JP2011105670A - エタノールからのプロピレン製造方法 - Google Patents

エタノールからのプロピレン製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エタノールを原料に用いて転化反応を行い、プロピレンを高収率かつ高選択的に、長期間安定に製造することができる方法を提供する。
【解決手段】エタノールを、反応器中で触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記触媒として、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加したものを用いることにより、プロピレンを高収率かつ高選択的に、長期間安定に製造することができる。リンの添加量は、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.1〜1.0が好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、エタノールの転化反応によるオレフィンの製造方法に関し、さらに詳しくは、エタノール原料を、特定の触媒を使用して反応することにより、プロピレンを高収率かつ高選択率で製造する方法に関する。
石油資源の代替、および二酸化炭素排出削減の観点から、バイオマスの発酵によって製造できるエタノールを原料とした化学品生産が注目されている。特に、化学工業の基礎原料として広く使われているエチレン・プロピレンの低級オレフィンを生産することは、石油からバイオマスへの原料転換として大きな効果が得られると期待されている。一方、最近、エチレン生産はほぼ飽和に達しているが、プロピレンはプロピレンオキサイド、ポリプロピレンの需要が拡大していることから、プロピレンを選択的に生成する製造技術が望まれている。
これまでにエタノールを原料として脱水反応によりエチレンに変換する方法は古くから知られている。しかし、エタノールを原料としたプロピレン製造技術については、十分に検討されていない。また、エタノール以外の原料として、メタノールからのプロピレン製造について、MFI構造を有するアルミノシリケートにCa,Sr,Ba等のアルカリ土類金属を修飾した触媒が有効であることが報告されている(特許文献1)。一方、炭化水素のクラッキングによるプロピレン製造技術については、リンで修飾したアルミノシリケート触媒が有効であることが報告されている(非特許文献1,2)。
エタノールを原料とするものでは、Fe添加アルミノシリケート触媒(非特許文献3)で検討されているが、芳香族化合物や重質物(C6以上の炭化水素)等の収率が高く、エチレン、プロピレンの低級オレフィン収率は非常に低い。また、Sr添加アルミノシリケート触媒(非特許文献4)でも検討されているが、初期活性は比較的高いものの、活性劣化が大きい。
MFI構造を有するアルミノシリケート以外では、チャバサイト(CHA)構造を有するアルミノシリケート(特許文献2)はエタノールからプロピレンを生成するが、反応速度が遅く活性劣化も著しく大きい。シリコアルミノホスフェート(SAPO−34)触媒(特許文献3,非特許文献5)もプロピレンを生成するがCHA触媒と同様に反応速度が遅く活性劣化も著しく大きい。Ni等を添加したシリカナノ多孔体(MCM−41)触媒(特許文献4,非特許文献6)においても、エタノールからプロピレンが生成することが報告されているが、活性が低くプロピレン収率は低い。
以上のように、これまで知られている触媒は、すべて実用的な性能を有するとは言い難く、そのため、プロピレンを高収率かつ高選択的に長期間安定に製造する方法が望まれていた。
米国特許第4544793号明細書 特開2004−73921号公報 米国特許第7199276号明細書 国際公開第2007/083684号パンフレット 特願2008−180851号
"Hydrothermal stabilization of ZSM-5 catalytic-cracking additives by phosphorus addition", T. Blasco, A. Corma , J. Martinez-Triguero, J. Catal., 237, 267-277 (2006) "Effect of phosphorus on HZSM-5 catalyst for C4-olefin cracking reactions to produce propylene", Guoliang Zhao, Jiawei Teng, Zaiku Xie, Wenqing Jin, Weimin Yang, Qingling Chen, Yi Tang, J. Catal., 248, 29-37 (2007) "Production of olefins from ethanol by Fe-supported zeolite catalysts", Megumu Inaba, Kazuhisa Murata, Masahiro Saito and Isao Takahara, Green Chem., 9, 638 - 646 (2007) "エタノール転化反応におけるZSM-5型ゼオライトのSiO2/Al2O3比の影響", 原田泰光,後藤大助,近江靖則,高橋厚,藤谷忠博,定金正洋,佐野庸治,第104回触媒討論会 3H15 (2009) "Highly selective conversion of ethene to propene over SAPO-34 as a solid acid catalyst", Hiroshi Oikawa, Yasunori Shibata, Koji Inazu, Yasuyoshi Iwase, Kazuhito Murai, Shinya Hyodo, Genta Kobayashi and Toshihide Baba, Appl. Catal. A, 312, 8, 181-185 (2006) "シリカメゾ多孔体によるバイオエタノールの低級オレフィン化", 笠井幸司,葉石輝樹,岩本正和,第99回触媒討論会 2A04 (2007) "Production of Propylene from Ethanol Over ZSM-5 Zeolites", Zhaoxia Song, Atsushi Takahashi, Naoki Mimura, Tadahiro Fujitani, Catal. Lett. 131, 364-369 (2009)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、エタノールを原料に用いて転化反応を行い、プロピレンを高収率かつ高選択的に、長期間安定に製造することができる方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、MFI構造を有するアルミノシリケートに、Zr,Ti等の周期律表第4族金属から選ばれる1種以上の金属を担持した触媒を用いることにより、高いプロピレン収率が得られ、かつ安定性も高いことを発見して既に出願し、発表している(特許文献5,非特許文献7)。
本発明者らがさらに鋭意研究を重ねた結果、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加した触媒を使用することで、前述の周期律表第4族金属から選ばれる1種以上の金属を担持した触媒を用いるよりも、より高収率かつ高選択的・特異的に、長い期間安定して、プロピレンを製造できることを見出し、本発明に至った。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]エタノールを、反応器中で触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記触媒として、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加したものを用いることを特徴とするプロピレンの製造方法。
[2]前記リンの添加量が、前記アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.1〜1.0であることを特徴とする前記[1]のプロピレンの製造方法。
本発明においては、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加した触媒を用いることにより、エタノールを原料とした転化反応において、長期間安定にプロピレンを高収率かつ高選択的に製造することができる。
実施例1、2、3、5、及び比較例1で調製した触媒の結晶構造の粉末X線結晶構造解析法により測定した結果を示す図。 実施例1、2、3、5、及び比較例1で調製した触媒の酸量、及び酸強度をアンモニア昇温脱離法により測定した結果を示す図。 実施例1、比較例1、比較例8、及び比較例21で調製した触媒の活性劣化を試験した結果を示す図。 実施例1、実施例17、比較例1、及び比較例22の触媒について、アルミニウム濃度を核磁気共鳴分析法により測定した結果を示す図。
本発明において用いられる触媒について説明する。
本発明において用いられる触媒は、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加した触媒である。
本発明においては、MFI構造を有するアルミノシリケートであれば特に限定されないが、中でも、ZSM−5が好ましい。アルミノシリケートのSiO/Alモル比は通常30〜200、好ましくは80〜150である。
MFI構造を有するアルミノシリケートそのものもプロピレン生成活性を示すものの、収率が低く、活性の劣化も速い。一方、リンを添加した本発明で用いる触媒は、長期間安定にプロピレンを高収率かつ高選択的に製造することができる。
上記リンの含有量は、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して、モル比で、0.1〜1、好ましくは0.2〜0.7の範囲で効果を示す。
本発明に用いる触媒の前記リンの添加方法は、すでに調製されたMFI構造を有するアルミノシリケートに、含浸法又はイオン交換法により添加するものであっても、或いは、MFI構造を有するアルミノシリケートを調製する際に同時に添加する方法であってもよい。
上記リンを添加する際に用いる無機リン化合物は、通常は、リン酸アンモニウム塩等が用いられる。アルカリ、アルカリ土類塩は、焼成後に残存したアルカリ、アルカリ土類金属がアルミノシリケートの活性を低下させる可能性があるため、適さない。
リンの添加後は、通常は、乾燥した後、空気中で焼成する。
空気中の焼成は、約300〜900℃、好ましくは約400〜800℃で、約1〜10時間で行う。低温、短時間であると、化合物の分解が十分に進行せず、高温、長時間であると、アルミノシリケートの構造が壊れ、触媒の活性が低下してしまう。
焼成後には、リンは、アルミノシリケート中のアルミニウム近傍に存在すると考えられる。
本発明で用いられる触媒は、粉状、粒状、ペレット状、ハニカム状等、種々の形状で使用することができる。
本発明におけるプロピレンの製造方法においては、触媒の使用前に、室温〜約800℃、好ましくは約400〜700℃で、窒素等の不活性ガスで約1〜10時間、安定化処理を行う。
反応の原料に用いるエタノールとしては、特に限定されるものではない。たとえば、エチレンの水和反応により製造されるもの、植物由来の多糖類を原料として発酵により製造されるもの等の公知の各種方法により得られるものを任意に用いることができる。このとき各製造方法に起因する水が混合した状態のものをそのまま用いてもよいし、精製したエタノールを用いても良い。
本発明におけるエタノールの反応様式は特に限定されないが、通常は固定床、移動床、流動床等の形式の反応器を使用し、上記の触媒を充填した触媒層へエタノール原料を供給することにより行われる。このときエタノール原料は、窒素、あるいはスチーム等で希釈されていてもよい。
また、本発明において、反応におけるエタノール濃度は特に制限されない。本発明に用いる触媒は、エタノール濃度が10〜90%の範囲で、プロピレン収率ならびに選択率が変わらない。
本発明における反応温度は、通常200〜700℃程度、好ましくは350〜650℃、さらに好ましくは500〜600℃の範囲である。
また、本発明における反応圧力は、常圧あるいは加圧のいずれでも実施できるが、通常は常圧が採用される。
原料ガスと触媒の接触時間は、0.0001〜0.1g‐触媒・分/ml‐原料ガスの範囲内に有ることが好ましく、さらに、0.01〜0.05g‐触媒・分/ml‐原料ガスの範囲内に有ることが好ましい。接触時間が短すぎると、エチレン収率が高くなる。また、接触時間が長すぎるとパラフィンや芳香族化合物等の副生成物が生成し、プロピレン収率が低下するため、好ましくない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<調製法>
MFI型構造を有するアルミノシリケート(ゼオリスト社製商品名“CBV8014”,SiO/Alモル比=80,アンモニア型,425m/g<比表面積>)を、リンの添加量がアルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5となるように濃度を調整したリン酸水素二アンモニウム水溶液70gに含浸し、100℃空気中で5時間乾燥し、その後、600℃で4時間焼成することにより、リン添加アルミノシリケートを得た。
<反応>
上記のようにして得られた触媒0.3gを、常圧流通式反応装置に充填した。触媒床温度を測定するための熱電対を触媒床中心付近に配置した。
触媒は、反応前にN気流中、600℃、1時間安定化処理を施した。エタノールは、蒸発器を通しエタノール50体積%となるようにNと混合し、流量30ml/min(接触時間0.01g‐触媒・分/ml‐原料ガス)で反応器に供給し、550℃、1気圧で反応を行った。反応開始30分後にガスクロマトグラフで生成物を分析した。
生成物収率および原料転化率を次式により算出した。
生成物収率(炭素量基準:%)=(各成分中の炭素モル量/供給原料中の炭素モル量)×100
原料転化率(%)=(1−未反応原料質量/供給原料質量)×100
表1に結果を示した。
[比較例1]
実施例1において、リン酸水素二アンモニウムを使用しない以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。
[比較例2]
本比較例では、特許文献1で示されているメタノールからのオレフィン合成で有効なCa添加アルミノシリケートによる反応活性と比較するため、リン酸水素二アンモニウムを硝酸カルシウムに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのCa添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対してモル比で0.5とした。
[比較例3]
本比較例では、非特許文献4で示されているエタノールからのオレフィン合成で有効なSr添加アルミノシリケートによる反応活性と比較するため、リン酸水素二アンモニウムを硝酸ストロンチウムに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのSr添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
[比較例4]
本比較例では、エチレンとブテンからメタセシス反応によりプロピレンを製造場合に有効なWO添加触媒による反応活性と比較するため、リン酸水素二アンモニウムをパラタングステン酸アンモニウムに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのW添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
[比較例5]
本比較例では、特許文献4,非特許文献6においてNi添加が有効であったことから、Ni添加との比較を行うため、リン酸水素二アンモニウムを硝酸ニッケルに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのNi添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
[比較例6]
本比較例では、非特許文献1で示されているFe添加アルミノシリケートによる反応活性と比較するため、リン酸水素二アンモニウムを硝酸鉄に代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのFe添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
[比較例7]
本比較例では、アルミノシリケート中のアルミニウムをGaに置換したガロシリケートは、合成ガスからのオレフィン合成するフィッシャー・トロプシュ反応に有効であることから、Ga添加アルミノシリケートによる反応活性と比較するために、リン酸水素二アンモニウムを硝酸ガリウムに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのGa添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
[比較例8]
本比較例では、特許文献5,非特許文献7で示されている我々が見出したZr添加アルミノシリケートによる反応活性と比較するために、リン酸水素二アンモニウムをオキシ硝酸ジルコニウムに代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表1に示した。なお、このときのZr添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
Figure 2011105670
表1に示したように、アルミノシリケート担体にリン(P)を加えた触媒を用いることで、加えない場合よりもプロピレン収率が顕著に向上していることがわかる。リン(P)以外の、カルシウム(Ca)、タングステン(W)、鉄(Fe)の金属を加えた触媒では、エチレン収率は増加するが、プロピレン収率は低く、エタノールの脱水反応が主として進行している。特に、Wの添加が有効ではないことから、エタノールからの反応の場合、メタセシス反応機構で低級オレフィンが生成していないことがわかる。
一方、ニッケル(Ni)、ガリウム(Ga)の金属を加えた触媒では、低級オレフィン収率が低く、パラフィンや芳香族化合物等の望ましくない副生成物が増加する。リン(P)を添加した場合では、ストロンチウム(Sr)を添加した場合に比べてもプロピレン収率は高く、さらに、ジルコニウム(Zr)を添加した触媒よりも初期活性は高くなった。
これらのことから、高いプロピレン選択性を得るためには、リン(P)を添加したアルミノシリケート触媒を用いることが好ましいことがわかる。
[比較例9〜15]
比較例2〜8で調製した触媒にさらに実施例1と同様にしてリンを添加した触媒を調製し、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表2に示した。なお、このときのP添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5とした。
Figure 2011105670
表2に示したように、比較例2〜8の触媒にリンを加えた場合、全ての触媒においてプロピレン収率の低下が認められた。また、リンを加えることでエチレン収率が増加する一方、パラフィンや芳香族化合物等の収率が減少した。このことから、プロピレン選択性に対するリンと他の金属との組み合わせの効果は全くなく、むしろリン単独で使用することが効果的であることがわかった。
[比較例16、17]
実施例1において、アルミノシリケートのSiO/Alモル比を、それぞれ、「30」、及び「280」とした以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2011105670
表3から、SiO/Alモル比が30の場合では、80に比べてプロピレン収率が減少し、芳香族化合物やパラフィン等の好ましくない副生成物の収率が増加することが分かる。一方、SiO/Alモル比が280の場合では、生成物のほとんどがエチレンであり、エタノールの脱水反応のみが進行していることが分かる。従って、高いプロピレン収率を得るためには最適なSiO/Alモル比が存在することがわかる。SiO/Alモル比は好ましくは80〜150が望ましい。
[比較例18〜20]
リン酸水素二アンモニウムを、それぞれ「リン酸二水素アンモニウム」、「リン酸アンモニウム」、及び「リン酸」に代えた以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2011105670
表4に示したように、どのリン化合物を用いた場合でも、プロピレン収率に違いはほとんどみられない。リンを添加する場合のリン化合物は活性には影響しないことがわかった。
[実施例2〜5]
実施例1において、リンの添加量を、アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して、原子比で、ぞれぞれ「0.2」、「0.7」、「0.8」、及び「1.0」とした以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表5に示した。
Figure 2011105670
表5に示したように、リンを加えた触媒では、リンの添加量がアルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.5となるまで増加し、リンをさらに加えるとプロピレン収率は低下する。以上のことから、リンを添加したアルミノシリケート触媒を用いた反応では最適なP添加量が存在することがわかった。リンの添加量は、好ましくはアルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.2〜0.7が望ましい。
〈粉末X線結晶構造解析〉
実施例1、2、3、5、及び比較例1で調製した、それぞれの反応前の触媒の粉末X線結晶構造解析の結果を図1に示した。
図1より、リンを添加した場合としない場合で粉末X線結晶構造解析のスペクトルに違いは見られない。また、リンの添加量を増加させても違いはない。この結果から、リンの添加によってアルミノシリケートの構造自体は変化していないことがわかる。
〈アンモニア昇温脱離法〉
実施例1、2、3、5及び比較例1で調製した触媒の酸量、及び酸強度を、アンモニア昇温脱離法により測定した結果を図2に示した。
図2に示す結果から、MFI型のアルミノシリケート上では200℃付近と400℃付近にピークが見られる。これは弱い酸点と強い酸点に由来する。400℃付近のピーク面積がリンの添加量の増加と共に減少していることがわかる。また、ピーク温度はリンの添加量の増加と共に低温側にシフトしていることが見られる。従って、強い酸点の質がリンの添加によって変化したと考えられる。以上より、リンは構造をコントロールしているのではなく、酸性をコントロールすることで、プロピレン生成活性を増加させたと考えられる。
[実施例6〜8]
原料ガスのエタノール濃度を、それぞれ「20体積%」、「80体積%」及び「90体積%」とした以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表6に示した。
Figure 2011105670
表6から明らかなように、エタノールが20〜90体積%の幅広い濃度範囲で触媒性能が変わらず高いプロピレン収率を示す。このことから、エタノール濃度によらず高いプロピレン生成活性が得られることが分かった。
[実施例9〜12]
反応温度を、それぞれ「400℃」、「450℃」、「500℃」、及び「600℃」とした以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表7に示した。
Figure 2011105670
表7に示すように、温度の増加と共にエチレン収率は増加した。一方、プロピレン収率は、温度共に増加し500℃以上で高いプロピレン収率を示した。従って、高いプロピレン生成活性を高選択的に得るためには、反応温度は500〜600℃とすることが望ましいことが分かった。
[実施例13〜16]
原料ガスと触媒の接触時間を、「0.0025g‐触媒・分/ml‐原料ガス」、「0.005g‐触媒・分/ml‐原料ガス」、「0.02g‐触媒・分/ml‐原料ガス」、及び「0.04g‐触媒・分/ml‐原料ガス」とした以外は、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表8に示した。
Figure 2011105670
表8の結果から、接触時間の増加と共にエチレン収率が低下する。一方、プロピレン収率は向上するが、0.02以上ではわずかに低下し、パラフィンや芳香族化合物の収率が増加する。接触時間が長いと副反応が増加するため、プロピレン選択性向上のためには、接触時間を少なくとも0.01より大きくし0.05を超えない範囲で反応することが望ましいことがわかった。
〈活性劣化試験〉
実施例1、比較例1、及び比較例8で調製したそれぞれの触媒について、活性の安定性を調べるため、反応時間100時間相当の活性劣化試験を行い、その経時変化を図3に示した。
[比較例21]
また、SiO/Alモル比=280のアルミノシリケートの活性の安定性と比較した。反応条件はSiO/Alモル比=280の場合に最も高いプロピレン収率が得られる反応温度500℃、接触時間0.03g‐触媒・分/ml‐原料ガスとした。反応時間100時間相当の活性劣化試験を行い、その経時変化を図3に示した。
図中、●は実施例1(P−ZSM−5、SiO/Al=80)、◆は比較例1(H−ZSM−5、SiO/Al=80)、▲は比較例3(Sr−ZSM−5、SiO/Al=80)、■は比較例21(H−ZSM−5、SiO/Al=280)をそれぞれ示す。
図3から、リンを加えないSiO/Alモル比が80の場合では、時間ともにプロピレン収率が急激に低下している。これはエタノールの脱水反応で生成する水によりアルミノシリケートからの脱アルミニウムが進行するためである。一方、SiO/Alモル比の高いものは脱アルミニウムの進行速度が遅いため、劣化はしにくくなるが、SiO/Alモル比が280の場合でも100時間後にはプロピレン収率は1/3以下に低下している。また、低濃度のエタノール転化反応では、Zrの添加により初期活性ならびに安定性が高くなるが、50%以上の高濃度エタノールの場合、プロピレン収率は時間と共に低下し、約40時間で消失する。一方、リンを加えた場合では、高濃度のエタノールで反応を行っても、プロピレン収率が長時間にわたり維持されており、100時間後でも活性の低下は全く見られない。すなわち、リンを添加した触媒の耐久性は、Zrを添加した触媒に比べて飛躍的に増加しており、リンを加えたアルミノシリケート触媒による反応では、リンの添加によって触媒活性の安定性が著しく向上することがわかった。
〈劣化加速試験、及び核磁気共鳴分析〉
[実施例17、比較例22]
実施例1で調製した触媒(P−ZSM−5)、及び比較例1で調製した触媒(H−ZSM−5)について劣化加速試験として600℃で水蒸気33モル%含む窒素ガスを4時間通気した触媒(実施例17、比較例22)を用い、実施例1と同様にしてエタノールの転化反応を行い、その結果を表9に示した。
Figure 2011105670
表9より、リンを添加しない場合では、水処理後の触媒はプロピレン生成活性がほとんどない。これは、アルミノシリケートからの脱アルミニウムが進行したためと考えられる。一方、リンを添加した場合、プロピレン生成活性には水処理前と違いが見られない。このことから、リンの添加によって脱アルミニウムを抑制したと考えられる。
また、これらの触媒(実施例1、17、及び比較例1、22)について、アルミニウム濃度を核磁気共鳴分析により測定した結果を図4に示す。
図4より、ピークはアルミノシリケート中のアルミニウム濃度を示すが、リンを添加しない場合では水処理後にアルミニウム濃度が著しく低下しており、脱アルミニウムが進行していることが確認できる。一方、リンを添加した場合、水処理をする前と比較してアルミニウム濃度の低下はほとんど見られない。このことから、リンの添加によって、脱アルミニウムが抑制できることが確認できた。この脱アルミニウムが進行すると触媒は永久失活してしまうことから、リンを添加することは、この永久失活を防ぐ有効な手段である。
本発明は、バイオマスの発酵によって製造できるエタノールから低級オレフィンのエチレンとプロピレンを、高収率かつ高選択的に、長期間安定に製造できることを示すものであり、バイオマスから化学工業の基礎原料を生産する技術として利用されることで石油原料からバイオマス原料への代替に貢献することが期待される。

Claims (2)

  1. エタノールを、反応器中で触媒と接触させてプロピレンを製造する方法において、前記触媒として、MFI構造を有するアルミノシリケートにリンを添加したものを用いることを特徴とするプロピレンの製造方法。
  2. 前記リンの添加量が、前記アルミノシリケート中のアルミニウム含有量に対して原子比で0.1〜1.0であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
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