JP2005288953A - 光情報記録媒体および情報記録方法、及び化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上にレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層が1分子内に2つ以上のフタロシアニン骨格を有する化合物を含有する光情報記録媒体。また、新規なフタロシアニン誘導体は下記一般式で示される。
【化1】
式中、M601はランタノイド、アクチノイド、錫、又はインジウムを表す。R601は水素原子又は置換基を表し、n601は1〜16の整数を表す。
【選択図】なし
Description
これら青色レーザー光記録ディスク用の色素の先行技術として以下の特許文献に記載のものが挙げられる。
[1] 基板上にレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層が1分子内に2つ以上のフタロシアニン骨格を有する化合物の少なくとも1種を含有する光情報記録媒体。
[2] 該化合物が、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)のいずれかで表されるフタロシアニン誘導体であることを特徴とする[1]記載の光情報記録媒体。
[3] 一般式(I)のR101〜R112の少なくとも1つ、一般式(II)のR201〜R208の少なくとも1つ、一般式(III)のR301〜R308の少なくとも1つ、一般式(IV)のR401〜R406の少なくとも1つが下記一般式(V)、または一般式(VI)で表される置換基であることを特徴とする[2]に記載の光情報記録媒体。
[4] 一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体のM11、M12で表される中心金属がランタノイド、アクチノイド、錫、インジウム、またはその酸化物のいずれかである[2]、[ 3]に記載の光情報記録媒体。
[5] 一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)で表されるフタロシアニン誘導体のM201、M202、M301、M302、M401、M402で表される中心金属がマグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、アルミニウム、ガリウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、錫、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、珪素、燐、またはその酸化物のいずれかであり、さらに配位子を有していてもよい[2] 、[3]に記載の光情報記録媒体。
[6] 一般式(V)、一般式(VI)で表される置換基がフタロシアニン誘導体のα位に置換されていることを特徴とする[2]〜[5]に記載の光情報記録媒体。
[7] 記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられている[1]〜[6]に記載の光情報記録媒体。
[8] 記録層とは別に保護層が設けられている[1]〜[7]に記載の光情報記録媒体。
[9] 基板が、その表面にトラックピッチ0.05〜0.5μmのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、記録層が該プレグルーブが形成された側の表面に設けられている[1]〜[8]に記載の光情報記録媒体。
[10] [1]〜[9]のいずれかの項に記載の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法。
[11] 下記一般式(VII)で表される化合物。
[12] M601がランタノイド(好ましくはユーロピウム、またはセリウム)であり、R601が炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基であり、p601が1である[11]記載の化合物。
いても良い。
好ましくは( n11, n12,n13)=(2,0,0)、(1,1,0)であり、より好ましくは( n11, n12,n13)=(2,0,0)である。
げられる。
〔非特許文献1〕 Johann W.Buchler et., Chem.Ber., 122, 2219-2228(1989)
〔非特許文献2〕Georgios K. Tsikalas, Athanassions G. Coutsolelos,Inorg. Chem., 42, 6801-6804(2003)
〔非特許文献3〕Naoto Ishikawa, Youkoh Kaizu, Coodination Chemistry Reviews, 226, 93-101(2002)
本発明の光情報記録媒体は、様態[1]:厚さ0.7〜2mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層と、をこの順に有する光情報記録媒体または様態[2]:厚さ0.1〜1.0mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.1〜1.0mmの保護基板と、をこの順に有する光情報記録媒体であることが好ましい。様態[1]においては前記基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチが50〜500nm、溝幅が25〜250nm、溝深さが5〜150nmであることが好ましく、様態[2]においては前記基板に形成されるのプリグルーブのトラックピッチが200〜600nm、溝幅が50〜300nm、溝深さが30〜200nmであり、ウォブル振幅が10〜50nmであることが好ましい。
様態[1]の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、カバー層を有する様態であり、まずこれらに必須の部材について順に説明する。
好ましい様態[1]の基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されていることが必須である。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
トラックピッチが50nm未満では、プリグルーブを正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、500nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
プリグルーブの溝幅が25nm未満では、成型時に溝が十分に転写されなかったり、記録のエラーレートが高くなったりすることがあり、250nmを超えると、記録時に形成されるピットが広がってしまい、クロストークの原因となったり、十分な変調度が得られないことがある。
プリグルーブの溝深さが5nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、150nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°未満では、十分なトラッキングエラー信号振幅が得られないことがあり、80°を超えると、成型が困難となる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、0.7〜2mmの範囲であることを要し、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
好ましい様態[1]の追記型記録層は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上又は後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行われることになる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、23〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜35℃の範囲であることが特に好ましい。
また、追記型記録層の厚さは、ランド上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、70nm以上であることが好ましく、90nm以上であることがより好ましく、110nm以上であることが更に好ましい。
更に、グルーブ上の追記型記録層の厚さ/ランド上の追記型記録層の厚さの比は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
好ましい様態[1]のカバー層は、上述した追記型記録層又は後述するバリア層上に、接着剤や粘着材を介して貼り合わされる。
本発明において用いられるカバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
いてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤及び/又は500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
また、カバー層と、接着剤又は粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(ハードコート層)が設けられていてもよい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、若しくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
このような接着剤からなる接着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、カバー層に、予め、粘着剤層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
このような粘着剤からなる粘着剤層の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
好ましい様態[1]の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層形成面側に対する裏面)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、基板と追記型記録層との間に設けられる光反射層(後述)、追記型記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(後述)、該光反射層と追記型記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、かかるレーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱乾燥樹脂などを用いて形成される。
なお、これら必須及び任意の層は、いずれも単層でもよいし、多層構造を有してもよい。
好ましい様態[1]の光情報記録媒体において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と追記型記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
好ましい様態[1]の光情報記録媒体においては、追記型記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
該バリア層は、追記型記録層の保存性を高める、追記型記録層とカバー層との接着性を向上させる、反射率を調整する、熱伝導率を調整する、等のために設けられる。
バリア層に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3が好ましく、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3がより好ましい。
本発明におけるバリア層の厚さは、1〜200nmの範囲であることが好ましく、2〜100nmの範囲であることがより好ましく、3〜50nmの範囲であることが更に好ましい。
ここで、様態[2]の光情報記録媒体は、貼り合わせ型の層構成を有する光情報記録媒体であり、その代表的な層構成としては、下記の通りである。
(1)第1の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設ける構成である。
(2)第2の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層を順次形成し、接着層上に保護基板を設ける構成である。
(3)第3の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層を順次形成し、該保護層上に保護基板を設ける構成である。
(4)第4の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、保護層、接着層、保護層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設ける構成である。
(5)第5の層構成は、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板を設ける構成である。
なお、上記(1)〜(5)の層構成は単なる例示であり、当該層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよいし、一部を省略してもかまわない。また、追記型記録層は、保護基板側にも形成されていてもよく、その場合、両面からの記録、再生が可能な光情報記録媒体となる。更に、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
本発明の光情報記録媒体として、基板上に、追記型記録層、光反射層、接着層、保護基板をこの順に有する構成のものを例にとって、以下にその説明をする。
好ましい様態[2]における基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されていることが必須である。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
トラックピッチが200nm未満では、プリグルーブを正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、600nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
プリグルーブの溝幅が50nm未満では、成型時に溝が十分に転写されなかったり、記録のエラーレートが高くなったりすることがあり、300nmを超えると、記録時に形成
されるピットが広がってしまい、クロストークの原因となったり、十分な変調度が得られないことがある。
プリグルーブの溝深さが30nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、200nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
また、基板の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
好ましい様態[2]の追記型記録層に関する詳細な説明は、様態[1]の追記型記録層に関するものと同様である。
好ましい様態[2]において、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、追記型記録層上に光反射層を形成することがある。様態[2]の光反射層に関する詳細は様態[1]の光反射層と同様である。
好ましい様態[2]における接着層は、上記光反射層と、保護基板との密着性を向上させるために形成される任意の層である。
接着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましい。
好ましい様態[2]における保護基板(ダミー基板)は、上述した基板と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。保護基板の厚さとしては、厚さ0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
好ましい様態[2]の光情報記録媒体は、その層構成によっては、光反射層や追記型記録層などを物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられることある。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si3N4等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層上に貼り合わせることにより形成することができる。また、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
保護層の層厚は一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
好ましい様態[2]の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層の詳細な説明は様態[1]のその他の層と同様である。
本発明の光情報記録方法は、好ましい様態[1]または[2]の光情報記録媒体用いて、例えば、次のように行われる。まず光情報記録媒体を定線速度(0.5〜10m/秒)または定角速度にて回転させながら、基板側あるいは保護層側から半導体レーザー光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。本発明においては、記録光として390〜450nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が用いられる。好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。特に記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザー光を基板側あるいは保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
化合物(1)の合成
[化合物(P)の合成]
化合物(P)は白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載の方法により合成することができる。
化合物(P)1g、Tris(2,4-pentanedionate)cerium(III)trihydrate2gに1,2,4-トリクロロベンゼン30mlを加え、190℃で8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却してヘキサン100mlを加え生じる沈殿を濾取し、ジクロロメタン/メタノール=9/1溶液を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(1)210mgを得た。MALDI-MSにより構造を確認した。
lmax=650nm(CHCl3)
[化合物(2)の合成]
化合物(P)1.2g、Europium(III)acetylacetone hydrate 2.17gに1,2,4-トリクロロベンゼン30mlを加え、190℃で8時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却してヘキサン100mlを加え生じる沈殿を濾取し、ジクロロメタン/メタノール=9/1溶液を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(2)140mgを得た。MALDI-MSにより構造を確認した。
lmax=626.5nm(CHCl3)
<光情報記録媒体1の製造>
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:オングルーブ幅120nm、溝深さ:35nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
表1に示す化合物(1)〜(4)および比較化合物(A)2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ120nm、ランド上の厚さ170nm)を形成した。
その後、追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga2O3(ZnO:Ga2O3=7:3(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着剤が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
これにより、実施例1〜4 、比較例1の光情報記録媒体が作製された。
(1)C/N(搬送波対雑音比)評価
作製した光情報記録媒体を、405nmレーザ、NA0.85ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数66MHz、線速5.28m/sにて、0.16μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にて(記録後の)C/Nを測定した。なお、本評価は、本発明の光情報記録方法を用いたものであり、記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー5.2mW、再生パワー0.3mWであった。結果を表1に示す。ここで、(記録後の)C/Nが25dB以上であると、再生信号強度が十分であり、実用上好ましいことを指す。
(基板の作製)
厚さ0.6mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:400nm、溝幅:170nm、溝深さ:100nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
表2に示す化合物(1)〜(4)、および比較化合物(A)2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。 そして、基板上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ170nm、ランド上の厚さ120nm)を形成した。
追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1.0質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
光反射層上に、スピンコートにより、紫外線硬化樹脂(SD661、大日本インキ製)を塗布し、ポリカーボネート製の保護基板(プリグルーブを形成していない以外は上記基板と同様のもの)を貼り合わせ、紫外線を照射して、硬化させた。
作製した光情報記録媒体における紫外線硬化樹脂からなる接着層の厚さは、25μmであった。
これにより、実施例5〜8、比較例2の光情報記録媒体が作製された。
(1)C/N(搬送波対雑音比)評価
作製した光情報記録媒体を、405nmレーザ、NA0.65ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数64.8MHz、線速6.6m/sにて、0.2μmの信号(2T)を記録、再生しスペクトルアナライザー(パルステックMSG2)にて(記録後の)C/Nを測定した。なお、本評価は、本発明の光情報記録方法を用いたものであり、記録はグルーブ上に行った。また、記録パワー12mW、再生パワー0.5mWであった。結果を表2に示す。ここで、(記録後の)C/Nが25dB以上であると、再生信号強度が十分であり、実用上好ましいことを指す。
Claims (11)
- 基板上にレーザー光照射による情報の記録が可能な記録層を有する光情報記録媒体であって、該記録層が1分子内に2つ以上のフタロシアニン骨格を有する化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
- 該化合物が、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)のいずれかで表されるフタロシアニン誘導体であることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
- 一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体のM11、M12で表される中心金属がランタノイド、アクチノイド、錫、インジウム、またはその酸化物のいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載の光情報記録媒体。
- 一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)で表されるフタロシアニン誘導体のM201、M202、M301、M302、M401、M402で表される中心金属がマグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、アルミニウム、ガリウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、錫、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、珪素、燐、またはその酸化物のいずれかであり、さらに配位子を有していてもよい請求項2〜3に記載の光情報記録媒体。
- 一般式(V)、一般式(VI)で表される置換基がフタロシアニン誘導体のα位に置換されていることを特徴とする請求項2〜5に記載の光情報記録媒体。
- 記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられている請求項1〜6に記載の光情報記録媒体。
- 記録層とは別に保護層が設けられている請求項1〜7に記載の光情報記録媒体。
- 基板が、その表面にトラックピッチ0.05〜0.5μmのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、記録層が該プレグルーブが形成された側の表面に設けられている請求項1〜8に記載の光情報記録媒体。
- 請求項1〜9のいずれかの項に記載の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法。
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