JP2016040032A - セルロース誘導体および/または架橋キトサン誘導体を含む吸着材ならびに金属イオンの吸着方法および回収方法 - Google Patents

セルロース誘導体および/または架橋キトサン誘導体を含む吸着材ならびに金属イオンの吸着方法および回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属イオン、特にセレンイオンを分離、回収することができる吸着材の提供。【解決手段】式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、及び/又は、架橋キトサン誘導体を含む、吸着材。[R1はピペリジン誘導体又はピペラジン誘導体;nは1〜3の整数]【選択図】なし

Description

本発明は、ピペラジン、ピペリジンまたはそれらの誘導体を導入したセルロース誘導体またはクエン酸を導入した架橋キトサン誘導体を含む吸着材、ならびに、該吸着材を用いる金属イオンの吸着方法および回収方法に関する。
レアメタルの1種であるセレンは、温度による熱伝導度の変化が大きいことや、光による電気伝導度の変化が大きいなどの特性を活かして、様々な産業製品に利用されている。現在では、主に化合物半導体の分野での利用が進み、光センサ、量子型FD、追記型光ディスクなどに多用されており、今後も各種材料の構成元素としてますます需要が増加するものと思われる。一方で、セレンは有毒物質であり、0.01mg/L以下の水質基準および環境基準、0.1mg/L以下の排水基準が定められている。このように、セレンは有用な希少金属であると同時に有毒物質であり、環境問題の面からもセレンの分離、回収能力の高い処理技術が強く望まれている。
セレン等の金属イオンの回収方法として、例えば特許文献1には、セレン含有水にアルカリを添加してアルカリ性にした後、酸化剤を添加し、その後Ba化合物を添加するセレン含有水の処理方法が記載されている。しかし、特許文献1に記載された処理方法は、セレンを含有する酸性廃液にアルカリを添加することによって、pHをアルカリ性に調整せねばならない。特許文献2には、アクリルアミド/アクリル酸共重合体やポリアクリル酸などの高分子凝集剤を用いるセレン含有廃水の処理方法が記載されている。しかし、特許文献2に記載された処理方法は、凝集沈殿法であることから沈殿物が発生し、その処理が必要である。また、特許文献2に記載された処理方法では6価のセレンをそのまま凝集沈殿させることができず、6価のセレンを4価のセレンに還元しなければ凝集沈殿させることができない。したがって、より効率的で簡単な分離・回収処理技術に対する要望がなお存在する。
特開2006−136843号公報 特開2011−50809号公報
本発明の課題は、金属イオン、特にセレンイオンを分離、回収することができる吸着材を提供することである。また、本発明の別の課題は、該吸着材を用いる金属イオンの吸着方法および回収方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために吸着材および該吸着材を用いる金属イオンの吸着および回収方法について詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕式(I):
Figure 2016040032
[式中、
は、次の式(Ra)または(Rb):
Figure 2016040032
〔式中、
は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルアルコール基を表し、
〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す〕
を表し、
nは1〜3の整数を表す]
で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、および/または、式(II):
Figure 2016040032
で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む、吸着材。
〔2〕金属イオンを吸着するための吸着材である、前記〔1〕に記載の吸着材。
〔3〕前記金属イオンはセレンである、前記〔2〕に記載の吸着材。
〔4〕少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程を含む、金属イオンの吸着方法。
〔5〕少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程;および
前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
を含む、金属イオンの回収方法。
本発明の吸着材によれば、金属イオン、特にセレンイオンを選択的に吸着し、分離、回収することができる。
実施例1の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率と酸濃度との関係を示した図である。 実施例2の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率と酸濃度との関係を示した図である。 実施例3の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率と酸濃度との関係を示した図である。 実施例4の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率と酸濃度との関係を示した図である。 実施例4の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率とpHとの関係を示した図である。 実施例4の吸着材へのSe(VI)イオンの吸着率とpHとの関係を示した図である。
本発明の吸着材は、下記式(I):
Figure 2016040032
[式中、
は、次の式(Ra)または(Rb):
Figure 2016040032
〔式中、
は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルアルコール基を表し、
〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す〕
を表し、
nは1〜3の整数を表す]
で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、および/または、下記式(II):
Figure 2016040032

で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む。
上記式(I)で表される構造単位において、式(Ra)中のRは、水素、炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアルキル基または炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアルキルアルコール基を表す。吸着材が適度な親水性を有し、金属イオン等を吸着しやすい観点から、Rは、水素または炭素数1〜3のアルキルアルコール基を表すことが好ましく、水素またはエチルアルコールを表すことがより好ましい。
上記式(I)で表される構造単位において、式(Rb)中のR〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアルコキシ基および炭素数1〜6(好ましくは1〜3)のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す。吸着材が適度な親水性を有し、金属イオン等を吸着しやすい観点から、R〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素または上記炭素数を有するアルキルアルコール基を表すことが好ましく、水素またはエチルアルコールを表すことがより好ましく、水素であることが特に好ましい。R〜R12中の少なくとも8個の基が水素であることが好ましく、少なくとも9個の基が水素であることがより好ましい。
上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体は、金属イオン等の吸着性を高める観点から、上記式(I)で表される構造単位を、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、50%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましい。セルロース誘導体を構成する全グルコース単位が、上記式(I)で表される構造単位であってもよい。セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づく上記式(I)で表される構造単位の割合は、セルロース誘導体に塩酸を吸着させることにより測定することができる。
式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体は、特に限定されないが、例えば、未利用バイオマス資源などに由来してよく、市販のセルロースに由来してもよい。
式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体は、例えばセレン、金、インジウム、ガリウム、鉛、コバルト、亜鉛、マンガンおよびマグネシウム等の金属のイオン、アミノ酸、たんぱく質およびペプチド等の生理活性物質、および、アミン類およびアンモニア等の塩基性物質等を吸着することができる。該セルロース誘導体を含む本発明の吸着材は、好ましくは金属イオンを吸着するための吸着材であり、より好ましくはセレン、金、インジウム、ガリウム、亜鉛、銅からなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンを選択的に吸着するための吸着材であり、特に好ましくはセレンイオンおよび/または金イオンを選択的に吸着するための吸着材であり、きわめて好ましくはセレンイオンを選択的に吸着するための吸着材である。本発明の吸着材は、通常固体であり安定であるため、工業的な長期使用に適当である。
上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体は、セルロースと配位子となるピペラジン、ピペリジン、またはそれらの誘導体とを混合し、加熱下に脱水反応を行うことにより官能基の導入を行い製造することができる。本発明は、セルロースとピペラジン、ピペリジンまたはそれらの誘導体とを混合し、加熱下に脱水反応を行うことにより官能基の導入を行う、上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体の製造方法をも提供する。前記製造方法によれば、上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体をワンステップで簡単に製造することができる。ここで、ピペラジンまたはその誘導体としては、例えば、ピペラジン、メチルピペラジン、エチルピペラジン、イソプロピルピペレラジン、ジメチルピペラジン、プロピルピペラジン、ブチルピペラジンなどのピペラジンアルキル誘導体、ピペラジンエタノールなどのピペラジンアルコール誘導体が挙げられ、ピペリジンまたはその誘導体としては、ピペリジン、メチルピペリジン、エチルピペリジン、イソプロピルピペリジン、ジメチルピペリジン、テトラメチルピペリジンなどのピペリジンアルキル誘導体、アミノピペリジン、アミノメチルピペリジン、アミノエチルピペリジン、アミノテトラメチルピペリジンなどのピペリジンアミノアルキル誘導体、ヒドロキシピペリジン、およびピペリジンメタノール、ピペリジンエタノール、ピペリジルプロパノール、ピペリジンペンタノールなどのピペリジンアルコール誘導体などが挙げられる。
本発明の製造方法で使用するセルロースとしては、特に限定されないが、例えば未利用バイオマス資源など、または、市販のセルロースが挙げられる
前記製造方法において、セルロースと配位子となるピペラジン、ピペリジンまたはそれらの誘導体とを混合する方法は特に限定されないが、例えば固体のセルロースに、ピペラジン、ピペリジン、またはそれらの誘導体の水溶液を添加して混合してよい。セルロースとピペラジン、ピペリジンまたはそれらの誘導体との混合比は特に限定されないが、例えば金属イオン等の吸着性能の観点から、セルロース:ピペラジン、ピペリジンまたはそれらの誘導体のモル比が好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:5となるような混合比で混合してよい。
本発明の製造方法において、加熱下に脱水反応を行う際の加熱温度は、通常80〜120℃、好ましくは90〜120℃、より好ましくは100〜120℃である。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜選択してよいが、通常1〜3時間、好ましくは1.5〜2時間である。脱水反応が促進され、上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体を容易に製造できる観点から、本発明の製造方法において、乾燥を行うことが好ましい。乾燥は、例えば減圧乾燥により行ってよい。加熱しながら乾燥を行ってもよいし、加熱と乾燥を別々に行ってもよい。
上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体は、金属イオン等、特にセレンイオンの吸着性を高める観点から、上記式(II)で示される構造単位を、架橋キトサン誘導体を構成する全グルコサミン単位の数に基づいて、50%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましい。架橋キトサン誘導体を構成する全グルコサミン単位が、上記式(II)で示される構造単位であってもよい。
式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体は、架橋されたキトサン誘導体である。架橋は、1つのグルコサミン単位における5位のCHOH基、3位のOH基および2位のアミノ基の少なくとも1つと、別のグルコサミン単位における5位のCHOH基、3位のOH基および2位のアミノ基の少なくとも1つとが、脱水縮合することにより形成される。架橋度は、特に限定されないが、適度な膨潤性を有し使用性が良好となる観点から、好ましくは0.3〜0.8、より好ましくは0.5〜0.8である。なお、架橋度は、元素分析および重量変化により測定することができる。
式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体は、特に限定されないが、例えば、エビ、カニなどの甲殻類の甲殻から得られるキチンを脱アセチル化して得たキトサンに由来してよく、市販のキトサンに由来してもよい。架橋キトサン誘導体の脱アセチル化度は、セレンイオンの吸着性能の観点からは、50以上%であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体は、例えばセレン、金、インジウム、ガリウム、鉛、コバルト、亜鉛、マンガンおよびマグネシウム等の金属のイオン、アミノ酸、たんぱく質およびペプチド等の生理活性物質、および、アミン類およびアンモニア等の塩基性物質等を吸着することができる。該架橋キトサン誘導体を含む本発明の吸着材は、好ましくは金属イオンを吸着するための吸着材であり、より好ましくはガリウム、亜鉛、銅、セレン、カドミウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンを選択的に吸着するための吸着材であり、特に好ましくはセレンイオンを選択的に吸着するための吸着材である。本発明の吸着材は、通常固体であり、安定であるため、工業的な長期使用に適当である。
上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体は、キトサンとクエン酸とを混合し、加熱下に脱水反応を行うことにより、架橋および官能基の導入を同時に行い、ワンステップで簡単に製造することができる。キトサンとクエン酸とを混合する方法は特に限定されないが、例えば固体のキトサンに、クエン酸の水溶液を添加して混合してよい。キトサンとクエン酸との混合比は特に限定されないが、例えばセレンイオンの吸着性能の観点から、キトサン:クエン酸のモル比が好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:5となるような混合比で混合してよい。
加熱下に脱水反応を行う際の加熱温度は、通常80〜120℃、好ましくは90〜120℃、より好ましくは100〜120℃である。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜選択してよいが、通常1〜3時間、好ましくは1.5〜2時間である。加熱下に脱水反応を行うことが、脱水反応が促進され、上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を容易に製造できるため好ましい。乾燥は、例えば減圧乾燥により行ってよい。加熱しながら乾燥を行ってもよいし、加熱と乾燥を別々に行ってもよい。
本発明は、さらに、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体および/または上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む本発明の吸着材とを接触させる工程を含む、金属イオンの吸着方法を提供する。少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、本発明の吸着材とを接触させることにより、該吸着材に溶液中の金属イオンが吸着される。
本発明の吸着方法において、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体および/または上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む本発明の吸着材とを接触させる方法は、特に限定されないが、例えば(1)金属イオンを含有する溶液に、本発明の吸着材を加えて浸漬し、混合する方法(バッチ法);(2)本発明の吸着材をカラムに充填し、金属イオンを含有する溶液をカラムの一方の端部から通液する方法(カラム法);のいずれか1つまたは両方を組み合わせて行うことができる。処理すべき溶液の量が少ない場合、高い吸着率を容易に達成できることから、カラム法を用いることが好ましい。処理すべき溶液の量が多い場合、コストおよび労力を低減する観点から、バッチ法を用いることが好ましい。
金属イオンを含有する溶液と本発明の吸着材とをバッチ法により接触させる場合、容器内に設置した撹拌装置により混合を行ってもよく、容器の外部に設置した振盪装置によって容器全体を振盪することにより混合を行ってもよい。撹拌速度および振盪速度は、使用する容器の形状や溶液の体積に依存して変動し得るが、撹拌速度は通常100〜200rpm程度であり、振盪速度は通常100〜200rpm程度である。吸着材に対する金属イオンの吸着が平衡状態に達するまでに必要となる時間は、対象となる金属イオンの種類および濃度に依存して変動し得るが、通常2〜12時間である。また、平衡状態に達するまでの温度は、通常20〜30℃である。
本発明の吸着方法において、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液としては、例えば廃液等の金属イオンを含む溶液をそのまま使用してもよいし、適宜前処理を行い、不溶性残渣や対象となる金属イオン以外の様々な夾雑物を除いた溶液を使用してもよい。溶液中の対象となる金属イオンの濃度は、吸着率を高める観点から、0.1〜2mmol dm−3であることが好ましい。
少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、本発明の吸着材とを接触させる際、溶液に含まれる金属イオンを容易に吸着する観点から、溶液に含まれる金属イオンの1mmolに対する本発明の吸着材の重量が、0.05〜1gであることが好ましく、0.5〜1gであることがより好ましい。
上記式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体および/または上記式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む本発明の吸着材を用いて特定の金属イオンを選択的に吸着するために、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液中の酸濃度および/またはpHをあらかじめ調整しておくことが好ましい。酸濃度および/またはpHの調整は、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリや、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸などの酸を用いて行うことができる。硝酸および/または水酸化ナトリウムを用いて酸濃度および/またはpHの調整を行うことが、金属錯イオンの生成を最小限にすることができるため、好ましい。
吸着材として式(I)で表される構造単位を含有するセルロース誘導体を用いる本発明の一態様において、セレンイオンを容易に選択的に吸着できる観点から、セレンイオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸(HCl、HNO3、SO等)の濃度が0.5mol/dm以下であることが好ましく、0.1mol/dm以下であることがより好ましい。
吸着材として式(II)で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を用いる本発明の一態様において、容易にセレンイオンを吸着できる観点からは、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時のpHが、1以上であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、3〜4であることが特に好ましい。また、同様の観点から、pHが上記範囲となるように、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸濃度を調整することが好ましい。
この態様において、セレンイオンの吸着はイオン強度によって大きく影響される。例えば図5に示されるように、硝酸ナトリウムの濃度が高くなると、セレンイオンは吸着材にほとんど吸着されなくなり、さらにpHが高くなると吸着率が低下する。このような塩が共存する水溶液からセレンイオンを容易に選択的に吸着させる観点からは、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時のpHが1〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。また、同様の観点から、pHが上記範囲となるように、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸濃度を調整することが好ましい。
一方、図6に示されるように、塩が共存しない水溶液からセレンイオンを容易に選択的に吸着できる観点からは、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液の吸着平衡時のpHが1以上であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、pHが上記範囲となるようにセレンイオンを含有する溶液の吸着平衡時の酸濃度を調整することが好ましい。この態様において、硝酸と水酸化ナトリウムを用いて酸濃度および/またはpHを調整することが、金属錯イオンの生成を最小限にすることができるため、好ましい。
本発明の吸着材は、通常、固体であり、金属イオンを吸着した本発明の吸着材も、通常同様に、固体である。そのため、金属イオンを含有する溶液と、本発明の吸着材とを接触させた後、例えばろ過等により固液分離し、金属イオンを吸着した本発明の吸着材を該溶液から容易に取り除くことができる。金属イオンが吸着された吸着材から、金属イオンを回収する方法としては、例えば、金属イオンが吸着された吸着材と酸性溶液とを接触させて、金属イオンを吸着材から溶液中へと脱離させる方法、金属イオンが吸着された吸着材を焼却し、金属イオンを回収する方法などが挙げられる。吸着材を再生することができる観点から、吸着材と酸性溶液とを接触させて、金属イオンを脱離させる方法を用いることが好ましい。
本発明は、さらに、少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、本発明の吸着材とを接触させる工程;および
前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
を含む、金属イオンの回収方法を提供する。
本発明の回収方法における、金属イオンを含有する溶液と本発明の吸着材とを接触させる工程に関し、本発明の吸着方法に関して述べた上記の記載が同様にあてはまる。
本発明の回収方法において、金属イオンを吸着した本発明の吸着材と、酸性溶液とを接触させることにより、該金属イオンを吸着材から溶液中に脱離させ、金属イオンをリサイクル可能な状態で回収することができる。さらに、本発明の回収方法によれば、吸着材を再生することができる。
酸性溶液としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸の溶液が挙げられる。工業実廃液や浸出液への応用の観点から、酸性溶液として塩酸水溶液を使用することが好ましい。酸の量は、酸の種類等によっても異なるが、廃液処理を容易にする観点から、脱離させる金属イオンに対して1〜3倍モル程度とすることが好ましい。また、酸の濃度は、酸の種類等によって異なり特に限定されないが、例えば塩酸水溶液の場合、濃縮・回収の高効率化の観点から、好ましくは0.1〜2mol/dm、より好ましくは0.1〜1mol/dmである。本発明の吸着材は、比較的低濃度の酸性溶液を用いて金属イオンを脱離させることが可能であるため、脱離処理後の廃液の処理がより簡単である。本発明の一態様において、例えば吸着した金イオン等の金属イオンの脱離には、チオ尿素と塩酸、硝酸等の強酸との混合溶液を用いて脱離処理を行うことが、脱離率を高めやすい観点から好ましい。
本発明の回収方法は、1回の脱離工程を含んでいてもよいし、2回以上の複数回の脱離工程を含んでいてもよい。例えば、1回目の脱離工程の後、吸着材をろ過により取り出し、1回目と同一または異なる酸性溶液を用いて2回目以降の脱離工程を行うことにより、脱離率を高めることができる。
本発明の一態様において、少なくともセレンイオンを含む溶液と、本発明の吸着材とを接触させることにより、本発明の吸着材にセレンイオンを吸着させる。次いで、ろ過等によりセレンイオンを吸着した吸着材を溶液から取り出す。取り出した吸着材を、好ましくは1以下のpHを有する酸性溶液、より好ましくは0.1〜2mol/dm、さらに好ましくは0.1〜1mol/dmの塩酸水溶液と接触させることにより、該吸着材からセレンイオンを脱離させ、回収することができる。
本発明の回収方法により回収された各金属イオンを、公知の方法と適宜組み合わせて、さらに分離、濃縮し、回収してもよい。
以下において、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
〔ピペラジン類またはピペリジン類を導入したセルロース誘導体の調製〕
実施例1
グラフト化ピペラジンエタノールセルロース(GPEC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)5gに、250mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペラジンエタノール25.0ml(10等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペラジンエタノールセルロース(GPEC)を得た。ピペラジンエタノールセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペラジンエタノールセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、52%であった。また、下記式中のnは2〜3であった。
Figure 2016040032
実施例2
グラフト化ピペリジンセルロース(GPRC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)2gに、100mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペリジン31.9g(10等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペリジンセルロース(GPRC)を得た。ピペリジンセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペリジンセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、40
%であった。また、下記式中のnは2〜3である。
Figure 2016040032
実施例3
グラフト化ピペラジンセルロース(GPPC)の調製
グラフト化セルロース球(グラフト率285%)2gに、100mlのジオキサンを添加し、1時間放置し、グラフト化セルロース球を膨潤させた。次いで、ピペラジン15.9g(5等量)を添加し、120rpmの速度で撹拌しながら、80℃で9時間反応させた。その後、ろ過を行い、蒸留水およびエタノールを用いて洗浄を行い、乾燥機で乾燥させて、次の構造単位を有するセルロース由来のピペラジンセルロース(GPPC)を得た。ピペラジンセルロースの合成スキームを次に示す。なお、本実施例のピペラジンセルロースの置換度は、セルロース誘導体を構成する全グルコース単位の数に基づいて、49%であった。また、下記式中のnは2〜3である。
Figure 2016040032
〔クエン酸を導入した架橋キトサン誘導体の調製〕
実施例4
キミカキトサン30.3gに0.6mol dm−3のクエン酸溶液200cmを加えて30分間撹拌し、シャーレに入れた。得られた溶液を50℃で24時間減圧乾燥後、そのまま120℃で90分間減圧乾燥した。その後、室温で24時間乾燥し、50℃で約15時間減圧乾燥し、次いで、120℃で約3時間減圧乾燥した。得られた反応生成物を、室温でさらに乾燥後、熱水に浸して静置し、吸引ろ過を行った。反応生成物を熱水で洗浄後、乾燥した。乾燥した反応生成物であるクエン酸キトサンを細かく粉砕し、粉砕物を、吸引ろ過を用いて、熱水、1N-NaOH、1N-HCl、蒸留水、エタノールで順に洗浄後、乾燥を行い、茶色の架橋されたクエン酸キトサンを得た。得られたクエン酸キトサンの置換度は、架橋キトサン誘導体を構成する全グルコサミン単位の数に基づいて、94.7%であった。クエン酸キトサンの合成スキームを次に示す。
Figure 2016040032
〔吸着量および吸着率〕
実施例5
実施例1に記載のセルロース誘導体を吸着材として用い、下記の方法で吸着量および吸着率を測定した。
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜5.0mol dm-3の塩酸水溶液で希釈し、表1に記載の塩酸濃度を有する1.0mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。硝酸水溶液、硫酸水溶液についても同様にして、表1に記載の硝酸濃度または硫酸濃度を有する1.0mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。
このようにして得た溶液を15cmずつ計り取り、吸着材0.05gを入れたサンプル管に加え、30℃の恒温槽中、120rpmの振盪速度で、24時間振盪させた。その後、溶液をろ過し、ろ液中の各酸濃度を電位差測定装置(京都電子工業製「AT-Win」)を用いて測定した。振盪を行う前後の溶液中の金属イオン濃度を、IPC発光分析装置(株式会社島津製作所製「SHIMADZU ICPS=7000」)を用いて測定した。得られた金属イオン濃度から、次の式に従い、吸着率(%)および吸着量(mmol/g)を算出した。式中、Ciniは、初期金属イオン濃度(mmol dm-3)であり、吸着前の溶液中の金属イオン濃度を表す。本実施例において、Ciniは1.0である。Ceqは、平衡金属イオン濃度(mmol dm-3)であり、金属イオンを吸着材に吸着させた後のろ液中の金属イオン濃度を表す。wは吸着材の重量であり、当該実施例においてはw=0.05gである。
Figure 2016040032
得られた結果を、次の表1〜表3に示す。また、図1に、実施例1に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
Figure 2016040032
Figure 2016040032
Figure 2016040032
実施例6
実施例1に記載のセルロース誘導体に代えて、実施例2に記載のセルロース誘導体を用いたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表4〜6に示す。また、図2に、実施例2に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
Figure 2016040032
Figure 2016040032
Figure 2016040032
実施例7
実施例1に記載のセルロース誘導体に代えて、実施例3に記載のセルロース誘導体を用いたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表7〜9に示す。また、図3に、実施例3に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
Figure 2016040032
Figure 2016040032
Figure 2016040032
実施例8
25mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜5.0moldm-3の塩酸水溶液で希釈し、表10に記載の塩酸濃度を有する0.1mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。硝酸水溶液、硫酸水溶液についても同様にして、表11または12に記載の硝酸濃度または硫酸濃度を有する0.1mmoldm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。
このようにして得た溶液を15cmずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。なお、式中の本実施例において、Ciniは0.1である。
得られた結果を、次の表10〜12に示す。また、図4に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後の酸濃度との関係を示す。
Figure 2016040032
Figure 2016040032
Figure 2016040032
実施例9
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、0.01〜1.0mol dm-3のNaNO溶液で希釈すると共に0.01〜1.0M−HNO水溶液および0.01〜11.0M-NaOH水溶液を添加し、表13〜16に記載のpHを有し、0.01M、0.1M、1.0MのNaNO濃度を有し、0.1mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。このようにして得た溶液を15cmずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。なお、式中の本実施例において、Ciniは0.1mmol dm−3である。
得られた結果を、次の表13〜15に示す。また、図5に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後のpHとの関係を示す。
Figure 2016040032
Figure 2016040032
Figure 2016040032
実施例10
25mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を、水で希釈すると共に1M−HNO水溶液および1M-NaOH水溶液を添加し、表16に記載のpHを有する0.1mmol dm-3のSe(VI)イオンを含有する水溶液を調製した。このようにして得た溶液を15cmずつ計り取り、実施例4に記載の吸着材0.05gを入れたサンプル管に加えたこと以外は実施例5と同様にして、吸着量および吸着率を測定した。
得られた結果を、次の表16に示す。また、図6に、実施例4に記載のセルロース誘導体を含む本発明の吸着材のSe(VI)イオンに対する吸着率と吸着平衡後のpHとの関係を示す。
Figure 2016040032
図1〜図6から明らかなように、本発明の吸着材はセレンイオンに対し十分な吸着性を有する。特に、本発明によれば、従来は吸着材に吸着させる際に還元処理等を行う必要があった6価のセレンイオンを、還元等の処理を行うことなく、そのまま吸着することができる。
〔吸着等温線〕
実施例11
上記実施例1で得た本発明の吸着材による、Au(III)およびSe(VI)の飽和吸着量を測定するために、吸着等温線を測定した。まず、Au(III)およびSe(VI)の濃度が、それぞれ、1、2、4、6、8、10、12mMとなるように調整した。Au(III)は1mol/dmのNaCl溶液(pH6)であり、Se(VI)は0.05NのHCl溶液である。それぞれの溶液15cmに、本発明の吸着材を0.05g加え、30℃の恒温槽で振盪速度120rpmで24時間振盪した。平衡に到達後、平衡金属イオン濃度(Ceq)を測定した。吸着等温線をLangmuir型に当てはめ考察した。Langmuir吸着等温式を下記式(1)に示す。これを変形した下記式(2)に基づいたLangmuirプロット(横軸にCeq、縦軸にCeq/qをプロットしたグラフ)の傾きと切片より吸着平衡定数Kad(dm mmol−1)と飽和吸着量q(mmol g−1)を求めた。なお、下記式(1)および(2)中、qは金属イオンの吸着量を表す。
Figure 2016040032
この式で示される直線の傾きから飽和吸着量q、切片から吸着平衡定数Kadを求めた。Au(III)およびSe(VI)のそれぞれについて得られた結果を次の表17に示す。
Figure 2016040032
上記の結果より、本発明の吸着材は、特にセレンイオンおよび金イオンに対して、高い飽和吸着量を有することがわかる。
〔脱離率〕
実施例12
金の初濃度を1mmol/dmとし、pH=7に調整した1mmol/dmのNaCl溶液からGPECを用いて金イオンを吸着した。その後金イオンを吸着したGPECを、脱離率の測定に用いた。脱離剤として次の表18に示す脱離剤1〜7を用いた。ここで、脱離剤1および2は表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する水溶液であり、脱離剤3〜5は、1NのHCl水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤であり、脱離剤6は、1NのHNO水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤であり、脱離剤7は、2NのHCl水溶液中、表10に記載の濃度のチオ尿酸を含有する剤である。ろ過により回収された各吸着材0.05gを入れたサンプル管のそれぞれに、上記の脱離剤を15ml加え、30℃の恒温槽中、120rpmの振盪速度で、24時間振盪させた。その後、溶液をろ過し、ろ液(以下において「脱離液」とも称する)中の金属イオン濃度を上記と同様にして測定した。得られた金属イオン濃度から、次の式に従い、脱離率(%)を算出した。式中、CiniおよびCeqは、上記と同様に定義される。Cdesは、脱離液中の金属イオン濃度(mmol dm-3)である。
Figure 2016040032
得られた結果を、次の表18に示す。
Figure 2016040032
上記の結果より、酸性溶液を用いることにより、金イオンを脱離できることがわかる。また、酸性溶液として、チオ尿素と強酸を併用することにより、脱離率を高めることができることがわかる。本発明の吸着材は、比較的低濃度の酸性溶液を用いた場合にも金属イオンの脱離が可能であるため、より簡単かつ効率的に金属イオンを回収することができ、また、脱離液の廃液処理も簡単である。

Claims (5)

  1. 式(I):
    Figure 2016040032
    [式中、
    は、次の式(Ra)または(Rb):
    Figure 2016040032
    〔式中、
    は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルアルコール基を表し、
    〜R12は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアルコール基からなる群から選択される少なくとも1つを表す〕
    で表され、
    nは1〜3の整数を表す]
    で表される構造単位を含有するセルロース誘導体、および/または、式(II):
    Figure 2016040032
    で表される構造単位を含有する架橋キトサン誘導体を含む、吸着材。
  2. 金属イオンを吸着するための吸着材である、請求項1に記載の吸着材。
  3. 前記金属イオンはセレンである、請求項2に記載の吸着材。
  4. 少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程を含む、金属イオンの吸着方法。
  5. 少なくとも1種の金属イオンを含有する溶液と、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着材とを接触させる工程;および
    前記工程で得た金属イオンが吸着された吸着材と、酸性溶液とを接触させて、該吸着材から該金属イオンを脱離させる工程;
    を含む、金属イオンの回収方法。
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