JP5245162B2 - ジルコニウム担持ゼオライト触媒を用いたエタノールからの炭素数3以上のオレフィン類の製造方法 - Google Patents
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Description
また、オレフィン類を製造する報告例としては、以下のような例がある。
(1)非特許文献2:エタノール転化率28%、プロピレン選択率35%(200℃)
(2)非特許文献3:プロピレン選択率18%(1時間後)、19%(2時間後)、14%(10時間後)、8%(15時間後)(450℃、含水エタノール使用)
(3)非特許文献4:エタノール転化率100%、プロピレン選択率10%(1時間後)、24%(10時間後)、13%(15時間後)(385℃)
しかし、鉄とリンを担持することによって、C3+オレフィン類やプロピレンの選択率が向上し、選択率の経時的低下も小さくなることや、焼成処理によって、再び元の活性が復活できることなどが本発明者によって見出されている(特許文献1、非特許文献7)。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類を製造する方法において、触媒として、ジルコニウム及びゼオライトを含有する触媒を用いたことを特徴とする炭素数3以上のオレフィン類の製造方法。
〈2〉炭素数3以上のオレフィン類がプロピレンであることを特徴とする〈1〉に記載の製造方法。
〈3〉ゼオライトが低ケイバン比のH−ZSM−5型ゼオライトであることを特徴とする〈1〉または〈2〉に記載の製造方法。
〈4〉エタノールが水を含むものであることを特徴とする〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の製造方法。
ガスクロマトグラフでは予め標準化合物の測定を行うことによりファクター値を求めておき、
(検出されたピーク面積)×(ファクター値)
より検出ガス中のそれぞれの化合物のモル濃度が求められた。
エタノール変換率や生成物の選択率、収率は、分子数ではなく炭素原子数を基準として計算し、以下のような式で求めた。
・エタノール変換率(%)=Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを除く)/Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを含む全検出物)×100
・生成物の選択率(%)=(生成物のモル濃度×生成物1分子あたりの炭素原子数)/Σ(検出物のモル濃度×検出物1分子あたりの炭素原子数)(残存エタノールを除く)×100
・生成物の収率(%)= エタノール変換率(%)× 生成物の選択率(%)/100
なお、エタノール変換率や生成物の選択率および収率は、[0026]の方法にしたがって算出した。
0.05919gの硝酸ジルコニル2水和物をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:CBV3024E、Zeolyst社製、シリカ/アルミナ比:30)2gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、ジルコニウムが1重量%含まれるジルコニウム担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒が調製された。
調製した触媒は、プレスして錠剤とした後、乳鉢などで磨り潰して顆粒状とし、篩を用いて直径0.5〜2mmのものを選別して用いた。
こうして得た触媒0.15gを内径9mmの石英製反応管中央に充填した。この場合、触媒層の下流側に石英ウールを充填して反応中に触媒が移動しないようにした。上流側にも少量だけ石英ウールを充填した。
反応の前処理として、反応管に空気を流し、500℃で1時間の焼成を行った。その後で原料ガスに切り替えた。
原料ガスは加熱によって気化したエタノール/窒素の混合ガスを用いた。ここではエタノールは水分を含有しない無水エタノールを用いた。エタノールはポンプによって供給し、気化した後に窒素と混合した。エタノールと窒素のモル比は38.6:61.4となった。窒素のみの流速は60cm3/分とした。
活性の測定方法は、450℃で反応を行い、1時間毎にサンプリングを行い、生成ガスの組成をガスクロマトグラフで分析する方法を用いた。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例1に示す。1回目のサンプリングの結果と、反応開始7時間後の8回目のサンプリングの結果(表の括弧内)を示す。
エタノール変換率は99.8%から96.1%へと経時的に低下し、プロピレン選択率(13.2→6.5%)、C3+オレフィン類選択率(27.4→16.6%)、プロピレン収率(13.2→6.2%)、C3+オレフィン類収率(27.3→15.9%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.86→0.70)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.39→0.22)も同様に低下した。
実施例1では、原料ガスに含まれるエタノールは水分を含有しないエタノールを反応に用いたが、実施例2では水分を含有するバイオエタノールを用いた。ここではバイオエタノールのモデルとして、アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合したものを用いた。計算上、エタノール含有率は87.5%となる。この含水エタノールを加熱によって気化した後に窒素と混合して、原料ガスを得た。ここでも窒素のみの流速は60cm3/分とした。
触媒は実施例1と同様のものを用い、エタノールの種類を除く、前処理、反応などの条件も実施例1と同様にした。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例2に示す。エタノール変換率(97.9→80.9%)プロピレン選択率(13.2→9.4%)、C3+オレフィン類選択率(24.2→21.0%)、プロピレン収率(12.9→7.6%)、C3+オレフィン類収率(23.7→17.0%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.98→0.86)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.43→1.87)という結果となった。プロピレン/芳香族類の選択率比が経時的に増加した他は、実施例1と同様に経時的に低下した。
実施例1と比べてエタノール変換率が低くなり、かつ大幅な経時的低下が見られた。一方、プロピレンやC3+オレフィン類の初期選択率および収率は低くなったが、反応開始7時間後はいずれも実施例1よりも高くなった。プロピレン/パラフィン類の選択率比やプロピレン/芳香族類の選択率比は反応初期も7時間後も実施例1よりも高い値を示した。
0.1196gの硝酸ジルコニル2水和物をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:CBV3024E、Zeolyst社製、シリカ/アルミナ比:30)2gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、ジルコニウムが2重量%含まれるジルコニウム担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒が調製された。
触媒の前処理、エタノール反応などの条件は、実施例1と同様にした。ここではエタノールに無水エタノールを用いた。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例3に示す。エタノール変換率(99.5→99.5%)プロピレン選択率(13.7→5.6%)、C3+オレフィン類選択率(27.0→15.2%)、プロピレン収率(13.6→5.6%)、C3+オレフィン類収率(26.9→15.1%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.88→0.70)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.43→0.17)という結果となった。ジルコニウム1重量%担持触媒を用いた実施例1の場合と比べ、近い値が得られた。
実施例3では、原料ガスに含まれるエタノールは水分を含有しないエタノールを反応に用いたが、実施例4では水分を含有するバイオエタノールを用いた。ここではバイオエタノールのモデルとして、アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合したものを用いた。計算上、エタノール含有率は87.5%となる。この含水エタノールを加熱によって気化した後に窒素と混合して、原料ガスを得た。ここでも窒素のみの流速は60cm3/分とした。
触媒は実施例3と同様のものを用い、前処理、反応などの条件は実施例2と同様にした。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例4に示す。エタノール変換率(99.9→98.4%)プロピレン選択率(14.2→7.9%)、C3+オレフィン類選択率(27.5→18.7%)、プロピレン収率(14.1→7.8%)、C3+オレフィン類収率(27.5→18.4%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.89→0.78)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.72→1.80)という結果となった。ジルコニウム1重量%担持触媒でバイオエタノールを用いた実施例2の場合と比べ、全体的にプロピレンやC3+オレフィン類の選択率や収率は高くなった。プロピレン/パラフィン類の選択率比は少し低くなったが、プロピレン/芳香族類の選択率比は初期は実施例2より高くなったものの、7時間後は少し低くなった。
同じ触媒で無水エタノールを用いた実施例3の場合と比べ、プロピレンやC3+オレフィン類の選択率や収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比のいずれも高くなり、エタノール中の水分の存在が触媒活性を向上させていることが分かる。
0.3084gの硝酸ジルコニル2水和物をイオン交換水に溶解させ、この中にH−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:CBV3024E、Zeolyst社製、シリカ/アルミナ比:30)2gを入れて含浸させ、一晩放置した。ゼオライト担体は含浸前に空気存在下で焼成を行っておいた。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。含浸後、一晩放置した後、120℃のオーブン中で乾燥し、前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製の焼成管中、空気流通下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。これにより、ジルコニウムが5重量%含まれるジルコニウム担持H−ZSM−5型ゼオライト触媒が調製された。
触媒の前処理、エタノール反応などの条件は、実施例1および3と同様にした。ここではエタノールに無水エタノールを用いた。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例5に示す。エタノール変換率(99.1→90.3%)プロピレン選択率(9.0→5.1%)、C3+オレフィン類選択率(20.5→13.4%)、プロピレン収率(8.9→4.6%)、C3+オレフィン類収率(20.3→12.1%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.75→0.68)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.22→0.15)という結果となった。ジルコニウム1重量%担持の実施例1、ジルコニウム2重量%担持の実施例3の場合と比べ、殆どの値が小さくなった。
この結果より、無水エタノールの変換においては、ジルコニウムの過剰な担持は逆効果になると考えられる。
実施例5では、原料ガスに含まれるエタノールは水分を含有しないエタノールを反応に用いたが、実施例6では水分を含有するバイオエタノールを用いた。ここではバイオエタノールのモデルとして、アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合したものを用いた。計算上、エタノール含有率は87.5%となる。この含水エタノールを加熱によって気化した後に窒素と混合して、原料ガスを得た。ここでも窒素のみの流速は60cm3/分とした。
触媒は実施例5と同様のものを用い、前処理、反応などの条件は実施例2および4と同様にした。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の実施例6に示す。エタノール変換率(99.8→99.8%)プロピレン選択率(14.2→8.8%)、C3+オレフィン類選択率(28.8→21.7%)、プロピレン収率(14.2→8.8%)、C3+オレフィン類収率(28.7→21.7%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.91→0.77)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.63→1.71)という結果となった。ジルコニウム1重量%担持の実施例2、ジルコニウム2重量%担持の実施例4の場合と比べ、選択率や収率では僅かに高い数値を示した。選択率比においては、明確な差が見出せなかった。
同じ触媒で無水エタノールを用いた実施例5の場合と比べ、選択率、収率、選択率比の全ての面で上回る数値を示した。この結果から、ジルコニウム5重量%担持ではエタノール中の水分の存在が明らかに触媒活性を向上させていることが分かる。
比較例として、金属を担持しない、H−ZSM−5型ゼオライト担体(商品名:CBV3024E、Zeolyst社製、シリカ/アルミナ比:30)のみを用いたエタノール変換反応も行った。ゼオライト担体は反応前に空気存在下で焼成を行った。焼成温度は500℃、焼成時間は6時間とした。ジルコニウム担持触媒と条件を揃えるため、再度、空気存在下で焼成を行った。焼成温度は700℃、焼成時間は3時間とした。
触媒の前処理、エタノール反応などの条件は、実施例1、3および5と同様にした。ここではエタノールに無水エタノールを用いた。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の比較例1に示す。エタノール変換率(98.6→93.3%)プロピレン選択率(8.7→5.0%)、C3+オレフィン類選択率(22.1→12.9%)、プロピレン収率(8.6→4.7%)、C3+オレフィン類収率(21.8→12.0%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.75→0.74)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.53→0.58)という結果となった。ジルコニウム担持触媒と比べ、エタノール変換率が若干低くなった他、プロピレンやC3+オレフィン類の選択率および収率も低くなる傾向が見られた。プロピレン/パラフィン類の選択率比には明確な差は見出されなかったが、プロピレン/芳香族類の選択率比はジルコニウム担持触媒よりやや高くなった。
比較例1では、原料ガスに含まれるエタノールは水分を含有しないエタノールを反応に用いたが、ここでは水分を含有するバイオエタノールを用いた。ここではバイオエタノールのモデルとして、アルコール濃度50%のウオッカ(SUNTORY VODKA, PROOF100)と市販の無水エタノールを1:3の体積比で混合したものを用いた。計算上、エタノール含有率は87.5%となる。この含水エタノールを加熱によって気化した後に窒素と混合して、原料ガスを得た。ここでも窒素のみの流速は60cm3/分とした。
触媒は比較例1と同様のものを用い、前処理などの条件は実施例2,4,6と同様にした。
この触媒と反応条件で得られた、エタノール変換率、プロピレン選択率、C3+オレフィン類選択率、プロピレン収率、C3+オレフィン類収率、プロピレン/パラフィン類の選択率比、プロピレン/芳香族類の選択率比を表1の比較例2に示す。エタノール変換率(87.9→85.7%)プロピレン選択率(10.3→5.6%)、C3+オレフィン類選択率(24.3→14.9%)、プロピレン収率(9.1→4.8%)、C3+オレフィン類収率(21.4→12.8%)、プロピレン/パラフィン類の選択率比(0.77→0.74)、プロピレン/芳香族類の選択率比(0.84→1.77)という結果となった。同じ触媒で無水エタノールを用いた比較例1と比べてエタノール変換率が低くなったが、プロピレンやC3+オレフィン類の選択率では上回っていた。収率では大きな差は見られなかった。プロピレン/パラフィン類の選択率比でも大きな差はなかったが、プロピレン/芳香族類の選択率比は比較例1よりも大きくなった。
ジルコニウム担持触媒を用いた、実施例2,4,6と比較すると、プロピレンやC3+オレフィン類の選択率および収率は低くなった。プロピレン/パラフィン類の選択率比も低くなったが、プロピレン/芳香族類の選択率比は若干高くなった。
Claims (3)
- 触媒の存在下でエタノールから炭素数3以上のオレフィン類を製造する方法において、触媒として、ジルコニウムのみを担持した、シリカ/アルミナ比が5〜100のH−ZSM−5型ゼオライトを用いることを特徴とする炭素数3以上のオレフィン類の製造方法。
- 炭素数3以上のオレフィン類がプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- エタノールが水を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
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