JP3546987B2 - プラズマディスプレイパネルおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字あるいは画像表示用のカラーテレビジョン受像機やディスプレイ等に使用するプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンをはじめとする高品位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、CRT,液晶ディスプレイ(以下、LCDと記載する),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載する)といった各ディスプレイの分野において、これに適したディスプレイの開発が進められている。
【0003】
従来からテレビのディスプレイとして広く用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れているが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくなる点で40インチ以上の大画面には不向きである。また、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いという優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】
これに対して、PDPは、小さい奥行きで大画面を実現することが可能であって、既に40インチクラスの製品も開発されている。
PDPは、駆動方式によって直流型(DC型)と交流型(AC型)とに大別され、DC型では、一般的に電極が放電空間に露出し隔壁が井桁状に形成されているのに対して、AC型では、電極上に誘電体ガラス層が配設され隔壁がストライプ状に形成されており、微細なセル構造を形成するのに適した構造となっている。
【0005】
図6は、交流型(AC型)のPDPの一例を示す概略断面図である。
図6において、61は前面ガラス基板であり、この前面ガラス基板61上に表示電極62が配設され、その上から誘電体ガラス層63及び酸化マグネシウム(MgO)からなる誘電体保護層64で覆われている(例えば特開平5−342991号公報参照)。
【0006】
また、65は背面ガラス基板であり、この背面ガラス基板65上には、アドレス電極66及び隔壁67が設けられ、隔壁67と隔壁67との間の凹部には、蛍光体層68が配設されている。蛍光体層68は、カラー表示するために、赤色蛍光体層68R,緑色蛍光体層68G,青色蛍光体層68Bの3色が順に配置された構成である。また、この凹部には放電ガスが封入されて、放電空間69が形成されている。
【0007】
PDPの発光原理は、基本的に蛍光灯と同様であって、放電に伴って放電ガスから紫外線が放出され、蛍光体層の蛍光体粒子(赤,緑,青)がこの紫外線を受けて励起発光するが、放電エネルギーが紫外線へ変換する効率や、蛍光体における可視光への変換効率が低いので、蛍光灯のように高い輝度を得ることは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高品位ディスプレイに対する要求が高まるのに伴い、PDPにおいても微細なセル構造の実用化が望まれるが、紫外線の放射効率は放電空間が小さくなるに従って悪くなるので、詳細なセル構造のPDPを実用化するためには、従来よりも更にセルの発光効率を高める必要がある。
【0009】
例えば、従来のNTSCではセル数が640×480で、40インチクラスではセルピッチが0.43mm×1.29mm、1セル面積が約0.55mm2でパネルの輝度は約250cd/m2である(例えば、機能材料1996年2月号Vol.16、No.2、ページ7)。
これに対して、フルスペックのハイビジョンテレビの画素レベルでは、画素数が1920×1125となり、42インチクラスでのセルピッチは0.15mm×0.48mm、1セルの面積は0.072mm2の細かさとなる。そして、42インチのハイビジョンテレビ用のPDPを従来通りのセル構成で作製した場合、パネル発光効率が、NTSCの場合に比べて1/7〜1/8程度になり、0.15〜0.17 lm/W程度に低下する。
【0010】
本発明は、このような背景の下でなされたものであって、発光効率を従来より高めることによって、微細なセル構造の場合にも高い発光効率で動作させることのできるPDP及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部に第1の蛍光体層と、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と前記隔壁の表面に沿って形成された側面部に第2の蛍光体層とを設けると共に、ガス媒体の封入圧力を1000〜2000Torrに設定することとした。この構成によれば、従来のパネル構成では前面パネル側に逃げていた紫外光を、第1の蛍光体層によって可視光に変換することができるので、発光効率を向上させることができる。またガス媒体の封入圧力が高いので、更に発光効率が向上すると共に、第1の蛍光体層の経時的な劣化も防止することができる。
【0012】
ここで、発光効率をより向上させるために、蛍光体層を、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と、隔壁の表面に沿って形成された側面部と、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部とを有する形状とすることが望ましい。
また更に、発光効率を向上させるために、蛍光体層は、背面部の平均可視光透過率及び側面部の平均可視光透過率よりも、前面部の平均可視光透過率を高く設定することが好ましく、前面部の平均可視光透過率は50%以上、側面部の平均可視光透過率は50%以下に設定することが好ましい。
【0013】
なお、ここで「平均可視光透過率」というのは、「蛍光体層に用いられてる蛍光体と同じ蛍光体から発せられる可視光に対して蛍光体層が示す透過率の平均値」を指すものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係るPDPについて、図面を参照しながら説明する。
〔PDPの全体構成〕
図1は、本実施の形態の交流面放電型PDPの概略を示す斜視図である。
【0015】
また、図2は、図1のX−X線矢視断面図、図3は、図1のY−Y線矢視断面図である。
このPDPは、前面ガラス基板11上に表示電極(放電電極)12と誘電体ガラス層13、保護層14が配された前面パネル(フロントカバープレート)10と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、可視光反射層23が配された背面パネル(バックプレート)20とが、表示電極12とアドレス電極22とを対向させた状態で間隔をおいて互いに平行に配され、前面パネル10と背面パネル20との間隙は、隔壁30で仕切られてセル空間40が形成され、当該空間40内に放電ガスが封入されている。また、このセル空間40内において、前面パネル10側に第1の蛍光体層31、背面パネル20側に第2の蛍光体層32が配設された構成となっている。
【0016】
表示電極12及びアドレス電極22は、共にストライプ状の銀電極であって、直交マトリックスを組む方向に配設されている。
誘電体ガラス層13は、前面ガラス基板11の表示電極12が配された表面全体を覆い、20μm程度の厚さを有する鉛ガラスなどからなる層である。
保護層14は、酸化マグネシウム(MgO)からなる薄層であって、誘電体ガラス層13の表面全体を覆っている。
【0017】
可視光反射層23は、背面ガラス基板21のアドレス電極22が配されている表面全体を覆い、酸化チタンを含む誘電体ガラス(鉛ガラス)からなる層であって、可視光反射機能と誘電体層としての機能を合わせ持つものである。
隔壁30は、背面パネル20の可視光反射層23の表面上に突設されており、アドレス電極22に沿ってストライプ状に形成されている。
【0018】
〔蛍光体層の形状並びに発光機能について〕
各セル内において、第1の蛍光体層31は、前面パネル10上の保護層14上のほぼ全面に均一的に形成されている。ただし、図3に示されるように、表示電極12の表面上の箇所では切り欠かれている(図中14a)。
このように切り欠け14aを設ければ、この場所において、保護層14の表面が放電空間に対して露出するので、PDP駆動時において、表示電極12による放電空間に対する放電が蛍光体層によって妨げられることなく行われる。
【0019】
また、放電空間で放電中に発生するイオンは、表示電極12に向かって移動するので、切り欠け14a以外の部分では、放電時に蛍光体層に加わるイオン衝撃は大きくないけれども、この切り欠け14aのところに蛍光体層があると、その部分がイオン衝撃によって経時的に劣化しやすいことになる。従って、上記のように切り欠け14aを設ければ、蛍光体層の経時的な劣化を抑え、発光効率の経時的な低下を抑えることができる。
【0020】
一方、図2に示されるように、第2の蛍光体層32は、背面パネル20上の隔壁30と隔壁30の間において、可視光反射層23の表面上と隔壁30の側面上にわたって形成されている。
詳しくは、蛍光体層の表面積が大きく且つ放電空間の容積が大きく確保されるように、第2の蛍光体層32には、背面ガラス基板21の表面に沿って形成された背面部32aと隔壁30の表面に沿って形成された側面部32bとを有する形状となっている。
【0021】
次に、本実施の形態のPDPにおいて、図6のような従来例と比べて発光効率を向上できる理由について、図2を参照しながら説明する。
PDPの駆動時には、表示電極12間の放電に伴って放電空間では紫外光が発生する。この紫外光には、第1の蛍光体層31の方へ向かうもの(図2中の白抜き矢印U1)と、第2の蛍光体層32の方へ向かうもの(図2中の白抜き矢印U2)とが含まれている。そして、第1の蛍光体層31が、前者の紫外光U1を可視光に変換する働きをなし、第2の蛍光体層32は、後者の紫外光U2を可視光に変換する働きをなす。
【0022】
第2の蛍光体層32で変換された可視光の中で第1の蛍光体層31及び前面パネル10を通過するもの(図2中の太線矢印V2)と、第1の蛍光体層31で変換された可視光の中で前面パネル10を通過するもの(図2中の太線矢印V1)との2つが、主としてパネルの輝度に寄与するものと考えられる。
即ち、図6の従来例のように、前面ガラス基板61側に蛍光体層が配設されていないない場合には、放電により発生した紫外線U1は前面パネル側に逃げてしまうが、本実施の形態のように第1の蛍光体層31が存在する場合には、この紫外線U1が変換されて可視光V1が発生するので、それだけ発光効率が向上する。
【0023】
ただし、第1の蛍光体層31の可視光透過率が小さいとセル内で発生した可視光V2が有効に取り出せなくなるので、発光効率を向上させるためには、第1の蛍光体層31の可視光透過率を適当な範囲に設定する必要がある。
発光効率を向上させるのに好ましい条件については、次のように考えられる。先ず、第1の蛍光体層31と第2の蛍光体層32とを比べると、上記のように第1の蛍光体層31は可視光を透過させる必要があるのに対して、第2の蛍光体層32は可視光を透過させる必要がないので、第1の蛍光体層31の平均可視光透過率は、第2の蛍光体層32の背面部32aの平均可視光透過率及び第2の蛍光体層32の側面部32bの平均可視光透過率のいずれよりも大きくなるよう設定することが好ましい。
【0024】
蛍光体層内において通常は蛍光体の充填密度がほぼ均一であるから、上記のような可視光透過率の関係に設定するためには、第1の蛍光体層31の平均厚さd1は、第2の蛍光体層32の背面部32aの平均厚さd2及び側面部32bの平均厚さd3のいずれよりも小さく(即ち、d1<d2、d1<d3)設定すればよい。また、第1の蛍光体層31の可視光透過率は、50%以上となるように設定することが好ましい。そのため、第1の蛍光体層31の平均厚さd1は15μm未満とし、特に5〜10μm程度に設定することが好ましい。
【0025】
また、第2の蛍光体層32の形状については、次のように考察される。
背面部32aは、下に可視光反射層23が敷かれているので、可視光透過率が比較的高くても(即ち、層の厚さが小さくても)可視光V2の発光量を確保しやすいのに対して、側面部32bでは、下に可視光反射層がないので、可視光透過率が低くなければ可視光V2の発生量を確保しにくい。
【0026】
従って、第2の蛍光体層32の側面部32bでは、可視光透過率を50%以下に設定することが好ましく、そのために、層の厚さを15μm以上、好ましくは20μ以上に設定する。
一方、可視光反射層23の上に形成されている背面部32aは、可視光反射層23の作用により、層を薄くしても可視光の発光量を確保できるので、側面部32bよりも厚さを若干小さく設定することが望ましい。
【0027】
これは、可視光反射層23を設けることによって、背面部32aの厚さをを小さく設定し、それによって放電空間を広く確保し、輝度の向上を図ることができることを意味する。
なお、本実施の形態では、可視光反射層23を設けているが、可視光反射層23が配設されていないような構成の場合(例えば、可視光反射層23の代わりに通常の誘電体ガラス層が配設されている場合や第2の蛍光体層32が背面ガラス基板21上に直接配設されている場合)には、背面ガラス基板21に沿った部分も層の厚さを15μm以上とすることが好ましい。
【0028】
〔放電ガスの組成及び封入圧力について〕
放電ガスは、従来から用いられてるヘリウム−キセノン系やネオン−キセノン系といったガス組成のものを用いることもできるが、本実施の形態では、ヘリウム(He),ネオン(Ne),キセノン(Xe),アルゴン(Ar)を含む希ガスの混合物を用いることとする。このような組成の放電ガスを用いることによって、発光効率の向上と放電電圧の低下を図ることができる。
【0029】
ここで、キセノンの含有量は5体積%以下、アルゴンの含有量は0.5体積%以下、ヘリウムの含有量は55体積%未満とすることが好ましい。
また、放電ガスの封入圧力は、従来の一般的な封入圧力よりも高い500〜4000Torrに設定するが、このように高い封入圧力とすることも、発光効率の向上に寄与する。特に大気圧以上の760〜4000Torrの範囲に設定することが、高い発光効率を得るのに好ましい。
【0030】
ただし、封入ガス圧の増加に伴って放電開始電圧が増加するので、1000〜2000Torr付近の封入圧力とすることが、パネル特性にとって最も良好と考えられる。
なお、上記の様に封入圧力を高く設定すると、放電中に発生するイオンのエネルギーが低くなるので、第1の蛍光体層31の経時的な劣化を防止し、パネル輝度の低下を抑えるという効果も奏する。
【0031】
〔PDPの製造方法について〕
上記構成のPDPは、次のようにして作製することができる。
前面パネルの作製:
前面ガラス基板11上に、先ず、銀電極用のペーストをスクリーン印刷で塗布した後に焼成する方法で表示電極12をストライプ状に形成する。
【0032】
そして、表示電極12を形成した前面ガラス基板11の表面全体に、スクリーン印刷法で鉛ガラスを塗布し、焼成することによって、誘電体ガラス層13を形成する。
次に、誘電体ガラス層13の表面全体に、CVD法(化学蒸着法)を用いて、酸化マグネシウムの保護層14を形成することによって、前面パネル10を作製する。
【0033】
CVDによる保護層の形成においては、CVDの装置内にガラス基板をセットし、これにソースとしてのマグネシウム化合物及び酸素を送り込んで反応させることによって、基板上に酸化マグネシウムの層を形成する。ここで用いるソースの具体例としては、アセチルアセトンマグネシウム[Mg(C5H7O2)2],シクロペンタジエニルマグネシウム[Mg(C5H5)2]を挙げることができる。
【0034】
背面パネルの作製:
背面ガラス基板21の上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷し、その後焼成する方法によってアドレス電極22をストライプ状に形成する。
そして、アドレス電極22を形成した背面ガラス基板21の表面上に、スクリーン印刷法で、酸化チタン粒子を含む誘電体ガラスを塗布し、焼成することによって、可視光反射層23を形成して、背面パネル20を作製する。
【0035】
なお、可視光反射層の形成方法としては、背面ガラス基板の表面上に先ず隔壁を設置した後に、隔壁の間に酸化チタンを含むインキを塗布して形成することもできる。
隔壁及び蛍光体層の形成:
背面パネル20の可視光反射層23の上に、ガラス製の隔壁材料をスクリーン印刷法で所定間隔のストライプ状に繰り返し塗布した後、焼成することによって、隔壁30を形成する。
【0036】
前面パネル10の保護層14の上の所定領域に、赤,緑,青の蛍光体を塗布し、焼成を行うことによって、第1の蛍光体層31を形成する。
各色の蛍光体としては、一般的にPDPで用いられている蛍光体を用いることができるが、ここでは、赤色蛍光体として(YxGd1−x)BO3:Eu3+、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mn、青色蛍光体としてBaMgAl10O17:Eu2+を用いることとする。
【0037】
この蛍光体の塗布方法としては、スクリーン印刷法で蛍光体インキを塗布する方法以外に、半導体の製造において通常用いられているフォトリソグラフィ技術を用いる方法もある。
即ち、感光性樹脂に蛍光体を練り込んだ蛍光体ペーストを全面に塗布した後、フォトリソグラフィ法でパターニングを行うという工程を、各色ごとに順に行うことによって、3色の蛍光体層を形成することもできる。
【0038】
高精細のパネル構造の場合、スクリーン印刷法では充分な精度が得られにくく混色などが発生することもあるが、このフォトリソグラフィ法を用いれば、高精細のパネル構造でも精度よく蛍光体層を形成することができる。
一方、背面パネル20上の隔壁30と隔壁30との間に形成されている凹部に、赤,緑,青の蛍光体を含むインキ或はペーストを塗布し、焼成することによって、第2の蛍光体層32を形成する。ここで用いる蛍光体は、第1の蛍光体層31に用いるものと同様のものである。
【0039】
この隔壁30間の凹部ヘの蛍光体の塗布に際し、凹部の底面上(即ち可視光反射層23の表面上)と、凹部の側面上(即ち隔壁30の側面上)との各々に、適度な膜厚で蛍光体が付着するように塗布を行う。
そのような蛍光体の塗布は、蛍光体ペーストを用いてスクリーン印刷法で行える場合もあるが、スクリーン印刷法の場合は、凹部の側壁に蛍光体ペーストを付着させるのが難しく、特に詳細なセル構造の場合には困難である。、
これに対して、図4に示すようなインキ充填装置を用いて、以下のように、ノズルから蛍光体インキを吐出させて蛍光体インキを架橋しながらノズルを隔壁に沿って走査する方法によって塗布を行えば、比較的容易に凹部の側壁にも蛍光体インキを付着させることができる。
【0040】
図4のインキ充填装置50では、加圧ポンプ(不図示)からヘッダ51に蛍光体インキが送り込まれ、ノズル52から吐出されるようになっている。
このインキ充填装置50を用いて、ノズル52から蛍光体インキを吐出しながら、ノズル52を隔壁30の側面との距離を、蛍光体インキが表面張力で架橋される程度に充分近づけた状態に保ちつつ、ヘッダ51を隔壁30に沿って走査することによって、蛍光体インキを隔壁30間の凹部に塗布する。
【0041】
この方法によれば、蛍光体インキを凹部の底面だけでなく、隔壁30の側面にも容易に付着させることができる。
また、形成される蛍光体層の形状(凹部の底面上と側面上との厚さの比率)は、凹部の底面(可視光反射層23の表面)と隔壁30の表面との蛍光体インキに対する吸着力によっても大きく左右されるので、この表面状態を調整することによって、形成する蛍光体層の形状を調節することができる。
【0042】
図5は、隔壁30間の凹部に充填された蛍光体インキが乾燥する様子の一例を示すものであって、(a)は蛍光体インキ塗布直後、(b)は乾燥途中、(c)は乾燥後の状態を示す。
例えば、隔壁30を形成する際に、蛍光体インキの隔壁30の側面に対する接触角が、蛍光体インキの可視光反射層23に対する接触角よりも小さくなるように、隔壁の材料を選択しておけば、本図に示されるように、隔壁30間の凹部に塗布された蛍光体インキが乾燥するときに、凹部の側面に多く付着して残るので、凹部の側面上の厚さを大きく、底面上の厚さを小さくすることができる。。
【0043】
このような蛍光体インキの塗布技術を用いることによって、第2の蛍光体層32の背面部32aの厚さと側面部32bの厚さとを容易にコントロールすることができる。
パネル張り合わせによるPDPの作製:
上記のように作製した前面パネル10と、隔壁30付きの背面パネル20とを、表示電極12とアドレス電極22が直交するように対向させて、封着用ガラスを用いて張り合せると共に、隔壁30で仕切られた放電空間内を、高真空(8×10−7Torr)に排気した後、所定の組成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPDPを作製する。
【0044】
〔その他の事項〕
なお、本実施の形態においては、隔壁をバックプレートの表面上に設置する例を示したが、本発明は、隔壁の形態に限定されることなく実施することができる。例えば、隔壁はフロントカバープレートの表面上に設置することも可能であるが、そのようなPDPの場合にも、上記の技術を応用して、フロントカバープレート側の凹部の内面とバックプレート側の表面とにわたって蛍光体層を配設することができ、同様の効果を奏する。
【0045】
また、本実施の形態では、交流型のPDPについて説明したが、本発明は、交流型に限られることなく、例えば、隔壁が井桁状に形成されている直流型のPDPに対しても適用することができる。
【0046】
【実施例】
(実施例)
上記実施の形態に基づいてPDPを作製した。
セルサイズは、42インチのハイビジョンテレビ用のディスプレイに合わせて、隔壁30の高さを0.1mm、隔壁30の間隔(セルピッチ)を0.15mmに設定した。
【0047】
誘電体ガラス層13は、酸化鉛[PbO]70重量%と酸化硼素[B2O3]15重量%と酸化硅素[SiO2]15重量%とからなる鉛ガラスを、有機バインダー[α−ターピネオールに10%のエチルセルロースを溶解したもの]に混合してなるペーストを、スクリーン印刷法で塗布した後、580℃で10分間焼成することによって形成し、その膜厚は20μmに設定した。
【0048】
保護層14は、プラズマCVD法により、厚さ1.0μmに形成した。
可視光反射層23は、鉛ガラスに酸化チタン粒子を混合する以外は誘電体ガラス層13と同様に形成した。
第1の蛍光体層31は、平均粒径約3μmの蛍光体を含有する各色蛍光体インキを、スクリーン印刷法で塗布し、焼成を行うことによって形成した。
【0049】
前面パネル10側の第1の蛍光体層31の平均厚さは10μm、背面パネル20側の第2の蛍光体層31は、可視光反射層23上の平均厚さ及び隔壁30側面の平均厚さは共に20μmとなるようにした。
封入する放電ガスの組成は、He(30%)−Ne(67.9%)−Xe(2%)−Ar(0.1%)とし、1000Torrの圧力で放電ガスを封入した。なお、上記ガス組成式中の%は体積%を表わす。
【0050】
(実験1)
実施例で用いたのと同じ青色蛍光体で、様々な厚さの蛍光体層を形成し、その可視光透過率を測定したところ、厚さ10μmでは可視光透過率が86%、厚さ20μmでは可視光透過率が46%であった。
なお、他の色の蛍光体についても、これに近い測定値が得られた。
【0051】
(実験2)
上記実施例のPDPについて、放電維持電圧180V、周波数30KHzで駆動させた時のパネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネルの輝度は約400cd/m2、発光効率は約0.7lm/Wであった。
また、第1の蛍光体層31の厚さを30μmにした以外は実施例と同様のPDPを作製し、パネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネル輝度は約330cd/m2、発光効率は約0.58lm/Wであった。
【0052】
また、比較例として、第1の蛍光体層31を設けない以外は実施例と同様のPDPを作製し、パネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネル輝度は約300cd/ m2、発光効率は約0.5lm/Wであった。
これらの結果から、第1の蛍光体層31を設けることによってパネル輝度及び発光効率が向上できること、また、第1の蛍光体層31の厚さは30μm程度よりも10μm程度の方が、パネル輝度及び発光効率が向上の効果が大きいことがわかる。
【0053】
なお、別途の実験で、第1の蛍光体層31の厚さを変化させたときの発光効率の変化を調べた結果、5〜10μm程度の厚さのときに特に良好な発光効率を示した。
(実験3)
実施例のPDPについて、実験2と同じ駆動条件で1000時間点灯したときの、初期のパネル輝度に対する輝度の低下率を測定したところ、5%程度であった。
【0054】
また、実施例のPDPにおいて、第1の蛍光体層31の表示電極12の表面上に切り欠け14aを形成せず、放電ガスの封入圧力を、300Torr,1000Torr,2000Torrに設定したものを作製し、各PDPについて同様にパネル輝度の低下率を測定したところ、封入圧力300Torrのものは輝度低下率が10%、封入圧力1000Torrのものは輝度低下率が8%、封入圧力2000Torrのものは輝度低下率が3%程度であった。
【0055】
更に、従来例として、第1の蛍光体層31を設けず、封入圧力を300Torrとした以外は実施例と同様のPDPを作製して、同様にパネル輝度の低下率を測定したところ、8%程度であった。
これらの結果から、第1の蛍光体層31を設けると、従来のように第1の蛍光体層31を設けない場合と比べて、パネル輝度の低下率が大きくなる傾向にあるが、封入圧力を1000Torr程度に設定すれば、パネル輝度の低下率を従来と同程度に抑えることができ、更に第1の蛍光体層31に切り欠け14aを形成すれば、パネル輝度の低下率を従来のレベルより低くできることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、PDPの隔壁で仕切られた空間内に蛍光体層を配設するに際して、フロントカバープレートの表面上と、隔壁の表面上と、バックプレートの表面上とにわたって配設することによって、PDPの発光効率を従来より高め、微細なセル構造の場合にも高い発光効率を得ることができる。
【0057】
ここで、発光効率をより高めるために、蛍光体層を、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と、隔壁の表面に沿って形成された側面部と、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部とを有する形状とすることが望ましい。
更に、発光効率を向上させるために、蛍光体層は、背面部の平均可視光透過率及び側面部の平均可視光透過率よりも、前面部の平均可視光透過率を高く設定することが好ましく、更に前面部の平均可視光透過率は50%以上、側面部の平均可視光透過率は50%以下に設定することが好ましい。
【0058】
そのため、背面部の平均厚さ及び側面部の平均厚さよりも、前面部の平均厚さの方を小さく設定し、更に、前面部の平均厚さを15μm以下、側面部の平均厚さを15μm以上に設定することが好ましい。
また、蛍光体層の背面部とバックプレートとの間に、可視光反射層を介挿させると、更に輝度を向上することができる。
【0059】
また、フロントカバープレート側に放電電極がある場合には、蛍光体層の前面部は、その放電電極と対向する箇所が切り欠かれた形状とすれば、パネル輝度の経時的な低下を抑えることができる、
また、ガス媒体の封入圧力を、760〜4000Torrに設定すれば、パネル輝度の向上や、パネル輝度の経時的な低下の抑制といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る交流面放電型PDPの概略を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】図1のY−Y線矢視断面図である。
【図4】実施の形態で蛍光体の塗布に用いるインキ充填装置の概略図である。
【図5】隔壁間の凹部に充填された蛍光体インキが乾燥する様子のを示す図である。
【図6】従来の交流型のPDPの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 前面パネル
11 前面ガラス基板
12 表示電極
13 誘電体ガラス層
14 保護層
20 背面パネル
21 背面ガラス基板
22 アドレス電極
23 可視光反射層
30 隔壁
31 第1の蛍光体層
32 第2の蛍光体層
40 セル空間
50 インキ充填装置
51 ヘッダ
52 ノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字あるいは画像表示用のカラーテレビジョン受像機やディスプレイ等に使用するプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンをはじめとする高品位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、CRT,液晶ディスプレイ(以下、LCDと記載する),プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載する)といった各ディスプレイの分野において、これに適したディスプレイの開発が進められている。
【0003】
従来からテレビのディスプレイとして広く用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れているが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくなる点で40インチ以上の大画面には不向きである。また、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いという優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技術上の困難性があり、視野角にも限界がある。
【0004】
これに対して、PDPは、小さい奥行きで大画面を実現することが可能であって、既に40インチクラスの製品も開発されている。
PDPは、駆動方式によって直流型(DC型)と交流型(AC型)とに大別され、DC型では、一般的に電極が放電空間に露出し隔壁が井桁状に形成されているのに対して、AC型では、電極上に誘電体ガラス層が配設され隔壁がストライプ状に形成されており、微細なセル構造を形成するのに適した構造となっている。
【0005】
図6は、交流型(AC型)のPDPの一例を示す概略断面図である。
図6において、61は前面ガラス基板であり、この前面ガラス基板61上に表示電極62が配設され、その上から誘電体ガラス層63及び酸化マグネシウム(MgO)からなる誘電体保護層64で覆われている(例えば特開平5−342991号公報参照)。
【0006】
また、65は背面ガラス基板であり、この背面ガラス基板65上には、アドレス電極66及び隔壁67が設けられ、隔壁67と隔壁67との間の凹部には、蛍光体層68が配設されている。蛍光体層68は、カラー表示するために、赤色蛍光体層68R,緑色蛍光体層68G,青色蛍光体層68Bの3色が順に配置された構成である。また、この凹部には放電ガスが封入されて、放電空間69が形成されている。
【0007】
PDPの発光原理は、基本的に蛍光灯と同様であって、放電に伴って放電ガスから紫外線が放出され、蛍光体層の蛍光体粒子(赤,緑,青)がこの紫外線を受けて励起発光するが、放電エネルギーが紫外線へ変換する効率や、蛍光体における可視光への変換効率が低いので、蛍光灯のように高い輝度を得ることは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高品位ディスプレイに対する要求が高まるのに伴い、PDPにおいても微細なセル構造の実用化が望まれるが、紫外線の放射効率は放電空間が小さくなるに従って悪くなるので、詳細なセル構造のPDPを実用化するためには、従来よりも更にセルの発光効率を高める必要がある。
【0009】
例えば、従来のNTSCではセル数が640×480で、40インチクラスではセルピッチが0.43mm×1.29mm、1セル面積が約0.55mm2でパネルの輝度は約250cd/m2である(例えば、機能材料1996年2月号Vol.16、No.2、ページ7)。
これに対して、フルスペックのハイビジョンテレビの画素レベルでは、画素数が1920×1125となり、42インチクラスでのセルピッチは0.15mm×0.48mm、1セルの面積は0.072mm2の細かさとなる。そして、42インチのハイビジョンテレビ用のPDPを従来通りのセル構成で作製した場合、パネル発光効率が、NTSCの場合に比べて1/7〜1/8程度になり、0.15〜0.17 lm/W程度に低下する。
【0010】
本発明は、このような背景の下でなされたものであって、発光効率を従来より高めることによって、微細なセル構造の場合にも高い発光効率で動作させることのできるPDP及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部に第1の蛍光体層と、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と前記隔壁の表面に沿って形成された側面部に第2の蛍光体層とを設けると共に、ガス媒体の封入圧力を1000〜2000Torrに設定することとした。この構成によれば、従来のパネル構成では前面パネル側に逃げていた紫外光を、第1の蛍光体層によって可視光に変換することができるので、発光効率を向上させることができる。またガス媒体の封入圧力が高いので、更に発光効率が向上すると共に、第1の蛍光体層の経時的な劣化も防止することができる。
【0012】
ここで、発光効率をより向上させるために、蛍光体層を、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と、隔壁の表面に沿って形成された側面部と、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部とを有する形状とすることが望ましい。
また更に、発光効率を向上させるために、蛍光体層は、背面部の平均可視光透過率及び側面部の平均可視光透過率よりも、前面部の平均可視光透過率を高く設定することが好ましく、前面部の平均可視光透過率は50%以上、側面部の平均可視光透過率は50%以下に設定することが好ましい。
【0013】
なお、ここで「平均可視光透過率」というのは、「蛍光体層に用いられてる蛍光体と同じ蛍光体から発せられる可視光に対して蛍光体層が示す透過率の平均値」を指すものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係るPDPについて、図面を参照しながら説明する。
〔PDPの全体構成〕
図1は、本実施の形態の交流面放電型PDPの概略を示す斜視図である。
【0015】
また、図2は、図1のX−X線矢視断面図、図3は、図1のY−Y線矢視断面図である。
このPDPは、前面ガラス基板11上に表示電極(放電電極)12と誘電体ガラス層13、保護層14が配された前面パネル(フロントカバープレート)10と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、可視光反射層23が配された背面パネル(バックプレート)20とが、表示電極12とアドレス電極22とを対向させた状態で間隔をおいて互いに平行に配され、前面パネル10と背面パネル20との間隙は、隔壁30で仕切られてセル空間40が形成され、当該空間40内に放電ガスが封入されている。また、このセル空間40内において、前面パネル10側に第1の蛍光体層31、背面パネル20側に第2の蛍光体層32が配設された構成となっている。
【0016】
表示電極12及びアドレス電極22は、共にストライプ状の銀電極であって、直交マトリックスを組む方向に配設されている。
誘電体ガラス層13は、前面ガラス基板11の表示電極12が配された表面全体を覆い、20μm程度の厚さを有する鉛ガラスなどからなる層である。
保護層14は、酸化マグネシウム(MgO)からなる薄層であって、誘電体ガラス層13の表面全体を覆っている。
【0017】
可視光反射層23は、背面ガラス基板21のアドレス電極22が配されている表面全体を覆い、酸化チタンを含む誘電体ガラス(鉛ガラス)からなる層であって、可視光反射機能と誘電体層としての機能を合わせ持つものである。
隔壁30は、背面パネル20の可視光反射層23の表面上に突設されており、アドレス電極22に沿ってストライプ状に形成されている。
【0018】
〔蛍光体層の形状並びに発光機能について〕
各セル内において、第1の蛍光体層31は、前面パネル10上の保護層14上のほぼ全面に均一的に形成されている。ただし、図3に示されるように、表示電極12の表面上の箇所では切り欠かれている(図中14a)。
このように切り欠け14aを設ければ、この場所において、保護層14の表面が放電空間に対して露出するので、PDP駆動時において、表示電極12による放電空間に対する放電が蛍光体層によって妨げられることなく行われる。
【0019】
また、放電空間で放電中に発生するイオンは、表示電極12に向かって移動するので、切り欠け14a以外の部分では、放電時に蛍光体層に加わるイオン衝撃は大きくないけれども、この切り欠け14aのところに蛍光体層があると、その部分がイオン衝撃によって経時的に劣化しやすいことになる。従って、上記のように切り欠け14aを設ければ、蛍光体層の経時的な劣化を抑え、発光効率の経時的な低下を抑えることができる。
【0020】
一方、図2に示されるように、第2の蛍光体層32は、背面パネル20上の隔壁30と隔壁30の間において、可視光反射層23の表面上と隔壁30の側面上にわたって形成されている。
詳しくは、蛍光体層の表面積が大きく且つ放電空間の容積が大きく確保されるように、第2の蛍光体層32には、背面ガラス基板21の表面に沿って形成された背面部32aと隔壁30の表面に沿って形成された側面部32bとを有する形状となっている。
【0021】
次に、本実施の形態のPDPにおいて、図6のような従来例と比べて発光効率を向上できる理由について、図2を参照しながら説明する。
PDPの駆動時には、表示電極12間の放電に伴って放電空間では紫外光が発生する。この紫外光には、第1の蛍光体層31の方へ向かうもの(図2中の白抜き矢印U1)と、第2の蛍光体層32の方へ向かうもの(図2中の白抜き矢印U2)とが含まれている。そして、第1の蛍光体層31が、前者の紫外光U1を可視光に変換する働きをなし、第2の蛍光体層32は、後者の紫外光U2を可視光に変換する働きをなす。
【0022】
第2の蛍光体層32で変換された可視光の中で第1の蛍光体層31及び前面パネル10を通過するもの(図2中の太線矢印V2)と、第1の蛍光体層31で変換された可視光の中で前面パネル10を通過するもの(図2中の太線矢印V1)との2つが、主としてパネルの輝度に寄与するものと考えられる。
即ち、図6の従来例のように、前面ガラス基板61側に蛍光体層が配設されていないない場合には、放電により発生した紫外線U1は前面パネル側に逃げてしまうが、本実施の形態のように第1の蛍光体層31が存在する場合には、この紫外線U1が変換されて可視光V1が発生するので、それだけ発光効率が向上する。
【0023】
ただし、第1の蛍光体層31の可視光透過率が小さいとセル内で発生した可視光V2が有効に取り出せなくなるので、発光効率を向上させるためには、第1の蛍光体層31の可視光透過率を適当な範囲に設定する必要がある。
発光効率を向上させるのに好ましい条件については、次のように考えられる。先ず、第1の蛍光体層31と第2の蛍光体層32とを比べると、上記のように第1の蛍光体層31は可視光を透過させる必要があるのに対して、第2の蛍光体層32は可視光を透過させる必要がないので、第1の蛍光体層31の平均可視光透過率は、第2の蛍光体層32の背面部32aの平均可視光透過率及び第2の蛍光体層32の側面部32bの平均可視光透過率のいずれよりも大きくなるよう設定することが好ましい。
【0024】
蛍光体層内において通常は蛍光体の充填密度がほぼ均一であるから、上記のような可視光透過率の関係に設定するためには、第1の蛍光体層31の平均厚さd1は、第2の蛍光体層32の背面部32aの平均厚さd2及び側面部32bの平均厚さd3のいずれよりも小さく(即ち、d1<d2、d1<d3)設定すればよい。また、第1の蛍光体層31の可視光透過率は、50%以上となるように設定することが好ましい。そのため、第1の蛍光体層31の平均厚さd1は15μm未満とし、特に5〜10μm程度に設定することが好ましい。
【0025】
また、第2の蛍光体層32の形状については、次のように考察される。
背面部32aは、下に可視光反射層23が敷かれているので、可視光透過率が比較的高くても(即ち、層の厚さが小さくても)可視光V2の発光量を確保しやすいのに対して、側面部32bでは、下に可視光反射層がないので、可視光透過率が低くなければ可視光V2の発生量を確保しにくい。
【0026】
従って、第2の蛍光体層32の側面部32bでは、可視光透過率を50%以下に設定することが好ましく、そのために、層の厚さを15μm以上、好ましくは20μ以上に設定する。
一方、可視光反射層23の上に形成されている背面部32aは、可視光反射層23の作用により、層を薄くしても可視光の発光量を確保できるので、側面部32bよりも厚さを若干小さく設定することが望ましい。
【0027】
これは、可視光反射層23を設けることによって、背面部32aの厚さをを小さく設定し、それによって放電空間を広く確保し、輝度の向上を図ることができることを意味する。
なお、本実施の形態では、可視光反射層23を設けているが、可視光反射層23が配設されていないような構成の場合(例えば、可視光反射層23の代わりに通常の誘電体ガラス層が配設されている場合や第2の蛍光体層32が背面ガラス基板21上に直接配設されている場合)には、背面ガラス基板21に沿った部分も層の厚さを15μm以上とすることが好ましい。
【0028】
〔放電ガスの組成及び封入圧力について〕
放電ガスは、従来から用いられてるヘリウム−キセノン系やネオン−キセノン系といったガス組成のものを用いることもできるが、本実施の形態では、ヘリウム(He),ネオン(Ne),キセノン(Xe),アルゴン(Ar)を含む希ガスの混合物を用いることとする。このような組成の放電ガスを用いることによって、発光効率の向上と放電電圧の低下を図ることができる。
【0029】
ここで、キセノンの含有量は5体積%以下、アルゴンの含有量は0.5体積%以下、ヘリウムの含有量は55体積%未満とすることが好ましい。
また、放電ガスの封入圧力は、従来の一般的な封入圧力よりも高い500〜4000Torrに設定するが、このように高い封入圧力とすることも、発光効率の向上に寄与する。特に大気圧以上の760〜4000Torrの範囲に設定することが、高い発光効率を得るのに好ましい。
【0030】
ただし、封入ガス圧の増加に伴って放電開始電圧が増加するので、1000〜2000Torr付近の封入圧力とすることが、パネル特性にとって最も良好と考えられる。
なお、上記の様に封入圧力を高く設定すると、放電中に発生するイオンのエネルギーが低くなるので、第1の蛍光体層31の経時的な劣化を防止し、パネル輝度の低下を抑えるという効果も奏する。
【0031】
〔PDPの製造方法について〕
上記構成のPDPは、次のようにして作製することができる。
前面パネルの作製:
前面ガラス基板11上に、先ず、銀電極用のペーストをスクリーン印刷で塗布した後に焼成する方法で表示電極12をストライプ状に形成する。
【0032】
そして、表示電極12を形成した前面ガラス基板11の表面全体に、スクリーン印刷法で鉛ガラスを塗布し、焼成することによって、誘電体ガラス層13を形成する。
次に、誘電体ガラス層13の表面全体に、CVD法(化学蒸着法)を用いて、酸化マグネシウムの保護層14を形成することによって、前面パネル10を作製する。
【0033】
CVDによる保護層の形成においては、CVDの装置内にガラス基板をセットし、これにソースとしてのマグネシウム化合物及び酸素を送り込んで反応させることによって、基板上に酸化マグネシウムの層を形成する。ここで用いるソースの具体例としては、アセチルアセトンマグネシウム[Mg(C5H7O2)2],シクロペンタジエニルマグネシウム[Mg(C5H5)2]を挙げることができる。
【0034】
背面パネルの作製:
背面ガラス基板21の上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷し、その後焼成する方法によってアドレス電極22をストライプ状に形成する。
そして、アドレス電極22を形成した背面ガラス基板21の表面上に、スクリーン印刷法で、酸化チタン粒子を含む誘電体ガラスを塗布し、焼成することによって、可視光反射層23を形成して、背面パネル20を作製する。
【0035】
なお、可視光反射層の形成方法としては、背面ガラス基板の表面上に先ず隔壁を設置した後に、隔壁の間に酸化チタンを含むインキを塗布して形成することもできる。
隔壁及び蛍光体層の形成:
背面パネル20の可視光反射層23の上に、ガラス製の隔壁材料をスクリーン印刷法で所定間隔のストライプ状に繰り返し塗布した後、焼成することによって、隔壁30を形成する。
【0036】
前面パネル10の保護層14の上の所定領域に、赤,緑,青の蛍光体を塗布し、焼成を行うことによって、第1の蛍光体層31を形成する。
各色の蛍光体としては、一般的にPDPで用いられている蛍光体を用いることができるが、ここでは、赤色蛍光体として(YxGd1−x)BO3:Eu3+、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mn、青色蛍光体としてBaMgAl10O17:Eu2+を用いることとする。
【0037】
この蛍光体の塗布方法としては、スクリーン印刷法で蛍光体インキを塗布する方法以外に、半導体の製造において通常用いられているフォトリソグラフィ技術を用いる方法もある。
即ち、感光性樹脂に蛍光体を練り込んだ蛍光体ペーストを全面に塗布した後、フォトリソグラフィ法でパターニングを行うという工程を、各色ごとに順に行うことによって、3色の蛍光体層を形成することもできる。
【0038】
高精細のパネル構造の場合、スクリーン印刷法では充分な精度が得られにくく混色などが発生することもあるが、このフォトリソグラフィ法を用いれば、高精細のパネル構造でも精度よく蛍光体層を形成することができる。
一方、背面パネル20上の隔壁30と隔壁30との間に形成されている凹部に、赤,緑,青の蛍光体を含むインキ或はペーストを塗布し、焼成することによって、第2の蛍光体層32を形成する。ここで用いる蛍光体は、第1の蛍光体層31に用いるものと同様のものである。
【0039】
この隔壁30間の凹部ヘの蛍光体の塗布に際し、凹部の底面上(即ち可視光反射層23の表面上)と、凹部の側面上(即ち隔壁30の側面上)との各々に、適度な膜厚で蛍光体が付着するように塗布を行う。
そのような蛍光体の塗布は、蛍光体ペーストを用いてスクリーン印刷法で行える場合もあるが、スクリーン印刷法の場合は、凹部の側壁に蛍光体ペーストを付着させるのが難しく、特に詳細なセル構造の場合には困難である。、
これに対して、図4に示すようなインキ充填装置を用いて、以下のように、ノズルから蛍光体インキを吐出させて蛍光体インキを架橋しながらノズルを隔壁に沿って走査する方法によって塗布を行えば、比較的容易に凹部の側壁にも蛍光体インキを付着させることができる。
【0040】
図4のインキ充填装置50では、加圧ポンプ(不図示)からヘッダ51に蛍光体インキが送り込まれ、ノズル52から吐出されるようになっている。
このインキ充填装置50を用いて、ノズル52から蛍光体インキを吐出しながら、ノズル52を隔壁30の側面との距離を、蛍光体インキが表面張力で架橋される程度に充分近づけた状態に保ちつつ、ヘッダ51を隔壁30に沿って走査することによって、蛍光体インキを隔壁30間の凹部に塗布する。
【0041】
この方法によれば、蛍光体インキを凹部の底面だけでなく、隔壁30の側面にも容易に付着させることができる。
また、形成される蛍光体層の形状(凹部の底面上と側面上との厚さの比率)は、凹部の底面(可視光反射層23の表面)と隔壁30の表面との蛍光体インキに対する吸着力によっても大きく左右されるので、この表面状態を調整することによって、形成する蛍光体層の形状を調節することができる。
【0042】
図5は、隔壁30間の凹部に充填された蛍光体インキが乾燥する様子の一例を示すものであって、(a)は蛍光体インキ塗布直後、(b)は乾燥途中、(c)は乾燥後の状態を示す。
例えば、隔壁30を形成する際に、蛍光体インキの隔壁30の側面に対する接触角が、蛍光体インキの可視光反射層23に対する接触角よりも小さくなるように、隔壁の材料を選択しておけば、本図に示されるように、隔壁30間の凹部に塗布された蛍光体インキが乾燥するときに、凹部の側面に多く付着して残るので、凹部の側面上の厚さを大きく、底面上の厚さを小さくすることができる。。
【0043】
このような蛍光体インキの塗布技術を用いることによって、第2の蛍光体層32の背面部32aの厚さと側面部32bの厚さとを容易にコントロールすることができる。
パネル張り合わせによるPDPの作製:
上記のように作製した前面パネル10と、隔壁30付きの背面パネル20とを、表示電極12とアドレス電極22が直交するように対向させて、封着用ガラスを用いて張り合せると共に、隔壁30で仕切られた放電空間内を、高真空(8×10−7Torr)に排気した後、所定の組成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPDPを作製する。
【0044】
〔その他の事項〕
なお、本実施の形態においては、隔壁をバックプレートの表面上に設置する例を示したが、本発明は、隔壁の形態に限定されることなく実施することができる。例えば、隔壁はフロントカバープレートの表面上に設置することも可能であるが、そのようなPDPの場合にも、上記の技術を応用して、フロントカバープレート側の凹部の内面とバックプレート側の表面とにわたって蛍光体層を配設することができ、同様の効果を奏する。
【0045】
また、本実施の形態では、交流型のPDPについて説明したが、本発明は、交流型に限られることなく、例えば、隔壁が井桁状に形成されている直流型のPDPに対しても適用することができる。
【0046】
【実施例】
(実施例)
上記実施の形態に基づいてPDPを作製した。
セルサイズは、42インチのハイビジョンテレビ用のディスプレイに合わせて、隔壁30の高さを0.1mm、隔壁30の間隔(セルピッチ)を0.15mmに設定した。
【0047】
誘電体ガラス層13は、酸化鉛[PbO]70重量%と酸化硼素[B2O3]15重量%と酸化硅素[SiO2]15重量%とからなる鉛ガラスを、有機バインダー[α−ターピネオールに10%のエチルセルロースを溶解したもの]に混合してなるペーストを、スクリーン印刷法で塗布した後、580℃で10分間焼成することによって形成し、その膜厚は20μmに設定した。
【0048】
保護層14は、プラズマCVD法により、厚さ1.0μmに形成した。
可視光反射層23は、鉛ガラスに酸化チタン粒子を混合する以外は誘電体ガラス層13と同様に形成した。
第1の蛍光体層31は、平均粒径約3μmの蛍光体を含有する各色蛍光体インキを、スクリーン印刷法で塗布し、焼成を行うことによって形成した。
【0049】
前面パネル10側の第1の蛍光体層31の平均厚さは10μm、背面パネル20側の第2の蛍光体層31は、可視光反射層23上の平均厚さ及び隔壁30側面の平均厚さは共に20μmとなるようにした。
封入する放電ガスの組成は、He(30%)−Ne(67.9%)−Xe(2%)−Ar(0.1%)とし、1000Torrの圧力で放電ガスを封入した。なお、上記ガス組成式中の%は体積%を表わす。
【0050】
(実験1)
実施例で用いたのと同じ青色蛍光体で、様々な厚さの蛍光体層を形成し、その可視光透過率を測定したところ、厚さ10μmでは可視光透過率が86%、厚さ20μmでは可視光透過率が46%であった。
なお、他の色の蛍光体についても、これに近い測定値が得られた。
【0051】
(実験2)
上記実施例のPDPについて、放電維持電圧180V、周波数30KHzで駆動させた時のパネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネルの輝度は約400cd/m2、発光効率は約0.7lm/Wであった。
また、第1の蛍光体層31の厚さを30μmにした以外は実施例と同様のPDPを作製し、パネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネル輝度は約330cd/m2、発光効率は約0.58lm/Wであった。
【0052】
また、比較例として、第1の蛍光体層31を設けない以外は実施例と同様のPDPを作製し、パネル輝度及び発光効率を測定したところ、パネル輝度は約300cd/ m2、発光効率は約0.5lm/Wであった。
これらの結果から、第1の蛍光体層31を設けることによってパネル輝度及び発光効率が向上できること、また、第1の蛍光体層31の厚さは30μm程度よりも10μm程度の方が、パネル輝度及び発光効率が向上の効果が大きいことがわかる。
【0053】
なお、別途の実験で、第1の蛍光体層31の厚さを変化させたときの発光効率の変化を調べた結果、5〜10μm程度の厚さのときに特に良好な発光効率を示した。
(実験3)
実施例のPDPについて、実験2と同じ駆動条件で1000時間点灯したときの、初期のパネル輝度に対する輝度の低下率を測定したところ、5%程度であった。
【0054】
また、実施例のPDPにおいて、第1の蛍光体層31の表示電極12の表面上に切り欠け14aを形成せず、放電ガスの封入圧力を、300Torr,1000Torr,2000Torrに設定したものを作製し、各PDPについて同様にパネル輝度の低下率を測定したところ、封入圧力300Torrのものは輝度低下率が10%、封入圧力1000Torrのものは輝度低下率が8%、封入圧力2000Torrのものは輝度低下率が3%程度であった。
【0055】
更に、従来例として、第1の蛍光体層31を設けず、封入圧力を300Torrとした以外は実施例と同様のPDPを作製して、同様にパネル輝度の低下率を測定したところ、8%程度であった。
これらの結果から、第1の蛍光体層31を設けると、従来のように第1の蛍光体層31を設けない場合と比べて、パネル輝度の低下率が大きくなる傾向にあるが、封入圧力を1000Torr程度に設定すれば、パネル輝度の低下率を従来と同程度に抑えることができ、更に第1の蛍光体層31に切り欠け14aを形成すれば、パネル輝度の低下率を従来のレベルより低くできることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、PDPの隔壁で仕切られた空間内に蛍光体層を配設するに際して、フロントカバープレートの表面上と、隔壁の表面上と、バックプレートの表面上とにわたって配設することによって、PDPの発光効率を従来より高め、微細なセル構造の場合にも高い発光効率を得ることができる。
【0057】
ここで、発光効率をより高めるために、蛍光体層を、バックプレートの表面に沿って形成された背面部と、隔壁の表面に沿って形成された側面部と、フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部とを有する形状とすることが望ましい。
更に、発光効率を向上させるために、蛍光体層は、背面部の平均可視光透過率及び側面部の平均可視光透過率よりも、前面部の平均可視光透過率を高く設定することが好ましく、更に前面部の平均可視光透過率は50%以上、側面部の平均可視光透過率は50%以下に設定することが好ましい。
【0058】
そのため、背面部の平均厚さ及び側面部の平均厚さよりも、前面部の平均厚さの方を小さく設定し、更に、前面部の平均厚さを15μm以下、側面部の平均厚さを15μm以上に設定することが好ましい。
また、蛍光体層の背面部とバックプレートとの間に、可視光反射層を介挿させると、更に輝度を向上することができる。
【0059】
また、フロントカバープレート側に放電電極がある場合には、蛍光体層の前面部は、その放電電極と対向する箇所が切り欠かれた形状とすれば、パネル輝度の経時的な低下を抑えることができる、
また、ガス媒体の封入圧力を、760〜4000Torrに設定すれば、パネル輝度の向上や、パネル輝度の経時的な低下の抑制といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る交流面放電型PDPの概略を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】図1のY−Y線矢視断面図である。
【図4】実施の形態で蛍光体の塗布に用いるインキ充填装置の概略図である。
【図5】隔壁間の凹部に充填された蛍光体インキが乾燥する様子のを示す図である。
【図6】従来の交流型のPDPの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 前面パネル
11 前面ガラス基板
12 表示電極
13 誘電体ガラス層
14 保護層
20 背面パネル
21 背面ガラス基板
22 アドレス電極
23 可視光反射層
30 隔壁
31 第1の蛍光体層
32 第2の蛍光体層
40 セル空間
50 インキ充填装置
51 ヘッダ
52 ノズル
Claims (9)
- 第1の電極が表面に配設されたフロントカバープレートと、第2の電極が表面に配設されたバックプレートとが、当該第1及び第2の電極を対向させた状態で間隔をおいて平行に配されると共に、前記両プレートの間隙が隔壁で仕切られ、
当該隔壁で仕切られた空間内には、蛍光体層が配設されていると共に放電可能なガス媒体が封入されているプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記フロントカバープレートの表面に沿って形成された前面部に第1の蛍光体層と、
前記バックプレートの表面に沿って形成された背面部と前記隔壁の表面に沿って形成された側面部に第2の蛍光体層とを有し、
前記ガス媒体の封入圧力が、1000〜2000Torrであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記蛍光体層は、
前記第2の蛍光体層の平均可視光透過率より前記第1の蛍光体層の平均可視光透過率の方が高く、第2の蛍光体層のうち前記側面部の蛍光体層の平均可視光透過率より前記背面部の蛍光体層の平均可視光透過率の方が高く、
前記背面部の蛍光体層とバックプレートとの間には、可視光反射層が介挿されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。 - 前記第1の蛍光体層は、平均可視光透過率が50%以上であり、前記第2の蛍光体層は、平均可視光透過率が50%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記蛍光体層は、
前記第2の蛍光体層の平均厚さよりも、前記第1の蛍光体層の平均厚さの方が小さく、
前記第2の蛍光体層のうち前記側面部の蛍光体層の平均厚さより前記背面部の蛍光体層の平均厚さの方が小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。 - 前記蛍光体層は、
前記第1の蛍光体層の平均厚さが15μm以下であり、前記第2の蛍光体層の平均厚さが15μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。 - 前記第1の蛍光体層は、
前記第1の電極と対向する箇所が切り欠かれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。 - 電極が表面に配設されたフロントカバープレートの当該表面上に、第1の蛍光体層を形成する第1ステップと、
表面に隔壁が形成されると共に前記バックプレートの表面に沿って形成された背面部と前記隔壁の表面に沿って形成された側面部とで形成された凹部に、前記第1の蛍光体層よりも平均可視光透過率が低い第2の蛍光体層を形成する第2ステップと、
第1ステップ及び第2ステップの後に、フロントカバープレートとバックプレートとを、前記第1の蛍光体層と第2の蛍光体層を対向させた状態で平行に配すると共に、前記凹部に放電可能なガス媒体を封入圧力1000〜2000Torrで封入する第3ステップとを備えることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記第1のステップでは、
感光性樹脂を含む蛍光体インキを塗布してフォトリソグラフィ法でパターニングすることによって、第1の蛍光体層を形成することを特徴とする請求項7記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記第2のステップでは、
ノズルから蛍光体インキを吐出しながら当該ノズルを走査することによって、前記バックプレートの凹部に第2の蛍光体層を形成することを特徴とする請求項7または8記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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