JP2010013401A - エタノールからの炭素数3以上のオレフィン類の製造方法 - Google Patents

エタノールからの炭素数3以上のオレフィン類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的穏和な反応条件でプロピレンを高選択率で製造することができ、しかも失活触媒の再生も容易である、エタノールからのプロピレンの工業的に極めて有利な製造方法を提供する。
【解決手段】触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類特にプロピレンを製造する方法において、触媒として、鉄とリンおよびゼオライトを含有する触媒を用いる。ゼオライト類縁体として低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトを用いる。エタノールとして水を含むものも使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、エタノールを触媒変換して炭素数3以上のオレフィン類、特にプロピレンを製造する方法に関するものである。
現在、産業界で利用されている化学製品の殆どは石油から調製されているが、最近石油資源の枯渇が懸念されており、原油価格も高騰の傾向を見せている。更に石油など化石資源の燃焼は地球温暖化につながる二酸化炭素を放出するという問題もある。
そのため、石油に代わる資源として、再生可能でありかつカーボンニュートラルなバイオマスに注目が集まっている。エタノールは糖類の発酵などによって得られる、主要なバイオマス資源の一つであるが、芋やトウモロコシ、サトウキビなどを原料とする場合、食料としての利用と競合するので、木材や古紙など、非食用資源からのエタノール製造が求められている。
また、ここで得られるバイオエタノールは製造過程で水分が入ることが多く、膜を用いた濾過などの手法を用いても完全に水分を除去することは難しく、また蒸留などの手法を用いると加熱に莫大なエネルギーを必要とし、効率が悪い。そのため、バイオエタノールは水を含有したまま利用することが望ましく、含水条件下でも利用できる技術の開発が望まれている。
エタノールを触媒により変換することによって炭化水素類を製造する手法は幾つかの報告例があるが、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン類)化合物が主な生成物である(非特許文献1)。
また、オレフィン類を製造する報告例は多くないが、以下のような例がある。
1)エタノール転化率28%、プロピレン選択率35%(200℃):(非特許文献2)
2)プロピレン選択率18%(1時間後)、19%(2時間後)、14%(10時間後)、8%(15時間後)(450℃、含水エタノール使用):(非特許文献3)
3)エタノール転化率100%、プロピレン選択率10%(1時間後)、24%(10時間後)、13%(15時間後)(385℃):(非特許文献4)
炭素原子を3〜7個を有するオレフィン類(以下、C3+オレフィン類ともいう)は、燃料としてのみならずケミカルスとしても非常に重要であるが、エタノールを単純に脱水して得られるエチレンとは異なり、2量化や分解の過程を経由して得られるので、高選択率で得ることは難しい。
本発明者は、先に、低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトが高選択率でBTX類を生成する一方、高ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトや他種のゼオライトではエチレンを選択的に生成することを見出し、更に低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトにガリウムや貴金属類を担持した触媒を用いることによりBTXの選択率を高められること、クロムや鉄を担持した触媒を用いることによってC3+オレフィン類の選択率を高められることを見出している(非特許文献5)。
さらに、本発明者は、低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトに鉄を担持した触媒は、C3+オレフィン類特にプロピレンについてはある程度の選択率を示すが、その選択率は徐々にではあるが経時的に低下してしまうこと、一方、エチレンの選択率は経時的に増加すること、および、失活した触媒の再生が容易でないことを見出している (非特許文献6)。
S. K. Saha, S. Sivasanker, Catal. Lett., 15, 413-418 (1992). Ph. de Werbier d’Antigneul, J. Chami, C. Berrier, M. Blanchard, P. Canesson, Catal. Lett., 1, 169-176 (1988). A. T. Aguayo, A. G. Gayubo, A. M. Tarrio, A. Atutxa, J. Bilbao, J. Chem. Tech. Biotech., 77, 211-216 (2002). C. W. Ingram, R. J. Lancashire, Catal. Lett., 31, 395-403 (1995). M. Inaba, K. Muata, M. Saito, I. Takahara, Reac. Kinet. Catal. Lett., 88(1), 135-142 (2006). M. Inaba, K. Muata, M. Saito, I. Takahara, Green Chem., 9, 638-646 (2007).
本発明は、比較的穏和な反応条件で、炭素数3以上のオレフィン類特にプロピレンを高選択率で製造することができ、しかも失活触媒の再生も容易である、エタノールからの炭素数3以上のオレフィン類、特にプロピレンの工業的に極めて有利な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類を製造する方法において、触媒として、鉄とリンおよびゼオライトを含有する触媒を用いたことを特徴とする炭素数3以上のオレフィン類の製造方法。
〈2〉炭素数3以上のオレフィン類がプロピレンであることを特徴とする〈1〉に記載の製造方法。
〈3〉ゼオライトが低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトであることを特徴とする〈1〉または〈2〉に記載の製造方法。
〈4〉エタノールが水を含むものであることを特徴とする〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の製造方法。
本発明方法によれば、エタノールの触媒変換により、高められた転化率と選択率で炭素数3以上のオレフィン類特にプロピレンを合成することができる。また、失活触媒も効果的に再生することができるので触媒効率も極めて高いものとなる。
本発明の触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類特にプロピレンを製造する方法は、触媒として、鉄とリンおよびゼオライトを含有する触媒を用いたことを特徴とする。
本発明でいう、炭素数3以上のオレフィン類とは、炭素数が3〜7のオレフィン類(C3+オレフィン類)を意味する。
触媒担体となるゼオライトとは、通常のゼオライトの他にその類縁体も包含される。このようなゼオライトしては、たとえばZSM−5型、Beta型、Mordenite型、USY型、Ferrierite型などが挙げられる。そのシリカ/アルミナ比としては5〜3000の範囲、好ましくは5〜100の範囲のものである。
この触媒担体は、上記ゼオライトをマッフル炉中で焼成して得る。焼成温度は、300〜800℃、好ましくは500〜600℃、焼成時間は3〜10時間、好ましくは5〜6時間行うのが望ましい。昇温速度は100〜500℃/時、好ましくは200℃〜300℃/時である。
上記ゼオライト担体に担持される鉄としては、鉄金属単体及び鉄を含む化合物のいずれも使用可能であるが、硝酸鉄、硫酸鉄などの無機塩類、酢酸鉄、ステアリン酸鉄などの無機錯体類、シクロペンタジエニル鉄などの有機金属錯体類などを例示することができる。中でも硝酸鉄、硫酸鉄、塩化鉄、シュウ酸鉄、などを用いることが望ましい。
本発明に用いる鉄担持ゼオライト類縁体担体を調製するには、上記した鉄成分を活性物質としてゼオライト類縁体担体に担持させることにより行う。その担持方法としては、定法が用いられ、含浸法、混ねい法、沈殿法、物理混合法、インシピエントウェットネス法などが挙げられる。担体に対し、鉄担持量は0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%である。
これら触媒前駆体は、一晩担持後、120℃のオーブン中で乾燥し、空気中にて焼成を行う。焼成温度は300〜1000℃、好ましくは500〜900℃、焼成時間は1〜10時間、好ましくは3〜5時間行うのが望ましい。昇温速度は100〜500℃/時、好ましくは200〜300℃/時である。焼成は、マッフル炉などの炉を空気雰囲気で用いる方法、セラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行う方法などがあげられる。この場合の空気の流速は調製する触媒の性質にはあまり影響しないため、特に限定しない。
また、本発明においては、上記触媒の耐久性の向上および目的生成物の選択率の向上を目的として、リンも担持させることが必要である。
鉄とリンの担持手順としては、(1)リンを担持して[0018]に記述した方法に基づいて焼成を行った後に鉄を担持して再度[0018]に記述した方法に基づいて焼成を行う方法、(2)鉄とリンを同時に担持した後に[0018]に記述した方法に基づいて焼成を行う方法、(3)鉄を担持して[0018]に記述した方法に基づいて焼成を行った後にリンを担持して再度[0018]に記述した方法に基づいて焼成を行う方法、の3通りの方法がある。
上記ゼオライト担体もしくは触媒前駆体に担持されるリンとしては、リン単体及びリンを含む化合物のいずれも使用可能であるが、リン酸(HPO)、ホスホン酸(HPO)、ホスフィン酸(HPO)などの酸類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類などのエステル類、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウムなどのアンモニウム塩類、酸化リンなどを例示することができる。中でもリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウムなどのアンモニウム塩類などを用いることが望ましい。
本発明に用いるリン担持ゼオライト担体もしくは触媒を調製するには、上記したリン成分を活性物質としてゼオライト担体もしくは触媒前駆体に担持させることにより行う。その担持方法としては、定法が用いられ、含浸法、混ねい法、沈殿法、物理混合法、インシピエントウェットネス法などが挙げられる。担体に対し、リン担持量は0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50重量%である。
このようにして得た触媒を反応管の中央付近に充填して触媒層を形成する。触媒の重量は0.01〜10gの範囲、好ましくは0.1〜1gである。また反応管の材質は石英製、パイレックス(登録商標)ガラス製、ステンレス製、セラミックス製などいずれも可能であるが、好ましくは石英製である。反応管の内径は1〜100mm、好ましくは5〜20mmである。この場合、触媒層の下流側に石英ウールを充填して反応中に触媒が移動しないようにするのが望ましい。触媒層の上流側には石英ウールは充填してもしなくても構わない。
反応前にガス流通下で触媒の前処理を行うことができる。流通させるガスは、空気や酸素などの酸化性ガス、水素などの還元性ガス、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスのいずれも可能である。ガスの流速は特に限定しない。前処理温度は300〜1000℃、好ましくは500〜900℃、前処理時間は30分〜10時間、好ましくは1〜3時間行うのが望ましい。昇温速度は100〜500℃/時、好ましくは200〜300℃/時である。
本発明において用いられる変換の対象となる反応原料はエタノールであり、共依存ガスは用いなくても反応は可能である。しかし通常では、加熱によって気化したエタノールと共存ガスとの混合ガスが用いられる。共存ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが望ましい。原料ガスの流速は毎分1〜500ml、好ましくは毎分5〜100mlである。
反応原料として用いるエタノールは水分を含有していても構わない。含水率は、0.1%から90%まで、好ましくは1%から50%までが用いられる。
本発明において、反応温度は特に限定されないが、200〜800℃の範囲、好ましくは300〜500℃である。反応温度が高すぎるとカーボン析出、担持金属の焼結、担体ゼオライト類縁体の脱アルミ化などによる失活が迅速に起こるようになる。またエネルギー消費が高くなり、ひいてはコスト高へとつながってしまう。一方、反応温度が低すぎると十分な変換率が得られない。
反応装置内の圧力は0.01〜2MPa、好ましくは0.05〜0.5MPaである。
生成ガスはガスクロマトグラフによって検出した。
ガスクロマトグラフでは予め標準化合物の測定を行うことによりファクター値を求めておき、
(検出されたピーク面積)×(ファクター値)
より検出ガス中のそれぞれの化合物のモル濃度が求められた。
エタノール変換率や生成物の選択率は、分子数ではなく炭素原子数を基準として計算し、以下のような式で求めた。
エタノール変換率(%)=Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを除く)/Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを含む全検出物)×100
生成物の選択率(%)=(生成物のモル濃度×生成物1分子あたりの炭素原子数)/Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを除く)×100
また、本発明においては、失活した触媒の再生を図るため、使用済み触媒の再生処理を行うことができる。空気もしくは酸素を含有するガス流通下で行うことが好ましい。再生処理温度は200〜800℃の範囲、好ましくは300〜700℃である。再生処理時間は30分〜10時間、好ましくは1〜3時間行うのが望ましい。昇温速度は100〜500℃/時、好ましくは200〜300℃/時である。
次に、本発明を実施例および比較例によって更に詳細に説明する。
なお、生成物の選択率は[0028]の方法にしたがって算出した。
比較例1
0.0585gの硝酸鉄(III)9水和物をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:HSZ−830NHA、東ソー社製、シリカ/アルミナ比:29)0.8gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、鉄が1重量%含まれるH−ZSM−5型ゼオライト担体が調製された。
調製した鉄触媒は、プレスして錠剤とした後、乳鉢などで磨り潰して顆粒状とし、篩を用いて直径0.5〜2mmのものを選別して用いた。
こうして得た触媒0.2gを内径9mmの石英製反応管中央に充填した。この場合、触媒層の下流側に石英ウールを充填して反応中に触媒が移動しないようにした。上流側にも少量だけ石英ウールを充填した。
反応の前処理として、反応管に空気を流し、500℃で1時間の焼成を行った。その後で原料ガスに切り替えた。
原料ガスは加熱によって気化したエタノール/窒素の混合ガスを用いた。エタノールはポンプによって供給し、気化した後に窒素と混合した。エタノールと窒素のモル比は18.1:81.9となった。窒素のみの流速は60cm/分とした。
活性の測定方法は、450℃で反応を行い、1時間毎にサンプリングを行い、生成ガスをガスクロマトグラフでガス組成を分析する方法を用いた。
この触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例1に示す。1回目から8回目までの測定結果、および8回サンプリング後に空気流通下で1時間、500℃での再生処理を行った後の1回目から8回目までの測定結果を示している。これより、最初の反応ではC3+オレフィン類やプロピレンの選択率は経時的に大きく低下はしていないものの、再生処理後の反応では両者とも経時的に選択率が低下していることが分かる。また芳香族類については、最初の反応でも再生処理後の反応でも経時的に選択率が低下し、再生処理後は最初の反応の時より選択率が小さくなる傾向が見られる。本反応においては芳香族類の生成は望ましくないものであるが、1回目のサンプリングでは41%もの選択率を示している。なお、いずれの例においても、エタノール変換率は常時100%に近い値を示した。
比較例2
鉄源として塩化鉄(III)6水和物(0.0391g)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で調製し、触媒の前処理、反応条件なども同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例2に示す。C3+オレフィン類やプロピレンの選択率に関しては比較例1と同様の結果が得られた。また、最初の反応ではC3+オレフィン類やプロピレンの選択率は経時的に大きく低下はしていないものの、再生処理後の反応では両者とも経時的に選択率が低下していることが分かる。
実施例1
[0019]に記述した(1)の方法で鉄・リン担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製した。
0.0530gのリン酸3アンモニウム3水和物((NH)3PO・3HO)をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:HSZ−830NHA、東ソー社製、シリカ/アルミナ比:29)0.8gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、計算上リンが1重量%含まれるH−ZSM−5型ゼオライト担体が調製された。
このリン担持H−ZSM−5型ゼオライト担体に鉄を担持した。鉄源として塩化鉄(III)6水和物を用いた。担体としてリン担持H−ZSM−5型ゼオライト担体を用いた他は比較例2と同様の方法で調製し、触媒の前処理、反応条件なども同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の実施例1に示す。C3+オレフィン類やプロピレンについては経時的に若干の選択率低下が見られるものの、比較例1及び2に比べると高い値を示した。また、芳香族類の選択率の低下は抑えられる傾向が見られ、選択率は反応の初期においては比較例1及び2に比べると低い値を示した。再生処理により、最初の触媒活性がほぼ再現できることも分かり、これらの結果からリンの添加が触媒性能の向上に寄与していることが示唆される。
実施例2
[0019]に記述した(3)の方法で鉄・リン担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製した。
比較例2と同様の方法で鉄を1重量%担持したH−ZSM−5型ゼオライト担体を調製し、この鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト担体にリンを担持した。担体として鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト担体を用いた他は、実施例1におけるリン担持H−ZSM−5型ゼオライト担体の調製の段階と同様の方法で調製し、触媒の前処理、反応条件なども同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の実施例2に示す。C3+オレフィン類やプロピレンの選択率は比較的高い値を示したものの、経時的な低下が見られた。但し、再生処理により元の選択率を取り戻すことはできた。また、芳香族類の選択率は比較例1〜2に比べて小さく抑えることができ、この面でのこの触媒の優位性が示された。
比較例3
比較例3として、金属を担持しない、H−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:HSZ−830NHA、東ソー社製、シリカ/アルミナ比:29)のみを用いたエタノール変換反応も行った。ゼオライト担体は反応前に空気存在下で焼成を行った。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。触媒の前処理、反応条件などは、比較例1と同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例3に示す。実施例1〜2と比較して、C3+オレフィン類やプロピレンの選択率は小さく、芳香族類の選択率は高くなっていることが分かる。この結果から、鉄担持の効果が示唆される。なお、いずれの例においても、エタノール変換率は常時100%に近い値を示した。
比較例4
比較例4として、鉄担持量を10重量%にして調製した鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製し、400℃におけるエタノール反応を行った([非特許文献6]参照)。
1.6076gの硝酸鉄(III)9水和物をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:HSZ−830NHA、東ソー社製、シリカ/アルミナ比:29)2gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、鉄が10重量%含まれる鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト担体が調製された。
前処理は行わず、反応温度が400℃である他は、比較例1と同様にしてエタノール変換反応を行った。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例4に示す。C3+オレフィン類やプロピレンの選択率は低く、芳香族類の選択率は高くなった。
比較例5
比較例5として、鉄担持量を10重量%として調製した鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製し、450℃におけるC3+オレフィン類やプロピレンの選択率の経時的変化について検討した。
触媒の調製条件は比較例4と同様にした。反応条件は前処理と再生処理を行わない他は、比較例1と同様にしてエタノール変換反応を行った。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例5に示す。いずれの選択率も経時的に大幅に低下した。
比較例6
比較例6として、鉄担持量を1重量%として調製した鉄担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製し、400℃におけるC3+オレフィン類やプロピレンの選択率の経時的変化について検討した。
触媒の調製条件は比較例1と同様にした。反応条件は前処理と再生処理を行わない他は、比較例4と同様にしてエタノール変換反応を行った。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表1の比較例6に示す。C3+オレフィン類やプロピレンの選択率は比較的高く、経時的な選択率の低下もあまり見られなかった。但し、芳香族類の選択率が40%前後と高く、本反応においてはあまり望ましくない結果が得られた。
実施例3〜5
実施例1〜2では、原料ガスに含まれるエタノールは水分を含有しないエタノールを反応に用いたが、ここでは水分を含有するバイオエタノールを用いた。ここではバイオエタノールのモデルとして、アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合したものを用いた。計算上、エタノール含有率は87.5%となる。この含水エタノールを加熱によって気化した後に窒素と混合して、原料ガスを得た。ここでも窒素のみの流速は60cm/分とした。
その他、触媒の調製、前処理などの条件などは、実施例3では実施例1と同様にし、実施例5では実施例2と同様にした。実施例4では[0019]に記述した(2)の方法で鉄・リン担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒を調製し、その他の条件は実施例3と同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率をそれぞれ、表2の実施例3〜5に示す。基本的にはバイオエタノールを用いることにより、無水エタノールの場合に比べてそれぞれの生成物の選択率が若干低下する傾向が見られた。また無水エタノールの場合に比べて、再生処理後の反応で選択率の低下が著しくなった。但し、実施例4においては、C3+オレフィン類やプロピレンの選択率が特異的に高くなり、逆に芳香族類の選択率は低くなった。
比較例7
比較例7では比較例3と同様、金属を担持しないH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:HSZ−830NHA、東ソー社製、シリカ/アルミナ比:29)を触媒として用いた。アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合した、水分を含有するバイオエタノールを用いるなど、その他の条件は実施例3〜5と同様にした。
本触媒を用いて得られた、C3+オレフィン類、プロピレン及び芳香族類の選択率を表2の比較例7に示す。C3+オレフィン類やプロピレンの選択率は経時的に向上したが、芳香族類の選択率が経時的に低下しているとはいえやはり高い値を示している。このことから、やはり本反応においてはゼオライト担体への鉄およびリンの担持が効果的であることがわかる。
Figure 2010013401
Figure 2010013401

Claims (4)

  1. 触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類を製造する方法において、触媒として、鉄とリンおよびゼオライトを含有する触媒を用いることを特徴とする炭素数3以上のオレフィン類の製造方法。
  2. 炭素数3以上のオレフィン類がプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載に製造方法。
  3. ゼオライトが低ケイバン比のH-ZSM-5型ゼオライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. エタノールが水を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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