JP6188029B2 - カプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法 - Google Patents

カプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、カプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法に関する。
過塩素酸イオン(ClO )を含む過塩素酸塩は、例えば火薬の原料等として、産業上大量に合成されている。
この過塩素酸イオン(ClO )は、甲状腺のヨウ化物イオンの取り込みを妨害し、その結果、人の成長ホルモンの分泌を阻害することが知られている。このため、過塩素酸イオンは、子供が過量に摂取すると運動障害や精神遅滞などの発育障害を誘発するとされている有害イオンである。近年、この過塩素酸イオンは、例えば、環境水(地下水、河川水、等)、野菜、果物、牛乳などから検出されている。しかし、過塩素酸イオンは、水や有機溶媒に対する溶解性が高く、水溶液中からの除去が非常に困難な陰イオンである。
水溶液中から過塩素酸イオンを除去する方法としては、例えば、イオン交換樹脂を用いる方法が知られている(例えば、NEDO海外レポート、No.946、2004.12.15、及び、特開2004−346299号公報参照)。しかし、イオン交換樹脂による過塩素酸イオン除去は、樹脂の再生が困難で、また除去に時間がかかるという問題がある。
また、過塩素酸イオンを含む水溶液に、1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(以下、「bitb」ともいう)を添加することにより、bitb4分子及びCu2+2個からなるカプセル骨格中に過塩素酸イオンが内包された構造の捕捉カプセル型分子を生成させ、生成した捕捉カプセル型分子を沈殿させる方法が知られている(例えば、国際公開第2008/029804号パンフレット参照)。
また、M型(Mは金属イオン、Lは配位子をそれぞれ表す)のカプセル型化合物として、[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOなる化合物(m−bbitrbは、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンである)が知られている。この[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOは、2個の銅イオンと4分子のm−bbitrbとによって形成されたカプセル骨格に硫酸イオン(SO 2−)が内包された構成のカプセル型2価カチオンと、カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての1個の硫酸イオン(SO 2−)と、から構成されているカプセル型化合物である。この[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOは、対イオンである硫酸イオン(SO 2−)と、水系試料中の過塩素酸イオン(ClO )と、の対イオン交換により、水系試料中の過塩素酸イオンを除去できること(即ち、水系試料中の過塩素酸イオンの濃度を低下させることができること)が知られている(例えば、錯体化学会第61回討論会講演要旨集1PA−75(2011)参照)。
また、水に対する溶解性が高く水溶液中からの除去が困難な陰イオンとしては、上述した過塩素酸イオン(ClO )の他にも、フッ化ホウ素酸イオン(BF )、硝酸イオン(NO )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )が挙げられる。
しかしながら、水系試料中における、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンの濃度を、上述した、特開2004−346299号公報、国際公開第2008/029804号パンフレット、NEDO海外レポート(No.946、2004.12.15)、及び錯体化学会第61回討論会講演要旨集1PA−75(2011)に記載された従来の技術よりも、短時間でより効率よく低下させることが求められている。
また、上述の[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOを用いて水系試料中の過塩素酸イオンの濃度を低下させる場合、対イオン交換により、水系試料中に硫酸イオン(SO 2−)が放出される。この点に関し、硫酸イオン(SO 2−)よりも環境及び人体への影響が少ないイオンを放出しながら、水系試料中における過塩素酸イオン等の陰イオンの濃度を低下させることが求められる場合がある。
更に、上述の[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOと同様のM型のカプセル型化合物を、より高い収率で合成することが求められる。
従って、本発明の目的は、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの濃度を、環境及び人体への影響が少ない特定のハロゲン化物イオンを放出しながら短時間で効率よく低下させることができ、しかも高い収率で合成できるカプセル型化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、このカプセル型化合物を用いた陰イオン除去剤及び陰イオン除去方法を提供することである。
本発明者は、上述の[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOよりも更に過塩素酸イオン等の陰イオンの除去効率に優れ、しかも、過塩素酸イオン等の陰イオンの除去の際、硫酸イオン(SO 2−)よりも環境及び人体への影響が少ない特定のハロゲン化物イオン(具体的には、Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種)を放出する新規なカプセル型化合物の合成に成功し、本発明を完成させた。
更に、本発明者の検討により、この新規なカプセル型化合物は、上述の[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOよりも高い収率で合成できることが判明した。
即ち、前記課題を解決するための具体的な手段は以下のとおりである。
<1> 下記一般式(1)で表されるカプセル骨格、及び、該カプセル骨格に内包された1価の陰イオン1個からなるカプセル型3価カチオンと、前記カプセル型3価カチオンに対する対イオンとしての、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオン3個と、からなるカプセル型化合物である。
〔一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。〕
<2> 下記一般式(1)で表されるカプセル骨格、及び、該カプセル骨格に内包された硫酸イオン(SO 2−)からなるカプセル型2価カチオンと、前記カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオン2個と、からなるカプセル型化合物である。
〔一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。〕
上記<1>に記載のカプセル型化合物及び上記<2>に記載のカプセル型化合物は、一般式(1)で表されるカプセル骨格を含む点、対イオンとして、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオンを含む点、及び、(イオンではなく)中性の化合物である点で共通する。
<1>に記載のカプセル型化合物及び<2>に記載のカプセル型化合物は、いずれも、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの濃度を、環境及び人体への影響が少ない特定のハロゲン化物イオンを放出しながら短時間で効率よく低下させることができる化合物であり、しかも高い収率で合成できる化合物である。その理由は、両者が上記共通点を有しているためである。
なお、<2>に記載のカプセル型化合物は、カプセル骨格に内包される陰イオンが硫酸イオン(SO 2−)である点、及び、対イオンの数が2個である点で、カプセル骨格に内包される陰イオンが1価の陰イオンであり対イオンの数が3個である<1>に記載のカプセル型化合物と相違する。
本明細書中では、上記<1>に記載のカプセル型化合物を、「第1実施形態のカプセル型化合物」ということがあり、上記<2>に記載のカプセル型化合物を、「第2実施形態のカプセル型化合物」ということがある。
<3> 前記カプセル骨格に内包された1価の陰イオンが、Cl又はBrである<1>に記載のカプセル型化合物である。
<4> 前記M及び前記Mが、同一種である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物である。
<5> 前記M及び前記Mが、Cu2+である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物である。
<6> 前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R10、前記R11、前記R12、及び前記R13が、水素原子である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物である。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤である。
<8> ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの除去に用いられる<7>に記載の陰イオン除去剤である。
<9> 前記水系試料が、更に、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含む<8>に記載の陰イオン除去剤である。
<10> 前記水系試料が、硬水である<8>又は<9>に記載の陰イオン除去剤である。
<11> ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む陰イオン除去方法である。
<12> 前記水系試料が、少なくともClO を含む<11>に記載の陰イオン除去方法である。
<13> 前記水系試料が、更に、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含む<11>又は<12>に記載の陰イオン除去方法である。
<14> 前記水系試料が、硬水である<11>〜<13>のいずれか1項に記載の陰イオン除去方法である。
本発明によれば、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの濃度を、環境及び人体への影響が少ない特定のハロゲン化物イオンを放出しながら短時間で効率よく低下させることができ、しかも高い収率で合成できるカプセル型化合物を提供することができる。
また、本発明によれば、このカプセル型化合物を用いた陰イオン除去剤及び陰イオン除去方法を提供することができる。
実施例1における単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(A)の構造を示す分子構造図である。 実施例1における反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 比較例1における反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 実施例2における反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 比較例2における反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 実施例3における単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(B)の構造を示す分子構造図である。 実施例3における反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 実施例4における反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。 実施例8における単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(C)の構造を示す分子構造図である。 実施例9における反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
≪カプセル型化合物≫
以下、本発明のカプセル型化合物について説明する。
本明細書中において、「本発明のカプセル型化合物」との用語は、第1実施形態のカプセル型化合物及び第2実施形態のカプセル型化合物の総称である。
<第1実施形態のカプセル型化合物>
第1実施形態のカプセル型化合物は、下記一般式(1)で表されるカプセル骨格、及び、該カプセル骨格に内包された1価の陰イオン1個からなるカプセル型3価カチオンと、前記カプセル型3価カチオンに対する対イオンとしての、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオン3個と、からなる化合物である。
一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。
一般式(1)中のかっこ内の化合物及び後述の一般式(2)で表される化合物を、本明細書中では、「配位子」ともいう。
第1実施形態のカプセル型化合物の一例として、下記式(A)で表されるカプセル型化合物(以下、「カプセル型化合物(A)」ともいう)が挙げられる。但し、第1実施形態のカプセル型化合物は、この一例には限定されない。
カプセル型化合物(A)は、第1実施形態のカプセル型化合物において、前記一般式(1)(及び後述の一般式(2))中のR〜R13が水素原子であり、前記一般式(1)(及び後述の一般式(2))中のM及びMがCu2+であり、前記一般式(1)で表されるカプセル骨格に内包された1価の陰イオンがClであり、前記対イオンとしての3個のハロゲン化物イオンがClである一例である。
ここで、後述の一般式(2)中のR〜R13が水素原子である化合物は、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(以下、「m−bbitrb」ともいう)である。

上記式(A)において、破線は配位結合である。
上記式(A)で表されるカプセル型化合物(カプセル型化合物(A))の構造は、2個のCu2+イオン及び4分子のm−bbitrb(配位子)により形成されたカプセル骨格と該カプセル骨格に内包された1個の塩化物イオン(Cl)とからなるカプセル型3価カチオンと、このカプセル型3価カチオンに対する対イオンとしての3個の塩化物イオン(Cl)と、からなる構造となっている。カプセル骨格の構造、カプセル型3価カチオンの構造、及びカプセル型化合物(A)の構造は、いずれもM型(Mは金属イオン、Lは配位子をそれぞれ表す)の構造である。
ここで、カプセル骨格に内包されている1個の塩化物イオン(Cl)は、カプセル骨格中の銅イオンに配位していてもよいし、配位していなくてもよい。
このカプセル型化合物(A)は、カプセル型3価カチオンと、対イオンとしての塩化物イオン(Cl)3個と、からなる中性の化合物である。
上記カプセル型化合物(A)を、本明細書中では、[Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Clともいう。
カプセル型化合物(A)([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl)の構造は、元素分析及び単結晶構造解析により確認することができる。
カプセル型化合物(A)([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl)以外の第1実施形態のカプセル型化合物の構造も、[Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Clの構造と同様である。
第1実施形態のカプセル型化合物は、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、硝酸イオン(NO )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )、及びヘキサフルオロリン酸イオン(PF )からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と接触すると、前記水系試料中の前記陰イオンと、第1実施形態のカプセル型化合物中の対イオンとしてのハロゲン化物イオン(例えばCl)と、が速やかに対イオン交換し、水系試料中の前記陰イオンがカプセル型化合物に対イオンとして取り込まれる。このようにして、前記水系試料中の前記陰イオンが第1実施形態のカプセル型化合物によって速やかに除去(捕捉)される。
従って、第1実施形態のカプセル型化合物によれば、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる(即ち、前記水系試料中の前記陰イオンを短時間で効率よく除去できる)。
ここで、第1実施形態のカプセル型化合物及び対イオン交換後のカプセル型化合物は、いずれも水に不溶であり、このことも、短時間かつ効率のよい前記陰イオンの濃度の低下に寄与しているものと考えられる。
更に、第1実施形態のカプセル型化合物は水に不溶であるため、水系試料へ懸濁された状態で、水系試料の汚染を抑制しながら前記陰イオンの濃度を低下させることができるという利点を有する。
ここで、「水に不溶」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解度が0.1質量部以下であることを指す。
更に、第1実施形態のカプセル型化合物を用いることで、国際公開第2008/029804号パンフレットに記載された1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(bitb)を用いた過塩素酸イオン(ClO )の除去方法と比較しても、前記水系試料中の前記陰イオン(例えばClO )の濃度を短時間で効率よく低下させることができる。この理由は以下のように推測される。但し、第1実施形態は以下の理由によって限定されることはない。
即ち、当該パンフレットに記載された方法では、ClO と水とを含む水系試料中にbitbを添加し、bitb4分子及びCu2+2個からなるカプセル骨格中にClO が内包された構造の捕捉カプセル型分子を生成させる必要がある。
これに対し、第1実施形態のカプセル型化合物を用いる場合には、前記陰イオン(例えばClO )と水とを含む水系試料中に第1実施形態のカプセル型化合物を添加し、対イオン交換により水系試料中から前記陰イオンを除去するため、金属−配位子間の配位結合のような強い化学結合の形成を伴うカプセル構造の形成を必要としない。
このため、上記パンフレットに記載された方法における捕捉カプセル型分子の生成の反応時間よりも、第1実施形態のカプセル型化合物を用いる場合における対イオン交換の反応時間の方が短いことが、より短時間かつより効率のよい前記陰イオンの濃度の低下に寄与しているものと推測される。
従って、第1実施形態のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させるには、長時間を必要とせず、また、処理前(第1実施形態のカプセル型化合物による処理前。以下同じ。)の水系試料中における前記陰イオンの濃度を特に限定する必要もない。従って、処理前の水系試料として、例えば前記陰イオンの濃度が20mM以下の水系試料を用いることもできる。
また、第1実施形態のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させるのに要する時間は、例えば30分以内とすることができ、更には10分以内とすることもでき、更には5分以内とすることもできる。
また、第1実施形態のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させる場合において、水系試料中における前記陰イオンの処理前濃度は、例えば10mM以下とすることができ、更には5mM以下とすることもでき、更には1mM以下とすることもできる。
以上で説明したとおり、第1実施形態のカプセル型化合物は、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができる陰イオン除去剤の有効成分として有用である。
第1実施形態のカプセル型化合物は、上述の陰イオンの中でも、ClO 及びNO (特にClO )の濃度を顕著に(即ち、より短時間でより効率よく)低減させることができる。
第1実施形態のカプセル型化合物は、該カプセル型化合物の水和物の形態で存在することもできる。前記水和物における水分子は、第1実施形態のカプセル型化合物の合成過程において取り込まれた水分子であってもよいし、第1実施形態のカプセル型化合物の合成後に(吸湿などにより)取り込まれた水分子であってもよい。陰イオン除去の反応は水系試料(水溶液等)中で行うため、水和物における水分子の数は本質的に影響が無い。
例えば、第1実施形態のカプセル型化合物を用い、水を含む水系試料中の陰イオン(例えばClO )を除去する際、操作の効率の面では、第1実施形態のカプセル型化合物の水和物に含まれる水分子を完全に除去することなく、この水和物と水系試料とを接触させることにより、第1実施形態のカプセル型化合物と水系試料とを接触させることも好ましい。
ところで、第1実施形態のカプセル型化合物と同様に、対イオン交換を利用して、水系試料中のClO の濃度を低下させるカプセル型化合物として、下記式(X)で表される比較カプセル型化合物(以下、「比較カプセル型化合物(X)」ともいう)も知られている(例えば、錯体化学会第61回討論会講演要旨集1PA−75参照)。
比較カプセル型化合物(X)は、カプセル骨格に内包されている陰イオンが硫酸イオン(SO 2−)である点、カプセル型カチオンの価数が2価である点、及び、カプセル型カチオンに対する対イオンが1個の硫酸イオン(SO 2−)である点で、第1実施形態のカプセル型化合物の一例である前記カプセル型化合物(A)と相違する。比較カプセル型化合物(X)のその他の構造は、前記カプセル型化合物(A)の構造と同様である。
上記比較カプセル型化合物(X)を、本明細書中では、[SO⊂Cu(m−bbitrb)]SOともいう。
第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))は、上記比較カプセル型化合物(X)と比較しても、水系試料中の前記陰イオン(例えばClO )の濃度を短時間で効率よく低下させることができる。この理由は以下のように推測される。但し、第1実施形態は以下の理由によって限定されることはない。
即ち、第1実施形態のカプセル型化合物に含まれるカプセル型カチオンの価数が3価であることから、第1実施形態のカプセル型化合物1分子は、対イオン交換により、理論上、最大3分子の(いずれも1価の陰イオンである)前記陰イオン(例えばClO )を捕捉することができる。
これに対し、上記比較カプセル型化合物(X)に含まれるカプセル型カチオンの価数は2価であるため、比較カプセル型化合物(X)1分子が対イオン交換により捕捉できる前記陰イオンは、理論上、最大でも2分子である。
以上のように、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))は、上記比較カプセル型化合物(X)と比較して、理論上、カプセル型化合物1分子が捕捉できる前記陰イオンの分子数が多い。このため、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))は、上記比較カプセル型化合物(X)と比較して、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができると考えられる。
また、別の理由として、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))では、比較カプセル型化合物(X)における対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)が、3個のハロゲン化物イオンに置き換わったことにより、疎水性のカプセル骨格間に、硫酸イオンに比べて疎水性が強いハロゲン化物イオンが存在することで、カプセル型化合物の水に対する溶解度が下がったことも原因と考えられる。
また、上記比較カプセル型化合物(X)を用いた前記陰イオンの除去では、対イオン交換により、水系試料中に、硫酸イオン(SO 2−)が放出される。
これに対し、第1実施形態のカプセル型化合物を用いた陰イオン(例えばClO )の除去では、対イオン交換により、水系試料中に、SO 2−ではなく、SO 2−よりも環境及び人体に与える影響が少ない特定のハロゲン化物イオン(Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種)が放出される点で有利である。
また、上記比較カプセル型化合物(X)を用いた前記陰イオンの除去では、水系試料中に、カルシウムイオン(Ca2+)及びバリウムイオン(Ba2+)の少なくとも一方である陽イオンが含まれる場合、放出された硫酸イオン(SO 2−)と前記陽イオンとが反応し、水不溶性の塩(CaSO及びBaSOの少なくとも一方)が生成され、この塩が沈殿する。即ち、この場合には、前記陰イオンの量だけでなく、前記陽イオンの量も減少する。
これに対し、第1実施形態のカプセル化合物を用いた前記陰イオンの除去では、SO 2−ではなく前記特定のハロゲン化物イオンが放出されるので、陰イオンの除去対象となる水系試料に前記陽イオンが含まれている場合でも、前記陽イオンの量をある程度高く維持しながら、前記陰イオンの量を減少させることができる。
このため、第1実施形態のカプセル型化合物は、前記陰イオンと前記陽イオンとを含む水系試料中の前記陰イオンの除去に用いられる陰イオン除去剤として特に有用である。かかる陰イオン除去剤によれば、前記陽イオンの量をある程度高く維持しながら前記陰イオンの量を減少させることができる。
このような水系試料として、具体的には、牛乳、飲料水(硬水、地下水、ミネラルウォーター等)、医療用水溶液、工業廃水等が挙げられる。
例えば、近年では、健康維持等の観点から、硬水中のミネラル分(Ca2+及びBa2+の少なくとも一方)を維持しつつ、かつ、前記陰イオンの量を減少させることが求められる場合がある。この点で、第1実施形態のカプセル型化合物は、硬水用の陰イオン除去剤として特に有用である。
更に驚くべきことに、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))は、比較カプセル型化合物(X)と比較して、高い収率で合成できることが判明した(例えば、後述の実施例5及び比較例3参照)。
この理由の詳細は明らかではないが、M型の構造のカプセル型化合物(塩)においては、硫酸塩よりもハロゲン化物塩の方が溶媒に対する溶解度が低くなり易い(即ち沈殿し易い)傾向があるため、と推測される。
第1実施形態のカプセル型化合物を比較カプセル型化合物(X)よりも高い収率で合成できる理由として、より詳細には、第1実施形態のカプセル型化合物では、比較カプセル型化合物(X)における対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)が、3個のハロゲン化物イオンに置き換わることにより、疎水性のカプセル骨格間に、硫酸イオンに比べて疎水性が強いハロゲン化物イオンが存在することとなり、その結果、カプセル型化合物の水に対する溶解度が下がるため、と推測される。
本発明における「水系試料」は、溶媒として少なくとも水を含む試料であれば特に限定はない。
「水系試料」としては、溶媒中における水の比率が30質量%以上である水系試料が好ましく、溶媒中における水の比率が50質量%以上である水系試料がより好ましく、溶媒中における水の比率が80質量%以上である水系試料が更に好ましい。
本発明の水系試料は必要に応じ、水以外にも、溶媒として、極性プロトン性溶媒(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、酢酸、ギ酸、等)、極性非プロトン性溶媒(テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、等)、及び非極性溶媒(ベンゼン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン等)の少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明における「水系試料」の具体例としては、例えば、上水、下水、各種廃水(工業廃水等)、液状の中間生成物、工業用水、飲料水(硬水、地下水、ミネラルウォーター等を含む)、各種水溶液、医薬用水溶液、コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含む懸濁液、等が含まれる。
中でも、前述したとおり、牛乳、飲料水(硬水、地下水、ミネラルウォーター等)、医療用の水、工業廃水が好適である。
また、第1実施形態のカプセル型化合物において、カプセル骨格に内包される1価の陰イオンについては特に制限はない。
前記カプセル骨格に内包される陰イオンが1価の陰イオンであることにより、前記カプセル型化合物(A)の場合と同様に、カプセル型3価カチオンが構成されるので、前記カプセル型化合物(A)の場合と同様の効果が奏される。
前記カプセル骨格に内包される1価の陰イオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン(例えば、Cl、Br、又はI)、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、PF 、N が挙げられる。中でも、Cl、Br、又はIが好ましく、Cl又はBrがより好ましい。
また、前記対イオンとしての3個のハロゲン化物イオンは、Cl、Br、及びIからなる群から選択される3個のハロゲン化物イオンであれば特に限定はないが、合成容易性の観点からは、3個のハロゲン化物イオンが同一種であることが好ましい。合成容易性の観点からは、更に、前記カプセル骨格に内包された1価の陰イオン及び前記対イオンとしての3個のハロゲン化物イオンが同一種であることがより好ましい。
前記対イオンとしての3個のハロゲン化物イオンは、3個のCl又は3個のBrであることが更に好ましい。
また、前記一般式(1)中、M及びMは、合成容易性などの観点より、同一種のカチオンであることが好ましい。更には、M及びMは、陰イオン(例えばClO )の濃度をより短時間で低下させることができる点で、Cu2+であることが特に好ましい。
本発明のカプセル型化合物における配位子は、下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(2)中、R〜R13は、一般式(1)中のR〜R13と同義である。
前記一般式(1)及び(2)中、R〜R12は、合成容易性などの観点より、水素原子であることが好ましい。更に、前記一般式(1)及び(2)中、R〜R13は、合成容易性などの観点より、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の合成方法としては、例えば、Liu, H.-K.; Hu, J.; Wang, T.-W.; Yu, X.-L.; Liu, J.; Kang, B. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 2001, 359.に記載の合成方法が挙げられる。
以下、一般式(2)で表される化合物の例示化合物を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の例示化合物(a)は、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitrb)である。
また、第1実施形態のカプセル型化合物の合成方法としては、例えば、水(又は水を含む水性溶媒)中で、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、及びZn2+の少なくとも1種を含む塩化物と、一般式(2)で表される化合物と、を反応させる方法が挙げられる。これにより、水に不溶な化合物(沈殿)として第1実施形態のカプセル型化合物を得ることができる。
このときの反応温度には特に限定はないが、例えば、10℃〜80℃とすることが好ましい。
反応時間にも特に限定はないが、20分以上とすることが好ましい。
また、前述のとおり、第1実施形態のカプセル型化合物は、該カプセル型化合物の水和物の形態で合成されてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態のカプセル型化合物は、上述の一般式(1)で表されるカプセル骨格、及び、該カプセル骨格に内包された硫酸イオン(SO 2−)からなるカプセル型2価カチオンと、前記カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオン2個と、からなる化合物である。
この第2実施形態のカプセル型化合物及び上述の第1実施形態のカプセル型化合物は、一般式(1)で表されるカプセル骨格を含む点、対イオンとして、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオンを含む点、及び、(イオンではなく)中性の化合物である点で共通する。
このため、第2実施形態のカプセル型化合物によれば、第1実施形態のカプセル型化合物と同様に、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの濃度を、環境及び人体への影響が少ない特定のハロゲン化物イオンを放出しながら短時間で効率よく低下させることができる。
更に、第2実施形態のカプセル型化合物は、対イオンがハロゲン化物イオンであるため、第1実施形態のカプセル型化合物と同様に、高い収率で合成できる。
より詳細には、第2実施形態のカプセル型化合物を比較カプセル型化合物(X)よりも高い収率で合成できる理由は、第2実施形態のカプセル型化合物では、比較カプセル型化合物(X)における対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)が、2個のハロゲン化物イオンに置き換わることにより、疎水性のカプセル骨格間に、硫酸イオンに比べて疎水性が強いハロゲン化物イオンが存在することとなり、その結果、カプセル型化合物の水に対する溶解度が下がるため、と推測される。
第2実施形態のカプセル型化合物は、カプセル骨格に内包される陰イオンが硫酸イオン(SO 2−)である点、及び、対イオンの数が2個である点で、カプセル骨格に内包される陰イオンが1価の陰イオンであり対イオンの数が3個である第1実施形態のカプセル型化合物と相違する。
第2実施形態のカプセル型化合物において、上記相違点以外は第1実施形態のカプセル型化合物と同様であり、好ましい態様や好ましい用途も同様である。
第2実施形態のカプセル型化合物の一例としては、カプセル型化合物(A)において、カプセル骨格に内包された1個の塩化物イオン(Cl)が1個の硫酸イオン(SO 2−)に変更され、かつ、対イオンとしての塩化物イオンの個数が3個から2個に変更されたカプセル型化合物が挙げられる。
以下、この一例に係るカプセル型化合物を、「カプセル型化合物(C)」や、[SO⊂Cu(m−bbitrb)]Clともいう。
第2実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(C);[SO⊂Cu(m−bbitrb)]Cl)は、前述の比較カプセル型化合物(X)と比較しても、水系試料中の前記陰イオン(例えばClO )の濃度を短時間で効率よく低下させることができる。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、第2実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(C))では、比較カプセル型化合物(X)における対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)が、2個のハロゲン化物イオンに置き換わったことにより、疎水性のカプセル骨格間に、硫酸イオンに比べて疎水性が強いハロゲン化物イオンが存在することで、カプセル型化合物の水に対する溶解度が下がったためと考えられる。
更に驚くべきことに、第2実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(C))は、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))と比較しても、水系試料中の前記陰イオン(例えばClO )の濃度を短時間で効率よく低下させることができる。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、第2実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(C))では、第1実施形態のカプセル型化合物(例えばカプセル型化合物(A))において、カプセル骨格に内包されている1価の陰イオンが硫酸イオン(SO 2−)に置き換わったことにより、カプセル型カチオンの価数が3価から2価に減少し、その結果、カプセル型化合物の水に対する溶解度が下がったためと考えられる。
第2実施形態のカプセル型化合物の合成方法としては、例えば、水(又は水を含む水性溶媒)中で、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、及びZn2+の少なくとも1種を含む硫酸塩と、一般式(2)で表される化合物と、を反応させることにより、1個の硫酸イオンがカプセル骨格に内包され、かつ、対イオンが1個の硫酸イオンであるカプセル型化合物(例えば、上記比較カプセル型化合物(X))を合成し、次いで、このカプセル型化合物における対イオンとしての1個の硫酸イオンを、2個のハロゲン化物イオンに置き換える対イオン交換方法が挙げられる。これにより、水に不溶な化合物(沈殿)として第2実施形態のカプセル型化合物を得ることができる。
対イオン交換前のカプセル型化合物を合成する際の、反応温度及び反応時間の好ましい範囲は、第1実施形態のカプセル型化合物の合成方法における反応温度及び反応時間の好ましい範囲と同様である。
≪陰イオン除去剤≫
本発明の陰イオン除去剤は、上記本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む。
このため、本発明の陰イオン除去剤と、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、を接触させることにより、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。
本発明の陰イオン除去剤の第1の態様としては、固体状態(粉末状、結晶状など)の本発明のカプセル型化合物(又はその水和物)単体の態様が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第2の態様としては、固体状態の本発明のカプセル型化合物(又はその水和物)と、バインダー成分等の他の成分と、の混合物の態様(錠剤状など)が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第3の態様としては、本発明のカプセル型化合物(又は、本発明のカプセル型化合物(又はその水和物)を含む混合物)が水系媒体中に懸濁された懸濁液の態様が挙げられる。
本発明の陰イオン除去剤は、前述したとおり、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの除去に用いられる陰イオン除去剤であることが好ましい。前記水系試料は、前述したとおり、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含むことがより好ましい。前記水系試料としては、前述したとおり、硬水(Ca2+を含む水)が特に好ましい。
≪陰イオン除去方法≫
本発明の陰イオン除去方法は、ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、上記本発明のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む。
本発明の陰イオン除去方法によれば、本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとを接触させることができるので、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。
前記水系試料と前記本発明のカプセル型化合物との接触は、例えば、本発明のカプセル型化合物(又は、本発明のカプセル型化合物の水和物、若しくは、本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を水系試料中に添加することにより行うことができる。また、本発明のカプセル型化合物(又は、本発明のカプセル型化合物の水和物、若しくは、本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を予め容器に入れておき、そこに前記水系試料を添加することにより行ってもよい。
また、前記接触は、本発明のカプセル型化合物(又は、本発明のカプセル型化合物の水和物、若しくは、本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を固定したフィルターに、前記水系試料を通過させることによって行うことも好ましい。
本発明の陰イオン除去方法では、前記本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとの接触頻度を高める観点から、水系試料を加熱してもよい。
前記接触時の温度は、0〜100℃とすることができ、20〜80℃とすることが好ましい。
また、本発明の陰イオン除去方法では、前記本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとの接触後、水系試料を撹拌してもよく、撹拌せずにそのまま放置してもよいが、接触頻度を高める観点からは、撹拌することが好ましい。
撹拌には、攪拌器、容器の振とう、超音波の照射、マイクロウェーブの照射、加熱による対流、などの手段を用いることができる。中でも、超音波の照射が好ましい。
本発明の陰イオン除去方法により生じたイオン交換後のカプセル型化合物も水に不溶であるため、水系試料中から前記陰イオンを容易に分離できる。
分離の方法としては、沈殿物を溶液中から分離する通常の方法をそのまま適用することができ、例えば、上澄み液のデカントによる分離、フィルターによる濾過、遠心分離操作による分離等を挙げることができる。
なお、本発明の陰イオン除去方法では、本発明のカプセル型化合物における対イオンである特定のハロゲン化物イオン(Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種)と、除去対象である前記陰イオンと、の対イオン交換により、水系試料中に、環境及び人体への影響が少ない前記ハロゲン化物イオンが放出される。
このため、陰イオン除去後の水系試料は、後処理をすることなくそのまま排水する、あるいは使用することができる。また、陰イオン除去後の水系試料中に放出されたハロゲン化物イオンは、必要に応じ、イオン交換樹脂によるイオン交換法、銀イオンによる沈殿除去法、あるいは電気分解による分解除去法(例えば特開平11−99391参照)等、公知の方法により、水系試料中から除去してもよい。
また、本発明の陰イオン除去方法では、陰イオン除去により生じたイオン交換後のカプセル型化合物を分解して配位子(前記一般式(2)で表される化合物)を生成し、生成した配位子を用いて本発明のカプセル型化合物を合成(再生)することができる。前記分解は、前記イオン交換後のカプセル型化合物をメタノールやアセトニトリル等の有機溶媒で抽出し、得られた抽出液に炭酸ナトリウムなどの塩基性試薬、あるいはその試薬を溶かした溶液を添加する方法や、前記抽出液に硫化水素を通気させる方法などにより行うことができる。
本発明の陰イオン除去方法において、水系試料は、前述したとおり、更に、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含むことがより好ましい。この水系試料としては、前述したとおり、硬水(Ca2+を含む水)が特に好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、溶液の調製、または測定に用いた水はすべてイオン交換水を用いた。
〔実施例1〕
<1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitb)の合成>
Liu, H.-K.; Hu, J.; Wang, T.-W.; Yu, X.-L.; Liu, J.; Kang, B. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 2001, 359.に記載の合成方法に従い、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitrb)を合成した。
<カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)の合成>
塩化銅2水和物(0.2557g,1.50mmol)を水100mLに、m−bbitrb(1.1414g,3.00mmol)をエタノール100mLに、それぞれ溶解させた。得られた2つの溶液を混合し加熱濃縮して、青色微結晶として、前述のカプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)を得た(収量1.3146g,収率95.8%)。
カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)の構造は、元素分析及び単結晶構造解析によって確認した。結果を以下に示す。
元素分析は、Euro Vector社製Euro EA3000を用いて行った。
単結晶構造解析は、(株)リガク製の構造解析装置(マーキュリー二次元検出器システム)を用い、室温(25℃)でモリブデンKαの線源を用いてX線の反射データを収集し、収集した反射データを(株)リガク製の Crystal Structure プログラムを用いて解析することにより行った。
〜元素分析結果〜
理論値:C,65.74; H,5.52; N,12.27.
実測値:C,65.72; H,5.30; N,12.16.
〜単結晶構造解析結果〜
Tetragonal, a = b = 15.2312 (8) Å、c = 23.338 (2) Å、Space group = I4/m (#87)、Z = 2、R1 = 0.0783、wR2 = 0.1696、T = 293K.
図1は、単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(A)の構造を示す分子構造図である。
図1に示すように、カプセル型化合物(A)の構造は、前述したとおりの構造であることが確認された。
<カプセル型化合物(A)による過塩素酸イオン(ClO )の除去>
過塩素酸ナトリウム(0.0306g,0.25mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水250mLに溶解させ、過塩素酸イオンを1mmol/L(=1mM)含む水溶液を調製した。続いて上記カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)(0.0992g,0.054mmol)を正確に量り取り、そこに先ほど調製した過塩素酸イオンを含む水溶液を100mL添加し、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)とを接触させ、反応溶液とした。
得られた反応溶液を、恒温震盪装置を用いて100rpmの速度で震盪し、かつ、温度を30℃に保ちながら、過塩素酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)との接触後)180分間における、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
反応溶液中の過塩素酸イオン濃度は、反応溶液から200μL採取し、採取した反応溶液に超純水4800μLを加えて25倍希釈測定用溶液を作製し、作製した25倍希釈測定用溶液中の過塩素酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて測定し、得られた測定結果(25倍希釈測定用溶液中の過塩素酸イオン濃度)に基づいて求めた。イオンクロマトグラフィーはメトローム社製のMetrohm Compact IC 861 ion chromatographyを用いて行った。
また、ブランクとして過塩素酸イオン1mmol/L(=1mM)水溶液を調整し、
このブランク中における過塩素酸イオン濃度を、上記の反応溶液中の過塩素酸イオン濃度と同様の手法によって求めた。
以上の測定結果を図2に示す。
図2は、過塩素酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)との接触後)180分間における、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
図2中、横軸(Time(min))は、過塩素酸イオンを含む水溶液の添加(即ち、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)との接触)からの経過時間(分)を示し、縦軸は、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)を示す。経過時間0分における過塩素酸イオン濃度(mM)は、ブランク中における過塩素酸イオン濃度である(後述の図3〜図5及び図7、図8、図10についても同様である)。
図2に示すように、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)とを接触させることにより、短時間(180分間)で反応溶液中の過塩素酸イオン濃度を低下させることができた。
〔比較例1〕
<比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)の合成>
実施例1中、「カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)の合成」において、塩化銅2水和物を、硫酸銅5水和物に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)を合成した。
<比較カプセル型化合物(X)による過塩素酸イオン(ClO )の除去>
実施例1中、「カプセル型化合物(A)による過塩素酸イオン(ClO )の除去」において、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)(0.0992g,0.054mmol)を、比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)(0.0992g,0.050mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、過塩素酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、過塩素酸イオンを含む水溶液と比較カプセル型化合物(X)との接触後)180分間における、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
測定結果を図3に示す。
図3に示すように、過塩素酸イオンを含む水溶液と比較カプセル型化合物(X)とを接触させることにより、実施例1と同様に、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度を低下させることができたが、過塩素酸イオン濃度の低下速度は実施例1よりも遅かった。
上記実施例1(図2)と上記比較例1(図3)との対比より、カプセル型化合物(A)は、比較カプセル型化合物(X)よりも、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度を効率よく低下させることができることが確認された。
この理由として、カプセル型化合物(A)は、比較カプセル型化合物(X)と比較して、理論上、1分子当たりに捕捉できる過塩素酸イオンの分子数が多いこと(即ち、1分子当たりの過塩素酸イオンの除去活性が高いこと)、具体的には、カプセル型化合物(A)1分子が捕捉できる過塩素酸イオンの分子数が最大3分子であるのに対し、比較カプセル型化合物(X)1分子が捕捉できる過塩素酸イオンの分子数が最大2分子であることが考えられる。
更に、上記実施例1(図2)及び上記比較例1(図3)において、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)は、比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)と比較して、単位質量当たりの過塩素酸イオンの除去活性が高い。
具体的には、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)(0.0992g,0.054mmol)の理論上の過塩素酸イオン除去量は0.162mmol(0.0161g)であるのに対し、比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)(0.0992g,0.050mmol)の理論上の過塩素酸イオン除去量は0.100mmol(0.00995g)である。
実施例1及び比較例1における過塩素酸イオン濃度の低下は、前述のとおり、対イオン交換によってもたらされたものと考えられる。
従って、実施例1における過塩素酸イオンを含む水溶液が、更に、Ca2+及びBa2+からなる群から選択される少なくとも1種の陽イオンを含む場合には、比較例1の過塩素酸イオンを含む水溶液が上記陽イオンを含む場合と比較して、上記陽イオンの濃度をある程度高く維持しながら、過塩素酸イオンの濃度を低下させることができるという効果が期待できる。
その理由は、比較例1における対イオン交換では、水溶液中に上記陽イオンを沈殿させる効果が高い硫酸イオンが放出されるのに対し、実施例1における対イオン交換では、水溶液中に硫酸イオンではなく塩化物イオンが放出されるためである。
後述する実施例2〜4における水溶液が上記陽イオンを含む場合にも、同様の効果が期待できる。
〔実施例2〕
<カプセル型化合物(A)による硝酸イオン(NO )の除去>
まず、硝酸ナトリウム(0.0214g,0.25mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水250mLに溶解させ、硝酸イオンを1mmol/L(=1mM)含む水溶液を調製した。
次に、実施例1中、「カプセル型化合物(A)による過塩素酸イオン(ClO )の除去」において、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)に添加した過塩素酸イオンを含む水溶液100mLを、上記で調製した硝酸イオンを含む水溶液100mLに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硝酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、硝酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)との接触後)180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
測定結果を図4に示す。
図4に示すように、硝酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(A)とを接触させることにより、短時間(180分間)で反応溶液中の硝酸イオン濃度を低下させることができた。
〔比較例2〕
<比較カプセル型化合物(X)による硝酸イオン(NO )の除去>
比較例1中、「比較カプセル型化合物(X)による過塩素酸イオン(ClO )の除去」において、比較カプセル型化合物(X)の8水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]SO・8HO)に添加した過塩素酸イオンを含む水溶液100mLを、上記実施例2で調製した硝酸イオンを含む水溶液100mLに変更したこと以外は比較例1と同様にして、硝酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、硝酸イオンを含む水溶液と比較カプセル型化合物(X)との接触後)180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
測定結果を図5に示す。
図5に示すように、硝酸イオンを含む水溶液と比較カプセル型化合物(X)とを接触させることにより、実施例2と同様に、反応溶液中の硝酸イオン濃度を低下させることができたが、硝酸イオン濃度の低下速度は実施例2よりも遅かった。
上記実施例2(図4)と上記比較例2(図5)との対比より、カプセル型化合物(A)は、比較カプセル型化合物(X)よりも、反応溶液中の硝酸イオン濃度を効率よく低下させることができることが確認された。
この理由については、上述した過塩素酸イオンの除去の場合と同様に、カプセル型化合物(A)は、比較カプセル型化合物(X)と比較して、理論上、1分子当たりに捕捉できる硝酸イオンの分子数が多いこと(即ち、1分子当たりの硝酸イオンの除去活性が高いこと)、具体的には、カプセル型化合物(A)1分子が捕捉できる硝酸イオンの分子数が最大3分子であるのに対し、比較カプセル型化合物(X)1分子が捕捉できる硝酸イオンの分子数が最大2分子であることが考えられる。
〔実施例3〕
<カプセル型化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)の合成>
臭化銅(0.033g,0.15mmol)を水30mLに、m−bbitrb(0.11g,0.30mmol)をエタノール30mLにそれぞれ溶解させた。これらの溶液をゆっくりと拡散し反応させることにより、青色の結晶として[Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br(本実施例において、「カプセル型化合物(B)」ともいう)を合成した(収量0.1164g,収率78.8%)。
カプセル型化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)の構造は、
カプセル型化合物(A)における4つのClを、それぞれBrに置き換えた構造である。
カプセル型化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)の構造は、元素分析及び単結晶構造解析によって確認した。結果を以下に示す。
〜元素分析結果〜
理論値:C,61.01; H,4.92; N,11.38.
実測値:C,61.02; H,4.60; N,11.40.
〜単結晶構造解析結果〜
Tetragonal, a = b = 15.3248 (10) Å、c = 23.354 (3) Å、Space group = I4/m (#87)、Z = 2、R1 = 0.0933、wR2 = 0.1855、T = 293K.
図6は、単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(B)の構造を示す分子構造図である。
図6に示すように、カプセル型化合物(B)の構造は、ハロゲン化物イオンの種類以外はカプセル型化合物(A)の構造と同様であることが確認された。
<カプセル型化合物(B)による過塩素酸イオン(ClO )の除去>
実施例1中、「カプセル型化合物(A)による過塩素酸イオン(ClO )の除去」において、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)(0.0992g,0.054mmol)を、カプセル型化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)(0.0992g,0.050mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、過塩素酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(B)との接触後)180分間における、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
測定結果を図7に示す。
図7に示すように、過塩素酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(B)とを接触させることにより、実施例1と同様に、反応溶液中の過塩素酸イオン濃度を低下させることができた。
〔実施例4〕
<カプセル型化合物(B)による硝酸イオン(NO )の除去>
まず、硝酸ナトリウム(0.0214g,0.25mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水250mLに溶解させ、硝酸イオンを1mmol/L(=1mM)含む水溶液を調製した。
次に、実施例3中、「カプセル型化合物(B)による過塩素酸イオン(ClO )の除去」において、カプセル型化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)に添加した過塩素酸イオンを含む水溶液100mLを、上記で調製した硝酸イオンを含む水溶液100mLに変更したこと以外は実施例3と同様にして、硝酸イオンを含む水溶液の添加後(即ち、硝酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(B)との接触後)180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。
測定結果を図8に示す。
図8に示すように、硝酸イオンを含む水溶液とカプセル型化合物(B)とを接触させることにより、短時間(180分間)で反応溶液中の硝酸イオン濃度を低下させることができた。
〔実施例5〕
<カプセル型化合物(A)の収率の確認>
実施例1と同様のカプセル型化合物(A)の合成を、30回行った。
30回の合成において、カプセル型化合物(A)の収率は、70%〜96%の範囲であった。このように、高い収率でカプセル型化合物(A)を合成できることがわかった。
〔比較例3〕
<比較カプセル型化合物(X)の収率の確認>
比較例1と同様の比較カプセル型化合物(X)の合成を20回行った。
20回の合成において、比較カプセル型化合物(X)の収率は、最高でも68%であり、実施例5における収率と比較して低かった。
〔実施例6〕
<カプセル型化合物(A)による、硬水からの過塩素酸イオン(ClO )の除去>
市販の硬水(商品名:コントレックス)250mLに過塩素酸ナトリウム(30.6mg,0.25mmol)を溶かして、過塩素酸イオン1.0mMを含む硬水250mLを調製した。
調製した硬水にカプセル型化合物(A)(99.2mg)を添加し、恒温震盪装置を使って25℃で3時間撹拌した。
カプセル型化合物(A)を添加する前の硬水に含まれる過塩素酸イオン及びカルシウムイオンのそれぞれの濃度を、イオンクロマトフラフィー及びキレート滴定法によって決定した。同様に、カプセル型化合物(A)を添加して3時間撹拌した後の硬水に含まれる過塩素酸イオン及びカルシウムイオンのそれぞれの濃度を、イオンクロマトフラフィー及びキレート滴定法によって決定した。
その結果、過塩素酸イオンの濃度は、上記3時間撹拌後におよそ0.35mMまで減少していた。これに対し、カルシウムイオンの濃度は、カプセル型化合物(A)を添加する前と上記3時間撹拌後とにおいて、実質的な差(変化)は見られなかった。
〔実施例7〕
<カプセル型化合物(A)による、カルシウムイオン及び過塩素酸イオン(ClO )を含むサンプル水溶液からの過塩素酸イオン(ClO )の除去>
塩化カルシウムと過塩素酸ナトリウムと超純水とを用い、カルシウムイオン0.5g(2.0g/L)及び過塩素酸イオン24.8mg(99.5mg/L;1mM)を含むサンプル水溶液を調製した。
このサンプル水溶液にカプセル型化合物(A)(397mg)を添加し、恒温震盪装置を使って25℃で3時間撹拌した。
カプセル型化合物(A)を添加する前のサンプル水溶液に含まれる過塩素酸イオン及びカルシウムイオンのそれぞれの濃度を、イオンクロマトフラフィー及びキレート滴定法によって決定した。同様に、カプセル型化合物(A)を添加して3時間撹拌した後のサンプル水溶液に含まれる過塩素酸イオン及びカルシウムイオンのそれぞれの濃度を、イオンクロマトフラフィー及びキレート滴定法によって決定した。
その結果、過塩素酸イオンの濃度は、上記3時間撹拌後に0.3mMまで減少した。これに対し、カルシウムイオンの濃度は、カプセル型化合物(A)を添加する前と上記3時間撹拌後とにおいて、実質的な差(変化)は見られなかった。具体的には、キレート滴定法により決定されたカルシウムイオンの濃度は、カプセル型化合物(A)を添加する前及び上記3時間撹拌後のいずれにおいても、1.96g/Lであった。
〔実施例8〕
<カプセル型化合物(C)の1水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・HO)の合成>
硫酸銅5水和物(0.037g,0.15mmol)の水溶液30mL、m−bbitrb(0.11g,0.30mmol)のエタノール溶液30mL、及び塩化ナトリウム(0.008g,0.15mmol)の水/エタノール混合溶液30mLを混合し、2週間静置した。これにより、青色のブロック状結晶として、カプセル型化合物(C)の1水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・HO)が、前述のカプセル型化合物(A)と同様に高収率で得られた。
カプセル型化合物(C)の構造は、元素分析、赤外線吸収スペクトル、及び単結晶構造解析によって確認した。結果を以下に示す。
〜元素分析結果〜
理論値: C, 65.49; H, 5.39; N, 12.22.
実測値: C, 65.56; H, 5.19; N, 12.34.
〜赤外吸収スペクトルデータ(KBrペレットを用いて測定した。数値の単位はcm-1である。吸収の相対強度をw(弱い)、m(中程度)、s(強い)で示す。)〜
3342 (w), 3064 (w), 2972 (w), 1612 (w), 1516 (s), 1463 (s), 1402 (m), 1388 (w), 1296 (m), 1236 (w), 1203 (m), 1138 (m), 1107 (m), 1083 (m), 1043 (m), 1010 (w), 920 (w), 744 (s), 611 (w), 480 (w), 418 (m).
〜単結晶構造解析結果〜
Tetragonal, a = b = 16.689 (5) Å、 c = 32.737 (9) Å、 V = 1938 (3) Å3, space group = P4/ncc (# 130)、 Z = 2、R1 = 0.0713, wR2= 0.1446、T = 298K.
図9は、単結晶構造解析によって決定されたカプセル型化合物(C)の構造を示す分子構造図である
図9に示すように、カプセル型化合物(C)の構造は、カプセル型化合物(A)のカプセル骨格と同じカプセル骨格に硫酸イオンが内包され、かつ、カプセル骨格の外側に2個のClが存在する構造、即ち、[SO⊂Cu(m−bbitrb)]Clで表される構造であることが確認された。
〔実施例9〕
<カプセル型化合物(C)による硝酸イオン(NO )の除去>
硝酸ナトリウム(0.0214g,0.25mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水250mLに溶解させ、硝酸イオンを1mmol/L含む水溶液を調製した。続いてカプセル型化合物(C)の1水和物(0.18g)を正確に量り取り、そこに先ほど調整した硝酸イオンを含む水溶液を100mL添加し、反応溶液とした。
得られた反応溶液を、恒温震盪装置を用いて100rpmの速度で震盪し、かつ、温度を30℃に保ちながら、硝酸イオンを含む水溶液の添加後180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を測定した。硝酸イオン濃度(mM)の測定方法は、実施例2と同様とした。
<カプセル型化合物(A)による硝酸イオン(NO )の除去>
上述の「カプセル型化合物(C)による硝酸イオン(NO )の除去」において、カプセル型化合物(C)の1水和物(0.18g)を、カプセル型化合物(A)の2水和物(0.18g)に変更したこと以外は上述の「カプセル型化合物(C)による硝酸イオン(NO )の除去」と同様にして、カプセル型化合物(A)による硝酸イオン(NO )の除去を行った。
測定結果を図10に示す。
図10は、硝酸イオンを含む水溶液の添加後180分間における、反応溶液中の硝酸イオン濃度(mM)の推移を示すグラフである。
図10では、カプセル型化合物(C)を添加した場合の硝酸イオン濃度の推移、及び、カプセル型化合物(A)を添加した場合の硝酸イオン濃度の推移を並べて示している。
図10に示すように、カプセル型化合物(C)を添加した場合、硝酸イオンの濃度は、30分後に0.26mMまで、3時間後に0.18mMまで減少した。一方、カプセル型化合物(A)を添加した場合、硝酸イオンの濃度は、30分後におよそ0.4mMまで、3時間後に0.27mMまで減少した。
このように、カプセル型化合物(A)及びカプセル型化合物(C)のいずれを用いた場合にも、硝酸イオンの濃度を効率よく低下させることができた。両者を対比すると、カプセル型化合物(C)を用いた場合には、カプセル型化合物(A)を用いた場合と比較して、硝酸イオンの濃度をより効率よく低下させることができた。
以上の実施例では、一般式(1)中のM及びMがCu2+である、カプセル型化合物(A)の2水和物([Cl⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・2HO)、カプセル化合物(B)([Br⊂Cu(m−bbitrb)]Br)、及び、カプセル型化合物(C)の1水和物([SO⊂Cu(m−bbitrb)]Cl・HO)を用いた例を示した。
しかし本発明はこれらの例に限定されることはなく、例えば、一般式(1)中のM及びMがCu2+と同様に、平面四配位、正方錐配位、及び八面体配位が可能な、Fe2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+であるカプセル型化合物又はその水和物や、内包される1価の陰イオンがCl及びBr以外の1価の陰イオンであるカプセル型化合物又はその水和物、対イオンがIであるカプセル型化合物又はその水和物についても同様にして合成でき、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例では、一般式(1)及び一般式(2)中のR〜R13が水素原子である例を示したが、一般式(1)及び一般式(2)中のR〜R13の少なくとも1つがメチル基である場合にも、出発物質(配位子m−bbitrb)の変更により同様にして合成でき、更に、配位子の基本骨格が同じであることから、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例ではClO 及びNO の除去を行ったが、本発明のカプセル型化合物を用いることにより、ClO 及びNO と構造や性質が類似するBF 、CFSO 、PF についてもClO 及びNO と同様に除去できる。
日本出願2012−167805の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表されるカプセル骨格、及び、該カプセル骨格に内包された1価の陰イオン1個からなるカプセル型3価カチオンと、
    前記カプセル型3価カチオンに対する対イオンとしての、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン化物イオン3個と、
    からなり、
    前記カプセル骨格に内包された1価の陰イオンが、Cl 、Br 、又はI であるカプセル型化合物。

    〔一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、Pt2+、Pd2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。〕
  2. 前記カプセル骨格に内包された1価の陰イオンが、Cl又はBrである請求項1に記載のカプセル型化合物。
  3. 前記M及び前記Mが、同一種である請求項1又は請求項2に記載のカプセル型化合物。
  4. 前記M及び前記Mが、Cu2+である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカプセル型化合物。
  5. 前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R10、前記R11、前記R12、及び前記R13が、水素原子である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカプセル型化合物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤。
  7. ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の前記陰イオンの除去に用いられる請求項6に記載の陰イオン除去剤。
  8. 前記水系試料が、更に、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含む請求項7に記載の陰イオン除去剤。
  9. 前記水系試料が、硬水である請求項7又は請求項8に記載の陰イオン除去剤。
  10. ClO 、BF 、NO 、CFSO 、及びPF からなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む陰イオン除去方法。
  11. 前記水系試料が、少なくともClO を含む請求項10に記載の陰イオン除去方法。
  12. 前記水系試料が、更に、Ca2+及びBa2+の少なくとも一方を含む請求項10又は請求項11に記載の陰イオン除去方法。
  13. 前記水系試料が、硬水である請求項10〜請求項12のいずれか1項に記載の陰イオン除去方法。
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