JP2010023384A - 光情報記録媒体、情報記録方法、および、アゾ金属錯体色素 - Google Patents

光情報記録媒体、情報記録方法、および、アゾ金属錯体色素 Download PDF

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吉憲 金澤
Kosuke Watanabe
康介 渡辺
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Taro Hashizume
太朗 橋爪
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Abstract

【課題】短波長レーザ光照射による情報記録における記録再生特性および耐光性に優れる光情報記録媒体等の提供。
【解決手段】トラックピッチ50〜500nmのプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に記録層を有する光情報記録媒体。記録層は、下記一般式(1)で表されるアゾ色素と該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素を含有する。上記アゾ金属錯体色素は1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有する。
Figure 2010023384

【選択図】なし

Description

本発明は、レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光情報記録媒体に関し、より詳しくは、波長440nm以下の短波長レーザ光を用いる情報の記録および再生に好適なヒートモード型の光情報記録媒体および波長440nm以下の短波長レーザ光照射により上記光情報記録媒体へ情報を記録する情報記録方法に関する。
更に本発明は、光情報記録媒体の記録層用色素として好適な新規アゾ金属錯体色素に関する。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及しており、HDTV(High Definition Television)の放映を間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。しかし、CD−RおよびDVD−Rは、将来の要求に対応できる程の充分に大きな記録容量を有しているとはいえない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザ光を用いることによって記録密度を向上させるため、短波長レーザ(例えば波長440nm以下)による記録が可能な大容量光ディスクの開発が進められている。そのような光ディスクとして、例えばBlu−ray Disc(以下、「BD」ともいう)、HD−DVD等の記録密度の高い光情報記録媒体が提案されている。
短波長レーザ光(例えば405nmの青色レーザ光)を用いた光記録ディスクにおいては、DVD−Rで用いられたアゾ金属錯体に対して吸収波長の短波長化を図ることが検討されている(特許文献1〜4等)。一方、特許文献5には、短波長レーザ光を用いた光情報ディスクおよびDVD―Rのいずれにも適用可能なアゾ金属錯体色素が開示されている。
特開2001−158862号公報 特開2006−142789号公報 特開2006−306070号公報 特開2007−26541号公報 特開2004−291244号公報
しかし本発明者らが、上記特許文献1〜5に記載されているアゾ金属錯体について、色素膜の耐光性、および青色レーザ等の短波長レーザ対応光情報記録媒体の記録再生特性を評価した結果、耐光性、記録再生特性のすべてを満足できるものはなかった。
また、光情報記録媒体を安価に大量に製造するためには、記録層を形成する際の色素溶液を長期間安定に保存しやすいことが望まれるが、上記特許文献1〜5に記載されているアゾ金属錯体については溶液中での保存安定性(溶液安定性)が不十分であることも判明した。
そこで、本発明の目的は、短波長レーザ光照射による情報記録(特に、波長が440nm以下のレーザ光照射による情報記録)における記録再生特性および耐光性に優れる光情報記録媒体、ならびに溶液中での保存安定性に優れ、光情報記録媒体の記録層用色素として好適な新規化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、色素の耐光性および青色レーザ対応光情報記録媒体の記録再生特性について検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
まず本発明者らは、短波長領域でのアゾ金属錯体色素の中でも遷移金属イオンを含むアゾ金属錯体色素が優れているとの知見を得た。しかし、遷移金属イオンを含むアゾ金属錯体色素でも、上記特許文献1〜5に記載されているアゾ金属錯体色素では、耐光性と記録再生特性を両立するものを見出すことはできなかった。更には、上記アゾ金属錯体色素の中から再生耐久性が良好な色素を見出すこともできなかった。
上記知見に基づき本発明者は、上記アゾ金属錯体色素が耐光性あるいは再生耐久性を満足できない理由はアゾ配位子の励起状態を効率よく失活させることができていないことにあると考えた。そこで本発明者らは、アゾ金属錯体色素中の遷移金属イオンの数をアゾ色素の分子数と同数またはそれ以上に多くすること、かつ、1つのアゾ色素と配位結合する遷移金属イオンの数を増やすことにより、アゾ配位子から金属イオンへのエネルギー移動を促進させることを考え検討を重ねた。更に本発明者らは、上記知見とともに、記録再生特性、耐光性および溶液安定性に関しては配位子の構造が要因となるとの考えに基づき鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素であって、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有するアゾ金属錯体色素が、極めて良好な耐光性および溶液安定性を示し、更に短波長レーザ光照射に対する再生耐久性および記録特性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]トラックピッチ50〜500nmのプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に記録層を有する光情報記録媒体であって、
前記記録層は、下記一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素を含有し、
上記アゾ金属錯体色素は、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有し、1分子中に含まれる複数の遷移金属イオンはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、かつ、1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、前記光情報記録媒体。
Figure 2010023384
[一般式(1)中、R1は置換基を表し、X1はOR6、SR6またはNR78で表される基を表し、R6およびR7は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表し、R8は水素原子または置換基を表し、E1はシアノ基、下記部分構造式(A)、または下記部分構造式(B)を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Y1はアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
Figure 2010023384
[部分構造式(A)中、R2は置換基を表し、X2は酸素原子、硫黄原子またはN−R9で表される基を表し、R9は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
Figure 2010023384
[部分構造式(B)中、R3は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
[2]前記アゾ金属錯体色素は、ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に2つのアゾ色素分子と2つの遷移金属イオンとを含有する結果を示す[1]に記載の光情報記録媒体。
[3]一般式(1)で表されるアゾ色素は下記一般式(3)で表されるアゾ色素である[1]または[2]に記載の光情報記録媒体。
Figure 2010023384
[一般式(3)中、R1は置換基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R6およびY1は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
[4]前記遷移金属イオンは銅イオンである[1]〜[3]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[5]前記アゾ金属錯体色素は、下記一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素である[1]または[2]に記載の光情報記録媒体。
Figure 2010023384
[一般式(2)中、Z11は、下記部分構造式(C)中のX11から水素原子が1つ解離した基を表し、E1、R1、R4およびR5は、それぞれ一般式(1)中のE1、R1、R4およびR5と同義であり、一般式(2)中にそれぞれ2つ存在するE1、Z11、R1、R4およびR5は互いに同一でも異なっていてもよく、L11およびL12は、それぞれ独立に配位子を表し、n11およびn12は、それぞれ独立に0〜2の範囲の整数を表す。n11が2を表す場合、2つ存在するL11は互いに同じであっても異なっていてもよく、n12が2を表す場合、2つ存在するL12は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
Figure 2010023384
[部分構造式(C)中、X11は酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有し、かつ水素原子を含有する基を表し、R1およびE1は、それぞれ前記R1およびE1と同義であり、*は窒素原子との結合位置を表す。]
[6]波長440nm以下のレーザ光を照射することにより情報を記録するために使用される[1]〜[5]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[7]基板と記録層との間に反射層を有し、前記レーザ光を基板と反対の面側から記録層へ照射する[6]に記載の光情報記録媒体。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の光情報記録媒体に、波長440nm以下のレーザ光を照射することにより、上記光情報記録媒体が有する記録層へ情報を記録する情報記録方法。
[9]下記一般式(3)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の銅イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素であって、1分子中に2つ以上の銅イオンを含有し、1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、前記アゾ金属錯体色素。
Figure 2010023384
[一般式(3)中、R1は置換基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R6およびY1は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
本発明のアゾ金属錯体色素は、優れた耐光性、良好な溶液安定性を示すことができる。更に、本発明によれば、波長が440nm以下の青色レーザ光を用いて良好な記録再生特性が得られ、且つ、極めて耐光性に優れる光情報記録媒体(特に、波長が440nm以下のレーザ光照射による情報の記録が可能な光情報記録媒体)を得ることができる。
以下、本発明の光情報記録媒体、情報記録方法およびアゾ金属錯体色素について詳細に説明する。
[光情報記録媒体]
本発明の光情報記録媒体は、トラックピッチ50〜500nmのプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に記録層を有する光情報記録媒体であり、短波長レーザにより情報の記録および再生を行うBD、HD−DVD等の高密度記録用光ディスクとして好適である。
上記高密度記録用光ディスクは、従来の追記型光ディスクと比べてトラックピッチが狭いという構造上の特徴を有する。また、BD構成の光ディスクは、基板上に、直接または反射層等の層を介して記録層を有し、更に記録層の上に比較的薄い光透過性を有する層(一般に、カバー層と呼ばれる)を有するという、従来の追記型光ディスクと異なる層構成を有する。このような従来の追記型光ディスクとは異なる構造を有する光情報記録媒体では、CD−RやDVD−R等の従来の追記型光ディスクにおいて使用されていた記録用色素では、十分な記録特性を得ることは困難であった。これに対し、本発明では、従来の追記型光情報記録媒体と比べてトラックピッチが狭い光情報記録媒体において、一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素であって、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有するアゾ金属錯体色素を記録層に含むことにより、良好な記録再生特性を得ることを可能にした。本発明の光情報記録媒体によれば、短波長(例えば波長440nm以下)のレーザ光照射により、良好な記録特性を得ることができる。特に、本発明の光情報記録媒体は、基板と記録層との間に反射層を有する構成を有するBD構成の媒体として好適である。
更に、上記アゾ金属錯体色素が、極めて良好な耐光性および良好な溶液安定性を示すことも新たに見出された。本発明の光情報記録媒体は、上記アゾ金属錯体色素を記録層に含むことにより、短波長レーザ光照射による記録特性と高い耐光性を両立することができる。更に本発明の光情報記録媒体は、溶液中での保存安定性の高い記録層色素を用いて形成することができるため、高い生産性も実現できる。
以下に、本発明におけるアゾ金属錯体色素の詳細を説明する。
本発明においてアゾ色素については、アゾ−ヒドラゾン互変異性平衡におけるアゾフォームのみを記載しているが、対応するヒドラゾンフォームであってもよく、その場合のヒドラゾンフォームは本発明におけるアゾフォームと同一成分とする。
なお、本発明においてアゾ色素とは、アゾ構造を有し金属イオンと錯形成可能な色素化合物を表し、金属錯体中で配位子となっている場合も含む。例えば、1分子中で1つの金属イオンに対して2つのアゾ配位子が配位している場合、1分子中のアゾ色素の分子数は2である。アゾ色素が金属イオンと錯形成した場合をアゾ金属錯体と呼ぶ。また、本発明においてアゾ配位子とは、アゾ色素が配位子となった場合を言う。アゾ配位子は解離性水素原子を失うことによりアニオン性配位子となり、解離性水素原子を2つ失うことにより、2価のアニオン性配位子となることが好ましい。
本発明において遷移金属イオンとは、遷移金属原子のイオンを表す。遷移金属原子とは、周期表のIIIa族〜VIII族の元素およびIb族の元素が含まれ、不完全d電子殻を持つ元素である。遷移金属原子としては、特に限定されるものではないが、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znが好ましく、Cu、Znがより好ましく、Cuが更に好ましい。
遷移金属イオンとしては、1価または2価の遷移金属イオンが好ましい。1価または2価の遷移金属イオンとしては、例えば、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Ru2+、Pd2+、Ag+、Re+、Pt2+、Au+等が挙げられ、Cu2+、Zn2+、Pd2+、Pt2+などの配位数4が安定となる遷移金属イオンを含むことが好ましく、Cu2+がより好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、下記一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素を記録層に含有する。前記アゾ金属錯体色素は、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有する。1分子中に含まれる複数の遷移金属イオンはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 2010023384
[一般式(1)中、R1は置換基を表し、X1はOR6、SR6またはNR78で表される基を表し、R6およびR7は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表し、R8は水素原子または置換基を表し、E1はシアノ基、下記部分構造式(A)、または下記部分構造式(B)を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Y1はアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
Figure 2010023384
[部分構造式(A)中、R2は置換基を表し、X2は酸素原子、硫黄原子またはN−R9で表される基を表し、R9は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
Figure 2010023384
[一般式(B)中、R3は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
前記アゾ金属錯体色素は、一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンを構成成分として含む錯体であって、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有する錯体であればよく、上記アゾ色素と遷移金属イオンとともに、配位子や分子の電荷を中和するために必要なイオン等の他成分が含まれていてもよい。
一般式(1)中、R1は置換基を表す。置換基としては特に限定されないが、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基が例として挙げられる。
更に詳しくは、R1は、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基t−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)を表す。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。
前記R1として好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、オキサゾール環基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、イソオキサゾール環基、フラン環基、またはチオフェン環基であり、より好ましくはイソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、フラン環基、またはチオフェン環基であり、特に好ましくはtert−ブチル基、フェニル基、4−クロロフェニル基、または2−メトキシフェニル基であり、最も好ましくはtert−ブチル基、またはフェニル基である。
一般式(1)中、X1はOR6、SR6またはNR78で表される基を表す。X1は、好ましくはOR6またはNR78で表される基であり、特に好ましくはOR6で表される基である。
6およびR7は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子(以下、「解離性水素原子」ともいう)を表す。一般式(1)で表されるアゾ色素は、解離性水素原子が1つ解離することにより1価のアニオン性配位子となることができ、2つ解離することにより2価のアニオン性配位子となることができる。
8は水素原子または置換基を表す。R8で表される置換基は特に限定されず、例えば一般式(1)中のR1の説明で挙げた置換基が挙げられる。R8として好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、オキサゾール環基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、イソオキサゾール環基、フラン環基、またはチオフェン環基であり、より好ましくはイソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、フラン環基、またはチオフェン環基であり、特に好ましくはtert−ブチル基、フェニル基、4−クロロフェニル基、または2−メトキシフェニル基である。
一般式(1)中、E1はシアノ基、下記部分構造式(A)、または下記部分構造式(B)を表す。E1として好ましくは、シアノ基または下記部分構造式(A)であり、特に好ましくはシアノ基である。
Figure 2010023384
部分構造式(A)中、R2は置換基を表し、X2は酸素原子、硫黄原子またはN−R9で表される基を表し、R9は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。
2で表される置換基としては、特に限定されないが、例えばR1で表される置換基として例示したものが挙げられる。R2として好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、オキサゾール環基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、イソオキサゾール環基、フラン環基、チオフェン環基、トリフルオロメチル基、エトキシカルボニル基、またはフェノキシカルボニル基であり、より好ましくはイソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、チアゾール環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、トリアゾール環基、フラン環基、チオフェン環基、トリフルオロメチル基、エトキシカルボニル基、またはフェノキシカルボニル基であり、特に好ましくはtert−ブチル基、フェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、トリフルオロメチル基、またはエトキシカルボニル基である。
上記部分構造式(A)中のX2は、酸素原子、硫黄原子またはN−R9で表される基を表す。X2として好ましくは酸素原子またはN−R9で表される基であり、特に好ましくは酸素原子である。
9は置換基を表す。R9で表される置換基としては特に限定されないが、例えばR8の説明で挙げた置換基が挙げられ、好ましい範囲もR8と同じである。
Figure 2010023384
部分構造式(B)中、R3は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。
3で表される置換基は特に限定されないが、例えばR1で挙げた置換基が挙げられ、好ましい範囲もR1と同じである。
一般式(1)中、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R4、R5で表される置換基は特に限定されないが、例えばハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
更に詳しくは、R4、R5で表される置換基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表す。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
4は、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルアミノカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールアミノカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基より選ばれる基であることが好ましく、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基より選ばれる基であることがより好ましく、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、シアノ基より選ばれる基であることが更に好ましく、シアノ基であることが特に好ましい。
5は、水素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましく、溶解性の観点から炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基がより好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数3または4のアルキル基がさらに好ましい。
一般式(1)中、Y1はアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子(解離性水素原子)を表す。一般式(1)で表されるアゾ色素は、Y1が解離することにより1価のアニオン性配位子となることができ、更にX1に含まれる解離性水素原子が解離することにより2価のアニオン性配位子となることができる。
一般式(1)で表されるアゾ色素は、X1がOR6で表される基を表すことが好ましく、X1がOR6で表される基を表し、かつE1がシアノ基または部分構造式(A)を表すことがより好ましく、X1がOR6で表される基を表し、かつE1がシアノ基を表すことが更に好ましい。即ち、一般式(1)で表されるアゾ色素は、下記一般式(3)で表されるアゾ色素であることが好ましい。
Figure 2010023384
一般式(3)中、R1は置換基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R6およびY1は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。
一般式(3)中のR1、R4、R5、R6およびY1は前述の一般式(1)中のR1、R4、R5、R6およびY1と同義であり、好ましい範囲等の詳細も同じである。
以下に一般式(1)および/または一般式(3)で表されるアゾ色素の具体例を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010023384
Figure 2010023384
Figure 2010023384
一般式(1)および/または一般式(3)で表されるアゾ色素の一般的合成法としては、特開昭61−36362号公報および特開2006−57076号公報に記載の方法が挙げられる。ただし、これに限定するものではなく、他の反応溶媒、酸を用いてもよく、また、カップリング反応を塩基(例えば、酢酸ナトリウム、ピリジン、水酸化ナトリウム等)存在下で行ってもよい。アゾ色素の合成法の具体例を、以下に示す。
Figure 2010023384
一般式(1)で表されるアゾ色素と遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素は、一般式(1)で表されるアゾ色素と遷移金属イオンとを反応させることにより得ることができる。前記アゾ金属錯体色素は、一般式(3)で表されるアゾ色素と遷移金属イオンとの錯体であることが特に好ましい。
前記アゾ金属錯体色素は、存在する環境の違い(溶媒中、粉末状態など)で配位構造や金属イオンの価数が異なる場合がある。配位構造が異なる場合、とり得る配位構造としては、遷移金属イオン5つとアゾ色素4つから形成される5核錯体、または、遷移金属イオン2つとアゾ色素2つから形成される2核錯体などがある。これらの混合物として存在する場合も考えられる。また、金属イオンの価数が変化すると、対塩の電荷や個数も変わり得るため、前記アゾ色素と遷移金属イオンとの金属キレート色素の対塩は特に限定されるものではなく、電荷を中和するために必要なイオンと対塩を形成していればよい。対塩を形成するイオンとしては、酢酸アニオン、アセチルアセトンから水素原子が1つ解離したアニオン、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、水酸化物イオンなどが挙げられる。Cuは存在する環境によっては1価も安定であり、その場合には対塩がカチオンとなることも考えられる。カチオンとしては、例えば合成時に用いた塩基がプロトン化されたものなどが挙げられる。塩基としては有機塩基が好ましく、有機塩基としては例えば、炭素数1〜30の1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、n−ブチルアミンなど)、アミジン類{例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)など}、グアニジン類(例えば、テトラメチルグアニジンなど)、含窒素へテロ環(例えば、ピリジン、イミダゾールなど)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。有機塩基としては、炭素数1〜30の1〜3級アミンが好ましく、炭素数1〜20の1〜3級アミンがより好ましく、炭素数1〜10の1〜3級アミンがさらに好ましく、炭素数1〜10の2または3級アミンが特に好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
前記アゾ金属錯体色素の一般的方法としては、アゾ色素、金属塩(金属錯体、金属酸化物塩を含む)を、有機溶媒中もしくは水中、またはその混合液中において、攪拌する方法が挙げられる。必要に応じて塩基を添加してもよい。ただし、金属塩の種類、塩基の種類、有機溶媒またはその混合液の種類、反応温度等は限定されない。塩基の種類は特に限定されない。本発明においては塩基存在下で反応させることが好ましい。
アゾ金属錯体色素の合成法の具体例としては、反応溶媒としてメタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤を、塩基としてアミン、アミジン(例えば、DBU等)、グアニジン、無機塩基(NaOH等)等を用い、加熱還流させる方法が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。反応溶媒、反応液中のアゾ色素および金属塩の濃度および混合割合、反応温度および反応時間等の反応条件は、適宜設定すればよい。
一般式(1)で表されるアゾ色素と遷移金属イオンとを反応させることにより得られるアゾ金属錯体色素としては、下記一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素が好ましい。一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素は、銅イオン2つと一般式(1)で表されるアゾ色素2分子により形成される。一般式(2)においては、ピラゾール環の環上窒素原子と酸素原子に対してそれぞれ遷移金属イオンが結合する。Y1で表される水素原子が解離することにより、これらの構造が安定化されていると考えられる。
なお、本発明の光情報記録媒体において記録層用色素として使用されるアゾ金属錯体色素は、各種MSにて同定を行うと、アゾ配位子4分子と遷移金属5つ分子から形成される分子の分子量をMとした場合に、Mのピークで検出される場合、negaでM/2のピークが検出される場合、アゾ色素2つと遷移金属イオン2つから形成される分子に相当するピークが検出される場合、アゾ色素2つと遷移金属イオン3つから形成される分子に相当するピークが検出される場合がある。これら複数のピークが同時に検出されることもあり得る。塩基単体も検出され得る。単座配位子(塩基や溶媒など)は、錯体となって検出されることは殆どなく、フラグメントとして検出される。アゾ金属錯体の重量減少開始温度が塩基や溶媒の沸点より高いなど、熱分析(例えばTG/DTAなど)により錯体の一部として塩基などが含まれることを確認することができる。
本発明の光情報記録媒体の記録層に含まれるアゾ金属錯体色素は、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有するものであるが、その好ましい態様としては、
(1)ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に2つのアゾ色素分子と2つの遷移金属イオンとを含有する結果を示すもの、
(2)ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に2つのアゾ色素分子と3つの遷移金属イオンとを含有する結果を示すもの、および、
(3)ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に3つのアゾ色素分子と4つの遷移金属イオンとを含有する結果を示すもの、および、
(4)ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に4つのアゾ色素分子と5つの遷移金属イオンとを含有する結果を示すもの、
を挙げることができ、上記(1)または(2)がより好ましく、上記(1)よりいっそう好ましい。
以下に、一般式(2)について説明する。
Figure 2010023384
[一般式(2)中、Z11は、下記部分構造式(C)中のX11から水素原子が1つ解離した基を表し、E1、R1、R4およびR5は、それぞれ一般式(1)中のE1、R1、R4およびR5と同義であり、一般式(2)中にそれぞれ2つ存在するE1、Z11、R1、R4およびR5は互いに同一でも異なっていてもよく、L11およびL12は、それぞれ独立に配位子を表し、n11およびn12は、それぞれ独立に0〜2の範囲の整数を表す。n11が2を表す場合、2つ存在するL11は互いに同じであっても異なっていてもよく、n12が2を表す場合、2つ存在するL12は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
Figure 2010023384
[部分構造式(C)中、X11は酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有し、かつ水素原子を含有する基を表し、R1およびE1は、それぞれ前記R1およびE1と同義であり、*は窒素原子との結合位置を表す。]
一般式(2)中、L11およびL12は、それぞれ独立に配位子を表す。本発明において、「配位子」とは金属イオンと結合可能な原子または原子団のことをいう。一般式(2)中にL11、L12で表される配位子が複数存在する場合、複数存在する配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
11、L12で表される配位子としては、後述の好ましい例で挙げる配位子のほか、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」(Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行)、「有機金属化学−基礎と応用−」(裳華房株式会社、山本明夫著、1982年発行)等に記載の配位子が挙げられる。配位子の具体例について以下に説明する。
11、L12に含まれる金属イオンと結合可能な原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が好ましく、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子がより好ましく、窒素原子、酸素原子が更に好ましく、窒素原子が特に好ましい。
11、L12が金属イオンに配位する場合、Lはアニオン性配位子であっても、中性配位子であってもよい。
上記のうち、金属イオンに窒素原子で配位する配位子としては、特に限定されないが、含窒素芳香族へテロ環配位子{例えば、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサジアゾール配位子、チアジアゾール配位子、およびこれらを含む縮配位子体(例えば、キノリン配位子、ベンズオキサゾール配位子、ベンズイミダゾール配位子など)、およびこれらの互変異性体など}、アミン配位子(例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジベンジルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、アリールアミンなど)、アニリン配位子(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、N−アシルアニリン、N−アルキルスルホニルアニリンなど)、イミン配位子、ニトリル配位子(例えばアセトニトリル配位子など)、イソニトリル配位子(例えばt−ブチルイソニトリル配位子など)、アミド配位子(例えばジメチルホルムアミド配位子、ジメチルアセトアミド配位子など)、アミジン配位子(例えば、DBU、DBN)、グアニジン配位子(例えばテトラメチルグアニジン)などが挙げられる。これらの配位子は置換基を有していてもよい。
金属イオンに酸素原子で配位する配位子としては、特に限定されないが、アルコール配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシロキシなどのプロトンを解離させた一価のアニオン配位子が挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェノール、1−ナフトール、2−ナフトールなどプロトンを解離させた一価のアニオン配位子が挙げられる。)、ジケトン配位子(例えばアセチルアセトン配位子)、シリルオキシ配位子(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、エーテル配位子(環状エーテルを含む)カルボン酸配位子、スルホン酸配位子、アクア配位子、O2配位子などが挙げられる。これらの配位子は置換基を有していてもよい。
金属イオンに硫黄原子で配位する配位子としては、特に限定されないが、アルキルチオール配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばブタンチオールなどプロトンを解離させた一価のアニオン配位子が挙げられる。)、アリールチオール配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばチオフェノールなどが上げられる。)、チオエーテル配位子が挙げられる。これらの配位子は置換基を有していても良い。
金属イオンにリン原子で配位する配位子としては、特に限定されないが、アルキルホスフィン配位子(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばメチルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジベンジルホスフィン、などが挙げられる。)、アリールホスフィン配位子(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数4〜20、特に好ましくは炭素数5〜10であり、例えばフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、ピリジルホスフィンなどが挙げられる。)が挙げられる。これらの配位子は置換基を有していてもよい。
11およびn12は、それぞれ独立に0〜2の範囲の整数を表す。n11が2を表す場合、2つ存在するL11は互いに同じであっても異なっていてもよく、n12が2を表す場合、2つ存在するL12は互いに同じであっても異なっていてもよい。
1、R1、R4およびR5は、それぞれ一般式(1)中のE1、R1、R4、およびR5と同義であり、その詳細と好ましい範囲等も同じである。
一般式(2)中、Z11は、上記部分構造式(C)中のX11から水素原子が1つ解離した基を表す。部分構造式(C)中のX11は酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有し、かつ水素原子を含有する基を表す。X11に含まれる水素原子は解離性水素原子であり、一般式(2)で表されるアゾ金属錯体形成時に解離する。部分構造式(C)中のR1およびE1は、それぞれ前記R1およびE1と同義であり、*は窒素原子との結合位置を表す。
11で表される基としては、ヒドロキシル基、アミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)などが挙げられる。
11で表される基は、ヒドロキシル基、炭素数0〜4の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数3〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であることが好ましく、ヒドロキシル基、炭素数0〜4の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基であることがより好ましく、ヒドロキシル基であることがさらに好ましい。
一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素において、アゾ配位子は下記一般式(4)に示すように2価アニオンとして存在する。但し、配位子上のアニオン2つは下記のように局在化しているとは限らず、非局在化している場合も含まれる。
Figure 2010023384
[上記において、Z11は下記部分構造式(C)中のX11から水素原子1つが脱離した基であり、E1、R1、R4、およびR5は前記E1、R1、R4、およびR5と同義である。]
以下に、前記一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素の具体例を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010023384
本発明の光情報記録媒体の記録層に含まれる色素の具体例としては、アゾ色素、金属イオンの原料および反応で使用する塩基の組み合わせが上記具体例に示す化合物と同様の錯体(アゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体)であり、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有するが一般式(2)以外の配位構造を取るものを挙げることもできる。
本発明の光情報記録媒体は、前記アゾ金属錯体色素を少なくとも一種含有する記録層を有するものである。前記記録層は、前記アゾ金属錯体色素を1種含むこともでき、2種以上含むこともできる。記録層中の前記アゾ金属錯体色素の含有率は、記録層の全質量に対して、例えば1〜100質量%の範囲であり、好ましくは70〜100質量%の範囲であり、より好ましくは80〜100質量%の範囲であり、最も好ましくは90〜100質量%の範囲である。
本発明の光情報記録媒体は、前記アゾ金属錯体色素を含む記録層を基板上(トラックピッチ50〜500nmのプリグルーブを有する表面上)に少なくとも一層有するものであればよく、前記記録層を二層以上有することもできる。または、前記アゾ金属錯体色素を含む記録層以外の記録層を有することも可能である。前記アゾ金属錯体色素を含む記録層において、記録用色素として他の色素を併用する場合、全色素成分に対する前記アゾ金属錯体色素の割合が、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましい。
本発明において、色素成分として、前記アゾ金属錯体色素以外の色素を使用する場合、該色素としては、例えば波長440nm以下の短波長領域において吸収を有するものが好ましい。そのような色素としては、特に限定されないが、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、フタロシアニン色素、オキソノール色素、シアニン色素、スクアリリウム色素などが挙げられる。
本発明の光情報記録媒体において、前記アゾ金属錯体色素を含む記録層は、レーザ光の照射により情報の記録が可能な層である。ここで、レーザ光の照射により情報の記録が可能とは、記録層のレーザ光が照射された部分がその光学的特性を変えることをいう。光学的特性の変化は、記録層のレーザ光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えば、ピットの生成)を生じすることによってもたらされると考えられる。記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザ光と同様の波長のレーザ光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。前記アゾ金属錯体色素は、例えば440nm以下のレーザ光に対して吸収性を有するものである。このように短波長領域に吸収性を有する金属錯体化合物を含む記録層を有する本発明の光情報記録媒体は、405nmの青色レーザを用いるBlu−ray方式の光ディスクなどの短波長レーザによる記録が可能な大容量光ディスクとして好適である。本発明の光情報記録媒体への情報の記録方法については後述する。
本発明の光情報記録媒体は、少なくとも前記アゾ金属錯体色素を含む記録層を基板上に有するものであり、更に、前記記録層に加えて光反射層、保護層などを有することもできる。
本発明に用いられる基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。基板としては、透明な円盤状基板を用いることが好ましい。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
前記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、一般に0.7〜2mmの範囲であり、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することもできる。
前記基板の記録層が形成される面には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。前記プリグルーブのトラックピッチは、50〜500nmの範囲である。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。本発明の光情報記録媒体は、より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べてより狭いトラックピッチを形成した基板を用いる。トラックピッチの好ましい範囲等の詳細は後述する。
本発明の光情報記録媒体の好ましい態様としては、厚さ0.7〜2mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層とを基板側から順に有する光情報記録媒体(以下、「態様(1)という」)を挙げることができる。
態様(1)においては、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチが50〜500nm、溝幅が25〜250nm、溝深さが5〜150nmであることが好ましい。
以下、態様(1)の光情報記録媒体について更に詳細に説明する。但し、本発明の光情報記録媒体は、態様(1)に限定されるものではない。
[態様(1)の光情報記録媒体]
態様(1)の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、カバー層とを有する態様である。態様(1)の光情報記録媒体は、ブルーレイ方式の記録用媒体として好適である。ブルーレイ方式では、カバー層側からレーザ光を照射し情報の記録再生が行われ、通常、基板と記録層との間に反射層が設けられる。従って、レーザ光は、基板と反対の面側から記録層へ照射される。
態様(1)の光情報記録媒体の具体例を、図1に示す。図1に示す第1光情報記録媒体10Aは、第1基板12上に、第1光反射層18と、第1追記型記録層14と、バリア層20と、第1接着層または第1粘着層22と、カバー層16とをこの順に有する。
以下に、これらを構成する材料について順次説明する。
基板
態様(1)の基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、およびウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
プリグルーブのトラックピッチは、50〜500nmの範囲である。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。プリグルーブのトラックピッチは、100nm以上420nm以下であることが好ましく、200nm以上370nm以下であることがより好ましく、260nm以上330nm以下であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、25〜250nmの範囲であり、50nm以上240nm以下であることが好ましく、80nm以上230nm以下であることがより好ましく、100nm以上220nm以下であることが更に好ましい。プリグルーブの溝幅が25nm以上であれば、成型時に溝を十分に転写することができ、さらに記録時のエラーレート上昇を抑制することができ、250nm以下であれば、同じく成型時に溝を十分に転写することができ、更に記録時に形成されるピットの広がりによりクロストークが発生することを回避することができる。
プリグルーブの溝深さは、5〜150nmの範囲である。プリグルーブの溝深さが5nm以上であれば十分な記録変調度を得ることができ、150nm以下であれば、高い反射率を得ることができる。プリグルーブの溝深さは、10nm以上85nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがより好ましく、28nm以上75nm以下であることが更に好ましい。
また、プリグルーブの溝傾斜角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましく、70°以下であることが更に好ましく、65°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°以上であれば、十分なトラッキングエラー信号振幅を得ることができ、80°以下であれば成型性が良好である。
追記型記録層
態様(1)の追記型記録層は、色素を、結合剤等と共にまたは結合剤を用いないで適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板上または後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行なわれることになる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の調製に用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、結合剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。塗布方法としては、スピンコート法が好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
追記型記録層の厚さは、ランド(前記基板において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましく、7nm以上であることが特に好ましい。
また、追記型記録層の厚さは、グルーブ上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることが更に好ましい。
更に、ランド上の追記型記録層の厚さ/グルーブ上の追記型記録層の厚さの比は、0.1以上であることが好ましく、0.13以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.17以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
また、追記型記録層には、追記型記録層の耐光性をさらに向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。本発明においてもこの一重項酸素クエンチャーを混合させることによって更なる耐光性の向上が期待できる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
カバー層
態様(1)のカバー層は、通常、上述した追記型記録層上に、または図1に示すようにバリア層上に、接着剤や粘着材を介して貼り合わされる。
カバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネートまたは三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録および再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータおよび3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録および再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
カバー層の厚さは、記録および再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定することができるが、本発明においては、0.01〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層と、接着剤または粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(図1に示す態様ではハードコート層44)が設けられていてもよい。
カバー層と追記型記録層またはバリア層を貼り合わせるために、両層の間に接着層または粘着層を設けることができる。
接着層に使用される接着剤としては、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、またはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂としては硬化収縮率の小さいものを使用することが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
接着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層または追記型記録層の表面(被貼り合わせ面)上に、接着剤を所定量塗布し、その上にカバー層を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層との間に均一になるように広げた後、硬化させることが好ましい。
接着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは1〜30μmの範囲である。
粘着層に使用される粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができる。透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となり得るアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどとを共重合したものを用いることが好ましい。主成分、短鎖成分および架橋点を付加するための成分との混合比率およびそれら成分の種類を、適宜調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
前記ガラス転移温度(Tg)は、ガラス転移温度Tgが0℃以下であることが好ましく、−15℃以下であることがより好ましく、−25℃以下であることがさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用い、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法によって測定できる。
粘着剤の調製方法としては、例えば、特開2003−217177号公報、特開2003−203387号公報、特開平9−147418号公報等に記載の方法等を用いることができる。
粘着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層または追記型記録層の表面(被貼り合わせ面)上に、粘着剤を所定量均一に塗布し、その上にカバー層を載置した後、硬化させてもよいし、予め、カバー層の片面に、所定量の粘着剤を均一に塗布して粘着剤塗膜を形成しておき、該塗膜を被貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
また、カバー層に、予め、粘着層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
粘着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
またカバー層は、UV硬化樹脂を利用してスピンコーティング法により形成してもよい。
その他の層
態様(1)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上記の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層が形成された側と逆側の非形成面側)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、基板と追記型記録層との間に設けられる光反射層(詳細は後述する)、追記型記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(詳細は後述する)、該光反射層と追記型記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、前記レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱乾燥樹脂などを用いて形成することができる。
なお、上記した必須および任意の層はいずれも、単層でも、多層構造でもよい。
態様(1)の光情報記録媒体では、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と追記型記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、例えば、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、30〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属またはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alまたはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agまたはこれらの合金である。
バリア層
態様(1)の光情報記録媒体においては、図1に示すように、追記型記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
バリア層は、追記型記録層の保存性向上、追記型記録層とカバー層との接着性向上、反射率調整、熱伝導率調整等のために設けることができる。
バリア層に用いられる材料としては、記録および再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge、Nb、Ta等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZnO、SnO2、ZnO−Ga23、Nb25、Ta25が好ましく、SnO2、ZnO−Ga23、SiO2、Nb25、Ta25がより好ましい。
また、バリア層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましい。
バリア層の厚さは、1〜200nmの範囲が好ましく、2〜100nmの範囲がより好ましく、3〜50nmの範囲が更に好ましい。
[情報記録方法]
更に、本発明は、本発明の光情報記録媒体に、波長440nm以下のレーザ光を照射することにより、本発明の光情報記録媒体が有する記録層へ情報を記録する情報記録方法に関する。
前述の好ましい態様(1)の光情報記録媒体に対する情報の記録は、例えば次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度(例えば0.5〜10m/秒)または定角速度にて回転させながら、保護層側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、レーザ光照射部分の光学的特性が変化して情報が記録される。図1に示す態様では、カバー層16側から半導体レーザ光等の記録用のレーザ光46を、第一対物レンズ42(例えば開口数NAが0.85)を介して照射する。このレーザ光46の照射により、追記型記録層14がレーザ光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
本発明の情報記録方法では、波長440nm以下のレーザ光を照射することにより情報を記録する。記録光としては、440nm以下の範囲の発振波長を有する半導体レーザ光が好適に用いられ、好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザ光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ光を挙げることができる。特に、記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザ光を基板側または保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
[アゾ金属錯体色素]
更に本発明は、前述の一般式(3)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の銅イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素に関する。本発明のアゾ金属錯体色素は、1分子中に2つ以上の銅イオンを含有する。1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明のアゾ金属錯体色素は、顔料、写真用材料、UV吸収材料、カラーフィルター用染料、色変換フィルターなどの各種用途に使用することができる。本発明のアゾ金属錯体色素は、光情報記録、特に短波長レーザ光照射による記録特性に優れ、更に耐光性および溶液中における保存安定性にも優れるため、好ましくは、色素含有記録層を有する光情報記録媒体における記録層用色素として使用される。本発明のアゾ金属錯体色素およびその製造方法の詳細は、先に説明した通りである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下に、一般式(1)で表されるアゾ色素の合成法の具体例を示すが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
[化合物(L−1)の合成]
Figure 2010023384
100ml三角フラスコに化合物(1)4.00g、酢酸5ml、プロピオン酸8mlを注ぎ、氷冷下で濃塩酸(35〜37質量%)6.25mlをゆっくり滴下した。氷浴にて0〜5℃に冷却し、そこへNaNO2 1.85gを水6mlに溶解させた溶液をゆっくり滴下した後、0〜5℃にて1時間攪拌した。この酸性溶液を、氷冷下で0〜5℃に保った化合物(2)3.48gとメタノール50mlを混合した溶液に徐々に加え、1時間攪拌した。室温に戻し1時間攪拌した後、水100mlを加え晶析させた。晶析体をろ過し水で洗浄した。得られた固体をメタノールにより再結晶を施し、乾燥させることで化合物(L−1)6.15gを得た。化合物の同定は400MHz1H−NMRにより行った。
1H-NMR(CDCl3)[ppm];δ11.59(1H,s),8.05-8.12(2H,m),7.45-7.69(3H,m),1.48(9H,s)
上述した化合物(L−1)の合成と同様の方法により、(L−2)、(L−3)、(L−7)、を合成した。本発明に記載の種々のアゾ色素は同様に合成できる。
次に、アゾ金属錯体色素の合成法の具体例を示すが、本発明は、これらの方法に限定されるものではない。
[(A−1)の合成]
Figure 2010023384
50mlナスフラスコに化合物(L−1)0.7g、メタノール9.8mlを入れ、攪拌しながらEt3N:1.54mlを滴下した。10分間攪拌し、さらにCu(OAc)2・H2O:0.49gを加え、3時間加熱還流させた。室温に戻し、水20mlを加え晶析させた。晶析体をろ過後、水にて洗浄し、化合物(A−1)0.72gを得た。化合物の同定はMALDI−MSにて行った。アゾ色素(例示化合物(L−1))と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の銅イオンとの錯体がいくつか観測された。
m/z = 762.2(nega) [Cu:L = 2:2]
825.2(nega) [Cu:L = 3:2]
[(A−7)の合成]
アゾ色素を例示化合物(L−3)に変更した点以外は上述した例示化合物(A−1)の合成と同様にし、例示化合物(A−7)を合成した。化合物の同定はMALDI−MSにて行い、アゾ色素(例示化合物(L−3))と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の銅イオンとの錯体がいくつか観測された。
m/z = 722.3(nega) [Cu:L = 2:2]
785.3(nega) [Cu:L = 3:2]
1148.4(nega) [Cu:L = 4:3]
上述した化合物(A−1)、および(A−7)の合成法と同様の方法により、(A−2)〜(A−6)、(A−11)、(A−27)〜(A−32)を合成した。本発明に記載の種々のアゾ金属錯体色素は同様に合成できる。
≪光情報記録媒体の作製≫
以下の方法により、図1に示す層構成を有する光情報記録媒体を作製した。
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:グルーブ(凹部)幅190nm、溝深さ:47nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
(光反射層の形成)
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚60nmの真空成膜層としてのANC光反射層(Ag:98.1at%、Nd:0.7at%、Cu:0.9at%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
(追記型記録層の形成)
実施例1〜5として、化合物(A−1)〜(A−3)、(A−6)、および(A−7)をそれぞれ1g、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、第1光反射層18上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数500〜2200rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布して、第1追記型記録層14を形成した。
追記型記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
(バリア層の形成)
その後、追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりNb25からなる、厚さ10nmのバリア層を形成した。
(カバー層の貼り合わせ)
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着層(ガラス転移温度−52℃)を有するポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、カバー層を粘着層を介して載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。以上の工程により、図1に示す層構成を有する光情報記録媒体を作製した。
これにより、実施例1〜5に係る光情報記録媒体が作製された。
<色素層膜厚測定>
得られた光情報記録媒体の断面図を、SEMで観察し、色素層のグルーブ凹部、凸部それぞれの膜厚を読み取った。色素層のグルーブ凹部は溝深さ+0〜10nmであり、色素層のグルーブ凸部は10〜30nm程度であった。
比較例1〜6:光情報記録媒体の作製
追記型記録層に使用する色素として例示化合物(A−1)に代えて比較化合物(A)〜(F)を使用した以外は同様の方法で比較例1〜6の光情報記録媒体を作製した。
Figure 2010023384
Figure 2010023384
Figure 2010023384
Figure 2010023384
Figure 2010023384
Figure 2010023384
<光情報記録媒体の評価>
(1)C/N(搬送波対雑音比)評価
作製した光情報記録媒体を、403nmレーザ、NA0.85ピックアップを有する記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速4.92m/sにて、0.16μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザ(ローデ&シュウバルツ社製FSP−3型)にて記録ピットを再生した。記録後の16MHzの出力をCarrier出力、記録前の16MHzの出力をNoise出力として、記録後の出力−記録前の出力をC/N値とした。なお、本評価は、本発明の情報記録方法を用いたものであり、記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー5〜7mW、再生パワー0.3mWであった。結果を表3に示す。記録特性の指標となる2T記録C/N比は、記録パワーを強くすれば値が高くなっていく傾向があるが、2T記録C/N比と記録感度の双方の観点から、5〜7mW程度で(記録後の)C/Nが38dB以上であると、記録感度および再生信号強度が共に十分であり、記録特性が好ましいことを指す。
(2)色素膜の耐光性評価
実施例1〜5、比較例1〜6と同様の色素含有塗布液を調製し、厚さ1.1mmのガラス板上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで24時間保存した後、メリーゴーランド型耐光試験機(イーグルエンジニアリング社製、セルテスト機III型、Schott製WG320フィルタ付)を用いて耐光性試験を行った。耐光性試験直前の色素膜および耐光性試験48時間後の色素膜について、UV−1600PC(SHIMADZU社製)を用いて色素膜の吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長における吸光度の変化を読み取った。
(3)色素溶液の保存安定性評価
記録再生特性の良好であった金属錯体色素については、希薄溶液(abs=0.9〜1.1)を調製し、この溶液を60℃で24時間保存した後、溶液吸収スペクトルのλmax値を読み取り、色素残存率を測定した。
Figure 2010023384
(注1)Xe光照射48時間後の吸収λmaxにおける色素残存率が90%以上のとき◎、80%以上90%未満のとき○、70%以上80%未満のとき△、70%未満のとき×。
(注2)2T記録C/Nが38dB以上のとき○、35dB以上38dB未満のとき△、35dB未満のとき×。
(注3)溶解性が悪く、記録層の形成が十分にできなかったため、測定あるいは記録ができなかった。
また、実施例において使用したアゾ金属錯体色素は塗布溶剤に対し、良好な溶解性を示し、膜安定性も良好であった。
さらに、比較化合物(A)〜(D)、および(F)は塗布溶剤(60℃)中で保存すると吸収スペクトルが大きく変化し化合物の溶液安定性が悪かったのに対して、例示化合物(A−1)、および(A−7)について、同じ条件で溶液安定性を確認したところ、吸収スペクトル変化が殆どなく、溶液安定性に優れていることがわかった。
種々の用途において色素に求める重要な性能として耐光性が挙げられることから、耐光性に優れる実施例で使用したアゾ金属錯体色素はインク、カラーフィルター、色変換フィルター、写真用材料、熱転写記録材料等の種々の用途において好ましい性能を示すことがわかった。
さらに、実施例1〜5で用いたアゾ金属錯体色素は、粉末状態および膜状態で150℃の温度条件下に置いても分解や融解が起こらず、熱安定性に優れることもわかった。熱安定性に優れる色素は、インク、カラーフィルター、色変換フィルター、写真用材料等の種々の用途において好ましい性能を示すことができる。
なお、本発明に係る光情報記録媒体およびアゾ金属錯体色素は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本発明のアゾ金属錯体色素を記録層用色素として用いることにより、良好な記録再生特性を示し、かつ、極めて高い耐光性を持つ光情報記録媒体(特に、波長が440nm以下のレーザ光照射による情報の記録が可能な光情報記録媒体)を製造することができる。
また、本発明のアゾ金属錯体色素は、写真用材料、カラーフィルター用染料、色変換フィルター、熱転写記録材料、インク等にも適用可能である。
本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10A…第1光情報記録媒体
12…第1基板 14…第1追記型記録層
16…カバー層 18…第1光反射層
20…バリア層 22…第1接着層または第1粘着層
44…ハードコート層

Claims (9)

  1. トラックピッチ50〜500nmのプリグルーブを表面に有する基板の該表面上に記録層を有する光情報記録媒体であって、
    前記記録層は、下記一般式(1)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の遷移金属イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素を含有し、
    上記アゾ金属錯体色素は、1分子中に2つ以上の遷移金属イオンを含有し、1分子中に含まれる複数の遷移金属イオンはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、かつ、1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、前記光情報記録媒体。
    Figure 2010023384
    [一般式(1)中、R1は置換基を表し、X1はOR6、SR6またはNR78で表される基を表し、R6およびR7は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表し、R8は水素原子または置換基を表し、E1はシアノ基、下記部分構造式(A)、または下記部分構造式(B)を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Y1はアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
    Figure 2010023384
    [部分構造式(A)中、R2は置換基を表し、X2は酸素原子、硫黄原子またはN−R9で表される基を表し、R9は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
    Figure 2010023384
    [部分構造式(B)中、R3は置換基を表し、*は炭素原子との結合位置を表す。]
  2. 前記アゾ金属錯体色素は、ESI−MS、MALDI−MSおよびX線構造解析からなる群から選ばれる少なくとも一つの分析により、1分子中に2つのアゾ色素分子と2つの遷移金属イオンとを含有する結果を示す請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 一般式(1)で表されるアゾ色素は下記一般式(3)で表されるアゾ色素である請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
    Figure 2010023384
    [一般式(3)中、R1は置換基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R6およびY1は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
  4. 前記遷移金属イオンは銅イオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  5. 前記アゾ金属錯体色素は、下記一般式(2)で表されるアゾ金属錯体色素である請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
    Figure 2010023384
    [一般式(2)中、Z11は、下記部分構造式(C)中のX11から水素原子が1つ解離した基を表し、E1、R1、R4およびR5は、それぞれ一般式(1)中のE1、R1、R4およびR5と同義であり、一般式(2)中にそれぞれ2つ存在するE1、Z11、R1、R4およびR5は互いに同一でも異なっていてもよく、L11およびL12は、それぞれ独立に配位子を表し、n11およびn12は、それぞれ独立に0〜2の範囲の整数を表す。n11が2を表す場合、2つ存在するL11は互いに同じであっても異なっていてもよく、n12が2を表す場合、2つ存在するL12は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
    Figure 2010023384
    [部分構造式(C)中、X11は酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有し、かつ水素原子を含有する基を表し、R1およびE1は、それぞれ前記R1およびE1と同義であり、*は窒素原子との結合位置を表す。]
  6. 波長440nm以下のレーザ光を照射することにより情報を記録するために使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  7. 基板と記録層との間に反射層を有し、前記レーザ光を基板と反対の面側から記録層へ照射する請求項6に記載の光情報記録媒体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体に、波長440nm以下のレーザ光を照射することにより、上記光情報記録媒体が有する記録層へ情報を記録する情報記録方法。
  9. 下記一般式(3)で表されるアゾ色素と、該アゾ色素の分子数と同数またはそれ以上の数の銅イオンとの錯体であるアゾ金属錯体色素であって、1分子中に2つ以上の銅イオンを含有し、1分子中に複数分子のアゾ色素が含まれる場合、複数分子のアゾ色素はそれぞれ同一でも異なっていてもよい、前記アゾ金属錯体色素。
    Figure 2010023384
    [一般式(3)中、R1は置換基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R6およびY1は、それぞれ独立にアゾ金属錯体色素形成時に解離してもよい水素原子を表す。]
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