JP2010022886A - テトラフルオロホウ酸イオンの除去方法 - Google Patents

テトラフルオロホウ酸イオンの除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体試料中からテトラフルオロホウ酸イオンを、簡易に、かつ効率よく除去するテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(II)で表される化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、テトラフルオロホウ酸イオンを含む液体試料と、を接触させる接触工程と、前記接触により生じた、テトラフルオロホウ酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿を、液体試料中から除去する除去工程と、を含む[R、R、R及びR:水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基(同時に水素原子であることはない);R、R:水素原子又はメチル基;A1:窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基、メタ位でもよい]。

【選択図】なし

Description

本発明は、テトラフルオロホウ酸イオンの除去方法に関する。
テトラフルオロホウ酸イオン(BF )は、半導体製造工程やめっき工程等の廃液に含まれるイオンである。
テトラフルオロホウ酸イオンを含む廃液の処理方法、即ち、廃液中からテトラフルオロホウ酸イオンを除去する除去方法は、テトラフルオロホウ酸イオンをフッ素とホウ素とに分解し、得られたフッ素とホウ素とを個別に処理する方法が主流となっている。
例えば、テトラフルオロホウ酸イオンを含有する廃液に硫酸アルミニウムを添加し、50℃以上の温度で反応させてテトラフルオロホウ酸イオンを分解し、更に、炭酸カルシウムを添加してpH4以下でフッ素をフッ化カルシウムとして固定し、更に、水酸化カルシウム又は(及び)塩化カルシウムを添加してpH4以下でフッ化カルシウムを熟成し、更に、50℃以下の温度で水酸化カルシウムを添加してpHを9以上にしてホウ素およびフッ素を不溶性化合物に変換した後、固液分離する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、テトラフルオロホウ酸イオンを含有する廃液を酸性条件下に調整し、常温・常圧下でフッ化ホウ素分解材(水酸化ジルコニウムや水酸化チタニウム等)と接触させて、テトラフルオロホウ酸イオンをフッ素イオンとホウ酸イオンとに分解すると同時に、フッ素イオンをフッ化ホウ素分解材に吸着除去し、ホウ素イオンをイオン交換樹脂等を用いて吸着除去する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許2912934号公報 特開2007−222817号公報
上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、いずれもテトラフルオロホウ酸イオンを分解する工程が必須である。更に、上記特許文献2に記載の技術では、充分な除去効率を得るためには廃液をpH1程度に調整しなければならない。
このように、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、処理が煩雑となっている。
従って、液体試料中からテトラフルオロホウ酸イオンを除去する除去方法については、テトラフルオロホウ酸イオンを分解せず直接的に沈殿させるような、簡易かつ効率のよい除去方法の開発が必要である。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、液体試料中からテトラフルオロホウ酸イオンを、簡易に、かつ効率よく除去するテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1> 下記一般式(I)で表される化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、テトラフルオロホウ酸イオンを含む液体試料と、を接触させる接触工程と、前記接触により生じた、テトラフルオロホウ酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿を、液体試料中から除去する除去工程と、を含むテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。

[式中、R、R、及びRのうち1つは、Rに対してメタ位又はパラ位にあるRであり、R及びRは互いに独立して下記の複素環置換基を表し、

、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
前記複素環置換基のうち、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。]
<2> 前記接触は、前記一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンを含む配位化合物と、前記液体試料と、を接触させることにより行う<1>記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。
<3>前記接触工程は、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をpH5〜11の条件下で接触させる<1>又は<2>記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。
<4> 前記接触工程は、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をpH10〜11の条件下で接触させる<1>又は<2>記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法
<5> 前記Rが前記Rに対してパラ位にある<1>〜<4>のいずれか1つ記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。
<6> 前記R及び前記Rが共に水素原子である<1>〜<5>のいずれか1つ記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。
<7> 前記脂肪族基の炭素数が1〜10である<1>〜<6>のいずれか1つ記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法である。
本発明によれば、液体試料中からテトラフルオロホウ酸イオンを、簡易に、かつ効率よく除去できるテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法を提供することができる。
本発明のテトラフルオロホウ酸イオン(BF )の除去方法は、下記一般式(I)で表される化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、BF を含む液体試料と、を接触させる接触工程と、前記接触により生じた、テトラフルオロホウ酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿を、液体試料中から除去する除去工程と、を含む。
本発明では接触工程にて、液体試料中で、一般式(I)で表される化合物と前記金属イオンとBF とが接触することにより、BF を捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿が形成される。更に、除去工程にて、形成された沈殿を液体試料中から除去することにより、液体試料とBF とを容易に分離できる。
従って、本発明によれば、液体試料中からテトラフルオロホウ酸イオンが、簡易に、かつ効率よく除去される。
本発明において、一般式(I)で表される化合物は単体で用いてもよいし(この場合、単体である一般式(I)で表される化合物を、前記金属イオンを含む金属塩と共に用いることが好ましい)、一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンを含む配位化合物の形態で用いてもよい。
以下、一般式(I)で表される化合物について説明し、引き続き、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオン、配位化合物、金属塩、液体試料、接触工程、除去工程、その他について説明する。
<一般式(I)で表される化合物>
本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法では、下記一般式(I)で表される化合物を用いる。

式中、R、R、及びRのうち1つは、Rに対してメタ位又はパラ位にあるRであり、R及びRは互いに独立して下記の複素環置換基を表し、

、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
前記複素環置換基のうち、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。
前記一般式(I)で表される化合物は、液体試料中で、BF と平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとに接触すると、複数集まって前記金属イオンとともに、BF を取り込んでカプセル分子を形成する(自己集積化反応)。本発明においては、BF を取り込んだカプセル分子を、「捕捉カプセル型分子」という。
このとき、捕捉カプセル型分子では、一般式(I)で表される化合物と金属イオンとで6.5Å(0.65nm)×6.5Å(0.65nm)×5.0Å(0.50nm)の空間が形成されるため、このサイズ以下の陰イオンのみが内包されうる。特に、BF は、前記空間とほぼ同等のサイズであるため、選択的に取り込まれ、容易に離脱しない。
この結果、一般式(I)で表される化合物は、BF を選択性高く捕捉できるだけでなく、容易に離脱させないので、確実に捕捉することができる。
上述の捕捉カプセル型分子は、BF 1分子を内包して捕捉するほか、前記捕捉カプセル型分子の外側(2個の金属イオン)にも、配位結合によりBF を捕捉することができる。従って、捕捉カプセル型分子1分子は、BF を3分子捕捉することが可能である。さらに、捕捉カプセル型分子1分子は、BF 3分子に加え、別の捕捉カプセル型分子との間に、BF をさらに1分子捕捉することが確認されている。即ち、捕捉カプセル型分子1分子は、BF を最大4分子まで捕捉できることがわかっている。
以上の形態は、例えば単結晶構造解析及び可視・紫外分光スペクトル等により確認することができる。
図1は、BF 1分子を内包する捕捉カプセル型分子1分子の例を原子半径を無視して表した図である。
図1に示すように、捕捉カプセル型分子の構造は、銅(II)イオン2個及び後述するbitb4分子により形成されたカプセル骨格が、BF 1分子を内包する構造である。なお、図示しないが、両方の銅(II)イオンには、カプセルの外側からBF が1分子ずつ配位していてもよい。更に、図1に示す捕捉カプセル型分子と別の捕捉カプセル型分子との間に、BF 1分子が捕捉されていてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物による自己集積化反応は、BF に対して極めて高い選択性を示すため、液体試料中にBF が存在する場合、効率よくかつ確実にBF を捕捉することができる。
BF を捕捉した捕捉カプセル型分子は、水などの液体試料中で沈殿し、BF を含む沈殿となる。形成されたBF を含む沈殿を液体試料と分離することで、液体試料からBF を除去できる。
前記一般式(I)において、RがRに対してパラ位にあること、即ち、RがRであることが、BF が離脱しない、隙間の無い捕捉空間を形成させる観点から、好ましい。
また、RとRは同一の複素環置換基であることが、生成する捕捉カプセル型分子の異性体の数を制限でき、生成物の同定を行いやすい観点からは、好ましい。
及びRにおいて、R及びRは、芳香族環の他の置換基と立体障害を起こすことなく、捕捉カプセル型分子を形成しうる観点から、共に水素原子であることが好ましい。
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはない。
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りとしては、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基が好ましい。
、R、R、R及びRで表される脂肪族基の炭素数としては、合成容易性の観点や、一般式(I)で表される化合物同士が立体的に障害となることなくカプセルを形成し、また陰イオンのカプセル内からの離脱を防ぐ観点から、1〜10が好ましく、1〜2がより好ましい。
この脂肪族基に置換可能な置換基としては、ハロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基を挙げることができるが、合成容易性、安定性、及び水に対する不溶性の観点から、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基が好ましい。
及びRにおいて、Aで表される複素環基は、炭素数1〜6のアルキル基やスルホン酸基等の置換基で置換されていてもよい。また、前記複素環基中には、窒素原子の他に、酸素原子や硫黄原子が含まれていてもよい。
Aで表される複素環基としては、前記金属イオンに配位可能な複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、ピロール−1−イル基以外のピロリル基、2H−ピロール−1−イル基以外の2H−ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾール−1−イル基以外のイソチアゾリル基、イソオキサゾール−1−イル基以外のイソオキサゾリル基、ピロリジン−1−イル基以外のピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピリジン−1−イル基以外のピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピペリジン−1−イル基以外のピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリン−4−イル基以外のモルホリニル基、下記構造式で表される基が好ましい。
前記の中でも、合成容易性と金属イオンに対する配位性との観点からは、ピロール−1−イル基以外のピロリル基、イミダゾリル基、ピリジン−1−イル基以外のピリジル基、下記構造式で表される基がより好ましい。

前記の中でもイミダゾリル基が特に好ましい。
このような、一般式(I)で表される化合物としては、合成の容易性の観点、異性体の生成の阻止の観点、及びBF を離脱させないカプセル空間を形成させる観点からは、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。

一般式(II)において、R、R、R、及びRは、Rでないこと以外は、一般式(I)におけるR、R、R、及びRについて前述した事項をそのまま適用可能である。
また、一般式(II)において、Aは、一般式(I)におけるAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明における一般式(I)で表される化合物及びその合成方法については、国際公開第2008/029804号パンフレットに記載されている。
合成方法について、具体的には、ハロゲン置換された芳香族化合物と、一般式(I)中のAに相当する化合物とを反応させて、ハロゲン原子をAで置換することにより容易に合成することができる。例えば、イミダゾールとα,α’-ジブロモ-p-キシレンを水素化ナトリウムの存在下で加熱反応させて、1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)ベンゼンを合成することができる。このような合成方法としては、例えば、C.-H. Zhou, R.-G. Xie, and H.-M. Zhao, Organic. Preparations and Procedures Int., 1996, 28(3), 345 に記載されている。
以下、一般式(I)で表される化合物の例示化合物(例示化合物(a)〜(g))を示す。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
前記例示化合物(a)〜(g)のうち、例示化合物(a)又は例示化合物(b)がより好ましい。
以上で説明した一般式(I)で表される化合物を用いる形態については特に限定はなく、例えば、粉末状又は錠剤状等の固体である一般式(I)で表される化合物を用いる形態が挙げられる。また、前記固体と他の成分(ゼオライト、活性炭、などの多孔性固体等)との混合物を用いる形態であってもよい。また、前記固体又は混合物が溶剤中に溶解または分散された液体を用いる形態であってもよい。
<平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオン>
本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法では、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを用いる。
本発明における平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとしては、例えば、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+が挙げられる。
中でも、捕捉カプセル型分子の形成性及び配位化合物の形成性の観点等からは、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+が好ましく、Cu2+が特に好ましい。
<配位化合物>
本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法では、前述の一般式(I)で表される化合物と前述の金属イオンとを含む配位化合物を用いてもよい。
前記配位化合物を液体試料中で前記BF に接触させると、該配位化合物を構成する前記一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンが、前記BF を取り込んだ捕捉カプセル型分子に再構成される。
このため、前記一般式(I)で表される化合物を単体として用いる場合と同様に、前記BF を選択性高く捕捉することができる。
更に、本発明において前記配位化合物を用いる形態は、液体試料中に金属イオンを直接溶解させる必要がない点で好適である。
本発明の配位化合物の具体的な構造としては、該配位化合物に含まれる複数の金属イオンのそれぞれに対し、前記一般式(I)で表される化合物が複数配位した高分子錯体の構造が挙げられる。
該高分子錯体の構造としては、例えば、各金属イオンに対し前記一般式(I)で表される化合物が4分子ずつ配位した二次元シート型構造などがある。該二次元シート型構造においては、各一般式(I)で表される化合物は、二つの金属イオン間に配置され、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の金属イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の金属イオンに配位している(例えば、後述する図2及び図3参照)。
本発明の配位化合物には、前記BF 以外の特定の陰イオンや水分子が含まれることがあるが、これらの水分子や陰イオンは、前記金属イオンに配位していてもよいし、前記金属イオンに配位していなくてもよい。
前記二次元シート型構造の配位化合物において、金属イオンに陰イオンが配位した例としては、例えば、後述する図2中の「A layer」が挙げられる。
また、前記二次元シート型構造の配位化合物において、金属イオンに水分子が配位した例としては、例えば、後述する図3中の「B layer」が挙げられる。
また、前記配位化合物の構造が前記陰イオンを含む前記二次元シート型構造である場合、該二次元シート型構造中の陰イオンは、(1)別の二次元シート型構造中の金属イオンと配位結合するか、(2)別の二次元シート型構造中の金属イオンに配位した水分子と水素結合していてもよい。前記(1)及び(2)の場合には、前記配位化合物の構造は二次元シート型構造が複数重なった三次元構造となる(例えば、後述する図4参照)。
また、本発明の配位化合物に含まれることがある、BF 以外の特定の陰イオンとしては、例えば、OH、SO 2−、CO 2−、NO 、CHCOO、C 2−、HCOO、Cl、Br、F、PF 、アセチルアセトナト(C )、SiF 2−、等が挙げられる。
中でも、配位化合物の形成性の観点等からは、NO 、SO 2−、OH、CO 2−が好ましく、SO 2−がより好ましい。
本発明の配位化合物の合成方法としては、前記金属イオン(A成分)と、前記一般式(I)で表される化合物(B成分)とを、モル比〔A成分/B成分〕が1/2となる割合で反応させる方法が挙げられる。
前記A成分と前記B成分とを反応させる方法としては、前記A成分とBF 以外の特定の陰イオン(具体例は前述のとおりである)とからなる金属塩を、溶剤(例えば、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Aとし、前記B成分を別の溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Bとし、溶液Aと溶液Bとを混合して反応させる方法が挙げられる。
また、前記A成分と前記B成分とを同一の溶剤中に溶解させて反応させてもよく、この場合の溶剤としては、メタノール、ジメチルホルムアミド、又はエタノール等の単一溶媒を使用してもよいし、水/アセトニトリル、水/ジメチルホルムアミド、水/メタノール、水/エタノール、メタノール/ジメチルホルムアミド、エタノール/ジメチルホルムアミド等の混合溶剤を使用してもよい。
<金属塩>
本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法において、独立して存在する(配位化合物の形態をとらない)一般式(I)で表される化合物を用いる場合には、前述の金属イオンを含む金属塩を用いることが好ましい。
ここで、金属塩としては、上述の「A成分とBF 以外の特定の陰イオンとからなる金属塩」を用いることができる。前記金属塩としては、CuSO、Cu(NO、Cu(OH)、又はCuCOが特に好ましい。
<液体試料>
本発明において、BF を含む液体試料としては特に限定はないが、除去効率の観点からは、BF を含む水であることが好ましい。BF を含む液体試料の具体例としては、上水、下水、各種廃水(工業廃水等)、液状の中間生成物、工業用水、飲料水、各種水溶液、コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含む懸濁液、等が挙げられる。
<接触工程>
本発明における接触工程は、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、を接触させる工程である。必要に応じ、前記3成分以外のその他の成分を接触させてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、を接触させる具体的な方法には特に限定はないが、例えば、以下「方法1」〜「方法4」が挙げられる。
(方法1) 前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンを含む金属塩と、を液体試料に添加する方法である。この方法では、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属塩と、を同時に添加しても時期をずらして添加してもよい。また、前記一般式(I)で表される化合物と前記金属塩との混合物を液体試料に添加してもよい。
(方法2) 液体試料を、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンを含む金属塩と、を充填したフィルターに通過させる方法である。
(方法3) 前記配位化合物を液体試料に添加する方法である。この方法は、液体試料中に金属イオンを直接溶解させる必要がない点で好適である。
(方法4) 液体試料を、前記配位化合物を充填したフィルターに通過させる方法である。
なお、上記方法2及び上記方法4では、接触工程と除去工程とが同時に行われることがあってもよい。
このように、本発明において「接触工程」及び「除去工程」は便宜的な工程名であり、必ずしも接触と除去とが別個独立に行われる必要はなく、これらが同時進行で行われることがあってもよい。
本発明における接触工程においては、BF の除去効率の観点より、一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をpH5〜11の条件下で接触させることが好ましく、pH10〜11の条件下で接触させることがより好ましい。
pH5以上であると、一般式(I)で表される化合物の複素環基中の窒素原子への水素イオンの配位をより効果的に抑制でき、捕捉カプセル型分子の形成性をより向上でき、ひいてはBF の除去効率をより向上できる。
pH11以下であると、前記金属イオンと水酸化物イオンとの反応をより効果的に抑制でき、捕捉カプセル型分子の形成性をより向上でき、ひいてはBF の除去効率をより向上できる。
上記好ましいpH条件下で接触させる方法としては、接触前に液体試料のpHを予め上記範囲に調整しておく方法や、接触中の液体試料のpHを上記範囲に調整する方法が挙げられる。また、接触前の液体試料のpHが上記範囲内であった場合には、pHの調整を行わず、一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をそのまま接触させてもよい。
pHの調整は、酸やアルカリの添加によって行う公知の方法を用いることができる。
添加する酸の例としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、ホウ酸等が挙げられる。
添加するアルカリの例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明における接触工程においては、前記一般式(I)で表される化合物と前記金属イオンとBF との接触頻度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反応性を向上させる観点からは、液体試料を加熱してもよい。加熱の温度としては、溶媒の種類、金属塩の種類、一般式(I)で表される化合物の種類、及び配位化合物の種類などによっても異なるが、0〜100℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。
また、前記一般式(I)で表される化合物及び金属塩を前記液体試料に添加する方法(方法1)、又は、前記配位化合物を前記液体試料に添加する方法(方法3)では、添加後に撹拌してもよく、撹拌せずにそのまま放置してもよいが、前記一般式(I)で表される化合物と前記金属イオンとBF との接触頻度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反応性を向上させる観点からは、撹拌することが好ましい。
撹拌には、攪拌器、容器の振とう、加熱による対流、などの手段を用いることができる。
また、本発明において形成された捕捉カプセル型分子は特定の割合でBF を捕捉しているので、捕捉カプセル型分子を定量することによって、BF を定量することができる。
定量の手段としては、溶液から沈殿した捕捉カプセル型分子をアセトニトリルなどに再溶解させて可視・紫外分光スペクトルを測定することにより、前記一般式(I)で表される化合物に由来する紫外領域の吸収に対する、BF を捕捉した捕捉カプセル型分子に特有な540nmの極大吸収強度の比を求めることでBF の定量を行う方法が挙げられる。
<除去工程>
本発明における除去工程は、前記接触により生じた、BF を捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿を、液体試料中から除去する工程である。
この工程により、液体試料と、BF を捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿と、が分離される。
従って、液体試料中からBF が、簡易に、かつ効率よく除去される。
液体試料とBF を含む沈殿とを分離する方法としては、沈殿物を溶液中から分離する通常の方法をそのまま適用することができ、例えば、上澄み液のデカントによる分離、フィルターによる濾過、遠心分離操作による分離等を挙げることができる。
<その他>
本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法は、前記接触工程及び前記除去工程以外に、前処理工程、中処理工程、後処理工程等、その他の工程を含んでいてもよい。
例えば、液体試料中から捕捉カプセル型分子を高純度で回収するために、液体試料中の固形分を予め取り除く固液分離工程を前処理工程として設けるのが好ましい。
また、本発明のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法では、液体試料中から除去された捕捉カプセル型分子を前記一般式(I)で表される化合物に再生し、回収することができる。
ここで、前記捕捉カプセル型分子は、一般的な金属錯体と同様の構成を有するため、一般的な金属錯体と同様の方法により分解し、再度前記一般式(I)で表される化合物を生じる。
再生の方法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。
即ち、BF を取り込んだ捕捉カプセル型分子をアセトニトリル、あるいはメタノール等の有機溶媒に抽出し、その溶液に硫化水素などを金属沈殿剤として接触させて、金属硫化物を沈殿させる。該金属沈殿剤としては、硫化水素以外に、金属を水酸化物塩や炭酸塩として沈殿させることができる、アルカリ試薬や炭酸カリウムなどを用いることができる。次に、溶液中に残った前記一般式(I)で表される化合物を濃縮乾固して集め、アセトニトリル、あるいはメタノールなどの有機溶媒から再結晶させ、前記一般式(I)で表される化合物を再生させることが可能である。
また、前記一般式(I)で表される化合物を再生する方法として、上記の金属沈殿剤を接触させる方法以外に、硝酸や塩酸などの酸を接触させる方法を用いることもできる。即ち、捕捉カプセル型分子が抽出された溶液に前記酸を添加することにより、前記金属イオンと前記一般式(I)で表される化合物との間の配位結合を切断し、捕捉カプセル型分子を分解することができる。捕捉カプセル型分子分解後の前記溶液を濃縮乾固後、水を添加して前記一般式(I)で表される化合物を沈殿として取り出し、続いて、アセトニトリルやメタノールなどの有機溶媒から前記一般式(I)で表される化合物を再結晶させて再生させることが可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、溶液の調製、または測定に用いた水はすべて超純水を用いた。
〔参考例1〕
<例示化合物(a)(1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン;bitb)の合成>
下記反応スキーム1に従って例示化合物(a)(bitb)の合成を行った。
まず、イミダゾール(関東化学(株)製)0.33g(5mmol)のTHF溶液10mlに、NaH(関東化学(株)製)0.095g(4mmol)のTHF懸濁液(5ml)をゆっくりと加え、20分撹拌した(THF(テトラヒドロフラン)は関東化学(株)製、以下同じ)。
前記撹拌後の溶液に、1,4−ビスブロモメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(東京化成工業(株)製、慣用名:ジブロモズレン)0.64g(2mmol)のTHF溶液(15ml)をゆっくり添加し、60℃で3〜5時間還流した。還流後の溶液を室温に冷却し、冷却後の溶液に水(40ml)を加え、更にクロロホルム(関東化学(株)製)を加えて粗生成物をクロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後のクロロホルム抽出液を濃縮し石油エーテル(関東化学(株)製)を加えることで例示化合物(a)を収率53%で得た。

前記で得られた例示化合物(a)(bitb)は、NMRにより構造を確認した。
〜NMRデータ〜
1H NMR spectrum(300MHz, CDCl3, r.t.) : δ7.24(d, 2H), 6.97(s, 2H), 6.75(d, 2H), 5.17(s, 4H) , 2.19(s, 12H)
〔参考例2〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物(Cu−bitbポリマー)の合成>
試薬は、和光純薬工業株式会社の硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)、関東化学株式会社のジメチルホルムアミド(DMF)、を用いて合成した。
上記参考例1で得られたbitb58.9mg(0.2mmol)をDMF20mlに、硫酸銅25.0mg(0.1mmol)を水20mlにそれぞれ溶かした。得られたそれぞれの溶液を一気に反応させ、室温下で1週間静置することによって水不溶性の青色結晶を得た。
得られた青色結晶について、単結晶構造解析を行った。
また、該青色結晶は溶媒に溶けず、質量分析を行うことができなかったため、該青色結晶中の炭素、水素、及び窒素の比を元素分析で確認し、単結晶構造解析結果と一致することを確認した。
〜元素分析データ〜
理論値(C3660CuN12S) C, 48.45; H, 6.78; N, 12.55
実測値 C, 48.72; H, 6.41; N,12.73
(測定装置 Euro Vector社製 Euro EA3000)
〜単結晶構造解析データ〜
monoclinic space group C2/m(No.12),C3660CuN12S,Mw(式量)892.5, a = 12.3(1) Å, b = 27.3(2) Å, c = 13.8(1)Å, β = 113.42(1)°, V = 4252(62) Å3, Z = 4, R = 0.114, Rw = 0.470
元素分析及び単結晶構造解析の結果より、得られた青色結晶は、捕捉カプセル型分子ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体;以下、「Cu−bitbポリマー」ともいう)であることがわかった。該配位化合物の詳細な構造については後述する。
また、得られた青色結晶は、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールのいずれにも溶解しなかった。この結果も、該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体)の構造を有することを示す。
該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく配位化合物の構造をとる理由は、硫酸イオンのサイズがBF のサイズより大きいことが原因と考えられる。即ち、bitb4分子及び金属イオン2個からなるカプセル骨格が内包し得る分子のサイズと、硫酸イオンのサイズとが一致しないため、カプセル骨格を形成せず、配位化合物を形成したものと思われる。
元素分析及び単結晶構造解析の結果よりにより明らかとなった配位化合物の構造を図2〜図4に示す。
図2及び図3中、6つの結合手を有するイオン種は銅(II)イオンを表し、2つの銅(II)イオン間に配置する、1つの6員環と2つの5員環(複素環)とを含む分子はbitbを表す。ここで、bitbは、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の銅(II)イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の銅(II)イオンに配位している。また、該配位化合物は無限鎖状に広がった構造を有しているため、図2〜図4では、図の周辺部に位置する原子や分子を省略して表している。また、図2〜図4では、水素原子を省略して表している。
図2〜図4に示すように、該配位化合物の構造は、2種類の二次元シート型構造(図2に示すA layer及び図3に示すB layer)が交互に積層された三次元構造(図4)である。
以下、各構造の詳細について説明する。
図2に示すA layerは、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造体である。より詳細には、A layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、硫酸イオンが2分子配位した、負電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(SOである。図2中、矢印a及び矢印bは、A layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
図3に示すB layerも、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造である。より詳細には、B layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、水分子が2分子配位した、正電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(HO)である。図3中、矢印a及び矢印bは、B layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
図4に示す三次元構造は、前記A layer及び前記B layerが交互に積層された構造である。図4中、矢印cは、前記A layer及び前記B layerの二次元平面に平行でない軸を表す。
図4に示すように、前記A layer及び前記B layerは、それぞれab面上に配置され、それらがc軸に沿って交互に積層した構造となっている。
図4において、A layer中、銅(II)イオンに配位している硫酸イオンは、となりのB layer中の銅(II)イオンに配位している水分子に水素結合している(O−O =2.98Å)。その結果、水素結合を介した三次元構造となっている。
〔実施例1〕
<テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)の除去に関する実験>
〜 試料1(BF4 - 100ppm水溶液)の作製 〜
まず、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(105.9mg)を、超純水(100ml)に溶解させ、テトラフルオロホウ酸イオン(1,000ppm)を含む原液を調製した。得られた原液(10ml)を10倍に希釈し、テトラフルオロホウ酸イオン(100ppm)を含む水溶液(試料1)を調製した。
得られた試料1のpHを、pHメーターを用いて測定したところ、5.4であった。
〜 試料1からのBF4 -の除去処理 〜
上記で得られた試料1(30ml)に、前述の参考例2で得られたCu-bitbポリマー(46mg)を添加し(接触工程)、24時間静置した。24時間静置した後の反応溶液をろ過して固体を除いた(除去工程)。ろ液中のテトラフルオロホウ酸イオン濃度を、イオンクロマトグラフィーを用い、下記測定条件にて測定した。
〜 イオンクロマトグラフィー測定条件 〜
メトローム製イオンクロマトグラフIC 861 を用いて行った。測定は CO2 差プレッサー方式で行い、電機伝導度検出器によりテトラフルオロホウ酸イオンの検出を行った。測定は室温23℃で行い、測定に使用する試料はメンブランフィルターでろ過し、また測定に用いる水溶液は Millipore製の超純水製造装置 Direct-Q で精製したものを使用した。
〜 試料2〜試料8(BF4 - 100ppm水溶液)の作製 〜
上記で調製したテトラフルオロホウ酸イオン(1,000ppm)を含む原液に、適当量の炭酸ナトリウム水溶液と超純水とを加え、以下の各pH値のBF4 -100ppm水溶液をそれぞれ調製し、試料2〜試料8とした。
試料2〜試料8のpHは、それぞれ表1に示す値であった。pHの測定はpHメーターを用いて行った。
〜 各試料からのBF4 -の除去処理 〜
得られた各試料(30 ml)のそれぞれに、Cu-bitbポリマー(46mg)を添加し(接触工程)、24時間静置した後、試料中の固体をろ過により除去した(除去工程)。
各ろ液中のテトラフルオロホウ酸イオン濃度を、イオンクロマトグラフィーを用い、上記測定条件にてそれぞれ測定した。
以上の結果を表1及び図5に示す。

表1及び図5に示すように、Cu-bitbポリマーと試料とを接触させることにより、幅広いpH条件下でBF4 -を除去することができ、液体試料中のBF4 -濃度を低減できた。
以上、配位化合物を用いた実施例について説明したが、一般式(I)で表される化合物単体(例えば、bitb)及び金属塩単体(例えば、CuSO4)や、これらの混合物を用いた場合においても同様の除去効果が得ることができる。
BF 1分子を内包する捕捉カプセル型分子1分子の例を原子半径を無視して表した図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の二次元シート型構造(A layer)を示す図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の二次元シート型構造(B layer)を示す図である。 本発明の参考例に係る配位化合物の三次元構造を示す図である。 本発明の実施例において、試料のpHと除去処理後のBF 濃度との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、テトラフルオロホウ酸イオンを含む液体試料と、を接触させる接触工程と、
    前記接触により生じた、テトラフルオロホウ酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を含む沈殿を、液体試料中から除去する除去工程と、
    を含むテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。


    [式中、R、R、及びRのうち1つは、Rに対してメタ位又はパラ位にあるRであり、R及びRは互いに独立して下記の複素環置換基を表し、


    、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
    前記複素環置換基のうち、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。]
  2. 前記接触は、前記一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンを含む配位化合物と、前記液体試料と、を接触させることにより行う請求項1記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
  3. 前記接触工程は、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をpH5〜11の条件下で接触させる請求項1又は請求項2記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
  4. 前記接触工程は、前記一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料と、をpH10〜11の条件下で接触させる請求項1又は請求項2記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
  5. 前記Rが前記Rに対してパラ位にある請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
  6. 前記R及び前記Rが共に水素原子である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
  7. 前記脂肪族基の炭素数が1〜10である請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のテトラフルオロホウ酸イオンの除去方法。
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