JP6052768B2 - 陰イオン交換体 - Google Patents

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本発明は、陰イオン交換体に関する。さらに詳しくは、少なくとも1種の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な特定の有機配位子とを含む金属錯体からなる陰イオン交換体に関する。本発明の陰イオン交換体は、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどを除去するための除去材として好ましい。
これまで、水処理の分野で種々の有害陰イオン除去材が開発されている。最近ではより高い除去活性を有する材料として、特殊な陰イオン交換樹脂が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
有害陰イオンの例として、花火やロケットなどの固体燃料、エアバッグのインフレーターなどに利用される過塩素酸イオンが挙げられる。過塩素酸イオンは、成人の代謝機能を司り小児の身体発育を促進する甲状腺に障害を及ぼす物質である。その除去方法としては、過塩素酸イオンにより汚染された廃液を濃縮し、塩化カリウムを加えることにより過塩素酸カリウムを生成させ、冷却して結晶化させる方法が知られている(特許文献2参照)。
他の有害陰イオンの例として、半導体製造工程やメッキ工程等の廃液に含まれるテトラフルオロホウ酸イオンが挙げられる。ホウ素及びフッ素は動物や植物にとって必須微量元素であるが、過剰の摂取は植物の成長阻害、動物の生殖阻害毒性、神経及び消化器系の障害などが懸念される。その除去方法としては、テトラフルオロホウ酸イオンを含む廃水にアルミニウム化合物、塩化第2鉄及び鉄粉を添加し反応させ、該反応物に水酸化カルシウムを添加して中和し、フッ素をカルシウム塩として除去する方法が知られている(特許文献3参照)。
また、過塩素酸イオンやテトラフルオロホウ酸イオンの除去材として、硫酸銅と1,4−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼンとからなる高分子金属錯体が開示されている(特許文献4、特許文献5参照)。該高分子金属錯体は溶液中で過塩素酸イオンやテトラフルオロホウ酸イオンと接触した際に、カプセル型分子へと構造変化し、これらのアニオンを捕捉することにより溶液中から除去することができる。しかし、構造変化の際に、金属錯体中の銅イオンが溶液中に溶出するという問題があり、銅イオンは法令により生活環境項目に係る排水基準において規制の対象となることから、その溶出を抑えた陰イオン除去材が求められていた。また、陰イオンの除去速度においても満足できるものではなく、その性能のさらなる向上が求められていた。
特開2004−346299号公報 特表平9−504472号公報 特開平7−16577号公報 WO2008/029804公報 WO2009/110499公報
したがって、本発明の目的は、従来よりも陰イオン除去活性が高い除去材として使用でき、陰イオン除去後の溶液の汚染が少ない陰イオン交換体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、少なくとも1種の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な特定の有機配位子とを含む金属錯体からなる陰イオン交換体により、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
(1)周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とを、金属イオン:二座配位可能な有機配位子=1:3の組成比で含み、前記二座配位可能な有機配位子が2つの金属イオンに配位する金属錯体からなる陰イオン交換体。
(2)該二座配位可能な有機配位子が、少なくとも1つの窒素原子を環内に有する複素環基を少なくとも2つ有する含窒素複素環化合物である(1)に記載の陰イオン交換体。
(3)該二座配位可能な有機配位子が、下記一般式(I);
(式中、R、R及びR4の内1つはRに対してメタ位或いはパラ位にあるRであり、Rを除くR、R、R、R及びRはそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子である。R及びRは同一または異なって下記一般式
で表される置換基であり、R及びRはそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、Aは下記一般式
で表されるピリジル基、
で表されるイミダゾリル基、
で表されるトリアゾリル基または
で表されるテトラゾリル基であり、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であるか、R13とR14が一緒になって置換基を有していてもよいアルカジエニレン基を形成してもよい。)で表される二座配位可能な有機配位子である(1)または(2)に記載の陰イオン交換体。
(4)該二座配位可能な有機配位子が、下記一般式(II);
(式中、X、Y及びZはそれぞれ同一または異なって炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である。X、Y及びZが炭素原子の場合にR18、R19、R20、R21、R22及びR23はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子である。X、Y及びZが窒素原子の場合にR18、R20及びR22は水素原子であり、R19、R21及びR23は存在しない。X、Y及びZが酸素原子または硫黄原子の場合にR18、R19、R20、R21、R22及びR23は存在しない。A及びAは同一または異なって下記一般式
で表されるピリジル基、
で表されるイミダゾリル基、
で表されるトリアゾリル基または
で表されるテトラゾリル基であり、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32及びR33はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であるか、R29とR30が一緒になって置換基を有していてもよいアルカジエニレン基を形成してもよい。nは0〜2の整数である。)で表される二座配位可能な有機配位子である(1)または(2)に記載の陰イオン交換体。
(5)硝酸イオン、硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンから選択される少なくとも一種の陰イオンを含む(1)〜(4)のいずれかに記載の陰イオン交換体
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の陰イオン交換体からなる陰イオン除去材。
(7)該陰イオン除去材が、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンまたはトリフルオロメタンスルホン酸イオンを除去するための除去材である(5)に記載の陰イオン除去材。
本発明により、周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とを、金属イオン:二座配位可能な有機配位子=1:3の組成比で含む金属錯体からなる陰イオン交換体を提供することができる。
本発明の陰イオン交換体は、各種アニオン除去能に優れているので、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどを除去するための除去材として使用することができる。
また、本発明の金属錯体は、陰イオン除去に伴う金属錯体中の金属イオンの溶出を抑えることができるため、陰イオン除去後の溶液の汚染が少ない陰イオン除去材として使用することができる。
合成例1で得た金属錯体の結晶構造である。 合成例2で得た金属錯体の結晶構造である。 合成例3で得た金属錯体の結晶構造である。 比較合成例1で得た金属錯体の結晶構造である。 実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1における過塩素酸イオン濃度の経時変化である。 実施例4、実施例5、実施例6及び比較例2におけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度の経時変化である。 合成例1で得た金属錯体を添加する前と添加した180分後の各種陰イオン濃度の比較である。 合成例1で得た金属錯体を添加する前と添加した180分後の各種陰イオン濃度の比較である。 合成例1で得た金属錯体を添加する前と添加した180分後の各種陰イオン濃度の比較である。
本発明の陰イオン交換体は、周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、少なくとも1つの窒素原子を有する複素環基を少なくとも2つ有し、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とを、金属イオン:二座配位可能な有機配位子=1:3の組成比で含む金属錯体からなる。金属イオンに対し、同一の二座配位可能な有機配位子が配位することが望ましいが、2種以上の二座配位可能な有機配位子が金属イオンに配位してもよい。
本発明に用いられる周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、ルテニウムイオン、コバルトイオン、ロジウムイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、銅イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオンなどを使用することができ、中でもマンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオンが好ましい。金属イオンは、単一の金属イオンを使用することが好ましいが、2種以上の金属イオンを混合して用いてもよい。また、本発明の金属錯体は、単一の金属イオンからなる金属錯体を2種以上混合して使用することもできる。
該金属イオンは金属塩の形で用いてもよい。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、マンガン塩、鉄塩、ルテニウム塩、コバルト塩、ロジウム塩、ニッケル塩、パラジウム塩、銅塩、亜鉛塩、カドミウム塩などを使用することができ、中でもマンガン塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩が好ましい。金属塩は、単一の金属塩を使用することが好ましいが、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、フッ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
本発明に用いられる二座配位可能な有機配位子とは、非共有電子対で金属イオンに対して配位する部位を少なくとも2箇所有する中性配位子を意味する。
本発明の金属錯体において、二座配位可能な有機配位子は別個の(隣接する)2つの金属イオンに配位する。従って、単核錯体は本発明の金属錯体には含まれない。具体的には、エチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリンなど、一つの金属イオンに対してシス型で二座配位して単核錯体を形成する有機配位子は、本発明の「二座配位可能な有機配位子」には含まれない。
本発明の二座配位可能な有機配位子を用いた場合、この有機配位子は2つの金属イオンに配位するので、得られる金属錯体は三次元集積構造を形成し、所望の性能を発現する。
本発明に用いられる二座配位可能な有機配位子は、前記金属イオンに配位できる窒素原子を環内に少なくとも1つ有する複素環基を少なくとも2つ有する含窒素複素環化合物が好ましい。該含窒素複素環基としては、5員または6員の含窒素複素環基が好ましく、中でも、ピリジル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基またはテトラゾリル基が特に好ましい。また、該含窒素複素環基はその環に結合する置換基を有していてもよい。
本発明に用いられる二座配位可能な有機配位子の好ましい一例として、下記一般式(I);
で表される化合物が挙げられる(以下、二座配位可能な有機配位子(I)と称することがある)。式中、R、R及びR4の内1つはRに対してメタ位或いはパラ位にあるRであり、Rを除くR、R、R、R及びRはそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子である。R及びRは同一または異なって下記一般式
で表される置換基であり、R及びRはそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、Aは下記一般式
で表されるピリジル基、
で表されるイミダゾリル基、
で表されるトリアゾリル基または
で表されるテトラゾリル基であり、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であるか、R13とR14が一緒になって置換基を有していてもよいアルカジエニレン基を形成してもよい。
上記R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17を構成することのできる置換基の内、アルキル基またはアルコキシ基の炭素原子数は1〜5が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が、アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が、アシロキシ基の例としては、アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が、アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基が、モノアルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基が、ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ基が、アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基が、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が、それぞれ挙げられる。また、該アルキル基等が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、シアノ基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基の置換基の数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
上記アルカジエニレン基の炭素数は、4が好ましい。アルカジエニレン基の炭素数が4の場合、R13とR14はそれらが結合している炭素原子と一緒になって6員環(ベンゼン環)を構成する。このようなイミダゾリル基の例としては、ベンゾイミダゾリル基が挙げられる。
また、該アルカジエニレン基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜5のアルキル基である)などが挙げられる。
二座配位可能な有機配位子(I)は、1個又は複数個の不斉炭素を有し得る。本発明で使用する二座配位可能な有機配位子(I)は、光学異性体、ラセミ体またはいずれかの光学異性体が多い異性体混合物、ジアステレオ異性体など任意の異性体のいずれを使用してもよいが、R及びRが同一であれば不斉炭素ではなくなるので好ましい。
本発明の二座配位可能な有機配位子(I)の好ましい化合物は、下記式(IA)、(IB)で表される:
(式中、Aは、前記に定義される通りである。)。
二座配位可能な有機配位子(I)としては、例えば、下記化学式で示される1,4−ビス(ベンゾイミダゾール−1−イルメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン(I−1)、1,4−ビス(4−ピリジルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン(I−2)、1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(I−3)、1,3−ビス(4−ピリジルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(I−4)などを使用することができ、中でも1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(I−3)が好ましい。
また、本発明に用いられる二座配位可能な有機配位子の好ましい一例として、下記一般式(II);
で表される化合物が挙げられる(以下、二座配位可能な有機配位子(II)と称することがある)。式中、X、Y及びZはそれぞれ同一または異なって炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子である。X、Y及びZが炭素原子の場合にR18、R19、R20、R21、R22及びR23(X、Y及びZの各々に対し、R18並びにR19、R20並びにR21及びR22並びにR23の各々が対応)はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子である。X、Y及びZが窒素原子の場合にR18、R20及びR22はそれぞれ水素原子であり、R19、R21及びR23はそれぞれ存在しない。X、Y及びZが酸素原子または硫黄原子の場合にR18、R19、R20、R21、R22及びR23(X、Y及びZの各々に対し、R18並びにR19、R20並びにR21及びR22並びにR23の各々が対応)は存在しない。なお、「X、Y及びZが炭素原子の場合」、「X、Y及びZが窒素原子の場合」及び「X、Y及びZが酸素原子または硫黄原子の場合」とは、X、Y及びZのいずれもが係る同じ原子である場合のみを指すわけではなく、X、Y及びZの少なくともいずれかが係る原子であることを指す。A及びAは同一または異なって下記一般式
で表されるピリジル基、
で表されるイミダゾリル基、
で表されるトリアゾリル基または
であり、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32及びR33はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であるか、R28とR29が一緒になって置換基を有していてもよいアルカジエニレン基を形成してもよい。nは0〜2の整数である。
上記R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32及びR33を構成することのできる好ましい置換基の例としては、上記R〜R17で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
上記アルカジエニレン基の炭素数は、4が好ましい。アルカジエニレン基の炭素数が4の場合、R29とR30はそれらが結合している炭素原子と一緒になって6員環(ベンゼン環)を構成する。このようなイミダゾリル基の例としては、ベンゾイミダゾリル基が挙げられる。該アルカジエニレン基が有していてもよい置換基の例としては、上記R13とR14が形成するアルカジエニレン基が有していてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
二座配位可能な有機配位子(II)は、1個又は複数個の不斉炭素を有し得る。本発明で使用する二座配位可能な有機配位子(II)は、光学異性体、ラセミ体またはいずれかの光学異性体が多い異性体混合物、ジアステレオ異性体など任意の異性体のいずれを使用してもよいが、R18、R19、R20、R21、R22及びR23が同一であれば不斉炭素ではなくなるので好ましい。
nが3以上の場合、二座配位可能な有機配位子(II)は配位子の長さが長くなるため、1つの金属イオンに対してキレート配位可能となる場合がある。この場合、得られる金属錯体は三次元集積構造を形成できず、所望の性能を発現しない。
二座配位可能な有機配位子(II)としては、例えば、1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(1−イミダゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,4−トリアゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)エタン、1,3−ビス(4−ピリジル)プロパン、1,3−ビス(1−イミダゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,4−トリアゾリル)プロパン、1,3−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)プロパン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタン、1,4−ビス(1−イミダゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,4−トリアゾリル)ブタン、1,4−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)ブタンなどを使用することができ、中でも1,2−ビス(1−イミダゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,4−トリアゾリル)エタン、1,2−ビス(1,2,3,4−テトラゾリル)エタンが好ましい。
本発明の陰イオン交換体を構成する金属錯体は、除去対象である有害陰イオンと交換可能な陰イオンを錯体中に有する。該陰イオンとしては、特に限定されるものではないが、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンから選択される少なくとも一種の陰イオンであることが好ましい。
上記陰イオンは、金属塩のカウンターアニオンをそのまま使用してもよく、他のカウンターアニオンを有する金属錯体を前記陰イオンのアルカリ金属塩と反応させて、前記陰イオンを有する金属錯体に変換して使用しても良い。
本発明の陰イオン交換体を構成する金属錯体は、周期表の2族及び7〜12族に属する金属イオンの塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とを、気相、液相または固相のいずれかで反応させることで製造することができるが、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することが好ましい。例えば、金属塩の水溶液または有機溶媒溶液と、二座配位可能な有機配位子を含有する水溶液または有機溶媒溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより本発明の金属錯体を得ることができる。
金属錯体を製造するときの金属塩と二座配位可能な有機配位子の混合比率は、1:5〜5:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜3:1のモル比の範囲がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、また、未反応の原料が残留し、得られた金属錯体の精製が困難になる。
金属錯体を製造するための溶媒における二座配位可能な有機配位子の濃度は、0.01〜5.0mol/Lが好ましく、0.01〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度では、反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しない。
金属錯体の製造に用いる溶媒としては、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アンモニア水、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。反応温度としては、253〜423Kが好ましい。
反応が終了したことは、ガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができる。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒による洗浄後、空気中で風乾または減圧下で乾燥することにより本発明の金属錯体を得ることができる。
本発明の陰イオン交換体は、該陰イオン交換体を構成する金属錯体が、溶液中で有害な陰イオンと接触した際に、陰イオン交換反応を経ることで、陰イオン除去材として機能する。例えば、過塩素酸イオンを含む溶液中に本発明のイオン交換体を浸漬させた場合、過塩素酸イオンを取り込み、代わりに金属錯体を構成する陰イオンを溶液中に放出する。過塩素酸イオンを取り込んだ金属錯体は不溶性であるため、例えば濾過などの処理を施すことで過塩素酸イオンを除去することができる。他の有害陰イオンを取り込んだ金属錯体も、同様に濾過などの処理を施すことで有害陰イオンを除去することができる。
本発明の陰イオン交換体を構成する金属錯体は、金属イオン1つに対し二座配位可能な有機配位子が3つ配位した錯体であり、陰イオンは金属イオンの電荷を中和するのに必要な量だけ存在する。具体的には、金属イオンが二価の金属イオン、かつ陰イオンが2価のイオンの場合、本発明の金属錯体は金属イオン:2価の陰イオン:二座配位可能な有機配位子=1:1:3の組成を有する。また、陰イオンが1価のイオンの場合、金属イオン:1価の陰イオン:二座配位可能な有機配位子=1:2:3の組成を有する。このように、金属イオンと二座配位可能な有機配位子との組成比が1:3である場合にのみ三次元骨格は金属イオンと二座配位可能な有機配位子のみで構築され、陰イオンは該金属イオンに対しては配位しない。その結果、金属イオンと陰イオンの相互作用は弱くなり、高い陰イオン交換能、すなわち陰イオン除去性能が発現する。
前記の陰イオン除去メカニズムは推定であるが、例え前記メカニズムに従っていない場合でも、本発明を規定する要件を満足するのであれば、本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の金属錯体は、各種陰イオンの除去能に優れているので、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどの除去材として好ましい。
本発明における陰イオン交換体の使用形態は特に限定されない。例えば、金属錯体を粉末のまま用いてもよいし、ペレット、フィルム、シート、プレート、パイプ、チューブ、棒状体、粒状体、各種異形成形体、繊維、中空糸、織布、編布及び不織布などに成形して用いてもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例、比較例における分析及び評価は次のようにして行った。
(1)単結晶X線構造解析
得られた単結晶をゴニオヘッドにマウントし、単結晶X線回折装置を用いて測定した。分析条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製Mercury CCD system
X線源:MoKα(λ=0.71073Å) 50kV 40mA
検出器:CCD
コリメータ:Φ0.50mm
測定温度:293K
解析ソフト:SHELXL97
(2)陰イオンの定量
陰イオンを含む溶液200μLを採取し、超純水で25倍に希釈し、陰イオンクロマトグラフを用いて測定した。
<分析条件>
装置:メトローム社製861 Advanced Compact IC
<合成例1>
硝酸コバルト六水和物15.0mg(0.052mmol)を水30mLに溶解させ、これに1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン28.0mg(0.10mmol)を溶解させたメタノール30mLを加え、298Kで3日間静置した。析出した薄桃色の金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで洗浄し、目的の金属錯体78.6mg(収率25%)を得た。得られた金属錯体について単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。また、結晶構造を図1に示す。図1より、得られた金属錯体の組成は、コバルトイオン:硝酸イオン:1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン=1:1:3であることが分かる。
Monoclinic(C2/c)
a=26.330(18)Å
b=20.406(13)Å
c=14.273(10)Å
α=90.0000°
β=118.146(9)°
γ=90.0000°
V=6762(8)Å
Z=4
R=0.0958
wR=0.2102
<合成例2>
硫酸コバルト六水和物169mg(0.60mmol)を水10mLに溶解させ、これに1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン505mg(1.8mmol)を溶解させたメタノール10mLを加え、298Kで3日間静置した。析出した桃色の金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで洗浄し、目的の金属錯体258mg(収率42%)を得た。得られた金属錯体について単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。また、結晶構造を図2に示す。図2より、得られた金属錯体の組成は、コバルトイオン:硫酸イオン:1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン=1:1:3であることが分かる。
Monoclinic(C2/c)
a=26.356(11)Å
b=20.418(8)Å
c=14.319(6)Å
α=90.0000°
β=118.174(6)°
α=90.0000°
V=6792(5)Å
Z=4
R=0.0842
wR=0.1706
<合成例3>
塩化コバルト六水和物36.0mg(0.15mmol)を水10mLに溶解させ、これに1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン84.0mg(0.30mmol)を溶解させたメタノール10mLを加え、298Kで3日間静置した。析出した薄桃色の金属錯体を吸引濾過により回収した後、メタノールで洗浄し、目的の金属錯体49.0mg(収率50%)を得た。得られた金属錯体について単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。また、結晶構造を図3に示す。図3より、得られた金属錯体の組成は、コバルトイオン:塩化物イオン:1,3−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン=1:2:3であることが分かる。
Trigonal(R−3(h))
a=16.886(9)Å
b=16.886(9)Å
c=42.25(3)Å
α=90.0000°
β=90.0000°
γ=120.0000°
V=10432(10)Å
Z=6
R=0.0975
wR=0.2089
<比較合成例1>
硫酸銅5水和物31.2mg(0.13mmol)を水25mLに、1,4−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン73.6mg(0.25mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド25mLに、それぞれ溶解させ、これらの溶液を混合し7日間、298Kで静置することで金属錯体89mg(収率85%)を青色の板状結晶として得た。得られた金属錯体について単結晶X線構造解析を行った結果を以下に示す。また、結晶構造を図4に示す。図4より、得られた金属錯体の組成は、銅イオン:硫酸イオン:1,4−ビス(イミダゾール−1−イルメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン=1:1:2であることが分かる。
Monoclinic(C2/m)
a=12.3507(17)Å
b=27.263(3)Å
c=14.377(3)Å
β=118.774°
V=4243.4(10)Å3
Z=2
R=0.0644
wR=0.0722
<実施例1>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに合成例1で得た金属錯体52.1mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図5に示す。
<実施例2>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに合成例2で得た金属錯体51.6mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図5に示す。
<実施例3>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに合成例3で得た金属錯体48.5mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図5に示す。
<比較例1>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに比較合成例1で得た金属錯体38.3mg(銅イオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図5に示す。
図5より、本発明の構成要件を満たす合成例1、合成例2及び合成例3で得た金属錯体は、本発明の構成要件を満たさない比較合成例1で得た金属錯体に比べ、過塩素酸イオンを速やかに除去することができ、かつ金属イオンあたりの除去量も多いことから、過塩素酸イオンの除去材として優れていることは明らかである。
<実施例4>
1mMテトラフルオロホウ酸ナトリウム水溶液100mLに合成例1で得た金属錯体52.1mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図6に示す。
<実施例5>
1mMテトラフルオロホウ酸ナトリウム水溶液100mLに合成例2で得た金属錯体51.6mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図6に示す。
<実施例6>
1mMテトラフルオロホウ酸ナトリウム水溶液100mLに合成例3で得た金属錯体48.5mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図6に示す。
<比較例2>
1mMテトラフルオロホウ酸ナトリウム水溶液100mLに比較合成例1で得た金属錯体38.3mg(銅イオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図6に示す。
図6より、本発明の構成要件を満たす合成例1、合成例2及び合成例3で得た金属錯体は、本発明の構成要件を満たさない比較合成例1で得た金属錯体に比べ、テトラフルオロホウ酸イオンを速やかに除去することができ、かつ金属イオンあたりの除去量も多いことから、テトラフルオロホウ酸イオンの除去材として優れていることは明らかである。
<実施例7>
過塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムをそれぞれ1mMずつ含む水溶液100mLに合成例1で得た金属錯体52.1mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図7に示す。
<実施例8>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに合成例2で得た金属錯体51.6mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図8に示す。
<実施例9>
1mM過塩素酸ナトリウム水溶液100mLに合成例3で得た金属錯体48.5mg(コバルトイオンを0.050mmol含有)を加え、303Kにおける過塩素酸イオン濃度の経時変化を陰イオンクロマトグラフで追跡した。結果を図9に示す。
図7、図8及び図9より、本発明の構成要件を満たす合成例1、合成例2及び合成例3で得た金属錯体は、過塩素酸イオンを選択的に除去することができることから、過塩素酸イオンの除去材として優れていることは明らかである。
実施例1〜9及び比較例1、2の結果より、本発明の構成要件を満たす合成例1〜3で得た金属錯体は、本発明の構成要件を満たさない比較合成例1で得た金属錯体に比べ、各種陰イオンの除去材として優れていることは明らかである。このような差が生じる理由は必ずしも定かではないが、本発明の金属錯体を構成する周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、1つの金属イオンに対してキレート配位し得ない構造を有する該金属イオンに二座配位可能な有機配位子と比率が最適であり、金属イオンと陰イオンとの相互作用が適度に制御されているため、優れた陰イオン除去性能を発現するためであると考えられる。

Claims (3)

  1. 周期表の2族及び7〜12族に属する金属のイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とを、金属イオン:二座配位可能な有機配位子=1:3の組成比で含み、前記二座配位可能な有機配位子が2つの金属イオンに配位する金属錯体からなり、
    該二座配位可能な有機配位子が、下記一般式(I);
    (式中、R 、R 及びR 4 の内1つはR に対してメタ位或いはパラ位にあるR であり、R を除くR 、R 、R 、R 及びR はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子である。R 及びR は同一または異なって下記一般式
    で表される置換基であり、R 及びR はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、Aは下記一般式
    で表されるピリジル基、
    で表されるイミダゾリル基、
    で表されるトリアゾリル基または
    で表されるテトラゾリル基であり、R 、R 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 及びR 17 はそれぞれ同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であるか、R 13 とR 14 が一緒になって置換基を有していてもよいアルカジエニレン基を形成してもよい。)で表される二座配位可能な有機配位子であり、
    硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンから選択される少なくとも一種の陰イオンを該金属錯体中に有する陰イオン交換体。
  2. 請求項に記載の陰イオン交換体からなる陰イオン除去材。
  3. 該陰イオン除去材が、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンまたはトリフルオロメタンスルホン酸イオンを除去するための除去材である請求項に記載の陰イオン除去材。
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