JP5190995B2 - 複素環置換芳香族化合物、配位化合物、過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオン捕捉方法、及び、過塩素酸イオン除去方法 - Google Patents

複素環置換芳香族化合物、配位化合物、過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオン捕捉方法、及び、過塩素酸イオン除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、複素環置換芳香族化合物、配位化合物、過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオン捕捉方法、及び、過塩素酸イオン除去方法に関する。
過塩素酸塩は、成人の代謝作用を司り小児の身体発育を促進する甲状腺に障害を及ぼす物質である。近年、土壌・水中において高濃度の過塩素酸イオンが検出された事例が、相次いで報告されている。また、過塩素酸イオン(ClO )は、水に対して高い溶解度を示し、全ての陰イオンの中で、最も陽イオンと相互作用しにくい陰イオンの一つであるため、沈殿等として水溶液から取り出すことが困難なイオンである。過塩素酸イオンの水道水への影響に鑑み、近年、河川における過塩素酸イオン濃度についての調査が行われている(例えば、環境システム計測制御学会学会誌「EICA」、2006年、第11巻、第3号、p.215-218参照)。
過塩素酸塩(又は過塩素酸イオン)により汚染された廃液から過塩素酸塩を除去する技術として、過塩素酸塩を濃縮し、濃縮された過塩素酸塩溶液にKClを加えて過塩素酸カリ(KClO)を生成させ、冷却して結晶化させる方法が知られている(例えば、特表平9−504472号公報参照)。また、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去する水処理システム(例えば、特開2004−346299号公報及び「NEDO海外レポート、No.946、2004.12.15、インターネット<http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/946/946-07.pdf>」参照)も知られている。
一方、種々のイオンを取り込むようにカプセルを形成しうる化合物が知られている(例えば、J.Am.Chem.Soc., 2003, Vol.125, No.28, p.8595-8613参照)。この化合物は、カプセル内に取り込まれるイオンの種類やイオンのサイズにかかわらず、カプセル骨格を形成しやすい構造を有する。
しかしながら、過塩素酸塩から過塩素酸カリを生成させ結晶化させる上記の方法では、溶液から溶媒を蒸発させる濃縮工程を有するため、溶液の状態を保持したまま、溶液中の過塩素酸イオンを捕捉することはできない。また、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去する上記の方法では、樹脂の再生にコストがかかる他、過塩素酸イオン捕捉に関し、選択性に劣る問題がある。
一方、上記カプセルを形成しうる化合物を用いて過塩素酸イオンの除去を試みたとしても、複数の陰イオンが存在する系から過塩素酸イオンを選択的に捕捉することはできない。
従って、本発明の目的は、液体試料中の過塩素酸イオンを高い選択性で効率よく捕捉することができる複素環置換芳香族化合物、配位化合物、過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオンの捕捉方法、及び、過塩素酸イオン除去方法を提供することである。
前記課題を解決するための手段は以下のとおりである
> 下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物である。
> <1>記載の複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、を含む配位化合物である。
> 前記金属イオンが、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+から選ばれる少なくとも1種である<>記載の配位化合物である。
> 下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物を含む過塩素酸イオン捕捉剤である。
> 更に、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む<4>記載の過塩素酸イオン捕捉剤である。
> <>又は<>記載の配位化合物を含み、前記金属イオンが、該配位化合物の一部として含まれる<>記載の過塩素酸イオン捕捉剤である。
> 前記金属イオンが、塩の一部として含まれる<>記載の過塩素酸イオン捕捉剤である。
> 前記金属イオンが、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+から選ばれる少なくとも1種である<>〜<>のいずれか1つ記載の過塩素酸イオン捕捉剤である。
> 液体試料中の過塩素酸イオンを捕捉する方法であって、
<1>記載の複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させる捕捉工程を含む過塩素酸イオン捕捉方法である。
10> 液体試料中から過塩素酸イオンを除去する方法であって、
<1>記載の複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させる捕捉工程と、
前記捕捉カプセル型分子を沈殿させて液体試料中から除去する除去工程と、
を含む過塩素酸イオン除去方法である。
本発明によれば、液体試料中の過塩素酸イオンを高い選択性で効率よく捕捉することができる複素環置換芳香族化合物、配位化合物、過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオン捕捉方法、及び、過塩素酸イオン除去方法を提供することができる。
本発明における捕捉カプセル型分子1分子が過塩素酸イオン(ClO )1分子を内包する様子を、原子半径を無視して表したものである。 本発明における捕捉カプセル型分子1分子が過塩素酸イオン(ClO )1分子を内包する様子を、ファンデルワールス半径を考慮して表したものである。 本発明の実施例に係る硫酸銅(II)7水和物及びbitbを含む溶液に、過塩素酸ナトリウム水溶液を滴下していったときの可視紫外吸収スペクトルの変化を表すグラフである。 本発明の実施例に係る過塩素酸ナトリウムを含む水溶液に、硫酸銅(II)7水和物及びbitbを加えときの水溶液中の過塩素酸イオンの存在量を表すグラフである。 本発明の実施例に係る配位化合物の二次元シート型構造(A layer)を示す図である。 本発明の実施例に係る配位化合物の二次元シート型構造(B layer)を示す図である。 本発明の実施例に係る配位化合物の三次元構造を示す図である。 本発明の実施例に係る配位化合物を過塩素酸ナトリウム水溶液に添加したときの反射スペクトルである。 本発明の実施例における過塩素酸イオン除去効率を示すグラフである。
<複素環置換芳香族化合物>
本発明の複素環置換芳香族化合物は、下記一般式(I)で表される。
式中、R、R、及びRのうち1つは、Rに対してメタ位又はパラ位にあるRであり、R及びRは互いに独立して下記の複素環置換基を表し、
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、前記複素環置換基のうち、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。
本発明の複素環置換芳香族化合物は、液体試料中で、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと特定の陰イオンとに接触すると、複数集まって前記金属イオンとともに、前記特定の陰イオンを取り込んでカプセル分子を形成する(自己集積化反応)。本発明においては、陰イオンを取り込んだカプセル分子を、「捕捉カプセル型分子」という。
このとき、捕捉カプセル型分子では、上記化合物と金属イオンとで6.5Å(0.65nm)×6.5Å(0.65nm)×5.0Å(0.50nm)の空間が形成されるため、このサイズ以下の陰イオンのみが内包されうる。このような陰イオンとしては、例えば、過塩素酸イオン(ClO )やテトラフルオロホウ酸イオン(BF )を挙げることができるが、特に、過塩素酸イオンは、前記空間とほぼ同等のサイズであるため、選択的に取り込まれ、容易に離脱しない。
この結果、本発明の化合物は、過塩素酸イオンを選択性高く捕捉できるだけでなく、容易に離脱させないので、確実に捕捉することができる。なお、本発明の化合物は、上記以外の他の陰イオンに対しては、このような捕捉カプセル型分子ではなく、高分子構造を容易に形成する。
本発明の化合物による自己集積化反応は、過塩素酸イオンに対して極めて高い選択性を示すため、液体中に過塩素酸イオンが存在する場合、効率よくかつ確実に過塩素酸イオンを捕捉することができる。
上記一般式(I)において、RがRに対してパラ位にあること、即ち、RがRであることが、過塩素酸イオンが離脱しない、隙間の無い捕捉空間を形成させる観点から、好ましい。
また、RとRは同一の複素環置換基であることが、生成する捕捉カプセル型分子の異性体の数を制限でき、生成物の同定を行いやすい観点からは、好ましい。
及びRにおいて、R及びRは、芳香族環の他の置換基と立体障害を起こすことなく、捕捉カプセル型分子を形成しうる観点から、共に水素原子であることが好ましい。
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはない。
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りとしては、炭素数1〜30の置換若しくは未置換の脂肪族基が好ましい。
、R、R、R及びRで表される脂肪族基の炭素数としては、合成容易性の観点や、一般式(I)で表される化合物同士が立体的に障害となることなくカプセルを形成し、また陰イオンのカプセル内からの離脱を防ぐ観点から、1〜10が好ましく、1〜2がより好ましい。
この脂肪族基に置換可能な置換基としては、ハロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基を挙げることができるが、合成容易性、安定性、及び水に対する不溶性の観点から、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基が好ましい。
及びRにおいて、Aで表される複素環基は、炭素数1〜6のアルキル基やスルホン酸基等の置換基で置換されていてもよい。また、前記複素環基中には、窒素原子の他に、酸素原子や硫黄原子が含まれていてもよい。
Aで表される複素環基としては、前記金属イオンに配位可能な複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、ピロール−1−イル基以外のピロリル基、2H−ピロール−1−イル基以外の2H−ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾール−1−イル基以外のイソチアゾリル基、イソオキサゾール−1−イル基以外のイソオキサゾリル基、ピロリジン−1−イル基以外のピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピリジン−1−イル基以外のピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピペリジン−1−イル基以外のピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリン−4−イル基以外のモルホリニル基、下記構造式で表される基が好ましい。
上記の中でも、合成容易性と金属イオンに対する配位性との観点からは、ピロール−1−イル基以外のピロリル基、イミダゾリル基、ピリジン−1−イル基以外のピリジル基、下記構造式で表される基がより好ましい。
上記の中でもイミダゾリル基が特に好ましい。
このような、一般式(I)で表される複素環置換芳香族化合物としては、合成の容易性の観点、異性体の生成の阻止の観点、及び捕捉分子を離脱させないカプセル空間を形成させる観点からは、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
一般式(II)において、R、R、R、及びRは、Rでないこと以外は、一般式(I)におけるR、R、R、及びRについて前述した事項をそのまま適用可能である。
また、一般式(II)において、Aは、一般式(I)におけるAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の化合物は、例えば、ハロゲン置換された芳香族化合物と、一般式(I)中のAに相当する化合物とをアルカリ金属塩の存在下で反応させて、ハロゲン原子をAで置換することにより容易に合成することができる。例えば、イミダゾールとα,α’-ジブロモ-p-キシレンを水素化ナトリウムの存在下で加熱反応させて、1,3−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)ベンゼンを合成することができる。このような合成方法としては、例えば、C.-H. Zhou, R.-G. Xie, and H.-M. Zhao, Organic. Preparations and Procedures Int., 1996, 28(3), 345 に記載されている。
以下、一般式(I)又は一般式(II)で表される複素環置換芳香族化合物の例示化合物(例示化合物(a)〜(g))を示す。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
上記例示化合物(a)〜(g)のうち、例示化合物(a)又は例示化合物(b)がより好ましい。
<配位化合物>
本発明の配位化合物は、前述した本発明の複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、を含む。
本発明の配位化合物を液体試料中で過塩素酸イオンに接触させると、該配位化合物を構成する前記複素環置換芳香族化合物及び前記金属イオンが、過塩素酸イオンを取り込んだ捕捉カプセル型分子に再構成される。
このため、前記複素環置換芳香族化合物そのものを用いる場合と同様に、過塩素酸イオンを選択性高く捕捉することができる。
本発明の配位化合物の具体的な構造としては、該配位化合物に含まれる複数の金属イオンのそれぞれに対し、前記複素環置換芳香族化合物が複数配位した高分子錯体の構造が挙げられる。
該高分子錯体の構造としては、例えば、各金属イオンに対し前記複素環置換芳香族化合物が4分子ずつ配位した二次元シート型構造などがある。該二次元シート型構造においては、各複素環置換芳香族化合物は、二つの金属イオン間に配置され、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の金属イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の金属イオンに配位している。
本発明の配位化合物には、金属イオンの対イオンとして、過塩素酸イオン以外の陰イオンが含まれ得るが、これらの陰イオンは、前記金属イオンに配位していてもよいし(例えば、後述の図5参照)、前記金属イオンに配位していなくてもよい(例えば、後述の図6参照)。
また、前記配位化合物の構造が前記陰イオンを含む前記二次元シート型構造である場合、該二次元シート型構造中の陰イオンは、(1)別の二次元シート型構造中の金属イオンと配位結合するか、(2)別の二次元シート型構造中の金属イオンに結合した水と水素結合していてもよい。前記(1)及び(2)の場合には、前記配位化合物の構造は二次元シート型構造が複数重なった三次元構造となる。
本発明の配位化合物に含まれる平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとしては、例えば、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+が挙げられる。
中でも、配位化合物の形成性の観点等からは、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+が好ましく、Cu2+が特に好ましい。
また、本発明の配位化合物に含まれることがある、過塩素酸イオン以外の陰イオンとしては、例えば、OH、SO 2−、CO 2−、NO 、CHCOO、C 2−、HCOO、Cl、Br、F、PF 、アセチルアセトナト(C )、BF 、SiF 2−、CFSO -、等が挙げられる。
中でも、配位化合物の形成性の観点等からは、NO 、SO 2−、OH、CO 2−が好ましく、SO 2−がより好ましい。
本発明の配位化合物の合成方法としては、前記金属イオン(A成分)と、前記複素環置換芳香族化合物(B成分)とを、モル比〔A成分/B成分〕が1/2となる割合で反応させる方法が挙げられる。
前記A成分と前記B成分とを反応させる方法としては、前記A成分と過塩素酸イオン以外の陰イオンとからなる金属塩を、溶剤(例えば、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Aとし、前記B成分を別の溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Bとし、溶液Aと溶液Bとを混合して反応させる方法が挙げられる。
また、前記A成分と前記B成分とを同一の溶剤中に溶解させて反応させてもよく、この場合の溶剤としては、メタノール、ジメチルホルムアミド、又はエタノール等の単一溶媒を使用してもよいし、水/アセトニトリル、水/ジメチルホルムアミド、水/メタノール、水/エタノール、メタノール/ジメチルホルムアミド、エタノール/ジメチルホルムアミド等の混合溶剤を使用してもよい。
<過塩素酸イオン捕捉剤、過塩素酸イオン捕捉方法、過塩素酸イオン除去方法>
本発明の過塩素酸イオン捕捉剤は、前記一般式(I)で表される複素環置換芳香族化合物を含む。
本発明の過塩素酸イオン捕捉剤の形態としては特に限定はないが、例えば、前記一般式(I)で表される複素環置換芳香族化合物が、粉末状又は錠剤状等の固体である形態が挙げられる。また、前記固体と他の成分(ゼオライト、活性炭、などの多孔性固体等)との混合物の形態であってもよい。また、前記固体又は混合物が溶剤中に溶解または分散された形態であってもよい。
一般式(I)で表される複素環置換芳香族化合物は、前述の通り、過塩素酸イオンと、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとに接触すると、捕捉カプセル型分子を形成する。従って、前記複素環置換芳香族化合物を含む本発明の過塩素酸イオン捕捉剤を液体試料中に添加することにより、液体試料中の過塩素酸イオンを選択性高く捕捉することができる。
液体試料中で前記複素環置換芳香族化合物と前記金属イオンと過塩素酸イオンとを接触させる観点より、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤に、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含んでもよい。
ここで、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとしては、前述した配位化合物中の金属イオンと同様のイオン種が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ここで、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤が前記金属イオンを含む場合の形態としては特に限定はないが、以下の2形態が好適である。
第1の形態は、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤に、前記金属イオンが、前述の配位化合物の一部として含まれる形態である。即ち、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤が、前記配位化合物を含む形態である。この第1の形態は、液体試料中に金属イオンを直接溶解させる必要がない点で好適である。
第2の形態は、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤に、前記金属イオンが、塩の一部として含まれる形態である。即ち、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤が、前記複素環置換芳香族化合物と、前記金属イオンを含む金属塩と、を含む混合物である形態である。この第2の形態は、予め前記配位化合物を合成する必要がない点で好適である。
また、本発明の過塩素酸イオン捕捉剤が前記金属イオンを含まない場合には、過塩素酸イオン捕捉剤と、前記金属イオンを含む金属塩と、を別々に液体試料に添加することにより(両者は同時に添加しても時期をずらして添加してもよい)、前記複素環置換芳香族化合物と前記金属イオンと過塩素酸イオンとを接触させることができる。
液体試料としては、過塩素酸イオンを含む水溶液、メタノールやエタノール等のプロトン性有機溶媒、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の非プロトン性有機溶媒が挙げられる。
前記金属塩に含まれる平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとしては、例えば、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+が挙げられる。
中でも、複素環が強く金属イオンに結合することによる、安定な捕捉カプセル型分子の形成という観点からは、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+が好ましく、捕捉カプセル型分子形成の容易性の観点からは、Cu2+が特に好ましい。
前記金属塩に含まれる陰イオンとしては、例えば、OH、SO 2−、CO 2−、NO 、CHCOO、C 2−、HCOO、Cl、Br、F、PF 、アセチルアセトナト(C )、BF 、SiF 2−、CFSO 、等が挙げられる。
上記陰イオンのうち、金属塩の溶解性の観点からはNO が好ましい。また、捕捉対象である過塩素酸イオン(ClO )との選択性の観点からはSO 2−が好ましい。また、試料液の汚染抑制の観点からはOHやCO 2−が好ましい。
以上より、前記金属塩としては、CuSO、Cu(NO、Cu(OH)、又はCuCOが特に好ましい。
また、本発明の過塩素酸イオン捕捉方法は、液体試料中の過塩素酸イオンを捕捉する方法であって、前記複素環置換芳香族化合物と、前記金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させる捕捉工程を含む。
本捕捉方法では、液体試料中で、前記複素環置換芳香族化合物と、前記金属イオンと、過塩素酸イオンとが接触して、これらが相互作用しうる状態となる。この結果、前記複素環置換芳香族化合物4分子と金属イオン2個とによって過塩素酸イオン1個を内包する捕捉カプセル型分子を形成し、過塩素酸イオンを確実に捕捉することができる。
捕捉カプセル型分子は、過塩素酸イオン1分子を内包して捕捉するほか、前記捕捉カプセル型分子の外側(2個の金属イオン)にも、配位結合により過塩素酸イオンを捕捉することができる。従って、捕捉カプセル型分子1分子は、過塩素酸イオンを3分子捕捉することが可能である。さらに、捕捉カプセル型分子1分子は、前記過塩素酸イオン3分子に加え、別の捕捉カプセル型分子との間に、過塩素酸イオンをさらに1分子捕捉することが確認されている。即ち、捕捉カプセル型分子1分子は、過塩素酸イオンを最大4分子まで捕捉できることがわかっている。
以上の形態は、例えば単結晶構造解析及び可視・紫外分光スペクトル等により確認することができる。
液体試料中で、前記複素環置換芳香族化合物と、前記金属イオンと、過塩素酸イオンとを接触させる方法については、特に限定はない。
前述の過塩素酸イオン捕捉剤が前記金属イオンを含む場合には、過塩素酸イオン捕捉剤を、過塩素酸イオンを含む液体試料に添加する方法や、過塩素酸イオンを含む液体試料を、過塩素酸イオン捕捉剤を充填したフィルターに通過させる方法等が挙げられる。
前述の過塩素酸イオン捕捉剤が前記金属イオンを含まない場合には、過塩素酸イオン捕捉剤と、前記金属イオンを含む金属塩とを、前記液体試料に添加(両者は同時に添加しても時期をずらして添加してもよい)する方法や、過塩素酸イオンを含む液体試料を、過塩素酸イオン捕捉剤及び金属塩を充填したフィルターに通過させる方法等が挙げられる。
本発明の過塩素酸イオン捕捉方法においては、前記複素環置換芳香族化合物と金属イオンと過塩素酸イオンとの接触頻度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反応性を向上させる観点からは、液体試料を加熱してもよい。加熱の温度としては、溶媒の種類、金属塩の種類、複素環置換芳香族化合物の種類、及び配位化合物の種類などによっても異なるが、0〜100℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。
前記過塩素酸イオン捕捉剤(及び、必要に応じ前記金属塩)を前記液体試料に添加する場合、添加後に撹拌してもよく、撹拌せずにそのまま放置してもよいが、過塩素酸イオン捕捉剤と金属イオンと過塩素酸イオンとの接触頻度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反応性を向上させる観点からは、撹拌することが好ましい。
撹拌には、攪拌器、容器の振とう、加熱による対流、などの手段を用いることができる。中でも、容器の振とうが好ましい。
本捕捉方法における捕捉工程で形成された捕捉カプセル型分子は特定の割合で過塩素酸イオンを捕捉しているので、捕捉カプセル型分子を定量することによって、過塩素酸イオンを定量することができる。
定量の手段としては、溶液から沈殿した捕捉カプセル型分子をアセトニトリルなどに再溶解させて可視・紫外分光スペクトルを測定することにより、前記複素環置換芳香族化合物に由来する紫外領域の吸収に対する、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子に特有な540nmの極大吸収強度の比を求めることで過塩素酸イオンの定量を行う方法が挙げられる。
本発明の過塩素酸イオン除去方法は、液体試料中から過塩素酸イオンを除去する方法であって、前記過塩素酸イオン捕捉方法における捕捉工程と、該捕捉工程において形成された捕捉カプセル型分子を沈殿させて液体試料中から除去する除去工程と、を含む。
上記捕捉工程で形成された捕捉カプセル型分子は、液体試料中で沈殿するため、液体試料中から過塩素酸イオンのみを容易に分離できる。
分離の方法としては、沈殿物を溶液中から分離する通常の方法をそのまま適用することができ、例えば、上澄み液のデカントによる分離、フィルターによる濾過、遠心分離操作による分離等を挙げることができる。
本発明の過塩素酸イオン除去方法では、液体試料中から除去された捕捉カプセル型分子を前記複素環置換芳香族化合物に再生し、回収することができる。
ここで、前記捕捉カプセル型分子は、一般的な金属錯体と同様の構成を有するため、一般的な金属錯体と同様の方法により分解し、再度前記複素環置換芳香族化合物を生じる。
再生の方法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。
即ち、過塩素酸イオンを取り込んだ捕捉カプセル型分子をアセトニトリル、あるいはメタノール等の有機溶媒に抽出し、その溶液に硫化水素などを金属沈殿剤として接触させて、金属硫化物を沈殿させる。該金属沈殿剤としては、硫化水素以外に、金属を水酸化物塩や炭酸塩として沈殿させることができる、アルカリ試薬や炭酸カリウムなどを用いることができる。次に、溶液中に残った前記複素環置換芳香族化合物を濃縮乾固して集め、アセトニトリル、あるいはメタノールなどの有機溶媒から再結晶させ、前記複素環置換芳香族化合物を再生させることが可能である。
また、前記複素環置換芳香族化合物を再生する方法として、上記の金属沈殿剤を接触させる方法以外に、硝酸や塩酸などの酸を接触させる方法を用いることもできる。即ち、捕捉カプセル型分子が抽出された溶液に前記酸を添加することにより、前記金属イオンと前記複素環置換芳香族化合物との間の配位結合を切断し、捕捉カプセル型分子を分解することができる。捕捉カプセル型分子分解後の前記溶液を濃縮乾固後、水を添加して前記複素環置換芳香族化合物を沈殿として取り出し、続いて、アセトニトリルやメタノールなどの有機溶媒から前記複素環置換芳香族化合物を再結晶させて再生させることが可能である。
本発明の過塩素酸イオン除去方法では、上述のように選択的に過塩素酸イオンを除去できるため、廃液、飲料、又は牛乳等の液体だけでなく、水溶液中で前記金属イオン及び前記複素環置換芳香族化合物と共に撹拌することにより、食品、土壌等からも、効率よく過塩素酸イオンを除去することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<例示化合物(a)(1,4−ビス(イミダゾール−1−イル−メチル)2,3,5,6−テトラメチルベンゼン;bitb)の合成>
下記反応スキーム1に従って例示化合物(a)(bitb)の合成を行った。
まず、イミダゾール(関東化学(株)製)0.33g(5mmol)のTHF溶液10mlに、NaH(関東化学(株)製)0.095g(4mmol)のTHF懸濁液(5ml)をゆっくりと加え、20分撹拌した(THF(テトラヒドロフラン)は関東化学(株)製、以下同じ)。
前記撹拌後の溶液に、1,4−ビスブロモメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(東京化成工業(株)製、慣用名:ジブロモズレン)0.64g(2mmol)のTHF溶液(15ml)をゆっくり添加し、60℃で3〜5時間還流した。還流後の溶液を室温に冷却し、冷却後の溶液に水(40ml)を加え、更にクロロホルム(関東化学(株)製)を加えて粗生成物をクロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後のクロロホルム抽出液を濃縮し石油エーテル(関東化学(株)製)を加えることで例示化合物(a)を収率53%で得た。
上記で得られた例示化合物(a)は、NMRにより構造を確認した。
〜NMRデータ〜
1H NMR spectrum(300MHz, CDCl3, r.t.) : δ7.24(d, 2H), 6.97(s, 2H), 6.75(d, 2H), 5.17(s, 4H) , 2.19(s, 12H)
<例示化合物(b)の合成>
例示化合物(b)は、前記ジブロモズレンを1,4−ビス−ブロモメチル−2,3,5,6−テトラキス−トリフルオロメチルベンゼンに換える以外は前記<例示化合物(a)の合成>と同様の方法により合成できる。
〔実施例2〕
<過塩素酸を取り込んだ捕捉カプセル型分子の形成>
過塩素酸銅(II)6水和物(キシダ化学(株)製)0.093g(0.25mmol)と、実施例1で得られた例示化合物(a)(bitb)0.147g(0.5mmol)とを、アセトニトリル/水(25ml/25ml)の混合溶液中に加え(アセトニトリルは関東化学(株)製)、この混合溶液を撹拌し、その後数日間静置させ、紫色結晶を得た。
得られた紫色結晶を集めて、紫色結晶の構造を単結晶構造解析及び質量分析測定により確認した。
単結晶構造解析は、(株)リガク製の構造解析装置(マーキュリー二次元検出器システム)を用い、室温でモリブデンKαの線源を用いてX線の反射データを収集した。構造解析は、(株)リガク製の Crystal Structure プログラムを用いて行った。
また、質量分析測定は、Micromass社製のLCT質量分析計を用いて行った。
〜単結晶構造解析データ〜
monoclinic space group P21/c(No.14), a = 25.73 (2) Å, b = 13.26(1) Å, c = 27.73(4) Å, β = 117.52(1)°, V = 8383(13) Å3, Z = 4, R = 0.090, Rw = 0.223
上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より、前記紫色結晶は、以下の反応によって得られた[Cu(bitb)](ClOであることがわかった。
また、上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より、前記紫色結晶([Cu(bitb)](ClO)は、捕捉カプセル型分子であることがわかった。
上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より明らかとなった捕捉カプセル型分子の構造を、図1及び図2に示す。
図1に示すように、捕捉カプセル型分子の構造は、銅(II)イオン2個及びbitb4分子により形成されたカプセル骨格が、過塩素酸イオン1分子を内包する構造である。なお、図示しないが、両方の銅(II)イオンには、カプセルの外側から過塩素酸イオンが1分子ずつ配位している。
また、図2に示すように、銅(II)イオン2個及びbitb4分子により形成される空間のサイズは、6.5Å(0.65nm)×6.5Å(0.65nm)×5.0Å(0.50nm)であり、過塩素酸イオンを離脱不能な程度に内包するサイズであった。
また、図1及び図2では水素原子を省略して表している。
また、得られた紫色結晶は、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンのいずれにも溶解した。この結果も、該紫色結晶が捕捉カプセル型分子の構造を有することを示す。
〔実施例3〕
<過塩素酸の捕捉に関する確認>
硫酸銅(II)7水和物(5mM)とbitb(10mM)とを含む水/アセトニトリル(1:1)混合溶液20mlに、過塩素酸ナトリウム水/アセトニトリル(1:1)混合溶液(2.5mM)を、0〜20mlの範囲で滴下し、溶液を40mlに調製した後、それぞれの可視紫外吸収スペクトルを測定し、変化を追跡した。
ここで、可視紫外吸収スペクトルは、日本分光(株)製のV570 UV-Vis.NIR supectrometerにて測定した。
モル比〔CuSO:bitb:NaClO〕が、〔2:4:0〕、〔2:4:0.25〕、〔2:4:0.5〕、〔2:4:0.75〕、及び〔2:4:1〕であるときの可視紫外吸収スペクトルを図3に示す。
なお、図3は、変化が明らかであった、400nm〜700nm領域の吸収スペクトルのみを示している。
図3のグラフからわかるように、過塩素酸ナトリウム水溶液滴下前(すなわち、前記モル比が〔2:4:0〕のとき)は、600nm付近に吸収がみられたが、過塩素酸ナトリウム水溶液を滴下し、過塩素酸ナトリウムのモル比率を増加させるに従い、スペクトルが変化していった。前記モル比が〔2:4:1〕となった段階で、540nmの吸収が新たに現れ、吸収スペクトルの変化が止まった。新たに現れた540nmの吸収は、捕捉カプセル型分子([Cu(bitb)](ClO)の吸収と一致したことから、過塩素酸を取り込んだ捕捉カプセル型分子が生成したことが確認された。
また、このカプセル形成に伴い、過塩素酸を取り込んだ捕捉カプセル型分子に特徴的な540nmの吸収が上昇することが確認され、この吸収を利用した過塩素酸イオンの定量が行えることが示唆された。
〔実施例4〕
<水溶液中の過塩素酸の除去1>
過塩素酸ナトリウム1.0mmolを含む水溶液20mlに、硫酸銅(9.988mg,2.0mmol)とbitb(0.02355g、4.0mmol)を固体状態で加え、よく攪拌した。撹拌後、生じた不溶物をろ過してのぞき、ろ液に残った過塩素酸イオンを定量した。定量の方法は過塩素酸イオンの定量に通常使用される方法を用いた。具体的には、ろ液に過剰のトリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)錯体の塩化物を加え、さらにニトロベンゼン20mlを加えた。ニトロベンゼン中にトリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)錯体の過塩素酸塩が抽出されなかったことから、過塩素酸塩が水溶液中から取り除かれたことが確認された(過塩素酸が残っていた場合にはトリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)錯体の過塩素酸塩が生成し、これがニトロベンゼン中に抽出されることによりニトロベンゼン層が着色し、この分光スペクトルを測定することにより、水溶液中に存在していた過塩素酸イオンの定量を行うことができる)。
ここで、分光スペクトルの測定は、日本分光(株)製のV570 UV-Vis.NIR supectrometerにより行った。
〔実施例5〕
<水溶液中の過塩素酸の除去2>
各量(0.1mmol、0.2mmol、0.3mmol、0.4mmol、0.5mmol)の過塩素酸ナトリウムを含む水溶液(100ml)のそれぞれに、硫酸銅(II)7水和物0.049g(0.2mmol)とbitb0.117g(0.4mmol)とを加え、攪拌した。
撹拌後、各水溶液中に残った過塩素酸イオンの存在量を、以下のようにして定量した。
即ち、撹拌後の水溶液に、トリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)錯体を加えて過塩素酸塩〔Fe(bpy)〕(ClOを生成し、その過塩素酸塩をニトロベンゼン中に抽出し、抽出された過塩素酸塩の524nmの吸収を測定することにより定量した。ここで、吸収の測定は、日本分光(株)製のV570 UV-Vis.NIR supectrometerにより行った。
前記各水溶液中に残った過塩素酸イオンの存在量を表すグラフを図4に示す。
図4中、横軸及び縦軸は、いずれも水溶液中の過塩素酸イオンの存在量を表す。詳細には、横軸は、硫酸銅(II)7水和物及びbitbを加える前の過塩素酸イオンの存在量を表し、縦軸は、硫酸銅(II)7水和物及びbitbを加えた後の過塩素酸イオンの存在量を表す。
図4中、一点鎖線は、2個の銅(II)イオン及び4分子のbitbが、過塩素酸イオンを全く捕捉しないと仮定した場合の理論直線である。このように仮定した場合は、硫酸銅(II)7水和物及びbitbを加える前後において、水溶液中の過塩素酸イオンの存在量は変わらないこととなるため、一点鎖線は、傾き1、切片0の直線である。
図4中、破線は、2個の銅(II)イオン及び4分子のbitbが、過塩素酸イオンを1分子のみ除去すると仮定した場合の理論直線である。即ち、破線は、傾き1、切片−0.1の直線である。
図4中、プロットは、硫酸銅(II)7水和物及びbitbを加えた後の過塩素酸イオンの存在量の実測値であり、実線は、これらの実測値から見積もった直線である。
図4から明らかなように、2個の銅(II)イオン及び4分子のbitbは、過塩素酸イオンを1分子より多く除去することが確認された。
これは、1分子の捕捉カプセル型分子が、1分子の過塩素酸イオンを内包して捕捉することに加え、カプセル骨格の外側(金属イオンの箇所)にも過塩素酸イオンを捕捉して除去するためと考えられる。
以上により、本発明における複素環置換芳香族化合物(即ち、過塩素酸イオン捕捉剤)と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させ、前記捕捉カプセル型分子を沈殿させることで、過塩素酸イオンを前記液体試料中から量論的に除去できることが確認できた。
〔実施例6〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物の合成と構造1>
試薬は、和光純薬工業株式会社の硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)、関東化学株式会社のジメチルホルムアミド(DMF)、を用いて合成した。
bitb58.9mg(0.2mmol)をDMF20mlに、硫酸銅25.0mg(0.1mmol)を水20mlにそれぞれ溶かした。得られたそれぞれの溶液を一気に反応させ、室温下で1週間静置することによって水不溶性の青色結晶を得た。
構造解析の結果、該青色結晶は、結晶溶媒として銅(II)イオン1つに対して水分子7つを含んでいた。また、該青色結晶は溶媒に溶けず、質量分析を行うことができなかったため、該青色結晶中の炭素、水素、及び窒素の比を元素分析で確認し、単結晶構造解析結果と一致することを確認した。
〜元素分析データ〜
理論値(C3660CuN12S) C, 48.45; H, 6.78; N, 12.55
実測値 C, 48.72; H, 6.41; N,12.73
(測定装置 Euro Vector社製 Euro EA3000)
〜単結晶構造解析データ〜
monoclinic space group C2/m(No.12),C3660CuN12S,Mw(式量)892.5, a = 12.3(1) Å, b = 27.3(2) Å, c = 13.8(1)Å, β = 113.42(1)°, V = 4252(62) Å3, Z = 4, R = 0.114, Rw = 0.470
元素分析及び単結晶構造解析の結果より、得られた青色結晶は、実施例2のような捕捉カプセル型分子ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体)であることがわかった。該配位化合物の詳細な構造については後述する。
また、得られた青色結晶は、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールのいずれにも溶解しなかった。この結果も、該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体)の構造を有することを示す。
該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく配位化合物の構造をとる理由は、硫酸イオンのサイズが過塩素酸イオンのサイズより大きいことが原因と考えられる。即ち、bitb4分子及び金属イオン2個からなるカプセル骨格が内包し得る分子のサイズと、硫酸イオンのサイズとが一致しないため、カプセル骨格を形成せず、配位化合物を形成したものと思われる。
元素分析及び単結晶構造解析の結果よりにより明らかとなった配位化合物の構造を図5〜7に示す。
図5及び図6中、6つの結合手を有するイオン種は銅(II)イオンを表し、2つの銅(II)イオン間に配置する、1つの6員環と2つの5員環(複素環)とを含む分子はbitbを表す。ここで、bitbは、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の銅(II)イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の銅(II)イオンに配位している。また、該配位化合物は無限鎖状に広がった構造を有しているため、図5〜図7では、図の周辺部に位置する原子や分子を省略して表している。また、図5〜図7では、水素原子を省略して表している。
図5〜7に示すように、該配位化合物の構造は、2種類の二次元シート型構造(図5に示すA layer及び図6に示すB layer)が交互に積層された三次元構造(図7)である。
以下、各構造の詳細について説明する。
図5に示すA layerは、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造体である。より詳細には、A layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、硫酸イオンが2分子配位した、負電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(SOである。図5中、矢印a及び矢印bは、A layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
図6に示すB layerも、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造である。より詳細には、B layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、水分子が2分子配位した、正電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(HO)である。図6中、矢印a及び矢印bは、B layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
図7に示す三次元構造は、前記A layer及び前記B layerが交互に積層された構造である。図7中、矢印cは、前記A layer及び前記B layerの二次元平面に平行でない軸を表す。 図7に示すように、前記A layer及び前記B layerは、それぞれab面上に配置され、それらがc軸に沿って交互に積層した構造となっている。
図7において、A layer中、銅(II)イオンに配位している硫酸イオンは、となりのB layer中の銅(II)イオンに配位している水分子に水素結合している(O−O =2.98Å)。その結果、水素結合を介した三次元構造となっている。
〔実施例7〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物の合成と構造2>
実施例2において、過塩素酸銅(II)6水和物(キシダ化学(株)製)0.093g(0.25mmol)を、硫酸銅(II)7水和物(和光純薬工業(株)製)0.062g(0.025mmol)に代えた以外は実施例2と同様の操作を行い、水不溶性の青色結晶を得た。得られた青色結晶を集めて、単結晶構造解析によりユニットセルを確認し、実施例6で合成された高分子型の配位化合物{[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}が生成していることを確認した。
〜単結晶構造解析データ〜
a = 12.4(3)Å, b = 27.4(7)Å, c = 13.8(3)Å, β = 113.6(1)°
〔実施例8〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物の合成と構造3>
実施例6において、出発物質である硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)の代わりに、硝酸、塩化物、炭酸、酢酸、水酸化物、などの陰イオンを有する銅(II)イオンを用いて合成を行ったところ、実施例6と同様に、不溶性のCu−bitb配位化合物を30%以上の収率で得ることができた。
得られたCu−bitb配位化合物についても、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールへの溶解度の低さから、高分子構造を取っていると考えられる。
〔実施例9〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物による過塩素酸の捕捉>
銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物として、実施例6で合成した配位化合物{[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}(以下、「Cu−bitb配位化合物(A)」ともいう)を用い、過塩素酸の捕捉実験を行った。
具体的には、まず、0.5mMの過塩素酸ナトリウム水溶液を調製し、この水溶液10mlに、含まれている銅(II)イオンのモル数で計算して過塩素酸イオンの2倍当量のCu−bitb配位化合物(A)29.95mg(0.02mmol)を添加した。これを6時間静置することで反応させ、反応溶液1を得た。
溶液中には、Cu−bitb配位化合物(A)添加直後は、Cu−bitb配位化合物(A)そのものと思われる青色の沈殿物が存在していたが、6時間静置後、この沈殿物は紫色に変化していた。
沈殿物の色の変化は、沈殿物が、Cu−bitb配位化合物(A)から捕捉カプセル型分子([Cu(bitb)](ClO)へと変化したために生じたものと考えられる。
次に、Cu−bitb配位化合物(A)添加から1.5時間経過後の青色沈殿物、及び、Cu−bitb配位化合物(A)添加から6時間経過後の紫色沈殿物について、それぞれ反射スペクトルを測定した。測定結果を図8に示す。
図8中、太い実線は、Cu−bitb配位化合物(A)添加から1.5時間経過後の青色沈殿物の反射スペクトルであり、太い一点鎖線はCu−bitb配位化合物(A)添加から6時間経過後の紫色沈殿物の反射スペクトルである。また、細い実線はCu−bitb配位化合物(A)の反射スペクトルであり、細い破線は捕捉カプセル型分子([Cu(bitb)](ClO)の反射スペクトルである。
図8から明らかなように、添加から1.5時間経過後の青色沈殿物の吸収スペクトルは、590nm付近に吸収極大を有しており、Cu−bitb配位化合物(A)の反射スペクトルと一致した。一方、添加から6時間経過後の紫色沈殿物の吸収スペクトルは、540nm付近に吸収極大を有しており、捕捉カプセル型分子([Cu(bitb)](ClO)の反射スペクトルと一致した。
以上より、Cu−bitb配位化合物(A)は、過塩素酸イオンに接触してから6時間経過後までに、捕捉カプセル型分子([Cu(bitb)](ClO)に変化したことが確認された。
即ち、Cu−bitb配位化合物(A)から生じた銅(II)イオン及びbitbが、過塩素酸イオンを捕捉し、捕捉カプセル型分子を形成したことが確認された。
〔実施例10〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物による過塩素酸の除去>
銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物として、前述のCu−bitb配位化合物(A)を用い、以下のようにして過塩素酸の捕捉実験を行った。
まず、実施例9で得られた反応溶液1をろ過して紫色の沈殿物を取り除き、ろ液に過塩素酸イオンの0.5倍当量となるトリス(2,2’−ビピリジン)鉄(II)錯体1.55mg(2.5μmol)を加え、さらに、ニトロベンゼン10mlを加えて鉄(II)錯体〔Fe(bpy)〕(ClOを抽出した。抽出されたニトロベンゼン中の鉄(II)錯体〔Fe(bpy)〕(ClOについて、吸収スペクトルを測定した。
別途、ブランク溶液として、Cu−bitb配位化合物(A)を加えていない0.5mMの過塩素酸ナトリウム水溶液10mlを用意し、このブランク溶液についても、上記反応溶液1に対する操作と同様の操作を行い、鉄(II)錯体〔Fe(bpy)〕(ClOの吸収スペクトルを測定した。
反応溶液1の吸収スペクトル及びブランク溶液の吸収スペクトル中、鉄(II)錯体〔Fe(bpy)〕(ClO由来の吸収極大の強度(吸収波長524nm)から、過塩素酸イオンの濃度(鉄(II)錯体〔Fe(bpy)〕(ClOの濃度)を見積もった。
さらに、下記式1に従って過塩素酸イオンの除去効率〔%〕を求めた。
過塩素酸イオンの除去効率〔%〕 = ((ブランク溶液中の過塩素酸イオンの濃度−反応溶液1中の過塩素酸イオンの濃度)/(ブランク溶液中の過塩素酸イオンの濃度))×100 ・・・ 式1
次に、対照実験として、硫酸銅(銅(II)イオン)とbitbとを別々に加える方法による過塩素酸の除去実験を行った。
具体的には、実施例9において、0.5mMの過塩素酸ナトリウム水溶液10mlに、Cu−bitb配位化合物(A)29.95mg(0.02mmol)を添加する代わりに、硫酸銅4.99mg(0.02mmol)とbitb11.78mg(0.04mmol)とを別々に添加し、更に、上記と同様にして、ろ過、抽出、吸収スペクトルの測定を行い、過塩素酸イオンの除去効率を求めた。
得られた結果を表1の「なし」の欄に示す。また、表1のデータをグラフに表したものを図9の「なし」の箇所に示す。図9中、斜線模様を付した棒グラフ(上側)は、銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物(Cu−bitb配位化合物(A))を用いる方法による除去効率を表し、ドット模様を付した棒グラフ(下側)は、硫酸銅(銅(II)イオン)とbitbとを別々に加える方法による除去効率を表す。
表1及び図9に示すように、銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物を用いた場合の結果(除去効率95.51%)でも、硫酸銅(銅(II)イオン)とbitbとを別々に加えた場合の結果(除去効率95.91%)とほとんど変わらず、過塩素酸イオンの除去が進行していることがわかった。
次に、妨害陰イオンとして、炭酸イオン(CO 2−)、塩化物イオン(Cl)、酢酸イオン(CHCOO)、アジ化物イオン(N )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )のそれぞれを混入させた0.5mM過塩素酸ナトリウム水溶液10mlのそれぞれについて、上記と同様の方法により、銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物による過塩素酸の除去実験及び硫酸銅(銅(II)イオン)とbitbとを別々に加える方法による過塩素酸の除去実験を行った。
なお、各妨害陰イオンはナトリウム塩として混入させた。また、過塩素酸イオンと妨害陰イオンとの比率はモル比で1:1となるように調製した。
得られた結果を表1及び図9に示す。図9中、斜線模様を付した棒グラフ(上側)は、銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物を用いる方法による除去効率を表し、ドット模様を付した棒グラフ(下側)は、硫酸銅(銅(II)イオン)とbitbとを別々に加える方法による除去効率を表す。
表1及び図9に示すように、妨害陰イオンの存在下においても、妨害陰イオンがない場合と同様の結果が得られた。即ち、銅(II)イオンとbitbを別々に加える方法、及び銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物を加える方法のいずれにおいても、過塩素酸を選択的に沈殿除去できることが明らかとなった。
日本出願2006−241297の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. 下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物。
  2. 請求項1記載の複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、を含む配位化合物。
  3. 前記金属イオンが、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+から選ばれる少なくとも1種である請求項記載の配位化合物。
  4. 下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物を含む過塩素酸イオン捕捉剤。
  5. 更に、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む請求項記載の過塩素酸イオン捕捉剤。
  6. 下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物と平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとを含む配位化合物を含有する過塩素酸イオン捕捉剤。
  7. 前記金属イオンが、塩の一部として含まれる請求項記載の過塩素酸イオン捕捉剤。
  8. 前記金属イオンが、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+から選ばれる少なくとも1種である請求項〜請求項のいずれか1項記載の過塩素酸イオン捕捉剤。
  9. 液体試料中の過塩素酸イオンを捕捉する方法であって、
    下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させる捕捉工程を含む過塩素酸イオン捕捉方法。
  10. 液体試料中から過塩素酸イオンを除去する方法であって、
    下記式(a)で表される複素環置換芳香族化合物と、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと、前記液体試料とを接触させて、過塩素酸イオンを捕捉した捕捉カプセル型分子を形成させる捕捉工程と、
    前記捕捉カプセル型分子を沈殿させて液体試料中から除去する除去工程と、
    を含む過塩素酸イオン除去方法。
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