JP3442634B2 - プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法

Info

Publication number
JP3442634B2
JP3442634B2 JP32681897A JP32681897A JP3442634B2 JP 3442634 B2 JP3442634 B2 JP 3442634B2 JP 32681897 A JP32681897 A JP 32681897A JP 32681897 A JP32681897 A JP 32681897A JP 3442634 B2 JP3442634 B2 JP 3442634B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
glass
electrode
dielectric layer
oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32681897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1154051A (ja
Inventor
正樹 青木
博由 田中
徹也 今井
勝義 山下
隆一 村井
秀明 安井
良樹 佐々木
塩川  晃
眞壽 工藤
宏一 小寺
光弘 大谷
茂夫 鈴木
欽造 野々村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP32681897A priority Critical patent/JP3442634B2/ja
Publication of JPH1154051A publication Critical patent/JPH1154051A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3442634B2 publication Critical patent/JP3442634B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示デバイスなど
に用いるプラズマディスプレイパネル及びその製造方法
に関するものであって、特に、高品位のディスプレイに
適したプラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンをはじめとする高品
位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、
CRT,液晶ディスプレイ(以下、LCDと記載す
る),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display P
anel,以下PDPと記載する)といった各ディスプレイ
の分野において、これに適したディスプレイの開発が進
められている。
【0003】従来からテレビのディスプレイとして広く
用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れてい
るが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくな
る点で40インチ以上の大画面には不向きである。ま
た、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いとい
う優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技
術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】これに対して、PDPは、小さい奥行きで
も大画面を実現することが可能であって、既に40イン
チクラスの製品も開発されている。PDPは、大別して
直流型(DC型)と交流型(AC型)とに分けられる
が、現在では大型化に適したAC型が主流となってい
る。図13は、従来の交流面放電型PDPの一例を示す
要部斜視図である。
【0005】図13において、101は前面ガラス基板
(フロントパネル)、105は背面ガラス基板(バック
パネル)であり、ソーダライムガラスからなる基板であ
る。前面ガラス基板101の表面上には、表示電極10
2が配設され、その上から、コンデンサの働きをする誘
電体層103で覆われ、更に酸化マグネシウム(Mg
O)からなる誘電体保護層104で被覆されている。
【0006】一方、背面ガラス基板105上にアドレス
電極106が配設され、その上を誘電体層107が覆
い、その上に隔壁108や蛍光体層109が設けられて
おり、隔壁108の間隙には放電ガスが封入されて放電
空間110となっている。表示電極102やアドレス電
極106としては、銀電極やCr−Cu−Cr電極など
が広く用いられており、銀電極は印刷法で容易に形成す
ることができる。
【0007】ディスプレイの高品位化に対する要求が高
まる中で、PDPにおいても微細なセル構造のものが望
まれている。例えば、従来のNTSCではセル数が64
0×480で、40インチクラスではセルピッチが0.
43mm×1.29mm、1セル面積が約0.55mm
2であったが、フルスペックのハイビジョンテレビの画
素レベルでは、画素数が1920×1125となり、4
2インチクラスでのセルピッチは0.15mm×0.4
6mm、1セルの面積は0.072mm2の細かさとな
る。
【0008】セル構造が微細になると、放電電極(表示
電極)間の距離が短くなるばかりでなく、放電空間も狭
くなるため、誘電体層におけるコンデンサとしての容量
を従来と同じだけ確保しようとすれば、誘電体層の膜厚
を従来よりも薄くすることが必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、誘電体層に
使用されているガラス(酸化鉛系ガラスや酸化ビスマス
系ガラス)は、電極に使用されている金属材料との濡れ
性が悪いので、これらの電極上に誘電体層を薄く且つ均
一的にコートすることは困難で、絶縁耐圧が問題とな
る。特に、銀電極の場合は、Cr−Cu−Cr電極など
と比べて、電極表面の凹凸が大きいので、電極上に誘電
体層を薄く均一にコートすることが難しく、絶縁耐圧の
問題も顕著である。
【0010】このような問題に対して、特開昭62−1
94225公報には、電極を形成した基板上に、誘電体
層を形成するのに先立ってSiO2やAl23を塗着す
ることにより、電極と誘電体層との間に中間膜を形成
し、これによって誘電体層を薄く均一的に塗布する技術
が記載されている。この公報では、具体的な中間膜の形
成方法として、スピンコート法や浸漬法(デッピング
法)でシリカ液を500〜10000Åの厚さに塗着し
焼成する方法が記載され、その他に中間膜の材料を蒸着
法やスパッタリング法で塗着する方法も適用できること
が記載されている。
【0011】このような技術により、ある程度の耐絶縁
性の向上が期待できるが、更に特性の向上を図ることの
できる方法が望まれる。また、図13のような構造のP
DPを作製する時には、通常、ソーダライムガラスから
なるガラス基板上に、電極、誘電体、隔壁などを順に形
成していくが、その各工程では、材料を塗布して焼成す
る方法が用いられている。
【0012】例えば、誘電体層103は、酸化鉛(Pb
O)、酸化硼素(B23),酸化硅素(SiO2),酸
化亜鉛(ZnO),酸化アルミニウム(Al23)から
成る比較的低融点(融点500〜600℃)で、熱膨張
係数が80〜83×(10-7/℃)の酸化鉛系のガラス
材料を20〜30μmの厚さで塗布して、焼成すること
によって形成する(例えば、特開平7−105855号
公報参照)。
【0013】また、隔壁も、ガラス材料をスクリーン印
刷法などで塗布して焼成することによって形成する。と
ころで、ガラス基板の厚さが薄いと、電極、隔壁、誘電
体層、蛍光体層などの焼成(熱処理温度500〜600
℃)時において、ガラス基板が熱歪を受けることによっ
て、ガラス基板に反りや収縮が生じたり、材料の熱膨張
係数の差による熱歪によって、誘電体層や隔壁にクラッ
クが入りやすいという問題もある。そして、誘電体層に
クラックが発生すると、絶縁耐圧の低下が生じる。
【0014】従って、ガラス基板はある程度厚いものを
用いることが必要であり、このため大型のPDPを作製
する場合、重量がかなり大きくなるという問題がある。
例えば42インチクラスの場合、ガラス基板の大きさ
は、約97cm×57cmであるが、反りや収縮を防止
するために、ガラス基板の厚みは2.6〜2.8mm程
度に設定している。
【0015】上記ガラスの比重は2.49g/cm3
ので、厚さを2.7mmとすると、前面・背面ガラスの
重量は約7.4Kgとなり、回路を含めたパネルの重量
は、10Kgを越えてしまう(例えば、ディスプレイ
アンド イメージング,1996年Vol4.PP96
〜98)。このような問題を考慮して、比較的歪点の高
いガラス基板[例えばPD−200 旭ガラス(株)製
歪点約570℃]も開発されており、これを用いれ
ば、熱処理工程によるガラス基板の変形(反りや収縮)
を低減することが可能ではある(例えばディスプレイア
ンドイメージング,1996年,Vol4,PP99〜
100)。
【0016】しかし、このPD−200のガラスは、比
重が2.77g/cm3であって、ソーダライムガラス
の比重2.49g/cm3よりも大きい。また、ヤング
率がソーダライムガラスより大きく、熱膨張係数は84
×10-7/℃とソーダライムガラスと変らない。したが
って、実際には、このような高歪点ガラスを用いてもパ
ネルの重量低減に対する大きな効果は期待できない(電
子ディスプレイフォーラム97,1997年4月16−
18,P6−8参照)。
【0017】本発明は、かかる課題に鑑みてなされたも
のであって、誘電体層を薄く形成しても絶縁破壊が発生
しにくいようにすることによって、詳細なセル構造のP
DPの場合においても、高輝度且つ高信頼性を確保する
ことの可能なPDP並びにPDPの製法を提供すること
を第1の目的とする。また、ガラス基板の厚さを従来よ
り薄くしても、PDP製造時にガラス基板に割れやうね
り等が発生したり、誘電体層や隔壁にクラックが入った
りすることを防止できるPDP並びにPDPの製法を提
供することを第2の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、PD
Pにおいて、フロントパネルあるいはバックパネルの表
面の銀電極上に誘電体層をコートする際に、先ず銀電極
の表面を、「表面に水酸基(OH基)を生成する金属酸
化物」からなる厚さ0.1〜10μmの層で被覆し、そ
の上から誘電体層をコートすることにより実現すること
ができる。
【0019】ここで、「表面に水酸基を生成する金属酸
化物」とは、空気中に放置すると表面に水酸基(OH
基)が生成されるような性質を持つ金属酸化物のことで
あって、具体的には、ZnO,ZrO2,MgO,Ti
2,SiO2,Al23,Cr23等である。CVD法
を用いることによって、これを電極の表面上に0.1μ
m〜2μm程度に薄く均一にコートすることができる。
【0020】このようにCVD法によって形成された金
属酸化物層は、電極との濡れ性が良く(なじみが良
く)、且つ緻密である。しかも、層の表面に水酸基を生
成するので、誘電体層の材料として用いられる酸化鉛系
ガラスや酸化ビスマス系ガラスとの濡れ性も良好である
(例えば、色材69巻9号1996年 P55〜63参
照)。
【0021】従って、表面に凹凸のある銀電極の上に
も、均一で緻密な誘電体層を薄く良好に形成することが
できるので、誘電体層の厚さを従来よりも薄い15μm
以下にしても、絶縁破壊が生じにくいという効果を奏す
る。よって、上記の構成によれば、誘電体層を薄くして
放電電圧の低減とパネル輝度の向上を図ると共に、パネ
ルの信頼性を向上させることが可能となる。
【0022】また、上記第1の目的は、PDPにおい
て、フロントパネルあるいはバックネルの表面の金属電
極上に誘電体層をコートする際に、先ず当該金属電極の
表面を酸化して、金属酸化物の被膜を形成し、その上か
ら誘電体層をコートすることによっても同様に実現でき
る。また、上記第1の目的は、PDPにおいて、フロン
トパネルあるいはバックパネルの表面の電極上に誘電体
層をコートする際に、この誘電体層を、真空プロセス法
を用いて金属酸化物で形成することによって、あるいは
溶射法を用いて形成することによっても実現できる。
【0023】ここで、「真空プロセス」というのは、真
空状態の中で薄膜を形成するプロセスを指し、具体的に
は、CVD,スパッタ,蒸着などである。中でも、CV
Dによって金属酸化物層を形成すれば、電極上に薄く且
つ気泡などの欠陥のない誘電体層を形成することができ
る。また、誘電体層を真空プロセス法或は溶射法で形成
すれば、従来の印刷法で誘電体層を形成する場合に必要
であった誘電体層の焼成工程は必要なくなるので、誘電
体層の焼成に基づくパネルの反りや割れの発生がなくな
り、第2の目的も達成される。また、隔壁を溶射法で形
成する場合も、隔壁を焼成する必要がなくなるので、同
様に第2の目的が達成される。
【0024】また、このようなPDPにおいて、フロン
トパネル及びバックパネルとして用いるガラス基板の材
料として、アルカリ成分が6.5重量%以下の硼硅酸ガ
ラス、特に、歪点が535℃以上、熱膨張係数が51×
10-7/℃以下の硼硅酸ガラスを用いれば、パネルの厚
さを従来よりも小さい2mm以下に設定しても、PDP
の製造時において、焼成に伴うガラス基板の割れなどの
損傷は発生しにくくなるので、第2の目的に対して更に
効果がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕図1は、本実施の形態に係る交流面放
電型PDPの要部斜視図、図2は、図1のX−X線矢視
断面図、図3は、図1のY−Y線矢視断面図である。な
お、これらの図では便宜上セルが3つだけ示されている
が、実際には赤(R),緑(G),青(B)の各色を発
光するセルが多数配列されてPDPが構成されている。
【0026】各図に示すように、このPDPは、前面ガ
ラス基板(フロントパネル)11の上に、銀からなる放
電電極(表示電極)12、金属酸化物層13a及び誘電
体ガラス層13が配されてなる前面パネル10と、背面
ガラス基板(バックパネル)21の表面にアドレス電極
22、金属酸化物層23a、誘電体ガラス層23、隔壁
24、R,G,B各色の蛍光体層25が配されてなる背
面パネル20とを張り合わせ、前面パネル10と背面パ
ネル20との間に形成される放電空間30内に放電ガス
が封入された構成であって、以下に示すように作製され
る。
【0027】前面パネル10の作製:前面パネル10
は、前面ガラス基板11の表面上に、放電電極(表示電
極)12をストライプ状に形成し、その上にCVD法で
金属酸化物層13aを形成する。その上に、誘電率εが
10以上のガラス材料で誘電体ガラス層13を形成し、
更に誘電体ガラス層13の表面上に保護層14を形成す
ることによって作製する。
【0028】以下、フォトレジスト法による放電電極1
2の形成について、図4を参照しながら説明する。ま
ず、前面ガラス基板11の表面上に、フォトレジストを
厚さ5μmで塗布する(図中II)。このフォトレジスト
に対し、放電電極12を形成しようとするところだけを
露光する(図中III)。そして、これを現像してフォト
レジストの露光した部分を取り除く(図中IV)。
【0029】スクリーン印刷法で、銀電極用ペーストを
前面ガラス基板11上のレジストを取り除いた部分に埋
め込む(図中V)。乾燥した後、剥離液を用いるなどし
てレジストのみを剥離する。そして、塗布したAgを焼
成することによって、銀電極(放電電極)12を形成す
る(図中VI)。
【0030】(金属酸化物層、誘電体ガラス層及び保護
層の形成について)図5を参照しながら、CVDによっ
て金属酸化物層を形成する方法について説明する。図5
は、金属酸化物層13a,23a並びに保護層14を形
成する際に用いるCVD装置の概略図である。
【0031】このCVD装置は、熱CVD及びプラズマ
CVDのいずれも行うことができるものであって、CV
D装置本体45の中には、ガラス基板47(図1におけ
る放電電極12や誘電体ガラス層13を形成した前面ガ
ラス基板11)を加熱するヒータ部46が設けられ、C
VD装置本体45内は排気装置49で減圧にすることが
できるようになっている。また、CVD装置本体45の
中にプラズマを発生させるための高周波電源48が設置
されている。
【0032】Arガスボンベ41a,41bは、キャリ
アであるアルゴン[Ar]ガスを、気化器(バブラー)
42,43を経由してCVD装置本体45に供給するも
のである。気化器42には、金属酸化物層を形成するた
めの原料(ソース)である金属のキレートまたはアルコ
キシド化合物が、加熱された状態で貯えられており、A
rガスボンベ41aからArガスを吹き込むことによっ
て、この原料を蒸発させてCVD装置本体45に送り込
むことができるようになっている。
【0033】気化器42に貯える化合物の具体例として
は、アセチルアセトン亜鉛[Zn(C5722],ア
セチルアセトンジルコニウム[Zr(C5724],
アセチルアセトンマグネシウム[Mg(C5
722],アセチルアセトンチタン[Ti(C5
724],テトラエトキシシラン(TEOS)[Si(O
・C254], アルミニウムジピバロイルメタン[A
l(C111923],アセチルアセトンアルミニウ
ム[Al(C5723],アセチルアセトンクロム
[Cr(C5723]などを挙げることが出来る。
【0034】一方、気化器43には、保護層を形成する
ための原料であるマグネシウム化合物が貯えられてい
る。その具体例としては、アセチルアセトンマグネシウ
ム[Mg(C5722],シクロペンタジエニルマグ
ネシウム[Mg(C552]を挙げることが出来る。
酸素ボンベ44は、反応ガスである酸素[O2]をCV
D装置本体45に供給するものである。
【0035】上記のCVD装置を用いて熱CVD法で金
属酸化物層13aの形成を行なう場合は、ヒータ部46
の上に、電極が形成された面を上にしてガラス基板47
を置き、所定の温度(250℃)に加熱すると共に、反
応容器内を排気装置49で減圧にする(数十Torr程
度)。そして、気化器42において、ソースとなる金属
キレート(またはアルコキシド化合物)を、所定の気化温
度に加熱しながら、Arガスボンベ41aからArガス
を送り込む。また、これと同時に、酸素ボンベ44から
酸素を供給する。
【0036】これによって、CVD装置本体45内に送
り込まれるキレート(またはアルコキシド化合物)と酸
素とが反応し、ガラス基板47の電極を配した表面上
に、金属酸化物層13aが形成される。一方、上記のC
VD装置を用いてプラズマCVD法で金属酸化物層13
aの形成を行なう場合、上記の熱CVDの場合とほぼ同
様の操作を行なうが、更に高周波電源48を駆動して高
周波電界(13.56MHz)を印加することにより、
CVD装置本体45内にプラズマを発生させながら、金
属酸化物層13aの形成を行なう。
【0037】以上のようにして、酸化亜鉛(ZnO,Z
rO2),酸化チタン(TiO2),酸化アルミニウム
(Al23),酸化珪素(SiO2),酸化マグネシウ
ム(MgO),酸化クロム(Cr23)といった金属酸
化物からなる金属酸化物層13aを形成するが、熱CV
D法或はプラズマCVD法によれば、金属酸化物が、ガ
ラス基板並びに電極の表面上に緩やかに成長するので、
電極の表面が凹凸であっても、その表面の凹凸に沿って
緻密な金属酸化物層13aが形成される。そして、この
金属酸化物層13aは、放電電極12の材料であるAg
との密着力並びに濡れ性も良好なため、膜に気泡などの
欠陥が生じない。
【0038】また、上記の金属酸化物は、その表面に水
酸基を形成する性質があるため、金属酸化物層13aの
表面には水酸基が形成されている。従って、この上に形
成される誘電体ガラス層13の濡れが良好となる。な
お、金属酸化物層13aの厚さは、0.1μm〜10μ
mが好ましく、中でも0.1μm〜2μmと薄くするこ
とが好ましい。また、金属酸化物層13aは、膜が非結
晶構造(アモルファス)となるように形成することが好
ましいと考えられれる。
【0039】次に、金属酸化物層13aの上に、誘電率
εが10以上のガラス材料からなる誘電体ガラス層13
を形成する。ガラス材料としては、酸化鉛系ガラスや酸
化ビスマス系ガラスなどを用いる。酸化鉛系ガラスの組
成として、例えば、酸化鉛(PbO),酸化硼素(B2
3),酸化硅素(SiO2)及び酸化アルミニウム(A
23)の混合物を挙げることができ、酸化ビスマス系
ガラスの組成として、例えば、酸化ビスマス(Bi
23),酸化亜鉛(ZnO),酸化硼素(B23),酸
化硅素(SiO2),酸化カルシウム(CaO)の混合
物を挙げることができる。
【0040】また、上記のガラス組成に、TiO2を添
加すれば、誘電率εを更に向上させることが出来る。こ
こで、添加するTiO2の量を5重量%以上とすれば、
誘電率εは顕著に向上し、εを13以上とすることも容
易である(以下の表1,表2を参照)が、TiO2の含
有量が10重量%を越えると誘電体ガラス層の光透過率
が低下するので、TiO2の含有量としては、5〜10
重量%とすることが望ましい。
【0041】誘電体ガラス層13は、上記のガラス材料
の粉末と有機バインダとを混合して誘電体ガラスペース
トを作成し、これをスクリーン印刷法で金属酸化物層1
3aの表面に塗布し、焼成することによって(焼成温度
は例えば540℃)形成することができる。上記のよう
に、放電電極12は、金属酸化物層13aで被覆され、
その表面には水酸基が形成されているので、ガラスに対
する濡れ性が良好な状態となっているので、その上から
誘電体ガラス層を薄くコートしても、膜に気泡などの欠
陥が発生しにくく、平坦な誘電体ガラス層が形成され
る。
【0042】本実施の形態では、誘電体ガラス層13の
厚さを、従来の厚さよりも小さく15μm以下に設定す
る。これは、以下に説明するように、誘電体ガラス層1
3の厚みが小さいほど、パネル輝度を向上する効果と放
電電圧を低減する効果があるので、絶縁耐圧が低下しな
い範囲内であればできるだけ薄く設定するのが望ましい
からである。
【0043】放電電極12の面積をS,誘電体ガラス層
13の厚さをd,誘電体ガラス層13の誘電率をε,誘
電体ガラス層13上の電荷をQとすると、放電電極12
とアドレス電極22との間の静電容量Cは、下記式1で
表される。 C=εS/d …式1 又、放電電極12とアドレス電極22との間に印加され
る電圧をV,表示電極12上の誘電体ガラス層13上に
たまる電荷をQとすると、VとQとの間には下記式2の
関係がある。
【0044】V=dQ/εS …式2 (ただし放電空間は、放電中はプラズマ状態なので導電
体となる。) 上記式1において、厚さdを小さくすると静電容量Cが
大きくなり、上記式2において、厚さdを小さくすると
放電電圧Vが低下することがわかる。つまり、誘電体ガ
ラス層の厚さを薄くすることにより、高容量化と放電電
圧の低減を図ることができることがわかる。
【0045】次に、誘電体ガラス層13上にMgOから
なる保護層14を、CVD法(熱CVD法あるいはプラ
ズマCVD法)を用いて形成する。即ち、上記のCVD
装置を用い、上記の金属酸化物層の形成方法と同様の方
法で、気化器43の原料を用いることによって、酸化マ
グネシウム(MgO)からなる保護層を形成する。
【0046】これによって、(100)面配向((20
0)面配向や(300)面も含む)、あるいは(11
0)面配向の酸化マグネシウムからなる保護層が形成さ
れる。背面パネル20の作製:まず、背面ガラス基板2
1の表面に、上述した放電電極12の形成と同様のフォ
トレジスト法により、アドレス電極22を形成する。
【0047】そして、その上に前面パネル10の場合と
同様に、CVD法で金属酸化物層23aを形成し、その
上に誘電体ガラス層13と同じガラスをスクリーン印刷
で塗布し焼成することによって誘電体ガラス層23を形
成する。次に、誘電体ガラス層23の上に、ガラス製の
隔壁24を所定のピッチで設置する。
【0048】そして、隔壁24に挟まれた各空間内に、
赤色(R)蛍光体,緑色(G)蛍光体,青色(B)蛍光
体の中の1つを配設することによって、蛍光体層25を
形成する。各色R,G,Bの蛍光体としては、一般的に
PDPに用いられている蛍光体を用いることができる
が、ここでは次の蛍光体を用いる。 赤色蛍光体 : (YxGd1-x)BO3:Eu3+ 緑色蛍光体 : Zn2SiO4:Mn 青色蛍光体 : BaMgAl1017:Eu2+或はBa
MgAl1423:Eu2+ 前面パネル10及び背面パネル20の張り合わせによる
PDPの作製:前述のようにして作製した前面パネル1
0と背面パネル20とを、封着用ガラスを用いて張り合
わせると共に、隔壁24で仕切られた放電空間30内を
高真空(8×10-7Torr)に排気した後、所定の組
成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPD
Pが作製される。
【0049】なお、本実施形態では、PDPのセルサイ
ズは、40インチクラスのハイビジョンテレビに適合す
るよう、隔壁24のピッチを0.2mm以下、放電電極
12の電極間距離を0.1mm以下に設定する。また、
封入する放電ガスの組成は、従来から用いられているH
e−Xe系であるが、セルの発光輝度の向上を図るため
に、Xeの含有量を5体積%以上とし、封入圧力を50
0〜760Torrに設定する。
【0050】以上のようにして作製されたPDPは、誘
電体ガラス層13の厚さが小さく設定されているので、
放電電圧が低減され、動作時にパネル各構成部位に掛か
る負荷が低減される。また、各電極(表示電極12及び
アドレス電極22)と誘電体ガラス層13,23とが、
金属酸化物層13a,23aを介して緻密に結合した構
造であって、誘電体ガラス層13,23における気泡の
発生を極めて少なくすることができる。
【0051】従って、誘電体ガラス層13の厚さは薄く
ても、絶縁耐圧は向上されるので、繰り返しの使用に対
しても、高いパネル輝度や低い放電電圧といった優れた
初期性能を長期にわたって維持することができ、PDP
を信頼性の優れたものとすることができる。なお、本実
施の形態においては、前面パネル10側及び背面パネル
20側の双方において、金属酸化物層を形成し、その上
に誘電体ガラス層を形成する例を示したが、前面パネル
10側或は背面パネル20側だけにこれを適用すること
もできる。また、背面パネル20側に、誘電体ガラス層
が形成されていないPDPにおいては、前面パネル10
側だけにこれを適用することができる。
【0052】また、もともと銀電極の上に誘電体ガラス
層を薄く形成することが難しく、CVD法で金属酸化物
層を形成することによる効果が大きいため、本実施の形
態においては、放電電極12及びアドレス電極22が銀
電極の場合について説明したが、Cr−Cu−Cr電極
などの場合においても、同様に実施することは可能であ
る。
【0053】また、本実施の形態においては、金属酸化
物層13a,23aを、ガラス基板11,21の片面側
全体にコートしたが、電極12,22の表面付近だけを
コートしてもよく、同様の効果を奏する。 〔実施の形態2〕本実施の形態のPDPは、実施の形態
1と同様であるが、誘電体ガラス層13,23は設けら
れておらず、金属酸化物層13a,23aが誘電体層を
兼ねている。
【0054】即ち、このPDPでは、金属酸化物層13
a,23aが、誘電体層としての機能も果たすのである
が、金属酸化物層13a,23aが薄すぎると誘電体層
として機能しにくいので、金属酸化物層13a,23a
の厚さは3μm〜15μmの範囲に設定する。好ましく
は、3μm〜6μm程度に設定する。この金属酸化物と
しては、実施の形態1で挙げた、酸化ジルコニウム、酸
化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、
酸化マグネシウム、酸化クロムの他に、酸化ビスマス、
酸化セシウム、酸化アンチモンなども挙げることができ
る。
【0055】なお、放電電極及びアドレス電極として
は、上述した銀電極やCr−Cu−Cr電極をはじめと
して、通常、PDPに用いられてる金属電極を用いるこ
とができる。本実施の形態のように、CVD法によっ
て、金属酸化物からなる誘電体層を形成すれば、凸凹の
ある電極の表面に対しても、緻密且つ均一的な層を形成
することができる。
【0056】従って、この方法によれば、誘電体層の厚
さを3μm〜6μm程度と、従来の一般的な厚さ(20
〜30μm)と比べてかなり薄く設定しても、膜の欠陥
のない誘電体層を形成することができ、絶縁破壊は生じ
にくい。また、従来のように誘電体ガラスの材料を塗布
して焼成することによって誘電体層を形成する場合、焼
成温度が高くなりすぎないよう、酸化鉛を含むガラスを
用いていたが、本実施の形態のように金属酸化物層13
a,23aが誘電体層を兼ねる構造にすれば、金属酸化
物層13a,23aは、CVDという真空プロセスで形
成されるので、焼成工程なしで誘電体層を形成すること
ができる。従って、用いるガラス基板が薄くても、誘電
体層の焼成時に熱歪みによるガラス基板の反りや割れの
発生を少なくできる。また、酸化鉛を含有しない誘電体
層とすることもできる。
【0057】また、上記のように、CVD法で誘電体層
を兼ねる金属酸化物層を形成した後に、更に、この金属
酸化物層の表面にCVD法で酸化マグネシウムの保護層
を形成してもよい。この場合、実施の形態1で説明した
CVD装置を用いて、誘電体層を兼ねる金属酸化物層と
保護層とを連続的に形成すれば、外気に触れない状態で
両層の境界面が形成されるので、高品質の保護層を形成
することができる。
【0058】〔実施の形態3〕図6及び図7は、本実施
の形態に係るPDPのフロントパネルの断面図である。
図6において、51は前面ガラス基板、52は表示電極
であって、この表示電極52は、透明電極53と金属電
極54とから構成されている。金属電極54は、透明電
極53より幅が狭く、透明電極53の上に重ねて配され
ている。また、55は下側の誘電体層、56は上側の誘
電体層、57は保護層であって、表示電極52の上から
誘電体層55,56がコートされている。
【0059】なお、図6ではバックパネル側は省略され
ているが、本実施の形態のPDPには、背面ガラス基板
上にアドレス電極,隔壁,蛍光体層が配されてなる公知
のバックパネルが用いられ、フロントパネルとバックパ
ネルとが張り合わせられ、両パネル間に形成される放電
空間内に放電ガス(ネオン95%とキセノン5%)が封
入されてPDPが構成されている。
【0060】図6のフロントパネルは、前面ガラス基板
51の表面に、酸化スズやITO(Indium Tin Oxid
e)等の酸化金属材料を用いて透明電極53を形成し、
その上からAg材料を印刷したり或はCr−Cu−Cr
を順に重ねて蒸着することによって、金属電極54を形
成し、その上から、以下に説明するように、誘電体層5
5、誘電体層56、保護層57を順に被覆することによ
って作製することができる。
【0061】下側の誘電体層55は、フリットガラス
(鉛ガラス)を塗布し焼成することにより形成する。上
側の誘電体層56は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化セシウム、酸化アンチモ
ン等の金属酸化物からなる層であって、蒸着,スパッ
タ,CVD法等の真空プロセスによる方法を用いて形成
する。
【0062】ここでは、安全性、材料コスト、下地との
反応性の面を考慮して、下側の誘電体層55として、実
施の形態1で説明したCVD法で、チタンキレートをソ
ースとして用い、酸化チタンからなる層を形成するもの
とする。また、保護層57についても、同様に、CVD
法によって酸化マグネシウムの層を形成する。
【0063】ここで、誘電体層56及び保護層57の形
成は、CVD法で連続的に行なう。即ち、表示電極52
及び下側の誘電体層55を形成した前面ガラス基板51
をCVD装置に装着して、表示電極52の上に、先ず誘
電体層56を形成し、引き続き保護層57を形成する。
この連続的なCVDプロセスによって、大気中からダス
トの混入が抑えられるばかりでなく、誘電体層56の表
面における油脂成分や窒素の吸着等が抑えられるため、
誘電体層56及び保護層57の界面の接合が良好とな
り、剥離や割れ等が生じにくい良質の膜を得ることがで
きる。
【0064】また、上記のPDPにおいて、図7に示す
ように、下側の誘電体層55を設けず、金属電極54の
上に直接、真空プロセス(CVD)によって誘電体層5
6を数μmの厚さで形成するようにしてもよく、この場
合、上記実施の形態2と同様のパネル構成となる。この
ように誘電体層を真空プロセス法で形成することによ
り、誘電体層を大気中で行う場合よりも、使用できる材
料の選択範囲が広くなるので、屈折率,透過率の良好な
材料を選択できるようになる。
【0065】例えば、酸化マグネシウムの保護層57の
厚さを500nmとし、誘電体層56を、酸化アルミニ
ウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化アルミニウ
ム,酸化シリコンから選択した材料を用いて、厚さ5μ
m以上で形成することにより、フロントパネルの透過率
を90%程度以上とすることが可能である。 〔実施の形態4〕図8及び図9は、本実施の形態のPD
Pのフロントパネルの断面図であって、図6.7と同
様、バックパネル側は省略されている。図中、61はガ
ラス基板、62は表示電極、65はフリットガラスから
なる誘電体層、66はMgOからなる保護層である。
【0066】図8のフロントパネルにおいて、表示電極
62は、金属電極63の表面に酸化被膜64が形成され
た構成であって、この表示電極62の上から誘電体層6
5がコートされている。図8の構造のフロントパネル
は、後面ガラス基板61の表面に、表面に酸化被膜を形
成することのできる金属を電極材料として金属電極63
を形成し、これを酸化処理して、金属電極63の表面に
酸化被膜64を形成し、更にフリットガラスを印刷及び
焼成して誘電体層65を形成することによって作製する
ことができる。
【0067】ここで、金属電極63の材料としてアルミ
ニウム或はタンタルを用い、金属電極63を陽極として
電解を行う陽極酸化法で酸化処理すれば、酸化被膜64
を緻密に形成することができる。なお、タンタルは比抵
抗値が高いので、大面積のディスプレイにおいてタンタ
ルの金属電極を形成する場合には、金属電極の構造を、
タンタルの間に銅などの高導電性の金属を挟み込んだ構
造とすればよい。例えば、タンタル−銅−タンタルの3
層構造の電極は、スパッタ法によって、タンタル層,銅
層,タンタル層を順に形成し、その後、電極として残す
部分以外をエッチングで除去することによって形成する
ことができる。
【0068】図9のフロントパネルでは、表示電極62
は、透明電極62aと金属電極63とからなり、この金
属電極63の表面に酸化被膜64が形成された構成であ
って、この表示電極62の上から誘電体層65がコート
されている。ここで、金属電極63は、透明電極62a
の片側部を覆うように透明電極62aの上に積層されて
形成されている。
【0069】図9の構造のフロントパネルは、後面ガラ
ス基板61の表面に、酸化スズやITO(Indium Tin
Oxide)等の酸化金属材料を用いて透明電極62aを形
成し、その上からアルミニウム或はタンタルを電極材料
として金属電極63を形成し、これを上記と同様に酸化
処理して、金属電極63の表面に酸化被膜64を形成
し、更に、誘電体層65を形成することによって作製す
ることができる。
【0070】このような図8並びに図9のフロントパネ
ルによれば、金属電極63の表面が緻密な酸化被膜64
によって覆われているので、誘電体層65の濡れがよく
なり、気泡の発生等による製膜不良の発生が少なくな
る。従って、誘電体層65を薄く形成しても、絶縁破壊
は防止することができる。即ち、高い耐電圧が実現でき
ると共に、耐電圧不良による歩留まり低下を低減するこ
とができる。
【0071】なお、本実施の形態では、誘電体層の上に
保護層が形成されているPDPについて説明を行った
が、誘電体層と保護層とを兼ねる層として、真空プロセ
スにより酸化マグネシウム層を形成することも可能であ
って、この場合の膜厚は3〜5μm程度が適当である。 〔実施の形態5〕 (PDPの全体的な構造及び製法)図10は、本実施の
形態に係る交流面放電型PDPの概略断面図である。図
10ではセルが1つだけ示されているが、赤,緑,青の
各色を発光するセルが多数配列されてPDPが構成され
ている。
【0072】なお、実施の形態1では背面パネル側にも
誘電体層が配設されていたが、本実施形態では、背面パ
ネル側には誘電体層は配設されていない。このPDP
は、低アルカリ含有量(アルカリ含有量6.5重量%以
下)の硼硅酸ガラスから成る前面ガラス基板71上に、
放電電極(表示電極)72と誘電体層73が配されたフ
ロントパネルと、同じくアルカリ含有量の少ない硼硅酸
ガラスからなる背面ガラス基板75上にアドレス電極7
6,隔壁77,蛍光体層78が配されたバックパネルと
を張り合わせ、この両パネル間に形成される放電空間7
9内に放電ガスが封入された構成となっている。
【0073】低アルカリ含有量の硼硅酸ガラスは、液晶
用として実用化されており、例えば、高歪点(520℃
〜670℃)、低熱膨張係数(45〜51×10-7
℃)で、大きさ550mm×650mm程度、厚さ1.
1mm〜0.7mmのものが液晶用に用いられている
[例えばニューセラミックス(1995)No3,エレ
クトロニクセラミックス26[126]P1〜10,1
995年]。
【0074】このように低アルカリ含有量の硼硅酸ガラ
スをガラス基板に用いれば、板厚を従来より薄く2mm
以下にしても、PDP製造工程でのガラス基板の熱歪み
による反りを小さく抑えることができる。以下、このP
DPの作製方法を示す。 前面パネルの作製:前面パネルは、前面ガラス基板71
上に放電電極72を形成し、その上から、CVD法もし
くはプラズマ溶射法を用いて誘電体層73を被覆し、更
に誘電体層73の表面上に保護層74を形成することに
よって作製する。
【0075】放電電極72は、銀電極であって、銀電極
用のペーストをスクリーン印刷した後に焼成する方法で
形成する。CVD法によって誘電体層73を形成する場
合は、実施の形態1で説明した熱CVD法並びにプラズ
マCVD法を用いて、Al23やSiO2からなる層を
形成する。
【0076】プラズマ溶射法によって誘電体層73を形
成する場合は、詳しくは後述するが、鉛系或は燐酸系の
ガラスの層を形成する。保護層74については、実施の
形態1と同様、CVD法を用いて、(110)面や(1
00)面配向の緻密な結晶構造の酸化マグネシウムの層
を形成する。このように、CVD法又はプラズマ溶射法
を用いれば、ガラス基板を比較的低温(350℃以下)
に保ちつつ誘電体層を形成することができる。即ち、従
来のガラス材料を印刷して焼成する場合のようにガラス
基板を500℃以上の高温にさらすことがないので、ガ
ラス基板の熱歪みによる反りなどの損傷が防止される。
【0077】背面パネルの作製:背面ガラス基板75上
に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷しその後焼成
する方法によってアドレス電極76を形成する。次に、
隔壁77を形成する。本実施の形態では、後で詳述する
ように、隔壁77をプラズマ溶射法で形成する。
【0078】そして、隔壁77に挟まれた各空間内に、
各色蛍光体を配設することによって蛍光体層78を形成
する。 パネル張り合わせによるPDPの作製:実施の形態1と
同様、前面パネルと背面パネルとを張り合せると共に、
放電空間79内を高真空に排気した後、放電ガスを所定
の圧力で封入することによってPDPを作製する。
【0079】本実施の形態では、放電ガスとしてNe−
Xe系のガスを使用する。 (プラズマ溶射法による誘電体層並びに隔壁の形成方法
について)図12は、本実施形態のPDPにおいて、誘
電体層並びに隔壁を形成する際に用いるプラズマ溶射装
置の概略図である。図12のプラズマ溶射装置におい
て、81は陰極、82は陽極、83は電源、84は直流
アーク、85は作動ガス、86はアークプラズマジェッ
ト、87はノズル、88は溶射される誘電体材料もしく
は隔壁材料、89は誘電体材料供給ポートである。
【0080】なお、図12においては、隔壁を形成する
ために、表面に電極等を形成したガラス基板90の上に
ドライフィルム91を置いた状態でプラズマ溶射を行っ
ている様子が示されているが、誘電体層を形成する時に
は、ドライフィルム91は使用せず、表面に電極を形成
したガラス基板の表面全体にプラズマ溶射を行う。上記
プラズマ溶射装置を用いて誘電体層を形成するときに
は、先ず、表面に放電電極を形成したガラス基板を、プ
ラズマ溶射装置にセットし、装置内を減圧する(0.2
Torr)。
【0081】次に、陰極81と陽極82の間に電源83
を用いて電界を印加しながら直流アーク84を発生させ
る。それと共に、作動ガス(アルゴンガス)85を流し
て、アークプラズマジェットを生成させる。次に、誘電
体材料88を粉末供給ポート89から供給し、ガラス基
板に沿って溶射ノズル87を走査させながら溶射させる
ことによって誘電体層を形成する。
【0082】誘電体材料88としては、鉛系のガラス或
は燐酸系のガラスの粉末(熱膨張係数45〜50-7/
℃、軟化点700〜720℃)を用いる。次に、上記プ
ラズマ溶射装置で、隔壁を形成する方法について説明す
る。図12に示すように、隔壁を形成しようとする部分
に開口部92を持つドライフィルム(感光性のドライフ
ィルム)91(もしくは同様の開口部を持つマスク)
を、表面に電極を形成したガラス基板90の表面上に積
層させて、プラズマ溶射装置にセットし、上記と同様
に、アークプラズマジェットを生成させる。
【0083】次に、隔壁材料88を粉末供給ポート89
から供給し、ガラス基板上の開口部92に沿って溶射ノ
ズル87を走査させながら溶射することによって隔壁を
形成し、その後ドライフィルム91(もしくはマスク)
を剥離する。隔壁材料88としては、酸化アルミニウム
(Al23)やムライト(3Al23・2SiO2 )の
粉末を用いる。
【0084】なお、本実施の形態では、プラズマ溶射法
で隔壁77をアドレス電極76と平行に形成する例を示
したが、同様にプラズマ溶射法を用いて隔壁をアドレス
電極と直交する方法に形成することもできる。また、本
実施の形態では、バックパネル側には誘電体層を形成し
ていないが、実施の形態2と同様に、バックパネル側に
も誘電体層を設けることもできる。この場合、バックパ
ネルの作成に際して、誘電体層と隔壁の両方を、焼成な
しで形成することができるので、薄い背面ガラス基板を
用いたとしても極めて反りは発生しにくい。
【0085】また、バックパネルの作製に際して、プラ
ズマ溶射法で隔壁77を形成した後に、CVD法あるい
はプラズマ溶射法で誘電体層80を形成することによっ
て、図11に示すように、誘電体層80が隔壁77の表
面並びにアドレス電極76を覆うようなパネル構成とす
ることもできる。隔壁をプラズマ溶射法で形成すると、
従来の製法による隔壁と比べて多孔性の隔壁となりやす
いので、隔壁から放電空間に対してガス(アウトガス)
が発生しこれによってPDPが劣化することも考えられ
るが、図11のように隔壁の表面を誘電体層で覆うパネ
ル構成とすれば、このアウトガスを防止することができ
る。
【0086】(本実施の形態の製法と従来の製法との効
果の比較)従来のように、鉛系ガラス(熱膨張係数 8
0〜83×10-7/℃)を印刷し焼成(焼成温度500
〜600℃)する方法で誘電体層を形成する場合には、
膨張係数の差に基づく熱歪によって誘電体層にクラック
が入りやすい。また、隔壁も、従来のガラス材料を塗布
して焼成する方法で形成すると、熱歪によって隔壁にク
ラックが入りやすい。
【0087】また、仮に、誘電体層や隔壁の材料として
熱膨張係数の低いガラスを用いたとしても、熱膨張係数
が低い(50×10-7/℃以下)のガラスは軟化点が高
い(700℃以上)ので焼成温度を高く設定する必要が
あり、結局、焼成時にガラス基板の反りや誘電体層,隔
壁へのクラックなどが生じやすいということが言える。
【0088】これに対して、本実施の形態のように、C
VD法や溶射法で誘電体層を形成したり、溶射法で隔壁
を形成すれば、誘電体層並びに隔壁の形成時に、従来の
印刷法のように焼成を必要としない。従って、PDPの
製造工程において、ガラス基板や誘電体層や隔壁が、5
00℃以上の高温にさらされるのを回避することがで
き、ガラス基板や誘電体層や隔壁に生じる熱歪が極めて
小さくなる。よって、用いるガラス基板の厚さを小さく
しても、ガラス基板の反りや誘電体層,隔壁におけるク
ラックの発生は防止できる。
【0089】また、ガラス基板として、低アルカリ含有
量の硼珪酸ガラスを用いれば、従来のソーダライムガラ
スよりも熱膨張係数が低いのでより効果的である。ま
た、焼成炉で多量のエネルギーを使うこともないので、
省エネルギにも寄与する。更に、焼成を必要としないた
め、誘電体層や隔壁の材料には鉛を含有させる必要はな
く、鉛非含有の誘電体層や隔壁を作成できるという利点
もある。
【0090】(その他の事項)なお、上記実施の形態1
〜5においては、誘電体層をガラス基板の片面側全体に
コートしたが、電極の表面付近だけをコートするように
してもよい。また、上記実施の形態1〜5においては、
隔壁を背面ガラス基板上に固着してバックパネルを構成
する例を示したが、本発明は、これに限定されることな
く、例えば隔壁がフロントパネル側に取り付けられたも
の等にも適用でき、一般的なAC型のPDPに対して適
用することができる。
【0091】また、上記実施の形態1〜5においては、
交流面放電型PDPについて説明したが、本発明は、こ
れに限らず対向電極型PDPにおいても適用できる。
【0092】
【実施例】〔実施例1〕
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】実施の形態1及び実施の形態2に基づい
て、表1,表2に示すPDPを作製した。No.1〜8
およびNo.12及びNo.14〜20は、実施の形態
1に基づく実施例であって、放電電極及びアドレス電極
は、銀電極である。No.9〜11及びNo21,22
は実施の形態2に基づく実施例であって、放電電極及び
アドレス電極は、Cr−Cu−Cr電極である。
【0096】表1に示されるように、No.1〜8およ
びNo.12のPDPは、誘電体ガラス層13,23
を、PbO−B23−SiO2−TiO2−Al23系の
ガラスで作成した。その誘電率εは、ガラスの組成の違
いにより、10〜20の範囲内で異なった値をとってい
る。また、誘電体ガラス層13,23の厚さは、5〜1
4μmの範囲内で設定した。
【0097】放電ガスは、Xeの含有量が5体積%のH
e−Xe系の混合ガスであって、600Torrの封入
圧で封入した。表2に示されるように、No.14〜2
0のPDPは、誘電体ガラス層13及び誘電体ガラス層
23は、Bi23−ZnO−B23−SiO2−CaO
−TiO2系のガラスであって、その誘電率εは12〜
24の範囲で設定されている。また、放電ガスは、Xe
の含有量が7体積%のHe−Xe系の混合ガスを用い、
600Torrの封入圧で封入した。
【0098】これらNo1〜24のすべてのPDPにつ
いて、以下の条件は共通である。蛍光体層は、青色蛍光
体として、BaMgAl1017:Eu2+,緑色蛍光体と
して、Zn2SiO4:Mn,赤色蛍光体として、(Yx
Gd1-x)BO3:Eu3+粒子(平均粒径2.0μm)を
用いた。セルサイズは、42インチのハイビジョンテレ
ビ用のディスプレイに合わせて、隔壁24の高さは0.
15mm、隔壁24の間隔(セルピッチ)は0.15m
mに設定し、放電電極12の電極間距離は0.05mm
に設定した。
【0099】MgO保護層14は、プラズマCVD法で
作製し、そのソースとして、Magnesium Acetylacetone
〔Mg(C5722〕を用いた。プラズマCVDの条
件として、気化器の温度は125℃、ガラス基板47の
加熱温度は250℃とした。Arガスの流量は1L/
分、酸素の流量は2L/分で、ガラス基板47の上に1
分間流し、10Torrに減圧し、13.56MHzの
高周波電界を300Wで20秒間印加した。
【0100】なお、MgO保護層14の膜形成速度は
0.1μm/分であって、形成した厚さは1.0μmで
ある。このようにして形成したMgO保護層について、
X線解析によって結晶の配向を調べたところ、全ての試
料において(100)面に配向していた。 〔比較例1〕表1におけるNo.13,表2におけるN
o.24のPDPは、比較例であって、電極上に金属酸
化物層をコートしていない以外は、No.12,23の
PDPと同様の設定にした。
【0101】〔実験〕 実験1:以上のようにして作製したNo.1〜24のP
DPについて、放電維持電圧150V程度、周波数30
KHz程度で放電させて、パネル輝度(初期値)を測定
した。
【0102】この実験結果は、上記表1に併記されてい
る。 実験2;No.1〜24のPDPを20枚づつ作製し、
加速寿命テストに供した。この加速寿命テストでは、通
常の使用条件よりもかなり過酷な条件下(放電維持電圧
200V、周波数50KHz)で、4時間連続して放電
した。その後、パネル内の誘電体ガラス層等の状況(パ
ネルの絶縁耐圧欠陥)を調べ、20枚の中で不良が発生
しているパネルの枚数を測定した。この結果も上記表1
に併記されている。
【0103】考察:従来のPDPのパネル輝度が400
cd/m2程度(日経エレクトロニクス1997年 V
ol.5−5 106頁参照)であるの対して、表1の
No.1〜24のPDPの輝度の測定結果を見ると、全
般的に優れたパネル輝度を示している。
【0104】これは、従来と比べて誘電体ガラス層が薄
いこと並びに放電ガスの圧力が高いことなどによるもの
と考えれれる。また、No13のPDPは、他のNoの
PDPと比べて輝度が低いが、これは、誘電体層の厚さ
が、No13のPDPでは20μmであるのに対して、
他のNoのPDPでは、15μ以下であることによるも
のと考えれれる。
【0105】また、No.1〜12およびNo.14〜
23のPDPは、No.13,24のPDPと比べて、
誘電体ガラス層の厚さは小さいにもかかわらず、加速寿
命テストの結果を見ると明らかに絶縁耐圧は優れてい
る。これらの結果から、CVD法により電極を金属酸化
物でコートすれば、誘電体ガラス層の厚さを従来より小
さい値(15μm以下)に設定して輝度の向上を図ると
共に、絶縁耐圧の向上を図ることが可能であることが裏
付けられる。 〔実施例2〕
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】表3,表4に示したNo25〜32のPD
Pは、上記実施の形態5に基づいて作成したものであっ
て、表3では、各PDPについてガラス基板の特性を示
し、表4では、誘電体層、保護層、隔壁の形成条件並び
に実験結果を示した。ガラス基板としては、表2に示す
ように、No25,26では、無アルカリガラスのOA
−2[日本電気硝子(株)の商品名]、No27,28
では、アルカリ成分が6.5重量%のBLC[日本電気
硝子(株)の商品名]、No29,30では、無アルカ
リガラスのNA45[NHテクノグラス(株)の商品
名]、No31,32では、無アルカリガラスのNA3
5[NHテクノグラス(株)の商品名]を使用した。
【0109】各ガラス基板の厚さは、表2に示すとおり
0.1〜1.5mmの範囲に設定した。 誘電体層の形成:誘電体層の厚さは、すべて20μmに
設定した。No25,27,28,30では、プラズマ
溶射法で誘電体層を形成した。
【0110】No25では、作動ガスをアルゴン(A
r)とし、誘電体材料として軟化点720℃、熱膨張係
数45×10-7/℃のPbO(30)−B23(20)
−SiO2(45)−Al23(5)からなるガラス粉
末を原料として使用し、5KWの電力でプラズマジ ェ
ットを生成させ、10分間溶射して形成した。No27
では、軟化点が700℃で熱膨張係数が50×10-7
℃のP25(45)−ZnO(34)−Al23(1
8)−CaO(3)からなるガラス粉末を原料として使
用して同様の条件で形成した。No28,30において
も、ガラスの材料組成は異なるが、No25,No27
と同様の条件で形成した。
【0111】No26では、熱CVD法で誘電体層を形
成した。Aluminum Dipivaloyl Methane[Al(C11
1923]を ソースとして用い、気化器の温度は12
5℃でガラス基板の加熱温度は250℃に設定した。ま
た、Arガスの流量は1L/分、酸素の流量は2L/分
で、共に20分間流し、膜形成速度は1.0μm/分に
調整し、Al23からなる誘電体層を形成した。
【0112】No28,31,32では、プラズマCV
D法で誘電体層を形成した。Aluminum Acetylacetone
[Al(C5723]或はTEOSをソースとして用
い、ガラス基板の加熱温度を250℃に設定し、反応容
器内を10Torrに減圧し、13.56MHzの高周
波電界を印加しながら行うことによって、Al23,S
iO2或は3Al23・2SiO2の誘電体層を形成し
た。
【0113】保護層の形成方法:、保護層の厚さはすべ
て1μmに設定した。No25,26では、熱CVD法
で、Cyclopentadienyl Magnesium[Mg(C 552
をソースとして用い、気化器の温度 は100℃、ガラ
ス基板の加熱温度は250℃に設定し、Arガスの流量
は1L/分、酸素の流量は2L/分で共に1分間流し
て、保護層を形成した。
【0114】No27〜No32では、プラズマCVD
法で、Mg(C552をソースとしてプラズマCVD
法でガラス基板の加熱温度を250℃に設定し、10T
orr程度に減圧し、13.56MHzの高周波電界を
印加することによって、保護層を作成した。 隔壁の形成方法:隔壁は、プラズマ溶射法で、ドライフ
ィルムで基板をマスクし、作動ガスとしてアルゴンガス
(Ar)を用い、5KWの電力でプラズマジェットを生
成させ、隔壁材料を10分間溶射して作製した。42イ
ンチのハイビジョンテレビ用のディスプレイに合わせ
て、隔壁の高さは0.12mm、隔壁の間隔(セルピッ
チ)は0.15mmに設定した。
【0115】No25,26では、隔壁材料として、平
均粒径5μmの酸化アルミニウム(Al2O3)を用い
た。No27〜No32では、隔壁材料として、平均粒
径5μmのムライト(3Al23・2SiO2 )を用い
た。その他の条件は以下のとおりで、No25〜32で
共通である。
【0116】ガラス基板のサイズは、42インチパネル
を作成するのに必要な97cm×57cmとした。蛍光
体層は、青色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu
2+,緑色蛍光体として、Zn2SiO4:Mn,赤色蛍光
体として、(YxGd1-x)BO3:Eu3+粒子(平均粒
径2.0μm)を用いた。
【0117】各蛍光体を、10%のエチルセルロースを
含むα−ターピネオールと混合し、三本ロールでスクリ
ーン印刷用のペーストとし、スクリーン印刷法で隔壁内
に印刷し、500℃で焼成することによって蛍光体層を
形成した。放電ガスは、5%Xeガスを含むネオン(N
e)ガスを用い600Torrの封入圧力で封入した。
【0118】以上のように作製したPDPについて、放
電維持電圧200V,周波数30KHzで放電させた時
の紫外線の波長を測定したところ、173nmを中心と
するXeの分子線による励起波長が主であった。 〔比較例2〕No33のPDPは、ガラス基板がソーダ
ライムガラスでその厚さが2.7mmである以外はNo
25と同様の構成である。
【0119】No34は、同じくガラス基板がソーダラ
イムガラスで、その厚さが1.5mmである以外はNo
26と同様の構成である。No35は、ガラス基板がP
DP用高歪点ガラス(PD−200)でその厚さが2.
7mmである以外は、No27と同様の構成である。N
o36は、ガラス基板がPDP用高歪点ガラス(PD−
200)で、その厚さが1.5mmである以外は、No
31と同様の構成である。
【0120】[実験]作製したNo.25〜No.36
のPDPについて、パネルの作成時の割れやクラック発
生の状態を観察した。また、エージングのため、パネル
を放電維持電圧200V,周波数30KHzで放電さ
せ、パネルの輝度を測定し、次にこのパネルを5000
時間駆動した後のパネルの輝度変化率(初期値に対する
5000時間駆動後輝度の変化率)について調べた。
【0121】上記観察及び実感結果は、表4に示す通り
である。表3,表4に示した結果から明らかなように、
No25〜32のPDPは、No33〜36のPDPと
比べて、ガラス基板の厚さが小さく、パネルの重量が小
さいにもかかわらず、誘電体層にクラックが入ったり、
パネルが割れたりしていない。特に、No25,26及
びNo29〜32では、歪点が610℃以上の無アルカ
リガラス基板を用いて、良好な結果が得られている。
【0122】これは、No25〜32のPDPにおい
て、熱膨張係数の小さい低アルカリ成分のガラス基板を
使用しているので、基板は薄くても、焼成時に反りが発
生しにいこと、更に、誘電体層や隔壁を形成するのに、
基板の熱膨張係数に合った誘電体材料や隔壁材料を使用
し、CVD法や溶射法を用いているため、PDP製造に
伴う熱歪が低減されたためと考えられる。
【0123】
【発明の効果】PDPにおいて、フロントパネルあるい
はバックパネルの表面の銀電極上に誘電体層をコートす
る際に、先ず銀電極の表面を、ZnO,ZrO2,Mg
O,TiO2,SiO2,Al23,Cr23等の「表面
に水酸基を生成する金属酸化物」からなる厚さ0.1〜
10μmの層で被覆し、その上から誘電体層をコートす
ることにより、誘電体層を薄く形成しても絶縁破壊が発
生しにくくすることができる。そして、詳細なセル構造
のPDPの場合においても、高輝度且つ高信頼性を確保
することが可能となる。
【0124】このような金属酸化物の層は、CVD法を
用いることによって、電極の表面上に0.1μm〜2μ
m程度に薄くコートすることができる。また、PDPに
おいて、フロントパネルあるいはバックネルの表面の金
属電極上に誘電体層をコートする際に、先ず当該金属電
極の表面を酸化して、金属酸化物の被膜を形成し、その
上から誘電体層をコートすることによっても、同様に、
誘電体層を薄く形成しても絶縁破壊が発生しにくくする
ことができる。
【0125】また、PDPにおいて、フロントパネルあ
るいはバックパネルの表面の電極上に誘電体層をコート
する際に、この誘電体層を、CVD,スパッタ,蒸着と
いった真空プロセス法を用いて金属酸化物で形成するこ
とによって、あるいはプラズマ溶射法を用いて形成する
ことによっても、同様に、誘電体層を薄く形成しても絶
縁破壊が発生しにくくすることができる。
【0126】また、誘電体層を真空プロセス法或は溶射
法で形成すれば、誘電体層の焼成に基づくパネルの反り
や割れの発生がなくなり、PDP製造時にガラス基板に
割れやうねり等が発生したり、誘電体層や隔壁にクラッ
クが入ったりすることを防止できる。隔壁を溶射法で形
成する場合も、隔壁を焼成する必要がなくなるので、同
様の効果が得られる。
【0127】このようなPDPにおいて、フロントパネ
ル及びバックパネルとして用いるガラス基板の材料とし
て、アルカリ成分が6.5重量%以下の硼硅酸ガラス、
特に、歪点が535℃以上、熱膨張係数が51×10-7
/℃以下の硼硅酸ガラスを用いれば、パネルの厚さを従
来よりも小さい2mm以下に設定しても、PDPの製造
時において、焼成に伴うガラス基板の割れなどの損傷は
発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る交流面放電型PDPの要部
斜視図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】図1のY−Y線矢視断面図である。
【図4】フォトレジスト法による放電電極の形成工程の
説明図である。
【図5】金属酸化物層並びに保護層を形成する際に用い
るCVD装置の概略図である。
【図6】実施の形態3に係るPDPのフロントパネルの
断面図である。
【図7】実施の形態3に係るPDPのフロントパネルの
断面図である。
【図8】実施の形態4に係るPDPのフロントパネルの
断面図である。
【図9】実施の形態4に係るPDPのフロントパネルの
断面図である。
【図10】実施の形態5に係る交流面放電型PDPの概
略断面図である。
【図11】実施の形態5に係る交流面放電型PDPの概
略断面図である。
【図12】実施形態5において、誘電体層並びに隔壁を
形成する際に用いるプラズマ溶射装置の概略図である。
【図13】従来の交流面放電型PDPの一例を示す要部
斜視図である。
【符号の説明】
10 前面パネル 11 前面ガラス基板 12 放電電極 13 誘電体ガラス層 13a 金属酸化物層 14 保護層 20 背面パネル 21 背面ガラス基板 22 アドレス電極 23 誘電体ガラス層 23a 金属酸化物層 24 隔壁 25 蛍光体層 30 放電空間 51 前面ガラス基板 52 表示電極 53 透明電極 54 金属電極 55 下側の誘電体層 56 上側の誘電体層 57 保護層 61 後面ガラス基板 62 表示電極 62a 透明電極 63 金属電極 64 酸化被膜 65 誘電体層 71 前面ガラス基板 72 放電電極 73 誘電体層 74 保護層 75 背面ガラス基板 76 アドレス電極 77 隔壁 78 蛍光体層 79 放電空間 80 誘電体層 90 ガラス基板 91 ドライフィルム 92 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 勝義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 村井 隆一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 安井 秀明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 佐々木 良樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 塩川 晃 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 工藤 眞壽 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小寺 宏一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大谷 光弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 鈴木 茂夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 野々村 欽造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−125760(JP,A) 特開 昭52−70749(JP,A) 特開 平8−77930(JP,A) 特開 昭54−5377(JP,A) 特開 昭54−73555(JP,A) 特開 平8−119665(JP,A) 特開 平6−150830(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 11/02 H01J 9/02 H01J 9/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電極が表面に配され、当該電極を
    覆って第1の誘電体層が敷設されている第1のプレート
    と、 第2の電極が表面に配設されている第2のプレートと
    が、 前記第1及び第2の電極を対向させた状態で平行に配置
    されると共に、両プレート間に放電空間が形成されてい
    るプラズマディスプレイパネルであって、 前記第1の誘電体層は、 溶射法によって形成されたガラス層であることを特徴と
    するプラズマディスプレイパネル。
  2. 【請求項2】 前記第1の誘電体層は、 酸化鉛,酸化硼素,酸化硅素,酸化アルミニウムを含む
    ガラス 又は、 酸化燐,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化カルシウム
    を含むガラスからなり、 その熱膨張係数が45×10-7〜50×10-7/℃であ
    ることを特徴とする請求項記載のプラズマディスプレ
    イパネル。
  3. 【請求項3】 第1の電極が表面に配されている第1の
    プレートに対して、溶射法を用いて、第1の電極の表面
    を覆うよう誘電体層を形成する第1ステップと、 前記第1ステップの後に、前記第1のプレートと、第2
    の電極が表面に配された第2のプレートとを、第1及び
    第2の電極を対向させた状態で平行に配置すると共に、
    両プレート間に放電空間を形成する第2ステップとから
    なることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1ステップでは、 溶射の材料として、 酸化鉛,酸化硼素,酸化硅素,酸化アルミニウムを含む
    ガラス 又は、 酸化燐,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化カルシウム
    を含むガラスで、 熱膨張係数が45〜50×10-7/℃のものを用いるこ
    とを特徴とする請求項記載のプラズマディスプレイパ
    ネルの製造方法。
JP32681897A 1996-11-27 1997-11-27 プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法 Expired - Fee Related JP3442634B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32681897A JP3442634B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31595596 1996-11-27
JP14363597 1997-06-02
JP9-143635 1997-06-02
JP8-315955 1997-06-02
JP32681897A JP3442634B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002137487A Division JP2003007217A (ja) 1996-11-27 2002-05-13 プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2003141116A Division JP2003338248A (ja) 1996-11-27 2003-05-19 プラズマディスプレイパネル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1154051A JPH1154051A (ja) 1999-02-26
JP3442634B2 true JP3442634B2 (ja) 2003-09-02

Family

ID=27318690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32681897A Expired - Fee Related JP3442634B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3442634B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000019479A1 (fr) 1998-09-29 2000-04-06 Fujitsu Limited Procede de fabrication d'un ecran a plasma et d'une structure de substrat
JP2000294121A (ja) * 1999-04-08 2000-10-20 Samsung Yokohama Kenkyusho:Kk プラズマディスプレイパネルの電極形成方法
KR100734717B1 (ko) 1999-04-28 2007-07-02 마츠시타 덴끼 산교 가부시키가이샤 플라즈마 디스플레이 패널
JP4111298B2 (ja) * 1999-06-29 2008-07-02 株式会社日立プラズマパテントライセンシング プラズマディスプレイパネル
TW452812B (en) * 1999-08-04 2001-09-01 Koninkl Philips Electronics Nv Plasma display panel
KR20020008438A (ko) * 2000-07-20 2002-01-31 구자홍 플라즈마 디스플레이 패널의 전면기판 및 그 소성방법
JP2006092765A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Ulvac Japan Ltd 画像表示装置用金属部材の製造方法
JP4640006B2 (ja) 2005-07-13 2011-03-02 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネルの製造方法
WO2007069333A1 (ja) * 2005-12-16 2007-06-21 Fujitsu Hitachi Plasma Display Limited フラットパネルディスプレイの製造方法およびフラットパネルディスプレイ用のパネル
US20090230862A1 (en) * 2005-12-19 2009-09-17 Fijitsu Hitachi Plasma Display Limited Substrate Assembly for Plasma Display Panel and Display Panel
GB2453886B (en) * 2006-07-26 2011-08-17 Univ Illinois Buried circumferential electrode microcavity plasma device arrays, electrical interconnects, and formation method
WO2009022395A1 (ja) * 2007-08-10 2009-02-19 Hitachi, Ltd. プラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1154051A (ja) 1999-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100516715B1 (ko) 고품위의디스플레이에적합한플라즈마디스플레이패널및그제조방법
US6774558B2 (en) Plasma display panel and method of making the same
JP3389243B1 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP3442634B2 (ja) プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法
KR100743489B1 (ko) 가스 방전 패널용 기판 구조체, 그 제조 방법 및 ac형 가스 방전 패널
JP2000156168A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP2003007217A (ja) プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイパネルの製造方法
JP3414236B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3317161B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2003338248A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3317175B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH11329254A (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH1125865A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3329303B2 (ja) ガス放電パネルおよびその製造方法
JP3234567B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2003045322A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP3851118B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2000156165A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JPH11354035A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP3818201B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2002358894A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2002329462A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP2002343261A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2003197092A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees