JP2010006638A - 無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びicセラミックスパッケージ - Google Patents

無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びicセラミックスパッケージ Download PDF

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Abstract

【課題】
無鉛低融点ガラスに対する無鉛フィラーの比重,粒径,含有量を配慮し、封着部或いは被覆部の無鉛フィラーの分散状態を適切にコントロールした無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びICセラミックスパッケージを提供する。
【解決手段】
無鉛低温ガラスフリットが無鉛低融点ガラスと、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーと大きい無鉛フィラーとを含む。さらに、これら無鉛フィラーは、平均粒径が異なり、好ましくは、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの平均粒径が、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの平均粒径より大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は、低温で封着,被覆等に使用可能で、無鉛低融点ガラスと無鉛フィラーとを含む無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びICセラミックスパッケージに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)等の前面板と背面板を気密封着される画像表示装置等では、低温ガラスフリットが使用される。その低温ガラスフリットは、500℃以下の低温で軟化,流動する低融点ガラスと、それを低熱膨張化するためのフィラーからなる。従来、このような低融点ガラスとして酸化鉛を主成分とするガラス、フィラーとしてチタン酸鉛等が使用されていた。
昨今、環境や安全の規制により、鉛を含む材料の使用が回避されている。無鉛低温ガラスフリットとして、特許文献1では酸化ビスマスを主成分とするガラス、特許文献2では酸化スズを主成分とするガラス組成物、特許文献3と特許文献4では酸化バナジウムを主成分とするガラスが提案されている。また、無鉛フィラーとしては、石英ガラス,コージェライト,β−ユークリプタイト,ケイ酸亜鉛,ジルコン,アルミナ等の粉末が組み合わせられている。
一般的には、低温ガラスフリットを用いて封着或いは被覆された部分は、低融点ガラス中にフィラーが均一に分散された状態となっている。フィラーが均一に分散された低温ガラスフリットとして、特許文献5や特許文献6が提案されている。
従来の無鉛低温ガラスフリットでは、有害な鉛を含まないことや熱膨張をコントロールすることは配慮されていたが、無鉛低融点ガラスに対して無鉛フィラーの比重と粒径を配慮した材料設計とはなっていなかった。また、従来の無鉛低温ガラスフリットにより気密封着或いは被覆された部分での無鉛フィラーの分散状態は、低融点ガラス中に均一に分散することを目標とはされてはいるが、その方法に関しては明確にはされていなかった。
従来の無鉛低温ガラスフリットでは、被封着材や被被覆材との熱膨張のマッチングを取るために、無鉛フィラーが含有され、その封着部や被覆部にはその無鉛フィラーが均一に分散されることが一般的である。無鉛フィラーの含有により効率的に低熱膨張化するためには、封着部や被覆部が破損しない範囲で無鉛フィラーの粒径を大きくした方がよい。これによれば、無鉛フィラーの含有量を少なくできるので、無鉛低温ガラスフリットの流動性を損なうことなく、低温で気密な封着や被覆が可能である。しかし、無鉛フィラーの粒径を大きくすると、被封着部にキズを付けたり、また被覆部の凹凸が大きくなったりする問題が発生する。
一方、無鉛フィラーの粒径を小さくすると、その含有量を増やす必要があり、無鉛低温ガラスフリットの流動性を損なうことになり、低温での気密封着や被覆がしにくくなる問題が発生する。
特開平10−139478号公報 特開平7−69672号公報 特開2004−250276号公報 特開2006−342044号公報 特開2000−103642号公報 特開昭59−35040号公報
そこで、本発明の目的は、無鉛低融点ガラスに対する無鉛フィラーの比重,粒径,含有量を配慮し、封着部或いは被覆部の無鉛フィラーの分散状態を適切にコントロールした無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びICセラミックスパッケージを提供することにある。
すなわち、本発明の無鉛低温ガラスフリットは、500℃以下で封着,被覆する無鉛低温ガラスフリットにおいて、前記無鉛低温ガラスフリットが、無鉛低融点ガラスと、前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーと、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーとを含むことを特徴としている。
また、これら無鉛フィラーは、平均粒径が異なり、好ましくは、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの平均粒径が、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの平均粒径より大きいことを特徴とする。
また、本発明の無鉛低温ガラスフリットは、無鉛低融点ガラスの含有量が60〜80体積%、無鉛フィラーの合計含有量が20〜40体積%であり、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの平均粒径が20μm以上、低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする。さらに、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの含有量が、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの含有量より体積比で同等或いは多いことが好ましく、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの含有量が10〜30体積%、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの含有量が5〜20体積%、残りが無鉛低融点ガラスであることが望ましい。
また、本発明の無鉛低温ガラスフリットにおいて、無鉛低融点ガラスの比重が3.0〜4.0であることを特徴としている。この無鉛低融点ガラスはリン酸系ガラスであり、バナジウムを主成分であることが好ましい。
また、本発明の無鉛低温ガラスフリットペースト材料は、上記の無鉛低温ガラスフリットと、樹脂バインダーと、溶剤とを含むことを特徴としている。
また、本発明の画像表示装置は、前面板と背面板とを対向して、外周部分を低温ガラスフリットで気密に封着した画像表示装置において、前記低温ガラスフリットが、上記の無鉛低温ガラスフリットであることを特徴としている。
また、本発明のICセラミックスパッケージは、配線とICチップを搭載したセラミックス基板をセラミックス蓋にて外周部分を低温ガラスフリットで気密に封着したICセラミックスパッケージにおいて、前記低温ガラスフリットが、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリットであることを特徴としている。
本発明によれば、環境負荷の低減を図るとともに500℃以下の低温ガラス封着や被覆ができ、しかも被封着部にキズを付けたり、被覆部の凹凸が大きくなったりすることがない、実用性の高い無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びICセラミックスパッケージを提供できる。
本発明をさらに詳細に説明する。
500℃以下で封着,被覆する無鉛低温ガラスフリットにおいて、無鉛低温ガラスフリットが無鉛低融点ガラスと、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーと小さい無鉛フィラーとを含むことにより、この無鉛低温ガラスフリットにより気密封着或いは被覆された部分での無鉛フィラー分散状態は、無鉛低融点ガラス中に均一に分散され、被封着部にキズを付けたり、被覆部の凹凸が大きくなったりすることはなくなる。しかし、無鉛フィラーが、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーだけで構成されると、低融点ガラス中でその無鉛フィラーが沈んでしまう傾向があり、表面の凹凸はないが、表面部にクラックが発生しやすいという問題が発生する。一方、無鉛フィラーが、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーだけで構成されると、低融点ガラス中でその無鉛フィラーが浮いてしまう傾向があり、表面のクラック発生はないが、表面部の凹凸は大きいと言った問題が発生する。また、底部にクラックが発生することがある。さらに、表面の凹凸により被封着部をキズ付けたりすることがある。その上、表面部において無鉛フィラーが多く、無鉛低融点ガラスが少ないため、被封着部分との良好な接着性が得られないことがある。
さらに、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーと小さい無鉛フィラーは、平均粒径が異なり、好ましくは、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの平均粒径を無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの平均粒径より小さくすることによって、無鉛低融点ガラス中により均一に無鉛フィラーを分散させることができ、より信頼性の高い気密封着や被覆を可能とする。無鉛フィラーの好ましい平均粒径は、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーが10μm以下、低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーが20μm以上であった。
また、無鉛低融点ガラスの含有量が60〜80体積%、無鉛フィラーの合計含有量が20〜40体積%であることが好ましく、無鉛低融点ガラスの含有量が60体積%未満、無鉛フィラーの合計含有量が40体積%を超えると、焼成時の流動性が悪化し、熱収縮量や表面の凹凸が大きくなり、しかも良好な接着力が得られにくい。一方、無鉛低融点ガラスの含有量が80体積%を超え、無鉛フィラーの合計含有量が20体積%未満であると、無鉛低温ガラスフリットの熱膨張や流動性をコントロールしにくいと言った問題がある。さらに、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの含有量が、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの含有量より体積比で少ないことが好ましく、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの含有量が5〜20体積%、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーの含有量が15〜30体積%、残部が無鉛低融点ガラスであることが望ましい。比重が大きい無鉛フィラーの含有量が、比重が小さい無鉛フィラーの含有量より多いと、熱収縮量や表面の凹凸が大きくなってしまう。
従来の低融点ガラスは、低温で軟化,流動するガラスほど比重は重くなる傾向がある。一方、熱膨張が小さい無鉛フィラーは、低融点ガラスに比べ比重は軽いと言った傾向がある。すなわち、低温で封着,被覆できる低温ガラスフリットほど、低融点ガラスとフィラーの比重差が大きくなる訳で、均一に分散しにくくなる。従来技術では、フィラーを均一に分散できないと、フリットを均一に低熱膨張化できなくなり、封着部や被封着材を破損したりする。これを改善するために、本発明では、低融点ガラスの比重に対してフィラーの比重をコントロールした。さらに比重でカバーできない点は、フィラーの粒径によって調整した。
本発明の無鉛低温ガラスフリットは、ペーストの形態として適用されることが一般的である。ペーストは所定量の無鉛低融点ガラス粉末と上記2種の無鉛フィラー粉末に、樹脂バインダーと溶剤を加え、均一に混合することによって作製される。通常は、このペーストをディスペンサー法や印刷法で所定の箇所に塗布し、乾燥後に焼成される。封着の場合には、被封着材と合わせ、さらに熱処理され、気密性の高いガラス封着部を得ることができる。
本発明の無鉛低温ガラスフリットは、無鉛低融点ガラスや無鉛フィラーの比重,粒径,含有量等を適切にコントロールするために、歩留まり良く、信頼性の高い封着部や被覆部を得ることができる。このため、プラズマディスプレイ等の画像表示装置,ICセラミックスパッケージ,バルブランプや蛍光管の照明装置等の低温気密封着,封止に有効に適用することができる。
画像表示装置では、前面板と背面板とを対向して、外周部分を本発明の無鉛低温ガラスフリットで気密封着される。ICセラミックスパッケージでは、配線やICチップを搭載したセラミックス基板をセラミックス蓋にて外周部分を本発明の無鉛低温ガラスフリットで気密封着される。
以下、実施形態に基づいて本発明を具体的に説明する。
〔第1の実施形態〕
検討した無鉛低融点ガラスを表1に示す。
Figure 2010006638
G1〜3は酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラス、G4は酸化スズを主成分とするリン酸系低融点ガラス、G5は酸化ビスマスを主成分とするホウ酸系低融点ガラスである。ガラスの比重は、アルキメデス法により測定した。ガラスの熱膨張係数は、4×4×20mmに加工したサンプルを用い、熱膨張計により熱膨張曲線を測定し、室温から300℃の範囲で算出した。なお、標準サンプルは石英ガラスを用い、換算した。ガラスの軟化点は、示差熱分析(DTA)を行い、DTAカーブの第二吸熱ピーク温度とした。表1の低融点ガラスは平均粒径が5〜10μmの範囲に入るように粉砕して用いた。
無鉛フィラーとしては、表2に示すように、平均粒径がそれぞれ異なったF11〜13の石英ガラス,F21〜25のコージェライト,F31〜33のリン酸ジルコニウム,F41〜43のアルミナ,F51〜53の酸化ニオブを用いた。
Figure 2010006638
表1の無鉛低融点ガラス粉末と表2の無鉛フィラー粉末、さらに樹脂バインダーと溶剤を用いて無鉛低温ガラスフリットペーストを作製した。樹脂バインダーとしては、エチルセルロース或いはニトロセルロース、溶剤としては、ブチルカルビトールアセテートを用いた。図1に示すように、この無鉛低温ガラスフリットペースト1を用いてディスペンサー法にて線幅5.0±0.2mm、長さ90〜95mmでガラス基板2上に3ライン塗布した。ガラス基板には100×50×1.8mmのプラズマディスプレイ用のパネルガラスを用いた。無鉛低温ガラスフリットペースト1を塗布したガラス基板2を150℃で30分乾燥させた後、460℃で1時間焼成した。焼成雰囲気は、それぞれの無鉛低融点ガラスに合わせ、大気中或いは窒素中とした。大気中で焼成できない、酸化スズを主成分とするリン酸系低融点ガラスG4のみ窒素中を用いた。
焼成後の塗布膜の熱収縮率,最大表面粗さ(Ry)、表面のクラック,ガラス基板のクラックの状況を評価した。熱収縮率は5mmの線幅に対しての収縮量から測定した。3ラインそれぞれ中央部1箇所ずつ測定して、その平均値を熱収縮率とした。最大表面粗さ(Ry)は、直針法の粗さ計により、長手方向20mmで測定した。これも同様に3ラインそれぞれ中央部1箇所ずつ測定して、その平均値を最大表面粗さ(Ry)とした。フリット表面のクラックは、表面からの光学顕微鏡やレーザ顕微鏡の観察によった。ガラス基板のクラックは、裏面からの目視,光学顕微鏡の観察によった。また、無鉛低温ガラスフリットペースト1を塗布,乾燥,焼成したガラス基板2を切断,研磨して、その断面をSEM観察することによって無鉛低融点ガラス中での無鉛フィラーの分散状態を評価した。
表3に、作製した無鉛低温ガラスフリットペーストと、その焼成条件、そして焼成後の評価結果を示す。
Figure 2010006638
実施例9と比較例6は、酸化スズを主成分とするリン酸系ガラスG4を使用しているため、大気中での焼成が難しく、窒素中で焼成した。また、窒素中で焼成するため、樹脂バインダーとしてニトロセルロースを用いた。それ以外の実施例,比較例については、大気中で焼成できる低融点ガラスを使用したため、樹脂バインダーとしてエチルセルロース、焼成雰囲気は大気中とした。
実施例1〜3は、無鉛低融点ガラスとして酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスG1、無鉛フィラーとしてG1ガラスより比重が小さい石英ガラスF11〜13と比重が大きいアルミナF41〜43を用いた。実施例4と5は、無鉛低融点ガラスとして酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスG2、無鉛フィラーとしてG2ガラスより比重が小さいコージェライトF21,24と比重が大きいリン酸ジルコニウムF31,33を用いた。実施例6〜8は、無鉛低融点ガラスとして酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスG3、無鉛フィラーとしてG3ガラスより比重が小さいコージェライトF22,23,25と比重が大きい酸化ニオブF51〜53を用いた。また、実施例9は、無鉛低融点ガラスとして酸化スズを主成分とするリン酸系低融点ガラスG4、無鉛フィラーとしてG4ガラスより比重が小さい石英ガラスF13と比重が大きいリン酸ジルコニウムF32を用いた。どの実施例においても、焼成後の状態は熱収縮率,最大表面粗さ,表面クラック及び基板クラックのすべてにおいて、良好な結果が得られ、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーと大きい無鉛フィラーの両方を用いることが有効であることが分かった。焼成後のフィラー分散状態は、図2に示すように、無鉛低温ガラスフリット3中に、無鉛低融点ガラス4の比重より小さい無鉛フィラー5と大きい無鉛フィラー6が均一に分散されていた。これが良好な結果をもたらしたものと考えられる。
一方、比較例1〜9では、無鉛フィラーの比重が無鉛低融点ガラスの比重より小さいか、大きいかのどちらか一方であり、良好な結果が得られなかった。比較例1〜3,6〜9は、無鉛フィラーの比重が無鉛低融点ガラスの比重より小さい場合で、ガラス基板にクラックが発生した。また、最大表面粗さが実施例1〜9に比べ大変大きくなっていた。さらに熱収縮率も実施例1〜9に比べると大きい。断面をSEM観察すると、図3に示すように無鉛低融点ガラス4の比重より小さい無鉛フィラー5は無鉛低温ガラスフリット3の上部に多く、底部に少なくなっており、これが原因で基板クラック7が発生したり、表面の粗さが大きくなったものと考えられる。比較例4と5では、無鉛フィラーの比重が無鉛低融点ガラスの比重より大きい場合で、フリットの表面部分にクラックが発生した。断面をSEM観察すると、図4に示すように、無鉛低融点ガラス4の比重より大きい無鉛フィラー6は無鉛低温ガラスフリット3の底部に多く、上部に少なくなっており、これが原因で表面クラック8が発生したものと考えられる。
また、実施例1〜9において、実施例3,5及び7〜9は、熱収縮率と最大表面粗さがともに小さくなる傾向があり、さらに良好な結果となっていた。実施例3,5,7〜9では、図2で示したように、無鉛低融点ガラス4の比重より小さい無鉛フィラー5の平均粒径が、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラー6の平均粒径より大きくなっている。これが熱収縮率と最大表面粗さをともに小さくする効果があるものと考えられる。
さらに、表1の無鉛低融点ガラスG1〜4は、G5に比べると比重が大変小さいため、それを基準に比重の大きい無鉛フィラーと比重の小さい無鉛フィラーを選定しやすいといった利点がある。G5ガラスの場合は、比重が大変大きく、そのガラスより比重が小さい無鉛フィラーは選定しやすいが、一方比重が大きい無鉛フィラーの選定は難しい。無鉛フィラーの比重を配慮すると、無鉛低融点ガラスの比重は3.0〜4.0が好ましい範囲である。この範囲の無鉛低融点ガラスとしては、G1〜4ガラスのようなリン酸系低融点ガラスが有効である。さらに望ましくは、大気中で焼成できることから、G1〜3ガラスのような酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスが特に有効である。
〔第2の実施形態〕
次に、表1の無鉛低融点ガラスと表2の無鉛フィラーを用いて、それぞれの含有量について検討した。無鉛低融点ガラスとしては、酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスG1、無鉛フィラーとしてG1ガラスより比重が小さい石英ガラスF13と比重が大きいアルミナF42を用いた。無鉛フィラーF13の平均粒径(20μm)は、F42の平均粒径(10μm)より大きく、上記実施例1の結果を反映した。樹脂バインダーとしてエチルセルロース、溶剤としてブチルカルビトールアセテートを用い、無鉛低温ガラスフリットペーストを作製した。このペーストを実施例1と同様にして、塗布,乾燥,焼成した。焼成は大気中430℃で1時間保持した。焼成後の評価も実施例1に準じて行った。
表4に、作製した無鉛低温ガラスフリットとその評価結果を示す。
Figure 2010006638
実施例10〜19においては、焼成後の状態は熱収縮率,最大表面粗さ,表面クラック,基板クラック及び無鉛フィラーの分散状態のすべてにおいて、良好な結果が得られ、無鉛低融点ガラスの含有量が60〜80体積%、無鉛フィラーの合計含有量が20〜40体積%であることが好ましい組成範囲であることが分かった。一方、この組成範囲外の比較例10と11では、良好な結果が得られなかった。比較例10では、実施例10〜19に対して無鉛低融点ガラスの含有量が90体積%と多く、一方、無鉛フィラーの合計含有量が10体積%と少ないため、熱収縮率と最大表面粗さRyは良好な結果となってはいるが、無鉛フィラーによる低熱膨張化効果が不十分であり、フリットの表面やガラス基板にクラックが発生してしまった。比較例11では、実施例10〜19に対して無鉛低融点ガラスの含有量が50体積%と少なく、一方、無鉛フィラーの合計含有量が50体積%と多いため、フリットの表面やガラス基板にクラックは発生しないが、熱収縮率と最大表面粗さRyが非常に大きくなってしまった。また、無鉛フィラーの入れすぎによって、良好な流動性が得られず、接着性が乏しくなってしまう可能性が十分にある。
また、実施例10〜19において、実施例10,11,13〜15,17及び18は、実施例12,16及び19に比べると熱収縮率と最大表面粗さがともに小さくなる傾向があり、さらに良好な結果となっていた。実施例10,11,13〜15,17及び18では、無鉛低融点ガラスG1の比重より小さい無鉛フィラーF13の含有量が、無鉛低融点ガラスG1の比重より大きい無鉛フィラーF42の含有量より体積比で同等或いは多くなっており、これが熱収縮率と最大表面粗さに効果があったものと考えられる。さらに、好ましい組成範囲は、無鉛低融点ガラスG1の比重より小さい無鉛フィラーF13が10〜30体積%、無鉛低融点ガラスG1の比重より大きい無鉛フィラーF42が5〜20体積%、残部が無鉛低融点ガラスG1であった。
〔第3の実施形態〕
本実施例では、表1の無鉛低融点ガラスと表2の無鉛フィラーを用いて、無鉛フィラーの粒径について検討した。無鉛低融点ガラスとしては、酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスG3、無鉛フィラーとしてG3ガラスより比重が小さいコージェライトF21〜25と比重が大きい酸化ニオブF51〜54を用いた。上記実施例2の結果を反映して、無鉛低融点ガラスの含有量を70体積%、無鉛フィラーの合計含有量を30体積%とした。また、無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラー(コージェライト)の含有量を20体積%、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラー(酸化ニオブ)の含有量を10体積%と一定にした。樹脂バインダーとしてエチルセルロース、溶剤としてブチルカルビトールアセテートを用い、無鉛低温ガラスフリットペーストを作製した。このペーストを実施例1,2と同様にして、塗布,乾燥,焼成した。焼成は大気中480℃で1時間保持した。焼成後の評価も実施例1,2に準じて行った。
先ずは、無鉛低融点ガラスG3の比重より大きい無鉛フィラーF51(平均粒径1μm)を固定して、無鉛低融点ガラスG3の比重より小さい無鉛フィラーF21〜25(平均粒径5〜45μm)について検討し、無鉛低温ガラスフリットの熱収縮率と最大表面粗さRyを調べた。その結果を図5に示す。無鉛低融点ガラスより比重が小さい無鉛フィラーの平均粒径が増加するとともに熱収縮率,最大表面粗さともに減少し、平均粒径20μm以上で良好な結果となった。断面をSEM観察すると図2で示したように無鉛フィラーが無鉛低温ガラスフリット中に均一に分散されていた。
次に、無鉛低融点ガラスG3の比重より小さい無鉛フィラーF24(平均粒径30μm)を固定して、無鉛低融点ガラスG3の比重より大きい無鉛フィラーF51〜54(平均粒径1〜20μm)について検討し、無鉛低温ガラスフリットの熱収縮率と最大表面粗さRyを調べた。その結果を図6に示す。無鉛低融点ガラスより比重が大きい無鉛フィラーの平均粒径が増加するとともに熱収縮率,最大表面粗さともに増加し、平均粒径10μm以下で良好な結果となった。断面をSEM観察すると図2で示したように無鉛フィラーが無鉛低温ガラスフリット中に均一に分散されていた。
以上より、無鉛低温ガラスフリット中に均一に分散された無鉛フィラーの粒径は、無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの平均粒径が20μm以上、無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーの平均粒径が10μm以下であることが好ましい。
〔第4の実施形態〕
本実施例では、本発明の無鉛低温ガラスフリットをプラズマディスプレイパネルに適用した例を説明する。プラズマディスプレイパネルの断面図の概要を図7に示す。
プラズマディスプレイパネルでは、前面板10,背面板11が100〜150μmの間隙をもって対向させて配置され、各基板の間隙は隔壁12で維持されている。前面板10と背面板11の周縁部は封着フリット13で気密に封止され、パネル内部に希ガスが充填されている。隔壁12により区切られた微小空間(セル14)には、赤色,緑色,青色の蛍光体15,16,17がそれぞれ充填され、3色のセルで1画素を構成する。各画素は信号に応じ各色の光を発光する。
前面板10,背面板11には、ガラス基板上に規則的に配列した電極が設けられている。前面板10の表示電極18と背面板11のアドレス電極19が対となり、この間に表示信号に応じて選択的に100〜200Vの電圧が印加され、電極間の放電により紫外線20を発生させて赤色,緑色,青色の各色の蛍光体15,16,17を発光させ、画像情報を表示する。表示電極18,アドレス電極19は、これら電極の保護と、放電時の壁電荷の制御等のために、誘電体層22,23で被覆される。
背面板11には、セル14を形成するために、アドレス電極19の誘電体層23の上に隔壁12が設けられる。この隔壁12はストライプ状或いはボックス状の構造体である。
また、コントラストを向上するために、隣接するセルの表示電極間にブラックマトリックス(黒帯)21が形成されることもある。
表示電極18,アドレス電極19としては、一般的には銀厚膜配線が使用される。表示電極18,アドレス電極19、及びブラックマトリックス21の形成は、スパッタリング法によっても可能であるが、価格低減のためには印刷法が有利である。誘電体層22,23は、一般的には印刷法で形成される。
前面板10では、背面板11のアドレス電極19に直交するように、表示電極18やブラックマトリックス21を形成した後に、誘電体層22を全面に形成する。その誘電体層22の上には、放電より表示電極18等を保護するために、保護層24が形成される。一般的には、その保護層24には、MgOの蒸着膜が使用される。背面板11には、アドレス電極19,誘電体層23の上に隔壁12が設けられる。ガラス構造体よりなる隔壁は、少なくともガラス組成物とフィラーを含む構造材料よりなり、その構造材料を焼結した焼成体から構成される。隔壁12は、隔壁部に溝が切られた揮発性シートを貼り付け、その溝に隔壁用のペーストを流し込み、大気中500〜600℃で焼成することによって、シートを揮発させるとともに隔壁12を形成することができる。また、印刷法にて隔壁用ペーストを全面に塗布し、乾燥後にマスクして、サンドブラストや化学エッチングによって、不要な部分を除去し、大気中500〜600℃で焼成することにより隔壁12を形成することもできる。隔壁12で区切られたセル14内には、各色の蛍光体15,16,17のペーストをそれぞれ充填し、大気中450〜500℃で焼成することによって、蛍光体15,16,17をそれぞれ形成する。
通常、別々に作製した前面板10と背面板11を対向させ、正確に位置合わせし、多数のクリップで挟み固定することにより、パネルごと周縁部を420〜500℃で排気,ガス置換するとともにガラス封着する。封着フリット13は、事前に前面板10或いは背面板11のどちらか一方の周縁部にディスペンサー法或いは印刷法により形成される。一般的には、封着フリット13は背面板11の方に形成される。また、封着フリット13は蛍光体15,16,17の焼成と同時に事前に仮焼成されることが一般的である。この方法を取ることによって、ガラス封着部の気泡を著しく低減でき、気密性の高い、すなわち信頼性の高いガラス封着部が得られる。ガラス封着は、加熱しながらセル14内部のガスを排気し、希ガスを封入し、パネルが完成する。
完成したパネルを点灯するには、表示電極18とアドレス電極19の交差する部位で電圧を印加して、セル14内の希ガスを放電させ、プラズマ状態とする。そして、セル14内の希ガスがプラズマ状態から元の状態に戻る際に発生する紫外線20を利用して、蛍光体15,16,17を発光させて、パネルを点灯させ、画像情報を表示する。各色を点灯させるときには、点灯させたいセル14の表示電極18とアドレス電極19との間でアドレス放電を行い、セル内に壁電荷を蓄積する。次に表示電極対に一定の電圧を印加することで、アドレス放電で壁電荷が蓄積されたセルのみ表示放電が起こり、紫外線20を発生させることによって、蛍光体を発光させる仕組みで画像情報の表示が行われる。
表5に示した無鉛低温ガラスフリットを封着フリットとして用い、図7で示したプラズマディスプレイパネルを作製した。
Figure 2010006638
表5の無鉛低温ガラスフリットは、表1の無鉛低融点ガラスG2と、表2の無鉛フィラーF12,13,21,23,32,42,43,51のうちの2種を選定し、上記実施例1〜3と同様にして無鉛低温ガラスフリットペーストとして用いた。G2ガラスは酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスである。封着フリットの熱膨張係数は、無鉛低融点ガラスと無鉛フィラーの混合比を調整して(65〜70)×10-7/℃とした。なお、前面板10と背面板11に使用されるガラス基板には、熱膨張係数が80〜85×10-7/℃の高歪点ガラスを使用し、封着フリット13に圧縮応力がかかるようにした。表5の実施例20と21の無鉛低温ガラスフリットは、上記実施例1〜3の結果を反映して、無鉛低融点ガラスG2の比重より小さい無鉛フィラーF13或いは23と大きい無鉛フィラーF42或いは51を用いた。比較例12の無鉛低温ガラスフリットは、無鉛低融点ガラスG2の比重より小さい無鉛フィラーF12と21を用いた。また、比較例13の無鉛低温ガラスフリットは、無鉛低融点ガラスG2の比重より大きい無鉛フィラーF32と43を用いた。
表5の無鉛低温ガラスフリットペーストを背面板11の周縁部にディスペンサー法にて線幅3.5mmで塗布した。150℃で30分乾燥後、大気中480℃で30分仮焼成した。仮焼成後における無鉛低温ガラスフリットの熱収縮率、最大表面粗さRy、表面クラックを評価した。これら評価後に、この背面板11と前面板10と正確に対向させ、クリップで固定し、排気しながら450℃まで加熱し、3時間保持した後に希ガスを充填し、冷却した。封着評価は、封着の可否,気密性,前面板へのキズによった。また、作製したパネルは、点灯試験も実施した。
表6に表5の無鉛低温ガラスフリットのパネル搭載評価結果を示す。
Figure 2010006638
実施例20と21では、仮焼成工程及び封着工程において、何事も問題なく、気密にガラス封着できた。また、パネル点灯試験においても問題の発生はなかった。パネル点灯試験後にパネルを分解して、ガラス封着部の断面をSEM観察した。代表例として、実施例20の断面SEM観察結果を図8に示す。気泡25が若干観察されるものの、ガラス封着部の機密性が高いことが分かった。また、封着フリット13、すなわち無鉛低温ガラスフリット3中には、無鉛低融点ガラス4(G2)より比重が小さい無鉛フィラー5(F13)と比重が大きい無鉛フィラー6(F42)が均一に拡散されており、信頼性の高い気密封着を可能としている。
一方、比較例12では、仮焼成工程において無鉛低温ガラスフリットの熱収縮率と最大表面粗さが大きく、封着工程において前面板をキズ付けていた。パネル点灯した結果、前面板のキズが表示電極の断線をもたらしていた。比較例13では、仮焼成工程において無鉛低温ガラスフリットの熱収縮率と最大表面粗さは良好であったが、フリット表面にクラックが発生していた。これを封着工程に持ち込んだところ、前面板と背面板を合わせ、クリップで固定した際に、フリット表面のクラックが進展し、フリットが剥離してしまった箇所があった。このため、封着することができず、封着評価及びパネル評価はできなかった。
以上、本発明の無鉛低温ガラスフリットは、プラズマディスプレイパネルの低温ガラス封着に有効に適用できるものである。
〔第5の実施形態〕
本実施例では、本発明の無鉛低温ガラスフリットをICセラミックスパッケージに適用した例を説明する。ICセラミックスパッケージの断面図の概要を図9に示す。
ICセラミックスパッケージでは、メタライズ26や端子27を形成した積層セラミックス基板28とセラミックスキャップ29を封着フリット13で周縁部を気密に封止されている。通常、ICセラミックスパッケージのガラス封着は、セラミックスキャップ29の周縁部に印刷法にて封着フリット13が塗布される。その際、封着フリットは、ペーストとして使用される。封着フリット13を塗布したセラミックスキャップ29を乾燥後、大気中450℃前後で仮焼成される。専用の固定ジグを用いて、封着フリット13を形成したセラミックスキャップ29と積層セラミックス基板28を対向させ、荷重をかけるとともに固定ジグごと不活性雰囲気中430℃以下でガラス封着される。
本実施例では、アルミナ系セラミックスを用いたICパッケージで検討した。封着フリット13に使用した無鉛低温ガラスフリットは、表1の無鉛低融点ガラスG1及び表2の無鉛フィラーF13と52を適用した。配合組成は、酸化バナジウムを主成分とするリン酸系低融点ガラスであるG1ガラスが80体積%、そのG1ガラスより比重が小さい無鉛フィラーであるF13フィラーが12体積%、さらにG1ガラスより比重が大きい無鉛フィラーであるF52フィラーが8体積%とした。樹脂バインダーにはエチルセルロース、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いて、無鉛低温ガラスフリットペーストを作製した。このペーストを印刷法にてアルミナ系セラミックスキャップ29に塗布し、150℃で30分乾燥した。その後、そのセラミックスキャップ29を大気中450℃で30分間仮焼成した。続いて、封着フリット13を形成したアルミナ系セラミックスキャップ29とアルミナ系積層セラミックス基板28を固定ジグで対向させ、荷重をかけて、アルゴンガス中420℃で30分間熱処理することによって、ガラス封着し、10個のICセラミックスパッケージを作製した。どのICセラミックスパッケージとも何事も問題なく、気密にガラス封着できた。また、作動試験を行い、問題のないことを確認した。作動試験のICセラミックスパッケージを分解して、ガラス封着部の断面をSEM観察した。その断面SEM観察結果を図10に示す。気泡25が若干観察されるものの、ガラス封着部の機密性が高いことが分かった。また、封着フリット13、すなわち無鉛低温ガラスフリット3中には、無鉛低融点ガラス4(G1)より比重が小さい無鉛フィラー5(F13)と比重が大きい無鉛フィラー6(F52)が均一に拡散されており、信頼性の高い気密封着を可能としている。
以上、本発明の無鉛低温ガラスフリットは、ICセラミックスパッケージの低温ガラス封着に有効に適用できるものである。
また、本発明の無鉛低温ガラスフリットは、プラズマディスプレイやICセラミックスパッケージ以外の各種電子デバイスへ幅広く応用展開可能である。
無鉛低温ガラスフリットの評価サンプル示す図である。 無鉛低融点ガラスより比重が小さい無鉛フィラーと比重が大きい無鉛フィラーとを含む無鉛低温ガラスフリットを示す断面図である。 無鉛低融点ガラスより比重が小さい無鉛フィラーを含む無鉛低温ガラスフリットを示す断面図である。 無鉛低融点ガラスより比重が大きい無鉛フィラーとを含む無鉛低温ガラスフリットを示す断面図である。 無鉛低融点ガラスより比重が小さい無鉛フィラーの平均粒径と熱収縮率,最大表面粗さとの関係を示すグラフである。 無鉛低融点ガラスより比重が大きい無鉛フィラーの平均粒径と熱収縮率,最大表面粗さとの関係を示すグラフである。 代表的なプラズマディスプレイパネルの構成を示す断面図である。 実施例で作製したプラズマディスプレイパネルのガラス封着部の断面SEM写真である。 代表的なICセラミックスパッケージの構成を示す断面図である。 実施例で作製したICセラミックスパッケージのガラス封着部の断面SEM写真である。
符号の説明
1 無鉛低温ガラスフリットペースト
2 ガラス基板
3 無鉛低温ガラスフリット
4 無鉛低融点ガラス
5 無鉛低融点ガラスより比重が小さい無鉛フィラー
6 無鉛低融点ガラスより比重が大きい無鉛フィラー
7 基板クラック
8 表面クラック
10 前面板
11 背面板
12 隔壁
13 封着フリット
14 セル
15,16,17 蛍光体
18 表示電極
19 アドレス電極
20 紫外線
21 ブラックマトリックス
22,23 誘電体層
24 保護層
25 気泡
26 メタライズ
27 端子
28 積層セラミックス基板
29 セラミックスキャップ

Claims (13)

  1. 500℃以下で封着,被覆する無鉛低温ガラスフリットにおいて、
    前記無鉛低温ガラスフリットが、無鉛低融点ガラスと、
    前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい無鉛フィラーと、
    前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい無鉛フィラーと
    を含むことを特徴とする無鉛低温ガラスフリット。
  2. 前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの平均粒径と、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい前記無鉛フィラーの平均粒径が、異なることを特徴とする請求項1に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  3. 前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの平均粒径が、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい前記無鉛フィラーの平均粒径より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  4. 前記無鉛低融点ガラスの含有量が60〜80体積%であり、前記無鉛フィラーの合計含有量が20〜40体積%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  5. 前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの平均粒径が20μm以上であり、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい前記無鉛フィラーの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  6. 前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの含有量が、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい前記無鉛フィラーの含有量より体積比で同等或いは多いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  7. 前記無鉛低融点ガラスの比重より小さい前記無鉛フィラーの含有量が10〜30体積%であり、前記無鉛低融点ガラスの比重より大きい前記無鉛フィラーの含有量が5〜20体積%であり、残部が前記無鉛低融点ガラスであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  8. 前記無鉛低融点ガラスの比重が、3.0〜4.0であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  9. 前記無鉛低融点ガラスが、リン酸系ガラスであることを特徴とする請求項8に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  10. 前記リン酸系ガラスが、酸化バナジウムを含むことを特徴とする請求項9に記載の無鉛低温ガラスフリット。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリットと、
    樹脂バインダーと、
    溶剤と
    を含むことを特徴とする無鉛低温ガラスフリットペースト材料。
  12. 前面板と背面板とを対向して、外周部分を低温ガラスフリットで気密に封着した画像表示装置において、
    前記低温ガラスフリットが、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリットであることを特徴とする画像表示装置。
  13. 配線とICチップを搭載したセラミックス基板をセラミックス蓋にて外周部分を低温ガラスフリットで気密に封着したICセラミックスパッケージにおいて、
    前記低温ガラスフリットが、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の無鉛低温ガラスフリットであることを特徴とするICセラミックスパッケージ。
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