JP5954829B2 - カプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法に関する。
過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、硝酸イオン(NO )、及び臭化物イオン(Br)は、有害イオンでありながら水に対する溶解性が高いため、水溶液中からの除去が困難な陰イオンである。また、これらの陰イオンに加えてヨウ化物イオン(I)も、水に対する溶解性が高く水溶液中からの除去が困難な陰イオンである。
例えば、過塩素酸イオンは、乳幼児や子供が過量に摂取すると、成長障害や知的障害を引き起こすことが懸念されている。
水溶液中から過塩素酸イオン等の陰イオンを除去する方法としては、例えば、イオン交換樹脂を用いる方法が知られている(例えば、特開2004−346299号公報及び「NEDO海外レポート、No.946、2004.12.15」参照)。
また、過塩素酸イオンを含む水溶液に、1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(以下、「bitb」ともいう)を添加することにより、bitb4分子及びCu2+2個からなるカプセル骨格中に過塩素酸イオンが内包された構造の捕捉カプセル型分子を生成させ、生成した捕捉カプセル型分子を沈殿させる方法が知られている(例えば、国際公開第2008/029804号パンフレット参照)。bitbは、過塩素酸イオン(ClO )以外にも、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )等その他の陰イオンの除去にも効果を示すことが知られている(例えば、特開2010−022886号公報及び特開2010−042403号公報参照)。
しかしながら、水系試料中におけるClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンの濃度を、より短時間でより効率よく低下させることが求められている。
従って、本発明の目的は、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の該陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができるカプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法を提供することである。
前記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1> 下記一般式(1)で表されるカプセル骨格及び該カプセル骨格に内包された硫酸イオン(SO 2−)からなるカプセル型2価カチオンと、前記カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)と、からなるカプセル型化合物。
〔一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。〕
<2> 前記M及び前記Mが、同一種である<1>に記載のカプセル型化合物。
<3> 前記M及び前記Mが、Cu2+である<1>又は<2>に記載のカプセル型化合物。
<4> 前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R10、前記R11、前記R12、及び前記R13が、水素原子である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物。
<5> <1>〜<4>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤。
<6> ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む陰イオン除去方法。
<7> 前記水系試料が、少なくともClO を含む<6>に記載の陰イオン除去方法。
本発明によれば、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料中の該陰イオンの濃度を、短時間で効率よく低下させることができるカプセル型化合物、陰イオン除去剤、及び陰イオン除去方法を提供することができる。
本発明のカプセル型化合物の一例である、カプセル型化合物[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO」の分子構造図である。 実施例2におけるアニオン濃度の推移(アニオン水溶液Aの添加後180分まで)を示すグラフである。 実施例4における過塩素酸ナトリウム水溶液([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過する前)のイオンクロマトグラフィーのチャートである。 実施例4における過塩素酸ナトリウム水溶液([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過した後)のイオンクロマトグラフィーのチャートである。 実施例5におけるヨウ化物イオン濃度の推移(ヨウ化物イオン水溶液Bの添加後180分まで)を示すグラフである。 比較例1におけるアニオン濃度の推移(アニオン水溶液Aの添加後180分まで)を示すグラフである。 比較例1におけるアニオン濃度の推移(アニオン水溶液Aの添加後10000分まで)を示すグラフである。
≪カプセル型化合物≫
本発明のカプセル型化合物は、下記一般式(1)で表されるカプセル骨格及び該カプセル骨格に内包された硫酸イオンからなるカプセル型2価カチオンと、前記カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての硫酸イオンと、からなる化合物である。

一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。
図1は、本発明のカプセル型化合物の一例として、一般式(1)中及び後述の一般式(2)中のR〜R13が水素原子であり、一般式(1)中のM及びMがCu2+であるカプセル型化合物を概念的に示す分子構造図である。
ここで、後述の一般式(2)中のR〜R13が水素原子である化合物は、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(以下、「m−bbitb」ともいう)である。
また、本明細書中では、一般式(1)中のR〜R13が水素原子であり、一般式(1)中のM及びMがCu2+であるカプセル型化合物を、「[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO」ともいう。
図1に示すように、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOの構造は、2個のCu2+イオン及び4分子のm−bbitbにより形成されたカプセル骨格と該カプセル骨格に内包された1個の硫酸イオン(SO 2−)とからなるカプセル型2価カチオン(図1中、一点鎖線で囲んだ部分)と、このカプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての1個の硫酸イオン(SO 2−)と、からなる構造となっている。ここで、内包されている硫酸イオン(SO 2−)中の2つの酸素原子は、図1中破線で示すように、それぞれ2個のCu2+イオンと配位結合している。
カプセル型2価カチオンは、2個のCu2+イオンと、1個の硫酸イオン(SO 2−)と、4分子のm−bbitbと、により全体として2価の陽イオンとして構成されている。[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOは、このカプセル型2価カチオンと、対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)1個と、により全体として中性の化合物として構成されている。
図1に示す構造は、単結晶構造解析により確認することができる。
[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO以外の本発明のカプセル型化合物の構造も、配位子(一般式(1)中のかっこ内の化合物)の種類や金属イオンの種類を除けば[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOの構造と同様である。
本発明のカプセル型化合物は、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と接触すると、前記陰イオンと、本発明のカプセル型化合物中の対イオンとしての硫酸イオンと、が速やかに対イオン交換し、水系試料中の前記陰イオンがカプセル型化合物に対イオンとして取り込まれる。
従って、本発明のカプセル型化合物によれば、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。
ここで、本発明のカプセル型化合物及び対イオン交換後のカプセル型化合物は、いずれも水に不溶であり、このことも、短時間かつ効率のよい前記陰イオンの濃度の低下に寄与しているものと考えられる。
更に、本発明のカプセル型化合物は水に不溶であるため、水系試料へ懸濁された状態で、水系試料の汚染を抑制しながら前記陰イオンの濃度を低下させることができるという利点を有する。
ここで、「水に不溶」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解度が0.1質量部以下であることを指す。
更に、本発明のカプセル型化合物を用いることで、国際公開第2008/029804号パンフレットに記載された1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(bitb)を用いた陰イオン(過塩素酸イオン)の除去方法と比較しても、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。この理由は以下のように推測される。
即ち、当該パンフレットに記載された方法では、過塩素酸イオンと水とを含む水系試料中にbitbを添加し、bitb4分子及びCu2+2個からなるカプセル骨格中に過塩素酸イオンが内包された構造の捕捉カプセル型分子を生成させる必要がある。
これに対し、本発明のカプセル型化合物を用いる場合には、過塩素酸イオン等の陰イオンと水とを含む水系試料中に本発明のカプセル型化合物を添加し、対イオン交換により水系試料中から陰イオンを除去するため、金属−配位子間の配位結合のような強い化学結合の形成を伴うカプセル構造の形成を必要としない。
このため、上記パンフレットに記載された方法における捕捉カプセル型分子の生成の反応時間よりも、本発明のカプセル型化合物を用いる場合における対イオン交換の反応時間の方が短いことが、より短時間かつより効率のよい陰イオンの除去に寄与しているものと推測される。
但し、本発明は上記理由によって限定されることはない。
従って、本発明のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させるには、長時間(例えば1時間以上)を必要とせず、また、処理前(本発明のカプセル型化合物による処理前。以下同じ。)の水系試料中における前記陰イオンの濃度を特に限定する必要もない。従って、処理前の水系試料として、例えば前記陰イオンの濃度が20mM以下の水系試料を用いることもできる。
また、本発明のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させるのに要する時間は、例えば30分以内とすることができ、更には10分以内とすることもでき、更には5分以内とすることもできる。
また、本発明のカプセル型化合物により水系試料中の前記陰イオンの濃度を低下させる場合において、水系試料中における陰イオンの処理前濃度は、例えば10mM以下とすることができ、更には5mM以下とすることもでき、更には1mM以下とすることもできる。
本発明のカプセル型化合物は、前記陰イオンの中でも、特にClO の濃度を顕著に(即ち、より短時間でより効率よく)低減させることができる。
本発明における「水系試料」は、溶媒として少なくとも水を含む試料であれば特に限定はない。
「水系試料」としては、溶媒中における水の比率が30質量%以上である水系試料が好ましく、溶媒中における水の比率が50質量%以上である水系試料がより好ましく、溶媒中における水の比率が80質量%以上である水系試料が更に好ましい。
本発明の水系試料は必要に応じ、水以外にも、溶媒として、極性プロトン性溶媒(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、酢酸、ギ酸、等)、極性非プロトン性溶媒(テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、等)、及び非極性溶媒(ベンゼン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン等)の少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明における「水系試料」の具体例としては、例えば、上水、下水、各種廃水(工業廃水等)、液状の中間生成物、工業用水、飲料水、各種水溶液、コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含む懸濁液、等が含まれる。
また、前記一般式(1)中、M及びMは、合成容易性などの観点より、同一種のカチオンであることが好ましい。更には、M及びMは、陰イオンの濃度をより短時間で低下させることができる点で、Cu2+であることが特に好ましい。
本発明では、一般式(1)中のかっこ内の化合物を配位子ともいう。
本発明における配位子は下記一般式(2)で表される化合物である。

一般式(2)中、R〜R13は、一般式(1)中のR〜R13と同義である。
前記一般式(1)及び(2)中、R〜R12は、合成容易性などの観点より、水素原子であることが好ましい。更に、前記一般式(1)及び(2)中、R〜R13は、合成容易性などの観点より、水素原子であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の合成方法としては、例えば、H. K. Liu, C. Y. Su, C.M. Qian, J. Liu, H. Y. Tan, B. S. Kang, J. Chem. Soc., DaltonTrans., 2001, 8, 1167.に記載の合成方法が挙げられる。
以下、一般式(2)で表される化合物の例示化合物を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の例示化合物(a)は、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitb)である。

また、本発明のカプセル型化合物の合成方法としては、例えば、水(又は水を含む水性溶媒)中で、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、及びZn2+の少なくとも1種を含む硫酸塩と、一般式(2)で表される化合物と、を反応させる方法が挙げられる。これにより、水に不溶な化合物(沈殿)として本発明のカプセル型化合物を得ることができる。
このときの反応温度には特に限定はないが、例えば、10℃〜80℃とすることが好ましい。
反応時間にも特に限定はないが、20分以上とすることが好ましい。
≪陰イオン除去剤≫
本発明の陰イオン除去剤は、上記本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む。
このため、本発明の陰イオン除去剤と、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、を接触させることにより、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。
本発明の陰イオン除去剤の第1の形態としては、固体状態(粉末状、結晶状など)の本発明のカプセル型化合物単体の形態が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第2の形態としては、固体状態の本発明のカプセル型化合物と、バインダー成分等の他の成分と、の混合物の形態(錠剤状など)が挙げられる。
また、本発明の陰イオン除去剤の第3の形態としては、本発明のカプセル型化合物(又は本発明カプセル型化合物を含む混合物)が水系媒体中に懸濁された懸濁液の形態が挙げられる。
≪陰イオン除去方法≫
本発明の陰イオン除去方法は、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、上記本発明のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む。
本発明の陰イオン除去方法によれば、本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとを接触させることができるので、前記水系試料中の前記陰イオンの濃度を短時間で効率よく低下させることができる。
前記水系試料と前記本発明のカプセル型化合物との接触は、例えば、本発明のカプセル型化合物(又は本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を水系試料中に添加することにより行うことができる。また、本発明のカプセル型化合物(又は本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を予め容器に入れておき、そこに前記水系試料を添加することにより行ってもよい。
また、前記接触は、本発明のカプセル型化合物(又は本発明のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤)を固定したフィルターに、前記水系試料を通過させることによって行うことも好ましい。
また、本発明における水系試料は、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含むが、該水系試料のより好ましい形態は、ClO 、BF 、NO 、及びBrからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含む形態である。
更に、本発明のカプセル型化合物は、特にClO の濃度を顕著に(より短時間でより効率よく)低減させることができるので、本発明の陰イオン除去方法における前記水系試料は、少なくともClO を含むことが好ましい。即ち、前記水系試料は、少なくともClO を含み、更に必要に応じ、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンを含むことが好ましい。
本発明の陰イオン除去方法では、前記本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとの接触頻度を高める観点から、水系試料を加熱してもよい。
前記接触時の温度は、0〜100℃とすることができ、20〜80℃とすることが好ましい。
また、本陰イオン除去方法では、前記本発明のカプセル型化合物と前記陰イオンとの接触後、水系試料を撹拌してもよく、撹拌せずにそのまま放置してもよいが、接触頻度を高める観点からは、撹拌することが好ましい。
撹拌には、攪拌器、容器の振とう、超音波の照射、マイクロウェーブの照射、加熱による対流、などの手段を用いることができる。中でも、超音波の照射が好ましい。
本発明の陰イオン除去方法により生じたイオン交換後のカプセル型化合物も水に不溶であるため、水系試料中から前記陰イオンを容易に分離できる。
分離の方法としては、沈殿物を溶液中から分離する通常の方法をそのまま適用することができ、例えば、上澄み液のデカントによる分離、フィルターによる濾過、遠心分離操作による分離等を挙げることができる。
なお、本発明の陰イオン除去方法では、本発明のカプセル型化合物における対イオンである硫酸イオンと、除去対象である陰イオンと、の対イオン交換により、水系試料中に、ClO 、BF 、NO 、Br、及びIと比べて害が少ない硫酸イオン(SO 2−)が放出される。
放出された硫酸イオンは、塩化カルシウムを添加することにより水に難容性の塩として沈殿させる方法等、公知の方法により、水系試料中から容易に除去することができる。
また、本発明の陰イオン除去方法では、陰イオン除去により生じたイオン交換後のカプセル型化合物を分解して配位子(前記一般式(2)で表される化合物)を生成し、生成した配位子を用いて本発明のカプセル型化合物を合成(再生)することができる。前記分解は、前記イオン交換後のカプセル型化合物をメタノール等の有機溶媒で抽出し、得られた抽出液に炭酸ナトリウムなどの塩基性試薬を溶かした溶液を添加する方法や、前記抽出液に硫化水素を通気させる方法などにより行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、溶液の調製、または測定に用いた水はすべてイオン交換水を用いた。
〔実施例1〕
<1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitb)の合成>
H. K. Liu, C. Y. Su, C.M. Qian, J. Liu, H. Y. Tan, B. S. Kang, J. Chem. Soc., Dalton Trans., 2001, 8, 1167.に記載の合成方法に従い、1,3−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イル−メチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(m−bbitb)を合成した。
<カプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO)の合成>
下記反応スキーム1に従い、カプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO)を合成した。
以下、反応スキーム1の詳細について説明する。
まず、CuSO・5HO(37mg,0.15mmol)を水(30mL)に溶かし、CuSO・5HOの水溶液を得た。
次に、m−bbitb(110mg,0.30mmol)をエタノールに溶かしたm−bbitb溶液を調製し、得られたm−bbitb溶液をCuSO・5HOの水溶液に添加し、室温(25℃)で1週間程静置したところ青色固体が生じた。
得られた青色固体をろ過して集めて乾燥させて、図1に示す構造の[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOを得た(収量98.1mg(収率66.4%))。
[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOの構造は、下記元素分析及び下記結晶学データ(単結晶X線構造解析)により確認した。
元素分析は、Euro Vector社製Euro EA3000を用いて行った。
単結晶X線構造解析は、(株)リガク製の構造解析装置(マーキュリー二次元検出器システム)を用い、室温(25℃)でモリブデンKαの線源を用いてX線の反射データを収集し、収集した反射データを(株)リガク製の Crystal Structure プログラムを用いて解析することにより行った。
〜元素分析結果〜
Calcd for C100H110Cu2N16O15S2: C, 61.05; H, 5.64; N, 11.39.
Found: C, 60.66; H, 5.21; N, 11.07.
〜結晶学データ〜
分子式: C100H110Cu2N16O15S2, Mr = 1967.28, monoclinic, space group C2/m (No.12), a = 19.508(15)Å, b = 24.484(19)Å, c = 13.377(11)Å, β = 126.072(7)°, V = 5164(7) Å3, Z = 2, Dc = 1.265 gcm-3, μ(Mo Kα) = 0.521 mm-1, T = 293 K, λ = 0.7107Å, ω scan. Of a total of 5935 reflections collected, 3450 were independent (Rint = 0.065). 362 parameters. The structure was solved by direct methods and refined by full-matrix least squares on F. Final R1 [I>2σ(I)] = 0.0892 and wR = 0.1177 (all data); GOF = 1.174.
<カプセル型化合物([SO⊂Ni(m−bbitb)]SO)の合成>
下記反応スキーム2に従い、ニッケルイオンを用いてカプセル型化合物([SO⊂Ni(m−bbitb)]SO)を合成した。
以下、反応スキーム2の詳細について説明する。
まず、NiSO・6HO(39.4mg,0.15mmol)を水(30mL)に溶かし、NiSO・6HOの水溶液を得た。
次に、m−bbitb(110mg,0.30mmol)をエタノールに溶かしたm−bbitb溶液を調製し、得られたm−bbitb溶液をNiSO・6HOの水溶液に添加し、およそ40℃で数時間撹拌した。反応溶液中に生成した沈殿をろ過して除いた後、ろ液を減圧下で徐々に濃縮し、緑白色固体を得た。得られた緑白色固体をろ過により集め、減圧下で乾燥させ、[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOを得た(収量 80mg、0.044mmol;(収率58%))。
[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOの生成は、下記元素分析により確認した。
元素分析は、Euro Vector社製Euro EA3000を用いて行った。
〜元素分析結果〜
Calcd for C100H96N16Ni2O8S2: C, 65.58; H, 5.28; N, 12.24.
Found: C, 65.65; H, 5.12; N, 12.36.
<[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターの作製>
[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO(0.20g、0.10mmol)を40mLの水に懸濁させた。この懸濁液を、シリンジに取り付けたシリンジフィルター(ラボラボカンパニー(株)製、フィルターの直径40mm、フィルターの細孔サイズ0.2mm)を通過させ、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOをシリンジフィルターに固定した。次いでこのシリンジフィルターを室温、減圧下で24時間乾燥させ、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOが固定されたシリンジフィルター(以下、「[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルター」ともいう)を得た。
〔実施例2〕
<カプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO)によるアニオン(陰イオン)の除去>
過塩素酸ナトリウム(61.2mg,0.5mmol)、臭化ナトリウム(51.5mg,0.5mmol)、硝酸ナトリウム(42.5mg,0.5mmol)、硫酸ナトリウム(71.0mg,0.5mmol)、をそれぞれ正確に量り取り、水温30℃の超純水(500mL)に溶解させ、各アニオン(ClO 、Br、NO 、SO 2−)の濃度が1mMのアニオン水溶液Aを調製した。
続いて100mLコニカルビーカーに[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO(0.1967g,0.1mmol)を正確に量り取り、上記で調製したアニオン水溶液A100mLを加えて水系試料1とし、この水系試料1を恒温装置で30℃に保ち静置した。
上記アニオン水溶液Aの添加後10分以内においては2分ごとに、上記アニオン水溶液の添加後10分を超えて30分以内においては10分ごとに、上記アニオン水溶液の添加後30分を超えて180分以内においては30分ごとに、水系試料1から20μLを量り採り、量り採った20μLの水系試料1を超純水4800μLで25倍に希釈し、希釈された水系試料1中における各アニオンの濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて測定した。イオンクロマトグラフィーはメトローム社製のMetrohm Compact IC 861 ion chromatographyを用いて行った。測定結果から、水系試料1中におけるアニオン濃度の推移を求めた。
水系試料1におけるアニオン濃度の推移を表1及び図2に示す。
表1中の「Time(min)」欄及び図2中の横軸は、上記アニオン水溶液Aの添加からの経過時間(単位:分)を表す。表1中の「Br(mM)」欄、「NO (mM)」欄、「SO 2−(mM)」欄、及び「ClO (mM)」欄、並びに図2中の縦軸は、水系試料1における各アニオンの濃度(単位:mM)である。
表1及び図2に示すように、アニオン水溶液Aの添加から2分経過後に、Br、NO 、及びClO の濃度の顕著な低下が確認された。アニオン水溶液Aの添加から30分以内に、Brの濃度は0.8mM程度まで、NO の濃度は0.5mM程度まで、ClO の濃度は0.03mM程度まで低下した。
実施例2において、特にClO については濃度低下が著しく、1mM(約100,000ppb)であったClO 濃度が経過時間1時間以内に0.02mM以下(約2,000ppb以下)にまで低下した。
また、アニオン水溶液Aの添加からの経過時間に従いSO 2−が増大していることから、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO中の対イオンとしてのSO 2−と、Br、NO 、及びClO と、の対イオン交換が起こっていることが確認された。
〔実施例3〕
<カプセル型化合物([SO⊂Ni(m−bbitb)]SO)によるアニオン(陰イオン)の除去>
実施例2において、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOを[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOに変更したこと以外は実施例2と同様にしてアニオン(陰イオン)の除去の実験を行ったところ、実施例2と同様に、[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOが水系試料中のアニオン(陰イオン)濃度を低下させることが確認された。
〔実施例4〕
<[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターによるアニオン(陰イオン)の除去>
1000ppbの過塩素酸イオンを含む過塩素酸ナトリウム水溶液(0.010mM)6mLを調製し、この水溶液を上記で示した[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過させた。
[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過する前と通過した後とについて、それぞれ、過塩素酸ナトリウム水溶液中に含まれる過塩素酸イオン(ClO )の濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて決定した。
図3に、過塩素酸ナトリウム水溶液([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過する前)のイオンクロマトグラフィーのチャートを示し、図4に、過塩素酸ナトリウム水溶液([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過した後)のイオンクロマトグラフィーのチャートを示す。
図3及び図4の結果より、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過する前は1000ppbであったClO の濃度が、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過した後では12ppbとなっていることがわかった。
また、図4に示すように、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過した後では、SO 2−の強いピークが確認された。この結果から、このフィルターを通過させることで、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO中の対イオンとしてのSO 2−と、ClO と、の対イオン交換が起こっていることが確認された。
上記のとおり、実施例4では、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO−固定フィルターを通過させるだけで、ClO の濃度を、1000ppbから12ppbまで減少させることができた。現在、米国環境保護庁(EPA)では過塩素酸イオンの安全基準濃度の目標値が24.5ppb以下と設定されているが、本実施例4ではこの安全基準濃度を極めて短い時間で達成できた。
〔実施例5〕
<カプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO)によるヨウ化物イオンの除去>
ヨウ化ナトリウム(150mg,1mmol)を正確に量り取り、水温30℃の超純水(1000mL)に溶解させ、濃度が1mMのヨウ化物イオン水溶液Bを調製した。
続いて100mLコニカルビーカーに[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO(0.1967g,0.1mmol)を正確に量り取り、上記で調製したヨウ化物イオン水溶液B100mLを加えて水系試料2とし、この水系試料2を恒温装置で30℃に保ち静置した。
上記ヨウ化物イオン水溶液Bの添加後30分以内においては10分ごとに、上記ヨウ化物イオン水溶液Bの添加後30分を超えて180分以内においては30分ごとに、水系試料2から20μLを量り採り、量り採った20μLの水系試料2を超純水4800μLで25倍に希釈し、希釈された水系試料2中におけるヨウ物イオン濃度をイオンクロマトグラフィーを用いて測定した。測定結果から、水系試料2中におけるヨウ化物イオン濃度の推移を求めた。
水系試料2におけるヨウ化物イオン濃度の推移を図5に示す。
図5に示すように、ヨウ化物イオン水溶液Bの添加から30分以内に、Iの濃度は0.2mM程度まで低下し、ヨウ化物イオン水溶液Bの添加から180分では、0.08mMまで低下した。
〔比較例1〕
<イオン交換型樹脂による過塩素酸イオン(ClO )の除去>
実施例2において[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO(0.1967g,0.1mmol)を同質量のイオン交換樹脂(Purolite製SR601188A530E(強塩基性陰イオン交換樹脂))に変更したこと以外は実施例2と同様にして水系試料3を調製し、実施例2と同様にして水系試料3中の各アニオンの濃度の推移を測定した。更に引き続き、アニオン水溶液Aの添加後10000分(約1週間)まで、水系試料3中の各アニオンの濃度の推移を測定した。
水系試料3におけるアニオン濃度の推移を図6(アニオン水溶液Aの添加後180分まで)及び図7(アニオン水溶液Aの添加後10000分まで)に示す。
図6及び図7の横軸は、上記アニオン水溶液Aの添加からの経過時間(単位:分)を表す。図6及び図7の縦軸は、水系試料3における各アニオンの濃度(単位:mM)である。
図6及び図7に示すように、比較例1では各アニオンの濃度を低下させるのに、実施例2よりも長時間を要した。
例えば、Brの濃度を0.8mM程度まで低下させるのに180分以上、NO の濃度を0.6mM程度まで低下させるのに150分以上、ClO の濃度を0.1mM程度まで低下させるのに1000分以上を要した。
上記実施例2、4及び5では、一般式(1)中のM及びMがCu2+であるカプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO)を用いた陰イオン除去の例を示し、上記実施例3では、一般式(1)中のM及びMがNi2+であるカプセル型化合物([SO⊂Ni(m−bbitb)]SO)を用いた陰イオン除去の例を示した。
しかし本発明はこれらの例に限定されることはなく、例えば、一般式(1)中のM及びMがCu2+やNi2+と同様に、平面四配位、正方錐配位、及び八面体配位が可能な、Fe2+、Co2+、又はZn2+であるカプセル型化合物についても、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOや[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOと同様にして合成でき、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SOや[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOと同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例1〜5では、一般式(1)中のR〜R13が水素原子であるカプセル型化合物([SO⊂Cu(m−bbitb)]SO又は[SO⊂Ni(m−bbitb)]SO)を用いた例を示したが、一般式(1)中のR〜R13の少なくとも1つがメチル基であるカプセル型化合物についても、出発物質(配位子)の変更により[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO又は[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOと同様にして合成できる。得られたカプセル化合物は、配位子の基本骨格が[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO中又は[SO⊂Ni(m−bbitb)]SO中の配位子(m−bbitb)の基本骨格が同じであることから、[SO⊂Cu(m−bbitb)]SO又は[SO⊂Ni(m−bbitb)]SOと同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例2及び3ではClO 、Br、及びNO の除去を行い、上記実施例4ではClO の除去を行い、上記実施例5ではIの除去を行ったが、本発明のカプセル型化合物を用いることにより、ClO と構造や性質が類似するBF についてもClO と同様に除去できる。
日本出願2011−016235の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるカプセル骨格及び該カプセル骨格に内包された硫酸イオン(SO 2−)からなるカプセル型2価カチオンと、前記カプセル型2価カチオンに対する対イオンとしての硫酸イオン(SO 2−)と、からなるカプセル型化合物。


    〔一般式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(1)中、M及びMは、それぞれ独立に、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co2+、又はZn2+を表す。一般式(1)中、破線は配位結合を表す。〕
  2. 前記M及び前記Mが、同一種である請求項1に記載のカプセル型化合物。
  3. 前記M及び前記Mが、Cu2+である請求項1又は請求項2に記載のカプセル型化合物。
  4. 前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R、前記R10、前記R11、前記R12、及び前記R13が、水素原子である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカプセル型化合物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカプセル型化合物を有効成分として含む陰イオン除去剤。
  6. ClO 、BF 、NO 、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオン並びに水を含む水系試料と、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカプセル型化合物と、を接触させて前記水系試料から前記陰イオンを除去する工程を含む陰イオン除去方法。
  7. 前記水系試料が、少なくともClO を含む請求項6に記載の陰イオン除去方法。
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