JP3299707B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法

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JP3299707B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレビ受像機やディ
スプレイ等に使用されるプラズマディスプレイパネルの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高品質画像や大画面などテレビの
さらなる高性能化への要求が高まる中で、ハイビジョン
テレビをはじめとする種々のディスプレイの開発がなさ
れている。研究の進む代表的なディスプレイの主な種類
としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ(L
CD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が挙
げられる。
【0003】このうちPDPは、大画面を前提とした場
合に発生するCRTの奥行き寸法や重量の増加という問
題、またLCDが有している視覚視野等の問題を回避で
きることで優れており、現在では40インチクラスの大
画面の製品が開発されるに至っている(機能材料、19
96年2月号Vol.16、No.2、P7参照)。図7
は、交流型カラーPDPの一例を示す断面図である(特
開平5-342991号公報参照)。当図に示すように
交流型PDPは、互いに面を平行にして前面ガラス基板
(フロントカバープレート)41および背面ガラス基板
(バックプレート)45が配され、当該両ガラス基板4
1、45の間において前面ガラス基板41側から背面ガ
ラス基板45側へ順に、表示電極42と、当該表示電極
42を被覆する誘電体ガラス層43と、誘電体保護層4
4と、前記両ガラス基板41、45に対して垂直かつ一
定間隔毎に配された隔壁47と、背面ガラス基板45上
に設けられたアドレス電極46等が配設されてなる。こ
こで、対向する一対の隔壁47と誘電体保護層44およ
び背面ガラス基板45で囲まれる構成が、放電セルと称
されるものである。
【0004】また、背面ガラス基板45上と隔壁47上
には蛍光体層50〜52が形成され、先のアドレス電極
46はこの蛍光体層50〜52に内包されている。当該
蛍光体層50〜52にはPDP全体でカラー表示をなす
ため、それぞれレッド、グリーン、ブルー(R、G、
B)色成分の蛍光体を一種類ずつ含有してある。これら
は誘電体保護層44、隔壁47、蛍光体層50〜52等
に包囲されてなる放電空間49内において、アドレス電
極46とこれに対向する表示電極42との間の放電によ
って発生する短波長の紫外線(波長約147nm)によ
り蛍光発光する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】PDPの輝度は、主と
して上記放電ガス(He-Xe系、Ne-Xe系等)中で
発生する紫外線強度によって左右されるが、現行の40
〜42インチクラス(画素数640×480個、セルピ
ッチ0.43mm×1.29mm、単位セル面積0.55
mm2)のNTSC方式PDPでは、紫外線(波長約1
47nm)によって約1.0lm/Wの発光効率を得てい
る。しかしながら、近年期待が寄せられつつあるフルス
ペックの大型ハイビジョンにおいて、例えば42インチ
では画素数1920×1125、セルピッチ0.15m
m×0.48mm、および単位セル面積0.072mm2
等の性能が要求され、現行のPDPの製品と比較すると
かなり微細な構成が必要になる。
【0006】ここで、単位セルが小型化すると放電空間
も微細になるが、一般的に紫外線の励起発光強度は放電
空間の体積に比例し、反射輝度も蛍光体層の受光面積の
広さに依存する性質があるので、励起発光が弱くなって
発光効率が悪化する問題が生じ易い。従来技術のままで
大型ハイビジョンのPDPを作製すると、その発光効率
は約0.6lm/Wにまで下がってしまうと考えられてい
る。
【0007】本発明はかかる点に鑑み、その目的は、微
細な単位セルにおいても従来に比べて高い発光効率と輝
度を得ることが可能なPDPの製造方法を提供することに
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記課題を解決するた
めに本発明は、バックプレート面上に可視光反射層と隔
壁を設ける第1ステップと、隔壁面上および可視光反射
層上に亘って蛍光体層を形成する第2ステップと、前記
隔壁を形成したバックプレート面に対向してフロントカ
バープレートを配設する第3ステップとを有するプラズ
マディスプレイパネルの製造方法であって、前記第1ス
テップにおいて、可視光反射層よりも大きい表面粗さを
有する隔壁を設けるか、或いは蛍光体インクに対する接
触角が小さい隔壁を設けることにより、前記第2ステッ
プにおいて、隔壁上よりも可視光反射層に沿った表面を
有する領域において平均膜厚が薄い蛍光体層を形成する
ことを特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】ここで、前記第2ステップにおいて用いる
蛍光体インクは、剪断速度200S -1における粘度を、
25℃で1000センチポアズに設定することが望まし
い。さらに、前記第2ステップにおいて用いる蛍光体イ
ンクは、20重量%以上60重量%以下の分量の蛍光体
粒子を含むことが望ましい。また前記第2ステップにお
いて用いる蛍光体インクは、ターピネオールと蛍光体粒
子、および0.1重量%以上7重量%以下のエチルセルロー
スを含むことが望ましい。
【0014】また前記第2ステップにおいて蛍光体層
は、放電空間の体積の80%以上を蛍光体インクで満た
すことにより形成するのが望ましい。また、前記第2ス
テップにおいて蛍光体層は、蛍光体インクをノズル先端
から吐出することにより形成するのが望ましい。
【0015】
【実施の形態】(PDPの全体構成)以下、本発明の実
施の形態におけるPDPについて説明する。図1は、本
発明の一適用例である交流面放電型PDPの概略を示す
断面図である。当該PDPは図のように、前面ガラス基
板11上に表示電極(放電電極)12、誘電体ガラス層
13、保護層14等が順次配され、一方背面ガラス基板
15上にはアドレス電極16、可視光反射層17等がこ
の順に配されており、保護層14と可視光反射層17は
それぞれの面に垂直な複数の隔壁18を介し、一定間隔
をおいて配されている。この隔壁18は、保護層14お
よび可視光反射層17と接合して放電セルを形成するも
のである。各放電セルには隔壁面上と可視光反射層上に
R、G、B各色いずれかの蛍光体層が形成され、放電ガ
スを封入されている。
【0016】表示電極12およびアドレス電極16は、
ともにストライプ状の銀電極であり、直交マトリックス
を形成するように配設されている。誘電体ガラス層13
は厚さ約20μmの鉛含有ガラスからなる層であって、
上記表示電極12を覆いつつ前面ガラス基板11の表面
に一様に形成されている。誘電体ガラス層13の上に積
層された保護層14は、酸化マグネシウム(MgO)か
らなる厚さ約1.0μmの薄層である。
【0017】可視光反射層17はチタンの微粒子を含有
する厚さ約20μmの誘電体ガラスからなり、これによ
り可視光に対する反射性と、誘電体層としての機能を併
せ持つ。隔壁はアルミナ含有ガラスからなり、高さおよ
び隣の隔壁とのピッチが0.15mmとして、可視光反
射層の表面上に突設されている。
【0018】このような構成を持つ本PDPのサイズ
は、42インチのハイビジョンテレビ用のディスプレイ
に設定し、画素数1920×1125、セルピッチ0.
15mm×0.48mm、単位セル面積0.072mm2
となっている。このPDPは、以下に示す製造方法によ
り作製したものである。 (PDPの製造方法)背面ガラス基板15の一方の主面
上に、アドレス電極16用のペーストを0.15mmピ
ッチでストライプ状にスクリーン印刷し、その後焼成し
てアドレス電極16を形成した。
【0019】次に、75重量%の酸化鉛(PbO)・1
5重量%の酸化ホウ素(B23)・10重量%の酸化ケ
イ素(SiO2)からなる鉛含有ガラスペーストに若干
の酸化チタン(TiO2)粒子を混合し、これを背面ガ
ラス基板15の主面上に上記アドレス電極16を覆うよ
うにしてスクリーン印刷し、焼成して約20μmの膜厚
の可視光反射層17を形成した。
【0020】続いて可視光反射層17上に、アルミナを
含有するガラスペーストを0.15mmピッチでストラ
イブ状にスクリーン印刷し、これを数回積層させながら
行った後に焼成して高さ0.15mmの隔壁18を形成
した。なお上記した可視光反射層17と隔壁18は、後
述する蛍光体インク29の接触角が可視光反射層17上
において隔壁18面上よりも大きくなる(具体的には接
触角が可視光反射層17上において約13°、隔壁18
上において約8°となる)表面にするため、組成比率を
それぞれ設定したものである。
【0021】次に、隔壁18面上および可視光反射層1
7上にR、G、B各色の蛍光体を以下のように塗布・焼
成し、蛍光体層19〜21を形成した。本発明では各色
の蛍光体として一般的にPDPで用いられているものを
使用できるが、本実施の形態では赤色蛍光体(YxGd
1-x)BO3:Eu3+、緑色蛍光体(Zn2SiO4:M
n)、青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu2+)を用
意した。なお各蛍光体は、平均粒径約3μmのものを使
用した。
【0022】次に蛍光体インクを塗布するが、その塗布
方法としてスクリーン印刷法を用いることも可能であ
る。しかし、本発明では高精細な塗布を行う場合には混
色などの問題が発生することがあるため好ましくない。
そこで本実施の形態では、以下の方法を採用した。蛍光
体45重量%、バインダー1.8重量%の組成を含む溶
剤を、剪断速度200S-1における粘度が25℃で50
センチポアズになるよう調整し、これを蛍光体インクと
した。ここでは、有機バインダーにエチルセルロース、
溶剤にα-ターピネオールを用いた。
【0023】続いて図3に示すように、蛍光体インク2
9を収納するタンク28に連結したノズル30(ノズル
径80μm、圧力0.5kgf/cm)の先端を可視光反
射層17上に合わせ、隔壁18の長手方向に沿って速度
50mm/sで走査し、ノズル30の先端と可視光反射
層17との距離を100μmに保持することにより、対
向する2つの隔壁18に蛍光体インク29のメニスカス
(表面張力による架橋)を作用させつつ蛍光体インク2
9を連続的に隔壁18間に注入した。このとき、各セル
ピッチ毎に蛍光体インク29を約90%満たした。
【0024】ここにおいて、上記した蛍光体インク29
の粘度は、ノズル30から蛍光体インク29を連続的に
円滑に吐出せしめ、かつ蛍光体インク29の前記メニス
カスを良好に形成するために設定した数値の一例を示す
ものであって、その好ましい数値範囲は次のように考え
られる。すなわち、剪断速度200S-1における粘度が
25℃で1000センチポアズ以下とすることが望まし
い。
【0025】また、上記のように隔壁18および可視光
反射層17の蛍光体インクに対する接触角を設定するこ
とによって、次のような問題が抑制された。図4は、従
来の隔壁18間に蛍光体インク29を注入した様子を表
す背面ガラス側断面図である。従来では、蛍光体インク
29が隔壁18の間に注入されると、しばらくして図5
の背面ガラス側断面図のように自重で背面ガラス15上
に偏移し、そのまま乾燥してしまう恐れがあった。これ
に対して本実施の形態では、前記接触角が隔壁18面上
よりも可視光反射層17面上において大きくなっている
ため、図6の背面ガラス側断面図のように蛍光体インク
29が隔壁18面で強く吸着され、上記偏移が改善され
た。なお蛍光体インク29の組成としては、隔壁18面
上で適度な膜厚を有する蛍光体層を形成するために、ス
クリーン印刷等で用いるインクよりも流動性を若干抑え
た組成のものがよい。すなわち、蛍光体を20重量%〜
60重量%含み、またエチルセルロースを0.1重量%
〜7重量%含む範囲であることが望ましい。また、上記
ではセルピッチ間に蛍光体インクを90%注入する例を
示したが、面積の広い蛍光体層を形成するために好まし
いと考えられる範囲は80%以上である。
【0026】蛍光体インク29が乾燥した後、これを約
500℃で10分間焼成した。そして、図6の隔壁断面
図中で示すように、可視光反射層17に沿った表面を有
する領域Hの平均膜厚が約12μm、可視光反射層17
に沿った表面以外の表面を有する領域Vの平均膜厚が約
25μmの蛍光体層19〜21を得た。ここで、以下に
述べる各蛍光体層について、上記領域Hおよび領域Vを
用いて説明する。なおこの蛍光体層19〜21の膜厚
は、走査電子顕微鏡(SEM)で実際に確認した。
【0027】一方、前面ガラス基板11上に、表示電極
12用のペーストをスクリーン印刷し、焼成により表示
電極12を形成した。この上に75重量%の酸化鉛(P
bO)・15重量%の酸化ホウ素(B23)・10重量
%の酸化ケイ素(SiO2)からなる膜厚20μmの鉛
系誘電体ガラス層13を、スクリーン印刷・焼成により
積層形成した。
【0028】この誘電体ガラス層13上に、CVD法
(化学蒸着法)にて厚さ約1.0μmの酸化マグネシウ
ム(MgO)からなる保護層14を積層した。ここでC
VD法とは、反応系分子の気体或いは反応系分子と不活
性ガスとの混合気体を加熱した基板上で反応させ、反応
生成物を蒸着させる方法である。本実施の形態では、ソ
ースとしてアセチルアセトンマグネシウム[Mg(C5
722]を用いたが、他にシクロペンタジエニルマ
グネシウム[Mg(C552]等を用いてもよい。
【0029】この化学蒸着法によって形成したMgO層
を、(100)面に配向した結晶構造を有することをX
線解析により確認した。次に、前記隔壁18が配設され
た背面ガラス基板15側の面と、前記保護層14が配設
された前面ガラス基板11側の面を対向させながら、両
者を封着用ガラスにて張り合わせ、放電空間22を形成
した。この放電空間22の内部を真空度8×10-7To
rrまで減圧し、これに5%キセノン(Xe)ガスを含
むヘリウム(He)ガスを放電ガスとして500Tor
r封入した。以上の方法により本実施の形態のPDPを
作製した。
【0030】(蛍光体層と可視光反射層についての詳細
な説明)上記のようにして作製したPDPを放電維持電
圧150V・周波数30kHzで通電させると、輝度は
約400cd/m2、発光効率は約0.7lm/Wであっ
た。比較例として、蛍光体層の膜厚を領域H、Vでとも
に約25μmで均一に形成した場合には、輝度は約35
0cd/m2、発光効率は約0.6lm/Wであった。さら
に、蛍光体層の厚さを領域Vにおいて12μm、領域H
において約25μmで形成した場合には、輝度は約34
0cd/m2、発光効率は約0.58lm/Wであった。
【0031】この結果から、蛍光体層の領域Hの膜厚を
従来の約20μmよりも薄く設定することによって、発
光効率および輝度が向上することがわかる。一方、平均
粒径が3μmの青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu
2+)を用いて、平均膜厚をほぼ5μm刻みで設定した蛍
光体層をそれぞれ作成し、これらに同一強度の紫外線
(約147nm)を照射して得られる蛍光の輝度(反射
輝度)の変化を追跡した。図2は、この調査結果を反射
輝度と蛍光体層の膜厚の関係についてまとめたものであ
る。図2中の曲線23は、蛍光体層の下地に可視光反射
層を設けた場合、曲線24は可視光反射層を設けない場
合(すなわち隔壁面上における蛍光体層に相当する)を
示す。
【0032】当図が示すように、可視光反射層を設けな
い場合、反射輝度は蛍光体層の膜厚が約20μmに達す
るまでの間において膜厚の増加に比例し、それ以上の膜
厚で大体飽和輝度に達する。これに対して、可視光反射
層を設けた場合にも、反射輝度は蛍光体層の膜厚にある
程度まで比例するが、膜厚が約12μm以上で早くも飽
和輝度に達する。なお、ここで飽和輝度とは、蛍光体層
が膜厚に無関係に漸近する一定の輝度値を指すものであ
る。これは、可視光反射層上では蛍光体層の膜厚を薄く
設定しても反射輝度が確保できることを裏付けている。
【0033】また、図2のグラフの結果から、同一膜厚
の蛍光体層において、可視光反射層を設けた場合、可視
光反射層を設けない場合よりも全体的にやや高い反射輝
度が得られることもわかる。このような結果は、蛍光体
層中の蛍光体粒子が紫外線の励起発光により背面ガラス
15方向に発光した蛍光を、可視光反射層17が前面ガ
ラス11方向へ反射することが、輝度向上に寄与してい
ることも示唆している。
【0034】以上の可視光反射層上における蛍光体層の
薄層化による輝度向上効果は、可視光反射層を用い、蛍
光体層が約12μm〜約20μmの膜厚範囲で明らかに
得られることが図2によりわかる。但し、蛍光体層の膜
厚が6μm付近では可視光反射層がない場合と反射輝度
がほとんど同じであるが、PDPの放電セル中において
は、放電空間が約20μm〜約30μmの平均膜厚を有
する従来の蛍光体層の場合に比べてかなり広く確保でき
るので、領域Hの蛍光体層の膜厚が約6μm〜約12μ
mの範囲でも、結果として高い輝度が得られる。これを
平均粒径が約3μmの蛍光体粒子について言えば、この
範囲はほぼ平均粒径が2倍以上7倍以下に相当し、これ
によって蛍光体層が2層以上の蛍光体粒子で構成される
必要があることが予測される。また、ハイビジョン用の
PDPのように微細な放電セルで放電空間を確保しつ
つ、領域Hの蛍光体層の膜厚が約6μm〜約20μmの
範囲において輝度の向上を図るためは、可視光反射層を
設けない場合より反射輝度が高くなる約12μm〜約2
0μmの膜厚を領域Hとして有する蛍光体層を形成する
ことが望ましい。ここで、実際にPDPを製造する場合
には、領域Hの蛍光体層を約20μmより厚く形成する
と、ほぼ従来の放電セルの放電空間しか確保できなくな
り、また大幅に厚い蛍光体層では可視光反射層の効果も
薄れるので、この値以上の膜厚を有する蛍光体層を用い
ることは好ましくない。
【0035】また、詳細な数値を表示しないが、特開昭
62-201989或いは特開平7-268319に記載
されるような方法により、本来は六角板状の形状を有す
る平均粒径3μmの青色蛍光体(BaMgAl1017
Eu2+)を数1式を満足する形状、すなわち球状もしく
は球状に近い形状に加工し、図2とほぼ同様の調査を行
った。その結果、球状加工しない蛍光体を用いたものと
比較すると、可視光反射層上に球状加工した蛍光体の蛍
光体層を積層したものについて、一定の膜厚に対する反
射輝度および発光効率がさらに向上することが分かっ
た。
【0036】
【数1】 ここでL1は粒子の重心から表面までの最長距離、L2
最短距離である。また、粒度分布を有する平均粒径Aの
粒径集中度x(%)=100A/(A+A90-A10)を定義
し、A=3μmの蛍光体粒子についてx値を変化させな
がら、x値の異なる粒度分布の蛍光体粒子のおのおのに
ついて、図2のように反射輝度と蛍光体層の膜厚の関係
を調べた。ここで、A10は粒度分布の累計値が10%の粒
径、A90は粒度分布の累計値が90%の粒径である。
【0037】その結果、x=50(%)のときに飽和輝
度に達する蛍光体層の膜厚は約12μmであり、x=8
0(%)以上では約9μmの膜厚であった。このx=8
0(%)の粒径集中度を有する蛍光体を用いて、前記P
DPの製造方法により領域Vで約25μm、領域Hで約
9μmの膜厚の蛍光体層を有するPDPを作製すると、
発光効率0.75lm/Wを得ることができた。このよう
な結果が得られたのは、粒径集中度の値の増大に伴って
粒径がより均一になり、蛍光体層中の蛍光体粒子間の空
隙が大きくなって可視光透過率が増大し、可視光反射層
による反射効果が高まったためと思われる。また、薄い
蛍光体層を用いることは、放電空間を広くとって励起発
光自体の発光度を高めることに貢献している。したがっ
て、小さな放電セルで高い発光効率と輝度を得るために
は、A10とA90の差をできるだけ小さくして、均一な蛍
光体粒子による蛍光体層を形成することが望ましい。
【0038】なお、本実施の形態で使用する蛍光体は、
上記蛍光体に限定されるものではなく、他の一般的なも
のを用いてもよい。また、溶剤およびバインダーの組合
せには、溶剤にジエチレングリコールメチルエーテル等
の有機溶剤や水等を使用することも可能であり、バイン
ダーにもPMMA(ポリメタクリル酸メチルエーテル)
やPVA(ポリビニルアルコール)等の合成高分子を用
いることができる。
【0039】ところで、本実施の形態で隔壁や可視光反
射層に対する蛍光体インクの吸着力を調整するために、
隔壁面と蛍光体インクとの接触角が可視光反射層との接
触角よりも小さくなるように設定する例を示したが、こ
の他にも蛍光体インクと接触する表面の粗さを利用する
ようにしてもよい。表面粗さを隔壁において約5μm、
可視光反射層において約0.5μmとした場合に、隔壁
上により厚く蛍光体層を形成できた例がある。
【0040】また本実施の形態では、背面ガラス板の面
上に可視光反射層を一様に積層する例を示したが、当然
ながら本発明はこれに限定されるものではなく、例えば
背面ガラス板の面上に先ず隔壁を設け、しかる後に酸化
チタン等の可視光反射材を含むガラスペーストを隔壁間
の背面ガラス板面上に塗布し、これによって可視光反射
層を配設するようにしてもよい。
【0041】また本実施の形態では、蛍光体インクに蛍
光体を45重量%含むものを用いた例を示したが、実際
には20重量%〜60重量%の蛍光体を含むものであれ
ばよく、この範囲でほぼ同様の結果が得られることが分
かっている。さらに本実施の形態では、平均粒径が3μ
mの蛍光体粒子を用いたが、これに限らず平均粒径が5
μm以下のものであればよい。5μmより大幅に大きい
蛍光体粒子は、蛍光体インクとして用いた場合に、イン
クを塗布してから後乾燥するまでの間に沈降することが
あるので好ましくない。
【0042】なお本実施の形態では、カラー表示が可能
な交流型PDPについて説明したが、本発明はこれに限
定されず、モノクロ型PDPや、直流型PDPに適用し
てもよい。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、放電セル
内の蛍光体層が発光する蛍光を、有効に取り出すことが
可能となる。また、放電セル体積に対する放電空間を従
来より広く確保でき、これによって紫外線励起発光の強
度を高められるので、結果的に蛍光発光の効率を向上さ
せることが可能になる。したがって、本発明をハイビジ
ョン型の微細な放電セルに適用すると、輝度および発光
効率の比較的高いPDPを得ることが可能になる効果が
ある。
【0044】また本発明の製造方法によれば、微細な単
位セルにおいても輝度および発光効率の優れた上記PD
Pを製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一適用例である交流面放電型プラズマ
ディスプレイパネルの主要構成の断面図である。
【図2】反射輝度と蛍光体層の膜厚との関係を示す図で
ある。
【図3】蛍光体インクの注入工程を示す概略図である。
【図4】従来の蛍光体インクを注入した隔壁間の様子を
表す概略図である。
【図5】従来において蛍光体インクを注入し、乾燥させ
た後の隔壁間の様子を表す概略図である。
【図6】可視光反射層上における蛍光体インクとの吸着
力が隔壁面より小さい場合の、蛍光体インクの乾燥過程
を示す概略図である。
【図7】従来の交流面放電型プラズマディスプレイパネ
ルの主要構成についての断面図である。
【符号の説明】
11、41 前面ガラス基板(フロントカバープレー
ト) 12、42 銀電極 13、43 誘電体ガラス層 13、44 誘電体保護層 15、45 背面ガラス基板(バックプレート) 16、46 アドレス電極 17 可視光反射層 18、47 隔壁 19、50 蛍光体層(赤) 20、51 蛍光体層(緑) 21、52 蛍光体層(青) 22、49 放電空間 29 蛍光体インク 30 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 富造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 堀井 滋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 重田 照明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 大塩 祥三 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−283030(JP,A) 特開 平8−162026(JP,A) 特開 平6−283108(JP,A) 特開 平9−231908(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 11/00 - 11/04 H01J 17/00 - 17/06 H01J 17/49 H01J 9/227

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バックプレート面上に可視光反射層と隔
    壁を設ける第1ステップと、隔壁面上および可視光反射
    層上に亘って蛍光体インクにより蛍光体層を形成する第
    2ステップと、前記隔壁を形成したバックプレート面に
    対向してフロントカバープレートを配設する第3ステッ
    プとを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法で
    あって、 前記第1ステップにおいて、可視光反射層よりも大きい
    表面粗さを有する隔壁を設けるか、或いは可視光反射層
    よりも蛍光体インクに対する接触角が小さい隔壁を設け
    ることにより、前記第2ステップにおいて、蛍光体層を
    隔壁上よりも可視光反射層に沿った表面を有する領域に
    おいて薄く形成することを特徴とするプラズマディスプ
    レイパネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2ステップにおいて用いる蛍光体
    インクは、剪断速度200S-1における粘度が、25℃で100
    0センチポアズ以下に設定されていることを特徴とする
    請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第2ステップにおいて用いる蛍光体
    インクは、20重量%以上60重量%以下の分量の蛍光体粒
    子を含むことを特徴とする請求項1または2の何れかに記
    載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2ステップにおいて用いる蛍光体
    インクは、ターピネオールと蛍光体粒子、および蛍光体
    インク総重量中において0.1重量%以上7重量%以下を占
    めるエチルセルロースを含むことを特徴とする請求項1
    〜3の何れかに記載のプラズマディスプレイパネルの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2ステップにおいて蛍光体層は、
    蛍光体インクを放電空間に80%以上満たし、乾燥後焼成
    することによって形成されることを特徴とする請求項1
    〜4の何れかに記載のプラズマディスプレイパネルの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2ステップにおいて蛍光体層は、
    蛍光体インクをノズル先端から吐出することにより形成
    されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプ
    ラズマディスプレイパネルの製造方法。
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