JP2016040032A - セルロース誘導体および/または架橋キトサン誘導体を含む吸着材ならびに金属イオンの吸着方法および回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕式(I):
R1は、次の式(Ra)または(Rb):
R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルアルコール基を表し、
R3〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す〕
を表し、
nは1〜3の整数を表す]
で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、および/または、式(II):
〔2〕金属イオンを吸着するための吸着材である、前記〔1〕に記載の吸着材。
〔3〕前記金属イオンはセレンである、前記〔2〕に記載の吸着材。
〔4〕少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程を含む、金属イオンの吸着方法。
〔5〕少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程;および
前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
を含む、金属イオンの回収方法。
R1は、次の式(Ra)または(Rb):
R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルアルコール基を表し、
R3〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す〕
を表し、
nは1〜3の整数を表す]
で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、および/または、下記式(II):
で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む。
この態様において、セレンイオンの吸着はイオン強度によって大きく影響される。例えば図5に示されるように、硝酸ナトリウムの濃度が高くなると、セレンイオンは吸着材にほとんど吸着されなくなり、さらにpHが高くなると吸着率が低下する。このような塩が共存する水溶液からセレンイオンを容易に選択的に吸着させる観点からは、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時のpHが1〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。また、同様の観点から、pHが上記範囲となるように、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸濃度を調整することが好ましい。
一方、図6に示されるように、塩が共存しない水溶液からセレンイオンを容易に選択的に吸着できる観点からは、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時のpHが1以上であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、pHが上記範囲となるようにセレンイオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸濃度を調整することが好ましい。この態様において、硝酸と水酸化ナトリウムを用いて酸濃度および/またはpHを調整することが、金属錯イオンの生成を最小限にすることができるため、好ましい。
前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
を含む、金属イオンの回収方法を提供する。
実施例1
グラフト化ピペラジンエタノールセルロース(GPEC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)5gに、250mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペラジンエタノール25.0ml(10等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペラジンエタノールセルロース(GPEC)を得た。ピペラジンエタノールセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペラジンエタノールセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、52%であった。また、下記式中のnは2〜3であった。
グラフト化ピペリジンセルロース(GPRC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)2gに、100mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペリジン31.9g(10等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペリジンセルロース(GPRC)を得た。ピペリジンセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペリジンセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、40
%であった。また、下記式中のnは2〜3である。
グラフト化ピペラジンセルロース(GPPC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)2gに、100mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペラジン15.9g(5等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペラジンセルロース(GPPC)を得た。ピペラジンセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペラジンセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、49%であった。また、下記式中のnは2〜3である。
実施例4
キミカキトサン30.3gに0.6mol dm−3のクエン酸溶液200cm3を加えて30分間撹拌し、シャーレに入れた。得られた溶液を50℃で24時間減圧乾燥後、そのまま120℃で90分間減圧乾燥した。その後、室温で24時間乾燥し、50℃で約15時間減圧乾燥し、次いで、120℃で約3時間減圧乾燥した。得られた反応生成物を、室温でさらに乾燥後、熱水に浸して静置し、吸引ろ過を行った。反応生成物を熱水で洗浄後、乾燥した。乾燥した反応生成物であるクエン酸キトサンを細かく粉砕し、粉砕物を、吸引ろ過を用いて、熱水、1N-NaOH、1N-HCl、蒸留水、エタノールで順に洗浄後、乾燥を行い、茶色の架橋されたクエン酸キトサンを得た。得られたクエン酸キトサンの置換度は、架橋キトサン誘導体を構成する全グルコサミン単位の数に基づいて、94.7%であった。クエン酸キトサンの合成スキームを次に示す。
実施例5
実施例1に記載のセルロース誘導体を吸着材として用い、下記の方法で吸着量および吸着率を測定した。
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜5.0mol dm-3の塩酸水溶液で希釈し、表1に記載の塩酸濃度を有する1.0mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。硝酸水溶液、硫酸水溶液についても同様にして、表1に記載の硝酸濃度または硫酸濃度を有する1.0mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。
このようにして得た溶液を15cm3ずつ計り取り、吸着材0.05gを入れたサンプル管に加え、30℃の恒温槽中、120rpmの振盪速度で、24時間振盪させた。その後、溶液をろ過し、ろ液中の各酸濃度を電位差測定装置(京都電子工業製「AT-Win」)を用いて測定した。振盪を行う前後の溶液中の金属イオン濃度を、IPC発光分析装置(株式会社島津製作所製「SHIMADZU ICPS=7000」)を用いて測定した。得られた金属イオン濃度から、次の式に従い、吸着率(%)および吸着量(mmol/g)を算出した。式中、Ciniは、初期金属イオン濃度(mmol dm-3)であり、吸着前の溶液中の金属イオン濃度を表す。本実施例において、Ciniは1.0である。Ceqは、平衡金属イオン濃度(mmol dm-3)であり、金属イオンを吸着材に吸着させた後のろ液中の金属イオン濃度を表す。wは吸着材の重量であり、当該実施例においてはw=0.05gである。
実施例1に記載のセルロース誘導体に代えて、実施例2に記載のセルロース誘導体を用いたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表4〜6に示す。また、図2に、実施例2に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
実施例1に記載のセルロース誘導体に代えて、実施例3に記載のセルロース誘導体を用いたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表7〜9に示す。また、図3に、実施例3に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
25mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜5.0moldm-3の塩酸水溶液で希釈し、表10に記載の塩酸濃度を有する0.1mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。硝酸水溶液、硫酸水溶液についても同様にして、表11または12に記載の硝酸濃度または硫酸濃度を有する0.1mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。
このようにして得た溶液を15cm3ずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。なお、式中の本実施例において、Ciniは0.1である。
得られた結果を、次の表10〜12に示す。また、図4に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜1.0mol dm-3のNaNO3溶液で希釈すると共に0.01〜1.0M−HNO3水溶液および0.01〜11.0M-NaOH水溶液を添加し、表13〜16に記載のpHを有し、0.01M、0.1M、1.0MのNaNO3濃度を有し、0.1mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。このようにして得た溶液を15cm3ずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。なお、式中の本実施例において、Ciniは0.1mmol dm−3である。
得られた結果を、次の表13〜15に示す。また、図5に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後のpHとの関係を示す。
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、水で希釈すると共に1M−HNO3水溶液および1M-NaOH水溶液を添加し、表16に記載のpHを有する0.1mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。このようにして得た溶液を15cm3ずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表16に示す。また、図6に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後のpHとの関係を示す。
実施例11
上記実施例1で得た本発明の吸着材による、Au(III)およびSe(VI)の飽和吸着量を測定するために、吸着等温線を測定した。まず、Au(III)およびSe(VI)の濃度が、それぞれ、1、2、4、6、8、10、12mMとなるように調整した。Au(III)は1mol/dm3のNaCl溶液(pH6)であり、Se(VI)は0.05NのHCl溶液である。それぞれの溶液15cm3に、本発明の吸着材を0.05g加え、30℃の恒温槽で振盪速度120rpmで24時間振盪した。平衡に到達後、平衡金属イオン濃度(Ceq)を測定した。吸着等温線をLangmuir型に当てはめ考察した。Langmuir吸着等温式を下記式(1)に示す。これを変形した下記式(2)に基づいたLangmuirプロット(横軸にCeq、縦軸にCeq/qをプロットしたグラフ)の傾きと切片より吸着平衡定数Kad(dm3 mmol−1)と飽和吸着量qm(mmol g−1)を求めた。なお、下記式(1)および(2)中、qは金属イオンの吸着量を表す。
実施例12
金の初濃度を1mmol/dm3とし、pH=7に調整した1mmol/dm3のNaCl溶液からGPECを用いて金イオンを吸着した。その後金イオンを吸着したGPECを、脱離率の測定に用いた。脱離剤として次の表18に示す脱離剤1〜7を用いた。ここで、脱離剤1および2は表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する水溶液であり、脱離剤3〜5は、1NのHCl水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤であり、脱離剤6は、1NのHNO3水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤であり、脱離剤7は、2NのHCl水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤である。ろ過により回収された各吸着材0.05gを入れたサンプル管のそれぞれに、上記の脱離剤を15ml加え、30℃の恒温槽中、120rpmの振盪速度で、24時間振盪させた。その後、溶液をろ過し、ろ液(以下において「脱離液」とも称する)中の金属イオン濃度を上記と同様にして測定した。得られた金属イオン濃度から、次の式に従い、脱離率(%)を算出した。式中、CiniおよびCeqは、上記と同様に定義される。Cdesは、脱離液中の金属イオン濃度(mmol dm-3)である。
Claims (5)
- 金属イオンを吸着するための吸着材である、請求項1に記載の吸着材。
- 前記金属イオンはセレンである、請求項2に記載の吸着材。
- 少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程を含む、金属イオンの吸着方法。
- 少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程;および
前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
を含む、金属イオンの回収方法。
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2014
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