JP2002324492A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

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JP2002324492A
JP2002324492A JP2001127503A JP2001127503A JP2002324492A JP 2002324492 A JP2002324492 A JP 2002324492A JP 2001127503 A JP2001127503 A JP 2001127503A JP 2001127503 A JP2001127503 A JP 2001127503A JP 2002324492 A JP2002324492 A JP 2002324492A
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plasma display
display panel
layer
inorganic oxide
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Keisuke Jo
啓介 城
Kouki Inage
功樹 稲毛
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い製造効率および形状精度を維持しつつ、
放電空間内、特に蛍光体周辺の不活性ガス純度を高くで
きるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 基板1上に形成される蛍光体4の下に
は、多孔質層6を備える。多孔質層6は隔壁2および蛍
光体4よりもさらに多孔質な構造であるので、隔壁2お
よび蛍光体4よりも水分や二酸化炭素等の不純物が吸着
しやすく、一度吸着した不純ガスを離脱させない。よっ
て、結果的に放電空間内、特に蛍光体周辺の不活性ガス
の純度は多孔質層6を有さない従来のプラズマディスプ
レイパネルに比べて向上される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネルおよびその製造方法に関するものであり、特
にパネル内の放電ガス雰囲気を向上させるための技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネルは、例え
ば、一対の平行平板の基板により該基板間に形成される
気密空間(放電空間)を、放電セルと呼ばれる複数の放
電空間に区分するためのリブ状の隔壁と、選択的に放電
セルで放電を発生させるための複数本の放電電極とを備
えたものであり、選択された所定の放電セル内を、放電
により発生するプラズマを利用して発光させることで、
所望の文字・記号・図形等の画像を表示させている。
【0003】また、カラー表示のプラズマディスプレイ
パネルにおいては各放電セルにR(赤)、G(緑)、B
(青)等の発光色に対応する蛍光体が備えられており、
プラズマによって生じた紫外線によって励起された蛍光
体の発光が表示に利用される。このようなプラズマディ
スプレイパネルは、薄型大表示面とすることが比較的容
易であると共に、ブラウン管並の比較的広い視野角およ
び早い応答速度が得られるため、ブラウン管に代わる画
像表示装置として考えられている。
【0004】上記したように、従来のプラズマディスプ
レイパネルを形成する基板は、気密空間に面する面上に
その面を区分するリブ状の隔壁を有している。この隔壁
は、隔壁を形成する材料である厚膜絶縁ペーストを、例
えばスクリーン印刷法等によって基板上に所定のパター
ン形状に積層させ、さらに該基板を焼成することで形成
される。
【0005】この厚膜絶縁ペーストとしては、例えば、
低融点ガラスのような無機結合剤に、適当な充填材(即
ちフィラー:例えばアルミナ、ジルコニア、チタン酸
鉛、チタン酸バリウム等、あるいは焼成温度に対して高
い軟化点を持つガラス等)が添加されたものが用いられ
る。この充填材は、厚膜絶縁ペーストのレオロジーを制
御して、膜形成条件,乾燥条件,焼成条件等のばらつき
を吸収したり、焼成時の無機結合剤の軟化による厚膜パ
ターン収縮を抑制し、焼成による隔壁形成材料の堆積変
化のばらつきを小さくしたりする目的で添加されてい
る。これにより隔壁形成における、均一表示させるため
の寸法精度や、視野角度を均一とするための断面形状精
度が確保でき、その結果、プラズマディスプレイパネル
の良好な表示特性が得られる。
【0006】また、厚膜絶縁ペーストにおける充填材の
添加比率を高くすることによって、隔壁の焼成残存率
(焼成後の体積/焼成前の体積)が高くなると共に、材
料効率が向上する。また、例えばスクリーン印刷法にお
いて印刷積層回数を少なくできるために製造効率が向上
する。この効果は特にスクリーン印刷法に顕著である
が、その他の製法においても製造効率が向上する。
【0007】しかし、その一方、焼成後の隔壁には、充
填材の添加比率に比例して多数の微細な開口が形成さ
れ、即ち隔壁は多孔質になり、その表面積が大きくな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】プラズマディスプレイ
パネルにおいては、放電のためにパネル内の気密空間
(放電空間)に不活性ガスが充填されており、放電空間
内に不純ガスがあると不活性ガスの純度が低下するため
に、その発光輝度は低下する。また、不純ガスにより電
極や蛍光体が劣化させられて、発光・表示品質が低下す
る。
【0009】したがって、気密空間内の不純ガスはでき
るだけ少なくすることが必要である。ところが、上記の
ように隔壁が多孔質に形成されていると、隔壁の微細な
開口内に、焼成過程で分解されなかった厚膜絶縁ペース
ト中のバインダ成分(すなわち、未燃焼成分)が内包さ
れたり、水分や二酸化炭素等の不純物が吸着しやすくな
る。そして、不活性ガス封入或いは真空処理の後、例え
ばパネル発光時の放電反応によってそれらが隔壁から離
脱し、放電空間内に放出されると、それらは不純ガスと
なる。
【0010】そのため、気密空間の形成過程において例
えば加熱等することによって、これらの不純ガスを除去
する必要があるが、材料や工程上の制約から十分に脱ガ
スできる温度まで加熱することは困難である。また、排
気時間を長くすることで、不純ガスを排気することも考
えられるが、製品の生産効率が著しく低下してしまうの
は明らかである。
【0011】これに対して、隔壁を緻密質に形成すれ
ば、隔壁に水分や二酸化炭素等の不純物が吸着し難く、
且つ内包される未燃焼成分に含まれるガスが気密空間へ
放出され難くなり、放電空間内への不純ガスの放出は抑
えられるが、緻密質の隔壁を形成するためには、焼成残
存率が比較的低い厚膜絶縁ペーストを用いることが必要
となる。しかし、そのために製造効率が低下すると共
に、焼成時の変形が大きくなって高い形状精度が得られ
なくなるという問題が生じる。
【0012】さらに、近年のプラズマディスプレイパネ
ルの高解像度化、高精細化に伴い、放電セルの微細化が
進み、パネルを形成する基板の表面積は大きくなる傾向
にある。基板表面積が大きくなると炭酸ガスや水分等の
不純物が吸着する機会が多くなる為、その問題はさらに
顕著になっている。
【0013】ところで、上述したように、カラー表示の
プラズマディスプレイパネルにおいては、各放電セルに
R(赤)、G(緑)、B(青)等の発光色に対応する蛍
光体が備えられており、放電セル内の放電によるプラズ
マによって生じた紫外線によって励起された蛍光体の発
光が表示に利用される。よって、特にこの蛍光体周辺の
放電空間の不活性ガス雰囲気を向上させることは、プラ
ズマディスプレイパネルの表示品質を向上させる上で効
果的である。
【0014】しかし、この蛍光体は、蛍光体材料に樹脂
分や溶剤等を混合して調整した蛍光体のペーストを焼成
することで形成され、その形状もまた多孔質であり、微
細な開口を有しているので隔壁と同様に不純物を吸着し
やすい傾向にある。そして、不活性ガス封入或いは真空
処理の後、例えばパネル発光時の放電反応によってそれ
らが蛍光体から離脱し、放電空間内に放出されると、そ
れらは不純ガスとなる。そのため蛍光体を緻密質に形成
することも考えられるが、その場合、隔壁と同様に蛍光
体においても、材料効率が低下すると共に、蛍光体の焼
成時の変形が大きくなって高い形状精度が得られなくな
るという問題が生じる。
【0015】本発明は、以上のような課題を解決するた
めになされたものであり、高い製造効率および形状精度
を維持しつつ、放電空間内の特に蛍光体周辺の不活性ガ
ス純度を高くできるプラズマディスプレイパネルおよび
その製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のプラズ
マディスプレイパネルは、放電空間を区画する隔壁によ
り形成された放電セル内に蛍光体を有し、前記蛍光体の
下に、前記隔壁および前記蛍光体よりも多孔質な層を備
えることを特徴とする。
【0017】請求項2に記載のプラズマディスプレイパ
ネルは、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル
であって、前記層が、無機系酸化物材料の微粉末により
形成されることを特徴とする。
【0018】請求項3に記載のプラズマディスプレイパ
ネルは、放電空間を区画する隔壁により形成された放電
セル内に蛍光体を有し、前記蛍光体の下に、無機系酸化
物材料の微粉末により形成される層を備えることを特徴
とする。
【0019】請求項4に記載のプラズマディスプレイパ
ネルは、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプラ
ズマディスプレイパネルであって、前記層が、光透過性
を有することを特徴とする。
【0020】請求項5に記載のプラズマディスプレイパ
ネルは、請求項2から請求項4のいずれかに記載のプラ
ズマディスプレイパネルであって、前記無機系酸化物材
料が、Al23、SiO2、TiO2、ゼオライト(沸
石)のうち少なくともいずれか1つを成分として含むこ
とを特徴とする。
【0021】請求項6に記載のプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法は、微粉末状の無機系酸化物材料と、放
電空間を区画する隔壁を有する基板を準備する工程と、
前記無機系酸化物材料をペースト化し、前記ペースト化
された無機系酸化物材料を前記基板に塗布し、乾燥させ
る工程と、前記無機系酸化物材料の上に蛍光体を塗布す
る工程と、前記基板を焼成することで、前記蛍光体の下
に、前記隔壁および前記蛍光体よりも多孔質な層を形成
する工程とを備えることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態に係
るプラズマディスプレイパネルにおける背面パネルの概
略断面図である。上述したように、基板1上には、放電
空間を放電セルに区分するための隔壁2および、選択的
に放電セルで放電を発生させるための電極3とを備えて
いる。また、4は例えばR(赤)、G(緑)、B(青)
等の所定の発光色に対応する蛍光体である。また、5は
可視光の全ての波長を反射する白色誘電体層である。こ
の白色誘電体層5は蛍光体4からの発光光を反射するこ
とで該発光光が基板1に吸収されるのを防止し、プラズ
マディスプレイパネルの表示輝度を向上させる役割を果
たしている。そして6は、蛍光体4の下に形成された隔
壁2および蛍光体4よりも多孔質な構造を有し、さらに
光透過性を有する多孔質層である。
【0023】図1に示すように、蛍光体4と白色誘電体
層5との間に多孔質層6が存在する構成となるが、多孔
質層6が光透過性を有することで、白色誘電体層5が有
する、蛍光体4からの発光光を反射することで表示輝度
を向上させる作用は妨げられない。
【0024】この多孔質層6は、例えば無機系酸化物材
料からなる微粉末を、例えばエチルセルロース等の樹脂
や例えばテルピネオール等の有機溶剤と混ぜてペースト
化したものを、焼成することで実現できる。この無機系
酸化物材料としては、Al23、SiO2、TiO2、ゼ
オライト(沸石)等を含む材料の微粉末が比較的入手が
容易であり、加工性にも優れていることが確認されてい
る。
【0025】上述したように、隔壁2および蛍光体4が
多孔質に形成されていると、その微細な開口内に未燃焼
成分が内包されたり、水分や二酸化炭素等の不純物が吸
着されやすい。そして、不活性ガス封入或いは真空処理
の後、例えばパネル発光時の放電反応によって、それら
が隔壁および蛍光体4から離脱し放電空間内に放出され
ると不純ガスとなる。
【0026】また、上述したように、蛍光体4はその形
状に微細な開口を有しているので、蛍光体4の周辺の不
純ガスは該開口を介して多孔質層6に到達する。
【0027】ここで、多孔質層6は隔壁2および蛍光体
4よりもさらに多孔質な構造であるので、隔壁2および
蛍光体4よりもさらに水分や二酸化炭素等の不純物が吸
着しやすく、さらに、一度吸着した不純物を離脱させ難
いという性質を有している。
【0028】つまり、放電空間内、特に蛍光体4周辺に
発生した不純ガスは、この多孔質層6に吸着するが、多
孔質層6は一度吸着した不純ガスを、例えばパネル発光
時の放電反応によっても離脱させない。よって、結果的
に放電空間内の特に蛍光体4周辺の不純ガスの量は抑制
され、不活性ガスの純度は多孔質層6を有さない従来の
プラズマディスプレイパネルに比べて向上されることと
なる。その結果、パネルの発光輝度は向上され、また、
不純ガスによる電極や蛍光体の劣化を抑えることができ
るので、パネルの発光・表示品質は改善される。
【0029】ところで、多孔質層6を有さない従来のプ
ラズマディスプレイパネルの構成で、隔壁自体を従来の
ものより更に多孔質にすることで、隔壁自体に、水分や
二酸化炭素等の不純物が吸着しやすく、一度吸着した不
純物を離脱させ難いという性質を持たせることも考えら
れる。しかし、隔壁を必要以上に多孔質化すると、隔壁
の機械的強度が低下してしまい、隔壁の破損に伴う画素
欠損が生じやすくなるという問題が生じてしまう。本発
明に係るプラズマディスプレイにおいてはこのような問
題は伴わないことは明らかである。
【0030】一方、蛍光体4をさらに多孔質にし、蛍光
体4に不純物が吸着しやすく、一度吸着した不純物を離
脱させ難いという性質を持たせた場合、それにより放電
空間の不活性ガス純度は向上されるであろうが、蛍光体
4自体の発光特性が劣化してしまう問題が生じる。
【0031】また、明らかにこの多孔質層6による不活
性ガス純度向上の効果は、隔壁2の構造には依存しな
い。よって、隔壁2の構造は従来と同様に多孔質であっ
てもよい。言い換えれば、隔壁2の形成材料である厚膜
絶縁ペーストにおける充填材の添加比率を高くし、均一
表示させるための隔壁2の寸法精度や、視野角度を均一
とするための隔壁2の断面形状精度の向上、焼成残存率
を高めることによる材料効率の向上を図る場合において
も、それに伴う隔壁2の表面積の拡大による不活性ガス
の純度低下を抑えることができる。
【0032】さらにまた、蛍光体を緻密質にすること無
く、蛍光体への不純物の付着を抑制することができるの
で、蛍光体を緻密質にすることによる蛍光体の材料効率
の低下の問題や、蛍光体の焼成時の変形が大きくなるこ
とによる形状精度が低下の問題は伴わない。逆に蛍光体
が緻密質になる程、蛍光体の開口が少なくなり、不純ガ
スが多孔質層6へ到達しにくくなるため、本発明の効果
を充分得ることができなくなる。
【0033】さらに本発明においては、不活性ガスの純
度向上のために、パネル内の不純ガスの排気・除去を特
別従来以上に行なう必要は無い。よって、プラズマディ
スプレイパネル製造工程におけるパネル内の排気時間を
長時間化すること無く、不活性ガスの純度向上が可能で
あるので、製品の生産効率の低下は伴わない。
【0034】つまり、本実施の形態に係るプラズマディ
スプレイパネルによれば、高い製造効率および形状精度
を維持しつつ、放電空間内への不純ガス放出を抑制して
放電空間内の不活性ガスの純度を向上させることができ
る。その結果、パネルの発光輝度は向上され、また、不
純ガスによる電極や蛍光体の劣化を抑えることができる
ので、パネルの発光・表示品質が改善される。
【0035】ただし、蛍光体4の下に多孔質層6が形成
されることによって放電セルの容積が狭くなりすぎる
と、パネルの輝度が低下してしまうことが考えられる。
そのため、多孔質層6の厚さは薄い方が望ましい。
【0036】以下に、図1に示したプラズマディスプレ
イパネルの背面パネルの製造工程を説明する。まず、多
孔質層6の材料となる微粉末状の、例えばAl23、S
iO 2、TiO2、ゼオライト(沸石)等を含む無機系酸
化物材料と、所定の方法によって形成された隔壁2を備
える基板を準備する。
【0037】次に、無機系酸化物材料に樹脂、有機溶剤
を混ぜてペースト化する。この無機系酸化物ペーストの
例として具体的には、例えばAl23、SiO2、Ti
2、ゼオライト(沸石)等を含む無機系酸化物材料
を、ペースト粘度:30〜100Pa・s、主材料固形
分比:3〜60%、樹脂:エチルセルロース、溶剤:テ
ルピネオール、としてペースト化したものが挙げられ
る。そして、この無機系酸化物ペーストを蛍光体が形成
される基板上の所定の個所に塗布し、乾燥させる。
【0038】このときの塗布の方法として、具体的には
例えばパターン個所の乳剤を除去したスクリーン版を介
するスクリーン印刷による手法が挙げられる。スクリー
ン印刷に使用するスクリーン版の例としてはSUS#4
00、乳剤厚6〜10μmのものが挙げられる。
【0039】このスクリーン印刷においては、無機系酸
化物ペーストを塗布する個所に対応した所定のストライ
プ状のパターンを有するスクリーン版を使用することに
よって、蛍光体が形成される基板上の所定の個所に選択
的に無機系酸化物ペーストを塗布する方法が考えられ
る。しかし、ベタ状の印刷パターンによる塗布であって
も、塗布される基板の形状や、無機系酸化物ペーストの
粘性を利用したり、スキージの手法によって、選択的な
塗布が可能である。また、ベタ状の印刷パターンを使用
することによって、例えば隔壁2の頂部等、蛍光体の下
以外の個所に無機系酸化物ペーストが塗布され、この後
の焼成の後、その個所に多孔質層が形成されたとしても
プラズマディスプレイパネルの動作上の問題は無く、か
つ、不活性ガス純度向上の効果は得られる。ただし、こ
の場合は特に、放電セル空間の容積が狭くなりすぎない
よう、形成される多孔質層の厚さに注意する必要があ
る。
【0040】また、背面基板上に、隔壁で囲まれ、且
つ、その下部に電極が存在しない空間が存在する場合に
は、該当個所に所定の無機系酸化物ペーストを塗布して
も良い。このとき、該当個所には蛍光体材料が存在しな
くとも良い。
【0041】その後、R,G,B等の発光色に対応する
蛍光体材料に樹脂分や溶剤等を混合して調整した蛍光体
のペーストを、例えばスクリーン印刷法等の手法によ
り、所定の個所に塗布する。
【0042】そして、該基板を例えば400〜450℃
で加熱焼成することで、蛍光体4の下に、隔壁2および
蛍光体4よりも多孔質な、例えば1.6〜2μm程度の
多孔質層6を形成する。
【0043】以上の工程によって、図1に示したプラズ
マディスプレイパネルの背面パネルが形成される。な
お、ここでは基板の焼成は、無機系酸化物ペーストおよ
び蛍光体ペーストを塗布した後に1度行われたが、例え
ば、基板の焼成を無機系酸化物ペースト塗布後と、蛍光
体ペーストを塗布した後の2度に分けて行う等の変更を
加えてもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
プラズマディスプレイパネルによれば、蛍光体の下の層
は、隔壁および蛍光体よりも多孔質であるので、隔壁お
よび蛍光体よりも放電空間内に生じた不純ガスが吸着し
やすい性質を有しており、さらに一度吸着した不純ガス
を離脱させ難い。よって、結果的に放電空間内、特に蛍
光体周辺の不活性ガスの純度は、層を有さない従来のプ
ラズマディスプレイパネルに比べて向上されることとな
る。その結果、パネルの発光輝度は向上され、また、不
純ガスによる電極や蛍光体の劣化を抑えることができる
ので、パネルの発光・表示品質は改善される。
【0045】また、この層による不活性ガスの純度向上
の効果は隔壁の構造には依存しないので、隔壁の形成材
料である厚膜絶縁ペーストにおける充填材の添加比率を
高くしても、それに伴う隔壁の表面積の拡大による不活
性ガスの純度低下を抑えることができる。つまり、高い
製造効率および形状精度を維持しつつ、パネルの発光・
表示品質を改善できる。
【0046】さらにまた、蛍光体を緻密質にすること無
く、蛍光体への不純物の付着を抑制することができるの
で、蛍光体を緻密質にすることによる蛍光体の材料効率
の低下の問題や、蛍光体の焼成時の変形が大きくなるこ
とによる形状精度が低下の問題は伴わない。
【0047】さらに、パネル内の排気時間を長時間化す
ること無く、不活性ガスの純度向上が可能であるので、
製品の生産効率の低下は伴わない。
【0048】請求項2に記載のプラズマディスプレイパ
ネルによれば、請求項1に記載のプラズマディスプレイ
パネルにおいて、蛍光体の下の隔壁および蛍光体よりも
多孔質な層が、無機系酸化物材料の微粉末により形成さ
れるので、層は隔壁および蛍光体よりも放電空間内に生
じた不純ガスが吸着しやすい性質を有しており、さらに
一度吸着した不純ガスを離脱させ難い。よって、結果的
に放電空間内、特に蛍光体周辺の不活性ガスの純度は、
層を有さない従来のプラズマディスプレイパネルに比べ
て向上されることとなる。その結果、パネルの発光輝度
は向上され、また、不純ガスによる電極や蛍光体の劣化
を抑えることができるので、パネルの発光・表示品質は
改善される。
【0049】請求項3に記載のプラズマディスプレイパ
ネルによれば、蛍光体の下の層は、無機系酸化物材料の
微粉末により形成されるので、隔壁および蛍光体よりも
放電空間内に生じた不純ガスが吸着しやすい性質を有し
ており、さらに一度吸着した不純ガスを離脱させ難い。
よって、結果的に放電空間内、特に蛍光体周辺の不活性
ガスの純度は、層を有さない従来のプラズマディスプレ
イパネルに比べて向上されることとなる。その結果、パ
ネルの発光輝度は向上され、また、不純ガスによる電極
や蛍光体の劣化を抑えることができるので、パネルの発
光・表示品質は改善される。
【0050】請求項4に記載のプラズマディスプレイパ
ネルによれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載
のプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体の下の
層が、光透過性を有するので、例えば、蛍光体と背面基
板間に表示輝度を向上させるための反射層が存在する場
合にも、該反射層の作用は妨げられない。つまり、蛍光
体の下に層を設けることによるパネルの発光輝度の低下
を最小限に抑えることができるので、本発明に係るプラ
ズマディスプレイの発光・表示品質の改善の効果をより
大きくできる。
【0051】請求項5に記載のプラズマディスプレイパ
ネルによれば、請求項2から請求項4のいずれかに記載
のプラズマディスプレイパネルにおいて、無機系酸化物
材料が、Al23、SiO2、TiO2、ゼオライト(沸
石)のうち少なくともいずれか1つを成分として含むの
で、層は隔壁および蛍光体よりも放電空間内に生じた不
純ガスが吸着しやすい性質を有しており、さらに一度吸
着した不純ガスを離脱させ難い。よって、結果的に放電
空間内、特に蛍光体周辺の不活性ガスの純度は、層を有
さない従来のプラズマディスプレイパネルに比べて向上
されることとなる。その結果、パネルの発光輝度は向上
され、また、不純ガスによる電極や蛍光体の劣化を抑え
ることができるので、パネルの発光・表示品質は改善さ
れる。
【0052】請求項6に記載のプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法によれば、微粉末状の無機系酸化物材料
と、放電空間を区画する隔壁を有する基板を準備する工
程と、無機系酸化物材料をペースト化し、ペースト化さ
れた無機系酸化物材料を基板に塗布し、乾燥させる工程
と、無機系酸化物材料の上に蛍光体を塗布する工程と、
基板を焼成することで、蛍光体の下に、隔壁および蛍光
体よりも多孔質な層を形成する工程とを備えるので、蛍
光体の下に形成される層は隔壁および蛍光体よりも放電
空間内に生じた不純ガスが吸着しやすい性質を有してお
り、さらに一度吸着した不純ガスを離脱させ難い。よっ
て、結果的に放電空間内、特に蛍光体周辺の不活性ガス
の純度は、層を有さない従来のプラズマディスプレイパ
ネルに比べて向上されることとなる。その結果、パネル
の発光輝度は向上され、また、不純ガスによる電極や蛍
光体の劣化を抑えることができるので、パネルの発光・
表示品質は改善される。
【0053】また、この層による不活性ガスの純度向上
の効果は隔壁の構造には依存しないので、準備される基
盤の隔壁の形成材料における充填材の添加比率が高い場
合においても、隔壁の表面積の拡大による不活性ガスの
純度低下を抑えることができる。つまり、高い製造効率
および形状精度を維持しつつ、パネルの発光・表示品質
を改善できる。
【0054】さらにまた、蛍光体を緻密質にすること無
く、蛍光体への不純物の付着を抑制することができるの
で、蛍光体を緻密質にすることによる蛍光体の材料効率
の低下の問題や、蛍光体の焼成時の変形が大きくなるこ
とによる形状精度が低下の問題は伴わない。
【0055】さらに、パネル内の排気時間を長時間化す
ること無く、不活性ガスの純度向上が可能であるので、
製品の生産効率の低下は伴わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るプラズマディスプ
レイパネルにおける背面パネルの概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 隔壁、3 電極、4 蛍光体、5 白色
誘電体層、6 多孔質層。
フロントページの続き Fターム(参考) 5C027 AA09 5C028 FF06 5C040 FA01 GB14 GF13 GF18 GF19 JA02 MA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電空間を区画する隔壁により形成され
    た放電セル内に蛍光体を有し、 前記蛍光体の下に、前記隔壁および前記蛍光体よりも多
    孔質な層を備える、ことを特徴とするプラズマディスプ
    レイパネル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のプラズマディスプレイ
    パネルであって、 前記層が、 無機系酸化物材料の微粉末により形成される、ことを特
    徴とするプラズマディスプレイパネル。
  3. 【請求項3】 放電空間を区画する隔壁により形成され
    た放電セル内に蛍光体を有し、 前記蛍光体の下に、無機系酸化物材料の微粉末により形
    成される層を備える、ことを特徴とするプラズマディス
    プレイパネル。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    のプラズマディスプレイパネルであって、 前記層が、 光透過性を有することを特徴とする、ことを特徴とする
    プラズマディスプレイパネル。
  5. 【請求項5】 請求項2から請求項4のいずれかに記載
    のプラズマディスプレイパネルであって、 前記無機系酸化物材料が、 Al23、SiO2、TiO2、ゼオライト(沸石)のう
    ち少なくともいずれか1つを成分として含む、ことを特
    徴とするプラズマディスプレイパネル。
  6. 【請求項6】 微粉末状の無機系酸化物材料と、放電空
    間を区画する隔壁を有する基板を準備する工程と、 前記無機系酸化物材料をペースト化し、前記ペースト化
    された無機系酸化物材料を前記基板に塗布し、乾燥させ
    る工程と、 前記無機系酸化物材料の上に蛍光体を塗布する工程と、 前記基板を焼成することで、前記蛍光体の下に、前記隔
    壁および前記蛍光体よりも多孔質な層を形成する工程と
    を備える、ことを特徴とするプラズマディスプレイパネ
    ルの製造方法。
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