しい為に、水中に分散させたポリオレフィン系樹脂粒子に均一に含浸させることが難しく、予備発泡粒子の発泡倍率および結晶状態のコントロールが難しい。また、可燃性物質であるため、設備の防爆化が必要となるために、設備コスト高となる欠点を有している。
一方、窒素、空気などの無機ガスを使用する場合は、熱可塑性樹脂への含浸能が非常に低く、高い圧力としても高発泡化に充分な含浸量が得られない問題があった。
これらの欠点を解決し、型内発泡成形体の製造に好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を経済的に製造する方法として、分散媒に使用する水を発泡剤として利用する方法が提案されている。
例えば特許文献4、5には水を発泡剤として使用して予備発泡粒子を製造する際に、樹脂中の含浸水分量を増加させるため親水性ポリマーが添加されたポリプロピレン樹脂を原料樹脂として使用する方法が開示されている。親水性物質としてアイオノマー樹脂、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリエチレンオキサイド系重合体などが使用でき、特にアイオノマー樹脂が好適に使用されると開示されている。しかし、一般に親水性ポリマーがポリオレフィン系樹脂中での分散性に乏しいため、一般的な単軸押出機にてフルフライトスクリューを使用してアイオノマー樹脂を含むポリオレフィン系樹脂粒子を作製した場合、分散が悪い為に予備発泡粒子間の倍率バラツキが大きいこと、さらに気泡バラツキが大きくなる傾向があった。このため型内発泡成形体を得た際に重量バラツキが生じること、色むらが酷いといった問題があった。混練性の高いダルメージスクリューを使用して樹脂粒子を作製することにより、ある程度バラツキは改善されるが完全ではなく、さらに最大吐出量が低下し生産性が大きく悪化してしまう問題もあった。また、アイオノマー樹脂の含水率が低いために高倍率を得ようとすると多量添加が必要となり、型内発泡成形体の強度低下や型内発泡成形体の表面シワが発生し寸法収縮があること、高コストといった問題があった。
特公昭56−1344号公報 特公平4−64332号公報 特公平4−64334号公報 国際公開WO97/38048号公報 特開平10−152574号公報
本発明の課題は、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に関し、生産性を損なうことや設備の制約が少なく、予備発泡粒子間の倍率バラツキ、気泡バラツキが小さく、型内発泡成形に用いた場合に、型内発泡成形体の予備発泡粒子間の融着、表面性、寸法精度に優れる型内発泡成形体が得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体0.2重量部以上5重量部未満と発泡核剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂粒子を使用することで、上記課題が解決することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明の第1は、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に関する。
好ましい態様として、
(1)ポリオレフィン系樹脂(a)が、ポリプロピレン系樹脂である、
(2)ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)のポリエーテル部がポリエチレングリコールからなる、
(3)発泡倍率が6倍以上50倍以下、平均気泡径が50μm以上800μm以下である、
(4)ポリオレフィン系樹脂に、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)を含んでなる、
(5)ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)が、メラミンおよび/またはグリセロール類1重量部以下である、
前記記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に関する。
本発明の第2は、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を、水系分散媒に発泡剤と共に密閉容器内に分散させ、ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出し、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることを特徴とする前記記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関し、好ましい態様としては、発泡剤として炭酸ガスを使用する前記記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子間の倍率バラツキ、気泡バラツキが小さい。また、本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形に用いた場合には、型内発泡成形体の予備発泡粒子間の融着、表面性、寸法精度に優れる型内発泡成形体が得られる。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法は、生産性を損なうことなく、かつ水系分散媒への有機物の溶出を抑えることで環境負荷を軽減させることが出来る。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部未満を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させてなる。
本発明に用いるポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)は、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等からなるポリエーテル部とポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィン部が交互に結合したブロック共重合体であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。
一般的に入手できるポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体としては、ポリオレフィン部の構成単位構造及び重合分子量、ポリエーテル部の構成単位構造及び重合分子量、ポリオレフィン部とポリエーテル部の交互結合の繰返し数といった各要素の異なったものが提供されている。これらポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体を特徴づける各要素に特に限定はないが、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)のポリエーテル部がポリエチレングリコールからなることが予備発泡粒子の倍率バラツキを低減し、得られた予備発泡粒子を型内成形に用いた際の融着不良を招くことがないため好ましい。
ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の融点は、ポリオレフィン系樹脂粒子のベースとするポリオレフィン系樹脂の融点−50℃以上ポリオレフィン系樹脂の融点+40℃以下であることが好ましく、より好ましくはポリオレフィン系樹脂の融点−40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点+20℃、更に好ましくはポリオレフィン系樹脂の融点−30℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点+10℃の範囲内であることが好ましい。融点が上記範囲内でないと、ベースとするポリオレフィン系樹脂へのポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の分散性が悪く、予備発泡粒子の倍率バラツキの低減効果、気泡バラツキの低減効果が得られなくなる傾向がある。
ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、2000以上60000以下であることが好ましく、より好ましくは、4000以上40000以下、更に好ましくは5000以上30000以下である。当該範囲内であると、得られる型内発泡成形体の耐熱性が良好になる傾向がある。
また、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体として、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体に金属塩を含んだ物質も使用することが出来る。このような物質は一般的に帯電防止性能を有しており、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体系帯電防止剤として市販されている。
このようなポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体としては、例えば、三洋化成工業(株)製の「ペレスタット330」「ペレスタット300」「ペレスタット230」が挙げられる。
ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.2重量部以上5重量部以下であり、好ましくは0.3重量部以上2重量部以下である。ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の使用量が0.2重量部未満では、低い発泡倍率のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子しか得られず、従来の親水性物質を併用して高倍率の予備発泡粒子を得ようとする場合は、その他の親水性物質の使用量を減らすことができなくなる。ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体の使用量が5重量部を超える場合は、得られるポリオレフィン系予備発泡粒子の白色度が低下してしまうことや、強度が低下するために予備発泡粒子に発泡させた直後に収縮を生じ易く、型内発泡成形体の強度も低下傾向となること、またコスト高となる。
本発明では、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)を併用しても良い。親水性物質とは、発泡粒子を製造する際に、樹脂中の含浸水分量を増加させる物質であり、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛等の水溶性無機物;メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等の吸水性有機物;グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコールなどのグリセロール類、ペンタエリスリトール、セチルアルコール、ステアリルアルコールといったC12〜C18の脂肪アルコール類等の親水性重合体が挙げられる。更に、国際公開WO97/38048号公報、特開平10−152574号公報に記載されている親水性物質も使用しうる。これら、水溶性無機物、吸水性有機物や親水性重合体等の親水性物質を2種以上併用してもよい。
中でも、メラミンおよび/またはグリセロール類を使用することが、少量添加でも高発泡倍率を得易いため、予備発泡粒子の気泡の均一性や、型内発泡成形性を損うことがなく好ましい。
ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)の添加量は、ポリオレフィン系樹脂1重量部以下とすることが望ましく、好ましくは0.7重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下である。ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)の添加量が1重量部を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の気泡が不均一になり、型内発泡成形性が不良となることがある。
より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、メラミンおよび/またはグリセロール類1重量部以下を添加することである。
本発明で使用する発泡核剤(c)とは、発泡の時に気泡核の形成を促す物質を言い、たとえば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ゼオライト等の無機物質、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらの発泡核剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムが、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体と併用する場合において均一気泡を得易いことから好ましい。
発泡核剤(c)の添加量は使用する発泡核剤によって異なり、一概には決めることが出来ないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上2重量部以下であり、0.01重量部以上1重量部以下であることが好ましい。また、たとえば発泡核剤としてタルクを使用する場合、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上1重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01重量部以上0.5重量部以下、より好ましくは0.02重量部以上0.2重量部以下である。
発泡核剤の添加量が0.005重量部より少ない場合は、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率を大きくすることができない、気泡の均一性が低下するという問題がある。発泡核剤の添加量が2重量部より多い場合はポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の平均気泡径が小さくなり過ぎ、予備発泡粒子の2次発泡性が低下し、型内発泡成形性が不良となる。
また、相溶化剤、帯電防止剤、着色剤、安定剤、耐候剤、難燃剤などの各種添加剤は本発明の効果を損なわない程度に適宜添加可能である。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては従来から用いられているポリオレフィン系樹脂でよく、例えばポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては炭素数2,4〜15のα−オレフィンなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、前述のプロピレンホモポリマー、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を2種以上併用してもよい。
この中でも、特に、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体であって、プロピレン以外のコモノマー含量が1〜5重量%である場合に良好な発泡性を示し、好適に使用し得る。
本発明で用いることが出来るポリプロピレン系樹脂の融点は、130〜160℃であることが好ましく、更には135℃〜150℃のものが好ましい。融点が130℃未満の場合、耐熱性、機械的強度が十分でない傾向がある。また、融点が160℃を超える場合、型内発泡成形時の融着を確保することが難しくなる傾向がある。また、低融点樹脂を併用することで型内成形時の予備発泡粒子どうしの融着を高めることや、高融点樹脂を併用することで型内成形直後の形状を保持し易くすることも可能である。
ここで、融点とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。
前記、ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI値)は、0.5〜30g/10分であることが好ましく、更には2〜20g/10分のものが好ましい。
MI値が0.5g/10分未満の場合、高発泡倍率のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子が得られにくく、30g/10分を超える場合、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の気泡が破泡し易く、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にある。
なお、本発明において、MI値とはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
また、ポリプロピレン系樹脂の以外に、他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等をポリプロプレン系樹脂の特性が失われない範囲で混合使用しても良い。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、エチレンホモポリマー、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては炭素数3〜15のα−オレフィンなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、前述のエチレンホモポリマー、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体を2種以上併用してもよい。
この中でも、特に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−オクテン−1ランダム共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体が良好な発泡性を示し、好適に使用し得る。また共重合体ポリマーでは、ホモポリマーに比較して、本発明で併用する炭酸ガスの含浸がし易い特性も有しており、好適である。
上記ポリオレフィン系樹脂は通常、予備発泡粒子を製造し易いように、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等の樹脂粒子形状に加工しておくことが好ましい。樹脂粒子の大きさは、一粒の重量が0.1mg〜30mgであることが好ましく、0.3mg〜10mgがより好ましい。樹脂粒子の一粒の重量は、樹脂粒子をランダムに100粒から得られる平均樹脂粒子重量であり、mg/粒で表示する。
本発明においては、発泡剤として水を使用する。本発明において、「水を発泡剤として用いる」とは、例えば含水率を測定することにより判別することが出来る。また他の方法として、発泡直後の予備発泡粒子をポリマー用水分計、あるいはカールフィッシャー水分計などで測定することも可能である。
本発明では水を発泡剤として使用し、他の物理発泡剤を併用してもよい。他の物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、沸点が発泡可能温度以下であるメタノール、エタノール等のアルコール類、空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガスが挙げられる。中でも特に環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、炭酸ガスを使用することが望ましい。
水と炭酸ガスを併用することで、発泡力を大きくし易いことから、高発泡倍率を得る際においても、発泡核剤の添加量を少なくすることができ、結果として平均気泡径が大きい予備発泡粒子が得られ、2次発泡性も良好なものとなる傾向がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下、および必要に応じてポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)を含有させたポリオレフィン系樹脂粒子を、密閉容器内の水系分散媒に発泡剤と共に分散させ、ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることで得られるが、分散媒である水が発泡剤として作用する。また、低圧域に放出する前に窒素もしくは空気を圧入することで密閉容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、発泡倍率や平均気泡径の調整を行うことができる。また炭酸ガスなどの常温で気体の物理発泡剤を併用する場合は、ポリオレフィン系樹脂粒子と水を密閉容器に投入したのち、炭酸ガスなどの物理発泡剤を容器内に導入すれば良い。
具体的には、例えば以下の手順で行うことが出来る。
密閉容器にポリオレフィン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、密閉容器内圧が1〜3MPa程度となる炭酸ガスを導入し、ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱する。加熱することによって密閉容器内の圧力が約1.5MPa〜4MPa程度まで上がる。発泡温度付近にてさらに炭酸ガスを追加して所望の発泡圧力に調整、さらに温度調整を行った後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る。
或いは、密閉容器にポリオレフィン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、ポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら炭酸ガスを導入してもよい。
また、密閉容器にポリオレフィン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、発泡温度付近まで加熱した後、さらに空気や窒素等を導入した後、発泡温度とし、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る。
本発明の製造方法により得られるポリオレフィン形樹脂予備発泡粒子の発泡倍率は6倍以上50倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは10倍以上25倍以下であり、より好ましくは10倍以上20倍以下である。
発泡倍率が6倍未満の場合は、軽量化のメリットが得られず、また得られる型内発泡成形体の柔軟性、緩衝特性などが不充分となる傾向があり、50倍を越える場合は得られる型内発泡成形体の寸法精度、機械的強度、耐熱性などが不充分となる傾向がある。
本発明においては、上述の方法によって得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を耐圧容器内にて空気等の無機ガスにて加圧し、内圧を付与させたのち、蒸気加熱することでさらに発泡させ、さらに高倍化してもよい。
なお、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂粒子を密閉容器内の水系分散媒に分散させ、高温、高圧下にて発泡剤を含浸させ、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出させて発泡させることを「一段発泡」と称し、一段発泡により得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
さらに、一段発泡粒子を、例えば耐圧容器内にて空気等の無機ガスにて加圧し、内圧を付与させたのち、蒸気加熱することでさらに発泡させることを「二段発泡」と称し、二段発泡によって得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を「二段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
本発明においては、発泡倍率20倍以上のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得ようとする際は、一段発泡にて得られた一段発泡粒子をさらに二段発泡を行うことが出来る。
なお本発明において、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率とは、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm3)を測定し、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリオレフィン系樹脂粒子の密度ρrとの比である。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は50μm以上800μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以上600μm以下、さらに好ましくは200μm以上500μm以下である。平均気泡径が50μm未満の場合、得られる型内発泡成形体の形状が歪む、表面にしわが発生するなどの問題が生じる場合があり、800μmを越える場合、得られる型内発泡成形体の緩衝特性が低下する場合がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の連泡率は0〜12%であることが好ましく、より好ましくは0〜8%、さらに好ましくは0〜5%である。連泡率が12%を超えては、型内成形に用いた際に予備発泡粒子の型内での蒸気加熱時の発泡性に劣り、得られた型内発泡成形体は収縮してしまう傾向にある。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線において、2つ以上の融解ピークを有するものが好ましい。2つ以上の融解ピークを有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の場合、型内発泡成形性が良く、機械的強度や耐熱性の良好な型内発泡成形体が得られる傾向にある。
ここで、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子1〜10mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線のことである。
前記のごとく2つの融解ピークを有するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、発泡時の密閉容器内温度を適切な値に設定することにより容易に得られる。ポリオレフィン系樹脂がポリオレフィン系樹脂の場合、発泡剤を含浸したポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度は、通常、基材となるポリオレフィン系樹脂の融点以上、好ましくは融点+3℃以上、融解終了温度未満、好ましくは融解終了温度−2℃以下の温度から選定される。
ここで、前記融解終了温度とは、示差走査熱量計によってポリオレフィン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線の融解ピークのすそが高温側でベースラインの位置に戻ったときの温度である。
本発明で得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形に用いる場合には次のような従来既知の方法が使用しうる。イ)そのまま用いる方法、ロ)あらかじめ予備発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法、ハ)予備発泡粒子を圧縮状態で金型内に充填し成形する方法。
これらの中でも、あらかじめ予備発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与するロ)の方法が好適である。具体的には次の型内発泡成形法によって型内発泡成形体を得ることが出来る。
1)ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子中に空気を圧入することにより発泡能を付与する。
2)得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を2つの金型からなる、閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填する。
3)水蒸気などを加熱媒体として0.2〜0.4MPa(G)程度の水蒸気圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形し、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子同士を融着させる。
4)金型を水冷する。
5)金型を開いて、型内発泡成形体を取り出す。
本発明で得られるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いた型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材などの用途に用いることができる。高発泡倍率の型内発泡成形体が使用されることが多い緩衝包装材に、本発明で得られる予備発泡粒子を用いた発泡体を使用することは、特に望ましい使用法である。
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価は、つぎの方法により行なった。
(発泡倍率)
予備発泡粒子3〜10g程度を取り、60℃で6時間乾燥したのち重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm3)を測定し、予備発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリオレフィン系樹脂粒子の密度ρrとの比から発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
(倍率バラツキR)
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子1kgを、JIS Z8801(1994)付表2記載の標準篩(呼び寸法1、1.18、1.4、1.7、2、2.36、2.8、3.35、4、4.75、5.6の11種の篩)で篩い分けした。各篩に残るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiを測定し、下記の式(1)から平均発泡倍率Kavを算出する。
Figure 2009298931
次に重量分率Wi、発泡倍率Kiと平均発泡倍率Kavを用いて式(2)
Figure 2009298931
から発泡倍率の標準偏差σmを計算し、式(3)
Figure 2009298931
から倍率バラツキR(%)を求めた。
なお、各篩に残るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率Kiは、次のようにして求めた。各篩に残るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量Giを0.001gまで正確に秤量し(小数点以下4桁目を四捨五入)、次いで秤量された重量既知のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を23℃の水100mlが収容されたメスシリンダー内の水に水没させたときに上昇した目盛りから、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の体積yi(cm3)を読み取り、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量Gi(g)をポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の体積yi(cm3)で除し、これをg/L単位に換算することにより各篩いのポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の見かけ密度di求める。最後に基材樹脂の密度ds(=900g/L)との比から発泡倍率Ki=ds/diを求めた。
◎:Rの値が5%未満
○:Rの値が5%以上8%未満
△:Rの値が8%以上10%未満
×:Rの値が10%以上15%未満
××:Rの値が15%以上
(気泡の均一性、平均気泡径)
気泡膜が破壊されないように充分注意して発泡粒子をほぼ中央で切断し、その切断面をマイクロスコープで拡大し、予備発泡粒子の表面から予備発泡粒子の直径の5%に相当する厚さの表層部を除く部分(A)に関して次の測定をおこなった。ある任意の方向をx方向とし、それに直交する方向をy方向とした時に、ある1個のセルのx、y方向のフェレ径dx、dyを測定し、次式によりその1個の気泡径diを求める。
di=(dx+dy)/(2×0.785)
部分(A)内で半径方向に偏りのない様に、連続して隣り合う40個以上の気泡についてdiを測定する。1個の予備発泡粒子の平均気泡径d、及び気泡径の変動係数uを次式により算出する。但し、nはdiを測定した気泡の個数、σは気泡径の標準偏差である。
d=Σ(di)/n
u=σ/d×100
3個以上の予備発泡粒子についてuを求め、その平均をUとする。気泡の均一性を次の基準により評価した。
◎:Uが30以下
〇:Uが30を越えて35以下
×:Uが35超
(成形性)
成形評価では、型内発泡成形体設計外形寸法が400mm×300mm×20mmの金型を用いた。
(成形体融着率)
型内発泡成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れたのち、このクラックに沿って型内発泡成形体を割り、破断面を観察し、破断面の全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、成形体融着率とした。
(成形体の表面性)
成形後、23℃で2時間静置し、つぎに65℃で6時間養生したのち、23℃の室内に4時間放置して得られた型内発泡成形体の表面について以下の基準で評価した。
◎:しわ、粒間少なく、美麗
〇:僅かなしわ、粒間あるが良好
×:しわ、ヒケがあり外観不良
(成形体の寸法収縮率)
成形後、23℃で2時間静置し、つぎに65℃で6時間養生したのち、23℃の室内に4時間放置して得られた型内発泡成形体の長手寸法を測定し、対応する金型寸法に対する、金型寸法と型内発泡成形体の寸法との差の割合を対金型寸法収縮率とし、以下の基準で評価した。
◎:対金型寸法収縮率が4%以下
〇:対金型寸法収縮率が4%を超えて7%以下
×:対金型寸法収縮率が7%より大きい
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体:エチレン含有率3.0%、MI=6g/10分、融点143℃)100重量部に対し、ポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体(三洋化成(株)製、ペレスタット303、融点135℃)を0.5重量部、タルク(林化成(株)製、タルカンパウダーPK−S)0.1重量部を加えドライブレンドした。50mmのフルフライトスクリューを具備した単軸押出機に供給し、溶融混練したのち、直径1.8mmの円筒ダイより押出し、水冷後、カッターで切断し、円柱状のポリオレフィン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を得た。
得られたポリオレフィン系樹脂粒子100重量部を、純水200重量部、第3リン酸カルシウム0.5重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.03重量部とともに耐圧密閉容器に投入したのち、脱気し、攪拌しながら炭酸ガス6重量部を密閉容器内に入れ、148℃に加熱した。このときの圧力は3MPaであった。すぐに密閉容器下部のバルブを開いて、水分散物(樹脂粒子および水系分散媒)を直径4mmのオリフィスを通じて大気圧下に放出して予備発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。この際、放出中は容器内の圧力が低下しないように、炭酸ガスで圧力を保持した。
得られた一段発泡粒子は示差走査熱量計測定において、136℃と156℃に2つの融点を示し、発泡倍率は9倍と比較例1、2、6の場合に比べて高い倍率が得られた。気泡の均一性は優れ、平均気泡径194μm、倍率バラツキRは7と優れていた。ここで得た一段発泡粒子を60℃にて6時間乾燥させたのち、耐圧容器内にて、加圧空気を含浸させて、内圧を約0.4MPaにしたのち、約0.09MPaの蒸気と接触させることで二段発泡させ、発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径289μmで気泡の均一性に優れていた。二段発泡させた予備発泡粒子表面を電子顕微鏡にて観察した結果、表面部分の気泡径が均一で、かつ表面の粗れがない予備発泡粒子であった。次に、二段発泡させた予備発泡粒子を再度、耐圧容器内にて空気で加圧し、約0.19MPaの空気内圧とし、型内発泡成形を行った。得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
Figure 2009298931
(実施例2)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.75重量部、タルクを0.1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率11倍、気泡の均一性に優れ、平均気泡径234μm、倍率バラツキRは4と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の2段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径327μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例3)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率12倍、気泡の均一性に優れ、平均気泡径246μmであった。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、気泡の均一性に優れ、平均気泡径333μm、倍率バラツキRは4と優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例4)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を4.5重量部とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率19倍、平均気泡径288μmであった。気泡の均一性は実施例1〜3に比較するとやや劣るもののほぼ均一であった。倍率バラツキRは2と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径335μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例5)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.5重量部、他の親水性添加剤としてメラミン(日産化学工業(株)製)0.2重量部、タルク0.03重量部とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率9倍、平均気泡径380μmであった。気泡の均一性は実施例1〜3に比較するとやや劣るもののほぼ均一であった。倍率バラツキRは7と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径567μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例6)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.5重量部、他の親水性添加剤としてメラミン(日産化学工業(株)製)0.2重量部、タルク0.2重量部とした他は実施例1と同様に発泡、2段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率16倍、平均気泡径252μmであった。気泡の均一性は実施例1〜3に比較するとやや劣るもののほぼ均一であった。倍率バラツキRは3と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。2段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径311μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例7)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.5重量部、他の親水性添加剤としてポリエチレングリコール(ライオン(株)製、#300)0.2重量部、タルク0.1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率17倍、平均気泡径301μmであった。気泡の均一性に優れていた。倍率バラツキRは1と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径364μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例8)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を1重量部、他の親水性添加剤としてポリエチレングリコール(ライオン(株)製、ポリエチレングリコール#300)0.5重量部、タルク0.1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、2段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率19倍、平均気泡径309μmであった。気泡の均一性に優れていた。倍率バラツキRは1と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径359μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例9)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.5重量部、他の親水性添加剤としてホウ酸亜鉛(富田製薬(株)製、ホウ酸亜鉛2335)0.1重量部、タルク無添加とした他は実施例1と同様に発泡、二段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率15倍、平均気泡径189μmであった。気泡の均一性は実施例1〜3に比較するとやや劣るもののほぼ均一であった。倍率バラツキRは3と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径238μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も無く、成形体の寸法収縮が小さく、成形体の歪が少なく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例10)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を1重量部、タルク0.1重量部とし、発泡剤の炭酸ガスは使用せず、窒素ガスを容器内へ導入し、151℃に加熱した。その他は実施例1と同様に一段発泡、二段発泡、型内成形評価した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率10倍、平均気泡径144μmであった。気泡の均一性は実施例1〜3に比較するとやや劣るもののほぼ均一であった。倍率バラツキRは7と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径208μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も僅かであり、成形体の寸法収縮が小さく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例11)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体(b−2)(三洋化成(株)製、ペレスタット300、融点135℃)を1重量部に変更し、タルク0.1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、2段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率12倍、平均気泡径241μmであった。気泡の均一性は優れていた。倍率バラツキRは4と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径327μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も僅かであり、成形体の寸法収縮が小さく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(実施例12)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体(b−3)(三洋化成(株)製、ペレスタット230、融点163℃)を1重量部に変更し、タルク0.1重量部とした他は実施例1と同様に発泡、2段発泡、型内成形した。一段発泡にて得られた一段発泡粒子は2つの融点を示し、発泡倍率11倍、平均気泡径195μmであった。気泡の均一性は優れていた。倍率バラツキRは4と優れていた。次に、実施例1と同様に発泡倍率30倍の二段発泡粒子を得た。二段発泡粒子は、示差走査熱量計測定において2つの融点を示し、平均気泡径272μmで気泡の均一性に優れていた。型内成形評価の結果、得られた型内発泡成形体の表面は平滑性に優れ、しわの発生も僅かであり、成形体の寸法収縮が小さく、粒子どうしの融着に優れ、美麗な型内発泡成形体であった。
(比較例1)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を使用せず、タルク0.1重量部のみとした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率7倍と低い倍率しか得られず、平均気泡径135μmと小さいものであった。二段発泡においては、発泡倍率30倍にするには高い蒸気圧が必要となり、予備発泡粒子どうしが付着するスティックの発生が多数見られた。その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ得られた型内発泡成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。
Figure 2009298931
(比較例2)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.1重量部、タルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率8倍と低い倍率しか得られず、平均気泡径153μm、倍率バラツキRが11と大きかった。二段発泡においては、発泡倍率30倍にするには高い蒸気圧が必要となり、予備発泡粒子どうしが付着するスティックの発生が多数見られた。その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ得られた型内発泡成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。
(比較例3)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を0.1重量部、他の親水性物質としてメラミン(日産化学工業(株)製)0.2重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率13倍、平均気泡径189μm、大きな気泡と小さな気泡が混在し均一性に劣るものであった。倍率バラツキRは9と大きかった。二段発泡により発泡倍率30倍にすることに問題はなかったが、その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ得られた型内発泡成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。
(比較例4)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を30重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率16倍、平均気泡径245μm、予備発泡粒子の中心側が小さな気泡で、表層側は大きな気泡となる不均一なものであった。倍率バラツキは8と発泡倍率16倍としては大きいものであった。二段発泡により発泡倍率30倍にすることに問題はなかったが、その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ得られた型内発泡成形体の寸法収縮率が少し大きく、しわや表面の凹凸が見られ、外観の劣るものであった。
(比較例5)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体は使用せず、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をナトリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社製、ハイミラン1707、融点89℃)を1重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率11倍となり、平均気泡径180μmであった。倍率バラツキRは16とかなり大きく、気泡のバラツキも大きかった。二段発泡では特に問題はなかったが、二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ、成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。混練性の低い押出機にてアイオノマー樹脂を含むポリオレフィン系樹脂粒子を作成しており、アイオノマー樹脂の分散不良が発生していると考えられた。また型内発泡成形体の表面にしわが発生し、寸法収縮も小さかったことは、アイオノマー樹脂が発泡時の温度降下による粘度上昇が大きい樹脂であるために不良を引き起こしており、実施例に示したポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を使用した場合では問題が無いことがわかる。
(比較例6)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体は使用せず、ポリエーテルエステルアミド(b’−1)(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、IRGASTAT P18、融点180℃)を1重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率10倍と低倍率となり、平均気泡径126μmと小さいものであった。倍率バラツキRは12とかなり大きく、気泡のバラツキも大きいものであり、ポリエーテルエステルアミド分散不良となっていると見られた。二段発泡においては、発泡倍率30倍にするには高い蒸気圧が必要となり、予備発泡粒子どうしが付着するスティックの発生が見られた。その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ、成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。
(比較例7)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体は使用せず、マレイン酸変性ポリプロピレン(東洋化成工業(株)製、トーヨータック、融点150℃)を1重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率8倍と低倍率となり、平均気泡径130μmと小さいものであった。倍率バラツキRは11と大きかった。二段発泡においては、発泡倍率30倍にするには高い蒸気圧が必要となり、予備発泡粒子どうしが付着するスティックの発生が多数見られた。その二段発泡粒子を使用し、型内発泡成形したところ、成形体の寸法収縮率が大きく、しわの発生が見られ、外観の劣るものであった。また融着に劣るものであった。
(比較例8)
添加剤のポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体は使用せず、親水性ポリマーとして架橋ポリアルキレンオキサイド(住友精化社製、アクアコークTWB−P、融点60℃)を1重量部、発泡核剤としてタルク0.1重量部とした以外は実施例1と同様に発泡させた。発泡倍率11倍となり、平均気泡径320μmであった。倍率バラツキRが13と大きく、成形体の寸法収縮率が大きく、融着が低い点で劣っていた。
比較例5〜8と実施例との比較により親水性ポリマーの種類によって予備発泡粒子の倍率バラツキや気泡バラツキ、更には型内発泡成形体の表面性や寸法精度、融着に劣る結果となっており、ポリプロピレン・ポリエチレングリコールブロック共重合体を使用することでそれらが改善され、かつ発泡倍率を向上させることが可能となっていることがわかる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  2. ポリオレフィン系樹脂(a)が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  3. ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)のポリエーテル部がポリエチレングリコールからなる請求項1または2記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  4. 発泡倍率が6倍以上50倍以下、平均気泡径が50μm以上800μm以下である請求項1〜3何れか一項に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  5. ポリオレフィン系樹脂に、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)を含んでなる請求項1〜4何れか一項に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  6. ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体以外の親水性物質(d)が、メラミンおよび/またはグリセロール類1重量部以下である請求項5記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  7. ポリオレフィン系樹脂(a)100重量部に対し、ポリオレフィン・ポリエーテルブロック共重合体(b)0.2重量部以上5重量部未満と、発泡核剤(c)0.005重量部以上2重量部以下を含有するポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂粒子を、水系分散媒に発泡剤と共に密閉容器内に分散させ、ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出し、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることを特徴とする請求項1〜6何れか一項に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  8. 発泡剤として炭酸ガスを使用する請求項7記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
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